JP2007020007A - アンテナ装置 - Google Patents

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Masaki Shibata
正樹 柴田
Naoki Otaka
直樹 大鷹
Shigeya Aoyama
惠哉 青山
Noriyasu Sugimoto
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Abstract

【課題】複数の異なる周波数に対応し、かつ広帯域をカバーできるマルチバンドのアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置が、基本波に対応する第1の周波数および前記基本波の高調波に対応する第2の周波数で共振する第1の放射器と、前記第1の放射器と接続され、前記第2の周波数と近接する第3の周波数で共振する第2の放射器と、前記第1、第2の放射器と接続され、前記第2、第3の周波数と近接する第4の周波数で共振する第3の放射器と、を具備する。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数の異なる周波数に対応することのできるマルチバンドのアンテナ装置に関する。
無線通信機器や携帯端末の多機能化のため、一つの携帯端末に複数の周波数帯に対応するマルチバンドのアンテナを実装することが求められている。また、かかる携帯端末の小型軽量化のニーズも年々高まっている。小型のマルチバンドのアンテナ装置として、周波数帯域の数に応じた数のアンテナエレメントを備える技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特表2001−522152号公報 特開平11−317612号公報
しかしながら、上記の従来のアンテナエレメントは、1/4波長モノポールアンテナであることから、小型化すると、共振の鋭さを示すQ値が高くなり、それゆえ帯域幅が狭くなってしまうという問題があった。アンテナ装置は、使用周波数帯域よりも広い帯域幅を確保しておく必要がある。
上記に鑑み、本発明は、複数の異なる周波数に対応し、かつ広帯域をカバーできるマルチバンドのアンテナ装置を提供することを目的とする。
本発明に係るアンテナ装置は、基本波に対応する第1の周波数および前記基本波の高調波に対応する第2の周波数で共振する第1の放射器と、前記第1の放射器と接続され、前記第2の周波数と近接する第3の周波数で共振する第2の放射器と、前記第1、第2の放射器と接続され、前記第2、第3の周波数と近接する第4の周波数で共振する第3の放射器と、を具備することを特徴とする。
第1の放射器での第1の共振周波数により第1の周波数帯域に対応し、第1、第2、および第3の放射器それぞれでの第2、第3、および第4の共振周波数により第2の周波数帯域に対応することができる。第2、第3、および第4の共振周波数が近接しているため、これら第2、第3、第4の共振周波数のピークが重なり合い、幅広い第2の周波数帯域を確保することが可能となる。
本発明によれば、複数の異なる周波数に対応し、かつ広帯域をカバーできるマルチバンドのアンテナ装置を提供できる。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置100の全体構成の上面を示す斜視図である。図2は、アンテナ装置100の全体構成の下面を示す斜視図である。
図1に示すように、アンテナ装置100は、回路基板110の上面に実装された給電線111(111a,111b)、回路素子112、放射基板120、上層基板130を有する。
図2に示すように、回路基板110の下面には、放射基板120と対応する領域である基板露出領域113を除いて、接地導体114が全面に形成されている。
回路基板110は、いわゆるプリント基板(PCB)として用いられる回路基板であり、例えば、ガラスエポキシ基板などである。回路基板110は、実装される回路の規模や、端末装置等の筐体の大きさなどに応じた大きさに形成される。
放射基板120は、回路基板110よりも比誘電率が高い高誘電体材料からなり、例えばセラミックス基板などである。放射基板120は、矩形板状の形状を有しており、回路基板110の上面の一つの角部に寄せて配置されている。放射基板120の配置位置は、回路基板110上に構成される送信回路や受信回路などの大きさ(規模)を勘案して決定される。ただし、アンテナ装置100を実装する無線装置の筐体とアンテナ装置100から放射される電波の放射との関係を勘案して最も効率的に電波を放射し得る位置に配置することが望ましい。放射基板120の上面には、後述する第1、第2、第3のアンテナエレメント121〜123が互いにパラレル(並列)に電気的に接続されている。
上層基板130は、誘電体材料からなり、例えば、セラミックス基板などである。上層基板130は、放射基板120と同一の大きさ及び形状に形成され、アンテナエレメントのカバーとして作用し、アンテナエレメントを保護できる。
給電線111は、回路素子112と一方の端部が接続され、アンテナ装置100に高周波信号を給電する。給電線111は、銅や銀などからなる帯状厚膜導体であり、一端が放射基板120に設けられたアンテナエレメント端と接続され、他端が送信回路や受信回路などの高周波回路をなす回路素子112と接続されている。図1では、説明を容易にするため送信回路や受信回路などとの結合部分については簡略して図示している。
