JP2009074819A - Rh真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法及びこれを用いたrh真空脱ガス装置の操業方法 - Google Patents

Rh真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法及びこれを用いたrh真空脱ガス装置の操業方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009074819A
JP2009074819A JP2007241770A JP2007241770A JP2009074819A JP 2009074819 A JP2009074819 A JP 2009074819A JP 2007241770 A JP2007241770 A JP 2007241770A JP 2007241770 A JP2007241770 A JP 2007241770A JP 2009074819 A JP2009074819 A JP 2009074819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lower tank
brick
horizontal
measurement
measuring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007241770A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihito Isei
良仁 伊勢居
Shingo Takeuchi
慎吾 武内
Takatomo Endo
隆智 遠藤
Masaharu Ono
政春 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2007241770A priority Critical patent/JP2009074819A/ja
Publication of JP2009074819A publication Critical patent/JP2009074819A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Abstract

【課題】RH真空脱ガス装置が具備する真空槽の下部槽内面に設けられた煉瓦の厚みを短時間で精度良く測定できる測定方法等を提供する。
【解決手段】本発明に係る煉瓦厚み測定方法は、レーザ光を投光してからその反射光を受光するまでの時間に基づき距離を測定する方式のレーザ距離計を搭載した測定プローブを用いて煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)を算出するステップと、測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定するステップと、前記煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)と、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)とに基づき、前記煉瓦の厚みを算出するステップとを含むことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、RH真空脱ガス装置の下部槽内面に設けられた煉瓦の厚みを測定する方法及びこれを用いたRH真空脱ガス装置の操業方法に関する。特に、本発明は、下部槽内面に設けられた煉瓦の厚みを短時間で精度良く測定できる測定方法、及びこの測定方法によって測定された煉瓦の厚みに基づいてRH真空脱ガス装置の操業条件を決定することにより、煉瓦の寿命を向上させることが可能な操業方法に関する。
従来より、溶鋼の脱ガス処理を行うための装置として、図1に示すようなRH真空脱ガス装置が知られている。
図1は、RH真空脱ガス装置の概略構成を示す正面方向から見た断面図である。図1に示すように、RH真空脱ガス装置100は、円筒状の容器である真空槽(脱ガス槽)10を具備する。真空槽10は、上部槽(胴部槽)101と下部槽102とに分割された構成となっている。すなわち、下部槽102は上部槽101に対して脱着自在とされている。下部槽102の下方には、2本の環流管(浸漬管)20a,20bが、下部槽102に脱着自在に取り付けられている。2本の環流管20a,20bの内、一方の環流管20aは、その内部に流入した溶鋼を上昇させる機能を奏するために上昇管と呼ばれ、他方の環流管20bは、その内部に流入した溶鋼を下降させる機能を奏するために下降管と呼ばれる。上昇管20aの側壁には、溶鋼搬送用ガスGを外部から上昇管20a内に吹き込むための吹込孔201が設けられている。
上記の構成を有する真空脱ガス装置100を用いて溶鋼Mの脱ガス処理を行う際には、上昇管20a及び下降管20bを取鍋200内の溶鋼Mに浸漬させると共に、吹込孔201を介して上昇管20a内にAr等の溶鋼搬送用ガスGを吹き込む。吹き込まれたガスGが上昇管20a内を上昇するのに伴って取鍋200内の溶鋼Mも上昇し、真空槽10内に到達する。真空槽10内に到達した溶鋼Mは、下降管20b内を下降して再び取鍋200内に戻る。以上の動作が繰り返されることにより、溶鋼Mは、取鍋200、上昇管20a、真空槽10及び下降管20b内を環流し、真空槽10内で脱ガス処理が行われる。
以上のように、真空槽10は、その内部で高温の溶鋼Mの脱ガス処理を行うため、その側壁が耐火煉瓦を用いたライニング構造とされている。より具体的に説明すれば、真空槽10の最外面には、鉄皮が設けられ、その鉄皮の内側に、交換しない永久煉瓦が設けられている。さらに、永久煉瓦の内側には、不定形耐火物を介して、ウエア煉瓦という交換可能な煉瓦が設けられている。すなわち、真空槽10は、外面側から内面側に向けて、鉄皮、永久煉瓦、不定形耐火物及びウエア煉瓦が積み重ねられた構造を有する。
ここで、溶鋼Mに接するのは主として下部槽102であるため、下部槽102の内面に設けられたウエア煉瓦は、溶鋼Mの熱によって溶損する速度が速い。特に、下部槽102の内面に設けられた上昇管20a側のウエア煉瓦は、溶鋼搬送用ガスGを含む高流速の溶鋼Mが接するため、機械的な摩耗も顕著となり、局部的な溶損が生じ易い。このため、適当な脱ガス処理回数毎に溶鋼Mの環流方向を変更することにより、下部槽102のウエア煉瓦全周に亘ってできる限り均等な溶損が生じるように操業することが望ましい。具体的には、適当な脱ガス処理回数毎に上昇管20a及び下降管20bを下部槽102から取り外し、これらの取り付け位置を入れ替えて再び下部槽102に取り付けることにより、溶鋼Mの環流方向を変更することが望ましい。
また、脱ガス処理の時間を短縮する観点からは、溶鋼搬送用ガスGの流速を高く設定することが望ましい。しかしながら、溶鋼搬送用ガスGの流速が高すぎると、前述のように上昇管20a付近のウエア煉瓦に局部的な溶損が生じ易くなる。このため、上昇管20a付近のウエア煉瓦の溶損と、これ以外のウエア煉瓦の溶損とが均等に生じるように、溶鋼搬送用ガスGの流速を設定するのが望ましい。
なお、溶損が進行してウエア煉瓦の厚みが小さくなり、一部分でも永久煉瓦が露出すると、下部槽102のウエア煉瓦の寿命が尽きたと判断される。そして、この下部槽102は上部槽101から取り外され、溶損したウエア煉瓦を新しいウエア煉瓦に交換して積み替える作業が行われる。
下部槽102の内面に設けられたウエア煉瓦を全周に亘ってできる限り均等に溶損させ、限界の厚みとなるまで効率良く使用するには、脱ガス処理に使用中の真空槽10、或いは、使用の合間の待機中である真空槽10の下部槽102に設けられたウエア煉瓦の厚み(厚み分布)を精度良く測定することが望ましい。そして、その測定結果に基づき、溶鋼を環流させる条件、すなわち、溶鋼の環流方向や環流速度(溶鋼搬送用ガスGの流速)を適切に設定すると共に、下部槽102に設けられたウエア煉瓦の交換のタイミングを正確に判断することが望ましい。
従来、下部槽102の内面に設けられた煉瓦の厚みを把握する方法として、下部槽102の鉄皮表面の温度を測定して煉瓦厚みを推定する方法や、下部槽102内にレーザ距離計や観察用カメラを搭載した測定プローブを挿入して、煉瓦の水平方向の内断面形状を測定したり、煉瓦の表面を観察する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平1−145514号公報 特開2006−299314号公報
鉄皮表面の温度を測定して煉瓦厚みを推定する方法は、下部槽の内面に設けられた煉瓦が薄くなり、下部槽内の高い温度が鉄皮表面に伝熱する段階になった場合に適用可能である。具体的には、下部槽の鉄皮表面の最大温度が経験的に決めた基準値を超えた場合に、下部槽の煉瓦の寿命が尽きたと判断して煉瓦を交換する。このため、下部槽の煉瓦が未だ比較的厚い場合において、煉瓦の厚み分布の変化具合や実際の厚みの寸法を把握するのは不可能であり、煉瓦に均等な溶損を生じさせるための溶鋼の環流条件(環流方向や環流速度)の設定には使用できない。結果的に、局部的に生じる溶損によって、下部槽の煉瓦寿命が決まってしまうという問題がある。
