JP2009090467A - 液体吐出装置、液体吐出方法、及び、液体吐出装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出時間を短縮すること。
【解決手段】駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、を備え、前記センサの検出結果が閾値を越えたとき、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる、液体吐出装置であって、前記ヘッドの特性に合わせて、前記閾値が異なることを特徴とする液体吐出装置である。
【選択図】図11
【解決手段】駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、を備え、前記センサの検出結果が閾値を越えたとき、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる、液体吐出装置であって、前記ヘッドの特性に合わせて、前記閾値が異なることを特徴とする液体吐出装置である。
【選択図】図11
Description
本発明は、液体吐出装置、液体吐出方法、及び、液体吐出装置の製造方法に関する。
液体吐出装置として、駆動信号により駆動素子(ピエゾ素子)を駆動して、ノズルからインクを吐出するインクジェットプリンタ(以下、プリンタ)が知られている。駆動信号を発生する駆動信号生成回路は、印刷が長時間続くと過度に発熱し、インクジェットプリンタの故障の原因となってしまう。
そこで、駆動信号生成回路にセンサを設け、センサの検出温度が許容温度を超えた場合には、駆動信号生成回路からの駆動信号の発生を待機させる。(例えば、特許文献1を参照)
特開2005−219462号公報
そこで、駆動信号生成回路にセンサを設け、センサの検出温度が許容温度を超えた場合には、駆動信号生成回路からの駆動信号の発生を待機させる。(例えば、特許文献1を参照)
しかし、ヘッドの特性により駆動信号が異なり、同じ機種のプリンタであっても消費電力が異なる。そのため、特許文献1のように、全てのプリンタに対して同様の待機処理を行うと、プリンタによっては必要がないにも関わらず待機処理が行われ、印刷時間が長くなってしまう虞がある。
そこで、液体吐出時間(印刷時間)を短縮することを目的とする。
そこで、液体吐出時間(印刷時間)を短縮することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、を備え、前記センサの検出結果が閾値を越えたとき、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる、液体吐出装置であって、前記ヘッドの特性に合わせて、前記閾値が異なることを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、を備え、前記センサの検出結果が閾値を越えたとき、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる、液体吐出装置であって、前記ヘッドの特性に合わせて、前記閾値が異なることを特徴とする液体吐出装置を実現すること。
このような液体吐出装置によれば、ヘッドの特性に合わせた閾値に基づいて駆動信号の発生が待機されるため、不必要な待機処理が行われることがなく、液体吐出時間が短縮される。また、発熱による液体吐出装置の故障を必要最低限な待機処理により防止することができる。
このような液体吐出装置によれば、ヘッドの特性に合わせた閾値に基づいて駆動信号の発生が待機されるため、不必要な待機処理が行われることがなく、液体吐出時間が短縮される。また、発熱による液体吐出装置の故障を必要最低限な待機処理により防止することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記センサの検出結果が限界値を越えたとき、前記駆動信号生成部からの前記駆動信号の発生を停止すること。
このような液体吐出装置によれば、駆動信号の発生を待機させただけでは液体吐出装置の発熱を抑えられない場合に、液体吐出装置の故障を防止することができる。
このような液体吐出装置によれば、駆動信号の発生を待機させただけでは液体吐出装置の発熱を抑えられない場合に、液体吐出装置の故障を防止することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記駆動信号生成部が複数種類の前記駆動信号を生成する場合、前記センサの検出結果における限界値と前記センサの検出結果との差が等しくとも、前記駆動信号の種類によって、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる条件を異ならせること。
このような液体吐出装置によれば、駆動信号の種類によって所定液体吐出時間における駆動信号生成部の上昇温度が異なるため、液体吐出装置の故障(限界値)に対する余裕温度が同じであっても、駆動信号の種類によって駆動信号の発生を待機させる条件(待機時間等)を異ならせることにより、液体吐出装置の故障を防止できる。また、駆動信号の種類によっては液体吐出時間を短縮することができる。
このような液体吐出装置によれば、駆動信号の種類によって所定液体吐出時間における駆動信号生成部の上昇温度が異なるため、液体吐出装置の故障(限界値)に対する余裕温度が同じであっても、駆動信号の種類によって駆動信号の発生を待機させる条件(待機時間等)を異ならせることにより、液体吐出装置の故障を防止できる。また、駆動信号の種類によっては液体吐出時間を短縮することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記ヘッドから既定量の液体が吐出されるように、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を前記駆動信号生成部に生成させ、前記センサの検出結果と前記閾値とを比較して、前記検出結果が前記閾値を越えたときには、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる制御部を備えること。
このような液体吐出装置によれば、液体吐出時間が短縮され、発熱による液体吐出装置の故障を防止することができる。また、ヘッドの特性によらずに既定量の液体が吐出されるため、画像劣化を防止することができる。
このような液体吐出装置によれば、液体吐出時間が短縮され、発熱による液体吐出装置の故障を防止することができる。また、ヘッドの特性によらずに既定量の液体が吐出されるため、画像劣化を防止することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記液体吐出装置周辺の環境温度を検出する環境用センサを備え、前記制御部は、前記ヘッドの特性に合わせて決定した前記駆動信号に基づいて、前記閾値を算出した後に、前記環境用センサが検出した前記環境温度に基づいて、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を補正すること。
このような液体吐出装置によれば、閾値を算出する処理が比較的に容易となる。環境温度に関わらず、既定量の液体が吐出される。
このような液体吐出装置によれば、閾値を算出する処理が比較的に容易となる。環境温度に関わらず、既定量の液体が吐出される。
かかる液体吐出装置であって、前記液体吐出装置周辺の環境温度を検出する環境用センサを備え、前記制御部は、前記ヘッドの特性と、前記環境用センサが検出した前記環境温度とに基づいて、前記駆動信号を決定した後に、決定した前記駆動信号に基づいて、前記閾値を算出すること。
このような液体吐出装置によれば、実際に使用する駆動信号に基づいて閾値が算出されるため、より確実に液体吐出装置の故障を防止することができる。環境温度に関わらず、既定量の液体が吐出される。
このような液体吐出装置によれば、実際に使用する駆動信号に基づいて閾値が算出されるため、より確実に液体吐出装置の故障を防止することができる。環境温度に関わらず、既定量の液体が吐出される。
かかる液体吐出装置であって、前記駆動信号生成部は複数種類の前記駆動信号を生成し、前記センサが検出する温度に合わせて複数の前記閾値が設定され、前記センサが検出する温度の上昇率に対する前記閾値の変化率が前記駆動信号の種類によって異なること。
このような液体吐出装置によれば、所定液体吐出時間における駆動信号生成部の上昇温度が高い駆動信号の場合、センサの検出温度の上昇率に対する閾値の変化率を小さくすることで、液体吐出装置の故障を防止できる。一方、所定液体吐出時間における駆動信号生成部の上昇温度が低い駆動信号の場合、センサの検出温度の上昇率に対する閾値の変化率を大きくすることで、液体吐出時間を短縮することができる。
このような液体吐出装置によれば、所定液体吐出時間における駆動信号生成部の上昇温度が高い駆動信号の場合、センサの検出温度の上昇率に対する閾値の変化率を小さくすることで、液体吐出装置の故障を防止できる。一方、所定液体吐出時間における駆動信号生成部の上昇温度が低い駆動信号の場合、センサの検出温度の上昇率に対する閾値の変化率を大きくすることで、液体吐出時間を短縮することができる。
また、駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、を備える液体吐出装置にて、前記ヘッドの特性に合わせた閾値を算出するステップと、前記センサの検出結果が閾値を越えたときには、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させるステップと、を有する液体吐出方法である。
このような液体吐出方法によれば、液体吐出時間が短縮され、発熱による液体吐出装置の故障を防止することができる。
このような液体吐出方法によれば、液体吐出時間が短縮され、発熱による液体吐出装置の故障を防止することができる。
駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、メモリと、制御部と、を備える液体吐出装置の製造方法であって、前記ヘッドの特性を検査するステップと、検査結果を各前記液体吐出装置の前記メモリにそれぞれ記録するステップと、前記メモリに記録された前記検査結果に応じた前記閾値を前記センサの検出結果が越えたとき、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる前記制御部を前記液体吐出装置に組み込むステップと、
