JP2002319811A - 複共振アンテナ - Google Patents
複共振アンテナInfo
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Abstract
の大きさで決まるが、基体を大きくすると加工精度が悪
くなり、電気的体積の大きな複共振アンテナを作製する
のが困難であった。 【解決手段】 給電励振子11及び無給電励振子21を
夫々個別に構成する。この給電励振子11及び無給電励
振子21は、これらとは別に設けた電界結合手段13,
23で電界結合する。この構成により、複共振アンテナ
全体を1枚の誘電体の基体に構成する必要はなくなる。
例えば、給電励振子11及び無給電励振子21毎に夫々
誘電体の基体で構成し、通常の回路基板に電界結合手段
13,23を形成し、回路基板上で給電励振子11及び
無給電励振子21と電界結合手段13,23を接続する
と、十分な大きさの電気的体積を持った複共振アンテナ
が得られる。
Description
用する移動体通信機器などに用いる複共振アンテナに関
するものである。
では、交信チャンネルの混雑を解消するため、1台の携
帯電話機で2つの周波数を切替て使用するものがあり、
このような2つの周波数を使用するには、携帯電話機に
搭載されるアンテナが2つの周波数の電波を送受信する
機能を有することが要求される。このようなアンテナの
事例には、特開平9−260934号公報に記載されて
いる複共振アンテナが有る。このアンテナは、818M
Hzのディジタル信号周波数と873MHzのアナログ
信号周波数との同調を取ることにより、2つの周波数帯
域をカバーするものであり、図13に示すように、異な
る周波数で励振される2つの励振子を備えている。
複共振アンテナ1は、1枚の誘電体で作られた基体2の
上に、2つの放射電極3,4を間隔dを設けて平行に配
設して構成されている。放射電極3,4は、一端側を板
状の開放端3a,4aとすると共に他端側をミアンダ形
状に形成し、ミアンダ形状部3b,4bの末端に接地部
5,6を設け、この接地部5,6を接地している。ま
た、放射電極3には、ミアンダ形状部3bの端部に給電
部7を設け、この給電部7を信号源8に接続している。
を受ける放射電極3が給電励振子となり、信号を入力し
ない放射電極4が無給電励振子となる。放射電極4は、
間隔dを介して放射電極3と電磁結合(主に電界結合)
しており、給電励振子と無給電励振子を夫々異なる周波
数で励振するものである。
からなる1枚の基体2上に、2つの放射電極3,4を間
隔dを介して併設するので、高周波特性の良い且つ表面
積の大きな誘電材料が必要になると共に、アンテナの電
気的体積は誘電体で作られた基体2の大きさにより決定
される。従って、アンテナの特性を向上させるには基体
2自身を大きくする必要があるが、大きな誘電体を精度
良く加工するのが難しく、必要なアンテナの電気的体積
を確保するのは困難である。
材料を用いた場合には、焼成時の収縮のため寸法公差が
大きくなり、表面積の大きな基体を寸法精度良く作製す
るのが困難であることに加え、セラミックス材料は回路
基板に用いる樹脂材料に比べて高価であるため、基体の
価格が上昇し、アンテナを安価に製造することができな
く、また、セラミックス材料は回路基板に用いる樹脂材
料に比べて非常に重く、アンテナを軽量に構成すること
ができず、ひいては、アンテナを組込んだ使用機器の軽
量化に資することができない。
たものであり、その目的は、アンテナの電気的体積を確
保し且つ複共振特性の良好なアンテナを提供することに
ある。
に、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決す
る手段としている。即ち、第1の発明の複共振アンテナ
は、一端に給電端子を有する第1の放射電極の中間部に
電界結合端子を接続してなる給電励振子と、一端に接地
端子を有する第2の放射電極の中間部に電界結合端子を
接続してなる無給電励振子と、給電励振子及び無給電励
振子とは別に設けられて、給電励振子と無給電励振子の
電界結合端子を電界により結合する電界結合手段と、給
電励振子の給電端子に信号電流を流す給電回路と、無給
電励振子の接地端子を接地する接地回路とから構成する
ことを特徴とするものである。
回路を介して信号源から信号電力である共振エネルギー
の供給を受けて使用する電波の周波数で共振すると共
に、このエネルギーの一部は電界結合手段を介して無給
電励振子に供給され、無給電励振子を複共振させる。こ
こで、複共振とは、給電励振子のリターンロスと無給電
励振子のリターンロスが近接しつつも共存し合い、結果