特許文献1や2に記載の方法において、観察用カメラによる煉瓦表面の観察に加えて、レーザ距離計による煉瓦の水平方向の内断面形状の測定が行われるのは、煉瓦表面の観察のみでは実際の煉瓦厚みを定量的に求めることができないためである。しかし、レーザ距離計によって煉瓦の水平方向の内断面形状を測定することにより実際の煉瓦厚みを正確に算出するには、以下のような2つの問題がある。
(1)煉瓦表面までの距離測定に関する問題
第1の問題は、レーザ距離計により煉瓦表面までの距離を測定する際の距離測定範囲に関する問題である。下部槽内に測定プローブを挿入可能な位置は、下部槽の中心軸から外れた位置に取り付けられている環流管(浸漬管)の取り付け位置に限られるため、煉瓦表面までの距離を測定するレーザ距離計の測定範囲としては、数百mmと非常に近い距離から2m程度の遠い距離までと、非常に広い測定範囲が必要である。一般的な三角測量方式のレーザ距離計では、上記のような広い距離測定範囲を精度良く測定することは困難である。
より具体的に説明すれば、三角測量方式のレーザ距離計で測定分解能を向上させるためには、レーザ光の光軸と、測定対象物に照射されたレーザスポットの位置を検出するセンサ(一般にCCDカメラや、PSDが用いられる)の光軸との成す角度を大きくする必要がある。このため、高分解能での距離測定を実現した上で、距離測定範囲を広げようとすると、大きさの限られた測定プローブ内にレーザ距離計を搭載できなくなる。また、前記角度を調整することなく、広い距離測定範囲で煉瓦表面に照射されたレーザスポットの位置を検出できるようにセンサを配置することは困難である。
特許文献1には、一般的な三角測量方式のレーザ距離計における距離測定範囲の不足を補うため、カメラの光軸(視野中心線)上にレーザスポットが位置するように、レーザ光の照射角度(光軸角度)を測定する距離に応じて変更し、カメラの光軸上にレーザスポットが位置するときのレーザ光の照射角度に基づき、煉瓦表面までの距離を求める方法が提案されている。しかしながら、このような方法では、レーザ光の光軸を測定距離に応じて変更することに伴い、1点の距離測定に時間を要するため、実際の運用は困難である。
また、別の方法として、三角測量方式のレーザ距離計を搭載した測定プローブを、2本の環流管のそれぞれから順次挿入して、各挿入位置で測定可能な範囲についてのみ煉瓦の水平方向の内断面形状を測定し、各挿入位置での測定結果を繋ぎ合わせることも考えられる。しかしながら、このような方法では、測定時間が2倍になるため作業効率の点で好ましくない。
(2)下部槽と測定プローブとの相対位置関係に関する問題
第2の問題は、下部槽と測定プローブとの相対位置関係が煉瓦厚みの測定精度に及ぼす影響に関する問題である。一般的にRH真空脱ガス装置の真空槽は上下方向のみならず水平方向にも移動可能とされており、なお且つ、測定プローブを挿入可能な位置が環流管の取り付け位置に限られている。このため、測定プローブと下部槽との相対位置関係(水平方向の相対位置関係)を正確に求めなくては、たとえ煉瓦の水平方向の内断面形状を精度良く測定できたとしても、正確な煉瓦厚みを算出することができない。
特許文献2には、測定プローブの回転軸と環流管の中心軸との位置ずれ量を測定し、レーザ距離計によって測定した煉瓦の水平方向の内断面形状を、前記測定した位置ずれ量を用いて補正する方法が提案されているが、この方法を実際に適用するには困難が生じる。つまり、上記位置ずれ量の測定方法としては、真空槽(特許文献2では、RH炉)を移動させる移動機構(特許文献2では、台車)と環流管の中心軸との水平方向の相対位置関係を事前に把握しておくと共に、真空槽移動機構と測定プローブの回転軸との水平方向の相対位置関係も事前に把握しておき、真空槽移動機構の水平方向位置を測定することによって間接的に測定する方法が考えられる。しかしながら、真空槽移動機構に対する環流管の中心軸の位置測定が困難であるばかりでなく、大掛かりな真空槽移動機構の位置を正確に測定し制御するのは困難である。
また、上記の位置ずれ量を測定する別の方法として、測定プローブを移動させるための移動機構(台車など)にカメラ等のセンサを取り付け、このセンサによって環流管の中心軸の水平方向位置を直接測定する方法も考えられる。しかしながら、使用中(使用の合間の待機中)の環流管表面には取鍋内のスラグが付着し、且つ、環流管内面は溶損して初期の真円断面とはなっていないため、外面及び内面の何れからも正確な還流管の中心軸の水平方向位置を測定するのは困難である。
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するためになされたものであり、RH真空脱ガス装置が具備する真空槽の下部槽内面に設けられた煉瓦の厚みを短時間で精度良く測定できる測定方法、及びこの測定方法によって測定された煉瓦の厚みに基づいてRH真空脱ガス装置の操業条件を決定することにより、煉瓦の寿命(煉瓦の交換が必要になるまでの脱ガス処理の回数)を向上させることが可能な操業方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、RH真空脱ガス装置が具備する円筒状の真空槽を構成する下部槽の内面に設けられた煉瓦の厚みを測定する方法であって、以下の第1ステップ〜第4ステップを含むことを特徴とするRH真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法を提供する。
(1)第1ステップ:
レーザ光を投光してからその反射光を受光するまでの時間に基づき距離を測定する方式のレーザ距離計を搭載した測定プローブを、煉瓦厚みを測定する対象である下部槽の下方に取り付けられた環流管内に挿入し上昇させて前記測定対象下部槽内に挿入する。
(2)第2ステップ:
前記第1ステップで測定対象下部槽内に挿入した測定プローブをその軸周りに回転させながら、前記レーザ距離計によって前記測定対象下部槽内の煉瓦表面までの水平方向距離を測定し、該距離測定値及び前記測定プローブの回転角度により、前記煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)を算出する。
(3)第3ステップ:
前記第2ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定対象下部槽及び前記測定プローブについて、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定する。
(4)第4ステップ:
前記第2ステップで算出した煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)と、前記第3ステップで測定した前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)とに基づき、前記煉瓦の厚みを算出する。
本発明では、第1及び第2ステップにおいて、測定対象下部槽内の煉瓦(前述したウエア煉瓦に相当)の表面(煉瓦の内面(鉄皮側と反対側の表面))までの水平方向距離を測定するレーザ距離計として、レーザ光を投光してからその反射光を受光するまでの時間に基づき距離を測定する方式のレーザ距離計を用いる。このため、レーザ光の投光部と受光部との距離を短くすることができるので、従来の三角測量方式のレーザ距離計を用いる場合と異なり、測定プローブ内に搭載可能な大きさでも、広い距離測定範囲を精度良く測定可能である。また、広い距離測定範囲を精度良く測定できるので、測定距離に応じてレーザ光の光軸を変更するといった調整が不要であると共に、何れか1本の環流管から挿入した位置で測定対象下部槽の内面に設けられた全ての煉瓦表面までの水平方向距離を測定できるため、短時間での距離測定が可能となる。
以上のように、本発明によれば、測定対象下部槽の内面に設けられた煉瓦表面までの水平方向距離、ひいては煉瓦の水平方向の内断面形状(煉瓦の内面の水平方向断面形状)(X,Y)を短時間で精度良く測定することが可能である。
また、本発明は、第3ステップにおいて、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定し、第4ステップにおいて、煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)と、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)とに基づき、煉瓦の厚みを算出する。
より具体的に説明すれば、第3ステップにおいて、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定(測定プローブの回転軸の水平方向位置と測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置とのずれ量を測定)することにより、第2ステップで測定した煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)(これは、測定プローブの回転軸を基準とする座標系で表される)を、測定対象下部槽の中心軸を基準とする座標系に補正することが可能である。
