JP2009084124A - 鉄砒素化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非鉄製錬中間産物等に含まれる砒素を結晶質のスコロダイト型鉄砒素化合物として固定する反応に、種晶を使用するプロセスにおいて、その種晶の生成工程を短縮すると共に、このプロセスで発生する洗浄液量を削減する合理的な方法を提供する。
【解決手段】 工程A;5価の砒素と2価の鉄が溶解している水溶液に酸化剤を加え、予め得られているスコロダイト型鉄砒素化合物を種晶として鉄砒素化合物を合成し、スコロダイト含有スラリーを得る工程、工程B;前記スラリーを固液分離して、スコロダイト含有残渣を回収する工程、工程C;前記スコロダイト含有残渣を洗浄する工程を実施する際に、工程Bで回収されたスコロダイト含有残渣の一部、または工程Aで得られたスコロダイト含有スラリーの一部を、その後に行われる工程Aの種晶として利用する、鉄砒素化合物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、砒素含有水溶液から砒素が溶出しにくいスコロダイト型鉄砒素化合物を製造する方法に関する。
非鉄製錬においては、各種製錬中間物が発生し、また様々な形態の製錬原料となり得るものが存在する。これらの製錬中間物や製錬原料は種々の有価金属を含有しているが、なかには溶出すると環境衛生上好ましくない砒素を比較的多く含有するものもある。このような砒素含有物質を保管あるいは廃棄する場合には、砒素が溶出しないように処理する必要がある。
これまで砒素の処理法として、酸あるいはアルカリを用いて液中に砒素を浸出した後、鉄やカルシウムなどを組み合わせて砒素化合物とし、安定固定化する手法が提案されている。砒素を含有する化合物の安定化について、以下のような技術が知られている。
特許文献1には、砒素を含む製錬中間物から砒素を浸出し、砒酸溶液として砒素を回収する方法が記載されている。
特許文献2には、製錬煙灰に含まれる砒素を対象としたスコロダイトの生成方法が記載されている。
非特許文献1はスコロダイトの生成方法について述べられているが、特に種晶の種類を変更したものについて言及している。
ここで、スコロダイトはFeAsO4・2H2Oで表される結晶性の鉄砒素化合物であり、スコロダイト中の砒素は一定の条件下、土壌環境中で非常に溶出しにくいことが知られている。
特公昭61−24329号公報 特開2005−161123号公報 Demopoulos, G.P., Lagno, F., Wang, Q. and Singhania, S., 2003. "The Atmospheric Scorodite Process". Copper 2003, Riveros, P.A., Dixon D., Dreiginger, D.B., Menacho, J., Eds., Santiago, Chile, 597-616
これまでに本発明者らは砒素を安定固定化する技術に関して特願2006−126896など4つのプロセスを提案してきた。これらは、砒素溶液に2価の鉄塩を添加し、大気圧下で酸素ガスを吹き込みながら、95℃で撹拌することで、砒素を、粗大化したろ過性の良い結晶性スコロダイトとして固定することができると共に、環境省告示13号に規定される溶出試験において溶出砒素濃度を基準値である0.3mg/L以下に抑制できることを示した。
さらに、特願2007−185053では、スコロダイト合成反応時に「種晶」として既に得られたスコロダイト結晶を添加することにより、反応開始時に生成する微粒子スコロダイトによるゲル化が抑制されると共に、反応温度の低下、反応時間の短縮が可能になることを示した。
