JP2009082957A - 粉末成形用パンチ、粉末成形用金型および粉末成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉末粒子を圧縮する際に粉末粒子間に含まれる空気を効率よく排気させることができる粉末成形用パンチおよびこのパンチを使用した粉末成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】両端部に開口部を有するダイと、上下のパンチとを備える金型により、ダイに充填される粉末粒子を圧縮して粉末成形体を形成する。この金型に使用される上パンチ11は、パンチ11の側面から圧縮面に至る角部15が、前記側面の延長面よりも内側になる形状であり、この形状により、前記粉末粒子の圧縮時、該粒子間の空気を脱気するための排気切り欠きが形成されている。そのため、ダイにパンチを嵌め込んだときに、粉末粒子間に含まれる空気を効率よく排気することができ、高密度の粉末成形体を生産性良く製造することができる。
【選択図】図1
【解決手段】両端部に開口部を有するダイと、上下のパンチとを備える金型により、ダイに充填される粉末粒子を圧縮して粉末成形体を形成する。この金型に使用される上パンチ11は、パンチ11の側面から圧縮面に至る角部15が、前記側面の延長面よりも内側になる形状であり、この形状により、前記粉末粒子の圧縮時、該粒子間の空気を脱気するための排気切り欠きが形成されている。そのため、ダイにパンチを嵌め込んだときに、粉末粒子間に含まれる空気を効率よく排気することができ、高密度の粉末成形体を生産性良く製造することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、粉末粒子を圧縮して成形体を形成する際に使用する粉末成形用パンチおよびこのパンチを使用した粉末成形用金型ならびに粉末成形体の製造方法に関するものである。
従来から金型を用いて粉末粒子を圧縮することで粉末成形体を製造することが行われている(例えば、特許文献1参照)。例えば、金型1は、図4に示すように、円筒状のダイ10と、ダイ10の内径にほぼ一致する外径を有する上パンチ11および下パンチ12とを備える。この金型1で粉末成形体を成形する場合、下パンチ12を嵌め込んだダイ10の内部に粉末粒子20を充填し、上パンチ11で粉末粒子20を圧縮することで成形体を製造することができる。なお、上パンチ11と下パンチ12は、その圧縮面と側面とが実質的に直交する角部(丸で囲った部分)を有しており、この角部に対応した成形体の部分にバリが形成されにくくなっている。
ところで、金型で形成した成形体は、焼結して完成品とすることが多いが、成形した状態で完成品とする場合もある。例えば、焼結すれば成形体が収縮するため、所望の寸法のものを得ることができない虞があり、寸法精度を要求される成形体のなかには成型後の焼結を行わないものがある。その他、モータ、リアクトルなどの圧粉磁心では、磁心を構成する鉄系磁性粉末の表面に絶縁被覆が設けられており、焼結によって当該被覆が消失したり剥がれたりする虞があるため、金型による成型後に焼結を行わない場合もある。
ここで、成形体を焼結せずに完成品とする場合、パンチによる圧縮力を高くすることで成形体の密度を高め、成形体の強度を確保する必要がある。しかし、粉末粒子間には空気が含まれているため、粉末粒子の圧縮の際に粉末粒子から十分に空気が排出されていないことには成形体の密度を所望の値にすることができない。この問題は、所定時間以上、パンチにより粉末粒子を圧縮することである程度解決することができるが、この手法は排気の時間効率が悪く、成形体の生産性が良くないという問題点をはらんでいる。特に、粉末粒子の粒径が小さい場合、排気の時間効率の問題が顕著になる上、排気が十分に行われずに成形体にクラックが生じたり、成形体密度が低くなる虞もある。例えば、圧粉磁心などは、渦電流損を低減するために粒径の小さな磁性粉末粒子を使用して形成したいというニーズがあり、上記問題点の解決が望まれている。