を有する液体吐出装置の製造方法である。
このような液体吐出装置の製造方法によれば、液体吐出時間が短縮され、発熱による液体吐出装置の故障を防止することができる。
を有する液体吐出装置の製造方法である。
このような液体吐出装置の製造方法によれば、液体吐出時間が短縮され、発熱による液体吐出装置の故障を防止することができる。
===インクジェットプリンタの構成===
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンタとし、また、インクジェットプリンタの中のシリアル式プリンタ(プリンタ1)を例に挙げて実施形態を説明する。
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンタとし、また、インクジェットプリンタの中のシリアル式プリンタ(プリンタ1)を例に挙げて実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。図2Aは、プリンタ1の斜視図であり、図2Bは、プリンタ1の断面図である。外部装置であるコンピュータ60から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ10により、各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、用紙S(媒体)に画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ10は各ユニットを制御する。
コントローラ10は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピュータ60とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、ユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだ後、印刷時に搬送方向に所定の搬送量で用紙Sを搬送させるためのものであり、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラ23まで送る。紙検出センサ51が、給紙ローラ21から送られてきた用紙Sの先端の位置を検出すると、コントローラ10は搬送ローラ23を回転させ、用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。用紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、用紙Sと対向している。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものであり、キャリッジ31と、キャリッジモータ32とを有する。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出するためのものであり、ヘッド41(1個)と、ヘッド41を駆動するためのヘッド駆動回路42とを有する。ヘッド41の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられ、各ノズルには、インクが入ったインク室(不図示)と、インク室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。
シリアル式のプリンタ1は、移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、用紙S上にドットを形成するドット形成処理と、用紙Sを搬送方向に搬送する搬送処理を交互に繰り返すことで、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる位置にドットが形成され、画像が完成する。
===ヘッドの駆動について===
図3は、駆動信号生成回路70を示す図であり、図4は、駆動信号生成回路70とヘッド駆動回路42を示す図であり、ヘッド駆動回路42により、各ノズルに対応したピエゾ素子が動作することを示している。図5は、各信号のタイミングチャートである。
図3は、駆動信号生成回路70を示す図であり、図4は、駆動信号生成回路70とヘッド駆動回路42を示す図であり、ヘッド駆動回路42により、各ノズルに対応したピエゾ素子が動作することを示している。図5は、各信号のタイミングチャートである。
〈駆動信号生成回路について〉
図3に示すように、駆動信号生成回路70(駆動信号生成部に相当)は、波形生成回路71と電流増幅回路72とを有し、あるノズル群(ピエゾ素子PZT)に対して共通に使用される駆動信号COMを生成する。まず、波形生成回路71が、DAC値(デジタル信号の波形情報)に基づいて、駆動信号COMの基となる電圧波形信号COM’(アナログ信号の波形情報)を生成する。そして、電流増幅回路72は、電圧波形信号COM’について、その電流を増幅し、駆動信号COMとして出力する。
図3に示すように、駆動信号生成回路70(駆動信号生成部に相当)は、波形生成回路71と電流増幅回路72とを有し、あるノズル群(ピエゾ素子PZT)に対して共通に使用される駆動信号COMを生成する。まず、波形生成回路71が、DAC値(デジタル信号の波形情報)に基づいて、駆動信号COMの基となる電圧波形信号COM’(アナログ信号の波形情報)を生成する。そして、電流増幅回路72は、電圧波形信号COM’について、その電流を増幅し、駆動信号COMとして出力する。
電流増幅回路72は、駆動信号COMの電圧上昇時に動作する上昇用トランジスタQ1(NPN型トランジスタ)と、駆動信号COMの電圧下降時に動作する下降用トランジスタQ2(PNP型トランジスタ)を有する。上昇用トランジスタQ1は、コレクタが電源に接続され、エミッタが駆動信号COMの出力信号線に接続されている。下降用トランジスタQ2は、コレクタが接地(アース)に接続され、エミッタが駆動信号COMの出力信号線に接続されている。
波形生成回路71からの電圧波形信号COM’によって、上昇用トランジスタQ1がON状態になると、駆動信号COMが上昇し、ピエゾ素子PZTの充電が行われる。一方、電圧波形信号COM’によって、下降用トランジスタQ2がON状態になると、駆動信号COMが下降し、ピエゾ素子PZTの放電が行われる。そうして、図5に示すような、繰り返し周期T内に第1駆動パルスW1と第2駆動パルスW2を有する駆動信号COMが生成される。
〈ヘッド駆動回路について〉
ヘッド駆動回路42は、180個の第1シフトレジスタ421と、180個の第2シフトレジスタ422と、ラッチ回路群423と、データセレクタ424と、180個のスイッチSWとを有する。このヘッド駆動回路42は180個のノズルから成るノズル群に対応し、図中のかっこ内の数字は、部材(又は信号)が対応するノズルの番号を示している。
ヘッド駆動回路42は、180個の第1シフトレジスタ421と、180個の第2シフトレジスタ422と、ラッチ回路群423と、データセレクタ424と、180個のスイッチSWとを有する。このヘッド駆動回路42は180個のノズルから成るノズル群に対応し、図中のかっこ内の数字は、部材(又は信号)が対応するノズルの番号を示している。
まず、印刷信号PRTは、180個の第1シフトレジスタ421に入力され、その後、180個の第2シフトレジスタ422に入力される。その結果、シリアル伝送された印刷信号PRTは、180個の2ビットデータである印刷信号PRT(i)に変換される。この印刷信号PRT(i)は、ノズル#iに割り当てられている1画素のデータに対応した信号である。
そして、ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路群423に入力されると、各シフトレジスタの360個のデータがラッチ回路423にラッチされる。ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路群423に入力されるとき、データセレクタ424にもラッチ信号LATの立ち上がりパルスが入力され、データセレクタ424は初期状態となる。
また、データセレクタ424は、ラッチ前(初期状態となる前)に、各ノズル#iに対応する2ビットの印刷信号PRT(i)をラッチ回路群423から選択し、各印刷信号PRT(i)に応じたスイッチ制御信号prt(i)を各スイッチSW(i)に出力する。
このスイッチ制御信号prt(i)により、ピエゾ素子PZT(i)に対応したスイッチSW(i)のオン・オフ制御が行われる。そして、スイッチのオン・オフ動作が、駆動信号生成回路70から伝送された駆動信号COMをピエゾ素子に印加もしくは遮断し(DRV(i))、ノズル#iからインクが吐出される、又は、吐出されない。
〈インクの吐出について〉
例えば、スイッチ制御信号prt(i)のレベルが「1」のとき、スイッチSW(i)はオンとなり、駆動信号COMが有する駆動パルス(W1,W2)をそのまま通過させ、駆動パルスがピエゾ素子PZT(i)に印加される。そして、駆動パルスがピエゾ素子PZT(i)に印加されると、その駆動パルスに応じてピエゾ素子PZT(i)が変形し、インク室の一部を区画する弾性膜(側壁)が変形し、インク室内の既定量のインクがノズル#iから吐出される。一方、スイッチ制御信号prt(i)のレベルが「0」のとき、スイッチSW(i)はオフとなり、駆動信号COMが有する駆動パルスを遮断する。
例えば、スイッチ制御信号prt(i)のレベルが「1」のとき、スイッチSW(i)はオンとなり、駆動信号COMが有する駆動パルス(W1,W2)をそのまま通過させ、駆動パルスがピエゾ素子PZT(i)に印加される。そして、駆動パルスがピエゾ素子PZT(i)に印加されると、その駆動パルスに応じてピエゾ素子PZT(i)が変形し、インク室の一部を区画する弾性膜(側壁)が変形し、インク室内の既定量のインクがノズル#iから吐出される。一方、スイッチ制御信号prt(i)のレベルが「0」のとき、スイッチSW(i)はオフとなり、駆動信号COMが有する駆動パルスを遮断する。
