以下、この発明の実施形態である自動改札機について説明する。
図1は、2ラッチ乗継駅がある線路網を示す概略図である。図1では、第1の線路、および第2の線路の2つの線路を示している。駅A、Bは、第1の線路にある駅であり、駅C、Dは、第2の線路にある駅である。駅B、および駅Cは、第1の線路と第2の線路との乗り継ぎが行える2ラッチ乗継駅である。2ラッチ乗継駅では、利用者が一方の駅から一旦出場し、その後、他方の駅に入場して線路を乗り継ぐ。また、駅A、および駅Dは、他の線路に乗り継ぎできない駅(以下、一般駅と言う。)である。例えば、駅Aから駅Dに移動する利用者は、第1の線路で駅Aから駅Bに移動し、2ラッチ乗継駅である駅Bから出場する。その後、2ラッチ乗継駅である駅Cに入場し、第2の線路で駅Cから駅Dに移動する。また、利用者は、駅Aで購入したキップで第1の線路から第2の線路に乗り継ぐことができる。駅Dから、駅Aに移動する利用者は、上記と逆の経路で移動する。
なお、第1の線路、および第2の線路には、駅A〜D以外の駅もあるが、ここでは図示を省略している。
図2は、2ラッチ乗継駅がある線路網を管理する駅務システムの構成を示す概略図である。図2では、図1に示した駅A〜駅Dを示しており、その他の駅については図示を省略している。各駅には、自動改札機1や、券売機2、さらには図示していない精算機や係員端末等の駅務機器とともに、駅サーバ3が設置されている。自動改札機1や、券売機2等の駅務機器は、LAN等のネットワークを介して駅サーバ3に接続されている。また、各駅の駅サーバ3は、専用回線や公衆回線等のネットワークを介して、鉄道会社のセンタ装置4に接続されている。自動改札機1には、駅構内に入場する利用者に対して改札処理を行う入場用自動改札機1aと、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う出場用自動改札機1bと、がある。また、入場用自動改札機1aには、一般駅である駅Aや駅Dに設置される入場用自動改札機1aaと、2ラッチ乗継駅である駅Bや駅Cに設置される入場用自動改札機1abと、がある。出場用自動改札機1bには、一般駅である駅Aや駅Dに設置される出場用自動改札機1baと、2ラッチ乗継駅である駅Bや駅Cに設置される出場用自動改札機1bbと、がある。これらの自動改札機1は、ハード的には略同じ構成であるが、その用途により、本体を動作させる制御プログラムが異なる。この発明の実施形態にかかる自動改札機1は、2ラッチ乗継駅である駅Bや駅Cに設置される入場用自動改札機1abである。
以下の説明では、用途を区別しない場合には、自動改札機1として説明し、用途を入場用と出場用とで区別する場合には自動改札機1a、1bとして説明する。さらに、用途を入場用と出場用とに加えて、一般駅用と2ラッチ乗継駅用とでも区別する場合には自動改札機1aa、1ab、1ba、1bbとして説明する。
また、駅サーバ3には、一般駅である駅Aや駅Dに設置される一般駅用駅サーバ3aと、2ラッチ乗継駅である駅Bや駅Cに設置される乗継駅用駅サーバ3bと、がある。これらの駅サーバ3も、自動改札機1と同様に、ハード的には略同じ構成であるが、その用途により、本体を動作させる制御プログラムが異なる。以下の説明では、用途を区別しない場合には、駅サーバ3として説明し、用途を一般駅用と2ラッチ乗継駅用とで区別する場合には駅サーバ3a、3bとして説明する。
なお、ここでは、2ラッチ乗継駅である駅B、および駅Cに、それぞれ駅サーバ3bが設置されている構成としているが、1つの駅サーバ3bで2ラッチ乗継駅である駅B、および駅Cに設置されている駅務機器を管理する構成としてもよい。
券売機2は、駅の改札口付近に設置され、利用者に対して乗車券であるキップを発行する。各駅の券売機2は、キップを発行するときに、そのキップの発行番号を駅サーバ3から取得する。券売機2は、発行番号や発行時刻を含む乗車券情報を2次元バーコード(所謂、QRコード)で券面に印刷したキップを乗車券として発行する。
図3は、自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。自動改札機1は、制御部11と、記憶部12と、読取部13と、通信部14と、扉開閉部15と、を備えている。制御部11は、自動改札機1本体各部の動作を制御する。また、制御部11には、現在の日時を計時するタイマが設けられている。記憶部12は、メモリやハードディスク等の記憶媒体を有し、駅サーバ3から送信されてきた発行情報、乗継券情報、乗継者出場情報、およびネガ情報を必要に応じて記憶する。発行情報、乗継券情報、乗継者出場情報、ネガ情報の詳細については後述する。発行情報は、入場用自動改札機1aに記憶される。乗継券情報は、2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbに記憶される。乗継者出場情報は、2ラッチ乗継駅に設置されている入場用自動改札機1abに記憶される。ネガ情報は、出場用自動改札機1bに記憶される。すなわち、自動改札機1は、その用途に応じて、記憶部12に記憶する情報が異なる。読取部13は、キップの券面に印刷されている2次元バーコードを光学的に読み取り、このキップの乗車券情報を取得する。通信部14は、駅サーバ3との間におけるデータ通信を制御する。扉開閉部15は、改札通路の出口側に設けた扉を開閉し、この改札通路における利用者の通行を制限する。制御部11は、読取部13がキップから読み取った乗車券情報と、記憶部12に記憶している情報(発行情報、乗継券情報、乗継者出場情報、ネガ情報等)と、を用いて、この利用者に対する改札通路の通行可否を判定し、この判定結果に基づいて扉の開閉を扉開閉部15に指示する。扉開閉部15は、制御部11からの指示にしたがって扉を開閉する。
