JP3763797B2 - 内外周の同軸度精度に優れた内孔付き焼結部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数回の圧縮成形工程を含む、内孔を有する焼結部材の製造方法に係り、とくに焼結カムピース内外周の同軸度精度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉末冶金製品は部品形状に近い形状に加工でき、切削加工費の削減が可能であることから、 近年、内燃機関の製造コスト低減という観点から、内燃機関用部品として、数多く使用されている。内燃機関用部品には、かなりの負荷がかかるため、高強度でかつ摺動性に優れた材料が要求されている。高強度、すなわち高密度な材料を得る方法として、温間成形、2回圧縮2回焼結法(2P2S法)、あるいは焼結鍛造法等が一般的に知られている。しかし、例えば、2P2S法を用いて製造された粉末冶金製品では、切削加工を完全に省略するには寸法精度が不十分であり、サイジング処理等を付加して寸法精度を向上させている。しかし、サイジング処理による変形量には自ずと限界があり、サイジング処理前の寸法精度によっては製品の寸法精度が不十分となる場合があった。
【0003】
また、最近では、シャフト (軸)とカムピースとを別々に製造し、同一シャフト (軸)に複数のカムピースを組み付ける、 組立て式カムシャフトが製造されるようになってきた。とくに、用途に応じカムピースは異なる材料とされるため、同一軸に複数の異種材料製カムピーズが組み付けられる場合がある。このような複数のカムピースを同一軸に組み付ける組立て式カムシャフトの製造においては、カムピースの内径の寸法精度に加えてさらに、カムピースの外周部 (ベース円外周)の外径を基準とした軸心と、内周部の内径を基準とした軸心との同軸度精度を向上させることが要求されている。
【0004】
このような要望に対し、例えば、特開2001-293531 号公報には、孔を区画する内周部と外周部とを備えるワーク (焼結体)について、ダイス孔およびダイス孔内に配置されたコアロッドをもつダイスを用い、ダイス孔内にワークを装入し、、ワークの外周部をダイス孔の内周部で拘束するとともに、ワークの内周部をコアロッドの外周部でしごく、ワーク内周部の内径を基準とした軸心と外周部の外径を基準とした軸心との同軸性を高めるためのしごき工程を含むワークの内径精度向上方法が提案されている。
【0005】
また、特開2001-198645 号公報には、製造されるべきカムロブの厚さより大きい厚さと、小さい外形と、軸方向孔の形状よりわずかに大きい軸方向孔を有する素材を、製造されるべきカムロブの輪郭形状と相補形状の壁面を有する外型と、カムロブの軸方向孔の形状と相補形状の壁面を有する中型と、底面と中型が係合する受け孔を有する下型とからなる金型内に置き、カムロブと同じ断面形状を有する押型にて、厚さ方向に冷間で押圧する組立て式カムシャフト用カムロブの製造方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001-198645 号公報に記載された技術では、製造されたカムロブ(焼結体)の同軸度精度が不足して、仕上げ加工を必要とする場合が多く、工程が複雑化し製造コストの高騰を招くという問題があった。また、特開2001-293531 号公報に記載された技術では、焼結体の内周面しごき加工を必要とするうえ、必ずしも所望の同軸度精度が得られない場合があり、仕上げ加工を必要とする場合が多く、製造工程が複雑化し製造コストの高騰を招くという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、内外周の同軸度精度に優れた内孔付き焼結部材、とくに焼結カムピースの製造方法を提案することを目的とする。なお、本発明でいう「同軸度精度に優れた」とは、焼結部材(焼結カムピース)の外周部 (ベース円)の外径を基準とした軸心と、内周部の内径を基準とした軸心とのずれ(差)が、0.04 mm 以内である状態をいうものとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した課題を達成するために、焼結カムピースのベース円と内周の同軸度精度に影響する要因についてさらに鋭意研究した。その結果、再圧縮工程を含む焼結カムピースの製造方法では、再圧縮時に金型と仮焼結体(ワーク)との間にクリアランスを必要とするため、そのクリアランスの範囲内で、仮焼結体(ワーク)の装入位置に自由度があり、ベース円(外径)を基準とした軸心と内周径を基準とした軸心とにずれ(差)が生じる原因となり、同軸度精度が低下することを見出した。
【0009】
とくに、ワークとダイとの間にクリアランス(自由度)が存在するために、図3に示すように、仮焼結体(カムピース)のノーズ部が左右にずれる場合がある。このため、製品(焼結カムピース)の密度分布が不均一となり、スプリングバック量にばらつきが生じて、焼結カムピースのベース円(外径)を基準とした軸心と内周径を基準とした軸心とにずれ(差)が生じ、同軸度精度が低下する。
【0010】