給電線111は、基板露出領域113と接地導体114との境界(後述する接地導体境界部G)によって、給電線111a、111bに区分することができる。給電線111aは、回路基板110の下面に形成された接地導体114と協働してマイクロストリップラインとして機能する線路である。給電線111の線路幅は、アンテナ装置100で使用する周波数帯域や特性インピーダンスなどにより決定される。一方、給電線111bは、基板露出領域113に対応し、実質的にアンテナエレメントの一部、即ち、電波を放射する放射器の一部として機能する。
回路素子112は、給電線111に接続され、アンテナ装置100により送受信される信号を処理する高周波回路である。つまり、回路素子112は、トランジスタや集積回路素子、チップ抵抗素子などから構成され、アンテナ装置100が送受信する高周波信号の送信回路や受信回路などとして機能する。
接地導体114は、銅や銀などからなる面状導体であり、グラウンド電極として作用する。回路基板110の下面に、放射基板120と対応する領域を除く略全面に接地導体114が形成され、放射基板120と対応する領域に基板露出領域113が形成されている。放射基板120と対応する領域に基板露出領域113を形成するのは、放射基板120からの電波放射を妨げないためである。したがって、接地導体114は、実装される回路構成に応じて、放射基板120と対応する領域以外の領域にも基板露出領域113を有していてもよい。
なお、接地導体114は、放射基板120と対応する領域を除く位置に配置すればよいから、放射基板120が配設された回路基板の上面に形成されていてもよい。この場合、給電線111aは、コプレナーラインとして機能することになる。
図3は、アンテナ装置100のアンテナエレメント周辺の分解斜視図である。第1〜第3のアンテナエレメント121〜123は、電波を放射する第1〜第3の放射器として機能するものであり、銅や銀などからなる帯状厚膜導体からなる。
第1〜第3のアンテナエレメント121〜123は、給電線111の接続点である接続導体124a、124bと一端が接続された放射器である。第1〜第3のアンテナエレメント121〜123はそれぞれ、1/4波長単一型アンテナ(モノポール型アンテナ)の放射器として機能する。
図3に示すように、第1、第2のアンテナエレメント121、122は、メアンダ状(ジグザグ状・繰り返し折り返された形状)に、接続導体124a、124bから放射基板120の長手方向に(X軸方向)互いに離間するように(略逆向きに)放射基板120上に配置されている。第3のアンテナエレメント123は、板状に、接続導体124aから放射基板120の長手方向に沿って第1のアンテナエレメントと略同一の方向(X軸正方向)に、放射基板120上に配置されている。第1のアンテナエレメントは、第3のアンテナエレメントが形成されている領域では、折り返しの長さが短くなっている(W1<W2)。
この実施形態では、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123が、回路基板110よりも比誘電率の高い放射基板120上に形成されている。そのため、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123が、回路基板110上に形成されている場合に比べて、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123を短縮できる。
この実施形態では、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123が、回路基板110よりも比誘電率の高い放射基板120及び上層基板130に挟まれている。そのため、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123が、放射基板120上に形成されて上層基板130によってカバーされていない場合に比べて、さらに第1〜第3のアンテナエレメント121〜123を短縮できる。
放射基板120の端部には、図示しない固定用導体が形成されており、放射基板120は、当該端部の固定用導体と支持導体115a〜115dとの間ではんだ接合することで回路基板210に固設される。その際、放射基板120及び上層基板130の凹部125a〜125d、131a〜131dにも、はんだ付けすることによって、固着を強固にすることができる。
回路基板110の下面の接地導体114と基板露出領域113との境界が回路基板110を挟んで対向する回路基板110の上面の直線と、給電線111との交わる線分を接地導体境界部Gとする。既述のように、この接地導体境界部Gによって給電線111が給電線111a、111bに区分される。
第1のアンテナエレメント121では、給電線111b、接続導体124a、124b、第1のアンテナエレメント121の全体が、実質的に電波を放射する放射器として機能する。その結果、給電線111bの端部(給電線111a、111bの境界)から第1のアンテナエレメント121の開放端に至るまでの実効長の略4倍の波長に対応する第1の周波数f1で共振する(1/4波長の共振)。また、第1のアンテナエレメント121は、第1の周波数f1を基本波とする高調波に対応する第2の周波数f2でも共振する。