上記において開示した種晶を使用するプロセスは、スコロダイト合成反応後のスラリーを固液分離した後、固形分をパルプ濃度にして100g/Lとなるようリパルプして水洗し、固液分離することにより得られた「洗浄後のスコロダイト型鉄砒素化合物」の一部を種晶として使用するものであった。しかし、ここで発生する水洗液は10mg/L前後の砒素を含んでおり、排水基準(砒素濃度0.1mg/L以下)を超えているため、別途排水処理が必要となる。そのため、水洗液量は少ないほど好ましい。また、スコロダイト合成反応後の溶液も、相当量の砒素を含んだ液が発生し、別系統で更なる砒素処理がなされる。そのため、別系統で処理されるスコロダイト反応后液の発生量も少ないほど好ましい。
本発明は上述の状況の下でなされたものであり、その解決しようとする課題は、非鉄製錬中間産物等に含まれる砒素を結晶質のスコロダイト型鉄砒素化合物として固定する反応に、種晶を使用するプロセスにおいて、その種晶の生成工程を短縮すると共に、このプロセスで発生する洗浄液量および反応后液の処理量を削減する合理的な方法を提供する。
上記課題は、
工程A; 5価の砒素と2価の鉄が溶解している水溶液に酸化剤を加え、予め得られているスコロダイト型鉄砒素化合物を種晶として鉄砒素化合物を合成し、スコロダイト含有スラリーを得る工程、
工程B; 前記スラリーを固液分離して、スコロダイト含有残渣を回収する工程、
工程C; 前記スコロダイト含有残渣を洗浄する工程、
を経ることにより、洗浄されたスコロダイト型鉄砒素化合物を製造するプロセスにおいて、
(1)工程Bで回収されたスコロダイト含有残渣の一部を、その後に行われる工程Aの種晶として利用する、鉄砒素化合物の製造方法、あるいは
(2)工程Aで得られたスコロダイト含有スラリーの一部を、その後に行われる工程Aの種晶として利用する、鉄砒素化合物の製造方法、
によって達成される。
本発明によれば、種晶を使用するスコロダイト型鉄砒素化合物の製造プロセスにおいて、洗浄するスコロダイトの量、および洗浄液量の削減など、洗浄に対する負荷を低減することが可能になる。
図1に、本発明の対象となる鉄砒素化合物製造プロセスの処理フローを例示する。
このフローにおいて、(2−2)、(2−3)、(2−4)と示される工程が本発明でいう「工程A」に相当する部分、(2−5)と示される工程が本発明でいう「工程B」に相当する部分、(2−7)、(2−8)と示される工程が本発明でいう「工程C」に相当する部分である。
工程Aはスコロダイト型鉄砒素化合物を合成する反応工程であり、この反応を開始する際に種晶を使用する。特願2007−185053などに開示したように、砒素液と鉄塩を混合した後、種晶としてスコロダイト結晶粒子を添加することにより、反応初期に見られる微粒子の生成によるゲル化が抑制され、処理時間の短縮化が可能になると共に、80℃以下の反応であっても溶出基準を満たす粗大な結晶性スコロダイトを得ることができる。ただし、ここでは工程Cの洗浄を終えた固形分(2−9)を(X)と示したルートにより、その後に行われる工程Aでの種晶として利用することを開示した。
本発明では、(X)のルートに代え、(1)と示したルートまたは(2)と示したルートにより、その後に行われる工程Aに種晶を供給する。
以下において、「反応元液」とは、スコロダイト生成反応に供するために酸化剤を添加する直前の段階にある、5価の砒素イオン、2価の鉄イオンおよび種晶を含有する液をいう。「反応后液」とは、スコロダイト生成反応を終えたスラリーを構成する液(固液分離によって固形分と分離される液)をいう。「種晶物質」とは、種晶として供給するスコロダイト型鉄砒素化合物の粒子を含有する物質(固形残渣やスラリー)をいう。本発明で適用する種晶物質にはその種晶(スコロダイト)を合成したチャージからの反応后液が含まれている。「被処理液」とは、種晶物質を添加する前の段階にある、5価の砒素イオンおよび2価の鉄イオンを含有する液であり、これは反応元液のうち種晶物質を構成する成分を除いた部分と見ることができる。