本発明者は、再圧縮時に仮焼結体(ワーク)が一定位置に装入されるように金型形状を調整することにより、製品(焼結カムピース)の同軸度精度が顕著に向上することに想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる成形用金型を用い、少なくとも一次圧縮成形と二次圧縮成形とを含む工程からなる内孔付き焼結部材の製造方法において、前記成形用金型を、上パンチおよび/または下パンチが、内周側部表面、肉厚中央部表面および外周側部表面のうちの少なくとも一個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた内孔付き焼結部材の製造方法。
(2)ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる一次成形用金型を用い、該一次成形用金型の前記ダイと前記コアロッドとの間のダイ孔内に原料粉末を充填し、前記上パンチと前記下パンチとにより前記原料粉末を一次圧縮成形したのち、仮焼結を施して内孔を有する仮焼結体とする一次成形工程と、該仮焼結体を、ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる二次成形用金型のダイ孔内に装入し、 前記上パンチと前記下パンチとにより前記仮焼結体を二次圧縮成形したのち本焼結を施して、中央部に内孔を有する焼結体とする二次成形工程とからなる内孔付き焼結部材の製造方法において、前記一次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチ、前記二次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチが、内周側部表面、肉厚中央部表面および外周側部表面のうちの少なくとも一個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた内孔付き焼結部材の製造方法。
(3)ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる成形用金型を用い、少なくとも一次圧縮成形と二次圧縮成形とを含む工程からなる焼結カムピースの製造方法において、前記成形用金型を、上パンチおよび/または下パンチが、カムピースノーズ位置相当の内周側部表面、カムピースノーズ位置相当の肉厚中央部表面、およびカムピースノーズ位置相当の外周側部表面のうちの少なくとも1個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた焼結カムピースの製造方法。
(4)ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる一次成形用金型を用い、該一次成形用金型の前記ダイと前記コアロッドとの間のダイ孔内に原料粉末を充填し、前記上パンチと前記下パンチとにより前記原料粉末を一次圧縮成形したのち、仮焼結を施してカムピース形状の仮焼結体とする一次成形工程と、該仮焼結体を、ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる二次成形用金型のダイ孔内に装入し、 前記上パンチと前記下パンチとにより前記仮焼結体を二次圧縮成形したのち本焼結を施して、カムピース形状の焼結体とする二次成形工程とからなる焼結カムピースの製造方法において、前記一次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチ、および、前記二次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチが、カムピースノーズ位置相当の内周側部表面、カムピースノーズ位置相当の肉厚中央部表面およびカムピースノーズ位置相当の外周側部表面のうちの少なくとも1個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた焼結カムピースの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる成形用金型を用い、原料粉末に、少なくとも一次圧縮成形を施す一次成形工程と該一次成形工程を経た一次成形体に二次圧縮成形(再圧縮成形)を施す二次成形工程と、を含む工程からなる内孔付き焼結部材の製造方法である。なお、本発明では、一次成形工程においては、一次圧縮成形を施し一次成形体とした後に仮焼結を施し仮焼結体とする工程を含み、さらに二次成形工程においては、一次成形工程で得られた仮焼結体に再圧縮成形(二次圧縮成形)を施し、さらに本焼結を施し焼結体とする工程からなる、いわゆる2P2S法とすることが好ましい。以下、2P2S法を用いた場合をもとに説明するが、本発明はこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0012】
内孔付き焼結部材としては、例えば、焼結カムピースがある。以下、焼結カムピースを例として説明するが、本発明ではこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
