JP2009084192A - 体内時計正常化効果を有する組成物 - Google Patents

体内時計正常化効果を有する組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性が高く、かつ簡便な方法により体内時計の正常化効果及び睡眠改善効果を発揮し得る組成物を提供する。
【解決手段】クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体を含有することを特徴とする体内時計正常化効果又は睡眠改善効果を有する組成物を要旨とするものであり、好ましくは、クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体が、温州みかん、温州みかん加工物、温州みかんの酵素処理物及び温州みかんの溶媒抽出物からなる群から選ばれる1以上のものに由来するものである。また、体内時計の乱れが原因となる疾病である時間帯域変化症候群(いわゆる時差ぼけ)、交替勤務性睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)、非24時間睡眠覚醒症候群、睡眠相前進症候群(ASPD)などの予防・治療剤として用いられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、飲食品又は医薬品に用いることができる体内時計正常化効果を有する組成物及び睡眠改善効果を有する組成物に関するものである。
生物はラン藻類からヒトにいたるまで様々な生体リズムを有しており、それに従ってさまざまな生命活動を営んでいる。例えば睡眠/活動パターンを含む概日リズムはサーカディアンリズムとも呼ばれ、ヒトを含む多くの動物・植物に見出すことができる。このような生体のリズムの基準となるのが体内時計である。
地球上の生物は地球の自転周期である24時間を単位とする環境で生活している。そのため通常の環境下では体内時計も概ね24時間の周期で動いている。しかし哺乳動物の多くの体内時計は25時間周期であり、一定の刺激によりこれが24時間周期でリセットされることが知られている。またこれとは逆に、海外旅行などに見られる急激な生活環境時間の変化や慢性的な生活習慣の乱れは体内時計を狂わせてしまうことはよく知られた現象である。
海外旅行の際の体内時計の乱れは、俗に「時差ぼけ」と呼ばれ、急激な生活時間の変化に体内時計の調節が追いつかないために起こる。また慢性的な夜更かしや深夜の飲食などは健康な睡眠リズムを乱し、体内時計を狂わせる。その結果、スムーズな入眠、深い眠り、さわやかな目覚めなどが妨げられるなど睡眠の質が低下し、これにより日中に激しい眠気に襲われるなどしてQOLが一時的に低下することは誰しも経験があることであろう。これが高じると社会的生活が困難となるほどの生活パターンの乱れを引き起こすこともまれではない。
これまでに明らかとなっている体内時計のメカニズムとしては光刺激が有名である。目から入った光刺激は網膜を通じて視交叉上核に伝達され、松果体のメラトニンの産生を調節することで体内時計を調整(リセット)している。不眠症の患者には起床後に太陽の光を浴びることが推奨されるのはこのためである。またこれとは逆に、深夜でも強い光を浴び続けることは体内時計の乱れを誘発することも明らかとなっている。
近年の研究により、生物には一定のサイクルを持って活動する「時計遺伝子」の存在が明らかとなった。特に高等生物では時計遺伝子は脳だけでなく肝臓、筋肉、肺、心臓などにも存在し、これらの体内時計の刻む時間が異なっている、すなわち同調していないことが生体に様々な不調を誘発することもわかってきた。先に述べた睡眠の質の低下や睡眠障害はその一形態に過ぎない。
現代の生活は体内時計の乱れを引き起こす危険性にあふれている。例えば、先にも述べた海外旅行による生活時間帯域の急激な変化、交代番勤務による睡眠時間帯の変化による不調がある。また慢性的な夜更かしや朝寝坊により体内時計が狂い、睡眠時間帯が後退してしまう睡眠相後退症候群や逆に睡眠時間帯が極端に早まってしまう睡眠相前進症候群では一般的な社会生活に相当の支障をきたすものである。
このように体内時計の乱れは体調不良や社会生活に支障をきたすため、乱れた体内時計の正常化のための種々の試みがなされてきた。高照度光照射による治療は有名であるが、そのほかにも例えば、膝の後ろの脚面に時間帯を変えて光を当てることにより体内時計を調節する方法(特許文献1参照)がある。また「特定の物質」を経口摂取することにより体内時計を正常化する方法も提唱されている。「特定の物質」としては例えばメラトニン様物質(例えば、特許文献2、3参照)、神経伝達物質であるタキキニンのアンタゴニスト(例えば、特許文献4参照)や各種の新規薬剤(例えば特許文献5、6)の摂取などが挙げられる。
