JP2008082667A - 空調気流分配用ダクト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のダクト方式においては、機密性確保、全面断熱、施工工数大等により、コストが高く、外観上、化粧板等での仕上げが必要であり、ダクト内部のメンテナンス作業も困難である。
また、吹き出し口からの局所的ドラフトによる不快な空調になっているのが現状である。
以上のような従来の空調方式の各種問題点の解決が課題である。
【解決手段】ダクトの空気通路構成部材の通気率が5%から80%、且つ、結露しない特性の通気性空気通路構成部材を採用し、冷気等がダクト内を通過する間に、適切な通気率で連続的に冷気等が放出されることにより、ドラフトの少ない、良好な温度分布が得られる。
また、本考案の通気性空気通路構成部材で作られたダクトは、取り外しが容易、清掃、洗濯等が可能であり、容易なメンテナンスが可能となる。
【選択図】図12

Description

本考案は空調ダクト装置において、被空調空間の気流分布と温度分布を均一にする空調用ダクト装置の改良に関するものである。
空調機は、一般的に部屋の大きさ、平面形状等により室内機の設置場所が建築構造上の理由や室内の家具等の配置等により気流や温度分布が最適になる位置に設置することが困難になる。
そのために気流分布が悪くなり人に直接吹き出し空気が当たる等の不快感を与えていることになっているため、これを改良する方法として冷気等が被空調空間に均一な気流と温度分布が得られるようダクト方式が採用されているが、本考案はこのダクト方式の各種問題点を解決するものである。
課題1(請求項1に対応)
従来のダクト方式は、空調機から吹き出される冷気等を四角形または円筒形のダクトに接続し、それを天井裏や天井と壁の隅部に設置し、気流および温度分布の均一化に適したダクトの長さ方向に吹き出し口を設けて冷気等の分配を実現するものであり、次のような問題点がある。
問題点1は、ダクト本体の製作はブリキ板等で高気密に製作する必要等によりコストが高いことと、ダクトの外観を見栄え良くするためのクロス張りが必要なための現地内装工事に関するコストがかかること、および建築との関わりによる工程の複雑さ、現地へ施工に行く回数の多さ等の施工のためのコストも高くなるという問題点。
問題点2は、従来のダクト方式の場合、長年使っていると内面に埃が付着し、そこに雑菌等が発生することにより不衛生になり、場合によっては異臭の発生原因になり、雑菌等の温床ともなりうるため、ダクト内の定期的洗浄メンテナンスが望まれるが、この洗浄、清掃作業は非常に困難で、且つ費用が高くなり、簡単且つ容易に低価格で清掃や洗浄ができないと言う問題点。
問題点3は、従来のダクト方式では、ダクト本体から必要な間隔毎に、吹き出し口を設ける必要があるが、この吹き出し口での気流の風速が速いため、その気流の吹き出し方向の空間では、風速の早い冷気等のドラフトが発生するために、その部分の人は非常に不快になり、場合によっては冷房病を引き起こす可能性があると言う問題点。
問題点4は、従来のダクト方式では、被空調空間の千差万別な空調負荷に対して、ダクト吹き出しルーバーの大きさや形状等により風量変化で対応するためのダクト設計が必要であり、この設計を間違うと入居後等にダクト設計を変更する必要がある場合には、手間とコストのかかる修正作業が必要であり、専門的な設計技術者も必要となり、結果的に費用が高くなる危険性を有することと、結果的に納期が長くなると言う問題点。
問題点5は、比較的狭くて細長いオフィス空間等では、天井吊り型空調機が選定されるが、この場合吹き出し口の吹き出し風速が早いため、空間の先端部では、冷気ドラフトが大きく非常に不快であり、この場合も冷房病の要因となり得るが、この解決策として、ダクトを後つけすることが理想であるが、従来方式では非常に制約が発生し、対応することが困難であるという問題点。
問題点6は、従来のダクトにおいては、角形も丸形も内部を冷気が通過するため、結露を防ぐためのダクト外周に断熱材施工が必要であり、その分、ダクトのコストが高くなるという問題点。
問題点7は、従来のダクト方式では、四方が密閉されているため、ダクトの機密性が必要となり、その結果ダクトの空気抵抗が大きくなり、空調機のファンの静圧をアップさせる必要があり、その結果、消費電力アップや騒音も高くなり遮音、吸音設計と施工が必要になると言う問題点。
以上の問題点1〜7を解決することが本考案の課題であり、更に、本考案の通気性空気通路構成部材で構成されるダクトにおいては、一般的な多孔性シートである場合には、ダクト内部を冷気が流れる場合に、ダクトの外面において室内空気との接触部分に結露が発生する危険性があるが、これを無くすることも課題である。
また、冷気等をダクトの先端開口部にまで到達させるダクト機能を有するには、本通気性空気通路構成部材の通気率が大きくては性能が得られないが、これを解決する通気率の限界値を設定することが課題である。
課題2(請求項2に対応)
現地にて施工した後、ダクトによる気流分布の調整が必要になるが、これを簡単な方法で実現することが課題である。
課題3(請求項3に対応)
本考案における多孔性シートにおいては、空調機から放出される気流が同一の通気率でダクト周辺に冷気等を一律に、且つ、均等に放出されるが、被空調空間内に負荷の不均一がある場合には、空調負荷の大きいところには、冷気等の風量を多くする必要があり、空調負荷が小さい部分や空調機のリターン部分等で温度分布が悪くなると言う問題点があるが、この問題点を解決することである。
課題4(本考案のダクトの種類を組み合わせることに関するもの)
