JP3939671B2 - 三次元カムの製造方法および粉末成形装置 - Google Patents

三次元カムの製造方法および粉末成形装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に用いられるカムシャフトの三次元カムの製造方法およびこれに用いられる粉末成形装置に関し、詳しくは、簡易かつコストが低減された三次元カムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関(エンジン)の動弁装置には、カムシャフトが用いられる。このカムシャフトに備えるカムとして、図1(a)に示すような、三次元カム1が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。この三次元カム1は、カムノーズ部3の片面側のスラスト方向に斜面(テーパー)4が形成されたものであり、バルブの開閉弁時期や開弁時間、バルブリフト特性等のバルブ特性を可変にするために用いられるものである。
【0003】
この三次元カム1の製造方法として、以下の方法が知られている。一つは、通常の形状を有するカム(テーパーの形成されていないカム)を作製し、そのカムノーズ部3をテーパー形状4となるように切削、研磨することにより三次元カム1に修正する方法である(例えば、特許文献1参照)。もう一つは、鉄合金粉末を圧縮成形する際に、三次元カム形状とする方法である(例えば、特許文献2,3参照)。具体的には、図4に、焼結材料を圧縮成形する粉末成形装置50の断面図を示すように、プレス型のカムノーズ部3に対応する部分(上パンチ57、下パンチ58またはダイ55)をテーパー形状にしておき、焼結前の圧縮成形時にカムノーズ部3をテーパー形状4とした成形体52を作製する。その後、その成形体52を焼結することにより三次元カム1を得るものである。
【特許文献1】
特開平10−044014号公報
【特許文献2】
特開2001−090808号公報
【特許文献3】
特開昭55−081212号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、三次元カム1のカムノーズ部3を切削、研磨する方法では、カムのカムノーズ部3を曲面(三次元形状)であるテーパー形状4に加工することが困難であった。そして、カム材は固いため、切削、研磨に時間がかかるとともに、そのコストも高くなるという問題があった。
【0005】
また、粉末成形装置50におけるプレス型のカムノーズ部3に対応する部分をテーパー形状にする方法では、プレス型のカムノーズ部対応部分54を曲面(三次元形状)であるテーパー形状に加工することが困難であった。そのため、プレス型の切削、研磨に時間がかかるとともに、そのコストも高くなる。さらに、このプレス型を用いた粉末成形装置50は、プレス時に大きな圧力がかかるため、プレス時の位置決めを間違えると、上パンチ57の下端とダイ55の段差部分がぶつかり、上述のカムノーズ部対応部分54が破損しやすい。そのため、さらにコストが高くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、こうした問題を解決し、時間がかからず、コストが低減され、簡易に行うことができる、三次元カムの製造方法およびこれに用いられる粉末成形装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の三次元カムの製造方法は、鉄合金粉末を一方側のみから圧縮成形して、三次元カム形状とは相違する目標形状の成形体とした後、前記成形体を焼結することにより、前記目標形状から三次元カム形状に変形させることに特徴を有する。
【0008】
この発明によれば、三次元カムとは異なる形状のカム成形体を一方向からの圧縮成形により形成することで、焼結前のカム成形体に密度差を設けることができる。このとき、カム成形体の圧縮成形された側の密度が相対的に高くなる。そして、この所定の密度差を有する成形体について、焼結時の鉄合金粉末の収縮量の違いを利用することにより、カム成形体のカムノーズ部に斜面を形成することができる。こうして、三次元形状のカムが作製される。そのため、カムや粉末成形装置のパンチ型を三次元形状に加工せずにすむので、三次元カムを簡易に製造することができる。さらに、この三次元カムの製造方法は、従来の各方法に比べ、研磨等の時間がかからず、コストも低減されたものである。