(1)のルートは、工程Aのスコロダイト生成反応(2−4)を終えた「スコロダイト含有スラリー」を固液分離(2−5)に供し、ここで回収された「スコロダイト含有残渣」の固形分(2−6)の一部を、その後に行われる工程Aに種晶として供給するものである。リパルプ・洗浄(2−7)を受ける前に、種晶物質が採取されるので、迅速にその後のチャージに利用することができ、スコロダイトをストックヤードに多量に保存しておく必要がなくなる。
(2)のルートは、工程Aのスコロダイト生成反応(2−4)を終えた「スコロダイト含有スラリー」をそのまま種晶物質として利用するものである。この場合、反応后液の一部もスラリーとしてその後の工程Aに投入されるが、後述のように、特に問題とならない。むしろ(2)のルートの場合は、反応容器中にスラリーの一部を残留させておく手法が採用できるので、次チャージの種晶としてすぐに利用できるメリットが大きい。
以下に各工程について説明する。
〔砒素液の作成〕
砒素液(5価の砒素イオンが存在する水溶液)の作成には、製錬工程などから発生する砒素含有物質から、酸化浸出またはアルカリ浸出などにより、砒素を液中に浸出したものを使用することができる。酸化浸出では通常3価(プラス)の砒素イオンが存在する液となるが、その場合は事前に5価に酸化する処理に供することによって砒素液を作成する。酸化剤としては過酸化水素、二酸化マンガンや、SO2とO2の混合ガスなどを用いることができる。
実操業においては、生産性を考慮すると砒素濃度が高いほうが好ましいが、高濃度化するためには別操作を必要とするためコストがかかる。これらのことから、砒素濃度は50g/L程度とすればよく、具体的には10〜80g/Lの範囲のものが好適に利用できる。
〔鉄塩との混合〕
砒素液に2価の鉄イオンとなる塩類を添加する。本手法において用いる塩類としては、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄などが考えられる。非鉄製錬で生じる砒素含有中間物の多くは硫黄分を含有しているため、浸出して作成した砒素液には硫酸塩が含まれていると考えられる。そのため、使用する鉄塩は硫酸第一鉄七水和物などが一般的である。鉄塩は固形分として、あるいは一度水に溶解してから加えても問題ない。
硫酸第一鉄七水和物を使用した場合、スコロダイト生成反応(鉄砒素反応)は代表的には以下のようになる。
2FeSO4 + 2H3AsO4 + 1/2O2 + 3H2
→ 2FeAsO4・2H2O + 2H2SO4
このように、砒素と鉄は等モル比で反応することから、処理する砒素と鉄の割合も等モル比近傍とするか若干鉄を過剰に添加するのがよい。しかし、未反応分の鉄は溶液中に残存するだけなので、大過剰に加えても意味がない。種々検討の結果、鉄砒素比率Fe/As(モル比)が0.9〜2程度好ましくは1.2〜1.5程度の鉄砒素混合溶液を作ることが望ましい。
〔種晶添加〕
鉄砒素混合溶液に種晶を添加する。酸化反応を開始する段階で種晶が存在していればよいので、砒素液に種晶を添加してから鉄塩を添加しても構わない。スコロダイト合成反応開始直後に見られる微粒子生成によるゲル化を抑制する効果を享受するには、5g/L以上の種晶を添加することが望まれる。種晶添加量が増加するにつれて、ゲルの消失時間が早くなり、25g/L以上の添加でゲルの発生をほぼ完全に抑制することができる。また、種晶添加量が多いほど、より短時間で溶出基準を満たすスコロダイトを成長させ、生成することができる。なお、ここでいう種晶添加量は、被処理液1Lに対して加える種晶の質量を意味する。
しかし、種晶添加量による砒素沈殿率の促進は見られず、粒子の粗大化にはほとんど影響しない。また、生産性を考えた場合、種晶として繰り返す量は少ないほど良い。例えば、砒素濃度50g/Lの液を処理する場合、種晶を50g/L添加するとき、収量の約四分の一を繰り返す計算となる。これらのことから、種晶の添加量は5g/L以上とし、好ましくはゲルの発生を完全に抑制できる25g/L以上とするのが良いが、操業上の安定性の担保として100g/L以下の範囲とすることが適当である。より好ましい種晶添加量は25〜50g/Lである。ただし、実際に処理を行う砒素含有溶液の砒素濃度によっては、添加量を変動する必要があるが、予備実験によって最適な種晶の添加量を見つけることはそれほど困難ではない。
