以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る画像形成システムの構成を示している。
画像形成システム1は、図1に示すように、スキャナ100とプリンタ200とパーソナルコンピュータなどコンピュータ(以下「PC」という。)300とが通信回線10を介して接続されている。なお、スキャナ100、プリンタ200およびPC300に関して、それぞれ複数台を通信回線10に接続するようにしてもよい。
通信回線10としては、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)などネットワークや電話回線などの有線通信回線、無線LANなどの無線通信回線、さらには、これらの通信回線を組み合わせたもの、などが挙げられる。本実施の形態1では、通信回線10はネットワークを採用するものとし、通信回線10をネットワーク10とする。
本願明細書では、画像形成装置とデータ処理装置と記憶装置とが通信回線を介して接続される画像形成システムにおいて、画像形成装置、データ処理装置、記憶装置および通信回線を「画像形成処理にかかわる資源」と定義する。これらの画像形成処理にかかわる資源はシステム資源であると言える。
図2は、スキャナ100の機能構成を示している。
スキャナ100は、図2に示すように、通信部110、能力・設定情報保持部120、制御部130、原稿読取部140、画像記憶部150および操作・表示部160を備えている。
通信部110は、ネットワーク通信部111およびローカル通信部112を備えている。
ネットワーク通信部111は、ネットワーク10とのインターフェースとして動作し、ネットワーク10に接続されたプリンタ200やPC300との間でデータや指示等の送受信を行う。
ローカル通信部112は、図示しないローカル通信手段のインターフェースとして動作し、ローカル通信手段に接続されたプリンタ200との間でデータや指示等の送受信を行う。
通信部110は、制御部130からの通知によりプリンタ200やPC300との間で通信を行いプリンタ200やPC300の情報を取得するとともに、制御部130から出力される能力・設定情報を受け取りプリンタ200やPC300に向けて送信する。また、通信部110は、原稿読取部140あるいは画像記憶部150から出力される画像データを受け取り、プリンタ200やPC300に向けて送信する。さらに通信部110は、プリンタ200やPC300から送信された画像データを受信して画像記憶部150に記憶する。
能力・設定情報保持部120は、スキャナ200の能力情報や設定情報を保持し、これらの情報を制御部130へ提供する。
本実施の形態1では、スキャナ200の能力情報はスキャン速度や通信速度などであり、設定情報は画像記憶部150の記憶容量情報などである。「スキャナの能力情報、および設定情報」を「能力・設定情報」という。
制御部130は、原稿読取部140や操作・表示部160を制御するとともに、通信部110からの要求に基づいて能力・設定情報を能力・設定情報保持部120から取得して通信部110へ出力する。
原稿読取部140は、原稿を光学的に読み取って得た光学信号を電気信号に変換し、画像データを生成する。このようにして生成された画像データは、出力先に応じたジョブとして、通信部110に渡されるか、画像記憶部150に記憶される。
画像記憶部150は、原稿を読み取って画像データを生成した原稿読取部140から出力された画像データを保持するとともに、プリンタ200やPC300から送信された画像データを受信した通信部110から出力された画像データを保持する。また、画像記憶部150は、通信部110からの要求に基づいて、該当する画像データを通信部110へ供給する。
操作・表示部160は、ユーザインターフェースとして動作するものであり、ユーザに対して各種情報を提供するとともに、ユーザからの指示を受け付ける。
図3は、プリンタ200の機能構成を示している。
プリンタ200は、図3に示すように、通信部210、文書管理部220、画像処理部230、制御部240、能力・設定情報保持部250、印刷部260、および操作・表示部270を備えている。
能力・設定情報保持部250は、プリンタ200の能力情報や設定情報を保持し、これらの情報を制御部240へ提供する。
本実施の形態1では、プリンタ200の能力情報は印刷速度や通信速度などであり、設定情報は文書ファイルを格納する外部装置、つまり文書ファイルの記憶先の外部装置を示す外部装置情報などである。「プリンタの能力情報、および設定情報」を「能力・設定情報」という。なお、文書ファイルの記憶先がプリンタ200の文書管理部220のときは、設定情報はヌル(NULL)データとなる。
通信部210は、ネットワーク通信部211およびローカル通信部212を備えている。
ネットワーク通信部211は、ネットワーク10とのインターフェースとして動作し、ネットワーク10に接続されたスキャナ100やPC300との間でデータや指示等の送受信を行う。
ローカル通信部212は、図示しないローカル通信手段のインターフェースとして動作し、ローカル通信手段に接続されたスキャナ100との間でデータや指示等の送受信を行う。
このような通信部210は、データや指示等を受信したときは、当該受信内容に含まれる各種の情報を制御部240に通知する。
また、通信部210は、制御部240からの通知により、スキャナ100やPC300との間で通信を行いスキャナ100やPC300の情報を取得して画像処理部230に提供するとともに、制御部240から出力される能力・設定情報を受け取りスキャナ100やPC300に向けて送信する。
さらに、通信部210は、文書管理部220から画像データを受け取りスキャナ100やPC300に向けて送信するとともに、スキャナ100やPC300から得た文書情報を文書管理部220に提供する。
文書管理部220は、画像処理部230から画像データを受け取り、この受け取った画像データを記憶先に記憶させるべく、当該文書データを文書ファイルとして、通信部210を介して記憶先としてのスキャナ100やPC300に向けて送信する。スキャナ100あるいはPC300は、受信した文書ファイルを保存する。また文書管理部220は、操作・表示部270からの指示に基づき、文書情報の提供や、文書の操作を行う。
さらに、文書管理部220は、文書ファイルの記憶先としの記憶部の機能を果たすようになっている。すなわち、能力・設定情報における設定情報がヌル(NULL)データのときは、文書管理部220が記憶先となる。
画像処理部230は、制御部240の指示に従って動作し、通信部210から出力されるデータを受け付けて所定の処理を行い、この処理後のデータを印刷部260や文書管理部220へ出力する。例えば、画像処理部230は、制御部340によってラスタライズ処理すべき旨および文書データを記憶先に記憶すべき旨の指示があり、通信部210から受け取ったデータがPDLデータのときは、そのPDLデータに対するラスタライズ処理を実行し、この実行結果であるラスタ画像データを文書管理部220へ出力する。
制御部240は、通信部210がスキャナ100やPC300から受信したジョブの実行順の管理を行い、画像処理部230に対して処理の指示を行う。また、制御部240は、通信部210からの要求に基づいて、能力・設定情報を能力・設定情報保持部250から取得して通信部210へ出力する。
印刷部260は、画像処理部260から出力されたデータに基づいて、用紙上に画像を印刷する。
操作・表示部270は、ユーザインターフェースとして動作するものであり、ユーザに対して各種情報を提供するとともに、ユーザからの指示を受け付ける。
図4は、コンピュータ(PC)300の機能構成を示している。
PC300は、図4に示すように、通信部310、画像処理部320、PDL変換部330、制御部340、経路・データ形式選択部350、能力測定部360、およびアプリケーション370を備えている。
通信部310は、ネットワーク10とのインターフェースとして動作し、PDL変換部330や画像処理部320が生成するデータをスキャナ100やプリンタ200に向けて送信するとともに、経路・データ形式選択部350や能力測定部360からの指示に基づいて、スキャナ100やプリンタ200との間で情報の授受を行う。
アプリケーション370は、ユーザが使用するソフトウェア(アプリケーションソフトウェア)であり、アプリケーション固有のデータを処理する。またアプリケーション370は、ユーザによる印刷指示が発生したら、制御部340に対し、生成した画像情報を提供する。
制御部340は、アプリケーション370から提供される画像情報を受け付け、これをPDL変換部330や画像処理部320に出力する。この場合、経路・データ形式選択部350が決定する転送経路およびデータ形式に従う。
PDL変換部330は、アプリケーション370が生成する画像情報をPDL(Page Description Language:ページ記述言語)の形式に変換(PDLデータに変換)するとともに、この変換後の画像情報(PDLデータ)を、通信部310を介してスキャナ100やプリンタ200に向けて送信する。
画像処理部320は、アプリケーションが生成する画像情報をラスタライズするとともに、ラスタライズ処理後のデータ(ラスタ画像データ)を圧縮し、この圧縮されたデータ(ラスタ画像データ)を、通信部310を介してスキャナ100やプリンタ200に向けて送信する。
経路・データ形式選択部350は、制御部340からの指示に基づいて、印刷データ送信の通信経路やデータ形式を決定する。この場合、経路・データ形式選択部350は、通信部310を介してスキャナ100やプリンタ200からそれぞれの能力・設定情報を取得する。また、経路・データ形式選択部350は、能力測定部360に対し、通信経路の能力測定を指示する。
能力測定部360は、経路・データ形式選択部350の指示に基づき、スキャナ100やプリンタ200との間の通信経路がどのくらいの速度でデータ転送可能であるかを測定する。