【0009】
上記本発明の三次元カムの製造方法において、前記圧縮成形は、上側のみから行うことに特徴を有する。この上側とは、カム成形体を圧縮成形する際の上側を示す。また、上記本発明の三次元カムの製造方法において、前記三次元カム形状は、圧縮成形された一方側のカムノーズ部に斜面が形成された形状であることに特徴を有する。
【0010】
上記本発明の三次元カムの製造方法において、前記目標形状は、上下各面におけるカム軸用中空円のカムノーズ部側の半円外周の位置に、カムノーズ部に向かって深さと幅とが大きくなる凹部を有した形状であることに特徴を有する。
【0011】
この発明によれば、一方向から圧縮成形された目標形状の成形体が、カムノーズ部に斜面を形成することができる密度差を有するものとなる。そして、この目標形状の成形体を成形するための粉末成形装置は、ダイ内周面や、上パンチ、下パンチの各部品を三次元形状にすることなく、凹部に対応する凸部を有したストレート形状とすることができる。そのため、粉末成形装置の各部品を簡易に作製でき、全体として三次元カムの製造にかかるコストおよび時間を低減させることができる。
【0012】
上記本発明の三次元カムの製造方法において、前記成形体は、各位置において密度差を有することに特徴を有する。具体的には、前記成形体は、下側より上側の密度が大きく、カムノーズ部下側よりカムベース部下側の密度が大きいことに特徴を有する。また、上記本発明の三次元カムの製造方法において、前記成形体の理論密度比が85〜93%であることが好ましい。さらに、上記本発明の三次元カムの製造方法において、前記目標形状は、カムベース部外面とカムベース部側のカム軸用中空円との距離が、カムノーズ部上側先端とカム軸用中空円との距離の0.2倍以下であり、カムの高さが、カムノーズ部上側先端とカム軸用中空円との距離の1.8倍以上であり、凹部の幅が、カムノーズ部上側先端とカム軸用中空円との距離の1/3倍以上であり、凹部の深さが、カムの高さの0.2倍以上であることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、焼結前の成形体が、所定の密度差、理論密度比、寸法を有することにより、焼結後のカムのカムノーズ部に良好にテーパー形状を形成することができ、三次元形状のカムを容易に得ることができる。
【0014】
上記課題を解決する本発明の粉末成形装置は、内孔を有するダイと、その内孔に配置されるコアロッドと、ダイおよびコアロッドの間隙に配置され、固定可能に取り付けられた下パンチと、これに対向する摺動可能な上パンチと、を有するカム用の粉末成形装置であって、該下パンチおよび上パンチの各対向面が、コアロッド接触部分におけるカムノーズ部形成側の半円の位置にカムノーズ部形成側に向かって高さと幅とが大きくなる凸部を有する形状であることに特徴を有する。
【0015】
この発明によれば、ダイ内周面が三次元形状とならず、ストレートな形状とすることができる。また、下パンチ、上パンチ等の各部品も複雑な形状とならない。そのため、粉末成形装置を簡便に製造することができ、また、粉末成形装置の使用時にも各部品が破損しにくい。その結果、本発明の粉末成形装置は、各部品の寿命が長くなり、三次元カムの製造にかかるコストを低減できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、図を用いて本発明の三次元カムの製造方法および粉末成形装置について説明する。
【0017】
(三次元カムの製造方法)
本発明の三次元カムの製造方法により得られる三次元形状のカム1は、図1(a)に示すように、カムベース部2とカムノーズ部3とからなり、カムベース部2にはカム軸用中空円(空洞)7が形成されており、カムノーズ部3にはスラスト方向にテーパー形状(斜面)4が形成されているものである。