本発明では図1の(1)または(2)に示したルートで、その後に行われるスコロダイト合成反応に種晶を供給するが、種晶物質の中にスコロダイト型鉄砒素化合物とともに存在する「反応后液」の量は、その種晶物質によって変化する。例えば(1)と(2)のルートでは(2)のスラリーを用いる場合の方が種晶に随伴して工程Aに供給される反応后液の量が多くなる。また、(1)のルートの場合でも、種晶物質である固形分を分離する際の固液分離条件によって、種晶(スコロダイト型鉄砒素化合物の粒子)に付着している反応后液の量が変動する。
(2)のスラリーを用いる場合を例に挙げると、あるチャージにおける初期砒素濃度50g/Lの被処理液に加える種晶添加量を50g/Lとする場合、その種晶に随伴して被処理液に添加される前チャージからの「反応后液」、すなわち種晶物質(スラリー)由来の「反応后液」の量は、被処理液0.7Lあたりに190mL程度の量となる。被処理液1Lあたりに加えられる量に換算すると、被処理液には約275mL/Lの反応后液が添加されることになる。発明者らの検討によれば、このように多量の反応后液が反応元液中に含まれる場合でも、溶出基準を満たす粗大な結晶性スコロダイトを得ることができることが確認された。もちろん、反応元液中に含まれる反応后液の量が上記よりも少ない場合にも、溶出基準を満たす結晶性スコロダイトが得られることが確認されている。つまり、(1)、(2)いずれのルートで種晶を供給しても、溶出基準を満たすスコロダイト型鉄砒素化合物を得ることが可能である。
〔スコロダイト型鉄砒素化合物の合成〕
前記の反応式に代表される鉄と砒素の反応は、概ね50℃以上での鉄共沈反応として進行させることができるが、粗大化した結晶性スコロダイトを得るためには70℃以上とすることが望ましく、90℃以上の高温がより好ましい。反応元液の温度が所定の反応温度まで上昇したら、続いて液中に酸化剤として酸素含有ガスを吹き込み、酸化・析出反応を進行させる。酸素含有ガスとしては純酸素や空気が考えられる。空気を用いた方が反応はマイルドに進むので好ましい場合もある。しかし、空気を用いた場合は不活性ガスが持ち去る蒸気熱量が増大する。そのためO2ガスを用いた方が有利となる場合が多い。実操業ではコストを勘案してガスの種類を選択することになる。
撹拌は、反応中の液の状態が発生した析出物の分散しているスラリー状となり、かつ酸化反応の際の気液接触を促進するために、強撹拌とすることが望ましい。反応時間は、種晶を用いた方法では1から3時間で約90%の砒素をスコロダイト型鉄砒素化合物として析出させることができるが、結晶を熟成させるためにはより長時間の処理を継続することが好ましい。種晶を使用しない場合は7時間程度の反応時間を必要としたが、本発明の方法では5時間程度の反応時間を確保すれば、溶出砒素濃度0.3mg/L以下を満たすスコロダイト型鉄砒素化合物を製造することができる。
〔スコロダイト生成反応後の処理〕
反応後のスコロダイト含有スラリーを固液分離する。生成したスコロダイト型鉄砒素化合物はろ過性に優れることから、固液分離はフィルタープレスまたは遠心分離などでよい。固液分離によって発生した反応后液は未反応の砒素および鉄を含んでいることから、製錬工程内に戻す、あるいは砒素の溶解液として再利用することが望まれる。先述の(1)のルートではこの段階で分離回収されたスコロダイト含有残渣(固形分)の一部を採取して、その後に行われるスコロダイト生成反応の種晶として利用する。こうすることにより、フロー全体での水の使用量は変動ないが、洗浄水、前工程での新水の使用量が削減でき、見かけの水の使用量は削減できる。