被空調空間において、平面部は共通であるが、使用目的等によって、簡易間仕切り(天井部近くまである仕切り壁を含む)等がなされている場合、1形態のダクトでは、区切られた各空間に対する快適な空調が困難になるが、これを本考案のダクトの種類を組み合わせにより解決することが課題である。
課題5(請求項4に対応)
本考案において、暖房時に暖気を下方に吹き出さないと上下の温度分布が悪くなることを解決すると言う課題、および冷房時に冷気に直接当たりたい場合に、局的または一時的に冷気に強く当たることを実現することが課題である。
請求項1に対する課題1の解決手段について記述すると、図-2-1)に示す従来のダクト方式は、断熱された四角筒または円筒状の冷気等の空気通路を形成し、そのダクトから必要な冷気等を一定の間隔にて、室内に放出する開口部を設けて吹き出しグリル等よりで冷気等を供給し、均一な気流と温度分布を得るようにしている。
これに対して、本考案は、構成するダクトの下部に通気性空気通路構成部材を採用しているため、冷気等がダクト内を通過する間に、その通気性空気通路構成部材の選定された通気率に応じて連続的に冷気等が放出されることにより、ドラフトの少ない、良好な温度分布が得られることになる。
また、被空調空間内に窓等の空調負荷が大きい部分には、本考案のダクトの通気性空気通路構成部材に空調負荷に対応した必要な開口部面積を設け、そこに通気率の大きい通気性空気通路構成部材を貼り付けることにより冷気等を多くその空調負荷の大きいゾーンに供給できる。
更に、従来方式のように、ダクトに設けられた吹き出しグリルの冷気等の吹き出し方向に当たるゾーンでは、人に不快なドラフトを与えているが、本方式では、低風速で均一な冷気が被空調空間に供給されるため、冷輻射冷房のような快適で理想的な空調空間が得られることになる。
また、使用する通気性空気通路構成部材に要求される特性の内、通気率の下限については、通気性空気通路構成部材には結露防止のための断熱材が不要な範囲であることが必要であるが、これを図-1にて説明すると、図-1-1)の本考案の結露しないメカニズムに示すように、通気性空気通路構成部材に多湿高温の室内空気が接しないレベルの通気性を有していることが必要であり、図-1-2)の様に多湿の室内空気が誘引されて、シート構成物質に接すると、ダクト内の冷気によってその物質が冷却されているため、図のような箇所に結露が発生する。
また、この範囲を数値化するために、図-1-3)に示す試験方法にて規定した場合、JIS規格に指定されている結露試験方法により、通気性空気通路構成部材の通気率は、15%が限界値であることが判明している。
一方、本考案の内、ダクト上面部に断熱された密閉部材を使用した場合は、ダクト内の冷気等が上面に放出されないため、ダクト内の通過風速がアップするため、図-1-3)の試験方法における通気性空気通路構成部材の通気率値は、10%まで許される。
更に、カーテン地のような繊維を通気性空気通路構成部材として使用する場合は、繊維1本が非常に微細な素繊維で構成されており、その微細繊維が包含する空気が断熱効果を発揮するので、結露防止にはより一層有効になるため、同様の試験方法において通気率の下限は5%とすることが可能である。
試験結果により、繊維太さが0.3〜0.07ミリで、500〜900メッシュのスクリーンカーテン地等の布や不織布が通気性空気通路構成部材の一例として適当であることも確認されている。
一方、通気率の上限は、下限と同様の結露しない条件であると同時に、住宅用のように狭い空間において採用される上部開放型の本考案ダクトにおいて、吹き出し口直下の風量が大きくなることにより、空調冷気等の分散効果が低下することと、吹き出し空気の風速が低い場合には、通気率が大きくても分配が有効な場合があると言うこと等から通気性空気通路構成部材の通気率の上限を80%として限定すべきであり、結論的には、用途毎と求められる必要気流の分布、要求されるドラフトの強さ毎に設計対応するためには、通気率の上限は80%となる。
課題2(請求項2に対応)
課題2に対する解決手段について説明すると、本考案の通気性ダクトの設計方法は後述する通りであるが、設計後現地での気流分布の調整が必要な場合に、このケースの一例として説明すると、図-9-1)のようなダクト出口開口部(905)を通気率の低い通気性空気通路構成部材にて、ダクト開口部面積率を0から100%まで変えることにより、ダクト内の静圧を変化させることが可能となり、このことにより放出される冷気等の被空調空間内での気流分配率を変えることにより気流分布の現地据え付け後の調整が可能となる。
課題3(請求項3に対応)
課題3に関する解決手段について説明すると、被空調空間において局部的に空調負荷が大きいゾーンへの解決方法として本考案では、その空調負荷の多いゾーンに冷気等を部分的に多く放出すると言う方法を採用する場合、供給風量が多く必要な部分の本体通気性空気通路構成部材に、必要な風量に相当する開口部を設け、その部分に本体より通気率の大きい通気性空気通路構成部材(本考案の上限値80%以上でも可能である)を貼り付けることにより、ダクトにおけるシートの平面性を保持したまま、従来のダクト方式の吹き出しグリルに相当する部分吹き出し口を実現して、局所負荷に対応することができる。
また、空調機の吹き出し近辺のダクト本体の通気性空気通路構成部材において、通気率がダクト全体で適切であっても、風速が早いため通気風量が多くなり、その近辺の人に対するドラフトも大きくなり不快になる場合には、その空調機の吹き出し部分の本体ダクトの内面に、適切な通気率の通気性空気通路構成部材を重ねて貼り付けることにより、このような不均一を解決することができる。
課題4に関する解決手段について説明すると、図-11において、広い被空調対象空間において、間仕切り等がある場合や鍵の手に部屋がある場合等ではダクトの全周が通気性空気通路構成部材で構成されているダクト1種類では、良好な気流分布が得られないことが発生する。