そこで、本発明の目的の一つは、粉末粒子を圧縮する際に粉末粒子間に含まれる空気を効率よく排気させることができる粉末成形用パンチおよびこのパンチを使用した粉末成形用金型ならびに粉末成形体の製造方法を提供することにある。
本発明粉末成形用パンチは、ダイに充填される粉末粒子を圧縮して粉末成形体を形成するためのものである。このパンチの側面から圧縮面に至る角部が、前記側面の延長面よりも内側になる形状であり、この角部の形状により、前記粉末粒子の圧縮時、該粒子間の空気を脱気するための排気切欠きが形成されることを特徴とする。なお、本発明における「角部」とは、パンチ側面と圧縮面とを実質的に直交するように繋げたパンチと比較して形状が変化している箇所を指す。
また、本発明粉末成形用金型は、粉末粒子を圧縮して粉末成形体を形成するためのものである。この金型は、両端部に開口部を有するダイと、前記ダイの両開口部にそれぞれ嵌め込まれる粉末成形用パンチとを備える。そして、前記粉末成形用パンチの少なくとも一方は、パンチの側面から圧縮面に至る角部が、前記側面の延長面よりも内側になる形状であり、この角部の形状により、前記粉末粒子の圧縮時、該粒子間の空気を脱気するための排気切欠きが形成されることを特徴とする。
本発明の構成は、換言すれば、パンチ側面がパンチ圧縮面の中心側に切り込まれるようにして角部が形成され、この角部の形状により、粉末粒子間に含まれる空気を排気することを主たる機能とする排気切り欠きが形成されている構成である。つまり、角部の形状は、成形体の設計形状に対応しない形状であり、ダイの内周面とこの内周面に対向する角部とで形成される隙間(排気間隙)の方が、ダイの内周面とパンチ側面とで形成される隙間よりも大きくなる。そのため、粉末粒子を圧縮して成形体を形成する際に、上記排気間隙からダイ内周面とパンチ側面との隙間を介して、粉末粒子を構成する粒子間に含まれる空気を効率よく排気しながら粉末粒子を圧縮することができる。上記のような排気間隙により排気効率が良くなるのは、対向するパンチの圧縮面で粉末粒子を圧縮する際に、排気間隙が粉末粒子を圧縮方向と反対の方向に逃がす逃がし代となるため、粒子の流動に伴って排気間隙に向かって空気の道筋が付けられるからであると推察される。
ここで、上記排気間隙が形成されていると、粉末粒子の圧縮の際にこの排気間隙に粒子が入り込んで、成形体に比較的バリが生じ易い。しかし、次段で詳述するように、前記角部は、成形体の設計形状に対応しない形状であり、排気間隙も非常に小さくなるため、本発明者らが実際に成形体を製造してみると、バリ取りの処理自体は容易に行うことができた。しかも、パンチの側面と圧縮面とが実質的に直交する角部を有する従来のパンチを使用しても、成形体における前記角部に対応した位置にバリが生じることに変わりはなく、結局はバリ取り処理を行わなければならない。これに対して、本発明のパンチを使用すれば、成形体のバリが多少大きくなるが、粉末粒子の圧縮時の排気効率が高いので、全体的な成形体の生産効率は、従来のパンチを使用した場合に比べて圧倒的に良いことが明らかになった。
上記排気間隙を形成するための角部は、成形体の設計形状に対応しない形状でありながら、パンチの寸法誤差やパンチの通常の使用に伴う摩耗限を超えるように形成されている。この角部は、パンチ側面からどの程度内側に設けられているかによって特徴づけられ、代表的には、以下のように規定することが挙げられる。即ち、角部を断面視したときの輪郭線のうち、パンチの側面と繋がる点を角部開始点、最も圧縮方向側にある点を切り欠き形成点としたときに、前記切り欠き形成点を通り、前記パンチ側面の延長面と直交する線において、前記切り欠き形成点から延長面までの長さ(長さW)と、前記直交する線と前記延長面との交点から前記角部開始点までの長さ(長さL)とを規定することが挙げられる。そして、この長さWと長さLを規定する値は、実測値としても良いし、圧縮する粉末粒子の平均粒径に対する相対値としても良い。なお、平均粒径は、粒径のヒストグラム中、粒径の小さい粒子からの質量の総和が総質量の50%に達する粒子の粒径、いわゆる50%粒径などを使用できる。