一方、測定対象下部槽の内面に設けられた煉瓦は、測定対象下部槽の中心軸周りに円筒状に配置されているため、その水平方向の外断面形状(煉瓦の外面(鉄皮側の表面)の水平方向断面形状)は、測定対象下部槽の中心軸を中心とする円形状になる。換言すれば、煉瓦の水平方向の外断面形状は、測定対象下部槽の中心軸を基準とする座標系で表すことができ、その寸法(直径)は、例えば、鉄皮の直径や厚み等の設計値を用いて算出可能である。
従って、第4ステップにおいて、例えば、測定対象下部槽の中心軸を基準とする座標系でそれぞれ表された、煉瓦の水平方向の外断面形状と煉瓦の水平方向の内断面形状との差を算出すれば、その断面における煉瓦の厚みを正確に算出することができる。
また、逆に、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を用いて、測定下部槽の内面に設けられた煉瓦の水平方向の外断面形状を測定プローブの回転軸を基準とする座標系で表し、同じく測定プローブの回転軸を基準とする座標系で表された煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)との差を算出することによっても、煉瓦の厚みを正確に算出することが可能である。
以上のように、本発明によれば、レーザ光を投光してからその反射光を受光するまでの時間に基づき距離を測定する方式のレーザ距離計を用いて煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)を精度良く測定すると共に、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定し、両測定結果に基づき煉瓦の厚みを算出するため、煉瓦の厚みを短時間で精度良く測定することができる。
なお、本発明において、第3ステップを実行する順番は、第2ステップを実行した後に限るものではなく、第4ステップを実行するよりも前であり、なお且つ第3ステップを実行する際の測定対象下部槽及び測定プローブが第2ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある限りにおいて、いずれの順番で実行することも可能である。具体的には、例えば、所定の移動機構によって測定対象下部槽及び測定プローブをそれぞれ上記距離測定時と同じ水平方向位置に移動させた後、測定プローブを上昇させる前のタイミング(すなわち、第1ステップの実行前)で第3ステップを実行することも可能であるし、上記距離測定後に測定プローブを下降させたタイミング(すなわち、第2ステップの実行後)で第3ステップを実行することも可能である。
ここで、上記の第3ステップにおいて、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定するには、例えば、測定プローブの回転軸の水平方向位置と、測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置との双方をそれぞれ測定すればよい。
測定プローブの回転軸の水平方向位置は、例えば、レーザ距離計(この場合は、三角測量方式のレーザ距離計でもよい)を用いて、所定の基準位置から測定プローブまでの水平方向距離を直接測定し、その距離測定値及び測定プローブの形状寸法から算出することが可能である。或いは、レーザ距離計(この場合は、三角測量方式のレーザ距離計でもよい)を用いて、所定の基準位置から測定プローブを水平方向に移動させるための移動機構までの距離を測定し、その距離測定値及び移動機構と測定プローブの回転軸との水平方向の相対位置関係から算出してもよい。
一方、測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置は、測定対象下部槽の外面に設けられた鉄皮表面(外面)の水平方向位置を測定することによって算出可能である。そして、鉄皮表面の水平方向位置は、例えば、レーザ距離計(この場合は、三角測量方式のレーザ距離計でもよい)を用いて、所定の基準位置から鉄皮表面(外面)までの水平方向距離を測定することによって求めることができる。具体的には、鉄皮の水平方向の外断面形状は、測定対象下部槽の中心軸を中心とする円形状であるため、例えば、鉄皮表面の3箇所以上の水平方向位置(距離)を測定することにより、鉄皮の水平方向の外断面形状を形成する近似円を算出し、その近似円の中心位置を測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置とすることが可能である。鉄皮表面の水平方向位置の測定箇所の数は、測定対象下部槽の移動機構の位置決め精度や、測定対象下部槽の寸法のバリエーション、熱膨張の有無等に応じて決定すればよい。移動機構による測定対象下部槽の移動方向が一方向であり、移動機構への測定対象下部槽の設置再現性が高く、脱ガス処理を繰り返しても鉄皮の変形が殆ど無く、なお且つ鉄皮の直径が常に一定であるならば、鉄皮表面の1箇所の水平方向位置(測定対象下部槽の移動方向の距離)を測定することによっても、測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置を算出することが可能である。
すなわち、好ましくは、前記第3ステップは、以下の第3−1ステップ〜第3−3ステップを含むものとされる。
(1)第3−1ステップ:
前記第2ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定対象下部槽について、所定の基準位置から前記測定対象下部槽の外面に設けられた鉄皮表面までの水平方向距離を測定し、該距離測定値に基づき、前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置を算出する。
(2)第3−2ステップ:
前記第2ステップで前記測定対象下部槽の煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定プローブについて、所定の基準位置から前記測定プローブまでの水平方向距離を測定し、該距離測定値に基づき、前記測定プローブの回転軸の水平方向位置を算出する。
(3)第3−3ステップ:
前記第3−1ステップで算出した前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置と、前記第3−2ステップで算出した前記測定プローブの回転軸の水平方向位置とに基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する。
なお、第3−1ステップで鉄皮表面までの水平方向距離を測定する基準位置と、第3−2ステップで測定プローブまでの水平方向距離を測定する基準位置とは、同一の位置に限らず、異なる位置であってもよい。双方の基準位置を同一の位置とすることができれば、測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置と、測定プローブの回転軸の水平方向位置とを、互いに同一の座標系で算出することができるため、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する際に、座標系の補正が不要である点で好都合である。しかしながら、設備上の制約等から、双方の基準位置を同一の位置とすることが難しい場合が多い。この場合には、両基準位置の相対位置関係を予め把握しておけば、算出した測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置及び測定プローブの回転軸の水平方向位置を、前記相対位置関係を用いて同一の座標系に補正することが可能である。
上記の第3ステップにおいて、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定する方法としては、上述した第3−1ステップ〜第3−3ステップを含む方法に限らず、内面に設けられた煉瓦が実質的に侵食されておらず且つ煉瓦の厚みが既知である参照用の下部槽を用いる方法を採用してもよい。
この参照用の下部槽(未使用の下部槽や脱ガス処理に用いた回数の少ない下部槽(例えば、1回だけ溶鋼の脱ガス処理に用いた直後の下部槽))は、内面に設けられた煉瓦が実質的に侵食されていないため、その煉瓦の水平方向の内断面形状は、参照用下部槽の中心軸を中心とする円形状になる。従って、測定対象下部槽の場合と同様に、測定プローブを用いて参照用下部槽に設けられた煉瓦の内断面形状を測定すれば、例えば、この内断面形状を形成する近似円を算出して、その近似円の中心位置を参照用下部槽の中心軸の水平方向位置とすることが可能である。
測定プローブを用いて測定した参照用下部槽の煉瓦の内断面形状は、測定プローブの回転軸を基準とする座標系で表されるため、上記のようにして算出した参照用下部槽の中心軸の水平方向位置も、測定プローブの回転軸を基準とする座標系で表される。すなわち、上記のようにして算出した参照用下部槽の中心軸の水平方向位置は、測定プローブの回転軸に対する参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置に相当する。
従って、例えば、測定プローブを用いて下部槽(参照用下部槽及び測定対象下部槽)の煉瓦の内断面形状を順次測定する時に、下部槽及び測定プローブの水平方向位置の再現性が高い(移動機構による下部槽及び測定プローブの水平方向の位置決め精度が高い)場合には、前記算出した測定プローブの回転軸に対する参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置を、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)としてそのまま用いることが可能である。