また睡眠の質を改善するものとして、抗ヒスタミン作用を有する塩酸ジフェンヒドラミンを含有する睡眠改善薬(例えば、エスエス製薬の「ドリエル」)が市販されているが、ジフェンヒドラミンにはめまい、耳鳴り、食欲不振などの副作用があることが知られており(非特許文献1)、必ずしも安全な薬剤とはいえない。
それ以外の睡眠改善剤としては香気成分によるもの(例えば、特許文献7)や、ビタミンB12類を有効成分とするもの(例えば、特許文献8)や抗ヒスタミン剤にビタミンB12類を配合する方法(特許文献9)などのほか、プロバイオティクスによるもの(例えば、特許文献10)などがある。
これらの方法は一定の効果を有するが、装置あるいは経口摂取物が高価である、あるいは摂取量,副作用などの面で安全性が十分に確保されているとは言い難いなど、誰もが安全、簡単に効果を享受できる方法ではなかった。
特開平11−235385号公報 特開平8−268987号公報 特開2003−81829号公報 特表2000−514455号公報 特開2007−56017号公報 特表2007−509031号公報 特表2007−197334号公報 特表2006−321742号公報 特表2006−321743号公報 特表2006−160697号公報 Goodman & Gilman’s, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Edition, p645-667 (2001)
本発明は、安全性が高く、かつ簡便な方法により体内時計の正常化効果及び睡眠改善効果を発揮し得る組成物を提供することを目的とする。また本組成物を含有する飲食品および医薬品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カロテノイドの一種であるクリプトキサンチン及び/又はそのエステル体が良好な体内時計正常化効果と睡眠改善効果を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体を含有することを特徴とする体内時計正常化効果を有する組成物を要旨とするものであり、好ましくは、クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体が、温州みかん、温州みかん加工物、温州みかんの酵素処理物及び温州みかんの溶媒抽出物からなる群から選ばれる1以上のものに由来するものである。
別の本発明は、クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体を含有することを特徴とする睡眠改善効果を有する組成物を要旨とするものであり、好ましくは、クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体が、温州みかん、温州みかん加工物、温州みかんの酵素処理物及び温州みかんの溶媒抽出物からなる群から選ばれる1以上のものに由来するものである。
また別の本発明は、上記した本発明の組成物を含有することを特徴とする飲食品又は医薬品を要旨とするものである。
本発明によれば、現代人において乱れがちな体内時計を安価かつ安全に正常化しうる組成物を提供し、良質な睡眠を提供することができる。また本発明の組成物を飲食品、又は医薬品の形態で摂取することにより、乱れた体内時計の正常化し、睡眠の質を改善させ、もって心身の健康を増進することができる。特に、本組成物の有効成分であるクリプトキサンチン/又はそのエステル体を温州みかんから得ることにより、本発明の効果を安価かつ簡便に得ることができる。
本発明におけるクリプトキサンチン及び/又はそのエステル体とは特に限定されるものではなく、例えばα−クリプトキサンチン、β−クリプトキサンチン及びこれらの脂肪酸エステルが挙げられる。脂肪酸長も特に限定されるものではないが、例えばラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)などの脂肪酸エステルが挙げられる。
これらクリプトキサンチン及び/又はそのエステル体は、温州みかん、柿、パパイヤ、マンゴーなどに含まれていることが知られているが、本発明においてはその供給源として、生産量が多く、日本古来の果物である温州みかんに由来するものが好ましい。温州みかんは生の果実だけでなく温州みかんの加工品及びその中間体も用いることができる。加工品及びその中間体としては、温州みかんからジュースを絞った後の残渣、残渣の乾燥物、残渣の酵素処理物、温州みかんからの溶媒抽出物などを用いることができる。中でも残渣にセルラーゼなどの酵素を作用させた温州みかん残渣の酵素処理物は食物繊維が可溶化・除去により容積の減少が可能であり、好適である。またこの酵素処理温州みかん残渣の乾燥物はさらに好適である。
