JP2009077238A - アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低姿勢化と、インピーダンスを広帯域化との両立を可能とする。
【解決手段】本発明の一態様としてのアンテナ装置は、有限地板と、前記有限地板に対向するように配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の一端を前記有限地板に短絡する第2の導体板と、を有する板状導体素子と、1つ以上のアンテナ素子と、前記第1の導体板の他端近傍に位置し前記1つ以上のアンテナ素子に給電する給電点とを有するアンテナと、を備え、前記板状導体素子は、前記アンテナから放射され前記第1の導体板の前記他端側から前記第1の導体板と前記有限地板との間の空間に入り込んだ電磁波を前記第1の導体板と前記有限地板との間の反射により伝搬し、伝搬した電磁波を前記第2の導体板において反射させ、前記第1の導体板の他端側において前記空間から出力することにより前記空間に入り込んだ電磁波に所望の位相遅延を与えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、アンテナ装置に関し、特にその低姿勢化および広帯域化に関する。
従来のアンテナ装置は、特許文献1(特開2007-60349号公報)にあるように、逆Fアンテナを有している。このアンテナ装置は、逆Fアンテナの給電点付近に短絡する金属ピンを設けることで、逆Fアンテナを低姿勢にしてもアンテナ整合を取ることを可能としている。しかし、給電点と金属ピンを通る小さなループによって、整合が取れる周波数帯域が制限されてしまうという問題がある。そのため、複数および広帯域の無線システムに対応するためにはそれに見合ったアンテナの高さを必要とする。
特開2007-60349号公報
このように従来のアンテナ装置では、低姿勢化と、複数および広帯域の周波数帯を利用する無線システムへの対応とを同時に満たすことが困難であるという問題があった。
この発明は、低姿勢化と、インピーダンスの広帯域化との両立を可能としたアンテナ装置を提供する。
本発明の一態様としてのアンテナ装置は、
有限地板と、
前記有限地板に対向するように配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の一端を前記有限地板に短絡する第2の導体板と、を有する板状導体素子と、
1つ以上のアンテナ素子と、前記第1の導体板の他端近傍に位置し前記1つ以上のアンテナ素子に給電する給電点とを有するアンテナと、を備え、
前記板状導体素子は、前記アンテナから放射され前記第1の導体板の前記他端側から前記第1の導体板と前記有限地板との間の空間に入り込んだ電磁波を前記第1の導体板と前記有限地板との間の反射により伝搬し、伝搬した電磁波を前記第2の導体板において反射させ、前記第1の導体板の他端側において前記空間から出力することにより前記空間に入り込んだ電磁波に所望の位相遅延を与えることを特徴とする。
本発明の一態様としてのアンテナ装置は、
有限地板と、
前記有限地板上に配置された誘電体板と、
前記誘電体板上に配置された導体板と、前記導体板の一端と前記有限地板とを前記誘電体板を貫通して短絡する複数の短絡部材と、を有する板状導体素子と、
1つ以上のアンテナ素子と、前記導体板の他端近傍に位置し前記1つ以上のアンテナ素子に給電する給電点とを有するアンテナとを備え、
前記板状導体素子は、前記アンテナから放射され前記第1の導体板の前記他端側から前記第1の導体板と前記有限地板との間の空間に入り込んだ電磁波を前記第1の導体板と前記有限地板との間の反射により伝搬し、伝搬した電磁波を前記複数の短絡部材全体を反射部材として用いて反射させ、前記第1の導体板の他端側において前記空間から出力することにより前記空間に入り込んだ電磁波に所望の位相遅延を与えることを特徴とする。
本発明により、低姿勢化と、インピーダンスの広帯域化との両立が可能となる。
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
本アンテナ装置は、有限地板1と、途中で折り曲げられ一端辺が有限地板1に短絡し他端辺が開放された矩形導体板2と、有限地板1と平行に配置され、給電点が矩形導体板2の他端辺(すなわち有限地板1に短絡した辺から最も遠い辺)付近に位置するダイポールアンテナ3と、から構成される。
有限地板1は導電性の材料から成る。後で説明するように、低姿勢・広帯域のアンテナが実現するメカニズムは矩形導体板2による。そもそも有限地板1があるために低姿勢化の問題が発現するので、有限地板1のサイズは設計要因ではない。低姿勢化の問題が発現する有限地板の大きさは使用波長の4分の1波長程度以上であり、上限は無い。有限地板の大きさが4分の1波長程度以下の場合は、低姿勢化の問題が発現しないので、本実施の形態では有限地板の大きさは使用波長の4分の1波長程度以上であるとする。