本実施形態では、1つの画素に対する印刷信号prt(i)は2ビットのデータであり、1つの画素は、「大ドットが形成される」「中ドットが形成される」「小ドットが形成される」「ドットが形成されない」の4階調で表現される。図5に示すように、スイッチ制御信号prt(i)が「11」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に第1駆動パルスW1と第2駆動パルスW2が印加される。そして、2つの駆動パルスがピエゾ素子PZT(i)に印加されることでノズル#iから大ドットに応じたインク量が吐出され、大ドットが形成される。同様に、スイッチ制御信号prt(i)が「10」の場合、中ドットが形成され、スイッチ制御信号prt(i)が「01」の場合、小ドットが形成される。また、スイッチ制御信号prt(i)が「00」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に駆動パルスが何も印加されないので、ピエゾ素子PZT(i)が変形せず、ドットは形成されない。
===トランジスタの消費電力について===
図6は、駆動信号COMが有する第1駆動パルスW1の電圧変化と、トランジスタQ1及びQ2に流れる電流変化の説明図である。DAC値により波形生成回路71が電圧波形信号COM’を生成し、トランジスタ(電流増幅回路72)に電圧波形信号COM’が入力されたとしても(図3)、例えば、スイッチ制御信号prt(i)のデータが「10」であれば(図5)、ピエゾ素子には第1駆動信号W1のみが印加され、トランジスタには第1駆動パルスW1を生成するための電流しか流れない。即ち、ピエゾ素子に印加された駆動パルスによって、トランジスタの消費電力Pが異なってくる。以下、第1駆動パルスW1がピエゾ素子PZTに印加された際の、トランジスタの消費電力Pについて説明する。
図6は、駆動信号COMが有する第1駆動パルスW1の電圧変化と、トランジスタQ1及びQ2に流れる電流変化の説明図である。DAC値により波形生成回路71が電圧波形信号COM’を生成し、トランジスタ(電流増幅回路72)に電圧波形信号COM’が入力されたとしても(図3)、例えば、スイッチ制御信号prt(i)のデータが「10」であれば(図5)、ピエゾ素子には第1駆動信号W1のみが印加され、トランジスタには第1駆動パルスW1を生成するための電流しか流れない。即ち、ピエゾ素子に印加された駆動パルスによって、トランジスタの消費電力Pが異なってくる。以下、第1駆動パルスW1がピエゾ素子PZTに印加された際の、トランジスタの消費電力Pについて説明する。
時刻T0の時点まで、駆動信号生成回路70は中間駆動電圧Vcを維持する。そして、時刻T0から時刻T1までの間に、駆動信号生成回路70は中間駆動電圧Vcから最高駆動電圧Vhまで電圧を上昇させる。このとき、上昇用トランジスタQ1はON状態となり、上昇用トランジスタQ1に電流i1(A)が流れる。そして、ピエゾ素子PZTはインク室の容積を膨張させる。
そして、駆動信号生成回路70は、時刻T2まで最高駆動電圧Vhを維持した後、時刻T2から時刻T3までの間に、最高駆動電圧Vhから最低駆動電圧Vlまで電圧を下降させる。このとき、下降用トランジスタQ2はON状態となり、下降用トランジスタQ2に電流i2(A)が流れる。そして、ピエゾ素子PZTによりインク室は収縮される。このインク室内の容積変化によりノズルからインクが吐出される。
最後に、駆動信号生成回路70は、時刻T4まで最低駆動電圧Vlを維持し、時刻T4から時刻T5までの間に、最低駆動電圧Vlから中間駆動電圧Vcまで電圧を上昇させる。このとき、上昇用トランジスタQ1はON状態となり、上昇用トランジスタQ1に電流i1(A)が流れる。そして、ピエゾ素子PZTは、インク室の容積を膨張させ、インク室内の容積を中間駆動電圧Vcに対応する基準容積に戻す。
このように、第1駆動パルスW1がピエゾ素子に印加されると、上昇用トランジスタQ1と下降用トランジスタQ2に電流が流れ、電力が消費される。
上昇用トランジスタQ1には、時刻T0から時刻T1と時刻T4から時刻T5までの間に、電流i1(A)が流れる。ゆえに、時刻T0から時刻T1または時刻T4から時刻T5の間のある時刻Tでの消費電力は、時刻Tの駆動信号DRVの電位と電源電位(42V)との電位差と、電流i1(A)との積により求められる。そして、時刻T0から時刻T1までと、時刻T4から時刻T5までの消費電力の総和が、ピエゾ素子PZTに第1駆動パルスW1が印加されたときの上昇用トランジスタQ1の消費電力量q1(Wh)となる。
同様に、下降用トランジスタQ2には、時刻T2から時刻T3までの間に、電流i2(A)が流れる。ゆえに、時刻T2から時刻T3の間のある時刻Tでの消費電力は、時刻Tの駆動信号DRVの電位とGND電位との電位差と、電流i2(A)の積により求められる。そして、時刻T2から時刻T3までの消費電力の総和が、ピエゾ素子PZTに第1駆動パルスW1が印加されたときの下降用トランジスタQ2の消費電力量q2(Wh)となる。
上昇用トランジスタQ1には、時刻T0から時刻T1と時刻T4から時刻T5までの間に、電流i1(A)が流れる。ゆえに、時刻T0から時刻T1または時刻T4から時刻T5の間のある時刻Tでの消費電力は、時刻Tの駆動信号DRVの電位と電源電位(42V)との電位差と、電流i1(A)との積により求められる。そして、時刻T0から時刻T1までと、時刻T4から時刻T5までの消費電力の総和が、ピエゾ素子PZTに第1駆動パルスW1が印加されたときの上昇用トランジスタQ1の消費電力量q1(Wh)となる。
同様に、下降用トランジスタQ2には、時刻T2から時刻T3までの間に、電流i2(A)が流れる。ゆえに、時刻T2から時刻T3の間のある時刻Tでの消費電力は、時刻Tの駆動信号DRVの電位とGND電位との電位差と、電流i2(A)の積により求められる。そして、時刻T2から時刻T3までの消費電力の総和が、ピエゾ素子PZTに第1駆動パルスW1が印加されたときの下降用トランジスタQ2の消費電力量q2(Wh)となる。
即ち、第1駆動パルスW1が1個のピエゾ素子PZTに印加されたときの消費電力量は、上昇用トランジスタQ1の消費電力量のq1(Wh)と、下降用トランジスタQ2の消費電力量q2(Wh)を合計したq1+q2(Wh)となる。なお、駆動パルスWがピエゾ素子PZTに印加される時間(図6ではT0からT5まで)は微小であるため、以下では、消費電力量(q1+q2(Wh))を第1駆動パルスW1がピエゾ素子PZTに印加された瞬間のトランジスタの消費電力Pとする。
このように消費電力Pが算出されることから、電圧値(例:最高駆動電圧Vh)や吐出時間(例:時刻T2〜T3)によって、トランジスタの消費電力Pが異なることが分かる。また、駆動信号COMの種類が異なると、駆動パルスの波形が異なるため、トランジスタの消費電力Pが異なってくる。
===ヘッド41の特性による駆動信号COMの違いについて===
複数のヘッド41に対して共通の駆動信号COMを使用したとしても、ヘッド41の特性により、インクの吐出量に多少のバラツキが生じる。例えば、製造誤差などにより、あるヘッド41では、駆動信号COMに対するピエゾ素子の変形量が他のヘッド41のピエゾ素子の変形量よりも大きく、既定量よりも多くインクが吐出されてしまったり、また、別のヘッド41のノズル径は他のヘッド41のノズル径よりも小さく、既定量よりも少なくインクが吐出されてしまったりすることがあり得る。
複数のヘッド41に対して共通の駆動信号COMを使用したとしても、ヘッド41の特性により、インクの吐出量に多少のバラツキが生じる。例えば、製造誤差などにより、あるヘッド41では、駆動信号COMに対するピエゾ素子の変形量が他のヘッド41のピエゾ素子の変形量よりも大きく、既定量よりも多くインクが吐出されてしまったり、また、別のヘッド41のノズル径は他のヘッド41のノズル径よりも小さく、既定量よりも少なくインクが吐出されてしまったりすることがあり得る。
そこで、ヘッド41の特性(製造誤差)によらずに全てのヘッド41から既定量のインクが吐出されるように、各ヘッド41に合った駆動信号COMを使用する。具体的には、ヘッド41の特性に合わせて、駆動信号COMが有する駆動パルスW1,W2の最高駆動電圧Vh(図6)を変更し、インク吐出量を調整する。あるヘッド41に対して共通の駆動信号COMを使用した結果、既定量よりも少ないインクしか吐出されなかったとする。この場合、あるヘッド41に対して使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを、共通の駆動信号COMの最高駆動電圧Vhよりも大きくする。最高駆動電圧Vhを大きくすることで、インク室の膨張と収縮が大きくなり、インク吐出量が増大するため、あるヘッド41からも既定量のインクを吐出することができる。一方、別のヘッド41に対して共通の駆動信号COMを使用した結果、既定量よりも多いインクが吐出されたとする。この場合、別のヘッド41に対して使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを、共通の駆動信号COMの最高駆動電圧Vhよりも小さくする。最高駆動電圧Vhを小さくすることで、インク室の膨張と収縮が小さくなり、インク吐出量が減少するため、別のヘッド41からも既定量のインクを吐出することができる。このように最高駆動電圧Vhを調整し、全てのヘッド41から所望のインクが吐出されるようにする。ここでは説明の為、最高駆動電圧Vhを決定すれば、中間駆動電圧Vcや最低駆動電圧Vlも自動的に決定するとし(例:Vc=Vh/2)、吐出期間(図6では時刻T2から時刻T3)等はヘッド41の特性によらず一定とする。
図7は、ヘッド41に関する製造工程のフローである。図8Aは、最高駆動電圧Vhとインク吐出量の関係を示す図である。横軸が最高駆動電圧Vhであり、縦軸がインク吐出量を示す。プリンタ1の製造工程では、まず、ヘッド41ごとに特性検査を行い(S01)、各ヘッド41の最高駆動電圧Vhとインク吐出量の関係を算出する。そのために、最高駆動電圧(V1〜V3)を変化させた複数種類の駆動信号をヘッド41に(ヘッド41に属する全てのピエゾ素子PZT)に印加し、各駆動信号に対して、ヘッド41から吐出されるインク量(X1〜X3)を測定する。その後、図8Aに示すように、最高駆動電圧V1〜V3に対するインク吐出量の測定結果a,b,cを直線で近似し(近似直線)、最高駆動電圧Vhとインク吐出量の関係(検査結果に相当)を算出する。
次に、算出した近似直線(最高駆動電圧Vhとインク吐出量の関係)から、所望のインク量を得るための最高駆動電圧Vhを算出する(S02)。例えば、ヘッド41からXtのインク量を吐出したい場合には、図8Aの近似直線より、駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを「Vh1」に決定する。