すなわち、前記第3ステップは、以下の第3−4ステップ〜第3−7ステップを含むものとしてもよい。
(1)第3−4ステップ:
前記レーザ距離計を搭載した測定プローブを、内面に設けられた煉瓦が実質的に侵食されておらず且つ煉瓦の厚みが既知である参照用の下部槽の下方に取り付けられた環流管内に挿入し上昇させて前記参照用下部槽内に挿入する。
(2)第3−5ステップ:
前記第3−4ステップで参照用下部槽内に挿入した測定プローブをその軸周りに回転させながら、前記レーザ距離計によって前記参照用下部槽内の煉瓦表面までの水平方向距離を測定し、該距離測定値及び前記測定プローブの回転角度により、前記煉瓦の水平方向の内断面形状(XSi,YSi)を算出する。
(3)第3−6ステップ:
前記第3−5ステップで算出した煉瓦の水平方向の内断面形状(XSi,YSi)に基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)を算出する。
(4)第3−7ステップ:
前記第3−6ステップで算出した参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)に基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する。
この第3−4ステップ〜第3−7ステップを含む方法によれば、前述した第3−1ステップ〜第3−3ステップを含む方法と異なり、測定プローブの回転軸の水平方向位置を測定する必要が無く、測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置さえ測定(算出)すれば、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出できる点で好都合である。換言すれば、第3−4ステップ〜第3−7ステップを含む方法は、第3−1ステップ〜第3−3ステップを含む方法と異なり、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する上で、測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置と測定プローブの回転軸の水平方向位置とを、互いに同一の座標系で測定したり、同一の座標系となるように補正する必要がない点で好都合である。
なお、上記の第3−4ステップ〜第3−7ステップを含む方法において、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)をより一層精度良く算出するには、測定プローブを用いて下部槽(測定対象下部槽及び参照用下部槽)の煉瓦の内断面形状を順次測定する時に、下部槽及び測定プローブの水平方向位置にそれぞれ生じ得る変化量を考慮することが好ましい。換言すれば、測定プローブの回転軸に対する参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)を、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)としてそのまま用いるのではなく、上記の変化量を測定し、この測定値を用いて参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)を補正することにより、測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出することが好ましい。
すなわち、前記第3−7ステップは、以下の第3−7−1ステップ〜第3−7−3ステップを含むことが好ましい。
(1)第3−7−1ステップ:
前記第3−5ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記参照用下部槽について、所定の基準位置から前記参照用下部槽の外面に設けられた鉄皮表面までの水平方向距離を測定すると共に、前記第2ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定対象下部槽について、所定の基準位置から前記測定対象下部槽の外面に設けられた鉄皮表面までの水平方向距離を測定し、これら距離測定値の差に基づき、前記第3−6ステップで算出した前記参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)を算出する。
(2)第3−7−2ステップ:
前記第3−5ステップで前記参照用下部槽の煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定プローブについて、所定の基準位置から前記測定プローブまでの水平方向距離を測定すると共に、前記第2ステップで前記測定対象下部槽の煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定プローブについて、所定の基準位置から前記測定プローブまでの水平方向距離を測定し、これら距離測定値の差に基づき、前記測定プローブの回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)を算出する。
(3)第3−7−3ステップ:
前記第3−6ステップで算出した参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)と、前記第3−7−1ステップで算出した測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)と、前記第3−7−2ステップで算出した測定プローブの回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)とに基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する。
斯かる好ましい方法によれば、参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)のみならず、これに、測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)と、測定プローブの回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)とを考慮して、測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出するため、算出精度がより一層高まるという利点を有する。
なお、この好ましい方法において、測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)と、測定プローブの回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)とは、互いに同一の座標系で測定したり、同一の座標系となるように補正する必要がない。また、測定プローブの回転軸の水平方向位置については、その変化量(ΔX,ΔX)さえ測定できれば良いため、必ずしも測定プローブの回転軸の水平方向位置自体を測定する必要はない。例えば、所定の基準位置から測定プローブを水平方向に移動させるための移動機構までの距離を測定し、この距離の変化量を(ΔX,ΔX)とすればよい。
ここで、搭載するレーザ距離計が下部槽内面からの熱放射や下部槽内に存在するヒュームや粉塵に晒されれば、レーザ距離計の故障や測定誤差が発生する虞がある。これを抑制するには、レーザ距離計を囲繞する冷却・断熱構造を具備すると共に、レーザ距離計から投光されたレーザ光及びその煉瓦表面からの反射光を透過させるための光学窓を具備する測定プローブを用いることが好ましい。
しかしながら、本発明において、例えば、波長900nmで半値幅10〜20nsec程度のパルスレーザ光を測定対象に向けて投光し、該測定対象から戻ってきた反射光を受光するまでの飛行時間を測定して、測定対象までの距離に換算する(距離=飛行時間/2×光速)方式のレーザ距離計を用いるとすると、パルスレーザ光の長さは3〜6m(10〜20nsec×光速)程度になる。このため、レーザ距離計から投光されたパルスレーザ光の一部が光学窓で反射すると、該光学窓からの反射光と測定対象(本発明では、下部槽内の煉瓦表面)からの反射光とが重なって受光され、両反射光の識別ができなくなる結果、測定誤差が生じる虞がある。
従って、上記測定誤差発生の虞を回避するには、光学窓とレーザ距離計との間に、投光及び受光のそれぞれの光路を仕切るための仕切部材を設け、光学窓からの反射光がレーザ距離計に受光されないようにすることが好ましい。
すなわち、好ましくは、前記測定プローブは、前記レーザ距離計から投光されたレーザ光及びその煉瓦表面からの反射光を透過させるための光学窓と、前記光学窓と前記レーザ距離計との間に設けられ、投光及び受光のそれぞれの光路を仕切るための仕切部材とを備える構成とされる。
また、前記課題を解決するため、本発明は、上記何れかの測定方法によって測定された下部槽内の煉瓦厚みに基づき、溶鋼の環流方向及び/又は溶鋼搬送用ガスの流速を決定することを特徴とするRH真空脱ガス装置の操業方法としても提供される。