図4は、券売機の主要部の構成を示す図である。券売機2は、制御部21と、通信部22と、現金処理部23と、操作部24と、キップ発行部25と、を備えている。制御部21は、券売機2本体各部の動作を制御する。また、制御部21には、現在の日時を計時するタイマが設けられている。通信部22は、駅サーバ3との間におけるデータ通信を制御する。現金処理部23は、利用者が投入した紙幣や硬貨を受け付けるとともに、必要に応じて釣り銭を利用者に放出する。ここでは、この現金処理部23を、利用者に対して発行するキップにかかる価値を現金で精算する構成として説明するが、プリペイドカードやクレジットカード等の媒体を受け付け、この媒体で精算する構成であってもよい。操作部24は、利用者に対して操作案内画面を表示する表示器や、この表示器の画面上に貼付されたタッチパネルを有し、利用者による入力操作を受け付ける。キップ発行部25は、券面に乗車券情報を2次元バーコードで印刷したキップを発行する。キップ発行部25は、乗車券情報を、例えば厚さが0.1mmの用紙に2次元バーコードで印刷し、発行する。図5は、券売機で発行されたキップを示す図である。図示するように、発行されたキップの券面には、2次元バーコードが印刷されているとともに、利用者等が確認できるように、乗車券情報の一部が文字で印刷されている。キップ発行部25には、この2次元バーコードを印刷し、キップとして発行する用紙がセットされている。
図6は、駅サーバの構成を示す図であり、図7はセンタ装置の構成を示す図である。駅サーバ3は、制御部31と、記憶部32と、第1の通信部33と、第2の通信部34と、を備えている。制御部31は、駅サーバ3本体の動作を制御する。記憶部32は、制御部31における本体の動作制御に必要な情報を記憶する。第1の通信部33は、駅務機器との間におけるデータ通信を制御し、第2の通信部34は、センタ装置4とのデータ通信を制御する。また、センタ装置4は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えている。制御部41は、センタ装置4本体の動作を制御する。記憶部42は、制御部41における本体の動作制御に必要な情報を記憶する。通信部43は、各駅の駅サーバ3とのデータ通信を制御する。駅サーバ3の記憶部32や、センタ装置4の記憶部42には、上述した発行情報、乗継券情報、乗継者出場情報、ネガ情報等が必要に応じて記憶される。
ここで、発行情報、乗継券情報、乗継者出場情報、ネガ情報等について説明する。上述したように、券売機2は、キップを発行するときに、そのキップの発行番号を駅サーバ3から取得する。また、券売機2は、キップを発行する毎に、発行したキップの発行情報を駅サーバ3に送信する。図8は、発行情報を示す図である。発行情報には、駅名コード、券売機コード、発行日付、発行時刻、発行券種、金額、発行番号、および処理状態コードが含まれている。駅名コードは、キップを発行した駅(すなわち、券売機2が設置されている駅)を示すコードである。券売機コードは、キップを発行した券売機2を示すコードである。発行日付は、キップの発行日を示し、発行時刻は、キップの発行時刻を示す。発行券種は、キップが大人用(1)であるか、子供用(0)であるかを示すコードである。金額は、キップの価値を示す。発行番号は、駅サーバ3が券売機2で発行されるキップ毎に付与する番号であり、発行したキップを識別するものである。処理状態コードは、この発行情報のキップを使用して利用者が駅構内に入場したかどうか(未処理(0)、または処理済(1))を示すコードである。
また、券売機2がキップの券面に2次元バーコードで印刷する乗車券情報には、駅名コード、券売機コード、発行日付、発行時刻、発行券種、金額、および発行番号が含まれている(図9参照)。すなわち、発行情報と、乗車券情報と、は略同じであるが、乗車券情報には処理状態コードが含まれていない点で相違する。
駅サーバ3は、券売機2から送信されてきた発行情報を記憶部32に記憶する。また、駅サーバ3は、券売機2から送信されてきた発行情報を、設置されている駅の入場用自動改札機1aおよびセンタ装置4に送信する。
なお、駅サーバ3は、設置されている駅の出場用自動改札機1bについても券売機2から送信されてきた発行情報を送信する構成であってもよい。ただし、この実施形態では、出場用自動改札機1bが発行情報を利用しないので、ここでは、駅サーバ3が発行情報を出場用自動改札機1bに送信しない構成として説明する。
入場用自動改札機1aは、駅サーバ3から送信されてきた発行情報を記憶部12に記憶する。すなわち、入場用自動改札機1aは、設置されている駅の券売機2で発行されたキップ毎に発行情報を記憶する。また、センタ装置4は、駅サーバ3から送信されてきた発行情報を、記憶部42に記憶する。すなわち、センタ装置4は、各駅の券売機2で発行されたキップ毎に発行情報を記憶する。また、センタ装置4は、駅サーバ3から送信されてきた発行情報のキップで、線路の乗り継ぎが行える2ラッチ乗継駅であって、且つ利用者の出場側になる駅に設置されている駅サーバ3bに対して、券売機2から送信されてきた発行情報を乗継券情報として送信する。すなわち、乗継券情報と、発行情報とは、同じ内容の情報である。また、センタ装置4は、乗継券情報を、一般駅の駅サーバ3aには送信しない。また、2ラッチ乗継駅であっても、発行されたキップで線路の乗継が行えない出場側の駅の駅サーバ3bにも乗車券情報を送信しない。
駅サーバ3bは、センタ装置4から送信されてきた乗継券情報を記憶部32に記憶するとともに、設置されている駅の出場用自動改札機1bbに送信する。