温州みかんの搾汁残渣を得るには、温州みかんの果実を、インライン搾汁機、チョッパーヘルパー搾汁機、ブラウン搾汁機などにより搾汁した後、パドル型又はスクリュー型のフィニッシャーなどでろ過又は篩別、又は遠心分離により果汁を調製し残った搾汁残さを集めることにより調製される。
温州みかんの酵素処理物を製造するために使用する酵素は、温州みかんに含まれる有機物、特に細胞壁などを構成する生体高分子などを分解することができるものであれば特に限定されず、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、マセレーションエンザイム(細胞壁崩壊酵素)などが用いられる。これらの中でも糖質加水分解酵素であるセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、マレーションエンザイムが有効成分であるクリプトキサンチンを強化する効率が高いために好ましい酵素である。添加する酵素剤は、これらの精製酵素を用いてもよいし、これらの活性を示す微生物菌体や培養物、これらの粗精製物を用いてもよい。また、市販酵素も用いることができ、例えば、ペクチナーゼには、スミチームPX(新日本化学工業株式会社製)、スミチームSPC(新日本化学工業株式会社製)、ペクチネックスSRL(ノボザイムズジャパン株式会社製)、スミチームPMAC(新日本化学工業株式会社製)などを用いることができ、ヘミセルラーゼには、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)、セルロシンHC(エイチビィアイ株式会社製)などを用いることができ、セルラーゼには、セルラーゼY−NC(ヤクルト薬品工業株式会社製)、エンチロンMCH(洛東化成工業株式会社)、セルラーゼR10(ヤクルト薬品工業株式会社製)、スミチームCAP(新日本化学工業株式会社製)、セルラーゼTP−3(協和化成株式会社)などを用いることができ、プロテアーゼには、プロテアーゼM(天野エンザイム株式会社製)、オリエンターゼ20A(エイチビィアイ株式会社製)などを用いることができる。
これらの酵素は単独で用いてもよいし、2種類以上の酵素を混合して用いてもよい。
添加する酵素の量は、特に限定されず酵素の反応性に応じて添加すればよい。例えば、ペクチナーゼを用いた場合であれば、温州みかん100gに対して1〜100,000ユニットであることが好ましく、更に10〜10,000ユニットであることが好ましい。
上記酵素を添加したのち、攪拌などにより酵素と搾汁残渣を均一に混合して酵素反応を進行させる。このときの反応温度としては、酵素が失活せず、かつ腐敗の起こりにくい条件、またクリプトキサンチンが喪失しない条件下で行うことが望ましい。具体的には、温度は0℃〜90℃、好ましくは0℃〜80℃、さらに好ましくは0℃〜70℃がよい。反応のpHとしては酵素の至適条件下で行うのが望ましいのは言うまでもなく、pH2〜12、好ましくはpH2.5〜8とするのがよい。反応時間は使用する搾汁残渣と酵素の量に依存するが、通常1〜48時間に設定するのが作業上好ましい。反応の際、この反応物を攪拌しながら反応を行ってもよいし、静置反応でもよい。
酵素処理終了後、酵素処理された反応物そのままを用いてもよいし、なんらかの加工を行ったものを用いてもよい。具体的には、反応物を固液分離した残渣、固液分離した残渣を乾燥させたもの、固液分離せず反応物そのままを乾燥させたものなどを用いてもよい。また、酵素処理反応物を固液分離し、更に水を添加した後、再度固液分離することにより、酵素処理で生成した糖などの反応生成物を容易に除去することができる水洗浄法を用いると、不純物を簡単に取り除けるため好ましい。
本発明における温州みかんの溶剤抽出物とは、温州みかん及び/又は温州みかんの酵素処理物から溶剤及び/又は超臨界二酸化炭素などを用いてクリプトキサンチンを含む成分を抽出したものである。抽出に用いる溶剤としては、原料である温州みかん又はその加工品より体内時計正常化効果を持つ画分が得られ、本発明の効果を損なうものでなければいかなるものでもよい。また、一種類の溶媒を単独で用いても複数の溶媒を混合して用いてもよい。そのような溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類、ピリジン類等が使用できる。これらのうち、エタノールは抽出されるβ-クリプトキサンチンが多く好ましい。また、これらの有機溶媒で抽出する際には抽出効率をあげるために例えば水、界面活性剤等の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で加えることができる。さらに、上記有機溶媒による抽出のほか、近年注目を浴びている技術である超臨界抽出法も利用することができる。