まず、本発明では、内孔付き焼結部材(焼結カムピース)を製造するために、図1に示すような、ダイ11と、該ダイ11のダイ孔内の中心部に挿入したコアロッド14と、上パンチ12と、下パンチ13とからなる成形用金型を用いる。原料粉末1を、コアロッド14の周囲のダイ孔内に充填し、上パンチ12と下パンチ13とにより圧縮成形し、一次成形体とする。なお、上パンチ12あるいは下パンチ13には、コアロッド14が摺動可能なように中央部に孔122,132 を有する。上パンチ12および下パンチ13は、孔を区画する内周部と、ダイの内周面と摺動する外周面を区画する外周部とを有する。また、使用する原料粉末は、とくに限定する必要はなく、製品である焼結カムピースの用途に応じ適宜選定することが好ましい。例えば、鉄基焼結部材(焼結カムピース)であれば、鉄粉等の鉄基粉末に、黒鉛粉末、合金粉末、潤滑剤等を混合した混合粉を原料粉末とすることが好ましい。
【0013】
そして、本発明の一次圧縮成形に用いる一次成形用金型には、上パンチ11と下パンチ12のいずれか一方または両方に、内周側部表面、肉厚中央部表面および外周部表面のうちの少なくとも1個所に凸部131 が固設される。凸部131 は、三角錐状とすることが好ましいが、 これに限定されるものではない。なお、焼結部材が焼結カムピースの場合には、凸部131 は、カムピースのノーズ相当位置133 の内周側部表面、カムピースノーズ相当位置133 の肉厚中央部表面およびカムピースノーズ相当位置133 の外周側部表面のうちの少なくとも一個所とすることが好ましい。
【0014】
焼結カムピースの場合の凸部131 の固設位置の一例を図2に示す。
図2(a)は、下パンチの、カムピースのノーズ相当位置133 の内周側部表面に凸部131aを、図2(b)は、カムピースのノーズ相当位置133 の肉厚中央部表面に凸部131aを設けた例を模式的に示す。図2に示す例は、凸部がいずれも三角錐状の場合を示すが、これに限定されるものではない。
【0015】
例えば、図2(a)に示すような下パンチを有する一次成形用金型を使用して、原料粉末1を圧縮成形し一次成形体としたのち仮焼結を施すと、図4に示すように、仮焼結体(カムピース)の下パンチと接触した側で、仮焼結体(カムピース)のノーズ相当位置の内周側部 (内孔側)に凹部131bが形成された形となる。なお、本発明では仮焼結条件は特に限定されない。使用する原料粉末に応じて決まる条件で行うことが好ましい。
【0016】
このように、仮焼結体の、内周側部表面、肉厚中央部表面および外周側部表面のうちの少なくとも一個所に凹部を形成し、後述する二次成形用金型に形成する凸部とを合わせ用いることにより、その後の二次成形において二次成形用金型内におけるワーク (仮焼結体)の装入位置を一定位置とすることができる。なお、仮焼結体がカムピース形状の場合には、凹部はカムピースのノーズ相当位置相当に設けることが好ましい。
【0017】
このように、一次成形工程で、仮焼結体(カムピースの場合にはノーズ相当位置)の内周側部 (内孔側)表面、肉厚中央部表面あるいは外周側部表面に、凹部を形成された仮焼結体2は、ついで、二次成形金型内に装入され、二次圧縮成形を施され、ついで本焼結を施されて焼結体とされる二次成形工程を施される。
二次圧縮成形においては、一次圧縮成形と同様に、ダイ21のダイ孔に下パンチ23が挿入され、ダイ孔中央部にはコアロッド24が挿入され、さらにコアロッド24が下パンチ23の内孔232 に挿入される。ダイ21が固定された状態で下パンチ23が下降して、ダイ21の内周面とコアロッド24の外周面と下パンチ23で囲まれた部分(ダイ孔)に仮焼結体(カムピース:ワーク)2を装入する。
【0018】
二次圧縮成形において使用する二次成形用金型としては、一次成形用金型におけると同様に上パンチ22と下パンチ23のいずれか一方または両方に、カムピースの場合には、カムピースのノーズ相当位置133 の内周側部表面、カムピースノーズ相当位置133 の肉厚中央部表面およびカムピースノーズ相当位置133 の外周側部表面のうちの少なくとも1個所に凸部231 を固設する。凸部231 は、三角錐状とすることが好ましいが、 これに限定されるものではない。また、二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部221,231 は、一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部121,131 の寸法と同一またはそれ以上の大きさの凸部とする。
【0019】
ダイ21の内周面とコアロッド24の外周面と下パンチ23で囲まれた部分(ダイ孔)に装入された仮焼結体(ワーク)2は、仮焼結体に形成された凹部と、上または下パンチの凸部とにより、二次圧縮成形時のワーク(仮焼結体)2の装入位置をばらつきなく一定位置とすることができ、ダイ21内周と仮焼結体2とのクリアランス、コアロッド21とワーク2とのクリアランスがいずれも全周にわたり、均一となる。これにより、再圧縮成形−本焼結後に、外周の外径基準による軸心と内周の内径基準による軸心との差、同軸度精度を顕著に向上させることができる。
【0020】
成形する焼結部材を焼結カムピースとし、下パンチに、カムピースのノーズ相当位置133 の内周側部表面に凸部231aを設けた場合の二次成形用金型の一例を、二次圧縮成形(再圧縮成形)直前の状態で図5に示す。また、図6には、同様に、成形する焼結部材を焼結カムピースとし、下パンチに、カムピースのノーズ相当位置133 の内周側部表面に凸部231a を設け、さらに、上パンチに、カムピースのノーズ相当位置133 の内周側部表面に凸部221aを設けた場合の二次成形用金型の一例を二次圧縮成形(再圧縮成形)直前の状態で示す。
【0021】