斯かる発明によれば、上記何れかの測定方法によって精度良く測定された下部槽内面に設けられた煉瓦の厚みに基づき、溶鋼の環流方向及び/又は溶鋼搬送用ガスの流速を決定するため、煉瓦の寿命(煉瓦の交換が必要になるまでの脱ガス処理の回数)を向上させることが可能である。
本発明によれば、RH真空脱ガス装置が具備する真空槽の下部槽内面に設けられた煉瓦の厚みを短時間で精度良く測定できると共に、煉瓦の寿命を向上させることが可能である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
<本発明の概要>
図2は、本発明に係るRH真空脱ガス装置の下部槽煉瓦厚み測定方法を実施するための装置(以下、煉瓦厚み測定装置という)の構成例を模式的に示す正面方向から見た断面図である。
RH真空脱ガス装置の真空槽10(図2には下部槽102のみ図示)は、図1を用いて前述したのと同様の構成を有する。真空槽10は、図示省略の所定の移動機構(例えば、ターンテーブル等)によって吊設されており、該移動機構によって、溶鋼の脱ガス処理を行う位置(図1参照)から、下部槽102の煉瓦厚みを測定する位置(図2に示す位置)に移動する。そして、図2に示す位置において、後述するように、煉瓦厚み測定装置により下部槽102の内面に設けられた煉瓦(ウエア煉瓦)102bの厚みが測定される。この測定結果に基づき、必要に応じて、上昇管20a及び下降管20bの取り付け位置を入れ替えたり、溶損した煉瓦を交換したりした後、真空槽10は、前記移動機構によって再び溶鋼の脱ガス処理を行う位置に移動し、脱ガス処理に用いられる。
図2に示すように、本実施形態に係る煉瓦厚み測定装置は、レーザ距離計12を搭載した測定プローブ1と、測定プローブ1を昇降・回転させるための駆動機構2と、測定プローブ1を水平方向に移動させるための移動機構3と、駆動機構2やレーザ距離計12の動作を制御するためのコントローラ4と、コントローラ4から出力される出力値等に基づき下部槽102の煉瓦厚みを演算する演算装置5とを備えている。また、本実施形態に係る煉瓦厚み測定装置は、下部槽102の鉄皮102a表面までの水平方向距離を測定するためのレーザ距離計6と、測定プローブ1を取り付けた移動機構3までの水平方向距離を測定するためのレーザ距離計7とを備える。
図3は、本実施形態に係る測定プローブ1の概略構成を示す正面方向から見た断面図である。図3に示すように、本実施形態に係る測定プローブ1は、レーザ距離計12を搭載するための筐体11を具備する。筐体11の内壁側には冷却水を流通させる配管111が設けられ、外壁側には断熱材112が設けられている。この筐体11内には、レーザ距離計12(具体的には、レーザ距離計12の光学ヘッド121)、CCDカメラ13、照明14、及び一対の反射ミラー15が取り付けられている。一対の反射ミラー15は、後述する仕切部材18を挟んで図3の紙面に垂直な方向に並置されている。また、筐体11の側壁には、光学ヘッド121から投光されたレーザ光及びその煉瓦表面からの反射光を透過させるための光学窓16が取り付けられている。この光学窓16は、CCDカメラ13による煉瓦102b表面の観察用の窓としての機能も奏する。さらに、筐体11の側壁には、CCDカメラ13による煉瓦102b表面の観察時に照明14からの光を煉瓦表面に向けて透過させるための光学窓17も取り付けられている。
光学窓16、17は、下部槽102内面からの熱放射によって筐体11の内部温度が上昇することを抑制するため、1μm以上の赤外線を反射する熱線反射コーティングを施すことが好ましい。また、下部槽102内に存在するヒュームや粉塵による曇りや汚れを抑制するため、光学窓16、17には窒素ガス等のパージガスを常時吹き付けることが好ましい。
上記の構成を有する測定プローブ1に搭載されたレーザ距離計12の光学ヘッド121からレーザ光Lを投光すれば、このレーザ光Lは、反射ミラー15及び光学窓16を介して、測定対象(本実施形態では、下部槽102の内面に設けられた煉瓦102b表面)に照射される。測定対象からの反射光は、同様の経路を辿って光学ヘッド121に受光され、これにより測定対象までの距離が測定される。一方、照明14から光を投光すれば、この光は、光学窓17を介して、観察対象(本実施形態では、下部槽102の内面に設けられた煉瓦102b表面)に照射される。この状態で、CCDカメラ13により光学窓17を介して観察対象を撮像すれば、観察対象の状態を観察することができる。
本発明に係るレーザ距離計としては、レーザ光を投光してからその反射光を受光するまでの時間に基づき距離を測定する方式の距離計が用いられる。この方式のレーザ距離計の中でも、特に本実施形態に係るレーザ距離計12としては、パルスレーザ光を用いたTOF(Time Of Flight)方式の距離計が用いられている。すなわち、本実施形態に係るレーザ距離計12は、パルスレーザ光を測定対象に向けて投光し、該測定対象から戻ってきた反射光を受光するまでの飛行時間を測定して、測定対象までの距離に換算する(距離=飛行時間/2×光速)方式である。
図4は、本実施形態に係るレーザ距離計12の概略構成を示す模式図である。図4における光学ヘッド121は、上面から見た断面図で表している。図4に示すように、本実施形態に係るレーザ距離計12は、設置スペースの限られる測定プローブ1内にレーザ距離計を搭載するため、光学ヘッド121と距離計本体122とが分離された構成とされている。より具体的には、レーザ距離計12は、光学ヘッド121と、距離計本体122と、光学ヘッド121及び距離計本体122の間に光を伝搬させるための光ファイバ123とを備えている。そして、光学ヘッド121が測定プローブ1に搭載される一方、距離計本体122は駆動機構2(具体的には、後述する台車22)に搭載されている。
光学ヘッド121は、投光光学系121a及び受光光学系121bを具備する。距離計本体122は、パルスレーザ光を出射するレーザ光源122a、検出器122b及び時間差測定器122cを具備する。レーザ光源122aから出射したパルスレーザ光Lは、光ファイバ123を伝搬して、投光光学系121aから下部槽102の煉瓦102b表面に投光される。一方、煉瓦102b表面で反射した光L’は、受光光学系121bで受光され、光ファイバ123を伝搬して、検出器122bで検出される。時間差測定器122cは、パルスレーザ光Lを投光してからその反射光L’を受光するまでの時間(すなわち、レーザ光源122aからパルスレーザ光Lを出射したタイミングと、検出器122bで反射光L’を検出したタイミングとの時間差)を算出し、この時間に基づいて煉瓦102b表面までの距離を演算する。演算した煉瓦102b表面までの距離は、コントローラ4に出力される。
なお、図4に示すように、本実施形態に係る測定プローブ1は、好ましい構成として、光学窓16とレーザ距離計12(光学ヘッド121)との間に設けられ、投光及び受光のそれぞれの光路を仕切るための仕切部材18を備えている。この仕切部材18を設けることにより、投光光学系121aから投光されたパルスレーザ光Lの一部が光学窓16で反射したとしても、その反射光が受光光学系121bで受光される虞を回避できる。従って、光学窓16からの反射光と下部槽102内の煉瓦102b表面からの反射光とが重なって受光されることがなく、測定精度を良好に維持することができる。
また、本実施形態では、レーザ距離計12として、パルスレーザ光を用いたTOF(Time Of Flight)方式の距離計を用いているが、本発明はこれに限るものではなく、レーザ光を投光してからその反射光を受光するまでの時間に基づき距離を測定する方式の距離計である限りにおいて、種々の距離計を用いることが可能である。例えば、連続波のレーザ光の強度を周波数変調したものを測定対象に向けて投光し、この投光光と測定対象から戻ってきた反射光との位相差を測定して、測定対象までの距離に換算する方式のレーザ距離計を用いることも可能である。
本実施形態に係る駆動機構2は、移動機構3に立設された管状の筐体21と、筐体21内で昇降可能とされた台車22と、台車22に立設された支持体23とを具備する。支持体23の上端には、測定プローブ1が取り付けられる。また、支持体23は、その軸周りに回転可能とされている。台車22が昇降することにより、支持体23及びこれに取り付けられた測定プローブ1が昇降することになる。また、支持体23が回転することにより、これに取り付けられた測定プローブ1もその軸周りに回転することになる。台車22を昇降させる動力源及び支持体23を回転させる動力源としては、それぞれモータ(図示せず)が用いられており、各モータの回転軸にはロータリーエンコーダが取り付けられている。これらロータリーエンコーダの計測値は、コントローラ4に出力される。
本実施形態に係る移動機構3としては、水平な一方向に移動可能とされた台車が用いられている。移動機構3を移動させることにより、筐体21、台車22及び支持体23を介して、移動機構3に連結された測定プローブ1も水平方向に移動することになる。