なお、駅サーバ3bは、設置されている駅の入場用自動改札機1abについてもセンタ装置4から送信されてきた乗継券情報を送信する構成であってもよい。ただし、この実施形態では、入場用自動改札機1abが乗継券情報を利用しないので、ここでは、駅サーバ3bが乗継券情報を入場用自動改札機1abに送信しない構成として説明する。
2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbは、駅サーバ3bから送信されてきた乗継券情報を記憶部12に記憶する。また、乗継券情報は、上述したように駅サーバ3aには送信されないので、一般駅に設置されている入場用自動改札機1aaや出場用自動改札機1baが記憶することはない。
また、2ラッチ乗継駅の出場用自動改札機1bbは、出場した利用者が所持していたキップの券面に2次元バーコードで印刷されている乗車券情報に対応する乗継券情報を記憶部12に記憶していれば、乗継者出場情報を作成し、駅サーバ3bに通知する。この乗継者出場情報は、上述した乗車券情報に、利用者の通過時刻(出場にかかる改札処理を行った時刻)、および出場した駅を示す出場駅コードを追加した情報である(図10参照)。2ラッチ乗継駅の駅サーバ3bは、出場用自動改札機1bbから送信されてきた乗継者出場情報を記憶部32に記憶するとともに、この乗継者出場情報をセンタ装置4に送信する。センタ装置4は、2ラッチ乗継駅の駅サーバ3bから送信されてきた乗継者出場情報を記憶部42に記憶するとともに、この乗継者出場情報を、該当する利用者の入場側になる2ラッチ乗継駅の駅サーバ3bに送信する。
駅サーバ3bは、センタ装置4から送信されてきた乗継者出場情報を記憶部32に記憶するとともに、この乗継者出場情報を設置されている駅の入場用自動改札機1abに送信する。
なお、駅サーバ3bは、設置されている駅の出場用自動改札機1bbについてもセンタ装置4から送信されてきた乗継者出場情報を送信する構成であってもよい。ただし、この実施形態では、出場用自動改札機1bbが乗継者出場情報を利用しないので、ここでは、駅サーバ3bが乗継者出場情報を出場用自動改札機1bbに送信しない構成として説明する。
また、出場用自動改札機1bは、出場した利用者が所持していたキップの発行番号を含むネガ情報を作成し、これを駅サーバ3に送信する。このネガ情報には、出場時刻(出場にかかる改札処理を行った時刻)等も含まれている。駅サーバ3は、出場用自動改札機1bから送信されてきたネガ情報を記憶するとともに、このネガ情報を設置されている駅の出場自動改札機1bに送信する。出場用自動改札機1bは、駅サーバ3から送信されてきたネガ情報を記憶部12に記憶する。すなわち、駅毎に、その駅に設置されている各出場用自動改札機1bが、その駅のいずれかの出場用自動改札機1bで改札処理して出場した利用者が所持していたキップの発行番号を含むネガ情報を記憶する。
なお、駅サーバ3は、設置されている駅の入場用自動改札機1aについてもネガ情報を送信する構成であってもよい。ただし、この実施形態では、入場用自動改札機1aがネガ情報を利用しないので、ここでは、駅サーバ3がネガ情報を入場用自動改札機1aに送信しない構成として説明する。
次に、この駅務システムの動作について説明する。図11は、券売機におけるキップの発行処理を示すフローチャートである。また、図12は、一般駅に設置されている駅サーバの動作を示すフローチャートであり、図13および図14は、2ラッチ乗継駅に設置されている駅サーバの動作を示すフローチャートである。また、図15は、センタ装置の動作を示すフローチャートである。また、図16は、一般駅に設置されている入場用自動改札機の動作を示すフローチャートであり、図17および図18は2ラッチ乗継駅に設置されている入場用自動改札機の動作を示すフローチャートである。さらに、図19は、一般駅に設置されている出場用自動改札機の動作を示すフローチャートであり、図20、および図21は2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機の動作を示すフローチャートである。
なお、図12と、図13、図14と、における同じ処理、図16と、図17、図18と、における同じ処理、および図19と、図20、図21と、における同じ処理、については、同じステップ番号を付している。
まず、券売機2におけるキップの発行処理について説明する。券売機2におけるキップの発行処理は、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず同じである。
図11に示すように、券売機2は、現金処理部23において、利用者により投入された現金を受け付ける(s1)。券売機2は、操作部24において、利用者が現金処理部23に投入した現金で購入可能なキップを選択する入力操作を行うと(s2)、駅サーバ3に対して、これから発行するキップの発行番号を要求する(s3)。この要求にかかる通知は、通信部22から駅サーバ3へ送信される。
図12、および図13に示すように、駅サーバ3は、券売機2からキップの発行番号を要求する通知を受信すると(s11)、この要求に対してユニークな発行番号を生成する(s12)。駅サーバ3は、ここで生成した発行番号を、今回発行番号を要求してきた券売機2に返信する(s13)。例えば、駅サーバ3は、券売機2に対して最後に返信した発行番号を記憶しており、この番号を1カウントアップした番号を、今回の発行番号として生成する。また、このとき、駅サーバ3は、記憶している発行番号についても1カウントアップする。この場合、駅サーバ3は、券売機2からの発行番号の要求に対して、発行番号をシリアルな番号で生成することになる。駅サーバ3は、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず、このs11〜s13にかかる処理を実行する。