本実施の形態1では、画像形成装置はプリンタ200に対応し、記憶装置はスキャナ100(の画像記憶部150)に対応し、データ処理装置はコンピュータ(PC)300に対応する。また、プリンタ200において、能力・設定情報保持部250は記憶手段に対応し、制御部240は情報提供手段に対応する。さらに、コンピュータ(PC)300において、経路・データ形式選択部350は情報取得手段に対応し、画像処理部320は送信制御手段および画像処理手段に対応する。
次に、画像形成システム1による文書データの蓄積処理について、図5を参照して説明する。
図5は、その蓄積処理の処理手順を示すフローチャートである。
ユーザがPC300を使用して印刷を指示すると、アプリケーション370から制御部340に対し、その旨が通知される。制御部340は、通知された印刷の指示に基づき経路・データ形式選択部350に対し、転送経路(通信経路)とデータ形式の決定を指示する。
制御部340からの上記指示を受け付けた印刷経路・データ形式選択部350は、転送経路およびデータ形式を決定する。そして、画像処理部320やPDL変換部330は、印刷経路・データ形式選択部350によって決定された転送経路およびデータ形式に従って、通信部310を介して印刷データを送信する。
すなわち、制御部340は、ジョブが文書蓄積ジョブか否かを判定し(テップS101)、この判定した結果、文書蓄積ジョブである場合は、経路・データ形式選択部350に対し、転送経路(通信経路)とデータ形式の決定を指示する。
制御部340からの上記指示を受け付けた印刷経路・データ形式選択部350は、通信部310を介して、プリンタ200から能力・設定情報を取得するとともに(ステップS102)、この取得した能力・設定情報を基に、転送経路およびデータ形式を決定し、さらに、この決定した内容を制御部340に通知する。
ここで、能力・設定情報における設定情報つまり外部装置情報がスキャナ100を示す旨のときは、転送経路は「スキャナ100が転送先(記憶先)」、データ形式は「ラスタデータ形式」、であると決定される。そして、「転送先(記憶先)はスキャナ100である旨」の転送経路に関する情報(転送経路情報)、および「ラスタデータ形式である旨」のデータ形式に関する情報(データ形式情報)が、制御部340に通知される。
これに対し、能力・設定情報における設定情報がヌル(NULL)データのときは、転送経路は「プリンタ200が転送先」、データ形式は「PDLデータ形式」、であると決定される。そして、「転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」の転送経路に関する情報(転送経路情報)、および「PDLデータ形式である旨」のデータ形式に関する情報(データ形式情報)が、制御部340に通知される。
制御部340は、印刷経路・データ形式選択部350から渡された転送経路情報およびデータ形式情報を基に、記憶先がプリンタ(この例ではプリンタ200)であるか否かを判定する(ステップS103)。
制御部340は、ステップS103において、転送経路情報が「スキャナ100が転送先」であるので、記憶先がプリンタ200ではないと判定した場合は、アプリケーション370から提供される画像情報とともに転送経路情報を画像処理部320へ出力する。
画像処理部320は、制御部340からの画像情報をラスタライズ処理することでラスタ画像データを生成し(ステップS104)、この生成したラスタ画像データを、通信部301を介して、制御部340からの転送経路情報に基づく記憶先(この例ではスキャナ100)に向けて送信する(ステップS105)。なお、画像処理部320は、ステップS104において生成したラスタ画像データを圧縮し、この圧縮したラスタ画像データを記憶先に向けて送信するようにしてもよい。
これに対し、ステップS103において、転送経路情報が「プリンタ200が転送先」であるので、記憶先がプリンタ200であると判定した制御部340は、アプリケーション370から提供される画像情報とともに転送経路情報をPDL変換部330へ出力する。
PDL変換部330は、制御部340からの画像情報をPDLデータに変換するとともに(ステップS106)、この変換したPDLデータを、通信部310を介して、制御部340からの転送経路情報に基づく記憶先(この例ではプリンタ200)に向けて送信する(ステップS107)。
なお、ステップS101において文書蓄積ジョブではないと判断した制御部340は、アプリケーション370から提供される画像情報、および送信先はプリンタ200である旨をPDL変換部330へ出力する。このPDL変換部330は、上記ステップS106,S107を実行する。すなわち、PDL変換部330は、受け付けた画像情報を基にPDLデータを生成し、この生成したPDLデータを、指定されたプリンタ(この例ではプリンタ200)に向けて送信する(ステップS106,S107)。
次に、プリンタによる蓄積文書の印刷処理について、図6を参照して説明する。
図6は、その印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
ここでは、ユーザがプリンタ200の操作・表示部270を操作し、スキャナ100に蓄積されている蓄積文書の印刷を指示したことに起因して、プリンタ200が印刷処理を実行する場合について説明する。
最初に、ユーザがプリンタ200の操作・表示部270を操作して、蓄積文書を選択するメニューを表示させる旨を指示すると、そのメニューが呼び出される。
上記メニューが呼び出されると、文書管理部220は、通信部210を介して記憶先から文書情報(文書名など)を取得し(ステップS201)、取得した文書情報(文書名など)を操作・表示部270に表示させる(ステップS202)。
そして、ユーザが操作・表示部270の表示内容に従い、印刷すべき文書の文書名を選択すると(ステップS203)、文書管理部220は、通信部210を介して、選択された文書名に対応する文書データ(蓄積文書データ)つまりジョブの受信を開始する(ステップS204)。
通信部210は、記憶先との間で通信して文書データ(ジョブ)を受信し、文書データの受信を完了すると、その旨を制御部240へ通知するとともに、受信した文書データを画像処理部230へ出力する。
制御部240は、通信部210からの文書データの受信完了である旨の通知を受けて、画像処理部230に対し、処理開始を指示する。
ところで、蓄積文書の記憶先は外部装置であるので、記憶先が例えばスキャナ100である場合、通信部210は、スキャナ100から送信される文書データ(ラスタ画像データ)を受信することになる。この場合、その文書データは、PC300によってラスタライズ処理(画像処理)されたラスタ画像データである。
そのため、画像処理部230は、通信部210からの文書データを、そのまま印刷部260へ転送する。印刷部260は、転送されてきたデータ(ラスタ画像データ)に基づき印刷処理を実施する(ステップS205)。
以上説明したように、蓄積文書の格納先に応じて、データ形式および転送経路が選択され、記憶装置がプリンタの外部にある場合は直接外部の記憶装置に送信されるため、ネットワーク上に流れるデータのデータ量が削減でき、ネットワークの負荷を抑えることができる。
また、プリンタが他のジョブを処理中であっても、蓄積文書を外部の記憶装置に蓄積することができるため、より高速に処理を完了することが可能となる。
さらに、一般的にはプリンタよりもコンピュータの処理能力の方が高いため、複雑な処理を要する画像処理をコンピュータで行うことにより、プリンタで処理した場合と比較して高速に処理を完了することが出来る。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る画像形成システムの構成を示している。
この画像形成システム2は、図1に示した実施の形態1の画像形成システム1の構成において、スキャナ100とプリンタ200とをローカル通信手段20で接続した構成になっている。スキャナ100、プリンタ200およびPC300に関して、それぞれ複数台を通信回線10に接続するようにしてもよい。
なお、図7において、図1に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
ローカル通信手段20としては、例えばUSB(Universal Serial Bus:周辺装置用シリアルインタフェース)などシリアルインタフェース、あるいはパラレルインタフェースが挙げられる。
本実施の形態2では、プリンタ200の能力・設定情報保持部250によって保持される能力・設定情報における設定情報には、外部装置情報に加えて、当該プリンタと記憶先とがローカル通信手段で接続されている旨を示す接続情報が含まれている。
設定情報は、記憶先の外部装置が例えばスキャナ100のときは、外部装置情報=スキャナ100を示す旨、接続情報=当該プリンタ200とスキャナ100との間はローカル接続手段20で接続されている旨、含んでいる。
本実施の形態2では、ローカル通信手段20は専用の通信媒体に対応し、プリンタ200において、通信部210はデータ通信手段に対応し、また文書管理部220は転送制御手段に対応する。
次に、画像形成システム2による文書データの蓄積処理について、図8を参照して説明する。
図8は、その蓄積処理の処理手順を示すフローチャートである。
ユーザがPC300を使用して印刷を指示すると、アプリケーション370から制御部340に対し、その旨が通知される。制御部340は、通知された印刷の指示に基づき経路・データ形式選択部350に対し、転送経路(通信経路)とデータ形式の決定を指示する。
制御部340からの上記指示を受け付けた印刷経路・データ形式選択部350は、転送経路およびデータ形式を決定する。そして、画像処理部320やPDL変換部330は、印刷経路・データ形式選択部350によって決定された転送経路およびデータ形式に従って、通信部310を介して印刷データを送信する。
すなわち、制御部340は、ジョブが文書蓄積ジョブか否かを判定し(ステップS301)、この判定した結果、文書蓄積ジョブである場合は、経路・データ形式選択部350に対し、転送経路(通信経路)とデータ形式の決定を指示する。