これを解決するために、上部開放型ダクトや8畳ほどの住宅のような小さい間仕切り部屋には平面シート状の本考案のダクト方式等を組み合わせること等で解決が可能となり、被空調空間の形状、負荷、使用目的等のあらゆる条件に対応して、一部密閉型、各種開放型、天井と壁の隅部設置型等のダクトの組み合わせで対応できることになる。
課題5に対する解決手段について、説明すると、図-13において、本考案の通気性空気通路構成部材部に、部分的に吹き出し口を設け、通気性空気通路構成部材で作られた開閉部材にヒンジ機構等で回転可能にする手段により、部分的吹き出し口を開閉可能とし、暖房時にはダクトの内側に必要な暖気風量に相当する開口角度で開口し、暖気を開閉部材にて誘導させることにより下方に吹き出させて、暖房運転時の上下の温度分布をより一層良くする。
また、冷房運転時でも局所的や一時的に冷気に直接当たりたいときは、同様に前述の部分的開放部を開けることにより、冷気に直接当たることが実現できる。
この開閉には、開閉部材にヒンジ等を設け、レバーやひも等でダクトの下方から駆動させる手段を設けることで、何時でも誰でも部分的、一時的気流吹き出しを簡単に操作することが可能となる。
請求項1に対する効果は、先ず課題1の問題点1に対する解決効果として、従来式ダクトにおいては断熱しているため外観が悪く、天井裏に隠蔽する方法やダクトの外観に化粧仕上げが必要であり、施工コストが高く付くが、本考案においては、ダクトの下部部分にインテリアカーテン状のシート等を採用すると、被空調空間に露出してもインテリア対応が可能なので、大幅なコストダウンが可能となる。
また、従来のダクト方式であると建築工程で、天井張り前に施工する必要があり、建築部門との工程順番調節が必要であるが、本考案の方式では、天井等の建築工程が終了以降の、どの時点でも施工できるので、工数削減ができ結果的に人件費コスト等を大幅に削減することができる。
更に、ダクト方式でない既設の空調機(例としては、壁掛け型や天井吊り型および天井カセット型空調機)の気流分布不良や温度分布不均一によるコールドドラフトによる不快感等の問題点を解決する方式として採用できると言うメリットがある。
課題1の問題点2の解決による効果は、従来のダクト式では長年使用すると内部の清掃が必要になるが、それは非常に大変な作業、または細いダクトで、フレキシブルダクト等では清掃が不可能であるが、、本考案の方式では、露出している通気性空気通路構成部材の取り外しが容易なため、簡単に洗浄や洗濯が可能であり、衛生的で病院等の院内感染に対する不安に対しても改善が可能であり、清掃コストも非常に小さく抑えることができるという効果がある。
本考案の通気性空気通路構成部材に布や不織布等を採用した場合は、その布を外して、洗濯することや安価な価格で交換することも可能になり、衛生的で安心できる空調システムが得られるという大きい効果がある。
課題1の問題点3に対しては、本考案のダクト方式では、ダクト全長に渡って冷気が均一、且つ、ほぼ一定の低風速での供給することが可能であるため、全ての被空調空間での冷気等による不快なドラフトを排除することが可能であるという効果があり、従来式のように部分的な吹き出しグリルが不要となるため、コストダウンができるという効果も実現できる。
課題1の問題点4を解決することによる効果は、本体の通気性空気通路構成部材の選定を適切にすれば、ダクトの長さ全体で均一に冷気等が放出されるので、ダクトの抵抗計算や空調機のファンの静圧アップのための専門的技術者の設計検討等が大幅に簡素化できるので、結果的にコストの安い快適で低騒音であるダクト空調方式が実現できるという効果が期待できる。
課題1の問題点6を解決することによる効果は、既存の空調機のダクトにおいては、結露を防ぐために、ダクト全周に渡って断熱が必要であるが、本方式においては、ダクト上部開放型では一切断熱材が不要であり、上部密閉型では、ダクト取り付け板に簡単な断熱が必要であるが、従来のような完璧な断熱が不要となるため、大幅なコストダウンと工数削減が実現できると言う効果がある。
課題1の問題点7を解決することによる効果は、従来式ではダクト抵抗が大きくなり、空調機のファンの静圧をアップさせる必要があるため、消費電力のアップや騒音がアップするが、本考案のダクト式では、これらの問題点を発生させないで、既設の空調機への気流分布改善方法としても使用でき、更に、従来の方式において対応する場合の専門技術も不要になるという効果もある。
課題1の通気性空気通路構成部材が結露防止機能を有することと、通気性空気通路構成部材の通気率の範囲を限定すると言う課題の解決によって得られる効果は、通気率の範囲限定内で、且つ結露が発生しない織り構造の布(カーテン地、のれん用の生地や不織布等)や網(樹脂又は金属)を使用する場合は、これらのコストは従来のダクトに比較して大幅に安価であるため、安価な材料で快適なダクト方式が実現でき、大幅なコストダウンになり、しかも、既存の空調機における不満を解消することができるという多くの効果が実現できる。
課題2を解決することによる効果は、一般的にダクトの設計施工においては、予めダクト設計したものを工場等で製作し、現地にて施工するが、現地施工完了時には気流分布や温度分布確認を実施することが常であり、そのときの微調整が重要な作業となる。
従来方式では、この調整には吹き出しグリルの変更やダクト内の風量調整ダンパー等で対応し、時間とコストがかかるが、本考案の方式では、ダクト先端部の開口部を通気率の異なる通気性空気通路構成部材にて、その開口部を0から100%の範囲で調整する作業だけで可能になるため、短時間にコストを殆どかけずに実施することが可能となる効果がある。