【0018】
本発明の三次元カムの製造方法においては、まず、鉄合金粉末を圧縮成形し、最終的に得たい三次元カム形状1(図1(a)参照)とは相違する、目標形状の成形体5(図1(b)参照)とする(圧縮成形工程、図3参照)。その後、圧縮成形された成形体5を焼結することにより三次元カム形状1に変形させる(焼結工程)。
【0019】
本発明においては、図3の粉末成形装置20の断面図に示すように、カムの成形体5を一方側からのみから加圧して成形する(図3(a)矢印23参照)。これより、成形体5のカムノーズ部3のスラスト方向において密度差ができる。この密度差による焼結時の鉄合金粉末の収縮量の違いを利用して、焼結時にカムノーズ部3にテーパー4が形成される。成形体5を焼結した後は、三次元形状のカム1となる。なお、通常、カムの焼結前の成形体は上下両側より加圧して成形されるものである。本発明においては、この上下両側からの加圧を、一方側のみ、特に上側からの加圧としたところに特徴を有している。ここで、本発明において、カムを説明する場合の上下とは、製造工程における圧縮成形時、焼結時にカムを置いた状態での上下をいう。
【0020】
圧縮成形工程について説明する。
【0021】
圧縮成形工程においては、粉末成形装置20を用いて一方側のみから鉄合金粉末21をプレス(圧縮成形)し、成形体5を作製する。このプレスは、下側のパンチ28を固定して、上側のパンチ27のみを動かし、上側からプレスする。このプレス時の圧力は、特に限定されないが、4〜10ton/cm2程度とする。なお、上側のパンチ27を固定して、下側のパンチ28のみを動かし、下側からプレスすることも可能である。
【0022】
このようにプレスすることで、圧縮成形された焼結用鉄合金粉末の成形体5は、成形体の各位置において密度差を有することとなる。具体的には、上側のみから圧縮成形された焼結用鉄合金粉末の成形体は、下側よりも加圧された上側の密度が大きく、カムノーズ部3下側よりカムベース部2下側の密度が大きくなる。
【0023】
成形体5の密度について図2(b2)に示した成形体5のスラスト方向の断面図を用いて説明する。カムベース部上面11よりもカムベース部下面12の方が密度が小さい。カムベース部2のカム軸用中空円7におけるカムノーズ部3側に設けられた凹部6、6’(後述する。)を有する位置では、上面13よりも下面14の方が密度が小さい。カムノーズ部上面15よりもカムノーズ部下面16の方が密度が小さい。カムベース部2、カムベース部2のカムノーズ部3側に設けられた凹部6、カムノーズ部3の各上面側では、ほぼ同程度の密度である。一方、カムの下面側では、カムベース部下面12よりもカムノーズ部下面16の密度が小さい。
【0024】
この圧縮成形された鉄合金粉末の成形体5の理論密度比は、85〜93%程度とする。理論密度比が85%未満であると、成形後のカムベース部2に密度差が生じ、焼結後にカムベース部2がテーパー形状となる。理論密度比が93%より大きくなると、成形時にカムノーズ部3における密度差が大きくならず、焼結後にカムノーズ部3にテーパー形状4が得られない場合がある。理論密度比は、好ましくは、88〜90%程度である。なお、理論密度比とは、成形体5の理論密度に対する、圧縮された成形体5の平均密度の比である。
【0025】
圧縮成形された後の成形体5の形状(目標形状)について、図1(b)および図2(a)〜(c)を用いて説明する。この成形体5の形状は、上述の密度差を生じさせることと密接に関連する。
【0026】
図2(a)はカム成形体5の上面図を示し、図2(b1)、(b2)は(a)におけるA−A’断面(カムノーズ部先端8、9を通るスラスト方向の断面)およびカム成形体5の各寸法を示し、図2(c)は(b1)におけるB−B’断面(成形体5の凹部6を含む、上面図と平行な断面)を示したものである。
【0027】