なお、アンテナ装置100では、第1のアンテナエレメント121がメアンダ状に形成されているが、これには限定されない。例えば、緩やかに蛇行させた形状としてもよい。
第2のアンテナエレメント122では、給電線111b、接続導体124a、124b、第2のアンテナエレメント122の全体が、実質的に電波を放射する放射器として機能する。その結果、給電線111bの端部(給電線111a、111bの境界)から第2のアンテナエレメント122の開放端に至るまでの実効長の略4倍の波長に対応する第3の周波数f3で共振する(1/4波長の共振)。
なお、アンテナ装置100では、第2のアンテナエレメント122がメアンダ状に形成されているが、これには限定されない。例えば、緩やかに蛇行させた形状としてもよい。
第3のアンテナエレメント123では、給電線111b、接続導体124a、124b、第3のアンテナエレメント123の全体が、実質的に電波を放射する放射器として機能する。その結果、給電線111bの端部(給電線111a、111bの境界)から第3のアンテナエレメント123の開放端に至るまでの実効長の略4倍の波長に対応する第4の周波数f4で共振する(1/4波長の共振)
なお、アンテナ装置100では、第3のアンテナエレメント123が板状に形成されているが、これには限定されない。例えば、メアンダ状や緩やかに蛇行させた形状としてもよい。
接続導体124は、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123の接続点となる導体領域である。接続導体124は、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123が接続される接続導体124aと、給電線111bが接続される接続導体124bとからなる。
アンテナ装置100では、第1、第2のアンテナエレメント121、122をメアンダ状に形成したので、これらが形成される放射基板120の大きさを小さくすることができる。
(等価回路)
次に、図4を参照して、アンテナ装置100の構成と等価回路との関係について説明する。図4は、アンテナ装置100の原理的等価回路を示す図である。
図4に示すように、アンテナ装置100は、放射器としての第1〜第3のアンテナエレメント121〜123を有し、接続導体124にてそれぞれの一端が互いに接続されている。接続導体124は、給電線111を介して回路素子112からなる送受信回路TRXと接続される。送受信回路TRXは、接地導体114とも接続される。
アンテナ装置100は、3つのアンテナエレメント121〜123がパラレルに接続された単一型アンテナとして動作する。すなわち、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123の少なくともいずれかに対応する周波数の高周波信号が送受信回路TRXから給電線111を介して供給されると、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123の少なくともいずれかで共振し、電波が放射される。一方、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123の少なくともいずれかに対応する周波数の電波がアンテナ装置100に到達すると、当該周波数に対応する第1〜第3のアンテナエレメント121〜123の少なくともいずれかで高周波信号が励起され、給電線111を介して送受信回路TRXに当該高周波信号が送られる。なお、この詳細は後述する。
(実施例)
アンテナ装置100の実施例について説明する。
アンテナ装置100において、例えば、回路基板110として厚さ1mm・比誘電率4.8のガラスエポキシ基板を100mm×50mmに切り出した。続いて、回路基板110の上面に給電線111をエッチングにより形成した。給電線111は、例えば、幅1.8mm、長さ95mmとした。
次に放射基板120として、比誘電率7.5で、大きさ11.8mm×2.5mm×0.7mmのセラミックスシートを用意した。第1のアンテナエレメント121は、例えば、線幅0.125mm、線間隔0.125mmの銀厚膜をメアンダ状に13.5サイクル折り返して形成した。第2のアンテナエレメント122は、例えば、線幅0.175mm、線間隔0.254mmの銀厚膜をメアンダ状に1.5サイクル折り返して形成した。第3のアンテナエレメント123は、例えば、長さ2.9mm、幅0.35mmの銀厚膜を板状にして形成した。そして、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123の接続点に銀厚膜からなる接続導体124を形成した。上層基板130として、比誘電率7.5で、大きさ11.8mm×2.5mm×0.7mmのセラミックスシートを用意した。第1〜第3のアンテナエレメント121〜123を挟むように上層基板130を放射基板120上に配置し熱圧着した。
給電線111bの長さ5mm、接続導体124bのZ軸方向の長さ0.7mm、接続導体124aのY軸方向の長さを2.35mmとした。
続いて、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123と接続導体124とが形成された放射基板120及び上層基板130を回路基板110に配置し、はんだにより接続して固定した。