課題3に対する解決によって得られる効果は、被空調空間の空調負荷が局所的に大きい場合や本考案のダクトの本体通気率では通気風量が多くなる場合には、前者においては通気率の大きい通気性空気通路構成部材を必要箇所に置き換え、後者の場合は、必要箇所に通気率を小さくする通気率の小さい通気性空気通路構成部材を重ね合わせること等で対応できるので、より一層均一で、ドラフトの少ないダクト式空調システムが実現でき、冷房では理想とされているドラフトを感じない輻射冷房に近い冷房方式の実現が可能であると言う効果が期待できる。
課題4を解決することによる効果について説明すると、被空調空間の用途、形状、間仕切り等のあらゆる空調要求に対して対応することが可能になり、安価で快適なダクト式空調方式が実現できると同時に、間仕切りが変更されたときへの対応も容易に安価に対応することが実現できるという効果が期待できる。
課題5を解決することによる効果について説明すると、暖房運転時は、本考案のダクトの下部および側面に部分的開口部を設けて、吹き出し風量を決定する必要角度で内側等に開口すると、暖気が下方等に多く吹き出されて、被空調空間の上下の温度分布が小さくなり、快適な暖房空調が可能となる。
また、冷房運転時においても、外出等から帰ってきた場合などで冷気に直接当たりたいときには、この開閉部材を開けることで、ダクト内の空気を誘導する事により、一時的や局所的に好みの冷房環境が、個人毎の要求に応じて対応でき、一層快適な冷房環境が得られると言う効果がある。
実施するための最良の形態の内、住宅用のリビングダイニング16畳に壁掛け型3.6KWエアコン(301)を設置している場合について、図-3-1)にて説明すると、ダクト方式でないため冷気束(303)は図のように下降し、冷気先端(302)では、風速0.5m/秒が人体に当たる風速となり、長時間空調していると冷えすぎにより体調を崩したり、不快になったりする。
この不快な空調状態を解決するため、図-3-2)のように、U字部(305)を有するU字型上部開放型ダクトを設置すると、冷気束303が通気性空気通路構成部材(306)に遮られて、シート下部に通気する冷気QU(308)と右側に分散する冷気QR(310)と左側に分散する冷気QL(311)と通気シートと天井の間にできる隙間L(307)から前方に放出される冷気束QF(309)に分配されるため、人体に当たる定期等の風速を0.2m/秒以下に抑えることができ、従来のダクトなしエアコン設置における問題点が解消できることになる。
図3の例のように、エアコン301の正面に掃き出し戸による空調負荷が大きい場合には、このU字部305から放出される冷気は、ペリメーター効果を有し、従来のように運転風速を強にしなくとも均一で、気流分布も快適な0.2m/秒以下の冷気ドラフトを確保できることが可能であり、被空調空間が更に縦長の場合には、通気性空気通路構成部材(306)の通気率の小さいものを選択すると、QF(309)を増加させることが可能になり、問題点を解決することが可能となる。
U字型ダクト方式に採用される通気性空気通路構成部材についての必要特性について図-1にて説明すると、図-4に示すような従来のダクト方式では、断熱されたダクト403、吹き出しグリル402、隔壁407、空気リターングリル406等が必要になるが、本方式ではそのようなダクトや吹き出しグリル等は一切必要とせずに均一な気流分布と温度分布が得ることができ、従って、既設の空調機のドラフトによる不快感の解決も可能である。
図-1-1)において、ダクト内冷気101がダクト内部102を通過し、シート構成物質107のメッシュ状隙間110を通過して下方に放出されるが、このときシート状物質107は細い繊維状であることが望ましく、この結果、図のように多湿な室内側空気103を誘引せずに、冷気によって包み込まれることになる布のような通気性空気通路構成部材に限定するので、通気性空気通路構成部材107には結露が発生しないことになり、このような結露しない構造の通気性空気通路構成部材を使用することに限定することが必要である。
また、別途に定義する通気率値が同一であっても、図-1-2)のように通気性空気通路構成部材(108)の通気口(111)が大きく、通気性空気通路構成部材(108)の開口部ピッチTが大きい場合は、室内側多湿空気(103)が誘引され、結露(104)が発生するので、このような通気性空気通路構成部材は採用しないものとするが、この規制方法は、空調機のJISで規定されている結露試験方法で判定するものである。
本考案では、この制約を明確にするため、新たな通気率の定義をする必要があるため図-1-3)にてその説明をすると、規定のための試験方法を下記のようにする。
吹き出し口106は巾80cm、高さ5cmとし、吹き出し風速V0を3m/秒、試供品シート105を巾100cm、長さ150cmとし、そのシートの巾の中心線を吹き出し口106の中心線に一致させ、試供品105を四等分した場所を測定点とし、シート上面の風速を手前からV1,V2,V3、シート下面で上面に対峙する風速をV‘1,V’2,V‘3にすると試供品105の通気率ηは (ΣV’1〜3)/(ΣV1〜3)×100%・・・式1 にて定義する。
本考案で限定される通気性空気通路構成部材の通気率ηの下限値は、10%とするが、採用するシート状物質が、布地等のように布を構成する1本の糸が更に細い繊維で構成されている場合は、その細い繊維が断熱効果を有する空気を包含している場合は、その空気が断熱の働きをするので、通気率値ηの下限値を5%にすることが可能になる。
本考案で限定されるシート状物質の通気率ηの上限値は、図-3-2)において、通気率値が大きい場合に下部への通気風量QU(308)が多くなり、その気流束の先端風速が早くなることにより発生する冷気によるドラフト不快感を感じない範囲内であり、実験結果等より床から50cmの位置の風速が0.3m/秒以上になることを防ぐための通気率値ηは50%となるが、オフィス等の天井高さを考慮した場合は、通気率値ηは80%以下に制限することが必要になる。
