JP2009089859A - 創傷被覆材 - Google Patents

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武治 田島
Nobuo Kusamoto
伸夫 草本
Katsuhiro Kamiya
勝弘 神谷
Eiichi Kako
永一 加来
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Abstract

【課題】卵殻膜成分を用いて卵殻膜の優れた性質を保ちながら、湿潤療法にも適用可能な創傷被覆材を提供する。
【解決手段】創傷被覆材は、卵殻膜成分を含有する繊維集合体からなることを特徴とする。この繊維集合体は、卵殻膜成分を含有する溶液を用いてエレクトロスピニング法によって紡糸することにより製造される。従ってこの繊維集合体は、天然の卵殻膜を模倣しており、その繊維集合体からなる創傷被覆材は、十分な通気性を備え、人体の皮膚組織への密着性や封止性にも優れている。従って湿潤療法用素材として好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、卵殻膜成分を含んだ繊維集合体からなる創傷被覆材に関する。
従来、創傷被覆材として、綿などからなるガーゼが使用されてきたが、血液を吸うだけであり封止作用がないため、血液損失による人体への負担、これを補うための輸血による感染の危険性があった。さらに、手術後にガーゼを回収し忘れて縫合してしまうという事故も依然として見受けられる。また、外傷の場合、吸収した血液が凝固して止血するため、瘡蓋となり治癒が遅く、ガーゼをはがすときに痛みを伴ったり、傷跡が残ったりする問題もある。
一方、卵殻膜が創傷被覆材として有効であることは古くから知られている。それは、卵殻膜が有するアミノ酸の細胞産生作用や、網目構造による組織への密着性、適度な保湿性および通気性などが創傷被覆材として適しているからである。しかし、卵殻膜は、卵の大きさに応じた面積しか採取できず、形状も平面ではないので、創傷部位の形状に対応することが困難であった。それ故、卵殻膜成分からなるもしくは卵殻膜成分を含有する任意のシート状あるいはフィルム状の被覆材を工業的に得ることが望まれてきた。
そこで、卵殻膜をチオプロピオン酸等に溶解してフィルム状、シート状とした技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、卵殻膜の粉末を繊維処理剤化し、繊維生地に加工する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平6−192443号公報 特開平6−254149号公報 特開2005−194663号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されたフィルム、シートでは、天然の卵殻膜が有する網目構造を備えておらず、保湿通気性が不十分であり、創傷被覆材として用いた場合に組織への密着性が劣るという問題もある。特許文献3に記載された繊維処理剤においても、卵殻膜の構造を模倣するには至っておらず、創傷被覆材への適用は未だ不十分である。
また、最近、浸出液を保つことで皮膚の再生を早め、外部からの細菌や水の浸入を防ぐ湿潤療法が注目されている。しかし、ガーゼと透湿性フィルムの組み合わせなどで提供されるに留まり、通気性と封止性をともに備えた湿潤療法用の創傷被覆材が求められている。
そこで本発明の目的は、卵殻膜成分を用いて卵殻膜の優れた性質を保ちながら、湿潤療法にも適用可能な創傷被覆材を提供することにある。
前記した課題を解決すべく、本発明は、以下に示すような創傷被覆材である。
(1)卵殻膜成分を含有する繊維集合体からなる創傷被覆材。
(2)上述の(1)に記載の創傷被覆材において、前記繊維集合体における卵殻膜成分の含有率が20質量%以上であることを特徴とする創傷被覆材。
(3)上述の(1)または(2)に記載の創傷被覆材において、前記繊維集合体を構成する繊維の径が0.01μm以上、3μm以下であることを特徴とする創傷被覆材。
(4)上述の(1)〜(3)のいずれかに記載の創傷被覆材であって、前記繊維集合体が、前記卵殻膜成分を含有する溶液を用いてエレクトロスピニング法によって紡糸して得られたものであることを特徴とする創傷被覆材。