以上のようにして作成したアンテナ装置100について、給電線111および接地導体114に高周波回路を接続してアンテナ装置100の反射損失(反射特性)を測定した。
図5は、このようにして得られたアンテナ装置100の反射損失特性を表すグラフである。
また、図6〜図8は、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123の一部のみとした場合のアンテナ装置100の反射損失特性を表すグラフである。図6は、第1のアンテナエレメント121のみでのアンテナ装置100の反射損失特性を表すグラフである。図7は、第2のアンテナエレメント122のみでのアンテナ装置100の反射損失特性を表すグラフである。図8では、グラフG1(実線)が、第3のアンテナエレメント123を除外し、第1、第2のアンテナエレメント121、122のみの場合の反射損失特性を表す。また、図8のグラフG2(破線)が、第1、第2のアンテナエレメント121、122を除外し、第3のアンテナエレメント123のみの場合の反射損失特性を表す。
図6に示すように、第1のアンテナエレメント121のみの場合に、2.3GHz,4.9GHz,および6.2GHzに反射特性の極小点p21〜p23が得られた。この極小点p21〜p23はそれぞれ、第1のアンテナエレメント121の基本波(共振周波数)、3次高調波(3倍波)、5次高調波(5倍波)に対応すると考えられる。
ここで、極小点p22,p23は、第1のアンテナエレメント121がメアンダ状であることにより周波数が低周波側にシフトしている。第1のアンテナエレメント121が直線状(メアンダ状でない)の場合、共振周波数およびその奇数倍の周波数で共振し、共振点(極小点)の間隔はほぼ均一となる。これに対して、第1のアンテナエレメント121がメアンダ状の場合、その共振点の間隔は高周波側になるほど狭くなり、その結果、共振点(極小点)は低周波側にシフトする。このように極小点p22,p23が低周波側にシフトした場合でも、極小点p21〜p23それぞれが基本波、3次高調波、5次高調波に対応することに変わりはない。
図7に示すように、第2のアンテナエレメント122のみの場合に、5.2GHzに反射特性の極小点p31が得られた。この極小点p31は、第2のアンテナエレメント122の基本波(共振周波数)に対応する。この極小点p31は、極小点p22の近傍に配置される。
図8のグラフG1に表されるように、第1、第2のアンテナエレメント121,122のみの場合には、2.3GHz、4.9GHzおよび5.7GHzに反射特性の極小点p41〜p43が得られた。極小点p41は第1のアンテナエレメント121の極小点p21に対応している。極小点p42は、第1のアンテナエレメント121の極小点p22、および第2のアンテナエレメント122の極小点p31が重なり合ったものに対応する。また、極小点p43は第1のアンテナエレメント121の極小点p23に対応している。但し、第2のアンテナエレメント122の特性の影響を受けて、極小点p43は、極小点p23より低周波側にシフトしている。極小点p42、p43の間(周波数f=5.3GHz付近)に、VSWRが2よりも大きく、反射特性が良好でない領域が存在する。
グラフG2に表されるように、第3のアンテナエレメント123のみの場合には、5.3GHz付近に極小点p44が得られる。この極小点p44は、第3のアンテナエレメント123の基本波(共振周波数)に対応する。
図5に示すように、第1〜第3のアンテナエレメント121〜123を有するアンテナ装置100では、2.43GHzおよび5.2GHzに反射特性の極小点p11、p12が得られた。第3のアンテナエレメント123を追加することで、第2の周波数帯域A2(周波数f=4.9〜5.85GHz)で、VSWRが2よりも小さく、反射特性が良好となる。第2の周波数帯域の反射特性の悪い周波数が第3のアンテナエレメント123によって補完され、反射損失の小さい周波数範囲が拡大されている。
以上を纏めると、以下のようになる。
(1)第1〜第3のアンテナエレメント121〜123によって、第1、第2の周波数帯域A1、A2(例えば、A1=2.4〜2.5GHz、A2=4.9〜5.9GHz)で低反射損失の領域が形成され、この2つの周波数帯域で電波の送受信を効率的に行える。この2つの周波数帯域A1、A2の内少なくとも1方(実施例では、高周波側の第2の周波数帯域A2)は、1GHz程度の広い幅を有している。
(2)比較的広い第2の周波数帯域A2での低反射損失が確保されているのは、この周波数帯域A2に、3つのピークがある程度近接して存在することによる。
即ち、第1のアンテナエレメント121による共振周波数f2のピーク(図6の極小点p22)、第2のアンテナエレメント122による共振周波数f3のピーク(図7の極小点p31)、第3のアンテナエレメント123に基づく共振周波数f4のピーク(図8の極小点p44)が近接して配置される。この結果、共振周波数f2〜f4のピークが重なり合い広い幅の第2の周波数帯域A2を確保できる。
なお、本実施形態では共振周波数f2,f3,f4の順に大きくなっているが必ずしもこの順序は問題とはならない、3つの共振周波数f2,f3,f4がある程度近接していれば、その順序が異なっていても幅広い周波数帯域を確保することが可能である。