として、非常に広範な周波数帯に於いてマッチングの取
れた状態をいう。
給電励振子とは別個に設けられており、両励振子間の結
合容量を決定する。この結合容量を適切に設定すること
により、給電励振子と無給電励振子の直接的な電界結合
なしに、良好な複共振アンテナ特性が得られる。
上述の発明に於いて、給電励振子及び無給電励振子は、
放射電極を形成する誘電体の基体を個別に備え、電界結
合手段は、回路基板に対向配置した一対の電界結合パタ
ーンで構成すると共に、給電励振子及び無給電励振子を
回路基板上に載置して、給電励振子の電界結合端子を一
方の電界結合パターンに接続し、無給電励振子の電界結
合端子を他方の電界結合パターンに接続して構成したこ
とを特徴とするものである。
励振子は、夫々誘電体の基体を用いて構成されるので、
放射電極を小さく形成でき、励振子自体が小型に構成さ
れる。この給電励振子及び無給電励振子は、樹脂材料を
主体とした回路基板に載せて固定され、給電励振子と無
給電励振子間の結合は、回路基板に形成した一対の電界
結合パターンで行われる。
て配設されており、電界結合パターン間の容量成分によ
り電界結合している。容量成分の大きさは、電界結合パ
ターン間の対向する部分の間隔、対向部分の長さ、対向
面積等により決まり、この容量成分の大きさを調整する
ことにより給電励振子と無給電励振子間の電界結合の大
きさが調整される。
明の構成に於いて、一対の電界結合パターンを近接配設
して容量成分を付与したことを特徴とするものである。
容量成分を最適な範囲に設定することにより、給電励振
子と無給電励振子間の電界結合の強さが最適に定まり、
給電励振子及び無給電励振子は調整された複共振の動作
をする。
明の構成に於いて、一対の電界結合パターン間にコンデ
ンサを接続したことを特徴とするものである。
容量はコンデンサの容量値として決まるので、給電励振
子と無給電励振子間の最適結合は、コンデンサの値を選
択することにより容易に得られる。
れかの発明に於いて、給電励振子と無給電励振子の間に
は、給電回路のインピーダンスを整合すると共に給電回
路と接地回路との間に流れる電流量を調整する整合兼用
電流結合手段を備えたことを特徴とするものである。
は、信号源と給電励振子間のインピーダンスを整合しエ
ネルギーの供給が効率良く行われるように構成すると共
に、給電回路と接地回路の間を電流的に結合するもので
あり、給電励振子と無給電励振子の間に流れる電流量を
調整する働きをする。また、給電回路と接地回路を流れ
る電流の電流量が大きいため、整合兼用電流結合手段
は、電流結合に加えて、磁界結合によっても無給電励振
子に流れる電流量を調整する構成とすることができる。
段は、インダクタンス成分を有するインダクタンス回路
として構成することができる。インダクタンス成分は、
インダクタンス値を適宜に設定することにより、給電回
路に対するインピーダンスとなるので、確実に複共振ア
ンテナのインピーダンスが整合される。また、インダク
タンス回路が一定の長さの回路配線を有する場合には、
この回路配線は磁界を発生するので、磁界結合により接
地回路に流れる電流量を調整することが可能となる。
一部を給電回路に近接させた構成を含めることができ
る。この構成の採用により、接地回路と給電回路が強く
磁界結合し、接地回路に流れる電流量が調整される。
を図面に基いて説明する。図1は、本発明に係る複共振
アンテナの基本構成を示す。給電励振子11及び無給電
励振子21は、夫々、ストリップ状の放射電極12,2
2で構成されている。この放射電極12,22は、導電
体を用いて長片12a,22aと短片12b,22bか
ら形成されており、放射電極12,22の全長(長片1
2a,22aと短片12b,22bの和の長さ)Lは、
使用する電波に於ける周波数の波長をλ、放射電極1
2,22を設けた部分の比誘電率をεとすると、ほぼ、
L=n・λ/4・√ε となっている。但し、nは自然
数である。
は、電界結合手段29が形成されている。この電界結合
手段29は、例えば、一定の間隔gを介して対向する一
対の導電体の電界結合パターン13,23から構成され
る。一方の電界結合パターン13は、放射電極12に設
けた給電励振子11の電界結合端子14と接続されてお
り、また、他方の電界結合パターン23は、放射電極2
2に設けた無給電励振子21の電界結合端子24と接続
されている。給電励振子11及び無給電励振子21は、
一対の電界結合パターン13,23を介して電界結合す
る。
は,放射電極12,22の長片12a,22aに於ける
開放端部15,25とグランドの間に、夫々コンデンサ
17,27が接続されている。このコンデンサ17,2