図11に示すように、券売機2は、通信部22において駅サーバ3からの発行番号の通知を受信すると(s4)、今回駅サーバ3から通知された発行番号を含む発行情報を作成し(s5)、この発行情報に応じた乗車券情報を2次元バーコードで印刷したキップを発行する(s6)。s5で作成する発行情報には、図8に示す情報が含まれている。駅名コードは、この券売機2が設置されている駅を示すコードである。券売機コードは、この券売機2を示すコードである。発行日付は、今日の日付であり、発行時刻は、現在時刻である。発行券種は、s2で選択されたキップが大人用であるか、子供用であるかを示す。金額は、今回発行するキップ(s2で選択されたキップ)の価値を示す。発行番号は、s4で駅サーバ3から受信した番号である。処理状態コードは、この時点では、この発行情報のキップを使用して利用者が駅構内に入場していないことを示す未処理となっている。また、s6では、s5で生成した発行情報から処理状態コード以外の項目を乗車券情報とし、キップ発行部25において、この乗車券情報を2次元バーコードで用紙に印刷したキップを利用者に対して放出する。すなわち、キップに印刷される乗車券情報は、処理状態コードが含まれていないだけで、その他は、発行情報と同じである。また、券売機2は、利用者に対して釣り銭の放出が必要であれば、現金処理部23において釣り銭の放出処理を行う(s7、s8)。さらに、券売機2は、s5で作成した発行情報を駅サーバ3に通知し(s9)、本処理を終了する。
図12、および図13に示すように、駅サーバ3は、券売機2から発行情報を受信すると(s14)、この発行情報を記憶部32に記憶するとともに(s15)、この発行情報をデータ通信ラインで接続されている入場用自動改札機1aに送信する(s16)。すなわち、駅サーバ3は、券売機2から送信されてきた発行情報を、設置されている駅の入場用自動改札機1aに通知する。この発行情報の送信は、入場用自動改札機1aに対する一斉同報配信により行われる。また、駅サーバ3aは、この発行情報をセンタ装置4に送信する(s17)。駅サーバ3は、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず、このs14〜s17にかかる処理を実行する。
図16、および図17に示すように、入場用自動改札機1aは、駅サーバ3から送信されてきた発行情報を受信すると(s51)、この発行情報を記憶部12に記憶する(s52)。上述したように、券売機2は、キップを発行する毎に、そのキップにかかる発行情報を駅サーバ3に通知しており、また、駅サーバ3は、券売機2から通知された発行情報を、設置されている駅の入場用自動改札機1aに送信している。したがって、入場用自動改札機1aは、設置されている駅の券売機2で発行されたキップ毎に、その発行情報を記憶部12に記憶する。例えば、駅Aに設置されている券売機2で発行されたキップにかかる発行情報は、駅Aに設置されている入場用自動改札機1aに記憶される。また、券売機2から駅サーバ3aに通知される発行情報は、上述したように、処理状態コードが未処理である。入場用自動改札機1aは、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず、このs51、s52にかかる処理を実行する。
また、図15に示すように、センタ装置4は、駅サーバ3から送信されてきた発行情報を受信すると(s41)、今回発行されたキップで線路の乗継が行える2ラッチ乗継駅があるかどうかを判定する(s42)。s42では、鉄道の線路網において、今回受信した発行情報のキップの価値で移動可能な範囲を検出し、ここで検出した範囲内に2ラッチ乗継駅があるかどうかを判定する。ただし、移動可能な範囲の境界に位置している2ラッチ乗継駅については、線路の乗継が行えないと判定する。センタ装置4は、線路の乗継が行える2ラッチ乗継駅があれば、今回受信した発行情報のキップを購入した利用者が線路を乗り継ぐ場合に、この利用者にとって出場側になる2ラッチ乗継駅を抽出する(s43)。例えば、駅Aで駅Dまで移動可能なキップを購入した利用者については、s43で駅Bを抽出する。反対に、駅Dで駅Aまで移動可能なキップを購入した利用者については、s43で駅Cを抽出する。また、駅Aで駅Bまでしか移動できないキップを購入した利用者については、s42で駅B、駅Cを、線路の乗継が行える2ラッチ乗継駅と判定しない(線路の乗継が行えない2ラッチ乗継駅と判定する。)。s43では、複数の2ラッチ乗継駅が抽出される場合もある。センタ装置4は、s43で抽出した駅毎に、駅サーバ3bに対して上述した乗継券情報を送信する(s44)。上記の説明から明らかなように、センタ装置4は、一般駅に設置されている駅サーバ3aに対して乗継券情報を送信することはない。
なお、センタ装置4は、s41で受信した発行情報を記憶部42に記憶する。また、s44で送信する乗継券情報は、上述したように、今回s41で受信した発行情報である。
図13に示すように、2ラッチ乗継駅に設置されている駅サーバ3bは、センタ装置4から送信されてきた乗継券情報を受信すると(s18)、受信した乗継券情報を記憶部32に記憶するとともに、この乗継券情報を設置されている駅の出場用自動改札機1bbに送信する(s19、s20)。一般駅に設置されている駅サーバ3aは、上述したように、センタ装置4から乗継券情報が送信されてくることがないので、s18〜s20にかかる処理を実行することはない。言い替えれば、一般駅に設置されている駅サーバ3aについては、s18〜s20にかかる処理を実行する機能を設ける必要がない。
