JP2009084804A - 洗掘防止マット - Google Patents

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Abstract

【課題】水底への設置作業が容易であり、水底での変形が生じにくく、また錆びの発生などがない洗掘防止マットを得る。
【解決手段】洗掘防止マットであって、樹脂製のシートと、樹脂製のメッシュ状体とが積層されたものである。樹脂製のメッシュ状体は、表面に熱融着性樹脂が露出した単数あるいは複数の繊維により形成された糸により織編されているとともに、熱処理によって熱融着性樹脂同士が熱融着している。メッシュ状体は、経糸と緯糸とで構成され、緯糸挿入ラッシェル編み機で編網されたものであって、耐磨耗性、耐腐食性、交点強力、耐屈曲疲労性、形態復元性などに優れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水中に構築される防波堤などの構造物の基礎の部分の水底に設置される洗掘防止マットに関し、特に水底が砂地などである場合にその水底が洗掘されることを防止するための洗掘防止マットに関する。
水中に構築される防波堤などの構造物が、たとえば水底が砂地である場所に設けられる場合には、波浪によって砂が洗掘されると、その構造物の基礎の部分の支持構造が脆弱なものとなってしまうおそれがある。
その対策として、構造物の基礎の部分の水底にシート状体あるいはマット状体を敷設して、この水底の表面を覆うことにより、その部分での洗掘の発生を防止することが行われている。シート状体あるいはマット状体としては、厚さ数mm程度の樹脂製のシートが多用されている(特許文献1)。
またこのような樹脂製のシートを水底に設置したときにその表面を保護する目的で、シートの表面に金網を重ねるように敷設することが行われている。
実開平2−018527号公報
しかし、金網を用いると、形状が不安定で整形が難しいため、水底への設置作業が困難である。また水底での使用時に捲れあがりが生じると、その捲れあがった状態にとどまってしまうため、元の平らな形態に戻すことが難しい。さらに、金網は鋼材などの金属材料により形成されているため、特に海中では錆びやすいという問題点がある。
そこで本発明は、このような問題点を解決して、水底への設置作業が容易であり、水底での変形が生じにくく、また錆びの発生などがない洗掘防止マットを得ることを目的とする。
この目的を達成するため本発明の洗掘防止マットは、樹脂製のシートと、樹脂製のメッシュ状体とが積層されたものであることを特徴とする。
メッシュ状体がシートに結束されたものであることが好適である。
また、マットの先端部において、メッシュ状体によって重錘が包まれていることが好適である。
本発明の、上記洗掘防止マットに使用される樹脂製のメッシュ状体は、少なくとも表面の一部に熱融着性樹脂が露出した単数あるいは複数の繊維により形成された糸により織編されたものであるとともに、熱処理によって熱融着性樹脂同士が熱融着しているものであることを特徴とする。
上記のメッシュ状体において、繊維は、熱融着性樹脂が鞘部に配された芯鞘型の断面構造を有し、前記鞘部の熱融着性樹脂は、芯部の樹脂よりも融点が10℃以上低いことが好適である。
上記のメッシュ状体において、繊維は、芯部が極限粘度0.6〜1.0の高粘度ポリエステルにて形成されるとともに、鞘部が融点100〜200℃の低融点ポリエステルにて形成されていることが好適である。
メッシュ状体は、経糸と緯糸とで構成され、緯糸挿入ラッシェル編み機で編網されたものであることが好適である。
本発明の洗掘防止マットによれば、樹脂製のシートと、樹脂製のメッシュ状体とが積層されたものであるため、シートを下側に配置しメッシュ状体を上側に配置して水底に設置したときに、メッシュ状体によってシートを保護することができる。しかもメッシュ状体は樹脂製であるため、形状が安定で成型が容易であり、このため水底への設置作業を簡単に行うことができ、また水底での使用時に捲れあがりが生じても、容易に元の平らな形態に戻ってしまう。さらに、樹脂製であることから錆の発生や海水による腐食の発生がないという利点がある。
本発明によれば、メッシュ状体がシートに結束されたものであることにより、これらメッシュ状体とシートとが簡単な構成で容易に一体化されたものとすることができる。
本発明によれば、マットの先端部において、メッシュ状体によって重錘が包まれている構成であることにより、水底に設置したときにマットの先端部に浮き上がりや捲れ上がりが発生することを防止できるのみならず、その先端部への重錘の取り付けの際にはメッシュ状体によって重錘を包み込むだけでよいため、その取付一体化を容易に行うことができる。