なお、最高駆動電圧Vhとインク吐出量の関係を測定する際には、環境温度(例:23℃)を一定にする。これは、環境温度の変化により、インクの粘度が変化するからである。例えば、高温の環境であれば、インクの粘度が低下し、インクが吐出され易くなる。そのため、測定時の環境温度(以下、基準環境)よりも、インク吐出時のヘッド41周辺の温度が高い場合には、決定した最高駆動電圧Vh1を補正せずに使用すると、所望のインク吐出量Xtよりも多くインクが吐出されてしまう。そこで、基準環境よりも高い温度の環境にて、ヘッド41を使用する場合には、決定した最高駆動電圧Vh1よりも最高駆動電圧Vhを低くする。逆に、基準環境よりも低い温度の環境では、インクの粘度が増加し、インクが吐出され難くなるため、決定した最高駆動電圧Vh1よりも最高駆動電圧Vhを高くする。
そのため、ヘッド41周辺の環境温度が所定量(±1℃)変化した際の、最高駆動電圧Vhの増減値(±ΔV)を算出する(S03)。例えば、ヘッド41の周辺温度が基準環境よりも1℃高い場合には、決定した最高駆動電圧Vh1よりもΔVだけ最高駆動電圧Vhを低くする(Vh=Vh1−ΔV)。逆に、ヘッド41の周辺温度が基準環境よりも1℃低い場合には、最高駆動電圧Vh1よりもΔVだけ最高駆動電圧Vhを高くする(Vh=Vh1+ΔV)。そうすることで、ヘッド41の周辺環境によらず、常に所望のインク量を吐出することができる。なお、ヘッド41の周辺環境温度を検出するためのセンサ(環境用センサに相当)を、トランジスタの温度を検出する温度センサ(後述)とは別に、ヘッド41周辺に設ける。
図8Bは、プリンタ1のメモリ13に記憶するデータである。ヘッド41を組み立てる前に、ヘッド41と、そのヘッド41を組み込むプリンタ1(制御部が組み込まれたプリンタ)の組み合わせが決定したら、そのヘッド41に合わせて算出された最高駆動電圧Vh1と最高駆動電圧の増減値±ΔVをプリンタ1のメモリ13に記憶させる(S04)。その後、ヘッド41組み立て(S05)、プリンタ1は完成する。そして、プリンタ1のコントローラ10は、印刷を行う際に、メモリ13に記憶されているこれらのデータ(最高駆動電圧Vh1や増減値±ΔV)を基に、駆動信号生成回路70に駆動信号COMを生成させる。その結果、駆動信号生成回路70は、プリンタ1に取り付けられたヘッド41の特性に合った駆動信号を生成することができる。
===トランジスタの発熱と待機動作について===
〈トランジスタの発熱について〉
図9は、トランジスタの温度を検出する温度センサ52の取付位置を示す図である。駆動信号生成回路70のトランジスタQ1,Q2を構成する半導体には接合部(不図示)というポイントが有り、トランジスタQ1,Q2が駆動信号COMを発生するときに、接合部が発熱する。この発熱によって、トランジスタ自身の温度が高温になると、トランジスタが破壊してしまう虞がある。そこで、2つのトランジスタQ1,Q2に接触するようにヒートシンク74が設けられている。ヒートシンク74は、トランジスタが発熱すると、その熱を外部へ放熱する。
〈トランジスタの発熱について〉
図9は、トランジスタの温度を検出する温度センサ52の取付位置を示す図である。駆動信号生成回路70のトランジスタQ1,Q2を構成する半導体には接合部(不図示)というポイントが有り、トランジスタQ1,Q2が駆動信号COMを発生するときに、接合部が発熱する。この発熱によって、トランジスタ自身の温度が高温になると、トランジスタが破壊してしまう虞がある。そこで、2つのトランジスタQ1,Q2に接触するようにヒートシンク74が設けられている。ヒートシンク74は、トランジスタが発熱すると、その熱を外部へ放熱する。
しかし、印刷が長時間続いたりすると、ヒートシンク74の放熱だけではトランジスタの発熱を抑えられず、トランジスタの接合部が所定の温度(例:125℃)以上になって壊れてしまう虞がある。そのため、高温によるトランジスタの破壊を回避すべく、駆動信号生成回路70の基板73上に温度センサ52(センサに相当)を設け、コントローラ10にトランジスタQ1,Q2の温度を管理させる。そして、トランジスタの破壊を事前に防ぐために、許容温度(閾値)を設定し、許容温度を超えたことを温度センサ52が検知した場合には、駆動信号COMの生成を待機(駆動信号COMによりノズルから液体を吐出させることを待機)、または停止する(まとめて待機動作)。例えば、複数ページの印刷を行う場合に、1ページを印刷するごとに温度センサ52の検出温度と閾値を比較し、待機動作を行うか否かを決定するとする。そして、温度センサ52の検出温度が閾値以上である場合には、待機動作として、次のページを印刷する前に所定期間だけ駆動信号COMの生成を停止し、印刷を中断する。このように印刷を一時中断することで、トランジスタの温度上昇が抑えられ、トランジスタが破壊してしまうことを防止できる。一方、温度センサ52の検出温度が閾値よりも小さい場合には、待機動作を行うことなく印刷を続ける。また、温度センサ52の検出温度が限界値以上である場合、印刷を一時中断するだけではトランジスタの破壊を防止できないため、印刷を停止する。
ところで、2つのトランジスタQ1,Q2はそれぞれケースに囲まれた状態で、駆動信号生成回路70の基板73上に設けられている。また、温度センサ52は2つのトランジスタのケース間に設けられているとする。ゆえに、温度センサ52は、トランジスタの周辺温度を検出することによって、2つのトランジスタの温度(接合部の温度)を間接的に検出することになる。
そこで、トランジスタの接合部の温度Tj(℃)と温度センサ52が検出する温度Tp(℃)との関係が問題となる。トランジスタの接合部の温度Tjと温度センサ52の検出温度Tpとの関係は次式のようになる。なお、Toffは、温度センサ52の検出温度Tpとトランジスタのケース温度との差(℃)、即ち、温度センサ52からケースまでの熱損失であり、θjc×Pはトランジスタの接合部からトランジスタのケースまでの熱損失である。θjcは接合部・ケース間の熱抵抗(℃/W)、Pは、ノズル列が有するピエゾ素子(そのトランジスタから駆動信号COMが送信されるピエゾ素子)に駆動パルスが印加された際の消費電力(W)である。
Tj=Tp+Toff+θjc×P
Tj=Tp+Toff+θjc×P
この式から理解される通り、温度センサ52の検出温度Tpが同じであっても、消費電力Pが大きい場合は、消費電力Pが小さい場合と比較して、トランジスタの接合部の温度Tjが高くなる。言い換えれば、温度センサ52の検出結果が同じであっても、トランジスタの消費電力Pが大きければ、よりトランジスタが破壊されやすい状態(より発熱している状態)にあると言える。
つまり、コントローラ10は、トランジスタの消費電力Pをきちんと考慮することで、温度センサ52の検出温度Tpからトランジスタの接合部温度Tjを正確に把握することができる。ゆえに、待機動作を行うか否かの閾値は、消費電力Pに基づいて決定することで、発熱によるトランジスタの破壊を確実に防止することができる。
===待機動作の基準閾値Tsの決定方法===
ところで、ヘッド41の特性によって、インクの吐出量にばらつきが生じないように、各ヘッド41に合わせた最高駆動電圧Vh(駆動信号COM)を使用すると前述している。ヘッド41ごとに最高駆動電圧Vhが変わるということは、トランジスタの消費電力Pもヘッド41ごとに変わることになる。即ち、温度センサ52が同じ温度を検出した場合であっても、ヘッド41によって、トランジスタの接合部の温度Tjは異なり、トランジスタの破壊し易さの状態が異なることになる。
ところで、ヘッド41の特性によって、インクの吐出量にばらつきが生じないように、各ヘッド41に合わせた最高駆動電圧Vh(駆動信号COM)を使用すると前述している。ヘッド41ごとに最高駆動電圧Vhが変わるということは、トランジスタの消費電力Pもヘッド41ごとに変わることになる。即ち、温度センサ52が同じ温度を検出した場合であっても、ヘッド41によって、トランジスタの接合部の温度Tjは異なり、トランジスタの破壊し易さの状態が異なることになる。
仮に、比較例として全てのヘッド41に対する待機動作の閾値を同一にするとする。そうすると、全てのヘッド41のトランジスタの破壊を防止するためには、想定される最高駆動電圧Vhのうちの、トランジスタの消費電力Pが最も高くなる場合(最悪条件)を基準に閾値を決定しなければならない。
その結果、温度センサ52がある温度を検知した際に、トランジスタの消費電力Pが高いヘッド41では接合部の温度Tj(=Tp+Toff+θjc×P)は高温となっている。そのため、印刷を待機させることにより、トランジスタの破壊を防止できる。しかし、トランジスタの消費電力Pが比較的に低いヘッド41では、接合部の温度Tjはトランジスタが破壊されてしまう温度に近付いていないにも関わらず、印刷が待機させられてしまう。即ち、ヘッド41によっては、余分な待機動作が行われてしまい、印刷時間が長くなってしまう。逆に印刷時間を短くしようと、消費電力Pが低いヘッド41を基準に閾値を決定してしまうと、消費電力Pが高いヘッド41では、トランジスタが破壊してしまう。
ゆえに、印刷時間が出来る限り短縮され、且つ、確実にトランジスタの破壊が防止されるような待機動作の閾値を決定することを本実施形態の目的となる。
そこで、本実施形態では、各ヘッド41の特性、即ち、各ヘッド41の最高駆動電圧Vhによって、待機動作の閾値をヘッド41ごとに決定する。即ち、ヘッド41の特性に合わせて待機動作の閾値が異なる。
そこで、本実施形態では、各ヘッド41の特性、即ち、各ヘッド41の最高駆動電圧Vhによって、待機動作の閾値をヘッド41ごとに決定する。即ち、ヘッド41の特性に合わせて待機動作の閾値が異なる。
図10Aは、待機動作が行われる条件を示す表である。表中の「Tp」が温度センサ52の検出温度であり、「Ts」が基準閾値である。ここで、本実施形態では、温度センサ52の検出温度によって、印刷を待機させる時間を変えたり、印刷を停止したりする。例えば、トランジスタが破壊してしまう温度に近付いてはいるが、待機時間を3秒も設ける必要がない場合には、待機時間を2秒にすることができる。即ち、待機条件を複数に分けることで、必要以上の待機動作が行われないため、より印刷時間が短縮される。但し、待機条件を複数に分けるということは、その分だけ閾値を設定しなければならない。そこで、本実施形態では、基準となる基準閾値Tsをヘッド41ごとに設定し、基準閾値Tsよりも所定温度だけ低い場合に、待機動作の条件が変わるようにする。つまり、各ヘッド41の特性に合わせて基準閾値Tsを1つだけ算出すれば、図10Aに示す閾値の算出式(例:(Ts−20)≦Tp<(Ts−15))により、温度センサ52の検出温度によって待機動作の条件を変えることができる。