実測値を用いて長さWと長さLを規定する場合、長さWの好ましい値は、100〜300μmであり、より好ましくは100〜200μmである。また、長さLの好ましい値は、0.4〜1mmであり、より好ましくは500〜700μmである。
相対値を用いて長さWと長さLを規定する場合、長さWの好ましい値は、粒子の平均粒径の2〜6倍であり、より好ましくは2〜4倍である。また、長さLの好ましい値は、8〜20倍であり、より好ましくは10〜14倍である。
また、上記排気間隙は、圧縮方向側からその反対側にかけて同じ幅であっても良いし、当該幅が徐々に小さくなるようにしても良い。特に、後者の構成は、高い排気効率を有し、成形体にできるバリも小さいため好ましい。このような構成とするには、角部の輪郭線、特に、切り欠き形成点から角部開始点に至る輪郭線の形状が先細りのテーパーとなるように角部を形成すれば良く、当該輪郭線は、直線でも良いし、凹形状でも凸形状でも良い。凹形状であれば、粉末粒子に含まれる空気を排気し易い。また、凸形状であれば、粉末粒子に含まれる空気を排気しつつ、成形品に形成されるバリの厚みを薄くすることができるので、バリの処理が容易になる。輪郭線を凹凸形状にする場合は、連続する直線で構成しても良いし、少なくとも一つの曲線で構成しても良いし、直線と曲線とを組み合わせて構成しても良い。
さらに、本発明の一形態として、前記切り欠き形成点は、パンチの圧縮面を延長した面よりも圧縮方向に突出して形成されていることが好ましい。この構成は、換言すれば、パンチの圧縮面の周縁部(角部)が圧縮方向に突出している構成であり、圧縮の際に角部が壁となって、パンチ中央側にある粉末粒子がパンチ側面に回り込みにくく、バリの形成が抑えられる。圧縮面からの突出する切り欠き形成点の規定については、例えば、切り欠き形成点からパンチ圧縮面を延長した面に下ろした垂線の長さ(長さH)で規定すれば良く、実測値もしくは粒子の平均粒径に対する相対値を使用できる。具体的には、長さHは、0.2〜0.5mmとするか、粒子の平均粒径の4〜10倍とすると良い。
ここで、粉末粒子を圧縮して成形体を製造するには、両端部に開口部を有するダイと、上記開口部のそれぞれに嵌め込むことができる上下のパンチとを使用し、上下のパンチとダイとで囲まれた空間に充填された粉末粒子を上下のパンチで圧縮すれば良い。そこで、本発明の粉末成形体の製造方法は、上下のパンチのうち、少なくとも一方に本発明の粉末成形用パンチを使用することを特徴とする。上下のパンチとして、本発明の粉末成形用パンチを使用することで、粉末粒子の圧縮時に、粉末粒子間に含まれる空気を効率よく排気しつつ、粉末粒子を圧縮することができる。
本発明粉末成形用パンチによれば、粉末粒子を圧縮して成形体を形成する際に、粉末粒子間に含まれる空気を、ダイの内周面とこの内周面に対向する角部の側面との隙間(排気間隙)を介して金型の外に効率よく排気することができる。そのため、本発明パンチを備える金型を使用すれば、生産性良く高密度の成形体を製造することができる。
以下、本発明の実施形態を図1、4に示す金型を例にして説明する。なお、本実施形態はあくまで例示であり、以下に示される形状、寸法に限定されるわけではない。
<粉末成形用金型>
本実施形態における粉末成形用金型は、図4を参照して既に説明した従来の金型とほぼ同様の構成を有しているので、この図4を利用して説明する。従来の金型と本実施形態の金型との相違点は、パンチの側面とパンチの圧縮面とを繋ぐ所定の領域(角部:図中の丸で囲った部分)にある。この角部の形状により、パンチ圧縮面の近傍で、パンチとダイとの間に排気空隙が形成される。排気空隙は、パンチとダイを使用した金型で粉末粒子を圧縮する際に、粉末粒子間に含まれる空気を効率よく排気するための空気の逃げ道となる。以下、各構成部材を詳細に説明する。