本発明のメッシュ状体は、少なくとも表面の一部に熱融着性樹脂が露出した単数あるいは複数の繊維により形成された糸により織編されたものであるとともに、熱処理によって熱融着性樹脂同士が熱融着しているものであるため、軽量でありながら所要の強度を有したものとすることができ、洗掘防止マットにおける樹脂製のシートに重ねて好適に使用することができる。
本発明によれば、繊維は、熱融着性樹脂が鞘部に配された芯鞘型の断面構造を有し、鞘部の熱融着性樹脂が芯部の樹脂よりも融点が10℃以上低いものであることにより、芯部が繊維形態を維持し、鞘部により熱融着部を形成して、メッシュ状体を形成することができる。
本発明によれば、メッシュ状体において、繊維は、芯部が極限粘度0.6〜1.0の高粘度ポリエステルにて形成されるとともに、鞘部が融点100〜200℃の低融点ポリエステルにて形成されているため、芯部によってメッシュ状体に所要の強度と剛性とを付与できるのみならず、鞘部によって熱融着部の接着強力を確保したうえでメッシュ状体を保形することができる。
本発明によれば、メッシュ状体が、経糸と緯糸とで構成され、緯糸挿入ラッシェル編み機で編網されたものであるため、優れたメッシュ形態を有するものとすることができる。
図1において、1は海底であり、砂地の形態となっている。図示の場所には防波堤などの構造物2が構築されている。3は石積み部であり、この石積み部3を海底1に設けた上に構造物2が設置されている。
砂地の海底1には本発明にもとづく洗掘防止マット11が敷設されている。石積み部3は、この洗掘防止マット11を海底1に敷設した上に設置されている。詳細には、洗掘防止マット11は、その基端部12において、海底1と石積み部3との間に挟み込まれた状態で配置されている。洗掘防止マット11の先端部13は、石積み部3よりも沖合い側に敷設されている。
洗掘防止マット11は、樹脂製のシート14と樹脂製のメッシュ状体15とが積層され一体化された構成である。ただし、石積み部3が設置されている部分はメッシュ状体15は設けられておらず、シート14のみが設けられた構成である。つまり、メッシュ状体15は、洗掘防止マット11における、構造物2に対応した石積み部3よりも沖合い側にのみ設けられている。メッシュ状体15の先端部分16はシート14の先端縁よりもさらに沖合い側に張り出すように長く形成され、この先端部分16によって重錘17を包み込んで保持している。
このような構成において、もし仮に砂地の海底1に石積み部3を設置しただけの上に構造物2を構築した場合には、構造物2へ向けて寄せてくる波浪によって、この構造物2よりも沖合い側における海底1の砂が洗掘され、このため構造物2の支持に支障をきたすおそれがある。
これに対し、図示のように洗掘防止マット11を敷設すると、この洗掘防止マット11は、その基端部12が海底1と石積み部3との間に挟み込まれることで所定位置に保持され、かつ先端部13が構造物2よりも沖合い側の場所で海底1を覆うことになる。また、洗掘防止マット11の先端に重錘17を保持しているため、大きな波浪が寄せてきても、マット11の先端部13が捲れあがることが防止される。このため、波浪により海底1の砂が洗掘されることを防止できる。
図2は、洗掘防止マット11の平面図および正面図を示す。図示のように、シート14はメッシュ状体15よりも幅広に形成され、その一辺側における幅方向の端部に、メッシュ状体15からのはみ出し部18が形成されている。洗掘防止マット11は所定の幅で形成されているため、図1に示す構造物2の長さ方向に沿って複数のマット11を敷設すべき場合がある。その場合は、隣りのマット11の他辺側における幅方向の端部19をはみ出し部18の上に重ねるようにして敷設する。
重錘17は、たとえば図示のように横断面八角形の複数のコンクリートブロック20の端面どうしを金具で連結したものを用いることができる。これらの複数のコンクリートブロック20の全長は、メッシュ状体15の幅寸法よりも小さくなるようにされている。そして、陸上において、メッシュ状体15の先端部分16の上に重錘17を置き、この先端部分16の端部21をマット11の基端部12の方へ巻き返すことによって重錘17を包み込み、樹脂製のロープなどを用いてその端部21をメッシュ状体15に結束することで、図示のようにメッシュ状体15の先端部分16によって重錘17を包み込むことができる。また、メッシュ状体15の幅方向に沿った先端部分16の両端部を絞って結束することで、重錘17の包み込み部の両端を塞ぐことができる。これによって、重錘17は、先端部分16により完全に包み込まれて保持される。