矩形導体板2は矩形の形状をした導電性の材料から成る。図のように矩形導体板2を折り曲げて、有限地板1に平行な部分2a(第1の導体板)と、有限地板1に垂直な部分2b(第2の導体板)とからなり、垂直な部分2bの開放端側は辺全体で有限地板1に短絡している。第1の導体板と第2の導体板とはたとえば板状導体素子をなす。電気的に等価であれば、折り曲げる代わりに、2枚の矩形導体板を用意して、両者を半田付け等の方法で電気的に接続しても良い。また、本例では、矩形導体板2は、直角に折り曲げられて、有限地板1に平行な部分2aと直角な部分2bから構成されているが、これは本質ではなく、矩形導体板と有限地板1との間の空間において、後で述べる電磁波伝搬が得られれば、矩形導体板2の形状に制約はない。
ダイポールアンテナ3は、2本の線状導体(アンテナ素子)を1直線状に並べてその間に給電点Pを配置した、一般的によく知られた基本的なアンテナである。つまり、ダイポールアンテナ3は、2つのアンテナ素子とこれらのアンテナ素子に給電する給電点Pとを有する。ダイポールアンテナ3は、有限地板1との距離が導体板2aと有限地板1との距離と同じまたはこれ以上になるよう配置されている。給電点Pは第1の導体板2aの他端近傍に位置している。ダイポールアンテナ3の1つの線状導体が導体板2aとオーバーラップし、また、この線状導体の長さ方向と導体板2aの長手方向とが一致しているが、これはあくまで配置の一形態であり、本発明はこのような配置に限定されない。たとえばダイポールアンテナ3を給電点Pを軸に有限地板1に平行に90度回転させたような形態でもよい。給電点Pが導体板2aの他端辺近傍にあればよく、好ましくは他端辺の外側(平面的に給電点と導体板2aが離れている)である。ダイポールアンテナ3の帯域は、矩形導体板2の第2の導体板2bの垂直方向の長さで制御可能である。またダイポールアンテナ3と矩形導体板2の相対位置でアンテナ整合を容易に調整可能である。
図2は図1のアンテナ装置の動作原理の説明図である。
図2(a)はダイポールアンテナ3が自由空間中に存在する場合を示している。ダイポールアンテナ3上に電流Jを仮定すると、電流Jにより生じる電界によって給電点には電圧V0が発生する。これによりダイポールアンテナ3の入力インピーダンスZ0=V0/Jが求まり、半波長ダイポールアンテナの場合、約72Ωになることが知られている。
図2(b)は有限地板1の上にダイポールアンテナ3を平行に配置した場合を示している。電流Jにより生じる電界はダイポールアンテナ3より上側の半無限の自由空間側に発生する電界と、ダイポールアンテナ3より下側の有限地板1によって反射されて発生する電界の2つが考えられる。
ここで反射する点における反射位相φによって、ダイポールアンテナを低姿勢化した際のインピーダンスが異なる。金属に近い特性であるPEC(Perfect Electric Conductor:完全電気導体)の場合はφ=180度となり、低姿勢化の極限は電圧が発生せず、入力インピーダンスは0となる。PMC(Perfect Magnetic Conductor, 完全磁気導体)の場合はφ=0度となり、低姿勢化の極限は自由空間の2倍の電圧が発生し、入力インピーダンスは2Z0となる。仮にφ=120度=2π/3radとすると、
exp(jωt)+exp{j(ωt±2π/3)}=exp{j(ωt±π/3)}
の関係式によって、入力インピーダンスは自由空間と同じZ0となる。
上記反射位相と電圧の関係をフェーザで示したのが図2(d)、図2(e)、図2(f)である。フェーザは交流信号の変化を複素平面のベクトルで表したものであり、フェーザの実部または虚部を見れば実際の電圧の振幅が分かる。図2(d)では経路Aの電磁波が発生する電界のフェーザとPECで反射する経路Bにより発生する電界のフェーザとが位相差180度で打ち消し合う様子を表している。図2(e)はPMCで同相の反射が発生して2倍の電圧が発生することを示している。図2(f)は120度位相差の反射が電圧の振幅を変えないことを示している。
図2(c)は図1のアンテナ装置を有限地板1に平行な方向から見た側面図である。矩形導体板2の一端辺は有限地板1に短絡されているので、短絡点から開放端までの最短距離が4分の1波長程度となる周波数で共振する。矩形導体板2の共振周波数では図2(c)で示すような矩形導体板2の下を伝搬する経路Bの電磁波が電力の上で支配的となる。この時、矩形導体板2が十分低姿勢ならば、経路Bのうち矩形導体板2の下をくぐる部分は往復で略半波長となる。つまり、矩形導体板2の下を往復する間に位相が略180度変化(遅延)する。さらに矩形導体板2の有限地板1に垂直な部分で180度の反射位相が発生するため、経路Bでは矩形導体板2の下に入ってから出るまでに略360度=0度の位相差(遅延)が発生する。これは上述したPMCに相当する。さらにアンテナの給電点の位置を矩形導体板2の先端から有限地板に平行に6分の1波長程度離して配置すると(図2(c)で示す状態)、先ほどの位相差360度=0度のほかに120度の位相差が得られる。こうして矩形導体板2により360度、矩形導体板2とダイポールアンテナの先端を離すことにより120度の位相差が得られ、先に説明したメカニズムの通り、自由空間と同等の入力インピーダンスを得ることが可能となる。