本発明によれば、繊維集合体自体が卵殻膜成分を含有するので、その繊維集合体からなる創傷被覆材は、天然の卵殻膜とほぼ同様の性質を備えることができる。すなわち、本発明の創傷被覆材は、天然の卵殻膜が有する網目構造を模倣することにより、十分な保湿通気性を備えるとともに、人体の皮膚組織への密着性や封止性に優れている。さらに、繊維集合体の形状や面積に制限はないので、卵の大きさに応じた面積しか採取できず、形状も平面ではないという天然の卵殻膜の欠点を解消することもできる。それ故、湿潤療法用素材として好適である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
[創傷被覆材]
本発明の創傷被覆材は、卵殻膜成分を含有する繊維集合体からなることを特徴とする。すなわち、繊維集合体自体が卵殻膜成分を含有している。
本発明において、繊維集合体における卵殻膜成分の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。特に、繊維集合体が実質的に卵殻膜成分100質量%である場合が最も好ましい。この卵殻膜成分の繊維集合体に占める含有量が20質量%未満では細胞産生作用や生分解性といった天然の卵殻膜が有する性能を十分発揮することが困難となる。
また、繊維集合体を構成する繊維はその径が0.01μm以上、3μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、1.8μm以下であることがより好ましい。このような範囲の繊維径とすることにより、繊維集合体として表面積を十分大きくすることができ、天然の卵殻膜構造を模倣した適度な保湿通気性、フィルター効果を発現することができる。ただし、繊維集合体を構成する繊維の径が0.01μm未満であると、製造上も困難であり、生産性も悪化する点で好ましくない。
上述のような繊維集合体は、卵殻膜を粉砕し、溶液とした後、後述するエレクトロスピニング法(電解紡糸法、静電紡糸法ともいう)によって製造することができる。
[卵殻膜および卵殻膜溶液]
本発明に用いる卵殻膜としては、入手性の観点より鶏卵から採取されるものが好適であるが、特に鶏卵に限定されない。
卵殻膜は、物理的な粉砕による粒子化は比較的容易であり、チオプロピオン酸のような有機溶媒には可溶であるものの、水には本来不溶なタンパク質である。ただし、特殊な化学的処理または、酵素処理等を施すことにより、特定量の活性チオール基を含有する水可溶性の加水分解物や水可溶物として得ることができる。例えば、タンパク質の架橋ジスルフィド結合を開裂する還元反応と、高分子量タンパク質を部分的に切断する加水分解反応とを順次または同時に行なうことにより可溶性の卵殻膜成分として得ることができる(詳細は、特開2005−194663号明細書参照)。
このように、卵殻膜成分を可溶化すると、後述するエレクトロスピニング法による繊維化(紡糸)が容易となる。
本発明においては、必要に応じて、卵殻膜溶液に各種のバインダーを溶解混合してもよい。バインダーとしては公知のものが使用可能であり、ポリウレタン、シリコーン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリプロリレンオキサイド、ポリエチレンイミド、ポリアニリン、ポリエチレンサルファイド、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグルタミン酸、ヒアルロン酸など、それらの共重合体および架橋剤など溶媒に溶解可能なポリマーが挙げられる。また、デンプン、カゼイン、コラーゲン、核酸、カテキン、ゼラチン、セリシン、フィブロイン、キチン、キトサンなどの天然高分子、オルガノシリカやオルガノチタンなどのゾル溶液が挙げられる。このようなバインダーを用いることで、天然の卵殻膜では発現できない強固な繊維集合体とすることができる。
また、溶媒としては、通常、水が用いられるが、それ以外にも前記構成成分を溶解しうるものが適宜選択される。例えば、酸、アルカリ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、エーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム等が挙げられる。溶媒の選択は、前記したバインダーを卵殻膜溶液中に均一に分散溶解できるか否かで判断すればよいが、さらに紡糸性の観点から2種類以上の溶媒を混合して使用してもよい。
さらに、必要に応じて、架橋剤(グルタルアルデヒド等)、界面活性剤、金属塩、増粘剤、色剤、防腐剤、各種安定剤を卵殻膜溶液に混合して使用してもよい。
また、バインダーを配合する場合は、最終的に得られる繊維集合体の強度等、その目的に応じた配合量とすればよい。
[繊維集合体の製造装置]
次に、本発明の一実施形態にかかる繊維集合体の製造装置を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる繊維集合体の製造装置の概略を示す斜視図であり、図2は、図1の概略断面図を示す。