尚、上部密閉型の本考案ダクト装置の場合には、ダクト内の静圧がやや高くなりシート状からの通気風量がアップするので、図-1-3)の試験方法では、その通気率ηの下限値は、5%まで可能となる。
壁掛け型エアコンに本考案を採用したときの気流の流れと温度分布および気流改善効果について実験結果で説明すると、図-6において、8畳のダイニングキッチンに壁掛け型エアコン2.5kwを設置し実験した結果では、エアコンの温度設定値を28℃、風量M(弱)、水平吹き出し、左右風向首振り機能運転状態で、使用前の正面に人が座っているところでは、風速Vfが0.5〜0.3m/秒、温度は24〜25℃であり、15秒に1回強い風速にさらされ、温度も設定値より低いため、非常に不快であったが、本考案を採用した時は、風速0.1〜0.2m/秒、温度27〜27.5℃に改善され非常に快適にすることができた。
また、リターンエア601は、壁面に近い空間を流れて、天井面に添ってエアコンの吸い込み口に流れていることが確認された、また、この実験結果から使用前のエアコン吸い込み口の温度は、天井に近いため31℃であったものが、使用後は28.5℃になり、ショートサーキットは発生していないことが確認できている。
言い換えると、このことはエアコンの設定値が28℃なので、エアコンの吸い込み口近傍に設置されている温度センサー部温度が、使用者の設定温度値にほぼ同じ温度になるため、壁掛け型エアコンの下吹き出し式エアコンにおいても、設定値通りに温度調節機能が作動することになり、結果的に運転率が小さくなり省エネルギー効果が期待でき、且つ、正面の人の座っている場所において、ドラフトの少ない、設定値28℃に近い快適な空調環境が得られることが検証されている。
最良の実施例における設置例とメンテナンスの容易さについて、図-5にて説明すると、図-5-1)において、通気性空気通路構成部材510のエアコン側に、通気性空気通路構成部材の心棒508がスムースに通る大きさに縫い合わせ部509を作り、そこに心棒508を通し、樹脂の押し出し成形等で製作したコの字型樹脂バー507に勘合させ、このバー507に粘着材506等にて磁石板505を接着させる。
一方、エアコン本体下面501に、磁石取り付け板504に接着された磁石503を粘着材502等で取り付け、前述の通気性空気通路構成部材510を保持している樹脂バー507の磁石板505を磁力によって取り付け、容易に脱着可能にする。
通気性空気通路構成部材510の天井側には、先端部心棒513にて先端の布等の緊張性を持たせると同時にその部分に先端棒支持フック514を固定し、天井に取り付けた天井フック511に鎖512を介して取り付ける。
この場合、鎖の取り付け長さを調整することによって、図-3-2)に示す先端部風量QF(309)の風量を調節することができる。
この結果、現地での部屋の大きさ、形状と千差万別であるエアコンの設置位置に対応でき、更に、空調負荷の発生位置に適応した冷気の供給量を調整することが可能になり、据え付け時の微調整や使用後の改善が顧客にでも対応可能になる。
図-5-1)で説明すると、先端部の風量QF309を多くするには、中央部の鎖を長くすることにより、隙間L3(516)が大きくなり前方風量QF309を増やすことができ、隙間L2(515)の長さを短くすると、この側への風量QL(図-3-2の311)も絞ることができ、隙間L1(517)を大きくすると、この側の風量QR(図-3-2の310)を多くすること等の必要に応じた微調整が可能となる。
また、ダクトの内面の清掃やメンテナンスが必要であるが、本考案のメンテナンス方法について、図-5-2)にて説明すると、日常の掃除方法では、エアコン側の磁石部を取り外し、図のように掃除機で綿埃等が蓄積する天井側を掃除すればよい。
シーズンオフ等では、図-5-3)のように天井部の鎖とエアコン側の磁石部を外し、樹脂バー507、心棒508,514を通気性空気通路構成部材55から外せば、簡単に洗濯することが可能になる。
図-4に示すような従来のダクト方式では、ダクト403の内部の清掃は基本的には不可能であり、数年に渡って使用すると、室内の臭いの付着や雑菌、カビ等のダクト内部での発生や喘息、アレルギー体質の原因とも言われているダニ等の微細物質は排除できないが、本考案の方式では、非常に簡単に清掃や洗濯が可能になり、従来ダクト方式のような不具合は解消される。
特願2005-324524
請求項1に関するその他の実施例について説明すると、比較的大きい被空調空間(5〜20畳)について、本考案ダクトの上面開放型にて説明したが、更に大きい被空調空間において適応される上面密閉型についての実施例を説明すると、図-2-1)の従来のダクト方式では、角ダクト201をブリキ等の板材で四角等の通路を製作し、その外面に断熱材202およびそれを固定する断熱材固定材203でダクトに密着させる構造であり、外観の見栄えが悪いため、内装用パネル206(クロス張り含む)を製作する必要があり、このダクトに吹き出し口部ダクト204を接続し、その先端に吹き出しグリル205や半円球のパンカルーバー型吹き出し口を設けるものであるので、多くの現地工事を含む工数と材料コスト等が非常に高くなる。
本考案のダクト方式では、図-2-2)に示す、イ)ダクト下部U字型方式と、ロ)下部コの字型方式と、ハ)コーナー型方式のケースにおいて、先ず下部U字型方式について説明すると、ダクト取り付け板209が天井に吊りボルトナット等の取り付け手段によって吊り下げられており、空気通路207を通る冷気による、取り付け板209の上面の結露を防ぐために断熱材208が貼り付けられており、ダクトの長手方向のシート端部には図-2-3)のA断面のように樹脂心棒211が挿入されることにより、ダクトの長手方向の通気性空気通路構成部材の端部の直線性を確保することができる。