矩形導体板2の共振による電磁波の伝搬経路Bの電力が支配的ではあるが、有限地板1または矩形導体板2の上面からの短距離の反射(経路C)が無視できない場合には、図2(g)に示すように、経路Bの反射位相を0度側にずらすべくダイポールアンテナ3の給電点を矩形導体板2の先端に接近させれば、経路BとCの合成波を位相差120度とすることが可能である。
また矩形導体板2と有限地板1との間の空間(以下、矩形導体板2の下の空間と称する。)は、平行平板線路と見做すことができる。そのため幅を広くするほど、斜め角度方向の伝搬の重ね合わせ(これを一般的に伝搬モードと呼ぶ)が励振されやすくなり、伝搬モード毎に周波数に対する振幅の変化がばらばらであるために広帯域化する。
以上により、低姿勢でアンテナ整合を取り、かつ、広帯域な特性を得ることが可能である。
(第二実施形態)
図3は、本発明の第二実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第二実施形態では第一実施形態のダイポールアンテナ3に給電する具体的な方法として、同軸線路4が追加されている。図3では同軸線路4付近が見易いように側面図となっている。同軸線路4を除く構造は、図1と全く同一である。
同軸線路4以外の構成部材の説明は、第一実施形態と同一であるので割愛する。
同軸線路4は、線状導体から成る内導体4aと、内導体の側面を円筒状に囲む導体から成る外導体4bと、から構成される。一般には内導体4aと外導体4bの間隔を機械的に保持し、かつ、両者を絶縁するために、内導体4aと外導体4bの間に誘電体が充填されている場合が殆どである。内導体4aはダイポールアンテナ3の一方の線状導体に接続され、外導体4bは他方の線状導体に接続されるとともに有限地板1に短絡されている。同軸線路4は有限地板1を貫通している。
ダイポールアンテナ3は平衡型のアンテナであり、同軸線路4は不平衡型の線路であるため、両者を接続した場合、同軸線路4の表面にダイポールアンテナ3からの漏洩電流が発生する。そのため、一般的にはバランと呼ばれる平衡不平衡変換器をダイポールアンテナ3と同軸線路4の間に挿入する。しかし、図3に示す矩形導体板2がバランの役割を果たすため、漏洩電流が発生しない。よって、バランを設けなくとも、同軸線路4への漏洩電流を抑制することが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、給電線である同軸線路4への漏洩電流を抑制できる。すなわち、給電線路への漏洩が無く、アンテナ整合と同時に自身で平衡不平衡変換が可能な(バランが不要な)アンテナ装置を実現できる。
(第三実施形態)
図4は、本発明の第三実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第三実施形態は、第一実施形態における矩形導体板2に切り欠き部を設けたことを特徴とする。
矩形導体板2以外の部材の説明は、全て第一実施形態と同一であるので割愛する。
矩形導体板2における有限地板1に平行な部分(導体板)2aとダイポールアンテナ3が同一面内に配置できるようにするために、ダイポールアンテナ3との短絡を避けるように矩形導体板2にノッチが形成されている。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、矩形導体板2およびダイポールアンテナ3を同一平面に配置することができるので、更なる低姿勢化および実装を容易にすることができる。
(第四実施形態)
図5は、本発明の第四実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第四実施形態は、第一実施形態における有限地板1と導体板2aとの間に誘電体板5を設け、また導体板2b(図1参照)の代わりに導体板2aの一端辺を有限地板1に短絡する複数の短絡部材6を、誘電体板5を貫通するように形成したことを特徴とする。
有限地板1の説明は、第一実施形態と同一であるので割愛する。
矩形導体板2と短絡部材6を合わせた構造(板状導体素子)は、電気的に第一実施形態における矩形導体板2と同一である。また、これらは、元々誘電体板5の両面全体が金属板で覆われた誘電体基板に対して、一般的な基板加工技術であるエッチングを用いてスルーホールを形成し、スルーホール内に電極材を埋め込み形成することにより実現される。複数の短絡部材6はたとえば矩形導体板の下の空間を伝搬した電磁波を反射させる反射部材として機能する。