図1および図2において、繊維集合体の製造装置はエレクトロスピニング装置であって、上述の卵殻膜溶液を満たした溶解液浸漬槽10の中に電圧印加ロール20が設置されている。電圧印加ロール20は溶解液浸漬槽10中で回転可能に支持され、少なくとも周面部は金属製である。溶解液浸漬槽10には高電圧発生装置21が接続されており、この高電圧発生装置21から電圧が加えられ、卵殻膜溶液はプラスに帯電し、電圧印加ロール20に電荷が集中するようになっている。電圧印加ロール20は図示しない回転駆動機構と連結されている。
電圧印加ロール20と対向する位置には、集積コンベア30が集積面30Aを電圧印加ロール20側に向けて配置されている。また、集積コンベア30を挟んで電圧印加ロール20と対向する位置には金属製ブロック31が配置され、この金属製ブロック31は高電圧発生装置21に接続され、マイナスに帯電している。
集積コンベア30は、導電性のある素材、例えば、アルミニウム等から形成された帯状部材、または金属製ブロック31の導電性を妨げない紙もしくは合成繊維から成る不織布であり、図示しない繰り出しロールから繰り出されるとともに図示しない巻き取りロールで巻き取られる構成である。
金属製ブロック31の集積コンベア30の流れ方向の前後にはガイドロール32がそれぞれ配置されている。
電圧印加ロール20と集積コンベア31の集積面30Aとの距離は、溶媒が蒸発しやすいように、集積した繊維集合体の堆積状態をみながら自由に選択すればよく、特に限定するものではない。印加電圧は、溶液の性状、堆積量によって変えればよく、電圧が高いほど多量の繊維が得やすい。例えば、60〜78kVの範囲で適宜設定すればよい。
このように、電圧印加ロールと金属製ブロックが電極となって、その間に静電場が形成され、電圧印加ロールに付着した卵殻膜溶液がロール表面から金属製ブロックに向かって糸状に引き出され、集積面に堆積する。電極間距離は、例えば100〜140mmで適宜設定すればよい。
[繊維集合体および創傷被覆材の製造方法]
次に、繊維集合体および創傷被覆材の製造方法にかかる実施形態を説明する。本実施形態の繊維集合体の製造方法は、図1および図2で示されるエレクトロスピニング装置を用いたエレクトロスピニング法(電解紡糸法、静電紡糸法ともいう)である。
まず、溶解液浸漬槽10の内部に卵殻膜溶液を収納しておき、集積コンベア30を駆動する。集積コンベア30には高電圧発生装置21に接続された金属製ブロック31が近接配置されているため、この状態で、高電圧をかけると、溶液表面に電荷が誘発、蓄積される。この静電引力は卵殻膜溶液の表面張力に対抗する。電場力が臨海値を超えると、静電引力が表面張力を超え、荷電した溶液のジェットが噴射される。噴射されたジェットは体積に対して表面積が大きいため、溶媒が効率よく蒸発し、また体積の減少により電荷密度が高くなるため、さらに細いジェットになる。溶液のジェット噴射により金属製ブロック31側に自発的に牽引されることで紡糸がなされる。
紡糸された卵殻膜成分含有繊維は集積コンベア30の集積面30Aに堆積されるが、集積コンベア30は巻き取られるため、集積面30Aに堆積された卵殻膜成分含有繊維(繊維集合体)はコンベアの長さ方向に亘って所定厚さとなる。
ここで、得ようとする繊維(集合体)の性状を変更するには、エレクトロスピニング装置における各種条件を変更することで対応できる。例えば、電圧は、前記したように60〜78kV程度の範囲で調整するとよいが、電圧が低すぎるとジェットが発生せず、電圧が高すぎるとスパークが発生してしまうおそれがある。また、電極間距離は、100〜140mm程度の範囲で調整するとよいが、電極間距離が短いと溶媒が蒸発しきらないおそれがあり、電極間距離が長すぎるとジェットが発生しなくなるおそれがある。集積コンベア30のライン速度は4〜10cm/分の範囲で適宜変更すればよく、遅すぎると溶媒の蒸発が妨げられ、早過ぎると目付けが少なくなり堆積ムラが生じるおそれがある。また、集積コンベア30の材質である不織布の正味目付けは0.5〜4.0g/mの範囲内で適宜設定すればよく、堆積ムラが少ない条件で繰返し堆積させることによりこの範囲の目付とすることができる。このような条件で100〜500nm径の繊維(繊維集合体)を好適に製造することができる。
集積された繊維集合体は図示しない装置によって集積コンベア30から剥離される。なお、剥離の前後に、繊維集合体に対し、熱架橋、紫外線架橋、放射線架橋、グルタルアルデヒド架橋等の従来公知の架橋処理を施してもよい。得られた繊維集合体は、適当な形状にカッティングされ、創傷被覆材として使用される。