以上のように、アンテナエレメント121,122,123それぞれの共振周波数f2,f3、f4のピークがある程度近接していることが好ましい。例えば、共振周波数f2、f4(最大、最小の周波数)の少なくともいずれかと共振周波数f3(中間の周波数)との差の絶対値と共振周波数f3との比m1,m2(m1=|f2−f3|/f3,m2=|f4−f3|/f3)が0.10(10%)以下であることが好ましい。図6〜図8(極小点p22,p31,p44)の例では、m1=0.058、m2=0.019であり、この範囲内となっている。比m1,m2の少なくともいずれかが0.05(5%)以下であることがより好ましい。なお、後述のように、比m1,m2の少なくともいずれかが0.3(30%)程度となることが許容される。
図9〜図12を参照して、アンテナ装置100の第3のアンテナエレメント123の長さが、本実施形態にかかるアンテナ装置100の反射特性に及ぼす影響について説明する。図9〜図12はそれぞれ、第3のアンテナエレメント123の長さが1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.5mmの場合のアンテナ装置100の反射損失(反射特性)を示す図である。
図9に示すように、第3のアンテナエレメント123の長さが1mmの場合には、2.43GHz、5.1GHzおよび5.9GHzに反射特性の極小点p51〜p53が得られた。第2の周波数帯域A2(周波数f=4.9〜5.85GHz)では、周波数f=5.3GHz付近において、VSWRが2よりも大きく、反射特性が良好でない周波数が存在する。
図10に示すように、第3のアンテナエレメント123の長さが1.5mmの場合には、2.43GHz、5.13GHzおよび5.87GHzに反射特性の極小点p61、p62、及びp63が得られた。第1、第2の周波数帯域A1,A2(周波数2.4〜2.5GHz、4.9〜5.85GHz)のいずれにおいても、VSWRが2よりも小さく、反射特性が良好である。
図11に示すように、第3のアンテナエレメント123の長さが2mmの場合には、2.5GHzおよび5.6GHzに反射特性の極小点p71、p72が得られた。第1の周波数帯域(周波数f=2.4〜2.5GHz)及び第2の周波数帯域(周波数f=4.9〜5.85GHz)のいずれにおいても、VSWRが2よりも小さく、反射特性が良好である。
図12に示すように、第3のアンテナエレメント123の長さが3.5mmの場合には、2.35GHz、4.32GHz、および5.10GHzに反射特性の極小点p81〜p83が得られた。第2の周波数帯域(周波数f=4.9〜5.85GHz)の周波数f=5.85GHz付近において、第3のアンテナエレメント123の長さが3.5mmより長くなると、VSWRが2よりも大きく、反射特性が良好でなくなる可能性がある。
したがって、第3のアンテナエレメントの長さnが1.5mm以上3.5mm以下の場合には、第1の周波数帯域(周波数f=2.4〜2.5GHz)のみならず、第2の周波数帯域(周波数f=4.9〜5.85GHz)の反射特性も改善されて良好である。
このとき、第3のアンテナエレメント123の共振周波数f4は、4.4〜6.6GHzである。即ち、共振周波数f2〜f4の順序が変化している(第1、第2のアンテナエレメント121,122それぞれの共振周波数、f2=4.9GHz,f3=5.2GHz)。
また、周波数の比m1,m2はそれぞれ、m1=0.058〜0.102,m2=0.061〜0.269となる。即ち、比m1,m2の少なくともいずれかが0.3(30%)程度まで大きくなっても、幅広い周波数帯域を確保することが可能である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置200について詳細に説明する。図13は、アンテナ装置200のアンテナエレメント周辺を拡大して示す分解斜視図である。図14は、アンテナ装置200の反射損失を示す図である。アンテナ装置200は、第3のアンテナエレメント221(221a及び221b)を、一端が給電線211に接続されたL字型の形状に回路基板110に形成したものである。以下、アンテナ装置200の構成について、第1の実施形態における説明と重複する構成については説明を省略する。
図13を参照して、アンテナ装置200のアンテナエレメントの構成について詳細に説明する。図13では、説明のため回路基板210と放射基板220と上層基板230を分離した状態で示している。
図13に示すように、アンテナ装置200では、一端が送信回路や受信回路(図示せず)と接続された給電線211(211a,211b)と、給電線211bの一端と接続され放射基板220の形状と対応する形状のL字型の第3のアンテナエレメント223(223a及び223b)とが、回路基板210の上面に形成されている。第1のアンテナエレメント221及び第2のアンテナエレメント222が、メアンダ状(ジグザグ状・繰り返し折り返された形状)に、接続導体224a、224bから放射基板220の長手方向に(X軸方向)互いに離間するように(略逆向きに)放射基板220上に配置されている。そして、放射基板220及び上層基板230は、回路基板210の所定位置に固設される。