誘電体板5は、空気と異なる比誘電率εr(≠1)を持った材料であり、波長に比べて無視できる構造、例えば原子構造や波長に比べて微細な(波長の10分の1程度以下)金属の周期構造で構成されている。波長短縮による小型化および機械的な構造の支持を担う。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、一般的な誘電体基板に一般的な基板加工技術を施すことにより全体構造を安価かつ簡易に製作することができる。
(第五実施形態)
図6は、本発明の第五実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第五実施形態は、第四実施形態における誘電体板5が第1層5aと第2層5bとからなり、第1層5aが有限地板1と導体板2aとの間に配置され、第2層5bが導体板2aとダイポールアンテナ3との間に配置されたことを特徴とする。
ダイポールアンテナ3および誘電体板5以外の部材の説明は、第四実施形態と同一であるので割愛する。
誘電体板5は、有限地板1と矩形導体板2の間の第1層5aと、矩形導体板2とダイポールアンテナ3の間の第2層5bの2層構造となっている。第1層5aと第2層5bとの間の矩形導体板2は、一般的な多層基板加工技術で形成することができる。
ダイポールアンテナ3は、第2層5bの最上面上にストリップ線路として形成される。これは例えば、最上面が全面金属で覆われた誘電体基板をエッチングすることにより形成することができる。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、一般的な多層誘電体基板に一般的な多層基板加工技術を施すことにより全体構造を安価かつ簡易に製作することができる。なお、本実施形態は、第三実施形態同様に矩形導体板2にノッチ(切り欠き部)を設けることにより一層化(第1層5aのみ)することも可能である。
(第六実施形態)
図7は、本発明の第六実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第六実施形態は、第一実施形態における矩形導体板2を、櫛型線状導体7に替えたことを特徴とする。
櫛型線状導体7以外の部材の説明は、第四実施形態と同一であるので割愛する。
櫛型線状導体7は、1本の線状導体(細板状の第1の導体素子)7aの端から端までに対し、これに直角に複数の線状導体7bを接続した、所謂、髪を梳くための櫛の形をした線状導体である。櫛型線状導体7は、有限地板1に平行に配置され、複数の線状導体7bの先端側は折り曲げられて有限地板1に短絡されている。線状導体7bは、有限地板1に平行で一端が線状導体7aに接続された部分(細板状の第2の導体素子)7b’と、部分7b’の他端を有限地板1に短絡する部分(細板状の第3の導体素子)7b’’とからなる。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、櫛型線状導体7の長手方向の長さが、矩形導体板の長手方向の長さよりも短くなる利点がある。この理由について説明すると以下の通りである。
矩形導体板の場合、矩形導体板の下を伝搬する電磁波は、矩形導体板と有限地板との間で反射を繰り返す。なお電磁波は、金属の表面では電界の接線成分がゼロになるという特性があり、したがって反射点では電界がゼロになる。
一方、櫛型線状導体の場合、櫛型線状導体の下を伝搬する電磁波は、場合によっては金属でない部分(複数の線状導体の間の隙間)に当たるが、隙間が狭いため放射は起こらず、
少し染み出してから反射する。電磁波は非放射界と放射界とからなり、このうち非放射界が隙間から少し染み出す。なお、上記隙間での反射も反射点では電界がゼロになる。
ここで反射点から反射点までの距離(経路長)は半波長に相当する。よって、矩形導体板の場合より櫛型線状導体の方が、矩形導体板の法線(有限地板の法線)に対してより小さい角度で反射しなければならない。なぜなら、両者とも同じ角度で反射すると仮定すると、電磁波の染み出しがある分、櫛型線状導体の方が反射点から反射点までの距離が長くなってしまうからである。したがって反射点から反射点までの距離が同一になる(同じ半波長の長さになる)ためには、櫛型線状導体の場合には、有限地板の法線に対してより小さい反射角度で反射して伝搬する必要がある。
このように反射角度が小さくなると、有限地板に平行な伝搬方向に対して短い距離で位相が変化することになる。このため、櫛型線状導体の下を伝搬する電磁波のほうが、矩形導体板の下を伝搬する電磁波に比べて波長が短くなる。波長が短くなった分、櫛型線状導体7の長手方向の長さは、矩形導体板より短くなる。
(第七実施形態)
図8は、本発明の第七実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第七実施形態は、第六実施形態における櫛型線状導体7の複数の線状導体7bをメアンダ状にした櫛型メアンダ状導体8を備えることを特徴とする。