本実施形態に係るコントローラ4は、前述のように、駆動機構2やレーザ距離計12の動作を制御する機能を有する。また、コントローラ4には、レーザ距離計12によって測定した煉瓦102b表面までの距離測定値や、台車22を昇降させるモータ及び支持体23を回転させるモータにそれぞれ取り付けられたロータリーエンコーダの計測値が入力される。そして、コントローラ4は、台車22を昇降させるモータに取り付けられたロータリーエンコーダの計測値に基づき、台車22の上下方向位置、ひいては測定プローブ1の上下方向位置を算出可能とされている。また、コントローラ4は、支持体23を回転させるモータに取り付けられたロータリーエンコーダの計測値に基づき、支持体23の回転角度、ひいては測定プローブ1の回転角度を算出可能とされている。煉瓦102b表面までの距離測定値、測定プローブ1の上下方向位置及び測定プローブ1の回転角度は、演算装置5に出力される。
本実施形態に係る演算装置5は、後述するように、煉瓦102bの水平方向の内断面形状(X,Y)、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)、煉瓦102bの厚みTWi等を算出するためのソフトウェアがインストールされたパーソナルコンピュータ等によって構成される。演算装置5には、前述のように、煉瓦102b表面までの距離測定値、測定プローブ1の上下方向位置及び測定プローブ1の回転角度が入力される他、必要に応じてレーザ距離計6及び7による距離測定値が入力される。
本実施形態に係るレーザ距離計6、7としては、測定プローブ1に搭載されるレーザ距離計12と異なり、測定に要する時間の制約(高速応答速度の必要性)や、高温での測定の必要性がないため、例えば、建築用途等に使用されるハンディタイプの光波測距方式のレーザ距離計を用いることが可能である。レーザ距離計6、7は、例えば、工場建家の柱P1やデッキP2等の適宜の位置に取り付ければよい。レーザ距離計6は、レーザ光の投光方向が下部槽102の中心軸近傍を通るように、その向きを設定して取り付けることが好ましい。なお、図2では、1個のレーザ距離計6のみを図示しているが、後述のように、実際には複数個のレーザ距離計6を用いることが好ましい。複数個のレーザ距離計6を用いる場合、各レーザ距離計6は、それぞれのレーザ光の投光方向が下部槽102の中心軸近傍を通るように、その向きをそれぞれ設定して取り付けることが好ましい。また、レーザ距離計7は、レーザ光の投光方向が移動機構3の移動方向とほぼ平行になるように、その向きを設定して取り付けることが好ましい。なお、本実施形態と異なり、移動機構3の移動方向が複数の方向である場合には、移動方向に応じた数のレーザ距離計7を用いればよい。そして、複数個のレーザ距離計7を用いる場合、各レーザ距離計7は、それぞれのレーザ光の投光方向が移動機構3の移動方向とほぼ平行になるように、その向きをそれぞれ設定して取り付けることが好ましい。
以上に説明した構成を有する煉瓦厚み測定装置を用いて下部槽102の煉瓦厚みを測定するに際しては、まず最初に、移動機構3に取り付けられた測定プローブ1の回転軸が、煉瓦厚みを測定する対象である下部槽(測定対象下部槽)102の下方に取り付けられた環流管20a、20bの何れか一方(図2に示す例では、環流管20a)の直下に位置するように、移動機構3を移動させる。次に、駆動機構2により、測定プローブ1を上昇させて環流管20a内に挿入し、さらに測定プローブ1を上昇させて測定対象下部槽102内に挿入する。そして、煉瓦厚みを測定したい上下方向位置に到達した時点で測定プローブ1を停止させる。
次に、駆動機構2により、測定対象下部槽102内に挿入した測定プローブ1をその軸周りに回転させながら、レーザ距離計12によって測定対象下部槽102内の煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定する。
図5に示すように、演算装置5は、コントローラ4から入力された上記の距離測定値及び測定プローブ1の回転角度を用いて、下記の式(1)により、煉瓦102bの水平方向の内断面形状(X,Y)を算出する。
(X,Y)=(Dcosθ,Dsinθ) ・・・(1)
ここで、Dはレーザ距離計12によって測定した距離測定値を測定プローブ1の回転軸からの距離に換算した値を意味する。また、θは距離測定時におけるX軸方向からの測定プローブ1の回転角度を意味する。
上記の式(1)で算出される煉瓦102bの水平方向の内断面形状(X,Y)は、図5に示すように、測定プローブ1の回転軸を基準とする(測定プローブ1の回転軸の位置を原点(0,0)とする)座標系で表したものである。
一方、演算装置5は、煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある測定対象下部槽102及び測定プローブ1について、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する。
この算出した測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)は、図5に示すように、測定プローブ1の回転軸を基準とする座標系で表された測定対象下部槽102の中心軸の座標を意味する。
なお、上記測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)の算出方法の具体例については後述する。
最後に、図5に示すように、演算装置5は、煉瓦102bの水平方向の内断面形状(X,Y)と、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)とを用いて、下記の式(2)により、煉瓦102bの厚みTWiを算出する。
Wi=R/2−T−T−{(X−X+(Y−Y1/2 ・・・(2)
ここで、Rは測定対象下部槽102の鉄皮102aの直径を意味する。Tは永久煉瓦及び不定形耐火物の総厚み(設計値)を意味する。Tは鉄皮102aの厚み(設計値)を意味する。
なお、測定対象下部槽102の鉄皮102aの直径Rは設計値を用いても良いし、後述するように、測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する際に鉄皮102aの直径Rを測定するのであれば、この測定値を用いることも可能である。
<測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)の算出方法>
以下、測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)の算出方法の具体例について説明する。
<第1の算出方法>
測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する方法としては、測定対象下部槽102の煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある測定プローブ1の回転軸の水平方向位置(X,Y)と、測定プローブ1で煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある測定対象下部槽102の中心軸の水平方向位置(X',Y')との双方をそれぞれ測定する方法が考えられる。以下、具体的に説明する。
測定プローブ1の回転軸の水平方向位置(X,Y)は、例えば、レーザ距離計7を用いて、移動機構3までの距離を測定し、その距離測定値及び移動機構3と測定プローブ1の回転軸との水平方向の相対位置関係(この相対位置関係は予め把握しておけばよい)から算出することが可能である。
測定対象下部槽102の中心軸の水平方向位置(X',Y')は、測定対象下部槽102の外面に設けられた鉄皮102a表面(外面)の水平方向位置を測定することによって算出可能である。そして、鉄皮102a表面の水平方向位置は、例えば、レーザ距離計6を用いて、鉄皮102a表面までの水平方向距離を測定することによって求めることができる。より具体的に説明すれば、例えば、図6に示すように、複数個のレーザ距離計6(6a,6b,6c,6d)を配置し、レーザ光の投光方向が下部槽102の中心軸近傍を通るように、各レーザ距離計6a〜6dの向きを設定する。特に、レーザ距離計6c及び6dについては、レーザ光の投光方向が互いに逆方向となるように向きを設定する。そして、レーザ距離計6aで鉄皮102a表面までのX軸方向の距離Xを、レーザ距離計6bで鉄皮102a表面までのY軸方向の距離Yを測定する。また、レーザ距離計6c及び6dでそれぞれ鉄皮102a表面までの距離を測定し、この距離測定値とレーザ距離計6c及び6dの離間距離とに基づき、鉄皮の直径Rを算出する。以上のパラメータを用いれば、下記の式(3)により、測定対象下部槽102の中心軸の水平方向位置(X',Y')を算出することができる。
(X',Y')=(X+R/2,Y+R/2) ・・・(3)
なお、上記のようにして算出した算出した測定プローブ1の回転軸の水平方向位置(X,Y)の座標系の基準と、上記のようにして算出した測定対象下部槽102の中心軸の水平方向位置(X',Y')の座標系の基準とが異なっていても、レーザ距離計6及びレーザ距離計7の相対位置関係を予め把握しておきさえすれば、両座標系の基準を同一にすることが可能である。
上記の両座標系の基準が同一であるとすれば、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)は、下記の式(4)により算出することができる。
(X,Y)=(X'−X,Y'−Y) ・・・(4)