この成形体5の形状は、図1(b)、図2に示すように、通常のカム形状におけるカム軸用中空円7のカムノーズ部3側の半円外周の位置に、カムノーズ部3に向かって深さと幅とが徐々に大きくなる凹部6を有した形状である。凹部6は、図1(b)および図2(a)に示すように、成形体5の中空円7の中心Oを通る直線でカムベース2側とカムノーズ3側とに分けたときに、この直線上においては深さがない。凹部6は、この位置からカムノーズ部3側に向かい、徐々に深くなっていく。また、凹部6は、先の中空円7の中心Oを通る直線上においては、カムの中空円7とカムの外壁との距離よりも短い幅Iを有し、カムノーズ部3側に向かい、この幅が徐々に広くなっていく。なお、凹部6のカムベース部2側端における幅Iは、凹部6のカムノーズ部3側先端における幅fよりも小さければよく、幅Iは0(ゼロ)でもよい。幅Iがない場合には、凹部6を上面から見ると、三日月を上下方向に縮めたような形状となっている。このような凹部6がカム成形体5の上面に設けられるとともに、同様の形状の凹部6’がカム成形体5の下面に設けられる。このカムの上下各面に設けられた凹部6、6’は、最もカムノーズ部3寄りの位置において、同一の深さe,e’と幅f、f’を有する。なお、ここでのカムの高さbは、カムのスラスト方向の幅を指す。
【0028】
具体的には、カムベース部2外面とカムベース部2側のカム軸用中空円7との距離c(図2(b1)におけるc)が、カムノーズ部上側先端9とカム軸用中空円7との距離a(図2(b1)におけるa)の0.2倍以下であり、カムの高さb(図2(b1)におけるb)が、カムノーズ部上側先端9とカム軸用中空円7との距離aの1.8倍以上であり、凹部6の幅f、f’(図2(b1)におけるf、f’)が、カムノーズ部上側先端9とカム軸用中空円7との距離aの1/3倍以上であり、凹部6の深さe(図2(b1)におけるe、e’)が、カムの高さbの0.2倍以上である形状とする。なお、カムノーズ部上側先端9とカム軸用中空円7との距離aは、圧縮成形したカムを焼結した後の値である。
【0029】
cがaの0.2(1/5)倍以下であることにより、カムベース部2側はカムノーズ部3側に比べて面圧が上がり、カムベース部2におけるスラスト方向での密度差が発生しにくくなる。cがaの0.2倍より大きくとなると、カムベース部2にも密度差が生じ、焼結後にテーパー形状となってしまう場合がある。なお、通常、cがaの0.1倍以上とする。好ましくは、cがaの0.15倍以上0.2倍以下である。
【0030】
bがaの1.8倍以上であることにより、成形後にカムノーズ部3のスラスト方向に十分な密度差が生じるため、焼結後にカムノーズ部3にテーパー形状4が得られる。bがaの1.8倍未満となると、成形後にカムノーズ部3のスラスト方向で十分な密度差が生じなくなるため、焼結後にカムノーズ部3のテーパー形状4が得にくくなる。なお、通常、bがaの2.0倍以上とする。好ましくは、bがaの2.2倍以上2.5倍以下である。
【0031】
f、f’がaの1/3倍以上であることにより、カムノーズ部3の中空円7側に大きな密度差が生じないため、この位置がテーパー形状とならずにすむ。f、f’が1/3未満であると、カムノーズ部3の中空円7側に密度差が生じ、この位置がテーパー形状となる場合がある。
【0032】
e,e’がbの0.2(1/5)倍以上であることにより、カムノーズ部3の中空円7側に大きな密度差が生じず、この位置がテーパー形状とならずにすむ。e,e’がbの0.5倍未満となるとカムノーズ部3の中空円7側に密度差が生じてこの位置がテーパー形状となる場合がある。
【0033】
こうしたカムの成形体5の大きさは、特に限定されないが、焼結による収縮を考慮して、カムの長さ(カム軸に垂直となる方向のカムの最大長さ)g(図2(b1)におけるg)が20〜50mm程度、カム軸用中空円7の直径h(図2(b1)におけるh)が10〜30mm程度とする。また、カムの高さbが20〜40mm程度、カムベース部2外面とカムベース部2側のカム軸用中空円7との距離cが2〜5mm程度、カムノーズ部3下側先端とカム軸用中空円7との距離d(図2(b1)におけるd)が10〜20mm程度とする。
【0034】