本実施形態における粉末成形用金型は、図4を参照して既に説明した従来の金型とほぼ同様の構成を有しているので、この図4を利用して説明する。従来の金型と本実施形態の金型との相違点は、パンチの側面とパンチの圧縮面とを繋ぐ所定の領域(角部:図中の丸で囲った部分)にある。この角部の形状により、パンチ圧縮面の近傍で、パンチとダイとの間に排気空隙が形成される。排気空隙は、パンチとダイを使用した金型で粉末粒子を圧縮する際に、粉末粒子間に含まれる空気を効率よく排気するための空気の逃げ道となる。以下、各構成部材を詳細に説明する。
<ダイ>
上記ダイ10は、両端部に開口部を有する筒状の部材であり、その内周面が円筒の側面形状に相当するものを使用した。ダイ10の開口部の内径は約34mm、ダイ10の長さは約60mmであった。もちろん、ダイの形状は適宜変更可能である。
上記ダイ10は、両端部に開口部を有する筒状の部材であり、その内周面が円筒の側面形状に相当するものを使用した。ダイ10の開口部の内径は約34mm、ダイ10の長さは約60mmであった。もちろん、ダイの形状は適宜変更可能である。
<パンチ>
パンチ11,12は、上述したダイ10に嵌め込まれてダイ10の内部で粉末粒子20を圧縮する部材である。パンチ11,12の形状は、ダイ10の内側の形状に沿った形状であって、ダイ10の内部に配置された粉末粒子20を所定の圧力で圧縮できる形状であれば良い。本実施形態におけるパンチ11,12は、ダイ10の形状に沿った円筒状とし、その直径は約34mm、長さは20mmとした。なお、ダイ10の内周面に沿ってパンチ11,12がスライド可能なように、ダイ10とパンチ11,12の側面(角部は除く)との間には所定の隙間が形成されている。当該隙間を80〜400μmとすることが好ましく、本実施形態では約100μmとした。
パンチ11,12は、上述したダイ10に嵌め込まれてダイ10の内部で粉末粒子20を圧縮する部材である。パンチ11,12の形状は、ダイ10の内側の形状に沿った形状であって、ダイ10の内部に配置された粉末粒子20を所定の圧力で圧縮できる形状であれば良い。本実施形態におけるパンチ11,12は、ダイ10の形状に沿った円筒状とし、その直径は約34mm、長さは20mmとした。なお、ダイ10の内周面に沿ってパンチ11,12がスライド可能なように、ダイ10とパンチ11,12の側面(角部は除く)との間には所定の隙間が形成されている。当該隙間を80〜400μmとすることが好ましく、本実施形態では約100μmとした。
また、本実施形態におけるパンチは、既に述べたように角部の形状に特徴があるので、図1を参照して説明する。図1は、図4の丸で囲った部分(角部)の拡大断面図である。角部15は、パンチ11外面のうち、ダイに摺接する面であるパンチ11の側面と、粉末粒子を圧縮する平坦面である圧縮面とを繋ぐ部分である。この図における角部には、圧縮方向に最も突出する突端が形成されている。この突端は、角部を断面視したときの角部の輪郭線のち、最も圧縮方向側にある点であり、排気切り欠きの形成が開始される点(切り欠き形成点150)である。また、角部15の輪郭線のうち、パンチ側面と角部との接合点である角部開始点から切り欠き形成点150に至る部分は、パンチ側面に連続する直線と、この直線に連続する曲線とで構成されている。さらに、角部15の輪郭線のうち、パンチ圧縮面と角部との接合点である角部終了点から切り欠き形成点150に至る部分は、パンチ圧縮面に連続する曲線とこの曲線に連続する直線で構成されている。
上記角部15によりパンチとダイとの間に形成される排気間隙は、パンチ外周縁の全周に亘って形成されている。なお、排気間隙は、外周縁の周方向の一部に設けてあっても良い。この場合、複数の排気間隙を周方向に等間隔に設けることが好ましい。また、排気間隙は、外縁部における周方向の過半以上の範囲を占めることが好ましい。