また、この樹脂心棒211は、ダクト取り付け板209に脱着が容易な各種手段で固定されているため、内面掃除や洗浄のときに容易に脱着ができ、通気性空気通路構成部材の内面の清掃や洗濯が容易に可能となる。
従って、空調機から供給される冷気等をこのU字型ダクトに供すれば、ダクト全長に渡って、均一で快適なドラフトの少ない空調気流分配が可能となる。
次に下部コの字型およびコーナー型についての実施例を図-2-2)-ロ)、ハ)にて説明すると、この場合もダクト取り付け板209に断熱材208を貼り付け、天井または壁面に固定する。
この場合、図2-3)に示すように、通気性空気通路構成部材210の巾方向に針金通し用シート材212を針金が通る大きさに縫合部213にて縫合し、その中に取り付け針金211を適当なピッチで、出来上がったシートの穴にまっすぐなままで通して完成させ、据え付け現場にて、あらかじめ設計された形状で作られた曲げ金型により成型すれば、断面が一定で外観が美しいコの字型やL字型の通気性空気通路構成部材によるダクトを製作することができる。
このようにすると、従来のような体積の嵩張ったダクトでなく、嵩張らない平面状の荷姿で運搬することが可能になり、据え付け工数や運送費のコストダウンも可能となる。
このコに字型、L字型の場合も、U字型と同様にダクト取り付け板に脱着容易な取り付け手段で固定すれば、室内側から簡単に清掃が可能になると同時に、針金の曲げR部を少し大きくすることで、布等の通気性空気通路構成部材を単独に分離できるため、洗濯も可能となり、U字型同様、衛生的で、気流および温度分布が均一な空調気流配分が可能となる。
被空調空間の面積が大きい場合で、本ダクトを被空調空間内で分岐する場合について説明すると、図-7-1)において空調室内機701は天井吊り型空調機(既存のオフィス等では設置例が多く、気流等の問題点が多く発生している)の吹き出し口に本考案の通気性空気通路構成部材702を使用したダクト装置を設置するために、冷気に接触する下面が断熱されたダクト取り付け板703を図のように照明704を避けて天井に吊り金具705にて天井に固定する。
この場合、面積が広いため室内機701の吹き出し部でダクトを分岐し、部屋の大きさに合わせてコの字型に配置するが、ダクトが長い場合はダクトを構成するシートが通気性空気通路構成部材であっても少しの抵抗が発生するため、冷気流は先端まで届かないことがあるが、これを防止するために、このダクトの先端部720をシートをなくして、完全に開口させる。
但し、風量が先端開口部720への到達が多すぎる場合は、この開口部の開口面積を現地等で少なくすることで、適正な全面に渡っての均一風量調整が可能となる。
また空調機701の吹き出し口部の正面ダクト部には通気率の小さい通気性空気通路構成部材721をダクト内面に、請求項3にて記述しているように貼り付けることにより、気流の衝突動圧による通気風量の量を調整することが可能となる。
開口部720からの冷気は、窓部のペリメーター空調負荷に冷気流1(707)で対応でき、ダクトの下方部では、冷気流2(708)で、部屋の広がりについては、サイド冷気709によって、快適な気流分布と温度分布が可能となる。
以上のことにより、既存の天井吊り型の空調機の場合においては、コールドドラフトの解消、温度分布の改善が従来のダクト式ではコスト高および美観が悪くなると言う理由等で解決が不可能であった空調気流の問題点の解決が可能となると同時に、新築や内装更新時には、現在主流である天井カセット型より価格が安い天井吊り型の大能力機1台での対応も可能となり、天井カセット型を複数台設置する場合と比較しても、大幅なコストダウンであると言え、更に天井カセット型であっても吹き出し口からの冷気ドラフトによる不快感は解決しないが、本考案ではこれらの問題点を解決し、大幅なコストダウンを実現できると言える。
尚、空調気流の循環は、図のように通気性空気通路構成部材ダクトの各部分より室内に吹き出し、図-7-1)のリーターンエア710のように吸い込み口706に戻ってくる流れになり、本考案のダクト方式では、ダクト抵抗が殆どないため、空調機の風量ダウンも風量調整スイッチの3速の内、HまたはMレベルにしておけば何ら問題が発生しないと言える。
図-7-2)にて、2方吹き出し型天井カセット室内機711への本考案の実施例について説明すると、図において天井カセット型室内機711の二カ所の吹き出し口716にダクトの入り口部を接続し、各ダクト共、図のようにT型に設計し、ダクト取り付け板を直接天井に取り付け、これに通気性空気通路構成部材で製作されたダクト本体715を取り付けする。
この場合も前述の実施例1で説明したと同様に、ダクト開口部714を設けて気流分布を均一にし、更にT字型の場合は、室内機からの気流が垂直に衝突する部分に、請求項3による通気率の大きい材質のシート部712を設けると、この部分から冷気流713が放出されるため、部屋の気流がより一層の均一化が可能となる。
この実施例の方法では、ダクトのトータル長さを短くした場合でも部屋の気流分布と温度分布の快適さが確保できる方法であるとも言え、それは図におけるダクト先端部の冷気流718,通気率の大きいシート部からの冷気流713等により実現でき、空調全体の空気の流れは、ダクト部から部屋全体に放出された後、リターンエア723の流れで、吸い込み口717に吸い込まれて循環するものである。
以上の実施例1,2の方式を組み合わせることにより、天井にある照明704がどのように配置されていても均一気流と快適な温度分布を確保できる本考案のダクト設計が可能になると言える。