第3のアンテナエレメント223は、給電線211bが一端に接続された第3のアンテナエレメント223a(以下「エレメント223a」のように称する。)と、一端がエレメント223aの他端と接続され放射基板220の短辺の位置と沿わせて配置されたエレメント223bとから構成される。すなわち、第3のアンテナエレメント223は、エレメント223aとエレメント223bが互いに連結されて、放射基板220の周縁部の形状と対応するように配置されている。
エレメント223aと対応する放射基板220の端部と対向する端部には、放射基板220を回路基板210に固定するための支持導体215bが形成されている。導体223bと対応する放射基板220の端部と対向する端部には、放射基板220を回路基板210に固定するための支持導体215dが形成されている。放射基板220の端部には、図示しない固定用導体が形成されており、放射基板220は、当該端部の固定用導体と導体223b、223aの一部、支持導体215b、215dとの間ではんだ接合することで回路基板210に固設される。
このように、アンテナ装置200においては、第3のアンテナエレメント223は、放射基板220の回路基板210への固定手段(接続領域)と、第2の周波数に対応するアンテナエレメントとの二つの作用をすることになる。
第1のアンテナエレメント221は、メアンダ状に形成されている。第1のアンテナエレメント221は、一端が、接続導体224(224aおよび224b)を介して給電線211bと接続され、他端が、放射基板211の長辺方向に延びるように形成されている。なお、アンテナ装置200においても、第1のアンテナエレメント221はメアンダ状には限定されない。
第2のアンテナエレメント222は、第1のアンテナエレメント221と同様に、メアンダ状に形成されている。第2のアンテナエレメント222は、一端が接続導体224(224aおよび224b)を介して給電線211bと接続され、他端が第1のアンテナエレメント221の形成方向と逆方向に延びるように形成されている。なお、アンテナ装置200においても、第2のアンテナエレメント222はメアンダ状には限定されない。
接続導体224は、第1及び第2のアンテナエレメント221、222の接続点となる導体領域である。接続導体224は、第1及び第2のアンテナエレメント221、222が接続される接続導体224aと、給電線211bが接続される接続導体224bとからなる。
(実施例)
アンテナ装置200の実施例について説明する。アンテナ装置200において、例えば、回路基板210として厚さ1mm・比誘電率4.8のガラスエポキシ基板を100mm×50mmに切り出した。続いて、回路基板210の上面に給電線211bと第3のアンテナエレメント223をエッチングにより形成した。給電線211は、例えば、幅1.8mm、長さ=95mmとした。第3のアンテナエレメント223は、エレメント223aを長さ1.4mm、幅0.2mmの帯状導体とし、エレメント223bを長さ2.5mm、幅0.85mmとした。さらに、回路基板210の下面に、放射基板220の形成領域を除き接地導体層(図示せず)を形成した。
次に放射基板220として、比誘電率7.5で、大きさ11.8mm×2.5mm×0.7mmのセラミックスシートを用意した。第1のアンテナエレメント221は、線幅0.125mm、線間隔0.125mmの銀厚膜をメアンダ状に折り返し幅2.0mmで13サイクル折り返して形成した。第2のアンテナエレメント222は、線幅0.175mm、線間隔0.254mmの銀厚膜を稲妻状に1.5サイクル折り返して形成した。そして、第1および第2のアンテナエレメント221および222の接続点に銀厚膜からなる接続導体224を形成した。上層基板230として、比誘電率7.5で、大きさ11.8mm×2.5mm×0.7mmのセラミックスシートを用意した。第1及び第2のアンテナエレメント221、222を挟むように上層基板230を放射基板220上に配置し熱圧着した。
接地導体境界部Gから接続導体224bに接するまでの給電線211の長さm=5mm、接続導体224bのZ軸方向の長さ0.7mm、接続導体224aのY軸方向の長さを2.35mmとした。
続いて、第1、第2のアンテナエレメント221、222と接続導体224とを形成した放射基板220及び上層基板230を回路基板210に配置し、はんだにより接続して固定した。
以上のようにして作成したアンテナ装置200について、給電線211および接地導体(図示せず)に高周波回路を接続してアンテナ装置200の反射損失を測定した。図11に示すのは、このようにして得られた反射損失である。
図14は、アンテナ装置200の反射損失(反射特性)を示す図である。図14に示すように、アンテナ装置200では、2.6GHz、5.2GHzに反射損失の極小点p101、p102が得られた。
第1〜第3のアンテナエレメント221〜223を有するアンテナ装置200では、第1の周波数帯域A1(周波数f=2.4〜2.5GHz)及び第2の周波数帯域A2(周波数f=4.9〜5.85GHz)のいずれにおいても、VSWRが2よりも小さく、反射特性が良好である。
(第3の実施形態)