図20に示すように、2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbは、駅サーバ3bから送信されてきた乗継券情報を受信すると(s91)、この乗継券情報を記憶部12に記憶する(s92)。したがって、2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbは、利用者が設置されている駅で出場し、その後、他方の駅で入場して線路を乗り継ぐことができるキップについて、乗継券情報を記憶部12に記憶する。一般駅に設置されている出場用自動改札機1baについては、駅サーバ3aから乗継券情報が送信されてくることがないので、このs91、s92にかかる処理を実行する機能を設ける必要がない。
次に、入場用自動改札機1aにおける改札処理について説明する。図16、および図17に示すように、入場用自動改札機1aは、改札通路を通って駅構内に入場する利用者が読取部13に翳したキップに印刷されている2次元バーコードを読取部13で読み取ると(s53)、ここで読み取った2次元バーコードから乗車券情報を取得する(s54)。入場用自動改札機1aは、s54で取得した乗車券情報に含まれている駅名コードが設置されている駅を示すものであるかどうかを判定する(s55)。すなわち、利用者が所持しているキップが、設置されている駅の券売機2で発行されたものであるかどうかを判定する。
一般駅に設置されている入場用自動改札機1aaは、s55で、設置されている駅で発行されたキップでないと判定すると、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を禁止する(s56)。s56では、扉開閉部15が改札通路の出口側に設けられている扉を閉する。一方、2ラッチ乗継駅に設置されている入場用自動改札機1abは、後述するs71以降の処理を実行する。このs71以降の処理は、線路を乗り継ぐことができる利用者であるかどうかを判定することにより、改札通路における利用者の通行を可否を判定する処理であり、一般駅に設置されている入場用自動改札機1aaでは、必要のない処理である。
入場用自動改札機1aは、s55で設置されている駅の券売機2で発行されたキップであると判定すると、s54で取得した乗車券情報によって、発行時刻からの経過時間が予め定められている時間内(この発明で言う第2の時間内)であるかどうかを判定する(s57)。具体的に言うと、s54で取得した乗車券情報に含まれている発行日付が当日で、且つ発行時刻からの経過時間が予め定められている時間内であるかどうかを判定する。通常、利用者は、キップを購入すると、すぐに入場用自動改札機1aの改札通路を通って駅構内に入り、鉄道を利用する。また、券売機2は、入場用自動改札機1aの近くに設置されており、券売機2から入場用自動改札機1aまでの利用者の移動時間は数分である。このことから、殆どの利用者は、券売機2でキップを購入してから、10分以内に入場用自動改札機1aの改札通路を通行し、駅構内に入場しているというのが現状である。また、キップの購入後、自分の好みに合う広告や商品等に気がついて、すぐに駅構内に入場しない利用者もいるが、このような利用者であっても、キップの購入から20〜30分以内に駅構内に入場している。言い換えれば、キップの購入から30分を超えて駅構内に入場する利用者は、殆どいないと推定される。このことから、この入場自動改札機1aは、s57で発行時刻からの経過時間が予め定められている時間内(30分以内)でないと判定した場合、コピー等によって作成された偽造券である可能性が高いと判断し、s56で、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を禁止する。
このように、入場用自動改札機1aは、キップから読み取った乗車券情報によって、発行時刻からの経過時間が予め定められている時間内でないと判定した場合、改札通路における利用者の通行を禁止する。したがって、券売機2で発行されたキップをコピーして偽造券を得るのに要する時間を考慮して、改札通路における利用者の通行を許可しないと判定するキップの発行時刻からの経過時間を設定しておけば、コピー等によって作成された偽造券に対するセキュリティを確保することができる。
入場用自動改札機1aは、s57で発行時刻からの経過時間が予め定められた時間内であると判定すると、記憶部12に記憶している発行情報を検索し、該当する発行情報があれば、その発行情報を読み出す(s58、s59)。入場用自動改札機1aは、今回取得した乗車券情報の発行番号をキーにして記憶部12に記憶している発行情報を検索する。入場用自動改札機1aは、記憶部12に該当する発行情報を記憶していなければ、今回使用されたキップを偽造券(券売機2で発行されていないキップ)と判断し、s56で改札通路における利用者の通行を禁止する。
入場用自動改札機1aは、記憶部12から該当する発行情報を読み出すと、この発行情報に含まれている処理状態コードが未処理であるかどうかを判定する(s60)。上述したように、駅サーバ3から入場用自動改札機1aに送信されてきた時点では、発行情報の処理状態コードは未処理である。また、後述するように、いずれかの入場用自動改札機1aで使用されたキップについては、発行情報の処理状態コードは処理済に更新される。したがって、発行情報の処理状態コードが処理済である場合、今回のキップの使用が最初ではない。入場用自動改札機1aは、s60で処理状態コードが処理済であると判定すると、キップの不正使用であると判断し、s56で改札通路における利用者の通行を禁止する。