さらに、角部15の各部の寸法を説明する。この角部15の各部の寸法を説明するにあたって、以下に詳述するように補助線を引く。
パンチ側面に対する接線aを引くと共に、接線aに平行で角部15の切り欠き形成点150を通る接線bを引く。
角部15側面の輪郭線を構成する曲線の中間部でこの曲線に対する接線cを引き、接線cと上記接線aとの交点を交点xとする。
角部15下面の輪郭線のうち、真ん中の直線を延長した接線dを引き、接線dと上記接線cとの交点を交点yとする。
切り欠き形成点150を通り、接線aに直交する接線eを引く。
交点yを通り、接線aに直交する線と、接線aとの交点を交点zとする。
パンチ側面に対する接線aを引くと共に、接線aに平行で角部15の切り欠き形成点150を通る接線bを引く。
角部15側面の輪郭線を構成する曲線の中間部でこの曲線に対する接線cを引き、接線cと上記接線aとの交点を交点xとする。
角部15下面の輪郭線のうち、真ん中の直線を延長した接線dを引き、接線dと上記接線cとの交点を交点yとする。
切り欠き形成点150を通り、接線aに直交する接線eを引く。
交点yを通り、接線aに直交する線と、接線aとの交点を交点zとする。
以上の補助線に基づいて、図1に示す各部の寸法L、L1、W、W1,W2、H、α、βを規定する。
L…接線aと接線eとの交点から角部開始点までの長さ
L1…交点xから交点zまでの長さ
W…接線aと接線eとの交点から切り欠き形成点150までの長さ
W1…交点yから交点zまでの長さ
W2…角部15がパンチの下面(圧縮面)と繋がる点から接線aに直交するように引いた線分の長さ
H…切り欠き形成点150からパンチ下面(圧縮面)を延長した面に下ろした垂線の長さ
α…接線aと接線cとのなす角
β…接線dとパンチ下面とのなす角
L…接線aと接線eとの交点から角部開始点までの長さ
L1…交点xから交点zまでの長さ
W…接線aと接線eとの交点から切り欠き形成点150までの長さ
W1…交点yから交点zまでの長さ
W2…角部15がパンチの下面(圧縮面)と繋がる点から接線aに直交するように引いた線分の長さ
H…切り欠き形成点150からパンチ下面(圧縮面)を延長した面に下ろした垂線の長さ
α…接線aと接線cとのなす角
β…接線dとパンチ下面とのなす角
上記各部の寸法は、以下の通りである。
L 548μm
L1 517.5μm
W 185.2μm
W1 180.4μm
W2 650μm
H 230μm
α 約19°
β 約30°
L 548μm
L1 517.5μm
W 185.2μm
W1 180.4μm
W2 650μm
H 230μm
α 約19°
β 約30°
上述した角部の構成は、上パンチと下パンチの少なくとも一方に設けておけば良い。もちろん、上下のパンチの両方で上述した角部の構成を採用することもでき、この場合、粉末粒子に含まれる空気をより効率よく抜くことができる。但し、下パンチに排気間隙があると、粉末粒子を充填した時点で排気間隙に粒子が詰まるので、下パンチからの排気効率は上パンチに排気間隙を設けた場合に比べて低いし、バリもでき易い。また、出来上がった成形体は、その一端側を載置面として一時的に保管することがあり、この出来上がった成形体の取り扱いを考慮すれば、成形体の一端側でバリが小さい方が好ましい。通常、この載置面は、成形体の下パンチ側であることが多い。これらのことから、本実施形態では、下パンチはパンチ側面とパンチ上面とが実質的に直交する従来の構成とし、上パンチにおいて上述した角部の構成を採用した。
<試料の作製>
以上説明した粉末成形用金型を用いて実際に粉末成形体(試料No.1)を作製すると共に、排気空隙を有さない粉末成形用金型で粉末成形体(試料No.2、No.3)を作製し、両粉末成形体の密度および表面性状を調べた。