[実施形態の効果]
従って、本実施形態によれば次の作用効果を奏することができる。
(1)繊維集合体自体が卵殻膜成分を含有するので、その繊維集合体からからなる創傷被覆材は、天然の卵殻膜とほぼ同様の性質を備えることができる。具体的には、卵殻膜成分自体が繊維形成に寄与しているので、単に卵殻膜成分をフィルム状にした場合や、合成繊維や天然繊維の表面に卵殻膜成分を単に付着させた場合と異なり、卵殻膜固有の性質が強く発揮される。それ故、繊維集合体を創傷被覆材に適用した場合、天然の卵殻膜が有する網目構造を模倣することにより、アミノ酸の細胞産生作用や、網目構造による組織への密着性、適度な保湿性、通気性、フィルター効果による封止性を発揮することができる。
(2)また、繊維集合体は、卵殻膜成分から形成されているため柔らかく、人体の皮膚組織への密着性も優れているので創傷被覆材として好ましく適用できる。さらに、繊維集合体の形状や面積に制限はないので、卵の大きさに応じた面積しか採取できず、形状も平面ではないという天然の卵殻膜の欠点を解消することもできる。
(3)繊維径を0.01μm、3μm以下にすることで、繊維集合体として製造可能な範囲でより表面積を大きくすることができ、フィルター効果による封止性が発現するため創傷被覆効果や通気性さらには皮膚への密着性といった天然の卵殻膜が有する性質をより強く発揮することができるようになる。
(4)繊維にバインダーを配合することにより、天然の卵殻膜にはない物性(例えば高い繊維強度)を繊維集合体に付与することができるので、天然の卵殻膜よりも優れた創傷被覆材とすることができる。
(5)本実施形態では、繊維集合体の製造方法をエレクトロスピニング法(電解紡糸法、静電紡糸法ともいう)とした。従って、紡糸条件を制御することにより、天然の卵殻膜からは直接得られないような繊維径の繊維集合体を容易に製造することができる。さらに、エレクトロスピニング法は常温で紡糸できるため、卵殻膜成分の熱分解が抑えられ、また媒体が水であっても紡糸できるため、環境負荷が低い。
(6)本実施形態では、卵殻膜溶液が浸される溶解液浸漬槽10と、溶解液浸漬槽10の中に配置された電圧印加ロール20と、この電圧印加ロール20を介して生じる静電引力で紡糸されるとともに紡糸された繊維が集積される集積コンベア30とを備えて繊維集合体の製造装置を構成したが、本発明の目的を達成できるのであれば、同じエレクトロスピニング法でもノズルを使用した紡糸法を用いてもよい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる
範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、卵殻膜成分を分解せず、極細繊維を得られるエレクトロスピニング法を用いたが、本発明の目的を達成できるのであれば、他の紡糸法であってもよい。
また、前記実施形態では、エレクトロスピニング装置の静電場は、電圧印加ロール20と金属製ブロック31とで一対の電極を形成しているが、本発明ではこれを増やして、複数の電極間、溶解液浸漬槽で形成してもよい。この場合、複数の電圧印加ロール20は、異なる電圧値であってもよい。
以下、本発明の効果を実施例および比較例により確認する。なお、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下のようにして卵殻膜溶液を調製し、エレクトロスピニング法により卵殻膜を含有する繊維集合体および創傷被覆材を製造した。
<卵殻膜溶液の調製>
卵殻膜を物理的に機械粉砕して得たパウダー(E−SF、出光テクノファイン製)を、β―チオプロピオン酸に20質量%の濃度になるように溶解・分散させた。そして、NaClを1質量%加えた後、50℃で24時間攪拌を続けた。その後、この溶液にエタノールを20質量%の濃度になるように加えて卵殻膜溶液を調製した。
<繊維集合体および創傷被覆材の製造>
前記した卵殻膜溶液を用い、図1、図2のエレクトロスピニング装置により、電圧70kV、電極間距離100mm、集積コンベア30のライン速度4cm/分の条件で、エレクトロスピニングを行った。集積コンベア30の材質としては、ポリプロピレン(PP)製不織布を用い、繰返し堆積させた。
具体的には、卵殻膜溶液表面に電荷が蓄積され、液体の表面張力以上に電荷が高まったところで電圧印加ロール20の表面から糸が噴出(ジェット)した。このジェットは、溶媒の蒸発、電荷密度の増加、溶液糸の細化を繰り返しながら、集積コンベア30に堆積した。集積コンベア30の表面に得られた繊維集合体は、正味目付1.8g/mであった。また、繊維集合体を構成する繊維の径は、約300nmであった。この繊維集合体を集積コンベア30から剥離した後、所定の大きさにカッティングして創傷被覆材とした。