更に、引き続いて加工を行い不純物類を取り除きクリプトキサンチンの純度を上げることもできる。例えば、濃縮、脱塩、分配精製、カラムクロマトグラフィーなどを用いることができる。また粉末化や乳化といった、抽出物の形状を変える処理も用いることができる。さらにこれらの方法を単独で行うばかりではなく、複数の方法を組み合わせて実施してもよい。
本発明の組成物に含まれるクリプトキサンチンの量は特に限定されず、例えば組成物の質量100gに対し10pg〜10g含まれていればよい。中でも100pg〜1gが好適であり、10ng〜500mgは更に好適である。
本発明の組成物が効果を及ぼす不調・疾病としては体内時計の乱れが原因となるものであれば特に限定はしないが、主なものとしては、時間帯域変化症候群(いわゆる時差ぼけ)、交替勤務性睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)、非24時間睡眠覚醒症候群、睡眠相前進症候群(ASPD)などを挙げることができる。またこのような疾病に至る前にも頻繁に見られる一過性の不眠症状、すなわち環境の変化やストレスなどによる入眠・覚醒不良、浅い眠りなどの一時的睡眠障害なども挙げることができる。
本発明の組成物の効果としては、上記の不調、疾病の症状を緩和・治療するのみならず、これらの症状の予防に対しても効果として発揮しうる。
また本発明の組成物には、本発明の効果を維持・促進しうる他の成分を混合してもかまわない。混合可能な物質としては、例えば抗酸化剤、ビタミン類、γ‐アミノ酪酸(GABA)などのアミノ酸類、クエン酸などの有機酸類、カゼインなどのたんぱく質・ペプチド類及び種々の植物抽出物等が挙げられる。これらの混合量については、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されるものではない。
本発明の飲食品とは、上記組成物を配合した、食料品、飲料品、嗜好品、サプリメント等、経口で摂取するものを指す。その形態は特に限定されるものではなく、パン類、麺類等主菜となりうるもの、チーズ、ハム、ウインナー、魚介加工品等副菜となりうるもの、果汁飲料、炭酸飲料、乳飲料等の飲料、クッキー、ケーキ、ゼリー、プリン、キャンディー、ヨーグルト等の嗜好品等とすることができる。また、サプリメントとしての形態も特に限定されるものではなく、錠剤、カプセル、ソフトカプセル、栄養ドリンク等の形態をとることもできる。
本発明の飲食品への上記組成物の配合量は、β-クリプトキサンチンの配合量として、特に限定されるものではなく、例えばクリプトキサンチンが飲食品の質量100gに対し10pg〜10g含まれていればよい。中でも100pg〜1gが好適であり、10ng〜500mgは更に好適である。
また本発明の医薬品とは、上記組成物を配合した錠剤、飲料、噴霧吸入などの形状のものを指すが、その形態は特に限定されるものではなく、本発明の目的とする体内時計の正常化効果を発揮しうるものであればいかなる形態でもかまわない。
本発明の医薬品への上記組成物の配合量は、β-クリプトキサンチンの配合量として、特に限定されるものではなく、例えばクリプトキサンチンが医薬品の質量100gに対し10pg〜10g含まれていればよい。中でも100pg〜1gが好適であり、10ng〜500mgは更に好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
β−クリプトキサンチンの測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた。HPLC装置として、島津製作所製LC−10Aを用い、ウォーターズ社製ResolveC18(φ3.9×150mm)カラムを接続し、メタノールを等量加えた試料を導入した。移動相には、メタノール:酢酸エチル=7:3、カラム温度30℃、流速1.0ml/min、検出波長450nmで含有量を分析した。
実施例1
温州みかんの搾汁残渣(500g)を凍結乾燥し、ナイフ式粉砕機(Retsch社、GM200)にて5分間粉砕後、300メッシュの篩を通過する粉砕物(組成物1)50gを得た。組成物1中のβ−クリプトキサンチン濃度はフリー体換算で200μg/gであった。