制御部340からの上記指示を受け付けた印刷経路・データ形式選択部350は、通信部310を介して、プリンタ200から能力・設定情報を取得するとともに(ステップS302)、この取得した能力・設定情報を基に、転送経路およびデータ形式を決定し、さらに、この決定した内容を制御部340に通知する。
ここで、転送経路およびデータ形式は、能力・設定情報における設定情報の内容に応じて、次の(1)〜(3)の3つのパターンに分けられる。
(1)外部装置情報がスキャナ100を示す旨、接続情報が「なし」またはヌル(NULL)データの場合、転送経路は「スキャナ100が転送先(記憶先)」、データ形式は「ラスタデータ形式」、であると決定される。そして、「転送先(記憶先)はスキャナ100である旨」の転送経路情報、および「ラスタデータ形式である旨」のデータ形式情報が、制御部340に通知される。
(2)外部装置情報がスキャナ100を示す旨、接続情報が当該プリンタ200とスキャナ100との間はローカル接続手段200で接続されている旨の場合、転送経路は「プリンタ200が転送先」、データ形式は「PDLデータ形式」、であると決定される。そして、「記憶先はスキャナ100であるものの転送先はプリンタ200である旨」の転送経路情報、および「PDLデータ形式である旨」のデータ形式情報が、制御部340に通知される。
(3)設定情報(外部装置情報および接続情報)がヌル(NULL)データのときは、転送経路は「プリンタ200が転送先(記憶先)」、データ形式は「PDLデータ形式」、であると決定される。そして、「転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」の転送経路情報、および「PDLデータ形式である旨」のデータ形式情報が、制御部340に通知される。
制御部340は、印刷経路・データ形式選択部350から渡された転送経路情報およびデータ形式情報を基に、記憶先がプリンタ(この例ではプリンタ200)であるか否かを判定する(ステップS303)。
制御部340は、ステップS303において、「転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」の転送経路情報以外の転送経路情報であるので、記憶先がプリンタ200ではないと判定した場合は、記憶先(この例ではスキャナ100)とプリンタ200とはローカル通信手段によってローカル接続されているか否かを判断する(ステップS304)。
ここで、転送経路情報が、「記憶先はスキャナ100であるものの転送先はプリンタ200である旨」のときはローカル接続されていると判断され、一方、「転送先(記憶先)はスキャナ100である旨」のときは、ローカル接続されていないと判断されるようになっている。
制御部340は、ステップS304において、転送経路情報が「転送先(記憶先)はスキャナ100である旨」であるので、記憶先(この例ではスキャナ100)とプリンタ200とはローカル通信手段によってローカル接続されていないと判断した場合は、アプリケーション370から提供される画像情報とともに転送経路情報を画像処理部320へ出力する。
画像処理部320は、制御部340からの画像情報をラスタライズ処理することでラスタ画像データを生成し(ステップS305)、この生成したラスタ画像データ(印刷データ)を、通信部301を介して、制御部340からの転送経路情報に基づく記憶先(この例ではスキャナ100)に向けて送信する(ステップS306)。なお、画像処理部320は、ステップS305において生成したラスタ画像データを圧縮し、この圧縮したラスタ画像データを記憶先に向けて送信するようにしてもよい。
これに対し、ステップ304において、転送経路情報が「記憶先はスキャナ100であるものの転送先はプリンタ200である旨」であるので、記憶先(この例ではスキャナ100)とプリンタ200とはローカル通信手段によってローカル接続されていると判断した制御部340は、アプリケーション370から提供される画像情報とともに転送経路情報をPDL変換部330へ出力する。
PDL変換部330は、制御部340からの画像情報をPDLデータに変換するとともに(ステップS307)、この変換したPDLデータ(印刷データ)を、通信部310を介して、制御部340からの転送経路情報に基づく記憶先(この例ではプリンタ200)に向けて送信する(ステップS308)。
ステップS303において、転送経路情報が転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」であるので、記憶先がプリンタ200であると判定された場合は、ステップS307へ進む。この場合、制御部340は、アプリケーション370から提供される画像情報、および転送経路情報(転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」)をPDL変換部330へ出力する。
また、ステップS301において文書蓄積ジョブではないと判断された場合は、ステップS307へ進む。この場合、制御部340は、アプリケーション370から提供される画像情報,および送信先はプリンタ200である旨をPDL変換部330へ出力する。
そして、PDL変換部330は、上記ステップS307,S308を実行する。すなわち、PDL変換部330は、受け付けた画像情報を基にPDLデータを生成し、この生成したPDLデータを、指定されたプリンタ(この例ではプリンタ200)に向けて送信する(ステップS307,S308)。
ところで、PC300から送信されたPDLデータは、ネットワーク10を介してプリンタ200の通信部210によって受信され、さらに画像処理部230によって取り込まれる。この場合、通信部210によってPDLデータの受信が完了すると、その旨が制御部240に通知される。
そして、制御部240は、能力・設定情報保持部250を参照し、外部装置情報(記憶先)が記憶されている場合、画像処理部230に対し、ラスタライズ処理すべき旨および文書データを記憶先に記憶すべき旨を指示するとともに、設定情報(外部装置情報=スキャナ100を示す旨)を出力する。
画像処理部230は、制御部340からの上記指示に従って、通信部210から受け取ったPDLデータに対するラスタライズ処理を実行し、この実行結果であるラスタ画像データ、および制御部240からの設定情報(外部装置情報=スキャナ100を示す旨)を文書管理部220へ出力する。
文書管理部220は、受け取ったラスタ画像データを、通信部210のローカル通信部212およびローカル通信手段20を介して、設定情報(外部装置情報=スキャナ100を示す旨)に基づく記憶先としてのスキャナ100に向けて送信する。
実施の形態2でのプリンタの蓄積文書の印刷処理は、図6に示した実施の形態1の印刷処理と同様である。
以上説明したように、蓄積文書の格納先とその接続方法に応じて、データ形式および転送経路が選択され、記憶装置がプリンタの外部にあり、かつ記憶装置とプリンタとがローカル接続されている場合は蓄積文書(PDLデータ)をプリンタに送信し、記憶装置がプリンタの外部にあり、かつ記憶装置とプリンタとがローカル接続されていない場合は蓄積文書(ラスタ画像データ)を直接、記憶装置に送信するため、ネットワーク上に流れるデータのデータ量を、実施の形態1の場合と比較して、より削減できる。なぜならば、一般的にはPDLデータの方がラスタ画像データよりもデータ量が少ないからである。
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3に係る画像形成システムの構成を示している。
この画像形成システム2は、図7に示した実施の形態2の画像形成システム1の構成において、パーソナルコンピュータなどコンピュータ(PC)301を追加した構成になっている。なお、図9において、図7に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
PC301は、PC300の機能構成と同様になっている。
本実施の形態3では、プリンタ200の能力・設定情報保持部250によって保持される能力・設定情報における設定情報には、外部装置情報に加えて、当該プリンタと記憶先とがローカル通信手段で接続されている旨を示す接続情報が含まれている。
設定情報は、記憶先の外部装置が例えばスキャナ100のときは、外部装置情報=スキャナ100を示す旨、接続情報=当該プリンタ200とスキャナ100との間はローカル接続手段20で接続されている旨、を含んでいる。
本実施の形態3では、プリンタ200の画像処理部230はラスタライズ処理手段に対応し、コンピュータ(PC)300において、経路・データ形式選択部350は予測処理手段に対応し、また画像処理部320は画像処理手段に対応する。
次に、画像形成システム3による文書データの蓄積処理について、図10を参照して説明する。
図10は、その蓄積処理の処理手順を示すフローチャートである。
ユーザがPC300を使用して印刷を指示すると、アプリケーション370から制御部340に対し、その旨が通知される。制御部340は、通知された印刷の指示に基づき経路・データ形式選択部350に対し、転送経路(通信経路)とデータ形式の決定を指示する。
制御部340からの上記指示を受け付けた印刷経路・データ形式選択部350は、転送経路およびデータ形式を決定する。そして、画像処理部320やPDL変換部330は、印刷経路・データ形式選択部350によって決定された転送経路およびデータ形式に従って、通信部310を介して印刷データを送信する。
すなわち、制御部340は、ジョブが文書蓄積ジョブか否かを判定し(ステップS401)、この判定した結果、文書蓄積ジョブである場合は、経路・データ形式選択部350に対し、転送経路(通信経路)とデータ形式の決定を指示する。
制御部340からの上記指示を受け付けた印刷経路・データ形式選択部350は、通信部310を介して、プリンタ200から能力・設定情報を取得するとともに(ステップS402)、この取得した能力・設定情報を基に、転送経路およびデータ形式を決定し、さらに、この決定した内容を制御部340に通知する。
ここで、転送経路およびデータ形式は、能力・設定情報における設定情報の内容に応じて、次の(1)〜(3)の3つのパターンに分けられる。