圧縮成形される鉄合金粉末は、焼結後の強度等を考慮してその組成が決められる。この鉄合金粉末の組成や組成比は、特に限定されず、従来公知のものとすることができる。具体的には、鉄(Fe)粉末に、黒鉛(C)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)等を添加することができる。これらは、通常、各々0.5〜10質量%程度添加される。さらに具体的には、Fe−C−Cu、Fe−C−Cu−Ni等の組成にすることができる。
【0035】
なお、圧縮成形時の温度は、通常の温度と同様であり、室温(RT)〜200℃程度で行う。また、圧縮成形時の成形体5の周囲の雰囲気は、通常の圧縮成形時の雰囲気と同様にして行われる。また、圧縮成形をする際は、上パンチ27を駆動させて圧縮し、その後、通常と同様に成形体5を粉末成形装置20から取り出せばよい。圧縮成形工程は、このような圧縮成形を行うことができる、後述する本発明の圧縮成形装置を用いて行われる。
【0036】
次いで、焼結工程について説明する。
【0037】
上述の成形工程にて圧縮成形された成形体5は、従来公知の方法で焼結される。この際、成形体5は、プレスされて密度が高く構成されている側を上側にした状態で焼結されてもよく、逆に、密度が高く構成されている側を下側にした状態で焼結されてもよい。
【0038】
焼結時の温度は、通常の温度と同様であり、特に限定されないが、1100〜1200℃程度で行う。焼結時の成形体5の周囲の雰囲気は、通常の焼結時の雰囲気と同様であり、特に限定されないが、Axガス、Rxガス、真空等の雰囲気の下で焼結が行われる。成形体の焼結にかかる時間は、通常の時間と同様であり、特に限定されないが、0.25〜1.0時間程度である。焼結工程は、このような焼結を行うことのできる従来公知の焼結装置を用いて行われる。
【0039】
このようにカム用の成形体5を焼結すると、図2(d)に示すように、焼結時の成形体5の上側に、カムノーズ部3のテーパー形状(斜面)4が形成された三次元形状のカム1となる。
【0040】
成形体5の焼結工程の後、形成された三次元カムの形状を整えるために、従来公知の方法で、研磨、ポリッシング等を行うことにより、三次元カムが製造される。研磨は、NC研磨機等により行われる。
【0041】
このように、本発明の三次元カムの製造方法は、焼結によりカムノーズ部3のテーパー形状4が形成されるため、従来のような、カムやパンチ型を三次元形状に切削、研磨するための時間がかからず、コストが低減され、簡易に行うことができるものである。なお、本発明の三次元カムの製造方法は、後述する本発明の粉末成形装置と、通常の焼結装置とを備えた三次元カムの製造システムにより、実現することができる。
【0042】
(粉末成形装置)
本発明の三次元カムの製造方法において、鉄合金粉末を圧縮成形する際に用いられる粉末成形装置について、図3を参照して説明する。
【0043】
図3に示すように、粉末成形装置20は、内孔を有するダイ25と、その内孔に配置されるコアロッド26と、ダイ25およびコアロッド26との間隙に配置され、固定可能に取り付けられた下パンチ28と、これに対向する摺動可能な上パンチ27と、を有する。下パンチ28を固定し、上パンチ27を可動とすることにより、上側のみから加圧成形することができ、上述のように密度差を有する成形体5(図1(b)参照)を形成することができる。
【0044】
ダイ25の有する内孔は、図2(a)に示すカム上面図の外側形状を形成できる形状となっている。コアロッド26は、カム軸用中空円7に対応した形状となっている。
【0045】
下パンチ28および上パンチ27は、その各対向面、すなわち、鉄合金粉末と接触する面が、コアロッド26と接触する部分におけるカムノーズ部3形成側の半円の位置に、カムノーズ部3形成側に向かって高さと幅とが徐々に大きくなる凸部29、29’を有する形状とする。この凸部29は、圧縮成形後のカム成形体5における凹部6に対応するものである。上パンチ27と下パンチ28がこうした形状になっていることで、上述のカム用の成形体5を形成することができる。
【0046】