入場用自動改札機1aは、s60で処理状態コードが未処理であると判定すると、s54で取得した乗車券情報の各項目と、s59で記憶部12から読み出した発行情報と、を項目毎に照合し、これらが一致しているかどうかを判定する(s61)。入場用自動改札機1aは、両情報に一致していない項目が1つでもあると、偽造券であると判断し、s56で改札通路における利用者の通行を禁止する。入場用自動改札機1aは、s61で両情報の全ての項目が一致していると判定すると、改札通路における利用者の通行を許可する(s62)。s62では、扉開閉部15が改札通路の出口側に設けられている扉を開する。また、入場用自動改札機1aは、今回改札通路の通行を許可した利用者が使用したキップに該当する発行情報の処理状態コードを未処理から、処理済に更新する(s63)。入場用自動改札機1aは、利用者が改札通路を通って駅構内に入場すると(s64)、今回使用されたキップの発行番号を含む処理済通知を駅サーバ3に送信する(s65)。このs65にかかる処理が、この発明で言う第2の通知手段に相当する。入場用自動改札機1aは、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず、このs57〜s65にかかる処理を実行する。このs57〜s65にかかる処理は、設置されている駅の券売機で発行されたキップによる改札処理である。
図12、および図13に示すように、駅サーバ3は、入場用自動改札機1aから処理済通知を受信すると(s21)、この処理済通知に基づいて、記憶している該当する発行情報の処理済コードを未処理から処理済に更新する(s22)。さらに、駅サーバ3aは、今回受信した処理済通知を設置されている駅の入場用自動改札機1aに送信する(s23)。すなわち、駅サーバ3aは、設置されている駅の入場用自動改札機1aから送信されてきた処理済通知を受信すると、この受信した処理済通知を設置されている駅の他の入場用自動改札機1aに転送する。この処理済通知の送信は、入場用自動改札機1aに対する一斉同報配信により行われる。すなわち、この処理済通知は、送信元の自動改札機1aにも送信される。駅サーバ3は、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず、このs21〜s23にかかる処理を実行する。
図16、および図18に示すように、入場用自動改札機1aは、駅サーバ3から処理済通知を受信すると(s66)、記憶部12に記憶している発行情報を検索し(s67)、該当する発行情報の処理状態コードを未処理から、処理済に更新する(s68)。このs68にかかる処理が、この発明で言う第2の設定手段に相当する。このように、いずれかの入場用自動改札機1aで改札処理されたキップは、他の入場用自動改札機1aが記憶している発行情報についても処理状態コードが未処理から処理済に更新される。したがって、券売機2が発行したキップが、発行駅で複数回使用される、不正使用に対するセキュリティを確保することができる。
なお、入場用自動改札機1aは、自機で処理したキップについての処理済通知を受信したときには、s63で、すでに該当する発行情報の処理状態コードを未処理から処理済に更新しているので、実質的にはs68にかかる処理で、該当する発行情報の処理状態コードを未処理から処理済に更新するわけではない。また、このs63にかかる処理をなくし、自機で通行処理したキップについても、s68で該当する発行情報の処理状態コードを未処理から処理済に更新するようにしてもよい。
このように、この駅務システムによれば、コピー等による偽造券に対するセキュリティの向上が図れるとともに、券売機2が発行したキップが発行駅で複数回使用される、不正使用に対するセキュリティも確保できる。
また、上述したs63、s68にかかる処理を、該当する発行情報を記憶部12から削除する削除処理に置き換えてもよい。このようにすれば、記憶部12が記憶する発行情報の総数が低減されるので、記憶部12に記憶している発行情報の検索処理にかかる時間の短縮が図れ、その結果、改札通路における利用者の通行可否の判定に要する時間が短縮できる。また、記憶する発行情報の総数の低減に加えて、発行情報から処理状態コードをなくすこともできるので、記憶部12に必要な記憶容量が一層抑えられる。
次に、出場用自動改札機1bの改札処理にかかる動作について説明する。図19〜図21に示すように、出場自動改札機1bは、改札通路を通って駅構内から出場する利用者が読取部13に翳したキップに印刷されている2次元バーコードを読取部13で読み取ると(s93)、ここで読み取った2次元バーコードから乗車券情報を取得する(s94)。出場用自動改札機1bは、s94で取得した乗車券情報に基づいて、キップの価値と、発行駅から設置されている駅までの運賃と、を比較し、運賃不足でないかどうかを判定する(s95)。出場用自動改札機1bは、s95で運賃不足であると判定すると、改札通路における利用者の通行(駅構内からの出場)を禁止する(s96)。s96では、扉開閉部15が改札通路の出口側に設けられている扉を閉する。
出場用自動改札機1bは、s95で運賃不足でないと判定すると、s94で取得した乗車券情報の発行番号が、記憶部12にネガ情報として記憶しているかどうかを判定する(s97)。このネガ情報は、上述したように、出場用自動改札機1bが設置されている駅で、いずれかの出場用自動改札機1bで出場にかかる改札処理がすでに行われたキップの発行番号を含む情報である。出場用自動改札機1bは、s97で、記憶部12にネガ情報として記憶している発行番号であると判定すると、すなわち今回の使用が最初ではないキップであると判定すると、s96で改札通路における利用者の通行を禁止する。したがって、出場駅においても、キップの複数回使用に対するセキュリティを確保することができる。
