JP2009087825A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】エチレングリコールを含む冷却液を用いたものにあって、冷却液の導電率を適正な範囲に管理可能である燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料極および酸化極にそれぞれ燃料および酸化剤の供給を受けて発電する燃料電池スタックと、燃料電池スタックとラジエータを循環経路とし、循環経路にエチレングリコールを含む冷却液を循環させる冷却液循環手段と、循環経路を循環する冷却液の温度を検出する温度センサと、温度センサによって検出した冷却液の温度が一定温度以上である時間を積算し、この積算時間が所定の規定時間に達すると、冷却液の交換を促す制御を行う制御手段とを備えた。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池スタックを冷却するための冷却液として、不凍性を目的としてエチレングリコールを含む冷却液を使用する燃料電池システムに関する。
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸素ガスとを電解質を介して電気化学反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギーを直接取り出すものである。特に、固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギーで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
このような燃料電池は、発電中にあっては冷却する必要があるため、燃料電池システムには冷却循環手段が設けられる。冷却循環手段は、燃料電池スタックと熱交換器を循環する循環経路を有し、冷却液を循環させることによって燃料電池スタックを冷却するようになっている。そして、冷却液は、燃料電池スタック内を通過するので、冷却液の導電率が高いと漏電を起こすなどの不具合が発生する。
これを解決する従来の燃料電池システムとして、循環経路にイオン除去フィルタを配置し、冷却液中に溶出するイオンを除去すると共に、導電率センサによって冷却液の導電率を検出し、導電率の検出結果(例えば導電率の値)に基づいて、イオン除去フィルタの交換を警告するものが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
ところで、燃料電池システムに使用される冷却液として、不凍性を目的としてエチレングリコールを含むものが使用されることがある。エチレングリコールは、80℃を越える高温では、エチレングリコールが熱分解し劣化することによって蟻酸や酢酸などの有機酸を発生する。このような有機酸の発生によって、エチレングリコールは、80℃を越える温度が連続して続くと、有機酸の急激な多量の発生によって、ある時間で急激に導電率が上昇することが実験により確かめられている。
特開2006−164739号公報 特開2005−129459号公報
しかしながら、蟻酸や酢酸などの有機酸は、イオン除去フィルタによって除去されない。そして、上記したように導電率は短時間で急激に上昇するため、導電率の検出結果(例えば導電率の上昇検出)に基づく対応のみでは、冷却液の導電率を適正な範囲に管理することができないという問題がある。
そこで、本発明は、エチレングリコールを含む冷却液を用いたものにあって、冷却液の導電率を適正な範囲に管理可能である燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する請求項1の発明は、燃料極および酸化極にそれぞれ燃料および酸化剤の供給を受けて発電する燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックと冷却手段を循環経路とし、前記循環経路にエチレングリコールを含む冷却液を循環させる冷却液循環手段と、前記循環経路を循環する冷却液の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段によって検出した冷却液の温度が一定温度以上である時間を積算し、この積算時間が所定の規定時間に達すると、冷却液の交換を促す制御を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の燃料電池システムであって、前記循環経路を循環する冷却液の導電率を検出する導電率検出手段を有し、前記制御手段は、前記導電率検出手段によって検出した冷却液の導電率が所定の規定導電率に達すると、冷却液の交換を促す制御を行うことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、冷却液の温度が一定温度以上である積算時間が所定の規定時間になると、冷却液の交換を促すことになるため、エチレングリコールから有機酸が急激に多量に発生し、漏電等の不具合が発生する前に冷却液の交換を行うことができる。