ダイ孔内の一定位置に固定された仮焼結体(ワーク)2は、下降した上パンチ22により圧縮され、二次成形体(再圧縮成形体)とされる。その後、上パンチ22および下パンチ23が上昇して、二次成形体をダイ21から取り出す。
ダイから取り出された二次成形体は、さらに本焼結を施されて焼結カムピース (焼結体)とされる。なお、本発明では本焼結条件は特に限定されない。使用する原料粉末に応じて決まる条件で行うことが好ましい。
【0022】
【実施例】
鉄粉に、黒鉛粉、銅粉を焼結後にC:0.8 質量%、Cu:1.5 質量%となるように配合し、さらに潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を鉄粉と黒鉛粉と銅粉の合計量100 重量部に対し1重量部配合し、混合して混合粉とした。この混合粉を原料粉末として、図1に示す一次成形用金型のダイ孔に充填して、面圧:5〜7ton/cm2 で一次圧縮成形し、一次成形体とした。なお、一次成形用金型は、下プレスのカムピースノーズ相当位置の内周側部表面に三角錐状の凸部(底面:一辺3mmの三角形、高さ:2mm)を有し、仮焼結後に図4に示すような、短径D:40mm×内径d:30mm×厚さ15mm(長径L:52mm)のカムピース形状となるように設計された金型とした。
【0023】
これら一次成形体を、真空焼結炉中で、600 〜900 ℃の温度範囲で仮焼結する一次成形工程により、仮焼結体とした。ついでこれら仮焼結体に、図5に示す二次成形用金型を用いて、面圧:7 〜10 ton/cm2 で二次圧縮成形を施し、二次成形体としたのち、1100〜1200℃の温度で本焼結を施す二次成形工程により、焼結カムピース(製品:内孔付き焼結部材)とし本発明例1とした。なお、二次成形用金型は、本焼結後に図5に示すような、本焼結後に、長径L:52mm, 短径D:40mm×内径d:30mm×厚さt:15mmのカムピースとなるように設計された金型であり、下プレスのカムピースノーズ相当位置の内周側部に、仮焼結体の下側内周側部に付与された凹部より大きい寸法の三角錐状の凸部を付設された金型とした。また、二次成形用金型と仮焼結体とのクリアランスは0.1mm (片側)に設定した。
【0024】
また、本発明例1と同じ配合の原料粉末を、一次成形用金型として、カムピースノーズ相当位置の内周側部に凸部を付設した下パンチと、カムピースノーズ相当位置の内周側部に凸部を付設した上パンチを使用した金型を用い、また、二次成形用金型として、 図6に示すような、カムピースノーズ相当位置の内周側部に凸部を付設した下パンチと、カムピースノーズ相当位置の内周側部に凸部を付設した上パンチを使用した金型を用いた以外は、本発明例1と同様な条件で一次成形工程および二次成形工程を施し、内孔付き焼結部材(焼結カムピース:製品)とし本発明例2とした。なお、二次成形用金型では、下パンチおよび上パンチに付設された凸部は、一次成形金型により仮焼結体に付与された凸部より大きい寸法(底面:1辺3.2 mmの三角形、高さ2.2mm )とした。
【0025】
また、一次成形用金型、二次成形用金型の、下パンチおよび上パンチのいずれにもに凸部を付設しなかった金型を使用した以外は、本発明例1、本発明例2と同じ配合の原料粉末を、本発明例1、本発明例2と同様な条件の一次成形工程、二次成形工程により、同一寸法の焼結カムピース(内孔付き焼結部材)とし、比較例とした。
【0026】
本発明例1、本発明例2、 比較例とも焼結カムピースを各60個作製した。これら内孔付き焼結部材について、内周 (内孔)を基準として外周全周にわたりフレ量を測定し、外周の外径基準による軸心と内周の内径基準による軸心との差(mm)を求め、同軸度精度を評価した。同軸度精度は軸心の差が小さいほど向上している。得られた結果を図7に示す。
【0027】
図7から、本発明例1および本発明例2の同軸度はいずれも、0.04mm以下となっており比較例の0.05mmにくらべ同軸度精度が顕著に向上していることがわかる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、内径、および外径等の寸法精度に優れ、かつ同軸度精度に顕著に優れた焼結カムピース等の内孔付き焼結部材が、簡便な方法で安価にしかも安定して製造できるという産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適な一次成形用金型の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に好適な一次成形用金型の下パンチの構造の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】従来の金型を使用した場合の仮焼結体(ワーク:カムピース)の装入位置のばらつきを模式的に示す説明図である。
【図4】図2(a)の一次成形用金型を使用して製造された仮焼結体 (カムピース)の形状を示す説明図である。
【図5】本発明に好適な二次成形用金型の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に好適な二次成形用金型の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明における実施例の同軸度精度を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1 原料粉末