(1)外部装置情報がスキャナ100を示す旨、接続情報が「なし」またはヌル(NULL)データの場合、転送経路は「スキャナ100が転送先(記憶先)」、データ形式は「ラスタデータ形式」、であると決定される。そして、「転送先(記憶先)はスキャナ100である旨」の転送経路情報、および「ラスタデータ形式である旨」のデータ形式情報が、制御部340に通知される。
(2)外部装置情報がスキャナ100を示す旨、接続情報が当該プリンタ200とスキャナ100との間はローカル接続手段200で接続されている旨の場合、転送経路は「プリンタ200が転送先」、データ形式は「PDLデータ形式」、であると決定される。そして、「記憶先はスキャナ100であるものの転送先はプリンタ200である旨」の転送経路情報、および「PDLデータ形式である旨」のデータ形式情報が、制御部340に通知される。
これら転送経路情報およびデータ形式情報を制御部340が取得した場合、制御部340は、経路・データ形式選択部350に対し、経路・データ形式決定処理の実行を指示する。
(3)設定情報(外部装置情報および接続情報)がヌル(NULL)データのときは、転送経路は「プリンタ200が転送先(記憶先)」、データ形式は「PDLデータ形式」、であると決定される。そして、「転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」の転送経路情報、および「PDLデータ形式である旨」のデータ形式情報が、制御部340に通知される。
制御部340は、印刷経路・データ形式選択部350から渡された転送経路情報およびデータ形式情報を基に、記憶先がプリンタ(この例ではプリンタ200)であるか否かを判定する(ステップS403)。
制御部340は、ステップS403において、「転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」の転送経路情報以外の転送経路情報であるので、記憶先がプリンタ200ではないと判定した場合は、記憶先(この例ではスキャナ100)とプリンタ200とはローカル通信手段によってローカル接続されているか否かを判断する(ステップS404)。
ここで、転送経路情報が、「記憶先はスキャナ100であるものの転送先はプリンタ200である旨」のときはローカル接続されていると判断され、一方、「転送先(記憶先)はスキャナ100である旨」のときは、ローカル接続されていないと判断されるようになっている。
制御部340は、ステップS404において、転送経路情報が「転送先(記憶先)はスキャナ100である旨」であるので、記憶先(この例ではスキャナ100)とプリンタ200とはローカル通信手段によってローカル接続されていないと判断した場合は、アプリケーション370から提供される画像情報とともに転送経路情報を画像処理部320へ出力する。
画像処理部320は、制御部340からの画像情報をラスタライズ処理することでラスタ画像データを生成し(ステップS405)、この生成したラスタ画像データ(印刷データ)を、通信部301を介して、制御部340からの転送経路情報に基づく記憶先(この例ではスキャナ100)に向けて送信する(ステップS406)。なお、画像処理部320は、ステップS405において生成したラスタ画像データを圧縮し、この圧縮したラスタ画像データを記憶先に向けて送信するようにしてもよい。
ステップS403において、転送経路情報が転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」であるので、記憶先がプリンタ200であると判定した制御部340は、アプリケーション370から提供される画像情報、および転送経路情報(転送先(記憶先)はプリンタ200である旨」)をPDL変換部330へ出力する。
PDL変換部330は、制御部340からの画像情報をPDLデータに変換するとともに(ステップS407)、この変換したPDLデータ(印刷データ)を、通信部310を介して、制御部340からの転送経路情報に基づく記憶先(この例ではプリンタ200)に向けて送信する(ステップS408)。
ステップ404において、転送経路情報が「記憶先はスキャナ100であるものの転送先はプリンタ200である旨」であるので、記憶先(この例ではスキャナ100)とプリンタ200とはローカル通信手段によってローカル接続されていると判断した制御部340は、経路・データ形式選択部350に対し、経路・データ形式決定処理の実行を指示する。その指示を受け付けた経路・データ形式選択部350は、後述する経路・データ形式決定処理(図11参照)を実行し(ステップS409)、この実施した結果を制御部340へ通知する。
制御部340は、経路・データ形式決定処理の結果を基に、アプリケーション370から提供される画像情報をプリンタへ送信すべきか否かを判断する(ステップS410)。
ここで、経路・データ形式決定処理の結果が、プリンタへ送信すべき旨である場合にはプリンタへ送信すべきであると判断され、記憶先へ送信すべき旨である場合にはプリンタへ送信すべきではない(記憶先へ送信すべき)であると判断されるようになっている。
さて、ステップS410において、プリンタへ送信すべきではない(記憶先へ送信すべき)と判断された場合には、ステップS405に進み、一方、プリンタへ送信すべきと判断された場合は、ステップS407に進む。
また、ステップS401において文書蓄積ジョブではないと判断された場合は、ステップS307へ進む。この場合、制御部340によって、アプリケーション370から提供される画像情報,および送信先はプリンタ200である旨がPDL変換部330へ出力される。
ところで、PC300から送信されたPDLデータは、ネットワーク10を介してプリンタ200の通信部210によって受信され、さらに画像処理部230によって取り込まれる。この場合、通信部210によってPDLデータの受信が完了すると、その旨が制御部240に通知される。
そして、制御部240は、能力・設定情報保持部250を参照し、外部装置情報(記憶先)が記憶されている場合、画像処理部230に対し、ラスタライズ処理すべき旨および文書データを記憶先に記憶すべき旨を指示するとともに、設定情報(外部装置情報=スキャナ100を示す旨)を出力する。
画像処理部230は、制御部340からの上記指示に従って、通信部210から受け取ったPDLデータに対するラスタライズ処理を実行し、この実行結果であるラスタ画像データ、および制御部240からの設定情報(外部装置情報=スキャナ100を示す旨)を文書管理部220へ出力する。
文書管理部220は、受け取ったラスタ画像データを、通信部210のローカル通信部212およびローカル通信手段20を介して、設定情報(外部装置情報=スキャナ100を示す旨)に基づく記憶先としてのスキャナ100に向けて送信する。
次に、PC300の経路・データ形式選択部350による経路・データ形式決定処理について、図11を参照して説明する。
図11は、その経路・データ形式決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
経路・データ形式選択部350は、通信部310を介して、プリンタ200の状況に関する情報を取得し、この取得した情報を基に、プリンタ200が現在使用中であるか否か(別のジョブを処理しているか否か)を判断する(ステップS501)。
ステップS501においてプリンタが使用中であると判断した経路・データ形式選択部350は、「PCで画像処理(ラスタライズ処理)を実施し記憶先へ直接送信すること」を決定する(ステップS502)。
これに対し、ステップS501においてプリンタが使用中ではないと判断した経路・データ形式選択部350は、PC300で文書データに対する画像処理を実施し、この画像処理後の文書データを記憶先へ直接送信するのに要する時間(これをコンピュータで画像処理するのに要する時間とする)と、プリンタで文書データに対する画像処理を実施し、この画像処理後の文書データを記憶先に転送するのに要する時間(これをプリンタで画像処理するのに要する時間とする)を算出(予測)する(ステップS503)。
コンピュータ(PC)で画像処理するのに要する時間T1およびプリンタで画像処理するのに要する時間T2は、それぞれ次の数1および数2を演算して求めることができる。
(数1)
T1=PC画像処理時間+ラスタ画像データサイズ/ネットワーク転送速度
ここで、PC画像処理時間は、コンピュータ(PC)がアプリケーションからの画像情報(文書データ)をラスタ画像データに変換(ラスタライズ処理)するのに要する時間を示す。
(数2)
T2=PDL生成時間+(PDLデータサイズ/ネットワーク転送速度)
+プリンタ画像処理時間+(ラスタ画像データサイズ/ローカル転送速度)
ここで、PDL生成時間は、コンピュータ(の画像処理部)がアプリケーションからの画像情報(文書データ)を基にPDLデータを生成するのに要する時間を示し、プリンタ画像処理時間は、プリンタ(の画像処理部)がコンピュータ(PC)からのPDLデータ(文書データ)をラスタ画像データに変換(ラスタライズ処理)するのに要する時間を示す。
上述した数1および数2の各パラメータ(情報)のうち、(a)PC画像処理時間、PDLデータ生成時間、PDLデータサイズは、アプリケーション毎の動作実績を、元となるデータサイズと関連付けて記憶することで予測を行う。(b)ラスタ画像データサイズは画像のピクセル数と色深度情報(1ピクセルあたりに必要なデータサイズに関する情報)を元に導出する(但し、ラスタ画像データを圧縮する場合は、PDLデータサイズと同様に、上記(a)の方法で予測する)。(c)ネットワーク転送速度はコンピュータ(PC)の能力判定部360により測定される。(d)プリンタ画像処理時間は、PC画像処理時間を元にプリンタの能力情報とコンピュータ(PC)の処理能力との比から導出する。(e)ローカル転送速度は、プリンタの能力情報から得る。
ところで、経路・データ形式選択部350は、上述したようにして得られる各パラメータを上記数1および数2に代入し、これらの数式を演算することで、コンピュータ(PC)で画像処理するのに要する時間T1およびプリンタで画像処理するのに要する時間T2を算出(予測)する。