通気率の異なる通気性空気通路構成部材を使った設計方法と気流分布が一定にできる理論について、上部開放型の壁掛け型室内機のケースで説明すると、図-8-1)において、通気性空気通路構成部材(801)と天井との隙間L(802)と前方風量QF(803)の関係を実験にて測定することにより通気率の異なる通気性空気通路構成部材毎の特性関連を特性表-1のように作成し、空調機の大きさ(能力)により風量が異なるため、機種毎のカタログ風量から吹き出し風速V0(810)を算出し、この吹き出し風速V0(810)とシートの左右に分散する風量QR(804)およびQL(805)との関連特性を通気率毎に実験にて求めて特性表-2を作成し、同様に下方に通気する風量QU(806)と吹き出し風速V0との特性を特性表-3のように作成する。
また、カタログに機種毎に風量Q0(811)が記載されているので。冷気等の風量は下記の関連式が成立する。
Q0=QF+QU+QL+QR・・式-1(但し、誘引される風量は考えない場合である)
従って、空調負荷および室内への供給すべき適切な各風量が行き渡るように、先端部隙間L(802)と使用する通気性空気通路構成部材の通気率を選定し、式-1の関係を使って最適な冷気配分が設計できることになる。
ここで、室内機正面に窓などの局部空調負荷が多い場合には、先端隙間L(802)を大きくし、また、寝室等の場合には、通気シートの下部への通気風量GU(806)を少なくし、人体に当たる風量を0.2m/秒以下になるよう設計すべき等の用途と部屋の大きさ、主要使用ゾーン等に配慮したダクト設計が可能となり、空調機のみでは解決しなかった、従来からのコールドドラフトや吹き出し気流が直接当たることによる温度分布の不具合を解決することができることになる。
以上のことから、請求項1にて規制している通気率の使用範囲が重要な設計条件になることが解る。
次に、請求項1に関しての上部密閉型の通気性空気通路構成部材を使用した本考案のダクトの実施事例について説明すると、図-9-D)に示す試験装置において、供給風量Q0(901)を供給し、通気率毎にダクト側面より通気する風量のダクト長さLを変数として試験にて把握し、A)特性表-1を作成する。
このときダクト断面における三辺の総和SはS=S1+S2+S3であり、この長さS当たりの特性表も試験にて作成すると、ダクトの断面積変化に対する通過する風量が設計できることになる。
供給風量Q0(901)から特性表-1の通気風量を引き算することで、ダクトを通過する風量を求めることができるため、図-9-B)の特性表-2が作成できる。
また、図-9-1)のように、ダクトがT字型の場合には、ダクトに垂直に衝突する場合の通気率が必要になるので、試験によって、衝突空気速度と衝突部の単位面積当りの通気風量の関係をシートの通気率毎に特性表-3を作成する。
このように特性を把握すると、次のように密閉型通気性空気通路構成部材ダクトの設計が可能になる。
空調負荷から室内機が選定されると、カタログや仕様書から供給風量Q0が解り、次にダクトの配置を図-9-1)のように設計し、本ダクトでのダクト抵抗は小さいので抵抗を無視して考えると、出口ダクト903部の通気風量を特性表-1から求め、出口ダクト903右端での通過風量は特性表-2から求められ、衝突部(904)の通過風量は特性表-3から求められ、分岐ダクト右(908)と分岐ダクト左(907)への供給風量は、室内機風量Q0から上記で求めた風量を引いた風量の1/2として求めることができる。
次に、分岐ダクト左(907)における通気風量(912)を特性表-1から求め、ダクト開口部(905)からの放出風量(910)は分岐ダクト左への供給風量から分岐ダクト左部の通気風量(912)を差し引くことにより求められる。
分岐ダクト右(908)の各風量も、分岐ダクト左(907)の方法と同様の方法によって、設計することができる。
以上の各風量決定には、各特性表における通気シートの通気率を最適に選定することが必須条件であり、本考案の請求項1に関する通気率を限定することが重要な要因であることが解る。
前述の仮設計から最適な気流分配を決定する手順について説明すると、被空調空間に均等に冷気等を分配するための条件として、ダクトの配置設計から各部の供給風量が対象空調空間の局所空調負荷(又は面積)に比例することであり、これを実現するには、各ダクトに使用する通気性空気通路構成部材の通気率を必要に応じて選定することで可能となる。
更に、請求項2に対する実施例として、据え付け現地での分配風量の調整方法として、開口部(905)に通気性空気通路構成部材で開口率を変化させることで、本通気性空気通路構成部材内の微少な空気抵抗を可変にできるため、出口ダクト(903)および分岐ダクト左右(907,908)における通気風量を微調整することが可能となる。
また、コンピューター等の極端な空調負荷が被空調空間内にある場合は、次に述べる請求項3の方法による解決が可能になる。
請求項3に関する実施例を図-10にて説明すると、本考案の通気性空気通路構成部材ダクトにおいて、冷気等の供給量を増加させる場合に、図-10-1)に示す通気性空気通路構成部材(1001)に、必要供給量に比例した切り抜き部(1006)を設け、その周辺にアイロン等加熱式接着テープ1003(市販の布用接着テープでも可能)を貼り付け、その外周に合わせたダクト本体より通気率の大きいシート(1002)をアイロン台等の上で重ね合わせて、アイロンをかけると、図に示す仕上がり図のような、シワ等が発生しない本体シートと一体感のある通気性空気通路構成部材が製作できる。
ダクト気流が垂直に衝突する部分等で通気風量が大きくなりすぎる場合は、逆に通気風量を少なくする必要があるが、この場合は図-10-2)に示すように、通気量を減少させる部分の本体の通気性空気通路構成部材(1004)に本体ダクトより通気率の小さい通気性空気通路構成部材(1005)を上記と同様の方法で接着することにより、通気量を減少させることが可能になる。