次に、図15、図16を参照して、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置300について詳細に説明する。図15は、アンテナ装置300のアンテナエレメント周辺を拡大して示す分解斜視図である。図15では、説明のため回路基板310と放射基板320と上層基板330とを分離した状態で示している。アンテナ装置300は、第3のアンテナエレメント323の形状及び形成する位置を第2の実施形態から変更したものである。以下、第1、第2の実施形態における説明と重複する構成については説明を省略する。
図15に示すように、アンテナ装置300では、一端が送信回路や受信回路(図示せず)と接続された給電線311(311a,311b)と、第3のアンテナエレメント321とが回路基板310の上面に形成されている。第3のアンテナエレメント321は、給電線311bの他端と接続され、放射基板320の長辺に沿って形成された板状のものである。
なお、この実施形態における放射基板320は、第2の実施形態における放射基板220と対応し、第1および第2のアンテナエレメント321および322、接続導体324(324aおよび324b)を備えている。アンテナ装置300は、第3のアンテナエレメント323が板状であり、X軸正方向に形成されている点において、第2の実施形態に係るアンテナ装置200と相違する。
(実施例)
アンテナ装置300の実施例について説明する。アンテナ装置300において、例えば、回路基板310として厚さ1mm・比誘電率4.8のガラスエポキシ基板を100mm×50mmに切り出した。続いて、回路基板310の上面に給電線311及び第3のアンテナエレメント323をエッチングにより形成した。給電線311は、例えば、幅1.8mm、長さ95mmとした。第3のアンテナエレメント323は、長さ3.5mm、幅0.2mmの板状の帯状導体とした。さらに、回路基板310の下面に、放射基板320の形成領域を除き接地導体層(図示せず)を形成した。
次に放射基板320として、比誘電率7.5で、大きさ11.8mm×2.5mm×0.7mmのセラミックスシートを用意した。第1のアンテナエレメント321は、線幅0.125mm、線間隔0.125mmの銀厚膜をメアンダ状に折り返し幅2.0mmで13サイクル折り返して形成した。第2のアンテナエレメント322は、線幅0.175mm、線間隔0.254mmの銀厚膜をメアンダ状に1.5サイクル折り返して形成した。そして、第1および第2のアンテナエレメント321および322の接続点に銀厚膜からなる接続導体324を形成した。上層基板330として、比誘電率7.5で、大きさ11.8mm×2.5mm×0.7mmのセラミックスシートを用意した。第1及び第2のアンテナエレメント321、322を挟むように上層基板330を放射基板320上に配置し熱圧着した。
接地導体境界部Gから接続導体324bに接するまでの給電線311の長さ5mm、接続導体324bのZ軸方向の長さ0.7mm、接続導体324aのY軸方向の長さを2.35mmとした。
続いて、第1および第2のアンテナエレメント321および322と接続導体324とを形成した放射基板320及び上層基板330を回路基板310に配置し、はんだにより接続して固定した。
以上のようにして作成したアンテナ装置300について、給電線311および接地導体(図示せず)に高周波回路を接続してアンテナ装置300の反射損失(反射特性)を測定した。図16に示すのは、このようにして得られた反射損失である。
図16は、アンテナ装置300の反射損失(反射特性)を示す図である。図16に示すように、アンテナ装置300では、2.6GHz、5.3GHzに反射損失の極小点p111,p112が得られた。
第1〜第3のアンテナエレメント321〜323を有するアンテナ装置300では、第1の周波数帯域(周波数f=2.4〜2.5GHz)及び第2の周波数帯域(周波数f=4.9〜5.85GHz)のいずれにおいても、VSWRが2よりも小さく、反射特性が良好である。
(その他の実施形態)
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、放射基板に三つのアンテナエレメントを形成した例、及び回路基板に一つのアンテナエレメント、放射基板に二つのアンテナエレメントを形成した例について説明したが、これには限定されない。すなわち、回路基板に2つのアンテナエレメントを形成し、放射基板に1つのアンテナエレメントを形成してもよいし、回路基板に3つのアンテナエレメントを形成してもよい。
また、上記実施形態においては、放射器が平面的に配置されているものとして説明したが、これにも限定されない。すなわち、給電線から給電される給電点を共用し、複数の周波数に対応するアンテナエレメントをパラレルに接続し得る態様のアンテナであれば、どのようなアンテナであっても適用することができる。例えば、平面型の放射器に代えて、立体的な放射器(例えば、ヘリカル形状の放射器)などにも適用できる。