従って、エチレングリコールを含む冷却液を用いた燃料電池システムにあって、冷却液の導電率を適正な範囲に管理可能である。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、冷却液の温度が一定温度以上である積算時間が所定の規定時間に達する前に、冷却液の導電率が規定導電率に達し、漏電等の不具合が発生する前に冷却液の交換を行うことができる。従って、エチレングリコールを含む冷却液を用いた燃料電池システムにあって、冷却液の導電率を適正な範囲により確実に管理可能である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の一実施の形態を示し、図1は燃料電池システムの概略構成図、図2は冷却液が定温、中温、高温の各場合にあって、エチレングリコール(EG)の浸漬時間に対する導電率特性線図、図3は冷却液の温度によって冷却液の交換を促す動作フローチャート、図4は冷却液の導電率によって冷却液の交換を促す動作フローチャートである。
図1に示すように、燃料電池システム1は、発電を行う燃料電池スタック2と、この燃料電池スタック2を冷却液によって冷却する冷却液循環手段3と、温度検出手段である温度センサ4と、導電率検出手段である導電率センサ5と、温度センサ4及び導電率センサ5の検出出力に基づいて制御を行う制御手段6と、この制御手段6によって制御される警告灯7とを備えている。
燃料電池スタック2は、固体高分子電解質(図示せず)とこの両面に配置された燃料極(図示せず)及び酸化極(図示せず)とを有し、燃料極および酸化極にそれぞれ燃料および酸化剤の供給を受けて直流電力を発電する。
冷却液循環手段3は、燃料電池スタック2と冷却手段であるラジエータ10を循環する循環経路11を有する。この循環経路11内にエチレングリコール(EG)を含む冷却液が充填されている。エチレングリコールは、冷却液が定温(25℃)、中温(55℃)、高温(85℃)の各場合にあって、エチレングリコールの浸漬時間に対して図2に示すような導電率特性を有することが実験により確かめられた。定温、中温の場合では、エチレングリコールは、時間がどれだけ経過しても、熱分解によって劣化せず蟻酸や酢酸などの有機酸をほとんど発生しない。85℃の高温では、エチレングリコールは、時間の経過が500時間を越えると、急に熱分解が促進され、蟻酸や酢酸などの有機酸の発生が急増する。図2では温度が85℃の場合を示したが、このような有機酸の急激な発生による導電率の急上昇は、80℃を越える温度から認められる。
循環経路11には、冷却液を循環させるポンプ12と冷却液中に溶出されたイオンを除去するイオン除去フィルタ13が配置されている。
温度センサ4は、循環経路11を循環する冷却液の温度を検出し、検出した温度情報を制御手段6に出力する。
導電率センサ5は、循環経路11を循環する冷却液の導電率を検出し、検出した導電率情報を制御手段6に出力する。
制御手段6は、温度センサ4からの温度情報を常時チェックする。そして、図3に示すように、冷却液の温度が規定温度(80℃を越える温度)以上である時間を積算し、この積算時間が所定の規定時間Aに達すると、冷却液の交換を促す制御を行う。規定時間Aは、導電率が急激に上昇する手前の時間に設定され、導電率が急激に上昇する時間が500時間程度であることからこの実施の形態では450時間に規定されている。図3の動作フローの内容は、下記する燃料電池システム1の動作で説明する。
又、制御手段6は、導電率センサ5からの導電率情報を常時チェックする。そして、図4に示すように、冷却液の導電率が所定の規定導電率Bに達すると、冷却液の交換を促す制御を行う。規定導電率Bは、燃料電池スタック2やラジエータ10の性能によって規定され、この実施の形態では10μS/cmに規定されている。図4の動作フローの内容は、下記する燃料電池システム1の動作で説明する。
次に、燃料電池システム1の動作を説明する。ポンプ12の駆動によって冷却液が循環経路11を循環する。循環経路11を循環する冷却液は、ラジエータで冷却風と熱交換されることによって冷却され、燃料電池スタック2内を通過する際に燃料電池スタック2を冷却する。循環経路11を循環する冷却液は、イオン除去フィルタ13を通過する過程で、冷却液内に溶出したイオンが除去される。