<第2の算出方法>
測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する方法としては、内面に設けられた煉瓦102bが実質的に侵食されておらず且つ煉瓦の厚みが既知である参照用の下部槽102(以下、測定対象下部槽と区別するため、適宜「参照用下部槽102A」という)を用いる方法を採用することも可能である。以下、具体的に説明する。
この参照用の下部槽(未使用の下部槽や脱ガス処理に用いた回数の少ない下部槽(例えば、1回だけ溶鋼の脱ガス処理に用いた直後の下部槽))102Aは、内面に設けられた煉瓦102bが実質的に侵食されていないため、その煉瓦102bの水平方向の内断面形状(XSi,YSi)は、参照用下部槽102Aの中心軸を中心とする円形状になる。従って、測定対象下部槽102の場合と同様に、測定プローブ1を用いて参照用下部槽102Aに設けられた煉瓦102bの内断面形状(XSi,YSi)を算出すれば、例えば、この内断面形状(XSi,YSi)を形成する近似円を算出して、その近似円の中心位置を参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向位置(XC0,YC0)とすることが可能である。
具体的には、下記の式(4)により、参照用下部槽102Aの煉瓦102bの水平方向の内断面形状(XSi,YSi)を算出する。
(XSi,YSi)=(Dcosθ,Dsinθ) ・・・ (4)
ここで、Dはレーザ距離計12によって測定した距離測定値を測定プローブ1の回転軸からの距離に換算した値を意味する。また、θは距離測定時におけるX軸方向からの測定プローブ1の回転角度を意味する。
次に、上記のようにして算出した内断面形状(XSi,YSi)に対して、下記の式(5)で表される直径Rの円を最小自乗法等を用いてフィッティングさせる。下記の式(5)で表される直径Rは、煉瓦102bの厚みの設計値(すなわち、初期状態の煉瓦102bの厚み)に基づいて算出した煉瓦102bの内面の直径に相当する。従って、この直径Rの円を内断面形状(XSi,YSi)を形成する近似円とすることができる。
=RT0−2×(TW0+T+T) ・・・(5)
ここで、RT0は参照用下部槽102Aの鉄皮102aの直径を意味する。TW0は煉瓦(ウエア煉瓦)102bの厚み(設計値)を意味する。Tは永久煉瓦及び不定形耐火物の総厚み(設計値)を意味する。Tは鉄皮102aの厚み(設計値)を意味する。
なお、参照用下部槽102Aの鉄皮102aの直径RT0は、設計値を用いても良いし、前述した測定対象下部槽102の鉄皮102aの直径Rの場合と同様に、レーザ距離計6c及び6dによって測定した値を用いることも可能である。
以上のようにして、内断面形状(XSi,YSi)に対してフィッティングさせた直径Rの近似円の中心位置を、参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向位置(XC0,YC0)とすることができる。
測定プローブ1を用いて測定した参照用下部槽102Aの煉瓦の内断面形状(XSi,YSi)は、測定プローブ1の回転軸を基準とする座標系で表されるため、上記のようにして算出した参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向位置(XC0,YC0)も、測定プローブ1の回転軸を基準とする座標系で表される。すなわち、上記のようにして算出した参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向位置(XC0,YC0)は、測定プローブ1の回転軸に対する参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向の相対位置に相当する。
従って、例えば、測定プローブ1を用いて下部槽(参照用下部槽及び測定対象下部槽)102の煉瓦102bの内断面形状を順次測定する時に、下部槽102及び測定プローブ1の水平方向位置の再現性が高い(移動機構による下部槽102及び測定プローブ1の水平方向の位置決め精度が高い)場合には、測定プローブ1の回転軸に対する参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)を、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)としてそのまま用いることが可能である。
<第3の算出方法>
前述した第2の算出方法において、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)をより一層精度良く算出するには、測定プローブ1を用いて下部槽(測定対象下部槽及び参照用下部槽)102の煉瓦102bの内断面形状を順次測定する時に、下部槽102及び測定プローブ1の水平方向位置にそれぞれ生じ得る変化量を考慮することが好ましい。換言すれば、測定プローブ1の回転軸に対する参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)を、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)としてそのまま用いるのではなく、上記の変化量を測定し、この測定値を用いて参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)を補正することにより、測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出することが好ましい。以下、この好ましい算出方法について具体的に説明する。
まず、測定プローブ1で煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある参照用下部槽102Aについて、例えば、図6に示すレーザ距離計6a及び6bを用いて、参照用下部槽102Aの外面に設けられた鉄皮102a表面までの水平方向距離を測定する。具体的には、レーザ距離計6aで鉄皮102a表面までのX軸方向の距離XT0を、レーザ距離計6bで鉄皮102a表面までのY軸方向の距離YT0を測定する。
一方、測定プローブ1で煉瓦表面102bまでの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある測定対象下部槽102について、例えば、図6に示すレーザ距離計6a及び6bを用いて、測定対象下部槽102の外面に設けられた鉄皮102a表面までの水平方向距離を測定する。具体的には、第1の算出方法と同様に、レーザ距離計6aで鉄皮102a表面までのX軸方向の距離Xを、レーザ距離計6bで鉄皮102a表面までのY軸方向の距離Yを測定する。
そして、上記の距離測定値の差に基づき、第2の算出方法と同様にして算出した参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)を算出する。
具体的には、下記の式(6)により、測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)を算出することができる。
(ΔX,ΔY)=(X−XT0,Y−YT0) ・・・(6)
また、参照用下部槽102Aの煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある測定プローブ1について、例えば、レーザ距離計7を用いて、測定プローブ1までの水平方向距離を測定し、測定プローブ1の回転軸の水平方向位置(XD0,YD0)を算出する。ただし、必ずしも測定プローブ1の回転軸の水平方向位置自体を算出する必要はなく、移動機構3の水平方向位置を算出するだけでもよい。
一方、測定対象下部槽102の煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある測定プローブ1について、例えば、レーザ距離計7を用いて、測定プローブ1までの水平方向距離を測定し、測定プローブ1の回転軸の水平方向位置(X,Y)を算出する。ただし、必ずしも測定プローブ1の回転軸の水平方向位置自体を算出する必要はなく、移動機構3の水平方向位置を算出するだけでもよい。
そして、上記の距離測定値の差(算出した水平方向位置の差)に基づき、測定プローブ1の回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)を算出する。
具体的には、下記の式(7)により、測定プローブ1の回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)を算出することができる。
(ΔX,ΔY)=(X−XD0,Y−YD0) ・・・(7)
さらに、参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)と、上記のようにして算出した測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)と、上記のようにして算出した測定プローブ1の回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)とに基づき、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する。