ここで回収したスコロダイト含有残渣は砒素が極めて溶出しにくい結晶性のスコロダイトを主成分とするものであるが、この残渣に付着している反応后液にも若干の砒素が残留しているので、保管や廃棄に回すためにはこれを除去しなければならない。そのためにはリパルプ・洗浄などが有効である。ゲーサイトなどの他の鉄化合物との混合による砒素の吸着作用を利用して洗浄をなくすことも可能であり、経済性によって適宜選択される。
リパルプ・洗浄は、例えばスコロダイト含有残渣(固形分)のパルプ濃度が100g/L程度となるよう純水を用いてリパルプし、水洗した後、固液分離する、といった方法が採用できる。このような洗浄工程を1回または複数回行うことにより、環境省告示13号による溶出試験において基準値である溶出砒素濃度0.3mg/L以下を十分に満たすスコロダイト型鉄砒素化合物を製造することができる。もちろん、ここで回収した固形分を種晶として利用することも可能である。
《比較例1》
出発原料として、砒素は、市販の試薬(和光純薬工業社製)の砒素溶液でAs=500g/L(5価)の溶液を純水で希釈して使用した。鉄塩は、試薬(和光純薬工業社製)の硫酸第一鉄・七水和物FeSO4・7H2Oを用いた。本例では種晶は使用しなかった。
これらの物質と純水を混合して、砒素濃度50g/L、鉄濃度55.91g/Lの鉄砒素混合溶液0.7Lを調製した。この液が入れられた容量2Lのガラス製ビーカーに2段タービン撹拌羽根・邪魔板4枚をセットし、回転数400rpmで撹拌しながら30℃まで昇温させた。試薬が溶解したことを確認した後、引き続き400rpmで撹拌しながら95℃まで昇温させた。目的の温度(95℃)になると同時に、純度99%の酸素ガスを流量1.0L/minで液内に吹き込み、2段タービン撹拌羽根の回転数を1000rpmとした。この状態を5時間継続した。
反応開始直後から溶液が暗緑色のゲル状になったが、1時間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
5時間の反応終了後、溶液・析出物の混合スラリーを加圧ろ過器を用いて固液分離した。回収した反応后液中の元素濃度をICPを用いて測定した。反応后液中の砒素濃度は3.14g/Lであることから、砒素沈殿率は93.7%であった。
回収した固形分を、パルプ濃度が100g/Lとなるよう純水でリパルプし、1時間水洗した。このとき、上記と同様に2Lガラス製ビーカー、2段タービン撹拌羽根・邪魔板4枚を用いて400rpmで撹拌した。水洗後、溶液・析出物の混合スラリーを加圧ろ過器を用いて固液分離した。回収した固形分は60℃で18時間乾燥した。
回収した乾燥固形分について乾燥前後の重量を測定することで水分値を算出した。乾燥した固形分は溶出試験、粒径測定、比表面積測定、XRDによる回折パターン測定を実施した。
溶出試験は環境省告示13号に則った方法で行った。すなわち、固形分に対し純水を液固比が10の割合で混合し、しんとう機で6時間しんとうさせた後、固液分離して、ろ過した液を組成分析した。
粒度測定はレーザー回折式粒度分布測定装置によって行い、平均粒径としてD50の値を採用した。
比表面積はBET法によって求めた。
X線回折パターンの測定は、リガクRINT−2500を用いて、Cu−Kα、管電圧40kV、管電流40mA、走査速度0.06°/sec、走査角度2θ=5°から85°、シンチレーションカウンター使用の条件で行った。その結果、この乾燥固形分はスコロダイト型鉄砒素化合物であることが確認された(以下の各例において同じ)。
結果を表1に示す(以下の各例において同じ)。
溶出試験の結果、上記のようにリパルプ・洗浄を1回だけ行う洗浄工程では溶出基準を上回った。種晶を使用しなかったので、反応初期における反応の進行が遅く、結果的に5時間の反応時間では反応后液中の砒素の残留量が多くなり、1回の洗浄ではこれが十分に除去できなかったものと考えられる。