このように、本発明の粉末成形装置20は、従来のように上パンチ27やダイ25の形状を三次元カム1のカムノーズ部3のテーパー形状(斜面)4を成形する三次元の形状にせずにすむ。そして、下パンチ28、上パンチ27、ダイ25の各部品(金型)は、曲面はあるものの、装置の高さ方向においてはストレートな形状であり、三次元的な曲面を有さないため、簡便に作製できる。また、この粉末成形装置20は、三次元カムの成形体5を加圧成形した場合に、上パンチ27に加圧による大きな負担がかかりにくく、破損しにくい。これも、上パンチ27がカムノーズ部3の斜面4を形成する三次元の形状ではないためである。このように、粉末成形装置20の各部品が簡便に製造でき、その各部品の寿命が長くなるため、従来の三次元カムを成形するための粉末成形装置50(図4参照)に比べて、コストを低減できる。
【0047】
【実施例】
以下に、実施例と比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
純鉄(Fe)粉に黒鉛(C)粉末を1質量%、亜鉛(St−Zn)粉末を1質量%添加し、混合した粉末を図3に示した粉末成形装置にて圧縮成形した。粉末成形装置に用いる各金型について、図2(b1)における寸法が表1のものとなるようにした。粉末成形装置のダイ、コアロッド、下パンチを固定し、上パンチのみで圧縮成形して図1(b)に表したものと同様のカム成形体とした。この成形体について、圧縮成形された側を上側として、Axガス雰囲気の焼結炉で1150℃程度、30分間の焼結を行った。その結果、カムノーズ部の上側にスラスト方向にテーパーが形成された3次元カムが得られた。この三次元カムの寸法およびd/aの比、および判定を表2に示す。判定は、d/aが1.2以上の場合を○とし、d/aが1.2未満の場合を×とした。なお、各表中a〜fの数値の単位はmmである。
(比較例1〜7)
粉末成形装置に用いる各金型の寸法および理論密度比を表1に示すものとした他は、実施例1と同様にして、三次元カムを作製した。その結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003939671
【0049】
【表2】
Figure 0003939671
このように、焼結前のカム成形体を上述の寸法比の範囲内で作製した実施例1は、良好なテーパー形状を有する三次元カムを作製することができた。そして、粉末成形装置の形状を複雑にすることなく、容易かつコスト、時間がかからずにテーパー形状を有する三次元カムを製造することができた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の三次元カムの製造方法によれば、三次元カムとは異なる形状のカム成形体を一方向からの圧縮成形により形成することで、焼結前のカム成形体に密度差を設けることができる。このとき、カム成形体の圧縮成形された側の密度が相対的に高くなる。そして、この密度差を有する成形体を焼結することにより、鉄合金粉末の収縮量の違いを利用してカム成形体のカムノーズ部に斜面を形成することができる。こうして容易に三次元形状のカムを得ることができる。そのため、カムや粉末成形装置のパンチ型を三次元形状に加工せずにすむので、三次元カムを簡易に製造することができる。また、この三次元カムの製造方法は、従来の各方法に比べ、時間がかからず、コストが低減されたものである。
【0051】
また、本発明のカム用の粉末成形装置によれば、ダイ内周面が三次元形状とならず、ストレートな形状とすることができる。また、下パンチ、上パンチ等の各部品も複雑な形状とならない。そのため、粉末成形装置の各部品を簡便に製造することができ、また、粉末成形装置の使用時にも各部品が破損しにくい。その結果、本発明の粉末成形装置は、各部品の寿命が長くなり、三次元カムの製造にかかるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三次元カムの製造方法により製造される三次元カムおよびその製造途中段階の鉄合金粉末成形体を示す斜視図である。