これらの方法の応用例は、図-7の712部や図-9の衝突部904等に利用されるものである。
請求項1の内、本考案の通気性空気通路部材で製作された各種形態のダクトの組み合わせに関する実施例について説明すると、図-11-1)において間仕切り板1104で区切られた15畳と8畳の会議室がある場合に、室内機1101に接続された上部密閉型ダクト1102の先端部を図のように両会議室内に、その開口部1106を引き込む設置をする。
両会議室のドアにはリターンエアを通すグリルが設けてあり、大きい方の15畳の会議室では、図-11-2)のAA断面図に示すような上部開放型でU字型の通気率の小さい通気性空気通路構成部材を有したダクトを採用すると、15畳の部屋全体に均一な冷気等が供給されることになる。
また、8畳の会議室には、図-6にも示すような開放平面型ダクト1103のような簡単な形状のダクトを選定することにより、コストのかからない簡単な形状で均一で快適な空調環境を得ることができる。
このように、被空調空間の形状、用途、空調負荷に対応して、最適な本考案のダクト装置を組み合わせることが可能となる。
請求項4の実施例について図-13にて説明すると、図-13-2)において、通気性空気通路構成部材(1303)に、部分吹き出し口(1309)を設け、下吹き暖気流(1308)の風量を決定する開閉部材の開口角度θ分を駆動手段(1307)にて、必要に応じて開口した場合、ダクト内の暖気流(1304)が、下方に吹き出される。
暖房時には、図-13-1)に示すように、空調機の室内機(1301)に接続された本考案のダクト装置の通気性通路構成部材(1303)に設けた部分開閉機構(1310)の開閉部材(1305)の大部分を開口の状態にすると、暖気は下方に吹き出されて空調空間の上下温度分布が改良され、リターンエア(1311)のように室内機1301に循環される。
また、冷房時において部分的や一時的に冷気に直接当たりたい場合等には、冷房運転の通常時には開閉部材(1305)の殆どを閉にして使っているが、必要時には、必要部分のみを開にすることが可能にできることにより、個人の好みの開角度θを調節すれば、個人毎の好みの冷房環境が得られることが実現できることになる。
本考案は、一般空調用の気流分配のみでなく、冷凍冷蔵倉庫や野菜工場、食品倉庫等の貯蔵用空間の気流分布にも適応できるものであり、特に衛生上確実なダクト清浄が必要な場合にも効果を発揮するものである。
また、通気性空気通路構成部材を不燃材や金網等の非燃焼物質を採用した場合には、不活性ガス利用の消火設備等にも気流分布の均一化が発揮できるので有効に適応できるものである。
更に、特殊な空調方式である電車、バス、自動車、航空機などの乗り物の空調機の気流配分にも適応が可能であり、本考案の有効性が発揮できるものである。
シートに結露しないメカニズムの説明図 上部密閉型ダクト装置の説明図 壁掛け型への本考案の設置図 従来ダクト方式の説明図 開放型U字型方式の取り付け方と洗濯方法の説明図 壁掛け型の気流実験結果図 上部密閉型のダクト設置事例図 本考案の気流分布設計の実施図 密閉型ダクト方式の設計実施事例図 複合シートの説明図 本考案のダクトの組み合わせ方法の実施図 要約のための代表図 部分的吹き出し機構の図面
符号の説明
107は対象となる通気性空気通路構成部材
210は上部各種形状の密閉型ダクトの通気性空気通路構成部材
715は本考案の通気性ダクト本体
1201は上部開放平面型ダクト

Claims (4)

  1. 被空調対象空間に用いられる空調気流分配用ダクト装置において、通気性が別途に定めた試験方法で定義されている通気率が5%から80%の範囲であり、且つ、室内空気誘引による室内空気側表面に結露しない通気性空気通路構成部材と、断熱された通気性のない部材と、通気性空気通路構成部材で構成されているダクトに設けられた開口部または開放部との組み合わせで構成されているダクト部と、建築物に固定するための取り付け手段と、空気通路形状を形成するための手段とを有する空調用気流分配用ダクト装置。
  2. 請求項1の空調用気流分配ダクト装置において、ダクトの先端開口部を、通気性を有する請求項1の空気通路構成材にて一部閉鎖する手段と、全閉にする手段と、全開にする手段とにより、ダクト内静圧を調節し、気流分配が均一になるように調節することを可能にする請求項1の空調気流分配用ダクト装置。
  3. 空調気流分配用ダクト装置において、供給風量を負荷に応じて可変にするための手段として、空気通路を形成するダクト本体の通気性空気通路構成部材に設けた開口された吹き出し口と、その開口部分に供給風量を増大させるために通気率の大きい請求項1の通気性空気通路構成部材を接着して形成される吹き出し口と、上記開口部または開口部を設けずに本体の通気性部材上に、通気率の小さい通気性空気通路構成部材を接着して形成される吹き出し風量減少手段とを有することにより、本体ダクトに部分的な吹き出し風量調整を可能にする請求項1の空調気流分配用ダクト装置。
  4. 空調気流分配用ダクト装置において、暖房運転時の下向き気流、または冷房運転時に冷気に直接当たりたい、ということが可能になる、本方式の通気性空気通路構成部材部に部分的に設けた吹き出し口と、その吹き出し口に勘合している通気性空気通路構成部材で作られた開閉部材と、この開閉部材をヒンジ機構等で回転可能にする手段と、外部からこの開閉部材を開閉させるための駆動手段と、ダクト内を流れる空気を開閉部材にて誘導し流出させる手段とで構成された、部分的吹き出し開閉機能を有する上記請求項1および請求項3の空調気流分配用ダクト装置。
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