一般駅に設置されている出場用自動改札機1baは、図19に示すように、s97で記憶部12にネガ情報として記憶していない発行番号であると判定すると、改札通路における利用者の通行を許可する(s98)。s98では、扉開閉部15が改札通路の出口側に設けられている扉を開する。また、出場用自動改札機1baは、今回改札通路の通行を許可した利用者が使用したキップの発行番号をネガ情報として記憶部12に記憶する(s99)。また、一般駅に設置されている出場用自動改札機1baは、利用者が改札通路を通って駅構内から出場すると(s100)、今回使用されたキップの発行番号を含むネガ情報を作成し、駅サーバ3aに送信する(s101)。
一方、2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbは、図21に示すように、記憶部12にネガ情報として記憶していない発行番号であると判定すると、記憶部12に記憶している乗継券情報を検索し(s104)、該当する乗継券情報がなければ(s105)、上述したs98〜s101にかかる処理を実行する。出場用自動改札機1bbは、利用者が設置されている駅で出場し、他方の駅で入場して線路を乗り継ぐことができるキップについて乗継券情報を、上述したs92で記憶している。すなわち、s104、s105では、線路を乗り継ぐことができるキップであるかどうかを判定している。
なお、この判定は、乗継券情報を用いなくてもキップの券面に印刷されている発行情報に基づいて判定することもできるが、このキップが券売機2で発行されたキップであるか、偽造券であるかの判定精度を高めるために、s104、s105にかかる処理を行っている。
2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbは、s105で該当する乗継券情報があると、この乗継券情報に通過時刻(この時点の時刻)、および出場駅コード(自機が設置されている駅を示すコード)を追加した乗継者出場情報を作成する(s106)。そして、2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbは、s107〜s110で、上述したs98〜s101と同じ処理を実行し、さらにs106で作成した乗継者出場情報を駅サーバ3bに送信する(s111)。
図12、および図13に示すように、駅サーバ3は、出場用自動改札機1bから送信されてきたネガ情報を受信すると(s24)、受信したネガ情報を、設置されている駅の出場用自動改札機1bに送信する(s25)。上述したように、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず、出場用自動改札機1bがネガ情報を駅サーバ3に送信することから、駅サーバ3は、設置されている駅が一般駅であるか、2ラッチ乗継駅であるかにかかわらず、このs24、s25にかかる処理を実行する。出場用自動改札機1bは、図19、および図20に示すように、駅サーバ3から送信されてきたネガ情報を受信すると(s102)、受信したネガ情報を記憶部12に記憶する(s103)。このように、出場用自動改札機1bは、設置されている駅で出場処理されたキップの発行番号をネガ情報として記憶部12に記憶する。
また、2ラッチ乗継駅に設置されている駅サーバ3bは、図14に示すように、出場用自動改札機1bbから送信されてきた乗継者出場情報を受信すると(s26)、今回受信した乗継者出場情報をセンタ装置4に転送する(s27)。一般駅に設置されている駅サーバ3aは、出場用自動改札機1baから乗継者出場情報が送信されてくることがないので、このs26、s27にかかる処理を実行することはない。
センタ装置4は、図15に示すように、駅サーバ3bから送信されてきた乗継者出場情報を受信すると(s45)、今回受信した乗継者出場情報に含まれている出場駅コードから、今回受信した乗継者出場情報にかかる利用者が線路を乗り継ぐ場合に、この利用者にとって入場側になる2ラッチ乗継駅を抽出する(s46)。例えば、出場駅コードが駅Bである乗継者出場情報を受信したときには、s46で駅Cを抽出する。反対に出場駅コードが駅Cである乗継者出場情報を受信したときには、s46で駅Bを抽出する。センタ装置4は、s46で抽出した駅に設置されている駅サーバ3bに、今回受信した乗継者出場情報を送信する(s47)。センタ装置4は、一般駅に設置されている駅サーバ3aに対して、乗継者出場情報を送信することはない。
駅サーバ3bは、図14に示すように、センタ装置4から送信されてきた乗継者出場情報を受信すると(s28)、この乗継者出場情報を記憶部32に記憶するとともに、設置されている駅の入場用自動改札機1abに送信する(s29、s30)。2ラッチ乗継駅の入場用自動改札機1abは、図18に示すように、駅サーバ3bから送信されてきた乗継者出場情報を受信すると(s69)、受信した乗継者出場情報を記憶部12に記憶する(s70)。このように、2ラッチ乗継駅の入場用自動改札機1abは、設置されている駅の券売機2で発行されたキップの発行情報に加えて、利用者が乗継のために入場することができるキップについて乗継者出場情報を記憶部12に記憶する。
ここで、2ラッチ乗継駅に設置されている入場用自動改札機1abが、上述したs55で、設置されている駅で発行されたキップでないと判定した場合の処理について説明する。図17に示すように、入場用自動改札機1abは、記憶部12に記憶している乗継者出場情報を検索し、s54で取得した乗車券情報に該当する乗継者出場情報があれば、その乗継者情報を読み出す(s71、s72)。入場用自動改札機1abは、今回取得した乗車券情報の発行番号をキーにして記憶部12に記憶している乗継者出場情報を検索する。入場用自動改札機1abは、記憶部12に該当する乗継者出場情報を記憶していなければ、今回使用されたキップを偽造券と判断し、s56で改札通路における利用者の通行を禁止する。