次に、経路・データ形式選択部350は、予測した時間T1と予測した時間T2とを比較し、記憶先へ送信する方がプリンタへ送信する場合よりも高速であるか否か、すなわち時間T1は時間T2よりも短いか否か(「T1<T2」の関係が成立するか否か)を判断する(ステップS504)。
続いて、経路・データ形式選択部350は、ステップS504において、プリンタへ送信する方が高速であると判断した場合つまり時間T1は時間T2以上であると判断した場合(「T1≧T2」)の場合)には、「PCでPDLデータを生成してプリンタへ送信すること」を決定し(ステップS505)、これに対し、記憶先へ送信する方が高速であると判断した場合つまり時間T1は時間T2よりも短いと判断した場合(「T1<T2」の場合)はステップS502へ進む。
そして、ステップS502において決定された「PCで画像処理(ラスタライズ処理)を実施し記憶先へ直接送信すること」、あるいはステップS505において決定された「PCでPDLデータを生成してプリンタへ送信すること」は、経路・データ形式選択部350から制御部340へ通知される。
なお、記憶先の外部装置としてのスキャナがPDLデータを処理する能力を有する場合(ラスタライズ処理する機能を有する場合)などは、PCからスキャナへPDLデータを送信するときに要する時間も予測して比較することにより、さらに通信経路とデータ形式の組み合わせの選択肢が増え、より最適な選択を行うことが可能となる。
実施の形態3でのプリンタの蓄積文書の印刷処理は、図6に示した実施の形態1の印刷処理と同様である。
以上説明したように、蓄積文書の格納先、コンピュータやプリンタの処理性能、通信速度、およびプリンタの使用状況に応じて、最適なデータ形式および転送経路が選択される。これにより、低速なネットワーク環境ではネットワークの負荷を抑えることができる。
また、プリンタが他のジョブを処理中であっても、蓄積文書を外部の記憶装置に蓄積することや、高速なコンピュータにて複雑な画像処理を行うなどして、ジョブを高速に処理完了することができる。
(実施の形態4)
図12は、実施の形態4に係る画像形成システムの構成を示している。
画像形成システム4は、図12に示すように、スキャナ400と複数のプリンタ501,502,503とパーソナルコンピュータなどコンピュータ(以下「PC」という。)303とが通信回線30を介して接続されている。また、スキャナ400とプリンタ502とがローカル通信手段(専用の通信体体)で接続されている。なお、スキャナ100、プリンタ200およびPC300に関して、それぞれ複数台を通信回線10に接続するようにしてもよい。
通信回線30としては、上述した通信回線10の場合と同様に、ローカルエリアネットワーク(LAN)などネットワークや電話回線などの有線通信回線、無線LANなどの無線通信回線、さらには、これらの通信回線を組み合わせたもの、などが挙げられる。本実施の形態4では、通信回線30はネットワークを採用するものとし、通信回線30をネットワーク30とする。
ローカル通信手段40としては、上述したローカル通信手段20の場合と同様に、例えばUSB(周辺装置用シリアルインタフェース)などシリアルインタフェース、あるいはパラレルインタフェースが挙げられる。
なお、本実施の形態4では、プリンタ501,502,503を、個別に説明する場合を除き、総称して「プリンタ500」という。
本願明細書では、画像形成装置とデータ処理装置とが通信回線を介して接続される画像形成システムにおいて、画像形成装置、データ処理装置および通信回線を「画像形成処理にかかわる資源」と定義する。これらの画像形成処理にかかわる資源はシステム資源であると言える。
図13は、スキャナ400の機能構成を示している。
スキャナ400は、図13に示すように、通信部410、通信制御部420、スキャン制御部430、原稿読取部440、画像記憶部450および操作・表示部460を備えている。
通信部110は、ネットワーク通信部111およびローカル通信部112を備えている。
ネットワーク通信部111は、ネットワーク30とのインターフェースとして動作し、ネットワーク30に接続されたプリンタ501,503やPC303との間でデータや指示等の送受信を行う。
ローカル通信部112は、ローカル通信手段40のインターフェースとして動作し、ローカル通信手段40に接続されたプリンタ502との間でデータや指示等の送受信を行う。
通信部110は、画像記憶部450から画像データを受け取り、これをプリンタ500(プリンタ501〜503)やPC301に送信するとともに、プリンタ500やPC301から画像データを受信して画像記憶部450に記憶する。また、通信部110は、通信制御部420からの通知により、プリンタ500やPC301との間で通信を行い、プリンタ500やPC301の情報を取得する。
通信制御部420は、通信部410を制御してプリンタ500やPC301との通信のための通信速度制御を行う。また、通信制御部420は、通信部410を介してプリンタ500やPC301との間で通信を行いプリンタ500やPC301の性能情報や通信速度を取得する。
スキャン制御部430は、操作・表示部460を制御するとともに、操作・表示部460からの要求に基づいて原稿読取部440に対し原稿読取を指示する。
原稿読取部440は、原稿を光学的に読み取って得た光学信号を電気信号に変換し、画像データを生成する。このようにして生成された画像データは、画像記憶部450に記憶される。
画像記憶部450は、原稿を読み取って画像データを生成した原稿読取部440から出力された画像データを保持するとともに、プリンタ500やPC303から送信された画像データを受信した通信部410から出力された画像データを保持する。また、画像記憶部450は、通信部410からの要求に基づいて、該当する画像データを通信部410へ供給する。
操作・表示部460は、ユーザインターフェースとして動作するものであり、ユーザに対して各種情報を提供するとともに、ユーザからの指示を受け付ける。
図14は、プリンタ500(501,502,503)の機能構成を示している。
ここでは、プリンタ502を例にして説明するが、他のプリンタ501,503もプリンタ503と同様の機能構成になっている。
プリンタ502は、図14に示すように、通信部510、文書管理部520、画像処理部530、ジョブ制御部540、能力・設定情報保持部550、印刷部560、および操作・表示部570を備えている。
能力・設定情報保持部550は、プリンタ500の能力情報や設定情報を保持し、これらの情報をジョブ制御部540へ提供する。
本実施の形態4では、プリンタ500の能力情報は印刷速度や通信速度などであり、設定情報は文書ファイルを格納する外部装置、つまり文書ファイルの記憶先の外部装置を示す外部装置情報などである。「プリンタの能力情報、および設定情報」を「能力・設定情報」という。
通信部510は、ネットワーク通信部511およびローカル通信部512を備えている。
ネットワーク通信部511は、ネットワーク30とのインターフェースとして動作し、ネットワーク30に接続されたスキャナ400やPC303との間でデータや指示等の送受信を行う。
ローカル通信部212は、ローカル通信手段のインターフェースとして動作し、ローカル通信手段に接続されたスキャナ100との間でデータや指示等の送受信を行う。図12に示す例では、プリンタ502のローカル通信部212が、ローカル通信手段40のインターフェースとして動作し、ローカル通信手段40に接続されたスキャナ100との間でデータや指示等の送受信を行う。
このような通信部510は、データや指示等を受信したときは、当該受信内容に含まれる各種の情報をジョブ制御部540に通知する。
また、通信部510は、ジョブ制御部540からの通知により、スキャナ400やPC303との間で通信を行いスキャナ400やPC303の情報を取得して画像処理部530に提供するとともに、ジョブ制御部540から出力される能力・設定情報を受け取りスキャナ400やPC303に向けて送信する。
さらに、通信部510は、文書管理部520から画像データを受け取りスキャナ400やPC303に向けて送信するとともに、スキャナ400やPC303から得た文書情報を文書管理部520に提供する。
文書管理部520は、画像処理部530から画像データを受け取り、この受け取った画像データを記憶先に記憶させるべく、当該文書データを文書ファイルとして、通信部510を介して記憶先としてのスキャナ400やPC303に向けて送信する。スキャナ400あるいはPC303は、受信した文書ファイルを保存する。また文書管理部520は、操作・表示部570からの指示に基づき、文書情報の提供や、文書の操作を行う。
画像処理部530は、ジョブ制御部540の指示に従って動作し、通信部510から出力されるデータを受け付けて所定の処理を行い、この処理後のデータを印刷部560や文書管理部520へ出力する。
ジョブ制御部540は、通信部510がスキャナ400やPC303から受信したジョブの実行順の管理を行い、画像処理部530に対して処理の指示を行う。また、ジョブ制御部540は、通信部510からの要求に基づいて、能力・設定情報を能力・設定情報保持部550から取得して通信部510へ出力する。
印刷部560は、画像処理部560から出力されたデータに基づいて、用紙上に画像を印刷する。
操作・表示部570は、ユーザインターフェースとして動作するものであり、ユーザに対して各種情報を提供するとともに、ユーザからの指示を受け付ける。
本実施の形態4では、画像形成装置はプリンタ500(501,502,503)に対応し、データ処理装置はスキャナ400に対応する。また、プリンタ500において、能力・設定情報保持部550は記憶手段に対応し、またジョブ制御部540は情報提供手段に対応し、スキャナ400において、通信制御部420は情報取得手段、比較手段および送信制御手段に対応する。
次に、画像形成システムにおけるスキャナからプリンタへの複写ジョブの送信処理につて説明する。
ここでは、スキャナ400において原稿をスキャンしプリンタに送信する複写ジョブを、複数のプリンタ501,502に連続して送信する場合について説明する。