基準閾値Ts(℃)を決定するための計算式を下式に示す。Tjmaxはトランジスタの接合部が破壊してしまう温度である。なお、Pは、駆動信号COMが有する全ての駆動パルスW1,W2が、ノズル列が有する全ピエゾ素子(そのトランジスタから駆動信号COMが送信される全ピエゾ素子)に印加された際の消費電力(W)である。即ち、全ての画素に対して大ドットが形成された場合(例:ベタ塗り印刷)、最悪条件を想定し、基準閾値Tsが設定されている。
Ts=Tjmax−θjc×P−Toff
上式より、温度センサ52の検出温度Tpが基準閾値Ts(℃)の温度である場合、トランジスタが破壊される温度Tjmaxとなっていることが分かる。即ち、基準閾値Ts(限界値に相当)とは、これ以上に印刷を続けるとトランジスタが破壊してしまう温度である。そのため、「Tp≧Ts」の場合、印刷処理を停止しなければならない。上式を用いて基準閾値Tsが決定すると、他の待機条件の閾値も決定する。なお、検出温度Tpが−20℃よりも低い場合も、想定されている使用環境ではないので、コントローラ10は印刷を停止する。この「−20℃」を最低閾値とする。基準閾値Tsよりも20℃低い値を第1閾値(=Ts−20)とし、基準閾値Tsよりも15℃低い値を第2閾値(=Ts−15)とし、基準閾値Tsよりも10℃低い値を第3閾値(=Ts−10)とし、基準閾値Tsよりも5℃低い値を第4閾値(=Ts−5)とする。例えば、基準閾値Tsが100℃とすると、温度センサ52の検出温度Tpが第3閾値90℃(=Ts−10)以上であり第4閾値95℃(=Ts−5)未満である場合には、2秒間の待機動作が行われる。
Ts=Tjmax−θjc×P−Toff
上式より、温度センサ52の検出温度Tpが基準閾値Ts(℃)の温度である場合、トランジスタが破壊される温度Tjmaxとなっていることが分かる。即ち、基準閾値Ts(限界値に相当)とは、これ以上に印刷を続けるとトランジスタが破壊してしまう温度である。そのため、「Tp≧Ts」の場合、印刷処理を停止しなければならない。上式を用いて基準閾値Tsが決定すると、他の待機条件の閾値も決定する。なお、検出温度Tpが−20℃よりも低い場合も、想定されている使用環境ではないので、コントローラ10は印刷を停止する。この「−20℃」を最低閾値とする。基準閾値Tsよりも20℃低い値を第1閾値(=Ts−20)とし、基準閾値Tsよりも15℃低い値を第2閾値(=Ts−15)とし、基準閾値Tsよりも10℃低い値を第3閾値(=Ts−10)とし、基準閾値Tsよりも5℃低い値を第4閾値(=Ts−5)とする。例えば、基準閾値Tsが100℃とすると、温度センサ52の検出温度Tpが第3閾値90℃(=Ts−10)以上であり第4閾値95℃(=Ts−5)未満である場合には、2秒間の待機動作が行われる。
ここで、2つのプリンタ1a,1bを例に挙げる。プリンタ1aに取り付けられたヘッド41aと、プリンタ1bに取り付けられたヘッド41bに対して共通の駆動信号COMを使用した結果、ヘッド41aとヘッド41bからそれぞれ吐出されるインク量が異なるとする。この場合、ヘッド41aとヘッド41bから吐出されるインク量を等しくするために、ヘッド41aに使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhとヘッド41bに使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhとを異ならせる。その結果、ヘッド41aのトランジスタの消費電力Paとヘッド41bのトランジスタの消費電力Pbとが異なってくる。ここで、ヘッド41aのトランジスタの消費電力Paを、ヘッド41bのトランジスタの消費電力Pbよりも小さいとする。(Pa<Pb)。そうすると、上式から、ヘッド41aの基準閾値Tsaの方が、ヘッド41bのTsbよりも大きくなることが分かる(Tsa>Tsb)。
図10Bは、ヘッド41aとヘッド41bに対応した待機条件である。図10Aの待機条件を具体化するために、Tsaを80(℃)とし、Tsbを60(℃)とし、図10Bに示す。そして、温度センサ52が検知した温度Tpを50℃とする。この場合、図10Bの待機条件表から、ヘッド41aは、待機条件の0秒に当てはまり、待機動作は行われない。一方、ヘッド41bは、待機条件の2秒に当てはまるため、駆動信号生成回路70の駆動信号COMの発生が2秒間停止される。
ヘッド41aとヘッド41bとでは、トランジスタの消費電力Pが異なるため、温度センサ52の検知温度Tp(=50℃)が同じであっても、トランジスタの接合部の温度Tjが異なる。同じ検知温度Tpであっても、消費電力Pが大きいヘッド41bの方が、ヘッド41aに比べて、トランジスタの接合部温度Tjが高く、トランジスタが破壊され易い状態となっている。そのため、ヘッド41aに対しては待機動作が行われず、ヘッド41bに対しては2秒間の待機動作が行われることで、ヘッド41aは印刷時間が短縮され、ヘッド14bはトランジスタの破壊が防止される。
もし、前述の比較例のように、最悪条件を基準に基準閾値Tsを決定してしまうと、ヘッド41aとヘッド41bに対して、同じ待機動作が行われる。即ち、待機動作の必要のないヘッド41aに対しても待機動作が行われてしまい、また、ヘッド41bの消費電力Pbよりも高い消費電力Pを基準に基準閾値Tsを決定した場合には、ヘッド41bに対して必要以上に長い時間の待機動作が行われてしまう。
つまり、本実施形態のように、ヘッド41の特性(最高駆動電圧Vh)に合わせて、プリンタごとに待機動作の基準閾値Tsを決定することで、温度センサ52の検出温度Tpにより、トランジスタの破壊の虞がないヘッド41(プリンタ)に対しては待機動作が行われず、トランジスタの破壊の虞があるヘッド41(プリンタ)に対しては、必要な時間だけ待機動作を行うことができる。その結果、印刷時間を出来る限り短縮でき、また、トランジスタの破壊を確実に防止することができる。
以下、実際の印刷処理において、どのように待機動作が行われるかを、実施例1から実施例3に示す。
以下、実際の印刷処理において、どのように待機動作が行われるかを、実施例1から実施例3に示す。
===印刷処理について:実施例1===
図11は、実施例1の印刷処理フローである。まず、プリンタ1のコントローラ10(制御部に相当)は、コンピュータ60から印刷データを受信すると(S001)、プリンタ1ごとのヘッド41の特性に合わせて、メモリ13に記憶されている駆動信号COMの最高駆動電圧Vh1より(図8B)、トランジスタの消費電力Pを算出し、待機動作の基準閾値Ts(=Tjmax−θjc×P−Toff)を算出する(S002)。なお、実施例1ではコントローラ10が受信した印刷データでは、使用する駆動信号COMが1種類であるとする。
図11は、実施例1の印刷処理フローである。まず、プリンタ1のコントローラ10(制御部に相当)は、コンピュータ60から印刷データを受信すると(S001)、プリンタ1ごとのヘッド41の特性に合わせて、メモリ13に記憶されている駆動信号COMの最高駆動電圧Vh1より(図8B)、トランジスタの消費電力Pを算出し、待機動作の基準閾値Ts(=Tjmax−θjc×P−Toff)を算出する(S002)。なお、実施例1ではコントローラ10が受信した印刷データでは、使用する駆動信号COMが1種類であるとする。
その後、ヘッド41周辺の環境温度をセンサにより検出し、現在の環境温度と基準環境との差から、実際に使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vh(=Vh1±ΔV)を算出する(S003)。そして、コントローラ10は、駆動信号生成回路70に、ヘッド41周辺の環境の補正を加えた駆動信号COMを生成させる。
次に、コントローラ10は温度センサ52にトランジスタの周辺温度Tpを検出させ、先ほど算出した基準閾値Tsに基づく待機条件(図10A)と比較し、待機動作(または停止)を行う必要があるか否かを決定する(S005)。なお、図10Aに示す待機条件の表もプリンタ1のメモリ13に記憶され、S002にて算出された基準閾値Tsによって、各待機動作の閾値が変化する。
そして、待機動作が必要な場合(S005→YES)、プリンタ1の印刷を停止するのかを確認する(S006)。もし、印刷を停止する場合には(Tp≧Ts)、エラー処理を行う(S008)。エラー処理とは、例えば、コントローラ10がエラー情報をコンピュータ60に送信し、コンピュータ60は印刷がエラーであることをディスプレイに表示する等の処理である。プリンタ1を停止する必要はないが、トランジスタ(接合部)の温度上昇を抑えるために待機動作が必要な場合には、待機条件からの算出される待機時間に従って、駆動信号生成回路70の駆動信号の生成を一時中断する(S007)。この実施例1では、次ページの印刷前に待機動作を行い、印刷中は待機動作を行うことなく、通常に印刷が行われる(S009)。なお、駆動信号の生成を待機させると、ノズル周辺のインクが増粘し、目詰まりを起こしてしまう虞がある。そうすると、次にインクを吐出しようとしても既定量のインクが吐出されなくなってしまう。そこで、待機動作の後に、例えば、フラッシング(画像形成とは別に用紙以外に向けてインクを吐出する動作)等の回復作業を行い、ノズルから液体が正常に吐出される状態にして、印刷を再開する。
一方、待機動作が必要ない場合には(S005→NO)、待機動作を行うことなく、通常に印刷が行われる(S009)。
一方、待機動作が必要ない場合には(S005→NO)、待機動作を行うことなく、通常に印刷が行われる(S009)。
1ページ分の印刷が終了したら、コントローラ10は、次ページの印刷が有るか否かを確認し(S010)、次ページが無ければ印刷を終了する。次ページが有る場合には、ヘッド41周辺の環境温度から駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを算出し直す。一方で、温度センサ52によりトランジスタの周辺温度Tpを検出し、前ページの印刷の際に、既に算出されている待機条件(基準閾値Ts)により待機動作の有無を決定し、必要に応じて待機動作を行って印刷する。これを印刷データがなくなるまで続ける。