11 ダイ (一次成形用)
12 上パンチ (一次成形用)
13 下パンチ (一次成形用)
14 コアロッド (一次成形用)
15 コアロッド (一次成形用)受け治具
121 上パンチ凸部 (一次成形用)
122 上パンチ内孔 (一次成形用)
131 ,131a 下パンチ凸部 (一次成形用)
131b 凹部
132 下パンチ内孔 (一次成形用)
2 ワーク(仮焼結体)
21 ダイ (二次成形用)
22 上パンチ (二次成形用)
23 下パンチ (二次成形用)
24 コアロッド (二次成形用)
25 コアロッド (二次成形用)受け治具
221 ,221a 上パンチ凸部 (二次成形用)
222 上パンチ内孔 (二次成形用)
231 、231a 下パンチ凸部 (二次成形用)
232 下パンチ内孔 (二次成形用)
Claims (4)
- ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる成形用金型を用い、少なくとも一次圧縮成形と二次圧縮成形とを含む工程からなる内孔付き焼結部材の製造方法において、前記成形用金型を、上パンチおよび/または下パンチが、内周側部表面、肉厚中央部表面および外周側部表面のうちの少なくとも一個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた内孔付き焼結部材の製造方法。
- ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる一次成形用金型を用い、該一次成形用金型の前記ダイと前記コアロッドとの間のダイ孔内に原料粉末を充填し、前記上パンチと前記下パンチとにより前記原料粉末を一次圧縮成形したのち、仮焼結を施して内孔を有する仮焼結体とする一次成形工程と、該仮焼結体を、ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる二次成形用金型のダイ孔内に装入し、 前記上パンチと前記下パンチとにより前記仮焼結体を二次圧縮成形したのち本焼結を施して、中央部に内孔を有する焼結体とする二次成形工程とからなる内孔付き焼結部材の製造方法において、
前記一次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチ、前記二次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチが、内周側部表面、肉厚中央部表面および外周側部表面のうちの少なくとも一個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた内孔付き焼結部材の製造方法。 - ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる成形用金型を用い、少なくとも一次圧縮成形と二次圧縮成形とを含む工程からなる焼結カムピースの製造方法において、前記成形用金型を、上パンチおよび/または下パンチが、カムピースノーズ位置相当の内周側部表面、カムピースノーズ位置相当の肉厚中央部表面、およびカムピースノーズ位置相当の外周側部表面のうちの少なくとも1個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた焼結カムピースの製造方法。
- ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる一次成形用金型を用い、該一次成形用金型の前記ダイと前記コアロッドとの間のダイ孔内に原料粉末を充填し、前記上パンチと前記下パンチとにより前記原料粉末を一次圧縮成形したのち、仮焼結を施してカムピース形状の仮焼結体とする一次成形工程と、該仮焼結体を、ダイと、該ダイのダイ孔内の中心部に挿入したコアロッドと、上パンチと、下パンチとからなる二次成形用金型のダイ孔内に装入し、 前記上パンチと前記下パンチとにより前記仮焼結体を二次圧縮成形したのち本焼結を施して、カムピース形状の焼結体とする二次成形工程とからなる焼結カムピースの製造方法において、
前記一次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチ、および、前記二次成形用金型の上パンチおよび/または下パンチが、カムピースノーズ位置相当の内周側部表面、カムピースノーズ位置相当の肉厚中央部表面およびカムピースノーズ位置相当の外周側部表面のうちの少なくとも1個所に凸部を有し、かつ前記二次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部が前記一次圧縮成形に用いる上または下パンチの凸部と同一または大きい金型とすることを特徴とする内外周の同軸度精度に優れた焼結カムピースの製造方法。
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JP2002092068A JP3763797B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 内外周の同軸度精度に優れた内孔付き焼結部材の製造方法 |
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