7は、通常、放射電極12,22とグランド間に形成さ
れる浮遊容量として与えられる。また、給電励振子11
の給電端子16は、放射電極12の短片12bの開放端
側に設けられ、給電回路18の信号源20に接続される
と共に、インダクタ19を介して接地されている。一
方、無給電励振子21の接地端子26は、放射電極22
の短片22bの開放端側に設けられ、接地回路28を介
して接地されている。
源20から送信信号電力の投入を受けると、放射電極1
2に高周波の共振電流が流れ、また、無給電励振子21
の放射電極22にも電界結合パターン13,23を介し
て信号電力が供給され、放射電極22に高周波の共振電
流が流れる。給電励振子11から放射される電波の周波
数f1は、無給電励振子21から放射される電波の周波
数f2と異なり、通常、周波数f1は周波数f2よりも
大きくなる。一対の電界結合パターン13,23は、給
電励振子11と無給電励振子21間を電界結合してお
り、この電界結合パターン13,23の構成を変えるこ
とにより電界結合量を変化させ、アンテナの複共振特性
を調整する。
子11及び無給電励振子21に於いて共振周波数f1、
f2を決める共振回路要素となっており、コンデンサ1
7,27の容量値を変えることにより共振周波数が変化
する。そして、インダクタ19は、信号源20に対しア
ンテナのインピーダンスを整合させる働きをし、同時
に、グランドを介して無給電励振子21の接地端子26
と結合して、給電励振子11の給電端子12bと無給電
励振子21の接地端子26間を流れる高周波電流量を調
整する機能を有している。
給電励振子11及び無給電励振子21の構成を変更する
ことなく、電界結合パターン13,23を適切に構成す
ることにより最適な複共振特性とすることができる。
を図2に示す。図2に於いて、共振インダクタンスL1
と放射抵抗R1は放射電極12を現しており、共振イン
ダクタンスL2と放射抵抗R2は放射電極22を現して
いる。また、装荷容量C1は、給電励振子11に接続さ
れたコンデンサ17を現し、装荷容量C2は、無給電励
振子21に接続されたコンデンサ27を現している。
R1及び装荷容量C1は、給電励振子11の共振回路を
形成しており、同様に、共振インダクタンスL2、放射
抵抗R2及び装荷容量C2は、無給電励振子21の共振
回路を形成している。2つの共振回路間の結合容量C1
2は、一対の電界結合パターン13,23を現し、給電
励振子11と無給電励振子21間の電界結合は、等価的
には容量結合である。また、結合インダクタンスL12
は、インダクタ19を現しており、2つの共振回路間を
流れる電流量を調整する。
共振回路の共振周波数f1,f2を維持しながら良好な
複共振を実現するためには、装荷容量C1,C2及び結
合容量C12の容量値を整合させる必要がある。結合容
量C12は、一対の電界結合パターン13,23の間隔
g、対向面積及び対向部分の長さを適切に設定すること
により、装荷容量C1,C2とバランスの取れた結合容
量C12とすることが可能である。例えば、樹脂材料を
主体とする回路基板に形成した電界結合パターン13,
23の場合には、間隔g、対向面積及び対向部分の長さ
の微調整は、トリミング装置で行うことができる。
励振子11及び無給電励振子21の構成できまり、給電
励振子11及び無給電励振子21に於ける放射電極1
2,22とグランド間の浮遊容量を集中定数として現し
ている。
を大きくすると、換言すれば、電界結合パターン13,
23間の静電容量を大きくすると、給電励振子11と無
給電励振子21間の電界結合が強くなり、共振周波数f
1と共振周波数f2が分離せず、給電励振子11と無給
電励振子21は、恰も1つの励振子の如く動作し、ま
た、そのリターンロスは浅くなる。これとは逆に、結合
容量C12が小さくなると、換言すれば、電界結合パタ
ーン13,23間の静電容量を小さくすると、給電励振
子11と無給電励振子21間の電界結合が弱くなり、給
電励振子11と無給電励振子21は、夫々独立した動作
を強め、複共振の周波数特性が得られなくなる。
と、相対的に結合容量C12が小さくなり、換言すれ
ば、電界結合パターン13,23に於ける電界結合が弱
くなり、上述の如く、共振周波数f1,f2による複共
振が得られなくなる。逆に、装荷容量C1,C2を小さ
くすると、相対的に結合容量C12が大きくなり、等価
回路の容量バランスが崩れたものとなる。換言すれば、
結合容量C12の増大は、電界結合パターン13,23
に於ける電界結合の増大となって、上述の如く、給電励
振子11及び無給電励振子21の共振周波数f1,f2
が接近して複共振とならなくなる。
体的な実施形態例を示す。図3に於いて、複共振アンテ