ユーザがスキャナ400の操作・表示部460を操作してプリンタ501(プリンタA)を指定して複写ジョブを開始すると、操作・表示部460からスキャン制御部540にジョブの開始が通知されるので、スキャン制御部430、原稿読取部450に対し原稿の読取開始を指示する。
原稿読取部440が原稿を読み取ることで生成する画像データは、画像記憶部450に記憶され、さらに通信部410を介してプリンタ501に向けて送信される。
ところで、スキャナ400の原稿読取速度よりもプリンタ501のデータ処理速度、印刷速度、通信速度等の少なくとも何れかが低速な場合、画像記憶部450に記憶されるプリンタ501に送信すべきデータのデータ量は徐々に増加していく。
このとき、通信制御部420は、プリンタ501に送出するデータのデータ転送の速度を、プリンタ501のパフォーマンス(性能)を落とさずに、かつなるべく低速にデータを送出すべく制御を行う。
次に、スキャナ400の通信制御部420によるデータ転送制御処理について、図15を参照して説明する。
ここでは、プリンタ501をプリンタAとし、プリンタ502をプリンタBとする。
通信制御部420は、通信部410を介してプリンタA(プリンタ501)から性能情報を取得するとともに、プリンタAとの間の通信経路にかかわる通信速度を測定し(ステップS601)、その後、取得したプリンタAの性能情報(プリンタ性能情報)と、測定した通信経路の性能(通信経路性能)と、当該スキャナ装置のスキャナ性能とを比較する。
本実施の形態4では、プリンタ性能はプリンタの印刷処理速度および画像展開速度を含む所定の処理速度を意味し、通信経路性能は通信経路にかかわる通信速度を意味し、スキャナ性能はスキャン処理速度を含む所定の処理速度を意味する。
次に、通信制御部420は、上述した3つの性能にかかわる速度のうち最も低速なものは何れの性能にかかわる速度であるかを判定する(ステップS602)。
通信制御部420は、最も低速なものが通信経路性能(にかかわる通信速度)であった場合(ステップS602「通信経路性能が最も低速」の場合)には、転送速度を通信経路性能(にかかわる通信速度)に合わせて低速化し(ステップS603)、また最も低速なものがプリンタ性能(にかかわる処理速度)であった場合(ステップS602「プリンタ性能が最も低速」の場合)は、転送速度をプリンタ性能(にかかわる処理速度)に合わせて低速化する(ステップS604)。
また、通信制御部420は、最も低速なものがスキャナ性能であった場合(ステップS602「スキャナ性能が最も低速」の場合)は、スキャナが送信可能な最高の速度を維持する。
なお、性能情報や通信速度は、過去の動作実績を記録しておきそれを利用するようにしても良い。
ところで、スキャナ400において、プリンタAの原稿スキャンが終了し、まだプリンタAに対しデータを送信中にプリンタBに対する複写ジョブを開始した場合、上述したプリンタAに対する複写ジョブの場合と同様に、スキャンが開始され画像記憶部450にプリンタBに送信すべきデータが格納されていく。
このとき、プリンタAに対する転送速度が低速化していると、図16(b)に示すように、データ送信に必要なリソース(スキャナ400)に空き時間T0が発生するため、この空き時間T0を利用して、図16(c)に示すように、プリンタBに対してもデータの送信が可能となる。
なお、図16(a),(b),(c)において、「送信A」はスキャナ400がプリンタAに対しデータ送信している時間を示し、図16(c)において、「送信B」はスキャナ400がプリンタBに対しデータ送信している時間を示す。
さて、スキャナ400が、当該スキャナ400の処理速度よりも遅い処理速度のプリンタA(低速なプリンタA)に対し、最高速度(スキャナ400の最大の処理速度)でデータを送信しようとする場合は、図16(a)に示すように、待ち時間TWが発生する。
具体的に説明すると、スキャナ400が例えば「20枚/単位時間T」に対応する処理速度(送信速度)でプリンタAにデータを送信しようとした場合、プリンタAがスキャナ400よりも低速なため、例えば「15枚/単位時間T」に対応する処理速度(受信速度)でしか受信できないときは、スキャナ400は、「5枚/単位時間T」を送信する時間だけ待機する必要がある。その待機する時間が上記待ち時間TWに相当する。
そこで、スキャナ400の送信速度を、プリンタAの処理速度に合わせて低下させることにより、図16(b)に示すように、データ転送の実行速度を落とさずにリソース(スキャナ400)の空き時間T0が発生する。
具体的に説明すると、スキャナ400は、当該スキャナ400の送信速度を、プリンタAの性能(例えば「15枚/単位時間T」に対応する処理速度)に合わせて、例えば「20枚/単位時間T」から「15枚/単位時間T」に変更(低下)させる。次に、スキャナ400は、「15枚/単位時間T」に対応する処理速度(送信速度)でデータ転送するようにする。これにより、スキャナ400では、待ち時間TWに相当する空き時間T0が発生する。
これにより、スキャナ400は、空き時間T0を利用して、図16(c)に示すように、プリンタBに対しデータを送信することができる。
このプリンタBに対するデータ転送の場合においても、プリンタBに対する転送速度は、図15に示したデータ転送制御処理の処理手順に基づいて決定することができる(但し、プリンタAを低速化したことにより生じた空き時間を利用してのスキャナ性能を用いて比較する)。
そして、プリンタBの転送速度も低速化されると、さらに別のプリンタやPCに対してデータを送信することができる。
プリンタAへのデータ転送が終了すると、通信制御部420は、図15に示したデータ転送制御処理の処理手順に基づいてプリンタB(およびそれ以降のジョブ)の転送速度を再決定する。
以上説明したように、スキャナからプリンタへ画像データを送信する転送速度が最適な速度に設定され、空き時間が生じた場合には別のジョブの転送を行うことができるため、同時に複数の画像形成装置(プリンタ)へデータを送信するかのごとく動作し、トータルの処理時間を大幅に短縮することができる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係る画像形成システムについて説明する。
実施の形態5の画像形成システムは、図12に示した実施の形態4の画像形成システム4と同様の構成になっている。また、スキャナおよびプリンタも、それぞれ図13および図14に示した実施の形態4のスキャナ400およびプリンタ500と同様の機能構成になっている。
次に、画像形成システムのプリンタによる蓄積文書の印刷処理について説明する。
ここでは、プリンタを操作し、スキャナに格納された画像データ(蓄積文書)を印刷するジョブを、複数のプリンタ(プリンタA、プリンタB)で連続して実行する場合の印刷処理について説明する。
なお、上記図12において、プリンタ501をプリンタAとし、プリンタ502をプリンタBとする。
ユーザがプリンタAの操作・表示部570を操作し、スキャナ400に蓄積されている蓄積文書の印刷を指示したことに起因する、プリンタAによる蓄積文書の印刷処理は、図6に示した実施の形態1の印刷処理と同様になっている。
すなわち、最初に、ユーザがプリンタAの操作・表示部570を操作して、蓄積文書を選択するメニューを表示させる旨を指示すると、そのメニューが呼び出される。
上記メニューが呼び出されると、文書管理部520は、図6に示すように、通信部510を介して記憶先から文書情報(文書名など)を取得し(ステップS201)、取得した文書情報(文書名など)を操作・表示部570に表示させる(ステップS202)。
そして、ユーザが操作・表示部570の表示内容に従い、印刷すべき文書の文書名を選択すると(ステップS203)、文書管理部520は、通信部510を介して、選択された文書名に対応する文書データ(蓄積文書データ)つまりジョブの受信を開始する(ステップS204)。
通信部510は、記憶先との間で通信して文書データ(ジョブ)を受信し、文書データの受信を完了すると、その旨をジョブ制御部540へ通知するとともに、受信した文書データを画像処理部530へ出力する。
ジョブ制御部540は、通信部510からの文書データの受信完了である旨の通知を受けて、画像処理部530に対し、処理開始を指示する。
ところで、蓄積文書の記憶先は外部装置であるので、記憶先が例えばスキャナ400である場合、通信部510は、スキャナ400から送信される文書データ(ラスタ画像データ)を受信することになる。この場合、その文書データは、PC303によってラスタライズ処理(画像処理)されたラスタ画像データである。
そのため、画像処理部530は、通信部510からの文書データを、そのまま印刷部56へ転送する。印刷部560は、転送されてきたデータ(ラスタ画像データ)に基づき印刷処理を実施する(ステップS205)。
ところで、上述したステップS204において、プリンタAとスキャナ400との通信においては、プリンタAがスキャナ400に対し蓄積文書印刷の要求を送信することになる。
プリンタAから蓄積文書印刷の要求を受けたスキャナ400では、通信部410が蓄積文書印刷ジョブの要求を受信すると、画像記憶部450に記憶されている画像データが、通信部410を介してプリンタAに向けて送信される。
このとき、スキャナ400の蓄積文書読取速度よりもプリンタAのデータ処理速度、印刷速度、通信速度等の少なくとも何れかが低速な場合、図16(a)に示すように、待ち時間TWが発生する。
このようなことから、通信制御部420は、プリンタAに送出するデータのデータ転送の速度を、プリンタAのパフォーマンス(性能)を落とさずに、かつなるべく低速にデータを送出すべく制御を行う。
その制御を実施すべく、スキャナ400の通信制御部420によるデータ転送制御処理は、図15に示した実施の形態4のデータ転送制御処理の処理手順になっている。
すなわち、通信制御部420は、通信部410を介してプリンタA(プリンタ501)から性能情報を取得するとともに、プリンタAとの間の通信経路にかかわる通信速度を測定し(ステップS601)、その後、取得したプリンタAの性能情報(プリンタ性能情報)と、測定した通信経路の性能(通信経路性能)と、当該スキャナ装置のスキャナ性能とを比較する。