入場用自動改札機1abは、該当する乗継者出場情報を記憶部12に記憶していると、この乗継者出場情報に含まれている処理状態コードが未処理であるかどうかを判定する(s73)。駅サーバ3bから入場用自動改札機1abに送信されてきた時点では、乗継者出場情報の処理状態コードは未処理である。また、後述するように、いずれかの入場用自動改札機1abで使用されたキップについては、乗継者出場情報の処理状態コードは処理済に更新されている。したがって、乗継者出場情報の処理状態コードが処理済である場合、今回の使用が最初ではない。入場用自動改札機1abは、s73で処理状態コードが処理済であると判定すると、キップの不正使用であると判断し、s56で改札通路における利用者の通行を禁止する。
入場用自動改札機1abは、s73で未処理であると判定すると、乗継者出場情報に含まれている通過時刻からの経過時間が、予め定めた乗継可能時間内(この発明で言う第1の時間内)であるかどうかを判定する(s74)。この乗継可能時間は、2ラッチ乗継駅の一方の駅から他方の駅に移動するのに要する時間等を考慮してきめておけばよい。入場用自動改札機1abは、乗継可能時間内でないと判定すると、s56で改札通路における利用者の通行を禁止する。反対に、乗継可能時間内であると判定すると、s54で取得した乗車券情報の各項目と、記憶部12から読み出した乗継者出場情報と、を項目毎に照合し、これらが一致しているかどうかを判定する(s75)。入場用自動改札機1abは、両情報に一致していない項目が1つでもあると、偽造券であると判断し、s56で改札通路における利用者の通行を禁止する。入場用自動改札機1abは、s75で両情報の全ての項目が一致していると判定すると、改札通路における利用者の通行を許可する(s76)。また、入場用自動改札機1abは、今回改札通路の通行を許可した利用者が使用したキップに該当する乗継者出場情報の処理状態コードを未処理から、処理済に更新する(s77)。入場用自動改札機1abは、利用者が改札通路を通って駅構内に入場すると(s78)、今回使用されたキップの発行番号を含む乗継者入場通知を駅サーバ3bに送信する(s79)。このs79にかかる処理が、この発明で言う第1の通知手段に相当する。
駅サーバ3bは、図14に示すように、入場用自動改札機1abから送信されてきた乗継者入場通知を受信すると、記憶部32に記憶している該当する乗継者出場情報の処理済コードを未処理から処理済に更新する(s31)。さらに、駅サーバ3bは、今回受信した乗継者入場通知を設置されている駅の入場用自動改札機1abに送信する(s32)。すなわち、駅サーバ3bは、設置されている駅の入場用自動改札機1abから送信されてきた乗継者入場通知を受信すると、この受信した乗継者入場通知を設置されている駅の他の入場用自動改札機1abに転送する。この乗継者入場通知の送信は、入場用自動改札機1abに対する一斉同報配信により行われる。すなわち、この乗継者入場通知は、送信元の自動改札機1abにも送信される。
入場用自動改札機1abは、駅サーバ3bから乗継者入場通知を受信すると(s80)、記憶部12に記憶している乗継者出場情報を検索し(s81)、該当する乗継者出場情報の処理状態コードを未処理から、処理済に更新する(s82)。このs82にかかる処理が、この発明で言う第2の設定手段に相当する。このように、いずれかの入場用自動改札機1abで改札処理されたキップにかかる乗継者出場情報は、他の入場用自動改札機1abが記憶している乗継者出場情報についても処理状態コードが未処理から処理済に更新される。したがって、同じキップが2ラッチ乗継駅での入場に複数回使用される、不正使用に対するセキュリティが確保できる。
なお、入場用自動改札機1aは、自機で処理したキップについての乗継者入場通知を受信したときには、すでに該当する乗継者出場情報の処理状態コードを未処理から処理済に更新しているので、実質的にはs82にかかる処理で、該当する乗継者出場情報の処理状態コードを未処理から処理済に更新するわけではない。また、s77にかかる処理をなくし、自機で通行処理したキップについても、s82で該当する発行情報の処理状態コードを未処理から処理済に更新するようにしてもよい。
このように、2ラッチ乗継駅に設置されている出場用自動改札機1bbは、線路の乗継のために出場することができるキップについて乗継券情報を取得し、取得した乗車券情報を記憶部12に記憶する。そして、乗継券情報を記憶しているキップが使用されたときに、このキップについて乗継者通過情報を出力する。
一方、2ラッチ乗継駅に設置されている入場用自動改札機1abは、出場用自動改札機1bbが出力した乗継者通過情報を取得し、これを記憶部12に記憶する。そして、乗継券情報を記憶しているキップが使用されたときに、利用者に対して線路の乗継のための入場を許可する。
したがって、2ラッチ乗継における利用者の線路の乗り換えを、適正に処理することができる。
なお、上記説明では、乗車券情報を2次元バーコードでキップの表面に印刷するとしたが、光学的に読み取り可能であれば、1次元バーコード等の他の形式で乗車券情報をキップの表面に印刷する構成であってもよい。
また、上記の説明では、各駅の駅サーバ3間での通信は、センタ装置4を介して行われる構成であったが、駅サーバ3間で直接通信する構成であってもよい。この場合、上述したサーバ装置4の機能を駅サーバ3に設ければよい。