【図2】本発明の三次元カムの製造方法における圧縮成形後の鉄合金粉末成形体の上面図および断面図と、焼結後の三次元カムの断面図である。
【図3】本発明の粉末成形装置の使用状態を示す断面図である。
【図4】従来の三次元カムの製造に用いられる粉末成形装置の断面図である。
【符号の説明】
1 三次元カム
2 カムベース部
3 カムノーズ部
4 カムの斜面(テーパー形状)
5、5(PP) カムの圧縮成形後の成形体
6、6’ カム軸用中空円のカムノーズ部側半円外周に設けられた凹部
7 カム軸用中空円
8 カムノーズ部下側先端
9 カムノーズ部上側先端
11 カムベース部上面
12 カムベース部下面
13 中空円外周の上面
14 中空円外周の下面
15 カムノーズ部上面
16 カムベース部下面
20 本発明の粉末成形装置
21、51(PW) 鉄合金粉末
23、53 プレス方向
25、55 ダイ
26、56 コアロッド
27、57 上パンチ
28、58 下パンチ
29 各パンチに設けられた凸部
50 従来の三次元カム製造に用いられる粉末成形装置
52 従来の三次元カムの圧縮成形後の成形体
54 パンチ型のカムノーズ部対応部分
a カムノーズ部上側先端とカム軸用中空円との距離
b カムの高さ
c カムベース部外面とカムベース部側のカム軸用中空円との距離
d カムノーズ部下側先端とカム軸用中空円との距離
e,e’ 凹部の高さ
f、f’ 凹部の幅
g カムの長さ
h カム軸用中空円の直径
I 凹部のカムベース側端における幅
O カム軸用中空円の中心

Claims (7)

  1. 鉄合金粉末を一方側のみから圧縮成形して、三次元カム形状とは相違する目標形状の成形体とした後、前記成形体を焼結することにより、前記目標形状から三次元カム形状に変形させる三次元カムの製造方法であって、
    前記目標形状は、上下各面におけるカム軸用中空円のカムノーズ部側の半円外周の位置に、カムノーズ部に向かって深さと幅とが大きくなる凹部を有した形状であり、
    前記三次元カム形状は、圧縮成形された一方側のカムノーズ部に斜面が形成された形状であることを特徴とする三次元カムの製造方法。
  2. 前記圧縮成形は、上側のみから行うことを特徴とする請求項1に記載の三次元カムの製造方法。
  3. 前記成形体は、各位置において密度差を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元カムの製造方法。
  4. 前記成形体は、下側より上側の密度が大きく、カムノーズ部下側よりカムベース部下側の密度が大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の三次元カムの製造方法。
  5. 前記成形体の理論密度比が85〜93%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の三次元カムの製造方法。
  6. 前記目標形状は、カムベース部外面とカムベース部側のカム軸用中空円との距離が、圧縮成形したカムを焼結した後におけるカムノーズ部上側先端とカム軸用中空円との距離の0.2倍以下であり、
    カムの高さが、前記カムノーズ部上側先端とカム軸用中空円との距離の1.8倍以上であり、
    凹部の幅が、前記カムノーズ部上側先端とカム軸用中空円との距離の1/3倍以上であり、
    凹部の深さが、カムの高さの0.2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の三次元カムの製造方法。
  7. 内孔を有するダイと、その内孔に配置されるコアロッドと、ダイおよびコアロッドの間隙に配置され、固定可能に取り付けられた下パンチと、これに対向する摺動可能な上パンチと、を有するカム用の粉末成形装置であって、
    該下パンチおよび上パンチの各対向面が、コアロッド接触部分におけるカムノーズ部形成側の半円の位置に、カムノーズ部形成側に向かって高さと幅とが大きくなる凸部を有する形状であることを特徴とするカム用の粉末成形装置。
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