本実施の形態5では、プリンタ性能はプリンタの印刷処理速度および画像展開速度を含む所定の処理速度を意味し、通信経路性能は通信経路にかかわる通信速度を意味し、スキャナ性能は蓄積文書読取処理速度を含む所定の処理速度を意味する。
次に、通信制御部420は、上述した3つの性能にかかわる速度のうち最も低速なものは何れの性能にかかわる速度であるかを判定する(ステップS602)。
通信制御部420は、最も低速なものが通信経路性能(にかかわる通信速度)であった場合(ステップS602「通信経路性能が最も低速」の場合)には、転送速度を通信経路性能(にかかわる通信速度)に合わせて低速化し(ステップS603)、また最も低速なものがプリンタ性能(にかかわる処理速度)であった場合(ステップS602「プリンタ性能が最も低速」の場合)は、転送速度をプリンタ性能(にかかわる処理速度)に合わせて低速化する(ステップS604)。
また、通信制御部420は、最も低速なものがスキャナ性能であった場合(ステップS602「スキャナ性能が最も低速」の場合)は、スキャナが送信可能な最高の速度を維持する。
なお、性能情報や通信速度は、過去の動作実績を記録しておきそれを利用するようにしても良い。
ところで、スキャナ400において、まだプリンタAに対しデータを送信中にプリンタBへの蓄積文書印刷ジョブを開始した場合、上述したプリンタAに対する蓄積文書印刷ジョブの場合と同様に、蓄積文書読取が開始される。
このとき、プリンタAに対する転送速度が低速化していると、図16(b)に示すように、データ送信に必要なリソース(スキャナ400)に空き時間T0が発生するため、この空き時間T0を利用して、図16(c)に示すように、プリンタBに対してもデータの送信が可能となる。
なお、プリンタBに対するデータ転送の場合においても、プリンタBに対する転送速度は、図15に示したデータ転送制御処理の処理手順に基づいて決定することができる(但し、プリンタAを低速化したことにより生じた空き時間を利用してのスキャナ性能を用いて比較する)。
そして、プリンタBの転送速度も低速化されると、さらに別のプリンタやPCに対してデータを送信することができる。
プリンタAへのデータ転送が終了すると、通信制御部420は、図15に示したデータ転送制御処理の処理手順に基づいてプリンタB(およびそれ以降のジョブ)の転送速度を再決定する。
以上説明したように、スキャナからプリンタへ画像データを送信する転送速度が最適な速度に設定され、空き時間が生じた場合には別のジョブの転送を行うことができるため、同時に複数の画像形成装置(プリンタ)にデータを送信するかのごとく動作し、トータルの処理時間を大幅に短縮することができる。
(実施の形態6)
図17は、実施の形態6に係る画像形成システムの構成を示している。
図17に示す画像形成システム5において、プリンタ600とコンピュータ(PC)710とルータ720と無線ハブ730とがローカルエリアネットワーク(LAN)810に接続されている。ルータ720はインターネット820に接続されている。インターネット820には、複数のサーバ740,750,760、および基地局770も接続されている。LAN810やインターネット820に接続可能な携帯端末780も存在する。
なお、PC710や携帯端末780は、外部機器やカメラなどを利用することにより、2次元コードリーダやテキストリーダとして機能する。
サーバ740,750,760は、情報資源を格納しており、外部(クライアント)からのリクエストに応答して、当該クライアントに対し該当する情報資源を提供する。
本願明細書では、情報資源提供装置と画像形成装置とが通信回線を介して接続される画像形成システムにおいて、情報資源提供装置、画像形成装置、通信回線および情報資源提供装置から提供される情報資源を「画像形成処理にかかわる資源」と定義する。これらの画像形成処理にかかわる資源はシステム資源であると言える。
図18は、プリンタの機能構成を示している。
プリンタ600は、図18に示すように、WWWサーバ610、ネットワーク通信部620、データ記憶部630、WWWクライアント640、ジョブ制御部650、操作・表示部660、コード生成部670、PDL処理部680および印刷部690を備えている。
WWW(World Wide Web)サーバ610は、ネットワーク通信部620からのサービスリクエストを受け付ける。またWWWサーバ610は、データ記憶部630からデータを読み込みながらHTML(Hyper Text Markup Language:Webページを記述する言語)等で記述された情報を提供する。
ネットワーク通信部620は、LAN810とのインターフェースとして動作する。ネットワーク通信部620は、PC710からジョブを受信した場合には、そのジョブをジョブ制御部へ通知し、またサービスリクエストを受信した場合は、そのサービスリクエストをWWWサーバ610へ通知するとともに、そのサービスリクエストに対するWWWサーバ610からの応答の結果を当該サービスリクエストの送信元(外部)に返す。また、ネットワーク通信部620は、WWWクライアント640からのサービスリクエストを外部のサーバ(サーバ740,750,760)に送信するとともに、そのサービスリクエストに対する外部のサーバ(サーバ740,750,760)からの応答の結果をWWWクライアント640に返す。
データ記憶部630は、WWWサーバ610やWWWクライアント640が使用するデータを格納する。
WWWクライアント640は、ジョブ制御部650からのURI(Uniform Resource Idenifier:リソース識別子)の通知を受け、ネットワーク通信部を介して、外部のサーバにサービスリクエストを送信し、HTML等で記述された情報を取得し、解釈して描画処理を行う。HTML等で記述された情報の記憶手段として、データ記憶部630が使用される。また、取得された情報に含まれる特定データ(印刷不能データ)については、コード生成部670によって所定の処理が実施される。WWWクライアント640によって描画されたデータは印刷部690に送信される。
ジョブ制御部650は、ネットワーク通信部620よび操作・表示部660からの通知を受け、ジョブを起動するとともに、状態情報を操作・表示部660に通知する。また、ジョブ制御部650は、ジョブの種類に応じて、WWWクライアント640やPDL処理部680を起動する。
操作・表示部660は、ユーザインターフェースとして動作するもので、ユーザに対してジョブ制御部650からの通知に基づき各種情報を提供するとともに、ユーザからの指示を受け付けて、その指示をジョブ制御部に通知する。
コード生成部670は、WWWクライアント640からのリクエストに基づき、特定の形式のデータあるいはデータの格納場所を示すコードを、PC710や携帯端末780が判読可能な画像データとして生成し、この生成した画像データをWWWクライアント640に返す。
本実施の形態6では、「特定の形式のデータ」とは、例えば2次元コードを意味する。「データの格納場所を示すコード」とは、例えばURIを示すコード意味する。PC710や携帯端末780が判読可能な画像データとは、例えば2次元コードを意味する。
PDL処理部680は、PC710等から送信されるPDL(ページ記述言語)で記述された印刷データ(PDLデータ)を処理し、描画を行う。PDL処理部680によって描画されたデータは印刷部690に送信される。
印刷部690は、WWWクライアント640やPDL処理部680からデータを受け取り、この受け取ったデータの印刷を行う。
本実施の形態6では、情報資源提供装置はサーバ740,750,760に対応し、画像形成装置はプリンタ600に対応し、通信回線はLAN810およびインターネット820に対応する。また、プリンタ600において、WWWクライアント640は情報資源取得手段および描画処理手段に対応し、コード生成部670は変換処理手段に対応し、データ記憶部630はデータ記憶手段に対応する。
次に、画像形成システムのプリンタによるリソース(情報資源)描画処理について説明する。
上述した構成の画像形成システム5において、ユーザがPC710を使用してリソース識別子であるURIを指定して印刷を指示すると、PC710は、LAN810を介してURIとともに印刷ジョブをプリンタ600に向けて送信する。
プリンタ600では、ネットワーク通信部620がURIとともに印刷ジョブを受信すると、これらの情報をジョブ制御部650に通知する。ジョブ制御部650は、その通知に基づきWWWクライアント640に対し、URIの示すリソース(情報資源)の印刷を指示する。
WWWクライアント640は、ジョブ制御650からの指示に基づき、ネットワーク通信部620を介してURIの示すリソースを取得するとともに、この取得したリソースの描画を実施する。なお、描画の際に取得したリソースの記憶手段としてデータ記憶部630が利用可能である。描画処理を実施するに際し、WWWクライアント640は、一般的に知られるWWWクライアントと同様に、必要に応じて関連リソースをさらに取得して一連の描画を行う。
次に、プリンタによる取得したリソース(情報資源)の描画処理について、図19を参照して説明する。
図19は、そのリソース描画処理の処理手順を示すフローチャートである。
WWWクライアント640は取得した各リソースのリソース毎にリソースの全部または一部が印刷不能データであるか否かを判定し(ステップS701)、この判断した結果、印刷不能データの場合には、コード生成部670に対し、当該リソース(印刷不能データ)を所定のコードに変換するように指示(印刷不能データ変換の指示)する。
コード生成部670は、WWWクライアント640からの印刷不能データ変換の指示に基づき、印刷不能データからコードを生成(印刷不能データをコードに変換)し(ステップS702)、この生成したコード(変換した結果であるコード)をWWWクライアント640に渡す。
ここで、コードの方式としては例えば2次元コードなどが使用可能であり、この2次元コードはPC710や携帯端末780にて判読可能である。