《比較例2》
出発原料として比較例1と同じ砒素溶液および鉄塩を用い、さらに、種晶として既に得られているスコロダイト型鉄砒素化合物用いた。このスコロダイト型鉄砒素化合物は特願2006−321575などで開示した手法を用いて作成したものである(以下の各例において同じ)。
これらの砒素溶液と鉄塩、および純水を混合したのち、種晶を添加し、砒素濃度50g/L、鉄濃度55.91g/Lの被処理液に種晶添加量50g/Lとした混合液(反応元液)4.0Lを調製した。その後、比較例1と同様の手順・条件で実験を行った。
本例では、1回の洗浄で溶出基準を下回るスコロダイト型鉄砒素化合物が得られた。これは、種晶を使用したことにより特に初期における反応の進行が促進され、5時間の反応時間で反応后液中に残留する砒素の量が十分に低減されたことによるものと考えられる。
《実施例1》
図1の(1)または(2)で示されるルートにより回収されたスコロダイト型鉄砒素化合物を種晶として利用する場合を模擬して、種晶を添加する際に、種晶を作成したチャージにおける反応后液(図1の工程Bに相当するところで回収された液)を、本例での被処理液1Lに対して加える量が35.7mLとなるように添加した。この反応后液は実際には種晶物質(湿った固形分またはスラリー)から混入するものであるから、表1には種晶物質組成として「被処理液1Lに対して加えた前チャージ由来の反応后液量」として示してある。
反応后液を添加したことを除き、比較例2と同様の条件で実験を行った。
本例においても、1回の洗浄で溶出基準を下回るスコロダイト型鉄砒素化合物が得られた。すなわち、前チャージからの反応后液が種晶物質として混入しても、種晶を添加したことによる効果が得られることが確認された。
《実施例2〜4》
種晶を添加する際の反応后液の添加量を71.4mL/L(実施例2)、142.9mL/L(実施例3)、214.3mL/L(実施例4)と増加させたことを除き、実施例1と同様の実験を行った。
これらの本例においても、1回の洗浄で溶出基準を下回るスコロダイト型鉄砒素化合物が得られた。特に、反応后液の添加量を実施例4のように多くしても良好な結果が得られていることから、図1の(2)のルートによってスコロダイト含有スラリーをそのまま種晶物質に用いた場合でも、1回の洗浄で溶出基準を下回るスコロダイト型鉄砒素化合物を得ることが十分可能であると考えられる。
Figure 2009084124
本発明の対象となる鉄砒素化合物製造プロセスの処理フローを例示した図。

Claims (2)

  1. 工程A; 5価の砒素と2価の鉄が溶解している水溶液に酸化剤を加え、予め得られているスコロダイト型鉄砒素化合物を種晶として鉄砒素化合物を合成し、スコロダイト含有スラリーを得る工程、
    工程B; 前記スラリーを固液分離して、スコロダイト含有残渣を回収する工程、
    工程C; 前記スコロダイト含有残渣を洗浄する工程、
    を経ることにより、洗浄されたスコロダイト型鉄砒素化合物を製造するプロセスにおいて、
    工程Bで回収されたスコロダイト含有残渣の一部を、その後に行われる工程Aの種晶として利用する、鉄砒素化合物の製造方法。
  2. 工程A; 5価の砒素と2価の鉄が溶解している水溶液に酸化剤を加え、予め得られているスコロダイト型鉄砒素化合物を種晶として鉄砒素化合物を合成し、スコロダイト含有スラリーを得る工程、
    工程B; 前記スラリーを固液分離して、スコロダイト含有残渣を回収する工程、
    工程C; 前記スコロダイト含有残渣を洗浄する工程、
    を経ることにより、洗浄されたスコロダイト型鉄砒素化合物を製造するプロセスにおいて、
    工程Aで得られたスコロダイト含有スラリーの一部を、その後に行われる工程Aの種晶として利用する、鉄砒素化合物の製造方法。
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