<創傷被覆材の評価>
上述の方法で得られた創傷被覆材について、湿潤療法適性を評価した。具体的には、以下に示す方法で通気性と封止性を評価した。結果を表1に示す。
・通気性:
通気度計(カトーテック社製通気性試験機 KES-F8-AP1)により測定した。
・封止性:
生肉の上に上述の創傷被覆材を載せ、血のにじみがあるかを目視で判定した。血のにじみがないものを○、血がにじむものを×とした。
[実施例2]
ケン化後のケン化度が88mol%であり、4質量%水溶液の20℃での粘度が23mPa・sであるポリビニルアルコール(クラレ社製PV−217PVA)をバインダーとして用いた。水溶性化した卵殻膜(EMP−TF、出光テクノファイン製)、エタノール、および架橋剤としてのグルタルアルデヒドを用い、前記バインダー(PVA)/卵殻膜/水/エタノール/グルタルアルデヒド=10/10/60/19/1の割合(質量%比)で混合溶解した後、実施例1と同じ条件でエレクトロスピニング法により紡糸を行い、繊維集合体を得た。さらにこの集合体を、160℃で30分間加熱することで不溶化処理を行い、最終的に卵殻膜成分50質量%とバインダー(PVA)50質量%とからなる繊維集合体を得た。この繊維集合体を所定の大きさにカッティングして評価用の創傷被覆材とし、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で得られた卵殻膜溶液をガラスシャーレ上にとり、乾燥後、メタノールで洗浄し、卵殻膜成分からなるフィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
市販のガーゼを用い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
バインダーとしてアクリルシリコーン樹脂系繊維処理剤(共栄社化学社製ライトエポックS-60NFE)を用い、卵殻膜パウダー(E−SF、出光テクノファイン製)が繊維に対して1質量%付着するように、E−SF/ライトエポックS-60NFE/水=6/40/54(質量%比)の割合で配合して、溶液とした後、ミキサーで攪拌した。その溶液に、市販のポリエステル繊維生地を浸漬した。その後、絞り率100%を目安にマングルで絞り、110℃で15分間乾燥して、卵殻膜パウダーを付着させた繊維生地を得た。この繊維生地について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2009089859
[結果]
実施例1、2より、本発明の創傷被覆材は、通気性と封止性に優れており、湿潤療法用素材として好ましい性質を有していることがわかる。一方、比較例1で用いたフィルムは、天然の卵殻膜と異なり網目構造が存在しないため通気性に劣るものであった。従って、湿潤療法用素材としては不適当である。比較例2では、市販ガーゼを用いているが封止性がないため湿潤療法用素材として不適当である。また、比較例3では、市販のポリエステル繊維生地に卵殻膜成分を付着させたものであるが、卵殻膜成分の含有量が低く、繊維も太いため細胞産生作用を期待できず、封止性に劣っている。なお、繊維生地への卵殻膜成分の付着量を増やすことは一般に困難である。
本発明は、創傷被覆材として湿潤療法用素材等に利用できる。
本発明の一実施形態にかかる繊維の製造方法に用いられる製造装置の概略を示す斜視図。 図1の断面図。
符号の説明
10…溶解液浸漬槽
20…電圧印加ロール
21…高電圧発生装置
30…集積コンベア
30A…集積面
31…金属製ブロック
32…ガイドロール

Claims (4)

  1. 卵殻膜成分を含有する繊維集合体からなる創傷被覆材。
  2. 請求項1に記載の創傷被覆材において、
    前記繊維集合体における卵殻膜成分の含有率が20質量%以上であることを特徴とする創傷被覆材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の創傷被覆材において、
    前記繊維集合体を構成する繊維の径が0.01μm以上、3μm以下であることを特徴とする創傷被覆材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の創傷被覆材において、
    前記繊維集合体が、前記卵殻膜成分を含有する溶液を用いてエレクトロスピニング法によって紡糸して得られたものであることを特徴とする創傷被覆材。
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