櫛型メアンダ状導体8以外の部材の説明は、第四実施形態と同一であるので割愛する。
櫛型メアンダ状導体8は、第六実施形態における櫛型線状導体7の複数の線状導体7bをメアンダ状にした線状導体である。線状導体7bにおける有限地板1に平行な部分7b’と垂直な部分7b’’の両方がメアンダ状であってもよく、前者の部分7b’のみがメアンダ状であってもよい。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、アンテナ整合が取れる周波数を低くすることが可能である。この理由は、第六実施形態に挙げた理由に加えて、櫛型メアンダ状導体8上の電流の経路が、メアンダ状でないまっすぐな経路の場合に比べて長くなるためである。
(第八実施形態)
図9は、本発明の第八実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第八実施形態は、第一実施形態におけるダイポールアンテナ3を板状ダイポールアンテナ9に替えたことを特徴とする。
板状ダイポールアンテナ9以外の部材の説明は、第一実施形態と同一であるので割愛する。
板状ダイポールアンテナ9は2枚の導体板を有限地板1に平行に互いに対称に並べ、2枚の導体板間に配置した給電点Pから給電を行い、給電点Pに近い側から給電点から離れるに従って2枚の矩形導体板の幅が斜めに広がるようにした、ダイポールアンテナの変種の1つである。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性を得ることが可能である。さらに、矩形導体板2の帯域幅がダイポールアンテナより広帯域な場合に、全体構造がアンテナ整合する帯域幅を第一実施形態より広帯域にすることができる。すなわち矩形導体板2に見合った帯域特性をダイポールアンテナ側にも持たせることにより、アンテナ装置全体として広帯域化が可能となる。
(第九実施形態)
図10は、本発明の第九実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第九実施形態は、第一実施形態におけるダイポールアンテナ3をモノポールアンテナ10に替えたことを特徴とする。
モノポールアンテナ10以外の部材の説明は、第一実施形態と同一であるので割愛する。
モノポールアンテナ10は、第一実施形態におけるダイポールアンテナ3の給電点Pから見て矩形導体板2から遠い側の線状導体を除去し、給電点Pが有限地板1に接続されるよう給電点側を折り曲げたアンテナである。モノポールアンテナ10への給電はたとえば有限地板1上に配置する同軸線路により行われ、この場合、同軸線路の内導体が給電点Pに接続され、外導体が有限地板1に接続される。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性を得ることが可能である。また、アンテナ装置の小形化が可能となる。
図11は本実施形態のアンテナ装置を有限地板1に平行な側から見た側面図である。
本アンテナ装置の動作原理を説明すると、特定の周波数で矩形導体板2が共振し、その周波数では矩形導体板2の下をくぐって120度の位相で反射する経路Bの電磁波が支配的なので、モノポールアンテナ10の入力インピーダンスは、モノポールアンテナ10直下に有限地板1が無い場合の入力インピーダンスと略同一となる。また、モノポールアンテナ10直下の有限地板1または矩形導体板2の上面から短距離で直接反射する経路Cの電磁波の電力が無視できないような場合にも、第一実施形態のときと同様に、モノポールアンテナ10の給電点を矩形導体板2の開放端に接近させれば、経路BとCの合成波を位相差120度とすることが可能である。
(第十実施形態)
図12は、本発明の第十実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
第十実施形態は、第一実施形態における矩形導体板2の両側辺にノッチ(切り欠き部)を付加してノッチ付き矩形導体板11としたことを特徴とする。
ノッチ付き矩形導体板11以外の部材の説明は、第一実施形態と同一であるので割愛する。
ノッチ付き矩形導体板11は、第一実施形態における矩形導体板2の両側辺に、複数の矩形状の切り欠きを入れたものである。ただし、本発明は切り欠き部の形状に制約はなく、切り欠き部は、任意の形状を有することができる。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、アンテナ整合が取れる周波数を低くすることが可能である。この理由は、ノッチ付き矩形導体板11上の電流の経路が、ノッチ付きでないまっすぐな矩形導体板2の場合に比べて長くなるためである。
(第十一実施形態)
図13は、本発明の第十一実施形態に係るアンテナ装置の構成図である。