以上説明した粉末成形用金型を用いて実際に粉末成形体(試料No.1)を作製すると共に、排気空隙を有さない粉末成形用金型で粉末成形体(試料No.2、No.3)を作製し、両粉末成形体の密度および表面性状を調べた。
≪試料No.1の作製≫
試料の作製にあたって、上述した金型1を用意した。そして、ダイ10の下側開口部に下パンチ12を嵌め込んで固定し、ダイ10の内周面と下パンチ12の上面とで形成される空間に粉末粒子20を充填した。ここで、下パンチ12は、可動としても良い。
試料の作製にあたって、上述した金型1を用意した。そして、ダイ10の下側開口部に下パンチ12を嵌め込んで固定し、ダイ10の内周面と下パンチ12の上面とで形成される空間に粉末粒子20を充填した。ここで、下パンチ12は、可動としても良い。
金型1で圧縮する粉末粒子20として、99質量%以上がFeである純鉄粒子を使用した。この粒子の密度は7.86g/cm3であった。また、粒子の平均粒径は、約50μm、即ち、上述したパンチのLの約1/11、Wの約1/3.7である。なお、この平均粒径は、レーザ散乱回折粒度分布測定法に基づいて算出した50%粒径である。
次に、ダイ10の上側開口部に上パンチ11を嵌め込み、上パンチ11で粉末粒子20に圧力をかけて粉末粒子20を圧縮した。圧縮の条件は、粉末粒子20に作用させる単位面積あたりの圧力(面圧)を800MPaで実施した。
≪試料No.2の作製≫
比較として、排気空隙を有さない粉末成形用金型を使用して粉末成形体を作製した。試料No.2の作製にあたって、試料No.1の作製と異なる点は、上パンチの角部の形状のみであり、上パンチ以外の粉末粒子、ダイおよび下パンチは、試料No.1の作製に使用したものと同様のものを使用した。上パンチの角部の具体的な形状を図2に示す。このパンチは、試料No.1のパンチと同じだけパンチの圧縮面から突出する角部を有しているが、この角部の側面は、パンチの側面と面一であり、この角部とダイとの間に排気間隙を有さないパンチである。なお、図面中のW2とHの寸法はそれぞれ、図1のW2とHと同じ寸法であり、W3の寸法は、図1のWと同じ寸法である。
比較として、排気空隙を有さない粉末成形用金型を使用して粉末成形体を作製した。試料No.2の作製にあたって、試料No.1の作製と異なる点は、上パンチの角部の形状のみであり、上パンチ以外の粉末粒子、ダイおよび下パンチは、試料No.1の作製に使用したものと同様のものを使用した。上パンチの角部の具体的な形状を図2に示す。このパンチは、試料No.1のパンチと同じだけパンチの圧縮面から突出する角部を有しているが、この角部の側面は、パンチの側面と面一であり、この角部とダイとの間に排気間隙を有さないパンチである。なお、図面中のW2とHの寸法はそれぞれ、図1のW2とHと同じ寸法であり、W3の寸法は、図1のWと同じ寸法である。
≪試料No.3の作製≫
参考として、試料No.2と同じ金型と粉末粒子を使用して試料No.3を作製した。但し、この試料No.3は、試料No.1,2と同じ面圧で、試料No.1,2の3倍の時間をかけて粉末粒子を圧縮し、成形体を作製した。
参考として、試料No.2と同じ金型と粉末粒子を使用して試料No.3を作製した。但し、この試料No.3は、試料No.1,2と同じ面圧で、試料No.1,2の3倍の時間をかけて粉末粒子を圧縮し、成形体を作製した。
<試料特性の測定結果とその評価>
上述のようにして作製した試料について、それらの密度およびそれらの表面性状を観察した。これらの結果を表1に示す。また、表面性状は、成形体の表面に亀裂が生じていた場合を×とし、亀裂がない場合を○とした。亀裂は、パンチによる圧縮を解いたとき、圧縮の際に粉末粒子から排気しきれなかった空気が成形体から抜けるときに生じるものである。
上述のようにして作製した試料について、それらの密度およびそれらの表面性状を観察した。これらの結果を表1に示す。また、表面性状は、成形体の表面に亀裂が生じていた場合を×とし、亀裂がない場合を○とした。亀裂は、パンチによる圧縮を解いたとき、圧縮の際に粉末粒子から排気しきれなかった空気が成形体から抜けるときに生じるものである。