シート14は、たとえば厚さ数mmの塩化ビニルシートによって構成することができる。
メッシュ状体15は、図3に示すような構成とすることができる。図3において、25は経糸により編成されたラッシェル編地、26は緯糸である。たとえば9ゲージの緯糸挿入ラッシェル編み機を用いて、緯糸は経糸と同じ糸を多数本合撚した後に4本に配したものとして、上下左右の格子状に編網したものである。メッシュ状体15の目開きは、数cm〜十数cm程度が適当である。メッシュ状体15は、緯糸挿入ラッシェル編み機により編網したものであることで、上述のように目開きが数cm〜十数cmもありながら、形態安定性に優れたものとすることができる。
経糸および緯糸を構成する糸は、図4に示すような芯鞘型の断面構造を有する複数本の繊維にて構成されたマルチフィラメント糸であることが好適である。図4において、27は芯部、28は鞘部である。芯部27は高粘度ポリエステルにて形成されているのが好適であり、鞘部28は、熱融着性樹脂としての、低融点の共重合ポリエステルにて形成されているのが好適である。鞘部28の熱融着性樹脂を溶融、軟化させるための熱処理時に芯部27が熱の影響を受けないようにするためには、鞘部28の熱融着性樹脂として、芯部27の樹脂よりも融点が10℃以上低いものを用いることが好ましい。
あるいは、このような芯鞘型の繊維からなるモノフィラメント糸や、複数本の繊維を紡績した紡績糸であってもよい。さらには、このような芯鞘型の繊維、もしくは熱融着性樹脂のみからなる繊維と、熱融着性樹脂が溶融する温度では溶解も軟化もしない高融点の繊維とを混繊あるいは混紡した糸であってもよい。
芯鞘型の繊維は、詳細には、芯部27を、極限粘度が0.6〜1.0程度である高粘度ポリエステルで形成することで、メッシュ状体15を構成する糸を高強度のものとすることができる。高粘度ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(融点約260℃)、ポリブチレンテレフタレート(融点約220℃)、ポリエチレンナフタレート(融点約270℃)などが寸法安定性の観点から好適であり、ポリエチレンテレフタレートがコストの点からさらに好適である。芯部27の高粘度ポリエステルには、繊維の延伸性や強度を損ねない程度に、耐候剤、顔料、着色剤、難燃剤、艶消剤などが添加されていても差し支えない。
鞘部28は、後述の熱融着のために、芯部27よりも低融点の、融点100〜200℃の共重合ポリエステルを用いるのが好ましい。また、波浪などによってメッシュ状体15が摩擦や屈曲を受けたときに芯部27との剥離が生じにくいように、芯部27との相溶性があることが好ましい。具体的には、たとえば、テレフタル酸成分、脂肪族ラクトン成分、エチレングリコール成分、および1,4ブタジエン成分からなる共重合ポリエステルを挙げることができる。このような共重合ポリエステルであると、結晶融点を有するため、熱融着のための熱処理加工を安定して行える。また得られるメッシュ状体は耐熱性を有し、このため運搬時や作業時の摩擦熱による変形が生じにくいという利点を有する。鞘部28の共重合ポリエステルには、製糸性や熱接着性を損ねない程度に、艶消剤、着色剤、抗菌剤、難燃剤、結晶核剤、制電剤などが添加されていても差し支えない。
芯部27と鞘部28との配合割合は、質量比で、芯部:鞘部が1:1〜5:1であることが好ましく、2:1〜3:1であることがさらに好ましい。鞘部28がこの範囲未満であると熱接着力が劣るようになり、この範囲を超えると、その分だけ芯部27の割合が低下するために高強度を得ることか困難になる。
このような芯鞘型の断面構造を有する繊維よりなる糸を用いて、図3に示すように編網し、その後に鞘部28の融点以上かつ芯部27の融点以下の温度で熱処理することにより、鞘部28の溶融により繊維どうしが熱接着して、適度の柔軟性と剛性とを兼備したメッシュ状体15が得られる。この熱接着によって、経編地25と緯糸26との交点強力を強靭なものとすることができる。またメッシュ形状の保形性にもすぐれたものとなる。このような条件を満たすメッシュ状体15として、具体的には、ユニチカファイバー社から「メルセットグリット UGMD−72000」と称して市販されているものを、好適に用いることができる。このような緯糸挿入ラッシェル編み機で編網したメッシュ状体を用いると、亜鉛アルミ合金めっき線を用いた金網で樹脂製のシートを覆った場合に比べて耐摩耗性や耐腐食性を向上させることができ、しかも錆の発生を防止でき、さらには、柔軟性を有するために、敷設されている間に砂地の水底が変形してもそれに対応できる追従性を有し、耐屈曲疲労性に優れ、また波浪などによる変形を受けても元の形状への復元性に優れるといった利点がある。