このアンテナ装置は、有限地板1と、有限地板1に平行に配置された矩形導体板2aと、矩形導体板2aの一端を短絡する複数のばね付き可動ピン15と、有限地板1と平行に配置され、給電点が矩形導体板2の他端辺付近に位置するダイポールアンテナ3と、ダイポールアンテナ3を給電する複数のばね付き可動ピン12と、矩形導体板2aとダイポールアンテナ3との間に配置される筐体13と、有限地板1に対して矩形導体板2およびダイポールアンテナ3と反対側の面上に搭載された回路部品14と、から構成される。
有限地板1の説明は、第一実施形態と同一であるので割愛する。
ばね付き可動ピン12、15は内装されたばねによって2つの部品の間を圧着によって電気的に接続する一般的な実装部品である。ここでは、一端が有限地板1に固定されており、他端がばねにより可動部分となっている。これにより、ピンに圧着された部品は有限地板1側に短絡される。また、ダイポールアンテナ3側のばね付き可動ピン12は、有限地板1上に設けられた給電線路に短絡している。
筐体13はABS樹脂等のプラスチックで成型されており、内部の電子回路・無線回路を機械的に保護したり、概観を良くしたりするために使用される。
矩形導体板2aは、ばね付き可動ピン12によって有限地板1に短絡されると共に、ばねの持つ圧力によって筐体13との間に固定されている。
ダイポールアンテナ3は、金属板で構成され、筐体13の外側に貼り付けられている。
以上で述べた有限地板1、矩形導体板2a、 ダイポールアンテナ3、 ばね付き可動ピン12、15からなる構造と電気的に等価な構造を図14に示す。矩形導体板2aに接続されかつ有限地板1に垂直な導体部分2bが図13におけるばね付き可動ピン15に相当している。有限地板1に垂直な導体部分2bは線状(細板状)になっている。ダイポールアンテナ3は有限地板1に平行な部分がストリップ線路状、垂直な部分16が線状(細板状)になっており、2つの垂直な部分16のうち、一方は有限地板1に短絡し、他方は給電点Pに接続して短絡している。垂直な部分16は図13におけるばね付き可動ピン12に相当している。
回路部品14は、LSI, インダクタ, キャパシタ等であり、電子回路・無線回路を構成する単位素子である。
以上の構成により、第一実施形態と同様に、低姿勢でのアンテナ整合およびその広帯域特性が得られると同時に、ダイポールアンテナ3と、有限地板1に対してダイポールアンテナ3と反対側に搭載した回路との間の干渉を抑圧することが可能である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第一実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第一実施形態に係るアンテナ装置の動作原理を示す側面図。 本発明の第二実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第三実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第四実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第五実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第六実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第七実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第八実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第九実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第九実施形態に係るアンテナ装置の動作原理を示す側面図。 本発明の第十実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第十一実施形態に係るアンテナ装置の構成図。 本発明の第十一実施形態に係るアンテナ装置の電気的に等価な構造の模式図。
符号の説明
1…有限地板
2…矩形導体板
3…ダイポールアンテナ
4…同軸線路
4a…同軸線路の内導体
4b…同軸線路の外導体
5…誘電体板
6…スルーホール
7…櫛型線状導体
8…櫛型メアンダ状導体
9…板状ダイポールアンテナ
10…モノポールアンテナ
11…ノッチ付き矩形導体板
12…ばね付き可動ピン
13…筐体
14…回路部品

Claims (12)

  1. 有限地板と、
    前記有限地板に対向するように配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の一端を前記有限地板に短絡する第2の導体板と、を有する板状導体素子と、
    1つ以上のアンテナ素子と、前記第1の導体板の他端近傍に位置し前記1つ以上のアンテナ素子に給電する給電点とを有するアンテナと、を備え、