ナ30は、樹脂材料を主体として作られた回路基板31
に2つのアンテナチップ41,51を載置して構成され
る。回路基板31は、表面にアンテナ形成部31aとグ
ランド部31bが設けられており、裏面には図示しない
回路配線が形成されている。グランド部31bには、絶
縁基板の上に銅箔などを貼付して形成したグランド層が
設けられている。回路基板31のアンテナ形成部31a
には、略T字形の一対の電界結合パターン32,33が
T字形状部分を一定の間隔gを介して対向し、導電体に
よりパターン形成されている。
路となる給電パターン34及び接地回路となる接地パタ
ーン35がパターン形成されている。給電パターン34
は、グランド部31bのグランド層から電気絶縁されて
形成され、グランド部31bにはチップインダクタ40
を介して接続されている。この給電パターン34は、図
示しない信号配線に接続されている。また、接地パター
ン35は、グランド部31bのグランド層に接続されて
いる。
電パターン34及び接地パターン35は、グランド部3
1bのグランド層と同じ導電体であり、エッチング等の
周知の方法により一度にパターン形成される。
体43,53の表面に放射電極42,52を備えてい
る。放射電極42と放射電極52の対向する側の端部
(対向端部)には、帯状の電界結合端子44,54が設
けられている。この電界結合端子44,54は、夫々基
体43,53の側面を垂下し先端が基体43,53の裏
面側に回り込んで形成されている。そして、一方の電界
結合端子44は、電界結合パターン32のT字形状部分
と反対側の端部に接続され、他方の電界結合端子54
は、電界結合パターン33のT字形状部分と反対側の端
部に接続されている。
の給電端子46が設けられ、この給電端子46は、基体
43の表面を電界結合端子44に対して直角の方向に伸
張し且つ基体43の側面を降下して基体43の裏面側に
回り込んで形成されている。この給電端子46は、回路
基板31の表面に設けた給電パターン34の一端に接続
されている。放射電極52の対向端部には、帯状の接地
端子56が設けられており、この接地端子56は、基体
53の表面を電界結合端子54に対して直角の方向に伸
張して設けられ且つ基体53の側面を降下して基体53
の裏面側に回り込んで形成され、接地パターン35に接
続されている。
7,57は、電界結合端子44,54の反対側に於い
て、夫々基体43,53の側面の途中まで垂下して形成
されている。そして、この開放端部47,57を設けた
同じ側面には、これら開放端部47,57に対し一定の
間隔を介して固定端子48,58が形成されている。固
定端子48,58は、基体43,53の裏面まで伸張し
て設けられており、回路基板31に形成した固定パター
ン36,37に接続されている。
パターン34は、図示しない送信回路及び受信回路に接
続されており、放射電極42,52から送受信される高
周波電流の通路となる。例えば、送信信号電流は、給電
端子46から放射電極42に流入し、共振電流を励起す
ると共に、電界結合端子44から電界結合パターン3
2,33を通って電界結合端子54に供給され、放射電
極52の共振回路を励振する。このとき、接地端子56
にはグランドに向け高周波電流が流れる。
界結合パターン32,33で電界結合しており、電界結
合量を変えることにより、給電励振子41と無給電励振
子51との間の結合を調整し、良好な複共振マッチング
を得ることができる。電界結合パターン32,33の等
価容量は、電界結合パターン32,33間の間隔g及び
対向部分の長さで決まる。
7,57と固定端子48,58の間には、夫々開放端容
量が形成されており、放射電極42,52に於ける共振
回路の回路素子として働き、放射電極42,52に流れ
る共振電流の周波数を決める要素となる。
bとの間に接続されたチップインダクタ40は、給電配
線のインピーダンス、例えば、50Ωに対しアンテナの
インピーダンスを整合させるものであり、これにより、
アンテナと信号源20間のインピーダンスの整合が得ら
れ、損失なく信号の送受信ができる。また、チップイン
ダクタ40は、グランド部31bを介して接地パターン
35と電気的に結合しており、給電励振子41と無給電
励振子51間を流れる高周波電流の通路となっている。
ここに、チップインダクタ40は、給電励振子41と無
給電励振子51間の電流回路のインピーダンスとなり、
給電励振子41と無給電励振子51間の電流結合量を決
定している。
33間の構成を変えることにより、給電励振子41と無
給電励振子51間の電界結合量を決定し、アンテナの複
共振特性を調整することができる。また、チップインダ