この実施例1では、ヘッド41に対して使用する駆動信号COMを1種類としており、S002にて算出した基準閾値Ts(基準閾値Tsに基づく待機条件)は印刷中に変化することがなく一定である。そこで、2ページ以降の印刷では、基準閾値Tsを新たに算出する必要はない。もし、プリンタ1が使用可能な駆動信号COMが1種類である場合、プリンタ1ごとに基準閾値Tsは一定となるため、始めから基準閾値Tsをメモリ13に記憶させてもよい。そうすると、前述の基準閾値Tsの算出式をメモリ13に記憶し、コントローラ10が印刷前に基準閾値Tsを算出する必要がなくなる。
〈実施例1の変形例〉
図12は、実施例1の変形例の印刷処理フローである。本実施形態のプリンタ1は用紙Sの搬送動作とドット形成処理とが交互に行われる。この1回のドット形成処理、即ち、ヘッド41の移動方向への1回の移動を「パス」という。実施例1では(図11)、1ページの印刷を行う前にまとめて待機動作を行っているのに対して、この変形例では(図12)、1回のパスごとに待機動作を行う。このように、パスごとに待機動作を行うことで、1回のパスで発熱したトランジスタの上昇を抑えながら、印刷が行われる。なお、1ページ分の印刷中にパスごとに待機した時間の合計が、実施例1のように印刷前にまとめて待機した時間と等しいとする。なお、前述の実施例1に比べて、パスごとの待機動作を行う場合、インクの増粘は起こり難いが、パスごとの待機動作の後にフラッシング動作等のノズルの回復動作を行ってもよい。
図12は、実施例1の変形例の印刷処理フローである。本実施形態のプリンタ1は用紙Sの搬送動作とドット形成処理とが交互に行われる。この1回のドット形成処理、即ち、ヘッド41の移動方向への1回の移動を「パス」という。実施例1では(図11)、1ページの印刷を行う前にまとめて待機動作を行っているのに対して、この変形例では(図12)、1回のパスごとに待機動作を行う。このように、パスごとに待機動作を行うことで、1回のパスで発熱したトランジスタの上昇を抑えながら、印刷が行われる。なお、1ページ分の印刷中にパスごとに待機した時間の合計が、実施例1のように印刷前にまとめて待機した時間と等しいとする。なお、前述の実施例1に比べて、パスごとの待機動作を行う場合、インクの増粘は起こり難いが、パスごとの待機動作の後にフラッシング動作等のノズルの回復動作を行ってもよい。
また、待機動作中(Tpが閾値を越えたとき)においても、波形生成回路71にはDAC値が入力され、印刷中と同様に電圧波形信号COM’が生成されるとしてもよい。但し、待機動作中には、ドット無しの時と同様に、スイッチ制御prt(i)を「00」とする。そうすれば、トランジスタ(電流増幅回路72)には電流が流れず、駆動信号COMは出力されないため、トランジスタの温度を低下させることができる。
===印刷処理について:実施例2===
図13は、実施例2の印刷処理フローである。この実施例2では、コントローラ10が印刷命令を受信すると(S201)、センサによりヘッド41周辺の環境温度を検出し、メモリ13に記憶されている最高駆動電圧Vh1(図8B)と、現在の環境温度と基準環境との差から、実際に使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vh(=Vh1±ΔV)を算出する(S202)。その後、ヘッド41周辺の環境補正を加えた最高駆動電圧Vhから、トランジスタの消費電力Pを算出し、待機動作の基準閾値Tsを算出する(S203)。
図13は、実施例2の印刷処理フローである。この実施例2では、コントローラ10が印刷命令を受信すると(S201)、センサによりヘッド41周辺の環境温度を検出し、メモリ13に記憶されている最高駆動電圧Vh1(図8B)と、現在の環境温度と基準環境との差から、実際に使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vh(=Vh1±ΔV)を算出する(S202)。その後、ヘッド41周辺の環境補正を加えた最高駆動電圧Vhから、トランジスタの消費電力Pを算出し、待機動作の基準閾値Tsを算出する(S203)。
次に、コントローラ10は、温度センサ52にトランジスタの周辺温度Tpを検出させ(S204)、先ほど算出した基準閾値Tsに基づく待機条件と比較し、待機動作(または停止)の有無を決定する(S205)。そして、待機動作の必要性が無いならば、待機動作を行うことなく通常に印刷され(S209)、印刷を停止する場合にはエラー処理が行われる(S208)。待機動作の必要があれば、印刷前に待機動作を行い、フラシング動作等のノズルの回復作業を行ってから、印刷を再開する。なお、図13のフローでは、1ページを印刷する前にまとめて待機動作を行っているが、これに限らず、実施例1の変形例のように、パスごとに待機動作を行ってもよい。
1ページ分の印刷の後、次ページの印刷が残っている場合には、コントローラ10は、ヘッド41周辺の環境温度をセンサに検出させ、使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを算出する(S202)。そして、環境補正を加えた最高駆動電圧Vhから、再び、待機動作の基準閾値Tsを算出する。ヘッド41周辺の環境温度によっても、最高駆動電圧Vhが変化し、トランジスタの消費電力Pも変化する。即ち、ヘッド41周辺の環境変化により、温度センサ52の検出温度Tpに対するトランジスタの接合部の温度Tj(トランジスタの壊れ易さの状態)も変化するため、実施例2では、ページごとに基準閾値Tsを算出する。
ところで、実施例1では、ヘッド41固有の最高駆動電圧Vh1を基に、待機動作の基準閾値Tsを算出しているが、その後に、ヘッド41の周辺環境に合わせて、最高駆動電圧Vhを補正している。そのため、実施例1では、実際に使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを基に基準閾値Tsは算出されていない。これに対して、この実施例2では、ヘッド41周辺の環境補正が加えられ、実際に使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを基に基準閾値Tsが算出されている。そのため、実施例2の方が実施例1よりも、トランジスタの接合部Tjの温度を正確に管理できる。その結果、トランジスタの破壊がより防止され、また、不必要な待機動作が行われないため、印刷時間も短縮される。但し、実施例2は実施例1に比べて、環境温度の取得ごとに基準閾値Tsの計算を行わなければならないため、コントローラ10の処理が複雑になり、印刷前の処理時間は長くなってしまう。
===印刷処理について:実施例3===
図14Aは、実施例3にて使用する駆動信号を示す図である。この実施例3では、駆動信号生成回路70は、インクを吐出するための印刷用COMと、インクを吐出させない程度にメニスカスを微振動させ、ノズル周辺のインク増粘を防止するための微振動用COMと、を生成する。印刷用COMは図5にて前述しているように、繰り返し周期T内に2つの駆動パルスW1,W2を有する。そして、印刷データに基づいてピエゾ素子に駆動パルスW1,W2が印加され、ドットが形成される。一方の微振動用COMは、第1駆動パルスW1や第2駆動パルスW2に比べて、電圧変化が小さい第3駆動パルスW3を繰り返し周期T内に2つ有する。そして、第3駆動パルスW3がピエゾ素子に印加されると、メニスカスが微振動する。
図14Aは、実施例3にて使用する駆動信号を示す図である。この実施例3では、駆動信号生成回路70は、インクを吐出するための印刷用COMと、インクを吐出させない程度にメニスカスを微振動させ、ノズル周辺のインク増粘を防止するための微振動用COMと、を生成する。印刷用COMは図5にて前述しているように、繰り返し周期T内に2つの駆動パルスW1,W2を有する。そして、印刷データに基づいてピエゾ素子に駆動パルスW1,W2が印加され、ドットが形成される。一方の微振動用COMは、第1駆動パルスW1や第2駆動パルスW2に比べて、電圧変化が小さい第3駆動パルスW3を繰り返し周期T内に2つ有する。そして、第3駆動パルスW3がピエゾ素子に印加されると、メニスカスが微振動する。
ところで、前述の実施例1,2では、待機動作中には、駆動信号COMの生成を停止する。そのため、待機動作中にノズル周辺のインクが増粘してしまうので、印刷を再開させる際にフラッシング等の回復動作を行うとしている。これに対してこの実施例3では、待機動作中に駆動信号生成回路70が微振動用COMを生成するとする。
例えば、1ページの印刷が終了した後に温度センサ52がトランジスタの周辺温度Tpを検出し、その検出温度Tpが閾値を越えていたとする。この場合に、実施例3では、駆動信号生成回路70は微振動用COMを生成し、全てのピエゾ素子に対して微振動用COM(第3駆動パルスW3)が印加される。その結果、全てのノズルのメニスカスが微振動し、待機動作中のメニスカスが増粘してしまうことを防止できる。そして、待機動作後に印刷を再開する際にも、フラッシング等の回復動作を行うことなく印刷を再開することができる。
ここで、第3駆動パルスW3は第1駆動パルスW1や第2駆動パルスW2に比べて電圧変化が小さいため、ピエゾ素子に微振動用COMが印加された際の消費電力は、ピエゾ素子に印刷用COMが印加された際の消費電力よりも小さくなる。そのため、実施例3では待機動作中にもトランジスタは電力を消費するが、印刷中に比べると、トランジスタの接合部の温度上昇率が低い。ゆえに、待機動作後に印刷を再開しても、トランジスタの破壊を事前に防ぐことができる。但し、待機動作中に駆動信号の生成を停止している実施例1や実施例2に比べると、実施例3の待機動作中におけるトランジスタの温度低下率は小さい。そこで、実施例1や実施例2に比べて待機時間を長く設定しても良い。
また、温度センサ52の検出温度Tpが限界値Ts以上である場合、駆動信号生 成回路70は前述のように微振動用COMを生成してもよいし、実施例1や実施例2と同様に、駆動信号の生成を停止してもよいとする。
また、温度センサ52の検出温度Tpが限界値Ts以上である場合、駆動信号生 成回路70は前述のように微振動用COMを生成してもよいし、実施例1や実施例2と同様に、駆動信号の生成を停止してもよいとする。