表1に示すように、本発明の粉末成形用パンチ(上パンチ)を使用して作製した試料No.1は、粉末粒子の密度に対する成形体の密度(相対密度)が約95.5%を超えており、十分な充填率を有していた。そのため、粉末粒子に含まれる空気が十分に排気されているので、パンチの徐圧の際に成形体表面に亀裂が生じなかった。これに対して、排気空隙を有さない粉末成形用パンチを使用して作製した試料No.2は、相対密度が約93.1%程度しかなく、パンチの徐圧の際に成形体表面に亀裂が生じた。また、試料No.3は、相対密度が試料No.1に匹敵する値であり、排気空隙を有さないパンチであっても長時間に亘る圧縮を行えば、高密度の成形体を形成できることが示唆された。
以上の結果から、本発明粉末成形用パンチを備える金型を使用すれば、非常に短時間で効率よく高密度の粉末成形体を作製できることが明らかになった。特に、試料No.3の結果から、排気空隙を有さない金型を使用する場合、粉末粒子の粒径がさらに小さくなれば(具体的には、20〜50μm)、パンチによる圧縮時間をさらに長くする必要があることが推察される。しかも、試料No.3の相対密度は、試料No.1に比べて若干低くなっているので、粉末粒子の粒径がさらに小さくなれば高密度の成形体を製造できない可能性もある。
<変形例>
以上説明した粉末成形用パンチの形状は、実施形態で示した形状に限定されない。例えば、図3(A)や図3(B)に示すような形状であっても良い。いずれの形状を選択しても、パンチ側面の側に形成される排気間隙により効率よく粉末粒子間の空気を排気できるので、生産性良く高密度の成形体を製造することができる。以下に、図3(A)、図3(B)に示す粉末成形用パンチを簡単に説明する。
以上説明した粉末成形用パンチの形状は、実施形態で示した形状に限定されない。例えば、図3(A)や図3(B)に示すような形状であっても良い。いずれの形状を選択しても、パンチ側面の側に形成される排気間隙により効率よく粉末粒子間の空気を排気できるので、生産性良く高密度の成形体を製造することができる。以下に、図3(A)、図3(B)に示す粉末成形用パンチを簡単に説明する。
図3(A)に示すパンチ11は、排気空隙を形成する角部15の輪郭線が、パンチ側面から圧縮面にかけてパンチ11の外側に膨らんだ曲線状に形成されたパンチである。このパンチ11では、切り欠き形成点150が、パンチ11の圧縮面上に存在する。また、図中の長さLと長さWは、実施形態のLおよびWと同様に設定すれば良い。
図3(B)に示すパンチは、排気空隙を形成する角部15の輪郭線が、パンチ側面から圧縮面にかけて直線状に形成されたパンチである。このパンチ11では、切り欠き形成点150が、パンチ11の圧縮面上に存在する。また、図中の長さLと長さWは、実施形態のLおよびWと同様に設定すれば良い。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明粉末成形用パンチは、粉末成形体を形成するための金型に好適に利用可能である。また、本発明粉末成形体の製造方法は、粉末成形体を生産性良く製造することに好適に利用可能である。
1 粉末成形用金型
10 ダイス 11 上パンチ 12 下パンチ
15 角部 150 切り欠き形成点
20 粉末粒子
10 ダイス 11 上パンチ 12 下パンチ
15 角部 150 切り欠き形成点
20 粉末粒子
Claims (7)
- ダイに充填される粉末粒子を圧縮して粉末成形体を形成するための粉末成形用パンチであって、
前記パンチの側面から圧縮面に至る角部が、前記側面の延長面よりも内側になる形状であり、この角部の形状により、前記粉末粒子の圧縮時、該粒子間の空気を脱気するための排気切欠きが形成されることを特徴とする粉末成形用パンチ。 - 前記角部を断面視したときの輪郭線のうち、パンチの側面と繋がる点を角部開始点、最も圧縮方向側にある点を切り欠き形成点とすると、