さて、WWWクライアント640は、コード生成部670からの渡されたコードを描画する(ステップS703)。
なお、ステップS701においてリソースの全部または一部は印刷不能データではないと判断したWWWクライアント640は、当該リソースを描画する(ステップS704)、また、WWWクライアント640は、印刷に必要なリソースの描画、あるいはコード変換およびコードの描画が終了した場合は、これらの描画データを印刷部690へ出力する。
印刷部690では、受け取った描画データを基に印刷処理を実施し、印刷物(印刷された用紙)を出力する。印刷部690によって正常に印刷処理が終了した場合、WWWクライアント640は、データ記憶部630に記憶され、上記ステップS704での描画処理対象のリソースを削除する。
印刷物には、URIの示すリソースを描画した結果が印刷されている。もし当該リソースに印刷不能データが含まれていた場合は、図20に示すように、印刷不能データをコード化した2次元コードが付加されて印刷される。
ちなみに、図20に示す印刷物1000には、印刷可能データに対応する画像1100と、印刷不能データをコード化した2次元コードに対応する画像(2次元コード画像)1200とが印刷されている。
そして、図20に示す印刷物1000に含まれる2次元コード画像1200を、PC710や携帯端末780が外部機器やカメラを利用して判読すると、PC710や携帯端末780では、判断したコードを元に印刷不能なリソース(印刷不能データ)を復元し、当該リソースを処理する。PC710や携帯端末780は、例えばサウンドデータが復元された場合、サウンドを再生する。
以上説明したように、ユーザの指示するリソースに印刷不能データが含まれていた場合に、その印刷不能データは、コンピュータや携帯端末で判読可能なコードに変換され印刷されるため、たとえ印刷不能データであっても、そのデータの内容を印刷物から知ることができるようになる。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係る画像形成システムについて説明する。
実施の形態7の画像形成システムは、図17に示した実施の形態6の画像形成システム5と同様の構成になっている。
次に、画像形成システムのプリンタによるリソース(情報資源)描画処理について説明する。
上述した構成の画像形成システム5において、ユーザがPC710を使用してリソース識別子であるURIを指定して印刷を指示すると、PC710は、LAN810を介してURIとともに印刷ジョブをプリンタ600に向けて送信する。
プリンタ600では、ネットワーク通信部620がURIとともに印刷ジョブを受信すると、これらの情報をジョブ制御部650に通知する。ジョブ制御部650は、その通知に基づきWWWクライアント640に対し、URIの示すリソース(情報資源)の印刷を指示する。
WWWクライアント640は、ジョブ制御650からの指示に基づき、ネットワーク通信部620を介してURIの示すリソースを取得するとともに、この取得したリソースの描画を実施する。なお、描画の際に取得したリソースの記憶手段としてデータ記憶部630が利用可能である。描画処理を実施するに際し、WWWクライアント640は、一般的に知られるWWWクライアントと同様に、必要に応じて関連リソースをさらに取得して一連の描画を行う。
次に、プリンタによる取得したリソース(情報資源)の描画処理について、図21を参照して説明する。
図21は、そのリソース描画処理の処理手順を示すフローチャートである。
WWWクライアント640は取得した各リソースのリソース毎にリソースの全部または一部が印刷不能データであるか否かを判定し(ステップS801)、この判断した結果、印刷不能データではない場合は、当該リソースを描画する(ステップS802)。
ステップS801においてリソースは印刷不能データであると判断したWWWクライアント640は、そのリソース(印刷不能データ)をコード生成部670に渡す。
コード生成部670は、渡されたリソース(印刷不能データ)を所定のコードに変換可能であるか否かを判断する(ステップS803)。
ここで、リソースをコード変換可能か否かは、例えばリソースのサイズが2次元コードの扱えるサイズの超過の有無などに基づき判定される。具体的には、リソースのサイズが2次元コードの扱えるサイズを超えている場合には、コード変換が不可能であると判定され、リソースのサイズが2次元コードの扱えるサイズ未満の場合はコード変換が可能であると判定される。
さて、コード生成部670は、ステップS803において、リソースをコードに変換可能であると判断した場合には、そのリソースを所定のコードに変換し(ステップS804)、一方、リソースをコードに変換可能ではないと判断した場合は、コード変換が不可能なリソースを当該プリンタ600に格納可能か否かを判断する(ステップS805)。
ここで、リソースをプリンタに格納可能であるか否かは、例えばリソースがストリーミング方式で提供されている大容量コンテンツであるか否か、あるいはリソースが著作権保護されたコンテンツであるか否かに基づき判定される。具体的には、リソースがストリーミング方式で提供されている大容量コンテンツである場合、リソースが著作権保護されたコンテンツである場合には、リソースをプリンタに格納可能ではないと判定される。これに対し、ソースがストリーミング方式で提供されている大容量コンテンツではない場合、リソースが著作権保護されたコンテンツではない場合は、リソースをプリンタに格納可能であると判定される。
さて、コード生成部670は、ステップS805において、リソースをプリンタに格納可能であると判定した場合には、当該プリンタ600に格納したリソースのURIをコードに変換し(ステップS806)、一方、リソースをプリンタに格納可能ではないと判定した場合は、オリジナルのリソースURIをコードに変換する(ステップS807)。
すなわち、コード生成部670は、ステップS804、ステップS806およびステップS807での処理の如く、WWWクライアント640からの印刷不能データ変換、あるいは印刷不能データURI変換の指示に基づき、印刷不能データあるいは印刷不能データのURIからコードを生成する。
コードの方式としては例えば2次元コードやURIを示すテキストなどが使用可能であり、これらのコードは、PC710や携帯端末780にて判読可能である。
例えば、ステップS804で生成されるコードの一例としては、図20の符号1200で示される2次元コードであり、ステップS806で生成されるコードの一例としては、図22の符号1300で示されるURIを示すコード(URIを示すテキスト)である。
そして、コード生成部670は、ステップS804、ステップS806およびステップS807において生成したコードをWWWクライアント640に渡す。
このWWWクライアント640は、渡されたコードを描画する(ステップS808)。また、WWWクライアント640は、印刷に必要なリソースの描画、あるいはコード変換およびコードの描画が終了した場合は、これらの描画データを印刷部690へ出力する。
印刷部690では、受け取った描画データを基に印刷処理を実施し、印刷物(印刷された用紙)を出力する。
印刷部690によって正常に印刷処理が終了した場合、WWWクライアント640は、データ記憶部630に記憶され、リソースURIをコード化して印刷したものを除いて、データ記憶部630に記憶されているリソースを削除する。
例えば、図22に示す印刷物100において、画像1100に対応するリソース(印刷可能データ)はデータ記憶部630から削除される。これに対し、データ記憶部630に記憶されている、画像1300に対応するリソースURIについては、削除しない。
印刷物には、URIの示すリソースを描画した結果が印刷されている。もし当該リソースに印刷不能データが含まれていた場合は、図20に示すように、印刷不能データをコード化した2次元コードが付加されて印刷される。
そして、図20に示す印刷物1000に含まれる画像(コード)1200を、PC710や携帯端末780が外部機器やカメラを利用して判読すると、PC710や携帯端末780では、判断したコードを元に印刷不能なリソース(印刷不能データ)、あるいは印刷不能データが格納されたURIを復元する。
すなわち、PC710や携帯端末780は、復元された情報が、印刷不能データ(リソース)であれば、当該リソースを処理し、URIであれば当該URIから印刷不能リソースを取得して処理する。PC710や携帯端末780は、例えばサウンドデータが復元された場合にはサウンドを再生し、また動画データのURIが復元された場合はURIの示すリソースを取得して動画を再生する。
この場合、URIが、図22の符号1300で示されるURIに対応する画像(URI画像)の如く、プリンタ内に格納されていることを示している場合、PC710や携帯端末780によるリソース取得のリクエストはプリンタ600に向けて送信される。
プリンタ600では、ネットワーク通信部620がそのリクエストを受信し、そのリクエストをWWWサーバ610に通知する。WWWサーバ610は、受け付けたリクエストに基づいて、URIに対応するリソースをデータ記憶部630から読み出し、この読み出したリソースを、ネットワーク通信部620を介して、リクエスト送信元(PC710や携帯端末780)に向けて送信する。
以上説明したように、ユーザの指示するリソースに印刷不能データが含まれていた場合に、その印刷不能データは、コンピュータや携帯端末で判読可能なコードに変換され印刷されるため、たとえ印刷不能データであっても、そのデータの内容を印刷物から知ることができるようになる。
また、データの形式やデータの容量などに応じて、URIは、コンピュータや携帯端末で判読可能なコードに変換され、印刷されるため、大容量コンテンツや保護されたコンテンツも扱うことができる。
さらに、URIをコードに変換し、印刷する際に、印刷不能データがプリンタ内の記憶装置に記憶可能な場合には、プリンタ内の記憶装置における記憶場所を示すURIを変換し印刷するため、そのURIにアクセスするときは、オリジナルのURIにアクセスする場合よりも、高速にアクセス可能となる。