メッシュ状体15をシート14に積層して一体化するための構成について説明する。シート14には、シート14と同じ素材を用いて、図5に示すような、ロープ通し孔29を備えた接合部材30が、熱融着などによって一体的に取り付けられている。この接合部材30は、シート14において、メッシュ状体15の形状に対応した複数の位置に設けられている。そして、この接合部材30のロープ通し孔29に通される樹脂ロープ31をメッシュ状体15の目の部分にも通したり、あるいはメッシュ状体15に設けたフックに引っ掛けたりすることによって、メッシュ状体15をシート14に結束して積層一体化することができる。
図2に示すシート14のはみ出し部18に隣のマット11の端部19を重ねるときも、両者を樹脂ロープで結束することで、隣り合うマット11、11どうしを接合することができる。
同様に、メッシュ状体15の先端部分16によって重錘17を包み込んだうえで、メッシュ状体15の目に樹脂ロープを通すことによって、この重錘17を保持することができる。
シート14とメッシュ状体15とを積層した洗掘防止マットは、重錘17を包み込んだ部分を除いてロール状に巻くことができ、使用しないときは、そのロール状に巻いた部分と、重錘17を包み込んだ部分とが並ぶように配置したコンパクトな状態で保管することができる。また、重錘17は、水中への設置現場の近傍でメッシュ状体15の先端部分16によって包み込むことができ、その場合は、重錘17を包み込むまでは、シート14とメッシュ状体15とを全長にわたってロール状に巻いておくことができ、このため、いっそうコンパクトな状態で保管や運搬を行うことができる。
以上の構成の洗掘防止マット11を用いることで、従来のように金網を用いる場合に比べて、柔軟であることから海底1などの水底への追従性が良好であり、このため設置作業が容易であり、熱処理により剛性が付与されているために水底での折れ曲がり等の変形が生じにくく、安定した平面状の形態を保持でき、また錆びの発生などがないなどの利点を得ることができる。
また、上述のように、重錘17を、複数のコンクリートブロック20の端面どうしを金具で連結した構成とすることによって、この重錘17も、海底1などの水底への追従性に優れたものとすることができる。
本発明の実施の形態の洗掘防止マットの使用状態を示す図である。 同洗掘防止マットを示す図である。 メッシュ状体の拡大詳細図である。 メッシュ状体を構成する繊維の構造を示す図である。 メッシュ状体をシートに結束するための接合部材を示す図である。
符号の説明
11 洗掘防止マット
14 シート
15 メッシュ状体
17 重錘
27 芯部
28 鞘部

Claims (7)

  1. 樹脂製のシートと、樹脂製のメッシュ状体とが積層されたものであることを特徴とする洗掘防止マット。
  2. メッシュ状体がシートに結束されたものであることを特徴とする請求項1記載の洗掘防止マット。
  3. マットの先端部において、メッシュ状体によって重錘が包まれていることを特徴とする請求項1または2記載の洗掘防止マット。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の洗掘防止マットに使用される樹脂製のメッシュ状体であって、少なくとも表面の一部に熱融着性樹脂が露出した単数あるいは複数の繊維により形成された糸にて織編されたものであるとともに、熱処理によって熱融着性樹脂同士が熱融着しているものであることを特徴とする洗掘防止マットのためのメッシュ状体。
  5. 繊維は、熱融着性樹脂が鞘部に配された芯鞘型の断面構造を有し、前記鞘部の熱融着性樹脂は、芯部の樹脂よりも融点が10℃以上低いことを特徴とする請求項4記載の洗掘防止マットのためのメッシュ状体。
  6. 繊維は、芯部が極限粘度0.6〜1.0の高粘度ポリエステルにて形成されるとともに、鞘部が融点100〜200℃の低融点ポリエステルにて形成されていることを特徴とする請求項5記載の洗掘防止マットのためのメッシュ状体。
  7. 経糸と緯糸とで構成され、緯糸挿入ラッシェル編み機で編網されたものであることを特徴とする請求項4から6までのいずれか1項記載の洗掘防止マットのためのメッシュ状体。
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