図14Bは、実施例3の変形例の駆動信号COM(A)を示す図である。変形例の駆動信号COM(A)は、繰り返し周期T内に、印刷用の駆動パルスW1,W2と微振動用の駆動パルスW3とを有する。このような駆動信号COM(A)によれば、印刷中において印刷データが「ドット無し」である場合には、ピエゾ素子に第3駆動パルスW3のみが印加され、インクの増粘を防止することができる。
また、待機動作中にも、全てのピエゾ素子に第3駆動パルスW3のみを印加すれば、インクの増粘を防止することができる。そのために、待機動作中においても、波形生成回路71からトランジスタ(電流増幅回路72)に電圧波形信号COM’を入力し、スイッチ制御prt(i)を「00」とする。そうすると、トランジスタ(電流増幅回路72)には第3駆動パルスW3を生成するための電流だけが流れ、印刷中に比べて、トランジスタの温度上昇を抑えられる、トランジスタの温度を低下させることができる。なお、この変形例の駆動信号COM(A)では、微振動用COMを生成する必要がなくなり、コントローラ10の制御が容易となる。但し、微振動用COMを生成する方が、微振動の周波数が上がり、インク増粘の効果が大きくなる。
===複数種類の駆動信号について===
以下、プリンタ1の駆動信号生成回路70が、2種類(複数種類)の駆動信号COM1・COM2を発生する場合の印刷処理について説明する。例えば、第1駆動信号COM1は、1画素を4階調で印刷するために、図5に示すように、繰返し周期T内に2つの駆動パルスW1,W2を有するとする。一方、第2駆動信号COM2は、1画素を2階調で印刷する際に使用され、繰り返し周期T内に、1つの駆動パルスのみを有するとする。このように1台のプリンタ1にて種々の印刷方法を行うためには、プリンタ1は各印刷方法に対応した駆動信号COMを発生させる必要がある。
以下、プリンタ1の駆動信号生成回路70が、2種類(複数種類)の駆動信号COM1・COM2を発生する場合の印刷処理について説明する。例えば、第1駆動信号COM1は、1画素を4階調で印刷するために、図5に示すように、繰返し周期T内に2つの駆動パルスW1,W2を有するとする。一方、第2駆動信号COM2は、1画素を2階調で印刷する際に使用され、繰り返し周期T内に、1つの駆動パルスのみを有するとする。このように1台のプリンタ1にて種々の印刷方法を行うためには、プリンタ1は各印刷方法に対応した駆動信号COMを発生させる必要がある。
駆動信号COMが有する駆動パルスの形状や駆動パルスの数が異なれば、駆動信号をピエゾ素子に印加した際の消費電力Pが異なってくる。ゆえに、異なる種類の駆動信号COMを使用する場合には、温度センサ52が同じ温度Tpを検出したとしても、トランジスタの接合部の温度Tj(トランジスタの壊れ易さの状態)は異なる。そこで、使用する駆動信号COMの種類によって、待機動作の条件を変えるとする。そうすることで、トランジスタの破壊を確実に防止でき、印刷時間を短縮することができる。
〈処理例1〉
プリンタ1が複数種類の駆動信号COMを発生させる場合には、プリンタ1のメモリ13には、駆動信号ごと(COM1・COM2)に、プリンタ1のヘッド41の特性に合わせた最高駆動電圧(Vh1・Vh2)が記憶されるとする。このように、印刷方法に応じて駆動信号COMが変わるプリンタ1の場合、例えば、実施例1の印刷処理フローでは(図11)、コントローラ10は、印刷データを受信した際に(S001)、受信した印刷データの印刷方法に基づいて、どの駆動信号COMを使用するかを決定する。そして、メモリ13に記憶されている複数種類の駆動信号COM1・COM2に対応した最高駆動電圧Vh1・Vh2のうちの、使用する駆動信号COMに対応する最高駆動電圧Vhを選択し、選択した最高駆動電圧Vhに基づいて基準閾値Tsを算出する。そして、図10に示す待機条件の表から各待機処理(待機時間)に対応する閾値(第1閾値〜第4閾値)を算出する。その結果、使用する駆動信号の種類によって基準閾値Tsが異なるため、待機動作の条件が変わり、トランジスタの破壊が防止され、印刷時間も短縮される。
プリンタ1が複数種類の駆動信号COMを発生させる場合には、プリンタ1のメモリ13には、駆動信号ごと(COM1・COM2)に、プリンタ1のヘッド41の特性に合わせた最高駆動電圧(Vh1・Vh2)が記憶されるとする。このように、印刷方法に応じて駆動信号COMが変わるプリンタ1の場合、例えば、実施例1の印刷処理フローでは(図11)、コントローラ10は、印刷データを受信した際に(S001)、受信した印刷データの印刷方法に基づいて、どの駆動信号COMを使用するかを決定する。そして、メモリ13に記憶されている複数種類の駆動信号COM1・COM2に対応した最高駆動電圧Vh1・Vh2のうちの、使用する駆動信号COMに対応する最高駆動電圧Vhを選択し、選択した最高駆動電圧Vhに基づいて基準閾値Tsを算出する。そして、図10に示す待機条件の表から各待機処理(待機時間)に対応する閾値(第1閾値〜第4閾値)を算出する。その結果、使用する駆動信号の種類によって基準閾値Tsが異なるため、待機動作の条件が変わり、トランジスタの破壊が防止され、印刷時間も短縮される。
同様に、実施例2の印刷処理フローにおいても(図13)、コントローラ10は、受信した印刷データから使用する駆動信号COM1・COM2の種類を決定し、使用する駆動信号COMに対応する最高駆動電圧Vhと、ヘッド41周辺の環境温度から、実際に使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhを算出する。そして、実際に使用する駆動信号COMの最高駆動電圧Vhに基づいて基準閾値Tsを算出する。その結果、使用する駆動信号の種類によって、待機動作の条件が変わる。
〈処理例2〉
図15Aは、処理例2の待機条件表を示す図である。図示するように、第1駆動信号COM1は繰り返し周期T内に2つの駆動パルスを有し、例えば、2つの駆動パルスをピエゾ素子に印加した際の消費電力を15Wとする。第2駆動信号COM2は繰り返し周期T内に1つの駆動パルスのみを有し、駆動パルスをピエゾ素子に印加した際の消費電力を7Wとする。
図15Aは、処理例2の待機条件表を示す図である。図示するように、第1駆動信号COM1は繰り返し周期T内に2つの駆動パルスを有し、例えば、2つの駆動パルスをピエゾ素子に印加した際の消費電力を15Wとする。第2駆動信号COM2は繰り返し周期T内に1つの駆動パルスのみを有し、駆動パルスをピエゾ素子に印加した際の消費電力を7Wとする。
温度センサ52の検知温度Tpが閾値を越えた場合、トランジスタの破壊防止のために、1ページ(又は1パス)を印刷するごとに印刷を一時中断する。そして、1ページの印刷中には、各ノズルから複数回に亘ってインクが吐出される。ゆえに、例えば、ある1つのノズルからインク滴を1回吐出する際の消費電力をP1とし、1ページの印刷中にある1つのノズルから吐出されるインク滴の数(ピエゾ素子に駆動パルスが印加される合計時間)をtとすると、1ページの印刷期間において、ある1つのノズルが消費する電力量Wは「W=P1×t」となる。つまり、インク滴の吐出数tが等しい場合、1回のインク滴を吐出すると消費される電力P1が大きいほど、1ページの印刷期間に消費される電力量Wが大きくなる。そして、この電力量Wが増大するにつれて、トランジスタ接合部の発熱量も大きくなる。そのため、1回のインク滴を吐出するための消費電力P1が大きいほど、1ページの印刷期間におけるトランジスタの接合部の温度上昇率が高くなる。
図15Aに示す第1駆動信号COM1と第2駆動信号COM2では、第1駆動信号COM1の方が、消費電力P(15W>7W)が大きい。そのため、全ての画素にインクを吐出する場合(tが等しい場合)、第1駆動信号COM1を使用する方が第2駆動信号COM2を使用するよりも、1ページの印刷期間におけるトランジスタの接合部の温度上昇率が高くなる。そこで、この処理例2では、駆動信号COMの種類が異なる場合、トランジスタ破壊の限界値に対する余裕温度が同じであっても待機時間を異ならせる。なお、温度センサ52が検知する温度Tpであって、トランジスタ破壊の限界値温度が基準閾値Tsである場合、余裕温度は「Ts−Tp」により算出される。
具体的には、図15Aに示すように、温度センサ52の検知温度Tpが第1閾値(Ts−20)以上・第2閾値(Ts−15)未満に当てはまるとき、第1駆動信号COM1を使用する場合には待機時間が1.0秒であるのに対して、第2駆動信号COM2を使用する場合には待機時間が0.5秒となる。これは、第1駆動信号COM1を使用する場合の方が第2駆動信号COM2を使用する場合に比べて、次に温度センサ52が温度検知するまでの接合部の温度上昇率が高いからである。即ち、トランジスタが破壊する限界値(Ts)に対する余裕温度(15℃より大きく20℃以下)が同じであっても、駆動信号COM1を使用する方がトランジスタ破壊の限界値に達しやすいため、待機時間を長くする。そうすることで、トランジスタの破壊をより確実に防止することができる。逆に言えば、第2駆動信号COM2を使用する場合には、同じ余裕温度であっても、第1駆動信号COM1を使用する場合に比べて、待機時間を短くすることができ、印刷時間が短縮される。
また、ヘッド41の特性の違いによる消費電力Pの違いに比べて、駆動信号COMの種類の違いによる消費電力Pの違いは大きく、駆動信号COMの種類が異なれば、所定の印刷期間(1ページ又は1パス)における温度上昇率が大きく変わる。そこで、この処理例2のように、駆動信号COMの種類によって、トランジスタ破壊に対する余裕温度が同じであっても待機時間を異ならせることで、トランジスタ破壊を確実に防止でき、印刷時間を短縮できる。更に、図15Aの表では、トランジスタ破壊に対する余裕温度が5℃上昇するにつれて(例えば温度センサの検知温度Tpが第1閾値(Ts−20)から第2閾値(Ts−15)に上昇すると)、第2駆動信号COM2を使用する場合には、待機時間が0.5秒間長くなるのに対して、第1駆動信号COM1を使用する場合には、待機時間が1.0秒間長くなっている。即ち、温度センサ52の検知温度Tpの上昇率に対する待機時間の増加率も、駆動信号の種類によって、異ならせている。
こうして、ヘッド41の特性による待機条件の違いだけでなく、所定印刷期間中における温度上昇率も考慮することで、処理例1に比べて、より確実にトランジスタの破壊を防止でき、印刷時間を短縮することができる。但し、処理例2の方が処理例1よりも待機条件のメモリ容量が増える。