実施例2
前記の組成物1の20gに対し500mlのエタノールを添加し、室温で2時間かくはん後に固形分をろ過・除去してろ液(組成物2)480mlを得た。組成物2中のβ−クリプトキサンチン濃度はフリー体換算で5μg/mlであった。
実施例3
前記の組成物1の50gに対し500mlのエタノールを添加し、室温で2時間かくはん後、ろ過してみかん抽出液480mlを得た。
得られた抽出液100mlに100mlの10%(w/v)γ-シクロデキストリン水溶液と300mlの蒸留水を加えて室温で30分撹拌した後、凍結乾燥・粉砕して組成物3を得た。組成物3にはβ−クリプトキサンチンがフリー体換算で1.0mg/g含まれていた。
実施例4
次に示す製法により、本発明の飲食品の一態様であるソフトカプセルを製造した。
成分 配合量(100g中)
1)組成物1 50g
2)サフラワー油 50g
製法:1)と2)を均一に混合後、ゼラチン、蜜蝋などからなるソフトカプセル包材内に200mg/錠で充填する。
実施例5
次に示す製法により、本発明の飲食品の一態様である錠剤を製造した。
成分 配合量(100g中)
1)組成物2 5000mg
2)マルチトール 50.0g
3)結晶セルロース 31.0g
4)ショ糖脂肪酸エステル 8.0g
5)ビタミンC 10.0g
6)甘味料 適量
7)酸味料 適量
8)香料 適量
製法:1)から8)を均一に混合して、常法により顆粒状にした後、0.5g/錠で打錠する。
実施例6
次に示す製法により、本発明の飲食品の一態様であるドリンク剤を製造した。
成分 配合量(100mL中)
1)組成物3 200mg
2)ハチミツ 320mg
3)環状オリゴ糖 600mg
4)γ−アミノ酪酸 100mg
5)甘味料 適量
6)酸味料 適量
7)保存料 適量
8)香料 適量
9)水 残余
製法:9)に1)から8)を順次添加する。
試験例1〔明暗サイクル変更による飲水量の変化〕
ICRマウス(日本クレア株式会社)20匹を午前11時〜午後11時を明時間、午後11時〜午前11時を暗時間とする明暗サイクルとして、通常飼料(CRF-1:オリエンタル酵母)で2週間飼育し、この明暗サイクルに完全に馴化させた。馴化後、10匹は上記通常飼料に実施例1で得られた組成物1を1%加えた飼料に変更(試験食群)し、残りの10匹は通常飼料のまま(対照食群)で、明時間/暗時間の切り替え時刻を3時間早めて、明時間を午前8時〜午後8時、暗時間を午後8時〜午前8時とする明暗サイクルに変更した。明暗サイクル変更後2週間のマウスの活動性の変化を、午前8時から午前11時の飲水量の変化を元に評価した。
なお、ICRマウス(日本クレア株式会社)8匹を午前8時〜午後8時を明時間、午後8時〜午前8時を暗時間とする明暗サイクルとして、通常飼料(CRF-1:オリエンタル酵母)で4週間飼育したときの3週間目と4週間目の午前8時から午前11時の飲水量を100%とした。
結果を図1に示した。組成物1を加えた飼料を与えたマウスでは6日目にほぼ100%になったのに対し、通常飼料のままで飼育したマウスでは12日目で100%に達した。このことから、組成物1を摂取することで明暗サイクルに早く順応し正常化したものと考えられる。
試験例2〔深夜勤務から通常勤務へ移行後の体温日変動〕
実施例1で得られた組成物1を1粒に100mg含有する、実施例4記載のソフトカプセル(試験食1)を作成した。
勤務時間が深夜勤務(23時〜7時)から通常勤務(9時〜17時)に移行する交替番勤務者20名を被験者とし、通常勤務に移行してから1週間を試験期間とした。10名には通常勤務へ移行した初日から1週間、試験食1を毎日4粒ずつ摂取させ(試験食群)、残りの10名には組成物1を含有しないソフトカプセルを同様に摂取させてプラセボとした(プラセボ群)。そして、通常勤務へ移行した初日と1週間後における被験者の起床時(午前7時)から正午までの1時間ごとの体温変化を測定した。なお、試験食1又はプラセボを摂取していない通常勤務の専属者10名における起床時(午前7時)から正午までの体温変化を対照とした(対照群)。
試験食1を摂取させた被験者の通常勤務以降後の初日と1週間後の体温変動を対照と併せて図2に示した。また、プラセボの結果を対照と併せて図3に示した。
図2から分かるように試験食1を摂取させた被験者においては、摂取1週間後の起床時から正午までの体温は初日よりも高く、対照と同程度の正常な体温変化になっていた。これに対し図3から分かるように試験食1を摂取させないプラセボ被験者においては、起床時から正午までの体温は初日よりは高いものの対照に比べればまだ低く、朝の目覚めが不順である、すなわち体内時計が十分に回復しきっていないことが示唆された。