このような燃料電池システム1の動作中にあっては、図3に示すように、循環経路11を循環する冷却液の温度を温度センサ4が検出し(ステップS1)、この検出温度を制御手段6に出力する。制御手段6は、検出温度が規定温度(80℃を越える温度)に達するか否かをチェックし続ける(ステップS2、S4、S1)。検出温度が規定温度に達した場合には、時間計測を開始し(ステップS3)、検出温度が規定温度より下がるまで時間計測を行う(ステップS5、S1、S2、S3)。検出温度が規定温度より下がると(ステップS2)、時計計測を終了し、計測した時間を積算メモリ(図示せず)に記憶する(ステップS4)。
上記した時計計測中にあっては、積算メモリに記憶された前回までの積算時間と、現在計測中の現時点までの時間との合計、つまり、正確な積算時間が規定時間Aに達したか否かをチェックし続ける(ステップS4)。積算時間が規定時間Aに達すると、制御手段6が警告灯7に発信し(ステップS6)、冷却液の交換を促す警告灯7が点灯又は点滅される。この警告灯7の点灯又は点滅によってユーザが冷却液の交換を行うことになる。
上記した燃料電池システム1の動作過程にあっては、図4に示すように、循環経路11を循環する冷却液の導電率を導電率センサ5が検出し(ステップS11)、この検出導電率を制御手段6に出力する。制御手段6は、検出導電率が規定導電率Bに達したか否かを常時チェックする(ステップS11、S12)。検出導電率が規定導電率Bに達すると、警告灯7に発信し(ステップS613、冷却液の交換を促す警告灯7が点灯又は点滅される。この警告灯7の点灯又は点滅によってユーザが冷却液の交換を行うことになる。
以上、この実施の形態では、温度センサ4によって検出した冷却液の温度が一定温度以上である時間を積算し、この積算時間が所定の規定時間Aに達すると、冷却液の交換を促す制御を行う。従って、エチレングリコールから有機酸が急激に多量に発生し、漏電等の不具合が発生する前に冷却液の交換を行うことができる。従って、エチレングリコールを含む冷却液を用いた燃料電池システム1にあって、冷却液の導電率を適正な範囲に管理可能である。
その上、この実施の形態では、導電率センサ5によって検出した冷却液の導電率が所定の規定導電率Bに達すると、冷却液の交換を促す制御を行う。従って、冷却液の温度が一定温度以上である積算時間が所定の規定時間Aに達する前に、冷却液の導電率が規定導電率Bに達し、漏電等の不具合が発生する前に冷却液の交換を行うことができる。従って、エチレングリコールを含む冷却液を用いた燃料電池システム1にあって、冷却液の導電率を適正な範囲により確実に管理可能である。
本発明の一実施の形態を示し、燃料電池システムの概略構成図である。 本発明の一実施の形態を示し、冷却液が定温、中温、高温の各場合にあって、エチレングリコール(EG)の浸漬時間に対する導電率特性線図である。 本発明の一実施の形態を示し、冷却液の温度によって冷却液の交換を促す動作フローチャートである。 本発明の一実施の形態を示し、冷却液の導電率によって冷却液の交換を促す動作フローチャートである。
符号の説明
1 燃料電池システム
2 燃料電池スタック
3 冷却液循環手段
4 温度センサ(温度検出手段)
5 導電率センサ(導電率検出手段)
6 制御手段
10 冷却手段(ラジエータ)
11 循環経路

Claims (2)

  1. 燃料極および酸化極にそれぞれ燃料および酸化剤の供給を受けて発電する燃料電池スタック(2)と、
    前記燃料電池スタック(2)と冷却手段(10)を循環経路(11)とし、前記循環経路(11)にエチレングリコールを含む冷却液を循環させる冷却液循環手段(3)と、
    前記循環経路(11)を循環する冷却液の温度を検出する温度検出手段(4)と、
    前記温度検出手段(4)によって検出した冷却液の温度が一定温度以上である時間を積算し、この積算時間が所定の規定時間に達すると、冷却液の交換を促す制御を行う制御手段(6)と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム(1)。
  2. 請求項1記載の燃料電池システム(1)であって、
    前記循環経路(11)を循環する冷却液の導電率を検出する導電率検出手段(5)を有し、
    前記制御手段(6)は、前記導電率検出手段(5)によって検出した冷却液の導電率が所定の規定導電率に達すると、冷却液の交換を促す制御を行うことを特徴とする燃料電池システム(1)。
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