クタ40のインダクタンス値を選ぶことにより、給電ラ
インに対するアンテナのインピーダンスを整合すると共
に給電励振子41と無給電励振子51間の電流結合量を
調整することができる。
41と無給電励振子51の放射電極42,52は、面対
称の形状に形成したので、例えば、放射電極42,52
をスクリーン印刷などで形成する際に、無給電励振子5
1の放射電極52には、給電励振子41の放射電極42
で利用したマスクの反転パターンを使用できるので、チ
ップアンテナ41,51の製造コストを引下げることが
できる。
1のアンテナ形成部31aには、電界結合パターン3
2,33、給電パターン34、接地パターン35及び固
定パターン36,37のみが設けられ、グランド層は存
在しないが、固定パターン36,37を伸ばしてグラン
ド部31bのグランド層に接続しても良い。これらはア
ンテナ複共振特性を考慮して決められる。
テナ41,51は、その長手方向を直線状に配列してい
るが、その配列は設計のとき自由に定めることができ
る。例えば、チップアンテナ41,51は、長手方向が
平行となるように配置したり、チップアンテナ41,5
1の長手方向が一方を他方に対して直角状に配列した
り、また、チップアンテナ41,51を相互に傾けて、
例えば、ハの字に配置しても良い。
由な配置は、電界結合パターン32,33を回路基板3
1に設け、この電界結合パターン32,33を利用して
2つのチップアンテナ41,51を電界結合する構成に
より初めて実現可能となるものであり、これにより、無
線機器の筐体に合わせたチップアンテナ41,51の配
置が可能となるので、複共振アンテナ設計の自由度が増
大する。
アンテナ41,51は、複共振状態に於いて、独自の共
振周波数f1、f2を持っているので、チップアンテナ
41,51は、寸法が相互に相違していても良く、ま
た、基体43,53の比誘電率も相互に相違させること
ができ、基体43,53の形状も放射電極42,52の
形成表面が長方形のみならず、正方形であっても良い。
チップアンテナ41,51は、放射電極42,52の形
状を面対称としたが、これは非対称であっても良く、例
えば、一方の放射電極を板状に形成し、他方の放射電極
をミアンダ形状に形成しても良い。また、2つのチップ
アンテナ41,51の放射電極42,52をミアンダ形
状に形成するときには、つづら折れ状の放射電極を、一
方は基体表面の長手方向に伸張し、他方は基体表面の短
手方向に伸張する構成とすることができ、また、一方を
つづら折れ状の放射電極とし、他方を渦巻き状の放射電
極とするなど、自由に設計することができる。従って、
2つのチップアンテナ41,51の放射電極42,52
を形成する際にも設計の自由度が大きくなる。
板を利用することにより、給電励振子及び無給電励振子
は小さく構成しても、複共振アンテナとしての領域を広
く取れるので、アンテナの電気的体積が増大し、周波数
帯域幅の広い高利得の複共振アンテナを安価に製造する
ことができる。
振子と無給電励振子を電気的に結合する他の構成を示す
もので、図3の実施形態例と同一構成部分には同一符号
を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
電界結合パターン61は、回路基板31に於けるアンテ
ナ形成部31aの表面に形成され、無給電励振子51を
接続する電界結合パターン62は、回路基板31の裏面
に形成されている。電界結合パターン61,62の先端
部分は、回路基板31を介して上下に重なっており、電
界結合パターン61,62間には、回路基板31の厚み
と対向面積に応じた結合容量が発生し、給電励振子41
と無給電励振子51間を容量結合する。
62の対向面積を変えることにより変更することができ
る。また、無給電励振子51の電界結合端子54は、回
路基板31の表面側に設けた中継パターン63に接続さ
れ、この中継パターン63は、スルーホール64を通し
て電界結合パターン62に接続される。
1を回路基板31の裏面側に配置した点で図4の実施形
態例と相違する。無給電励振子51の電界結合端子は、
図3と同様に、直接電界結合パターン62に接続されて
いる。回路基板31の裏面には固定パターン66が設け
られ、この固定パターン66に無給電励振子51の固定
端子58が接続されている。この構成により、回路基板
31に於けるアンテナ形成部31aの表裏面の空間が有
効に利用される。
29として、2つの電界結合パターン68,69を結合
容量が形成される間隔を介して配置する代りに、2つの
電界結合パターン68,69がコンデンサ70で結合さ
れている。コンデンサ70には、チップコンデンサが使