また、上記の被験者に対し、初日と1週間目にアンケート調査により体内時計の回復度合いを調査した。アンケート項目は「目覚めの良さ」、「昼間の眠さ」、「寝つきの良さ」の3項目とし、5を「普通」とする1(非常に悪い)から10(非常によい)の点数(スコア)で回答してもらった。結果を図4に示した。このアンケート結果からも、試験食1を摂取した被験者は、体内時計の回復が順調であるのに対し、プラセボ被験者はまだ十分に回復していないことが伺えた。
試験例3〔正向反射消失までの時間及び正向反射消失持続時間〕
ICRマウス(日本クレア株式会社)30匹を通常飼料(CRF-1:オリエンタル酵母)で2週間馴化飼育した。10匹には実施例3で得られた組成物3を生理食塩水に溶解して1mg/Kgとなるよう経口投与して試験群とし、その後60分後にペントバルビタールナトリウム35mg/Kgを腹腔内投与した後、正向反射消失までの時間(睡眠導入時間)と正向反射消失持続時間(睡眠持続時間)を測定した。また10匹に対し組成物3の代わりに生理食塩水のみを投与したものを対照群とした。さらに10匹に対し組成物3の代わりに塩酸ジフェンヒドラミン(10mg/Kg)を投与したもの(比較群)について同様に測定した。
正向反射消失までの時間についての結果を図5に、正向反射消失持続時間についての結果を図6に示した。図より、組成物3の摂取により正向反射消失までの時間(=睡眠導入時間)が短縮し、正向反射消失維持時間(=睡眠持続時間)の延長が認められた。塩酸ジフェンヒドラミンには睡眠改善効果を有することが知られているが、これを投与した比較群には試験食群ほど顕著な効果は認められなかった。これらより、組成物3の経口投与は入眠時間の短縮と睡眠時間の延長効果が認められた。
試験例4〔睡眠に関するアンケート調査〕
「寝つきが悪い」等の自己申告があった女性30名を被験者とした。10名には試験例2で使用した試験食1を朝食後に4粒、1週間摂取してもらい、摂取前と摂取1週間後に睡眠に関するアンケートを行った(試験食群)。また、10名には試験例2で使用したプラセボを朝食後に4粒(プラセボ群)、さらに10名には50mgの塩酸ジフェンヒドラミンを就寝前に摂取してもらい(比較群)、同様に睡眠に関するアンケートを行った。アンケートは「寝つきの良さ」「目覚めの良さ」「熟睡感」の3項目とし、5を「普通」とする1(非常に悪い)から10(非常によい)までの点数(スコア)で回答してもらった。
結果を図7に示した。試験食1を摂取することにより、塩酸ジフェンヒドラミンの摂取と同等以上に被験者の睡眠感を改善したことがわかる。
マウスにおける明暗サイクル変更後の飲水量(午前8時〜午前11時)の日変化を示す図である。 深夜勤務から通常勤務へ勤務時間を変更した場合の午前中の体温変動(組成物摂取)を示す図である。 深夜勤務から通常勤務へ勤務時間を変更した場合の午前中の体温変動(組成物摂取なし)を示す図である。 深夜勤務から通常勤務へ勤務時間を変更した場合の睡眠に関するアンケート結果を示す図である。 マウスにおける正向反射消失までの時間を示す図である。 マウスにおける正向反射消失維持時間を示す図である。 睡眠に関するアンケート結果を示す図である。

Claims (5)

  1. クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体を含有することを特徴とする体内時計正常化効果を有する組成物。
  2. クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体を含有することを特徴とする睡眠改善効果を有する組成物。
  3. クリプトキサンチン及び/又はそのエステル体が、温州みかん、温州みかん加工物、温州みかん抽出物、温州みかんの酵素処理物及び温州みかんの溶媒抽出物からなる群から選ばれる1以上のものに由来するものである請求項1又は2記載の組成物。
  4. 請求項1又は2のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする飲食品。
  5. 請求項1又は2のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする医薬品。
JP2007255161A 2007-09-28 2007-09-28 体内時計正常化効果を有する組成物 Active JP5356667B2 (ja)

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