図15Bは、所定印刷期間中における温度上昇率を考慮した待機条件の別の表である。この表では、駆動信号の種類が異なる場合に、同じ待機時間に対して、トランジスタ破壊に対する余裕温度(閾値)を異ならせている。例えば、駆動信号COM1の場合、温度センサ52の検知温度Tpが第1閾値(Ts−20)以上・第2閾値(Ts−15)未満のときに、待機時間が0.5秒に設定されるのに対して、第2駆動信号COM2の場合、温度センサの検知温度Tpが第5閾値(Ts−10)以上・第6閾値(Ts−7.5)未満のときに、待機時間が0.5秒に設定される。即ち、同じ待機時間に設定されたとしても、第1駆動信号COM1のトランジスタ破壊温度に対する余裕温度(15℃より大きく20℃以下)の方が、第2駆動信号COM2の余裕温度(7.5℃より大きく10℃以下)よりも大きくしている。逆に言えば、所定印刷期間の温度上昇率が小さい駆動信号を使用する場合、トランジスタ破壊に対する余裕温度が小さくとも、待機時間を出来る限り短くすることができる。
図15Cは、消費電力Pの違いによる待機条件の表である。前述の説明では2種類の駆動信号COMのみを例示したが、実際に使用される駆動信号COMの種類は多数となることもある。そこで、駆動信号COMごとに、待機条件を変えるのではなく、図15Cのように、使用する駆動信号の種類がどの電力条件に当てはまるかによって、同じ閾値に対する待機時間を異ならせてもよい。例えば、ある駆動信号の消費電力Pが12Wである場合、温度センサ52の検知温度Tpが「(Ts−20)℃以上であり、(Ts−15)℃未満であるときには、待機時間が0.5秒に設定される。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、トランジスタ接合部の温度上昇の抑制方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、トランジスタ接合部の温度上昇の抑制方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
〈待機動作について〉
前述の実施例1や実施例2では、ページごと、パスごとに待機動作を行っているがこれに限らない。例えば、複数ページごとに待機動作の有無を判断し、待機動作が必要な場合には待機動作を行ってもよいとする。
前述の実施例1や実施例2では、ページごと、パスごとに待機動作を行っているがこれに限らない。例えば、複数ページごとに待機動作の有無を判断し、待機動作が必要な場合には待機動作を行ってもよいとする。
〈液体吐出装置について〉
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
〈ラインヘッドプリンタについて〉
前述の実施形態では、画像形成動作と搬送動作とが交互に行われるプリンタ1を例に挙げているがこれに限らない。例えば、ヘッド41が搬送方向と交差する方向に配置され、紙幅長さに亘ってノズルが並んでいるラインヘッドプリンタでもよい。また、ラインヘッドプリンタの場合に、複数のヘッドが搬送方向と交差する方向に配置されていてもよいとする。
画像形成動作と搬送動作とが交互に行われるプリンタの場合、或いは、ラインヘッドプリンタの場合において、1台のプリンタが複数のヘッド41を有する場合には、複数のヘッド41のうちの少なくとも1つのヘッド41の温度センサ52の検出温度Tpが閾値Tsに基づいて定められた所定の閾値を越えた場合には待機動作を行うとする。また、複数のヘッド41の検出温度Tpが前記所定の閾値を超えた場合には、待機時間が最も長い待機条件に合わせて待機動作を行う。
前述の実施形態では、画像形成動作と搬送動作とが交互に行われるプリンタ1を例に挙げているがこれに限らない。例えば、ヘッド41が搬送方向と交差する方向に配置され、紙幅長さに亘ってノズルが並んでいるラインヘッドプリンタでもよい。また、ラインヘッドプリンタの場合に、複数のヘッドが搬送方向と交差する方向に配置されていてもよいとする。
画像形成動作と搬送動作とが交互に行われるプリンタの場合、或いは、ラインヘッドプリンタの場合において、1台のプリンタが複数のヘッド41を有する場合には、複数のヘッド41のうちの少なくとも1つのヘッド41の温度センサ52の検出温度Tpが閾値Tsに基づいて定められた所定の閾値を越えた場合には待機動作を行うとする。また、複数のヘッド41の検出温度Tpが前記所定の閾値を超えた場合には、待機時間が最も長い待機条件に合わせて待機動作を行う。
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ(PFモータ)、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャッリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 ヘッド駆動回路、
50 検出器群、51 紙検出センサ、52 温度センサ、60 コンピュータ、
70 駆動信号生成回路、71 波形生成回路、72 増幅回路
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ(PFモータ)、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャッリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 ヘッド駆動回路、
50 検出器群、51 紙検出センサ、52 温度センサ、60 コンピュータ、
70 駆動信号生成回路、71 波形生成回路、72 増幅回路
Claims (9)
- 駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、
前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、
を備え、
前記センサの検出結果が閾値を越えたとき、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる、
液体吐出装置であって、
前記ヘッドの特性に合わせて、前記閾値が異なることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記センサの検出結果が限界値を越えたとき、前記駆動信号生成部からの前記駆動信号の発生を停止する液体吐出装置。 - 請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記駆動信号生成部が複数種類の前記駆動信号を生成する場合、
前記センサの検出結果における限界値と前記センサの検出結果との差が等しくとも、前記駆動信号の種類によって、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出さることを待機させる条件を異ならせる液体吐出装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記ヘッドから既定量の液体が吐出されるように、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を前記駆動信号生成部に生成させ、
前記センサの検出結果と前記閾値とを比較して、前記検出結果が前記閾値を越えたときには、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる制御部を備える液体吐出装置。 - 請求項4に記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置周辺の環境温度を検出する環境用センサを備え、
前記制御部は、前記ヘッドの特性に合わせて決定した前記駆動信号に基づいて、前記閾値を算出した後に、
前記環境用センサが検出した前記環境温度に基づいて、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を補正する液体吐出装置。 - 請求項4に記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置周辺の環境温度を検出する環境用センサを備え、
前記制御部は、前記ヘッドの特性と、前記環境用センサが検出した前記環境温度とに基づいて、前記駆動信号を決定した後に、
決定した前記駆動信号に基づいて、前記閾値を算出する液体吐出装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記駆動信号生成部は複数種類の前記駆動信号を生成し、
前記センサが検出する温度に合わせて複数の前記閾値が設定され、
前記センサが検出する温度の上昇率に対する前記閾値の変化率が前記駆動信号の種類によって異なる液体吐出装置。 - 駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、を備える液体吐出装置にて、前記ヘッドの特性に合わせた閾値を算出するステップと、
前記センサの検出結果が閾値を越えたときには、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させるステップと、
を有する液体吐出方法。 - 駆動信号により液体が吐出されるノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの特性に合わせた前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出するためのセンサと、メモリと、制御部と、を備える液体吐出装置の製造方法であって、
前記ヘッドの特性を検査するステップと、
検査結果を各前記液体吐出装置の前記メモリにそれぞれ記録するステップと、
前記メモリに記録された前記検査結果に応じた前記閾値を前記センサの検出結果が越えたとき、前記駆動信号により前記ノズルから液体を吐出させることを待機させる前記制御部を前記液体吐出装置に組み込むステップと、
を有する液体吐出装置の製造方法。
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2007
- 2007-10-03 JP JP2007260142A patent/JP2009090467A/ja active Pending
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