本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の全体構成の上面を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の全体構成の下面を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置のアンテナエレメント周辺を拡大して示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の原理的等価回路を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の反射損失を示す図である。 第1のアンテナエレメントのみのアンテナ装置の反射損失を示す図である。 第2のアンテナエレメントのみのアンテナ装置の反射損失を示す図である。 第1のアンテナエレメント及び第2のアンテナエレメントのみのアンテナ装置の反射損失と、第3のアンテナエレメントのみのアンテナ装置の反射損失を示す図である。 第3のアンテナエレメントの長さが1mmの場合における第1の実施形態に係るアンテナ装置の反射損失を示す図である。 第3のアンテナエレメントの長さが1.5mmの場合における第1の実施形態に係るアンテナ装置の反射損失を示す図である。 第3のアンテナエレメントの長さが2mmの場合における第1の実施形態に係るアンテナ装置の反射損失を示す図である。 第3のアンテナエレメントの長さが3.5mmの場合における第1の実施形態に係るアンテナ装置の反射損失を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置のアンテナエレメント周辺を拡大して示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置の反射損失を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置のアンテナエレメント周辺を拡大して示す分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置の反射損失を示す図である。
符号の説明
100…アンテナ装置
110…回路基板
120…放射基板
111(111a,111b)…給電線
113…基板露出領域
114…接地導体
121,122,123…第1〜第3のアンテナエレメント
124(124a,124b)…接続導体
115(115a〜115d)…支持導体
125,131…凹部
G…接地導体境界部。

Claims (12)

  1. 基本波に対応する第1の周波数および前記基本波の高調波に対応する第2の周波数で共振する第1の放射器と、
    前記第1の放射器と接続され、前記第2の周波数と近接する第3の周波数で共振する第2の放射器と、
    前記第1、第2の放射器と接続され、前記第2、第3の周波数と近接する第4の周波数で共振する第3の放射器と、
    を具備することを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記第2、第3、第4の周波数中の最大、最小の周波数の少なくともいずれかと中間の周波数との差の絶対値と、前記中間の周波数との比が、30%以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 前記第2の周波数が、前記基本波の3次高調波に対応する
    ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  4. 前記第2、第3、第4の周波数の少なくともいずれかが、4GHz以上、6GHz以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  5. 前記第1の周波数が、2GHz以上、3GHz以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  6. 第1の絶縁基板と、
    前記第1の絶縁基板上に配置され、かつ前記第1の絶縁基板と誘電率の異なる第2の絶縁基板と、
    前記第1の絶縁基板上に配置される給電線と、をさらに具備し、
    前記第1、第2、第3の放射器が、前記給電線に接続され、かつ前記第1、第2の絶縁基板のいずれかの上に配置されている
    ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  7. 前記第1、第2、第3の放射器が、前記第2の絶縁基板上に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
  8. 前記第1、第2の放射器が、前記第2の絶縁基板上に配置され、前記第3の放射器が、前記第1の絶縁基板上に配置されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
  9. 前記第3の放射器が、前記第1、第2の絶縁基板に夾まれている
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。
  10. 前記第3の放射器が、前記第1、第2の絶縁基板を互いに接続する接続領域を有する
    ことを特徴とする請求項9に記載のアンテナ装置。
  11. 前記第2の絶縁基板の比誘電率が、前記第1の絶縁基板の比誘電率よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  12. 前記第1、第2、第3の放射器の少なくともいずれかが、メアンダ状に形成された帯状導体層を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
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