用される。この構成により、給電励振子41と無給電励
振子51間は、コンデンサ70で結合され、コンデンサ
70の容量値を変えることにより、給電励振子41と無
給電励振子51間の結合度を変えることができる。
源に対し複共振アンテナのインピーダンスを整合すると
共に給電励振子と無給電励振子との間の電流結合量を調
整する他の構成を示すもので、図3の実施形態例と同一
構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明
は省略する。
基体43の側面には、図3のチップインダクタ40を用
いたインダクタンス回路に代えて、一端を給電端子46
に接続した電極パターン71が形成されている。この電
極パターン71の他端は、回路基板31のアンテナ形成
部31aに形成した連結パターン72を介してグランド
部31bのグランド層に接続されている。電極パターン
71は、ミアンダ形状に形成されてインダクタンス成分
が付与される。
タ40と同様に、電極パターン71のインダクタンス値
により、信号源に対し複共振アンテナのインピーダンス
が整合される。また、連結パターン72は、グランド部
31bを介して接地パターン35と電気的に結合してお
り、給電励振子41と無給電励振子51間は、電極パタ
ーン71のインピーダンスを介して電流結合し、給電励
振子41と無給電励振子51間を流れる電流量が調整さ
れる。この場合、連結パターン72と接地パターン35
が近接して設けられたときには、磁界結合によっても接
地パターン35を流れる電流量を決めることができる。
は、給電励振子41に於ける基体43の表面に形成され
るから、給電励振子41を作製するとき、放射電極42
の形成と同じ製造方法で形成することができ、また、連
結パターン72は、給電パターン34及び接地パターン
35の形成と同時に回路基板31に形成することができ
る。
を有するパターンをアンテナチップ41の基体43に設
ける代りに回路基板31に設けた点で図7の実施形態例
と相違している。なお、発明の構成を明確に示すため、
チップアンテナ41,51を点線で示している。回路基
板31のアンテナ形成部31aの表面には、インダクタ
ンス回路として給電パターン34に連結したミアンダ形
状のインダクタンスパターン73が形成されている。
ンス値は、複共振アンテナからの送受信信号電力が最大
となる値に設定される。また、インダクタンスパターン
73は、接地パターン35の近くでグランド部31bの
グランド層に接続されており、インダクタンスパターン
73と接地パターン35は、電流結合と共に磁界結合を
する。
地パターン35を流れる電流量が大きいので、これらの
パターン35,73から発生する磁界強度が大きくな
る。この場合にも、インダクタンスパターン73は、上
述同様に、インピーダンスを整合すると共に、2つのチ
ップアンテナ41,51間の電流結合量を決める他、磁
界結合量によっても2つのチップアンテナ41,51間
を流れる電流量を調整する。
例に、チップアンテナ41,51間に磁界結合の手段を
付与したものである。なお、チップアンテナ41,51
を点線で示している。チップアンテナ51の接地端子5
6を接続する接地パターン74には、湾曲部74aが設
けられ、給電パターン34に接近してグランド部31b
のグランド層に接続されている。
れる電流量が多いことから、上述したチップインダクタ
40による整合機能に加えて、給電パターン34と接地
パターン74には磁界結合が生じ、チップアンテナ4
1,51間を流れる電流量を調整することができる。ま
た、湾曲部74aの形態を変えることにより、接地パタ
ーン74と給電パターン34間の結合度合いを変えるこ
とができる。
1,51間にインダクタを設けて直接電流結合した実施
形態例である。なお、チップアンテナ41,51を点線
で示している。回路基板31に形成した給電パターン3
4には、給電引出パターン75を連設し、接地パターン
35からは接地引出パターン76を引出して、この給電
引出パターン75と接地引出パターン76の間にインダ
クタ77が接続されている。また、チップアンテナ4
1,51間を電界結合する電界結合パターン78,79
は、略L字形に構成して対向している。
号源に対する複共振アンテナのインピーダンス整合と2
つのチップアンテナ41,51間を流れる電流量を、イ
ンダクタ77のインダクタンス値を選定することによ
り、直接的に調整することができ、複共振アンテナの設
計が容易になる。また、電界結合パターン78,79に
よる電界結合は、図3に示す実施形態例の略T字形の電
界結合パターン32,33に比べて弱くなるが、電界結
合パターン78,79の形状は、インダクタ77による