前記切り欠き形成点を通り、前記パンチ側面の延長面と直交する線において、前記切り欠き形成点から延長面までの長さが、100〜300μmであり、
前記直交する線と前記延長面との交点から前記角部開始点までの長さが、0.4〜1mmであることを特徴とする請求項1に記載の粉末成形用パンチ。 - 前記角部を断面視したときの輪郭線のうち、パンチの側面と繋がる点を角部開始点、最も圧縮方向側にある点を切り欠き形成点とすると、
前記切り欠き形成点を通り、前記パンチ側面の延長面と直交する線において、前記切り欠き形成点から延長面までの長さが、粉末粒子の平均粒径の2〜6倍であり、
前記直交する線と前記延長面との交点から前記角部開始点までの長さが、粉末粒子の平均粒径の8〜20倍であることを特徴とする請求項1に記載の粉末成形用パンチ。 - 前記角部の輪郭線は、パンチの外側に向かって凸となる形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉末成形用パンチ。
- 前記切り欠き形成点は、パンチの圧縮面を延長した面よりも圧縮方向に突出して形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉末成形用パンチ。
- 粉末粒子を圧縮して粉末成形体を形成するための粉末成形用金型であって、
両端部に開口部を有するダイと、
前記ダイの両開口部にそれぞれ嵌め込まれる上下のパンチとを備え、
前記上下のパンチの少なくとも一方は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉末成形用パンチであることを特徴とする粉末成形用金型。 - 上下のパンチとダイとで囲まれた空間に充填された粉末粒子を上下のパンチで圧縮して成形体を形成する粉末成形体の製造方法であって、
前記上下のパンチのうち、少なくとも一方のパンチとして、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉末成形用パンチを使用し、粉末粒子を圧縮することを特徴とする粉末成形体の製造方法。
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JP2007255747A JP2009082957A (ja) | 2007-09-28 | 2007-09-28 | 粉末成形用パンチ、粉末成形用金型および粉末成形体の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017033891A1 (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 住友電気工業株式会社 | 粉末成形用金型、および圧粉成形体の製造方法 |
-
2007
- 2007-09-28 JP JP2007255747A patent/JP2009082957A/ja active Pending
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WO2017033891A1 (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 住友電気工業株式会社 | 粉末成形用金型、および圧粉成形体の製造方法 |
US11167517B2 (en) | 2015-08-25 | 2021-11-09 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Powder compaction mold and method for manufacturing powder compact |
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