    前記板状導体素子は、前記アンテナから放射され前記第1の導体板の前記他端側から前記第1の導体板と前記有限地板との間の空間に入り込んだ電磁波を前記第1の導体板と前記有限地板との間の反射により伝搬し、伝搬した電磁波を前記第2の導体板において反射させ、前記第1の導体板の他端側において前記空間から出力することにより前記空間に入り込んだ電磁波に所望の位相遅延を与えることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記板状導体素子は、前記空間から出力された前記電磁波と、前記アンテナから放射され前記有限地板で直接反射した電磁波と、前記アンテナから放射され前記1の導体板の表面で直接反射した電磁波との合成波が、前記アンテナから前記有限地板と反対側の自由空間に放射された電磁波に対し略120度の位相差をもつように前記空間に入り込んだ電磁波に前記所望の位相遅延を与えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記給電点が平面的に前記第1の導体板に重ならないことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記給電点に給電を行う同軸線路をさらに備え、
    前記アンテナは、2つの前記アンテナ素子と前記給電点とを有するダイポールアンテナであり、
    前記同軸線路の外導体は、前記2つのアンテナ素子のうち一方に接続されるとともに前記有限地板に短絡され、
    前記同軸線路の内導体は他方のアンテナ素子に接続された、
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  5. 前記ダイポールアンテナは、前記2つのアンテナ素子が前記給電点を挟んで一直線状に配置され、かつ、前記第1の導体板と同じ高さまたはこれより高い高さに配置され、
    前記2つのアンテナ素子のうちの一方が前記第1の導体板にオーバーラップし、
    前記第1の導体板は、前記アンテナ素子とオーバーラップする部分において切り欠き部を有することを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
  6. 前記2つのアンテナ素子は、線状形状または板状形状を有することを特徴とする請求項4または5に記載のアンテナ装置。
  7. 前記第1の導体板は、細板状の第1の導体素子と、前記第1の導体素子の端から端まで略直角に一端が接続された細板状の複数の第2の導体素子とを含み、
    前記第2の導体板は、前記複数の第2の導体素子の他端を前記有限地板に短絡する細板状の複数の第3の導体素子を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  8. 前記複数の第2の導体素子はメアンダ形状を有することを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
  9. 前記第1の導体板の両側辺のうちの少なくとも一方に切り欠き部が形成されたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  10. 前記アンテナは、1つの前記アンテナ素子と前記給電点とを有するモノポールアンテナであることを特徴とする請求項1、2、3、7〜9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  11. 有限地板と、
    前記有限地板上に配置された誘電体板と、
    前記誘電体板上に配置された導体板と、前記導体板の一端を前記誘電体板を貫通して前記有限地板に短絡する複数の短絡部材と、を有する板状導体素子と、
    1つ以上のアンテナ素子と、前記導体板の他端近傍に位置し前記1つ以上のアンテナ素子に給電する給電点とを有するアンテナとを備え、
    前記板状導体素子は、前記アンテナから放射され前記第1の導体板の前記他端側から前記第1の導体板と前記有限地板との間の空間に入り込んだ電磁波を前記第1の導体板と前記有限地板との間の反射により伝搬し、伝搬した電磁波を前記複数の短絡部材全体を反射部材として用いて反射させ、前記第1の導体板の他端側において前記空間から出力することにより前記空間に入り込んだ電磁波に所望の位相遅延を与えることを特徴とするアンテナ装置。
  12. 前記板状導体素子は、前記空間から出力された前記電磁波と、前記アンテナから放射され前記有限地板で直接反射した電磁波と、前記アンテナから放射され前記1の導体板の表面で直接反射した電磁波との合成波が、前記アンテナから前記有限地板と反対側の自由空間に放射された電磁波に対し略120度の位相差をもつように前記空間に入り込んだ電磁波に前記所望の位相遅延を与えることを特徴とする請求項11に記載のアンテナ装置。
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