直接的な電流結合との整合を考慮して決められる。
4と接地パターン35は、インダクタ77を介して直接
的に電流結合する。インダクタ77は、そのインダクタ
ンス値により、複共振アンテナと信号源の間のインピー
ダンスを整合すると共に、給電パターン34と接地パタ
ーン35の間を流れる電流量を決定する。
に、図3に示した実施形態例の複共振アンテナを2つ併
設した2連式複共振アンテナの構成を示す。チップアン
テナ81,82は、複共振を生じる対のチップアンテナ
であり、チップアンテナ91,92も複共振を生じる対
となるチップアンテナである。チップアンテナ81,8
2は、電界結合パターン83,84を介して電界結合さ
れており、チップアンテナ91,92も電界結合パター
ン93,94を介して電界結合されている。
ターン85に接続されて、信号源から同時に信号電力が
投入される。共通給電パターン85とグランド部31b
のグランド層間にはインダクタ86が接続されており、
信号源に対して2つの複共振アンテナのインピーダンス
を整合している。また、2つのチップアンテナ82,9
2は、接地パターン87,88を介して夫々グランド部
31bのグランド層に接続されている。
82による複共振とチップアンテナ91,92による複
共振の周波数帯は離して設定される。例えば、チップア
ンテナ81,82が800〜900MHzの周波数帯で
複共振する場合には、チップアンテナ91,92は17
00〜2100MHz帯で複共振するように設定され
る。換言すれば、相互に干渉を生じない程度に離れた周
波数帯に於ける複数の複共振アンテナを共通の回路基板
を用いて設計することができる。
電励振子及び無給電励振子とは別に両励振子間を結合す
る電界結合手段を設けたので、両励振子間の電界結合を
最適化することにより、反射損失に於ける周波数特性の
優れた複共振アンテナを得ることができる。そして、電
界結合手段の構成を適宜に設定することにより、アンテ
ナ全体の寸法の拡大に柔軟に対応することができ、給電
励振子及び無給電励振子の構成を変えることなくアンテ
ナの電気的体積を増大することができる。
給電励振子から独立して形成されるため、アンテナの設
計の自由度が増し、大電力送受信の用途に十分耐え得る
アンテナを提供することができる。更に、給電励振子、
無給電励振子及び電界結合手段を含んだ空間をアンテナ
全体の電気的体積として利用できるので、広帯域且つ高
利得のアンテナを実現することができる。
励振子及び無給電励振子から独立して一対の電界結合パ
ターンを設けたので、電界結合パターン間の容量を調整
することにより給電励振子と無給電励振子間の電界結合
量を調整することができる。
子の構成を変更することにより両励振子間の電磁結合を
調整しているが、この発明では、回路基板に形成された
一対の電界結合パターン間の容量結合により給電励振子
と無給電励振子間の電界結合量を調整するので、給電励
振子及び無給電励振子の配置形態を自由に選択できると
共に、励振子を構成する基体の形状、寸法及び誘電率も
相互に同じでも異なっていても良く、放射電極の形状及
び配置方向も何ら制限を受けない。
数差の調整は、電界結合パターンで行うことが可能であ
るから、複共振アンテナ設計の自由度が増し、複共振ア
ンテナの設計が容易になる。特に、電界結合の度合いを
回路基板上に形成した電界結合パターンで行うので、大
電力で電波を送受信する用途の複共振アンテナを作製す
ることができる。
のみ誘電体の基体が使用され、給電励振子と無給電励振
子を電界結合する電界結合パターンは回路基板上に構成
したから、従来のように、複共振アンテナ全体が誘電体
の基体で構成されるアンテナとは異なり、複共振アンテ
ナの寸法を柔軟に変更した設計をすることができる。
クス材料で構成した場合には、給電励振子と無給電励振
子の部分にのみセラミックス材料の基体が使用され、複
共振アンテナ全体に誘電体として大きな寸法のセラミッ
クス材料の基体を用いる必要がないので、給電励振子と
無給電励振子を加工精度良く作製し、また、複共振アン
テナを安価に且つ軽量に作ることができる。
の配置に自由度があるので、複共振アンテナが組込まれ
る移動体通信機器の筐体に合せて柔軟に給電励振子及び
無給電励振子の配置を決定することができる。このよう
な場合でも、給電励振子、無給電励振子及び電界結合パ
ターンを含んだ領域全体を複共振アンテナの電気的体積
として利用するので、周波数帯域幅の広い高利得の複共
振アンテナを実現することができる。
結合パターンは、給電励振子及び無給電励振子から独立
して回路基板に設けられるため、給電励振子及び無給電
励振子の構成を考慮することなく種々のパターン構成と
することができ、複共振に於ける給電励振子と無給電励
振子の共振周波数の設定及び給電励振子と無給電励振子
間の周波数差の調整が容易となる。
結合パターン間をコンデンサで結合するので、コンデン
サの値を選択することにより最適な複共振アンテナとす
ることができる。
兼用電流結合手段を給電励振子と無給電励振子の間に設
けたので、信号源とのインピーダンス整合が容易であ
り、また、給電励振子と無給電励振子間を電流結合及び
磁界結合させることができ、給電励振子及び無給電励振
子の配置関係を考慮することなく、アンテナの電気的体
積を増加する場合にも柔軟な設計が可能になる。
子及び無給電励振子とは別個に設計することができるの
で、給電励振子及び無給電励振子の形状を変形すること
なく複共振アンテナの寸法を自由に設定し、大電力送信
の用途に適した複共振アンテナを得ることができる。
ンス回路で構成したときには、このインダクタンス回路
のインピーダンスにより、給電回路に対する複共振アン
テナのインピーダンスを整合させることができると共
に、インダクタンス回路と接地回路間に流れる電流量が
大きくても確実に電流量を調整することができる。ま
た、インダクタンス回路の回路配線を接地回路に近接し
て配設することにより、磁界結合によっても接地回路に
流れる電流量を調整することができる。
回路の一部を給電回路に近接させた構成を含むときに
は、磁界結合により接地回路に流れる電流量を調節する
ことができると共に、整合兼用電流結合手段を調整する
ことにより、接地回路と給電回路間の結合度合いを変え
ることができる。
構成図である。
る。
し、(A)は平面図、(B)は(A)の一点鎖線X−X
に於ける一部断面側面図である。
一部断面側面図である。
示す一部断面側面図である。
部分平面図である。
部分平面図である。
ンテナの斜視図である。
示す部分平面図である。
を示す部分平面図である。
を示す部分平面図である。
示す平面図である。
界結合パターン 14,24,44,54 電界結合端子 15,25,47,57 開放端部 16,46 給電端子 17,27 開放端容量 18 給電回路 19,77 インダクタ 20 信号源 21 無給電励振子 26,56 接地端子 28 接地回路 31 回路基板 31a アンテナ形成部 31b グランド部 34 給電パターン 35,74 接地パターン 36,37,66 固定パターン 40 チップインダクタ 41,51 チップアンテナ 43,53 基体 42a 平面部 42b ミアンダ形状部 48,58 固定端子 63 中継パターン 64 スルーホール 70 コンデンサ 71 電極パターン 72 連結パターン 73 インダクタンスパターン 74a 湾曲部 75 給電引出パターン 76 接地引出パターン
Claims (5)
- 【請求項1】 一端に給電端子を有する第1の放射電極
の中間部に電界結合端子を接続してなる給電励振子と、
一端に接地端子を有する第2の放射電極の中間部に電界
結合端子を接続してなる無給電励振子と、前記給電励振
子及び前記無給電励振子とは別に設けられて、前記給電
励振子と前記無給電励振子の電界結合端子を電界により
結合する電界結合手段と、前記給電励振子の給電端子に
信号電流を流す給電回路と、前記無給電励振子の接地端
子を接地する接地回路とから構成することを特徴とする
複共振アンテナ。 - 【請求項2】 前記給電励振子及び前記無給電励振子
は、放射電極を形成する誘電体の基体を個別に備え、前
記電界結合手段は、回路基板に対向配置した一対の電界
結合パターンで構成すると共に、前記給電励振子及び前
記無給電励振子を前記回路基板上に載置して、前記給電
励振子の電界結合端子を前記一方の電界結合パターンに
接続し、前記無給電励振子の電界結合端子を前記他方の
電界結合パターンに接続して構成したことを特徴とする
請求項1に記載の複共振アンテナ。 - 【請求項3】 前記一対の電界結合パターンを近接配置
して容量成分を付与したことを特徴とする請求項2に記
載の複共振アンテナ。 - 【請求項4】 前記一対の電界結合パターン間にコンデ
ンサを接続したことを特徴とする請求項2に記載の複共
振アンテナ。 - 【請求項5】 前記給電励振子と前記無給電励振子の間
には、前記給電回路のインピーダンスを整合すると共に
前記給電回路と前記接地回路との間に流れる電流量を調
整する整合兼用電流結合手段を備えたことを特徴とする
請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の複共振アン
テナ。
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