具体的には、下記の式(8)により、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出することができる。
(X,Y)=(XC0+ΔX−ΔX,YC0+ΔY−ΔY) ・・・(8)
以上に説明した第1〜第3の算出方法の何れかを用いて、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出すれば、前述のように、式(2)に基づき、煉瓦102bの厚みTWiを精度良く算出することが可能である。
以下、実施例を示すことにより、本発明を更に詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
<実施例の概要>
本発明に係る測定方法を用いて、下部槽内面に設けられた煉瓦の厚みを測定する試験を行った。ただし、測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)の算出方法としては、前述した第3の算出方法を用いた。
測定プローブ1に搭載するレーザ距離計12としては、パルスレーザ光を用いたTOF(Time Of Flight)方式の距離計(距離測定値の出力周波数5Hz、測定精度σ=5mm)を用い、測定プローブ1を約60秒で一回転させた。従って、測定プローブ1が一回転する間に約300点の距離測定を行うことができる。
レーザ距離計6(6a〜6d)、7としては、ハンディタイプの光波測距方式のレーザ距離計(ライカ社製の商品名「DISTO A5」,測定精度2mm)を用いた。
<参照用下部槽の測定>
1回だけ溶鋼の脱ガス処理に用いた直後の下部槽(内部温度800℃程度)を参照用下部槽102Aとして用い、レーザ距離計6aで鉄皮102a表面までのX軸方向の距離XT0を、レーザ距離計6bで鉄皮102a表面までのY軸方向の距離YT0を測定した。また、レーザ距離計6c及び6dによって鉄皮102aの直径RT0も測定した。さらに、レーザ距離計7で測定プローブ1の回転軸の水平方向位置(XD0,YD0)を測定した(実際には、X軸方向の位置XD0のみを測定した)。直径RT0の測定値は、ほぼ設計値と同じ値であったため、前述した式(5)や後述する式(9)中の直径RT0としては、測定値及び設計値の何れを用いてもよいことが分かった。
次に、所定の上下方向位置に停止させた測定プローブ1を回転させながら、レーザ距離計12によって上記の参照用下部槽102A内の煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定した。そして、前述した式(4)に基づき、煉瓦102bの水平方向の内断面形状(XSi,YSi)を算出した。
図7(a)は、内断面形状(XSi,YSi)の算出結果の一例を示す図である。この内断面形状(XSi,YSi)は、測定プローブ1の回転軸を基準とする(測定プローブ1の回転軸の位置を原点(0,0)とする)座標系で図示している。なお、図7(a)には、煉瓦厚みの設計値TW0等から算出される煉瓦102bの水平方向の外断面形状も図示している。この外断面形状は内断面形状(XSi,YSi)と同一の座標系で図示している。図7(a)に示すように、参照用下部槽102A内の煉瓦102bは、実質的に侵食されていない(溶損が発生していない)ため、その内断面形状(XSi,YSi)は、真円に近い形状となっていることが分かる。
次に、上記のようにして算出した内断面形状(XSi,YSi)に対して、前述した式(5)で表される直径Rの近似円を最小自乗法を用いてフィッティングさせ、その近似円の中心位置を、参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向位置(XC0,YC0)として算出した。算出した参照用下部槽102Aの中心軸の水平方向位置(XC0,YC0)=(−751mm,−15mm)であった。
そして、算出した(XC0,YC0)を用いて、下記の式(9)により、煉瓦102bの厚みTSWiを算出した。
SWi=RT0/2−T−T−{(XSi−XC0+(YSi−YC01/2 ・・・(9)
ここで、RT0は参照用下部槽102Aの鉄皮102aの直径を意味する。Tは永久煉瓦及び不定形耐火物の総厚み(設計値)を意味する。Tは鉄皮102aの厚み(設計値)を意味する。
図7(b)は、図7(a)に示す内断面形状(XSi,YSi)に基づき煉瓦厚みTSWiを算出した結果を示す図である。図7(b)に示すように、煉瓦厚みの設計値TW0との差は10mm以内であり、良好な測定精度で煉瓦厚みを測定できていることが分かる。
また、測定プローブ1を停止させる上下方向位置を変更し、上記と同様の手順で、5箇所の断面(煉瓦102bの5段分)について内断面形状(XSi,YSi)を測定し、各断面の煉瓦厚みTSWiを算出した。
図8は、5箇所の断面について算出した煉瓦厚みTSWiと煉瓦厚みの設計値TW0との差を評価した結果を示す図である。図8に示すように、5箇所の断面に亘る測定精度はσ=7.4mmと非常に良好であり、測定断面の位置が変わっても問題なく煉瓦厚みTSWiを算出できることが分かる。
<測定対象下部槽の測定>
過去の経験から煉瓦を交換すべき直前と判断された下部槽(内部温度800℃程度)を測定対象下部槽102として用い、レーザ距離計6aで鉄皮102a表面までのX軸方向の距離Xを、レーザ距離計6bで鉄皮102a表面までのY軸方向の距離Yを測定した。また、レーザ距離計6c及び6dによって鉄皮102aの直径Rも測定した。さらに、レーザ距離計7で測定プローブ1の回転軸の水平方向位置(X,Y)を測定した(実際には、X軸方向の位置Xのみを測定した)。直径Rの測定値は、ほぼ設計値と同じ値であったため、前述した式(2)中の直径Rとしては、測定値及び設計値の何れを用いてもよいことが分かった。
次に、所定の上下方向位置に停止させた測定プローブ1を回転させながら、レーザ距離計12によって上記の測定対象下部槽102内の煉瓦102b表面までの水平方向距離を測定した。そして、前述した式(1)に基づき、煉瓦102bの水平方向の内断面形状(X,Y)を算出した。
この際、前述した式(6)で算出される測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)=(−9mm,−2mm)であり、測定プローブ1の回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔY)=(8mm,0mm)であった。ただし、ΔYについては、実際に測定した値ではなく、YD0とYとの間に差がないと仮定した結果である。
次に、上記のようにして算出した(ΔX,ΔY)及び(ΔX,ΔY)を用いて、前述した式(8)により、測定プローブ1の回転軸に対する測定対象下部槽102の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出した。さらに、この(X,Y)と上記のようにして算出した内断面形状(X,Y)とを用いて、前述した式(2)により、煉瓦102bの厚みTWiを算出した。なお、煉瓦厚みTWiを算出した後、測定対象下部槽102を上部槽101から取り外し、冷間で煉瓦102bの厚みを実測した。
図9は、測定対象下部槽102について算出した内断面形状(X,Y)及び煉瓦厚みTWiの一例を示す図である。
図9(a)は、内断面形状(X,Y)の算出結果の一例を示す図である。具体的には、測定プローブ1を停止させる上下方向位置を変更して測定した5箇所の断面(煉瓦102bの5段分)についての内断面形状(X,Y)の内、最も煉瓦厚みTWiの小さかった断面についての内断面形状(X,Y)を示す図である。この内断面形状(X,Y)は、測定プローブ1の回転軸を基準とする(測定プローブ1の回転軸の位置を原点(0,0)とする)座標系で図示している。なお、図9(a)には、煉瓦厚みの設計値TW0等から算出される煉瓦102bの水平方向の外断面形状も併せて図示している。この外断面形状は、上記のようにして算出した(X,Y)を用いて、内断面形状(X,Y)と同一の座標系に補正して図示している。
また、図9(b)は、図9(a)に示す内断面形状(X,Y)に基づき煉瓦厚みTWiを算出した結果を示す図である。
なお、図9(b)には冷間での煉瓦厚みの実測値を、図9(a)にはこの冷間実測値に基づき算出した内断面形状を併せて図示している。
図9に示すように、算出した煉瓦厚みTWiと冷間での煉瓦厚みの実測値とは、非常に近い値を示しており、良好な測定精度で煉瓦厚みを測定できていることが分かる。なお、図9(b)に示すように、測定対象下部槽102の中心角(測定対象下部槽102の中心軸を中心とした角度)90°付近ではほぼ厚み0mm近くまで煉瓦が侵食されているのに対し、270°付近では厚み200mmほど煉瓦が残っている。このように、煉瓦の厚み分布が大きく変動している状態で煉瓦の寿命が尽きたと判断され、煉瓦が交換される下部槽は頻繁に存在する。このため、本発明に係る方法によって、定期的に下部槽内の煉瓦厚み分布を精度良く測定し、下部槽内の煉瓦をできるだけ均等に溶損させるように、溶鋼の環流方向や環流速度等の環流条件を決定すれば、煉瓦の寿命を向上させることが可能である。
図10は、5箇所の断面について算出した煉瓦厚みTWiと煉瓦厚みの冷間での実測値との差を評価した結果を示す図である。図8に示す参照下部槽102Aの場合と同様に、測定断面の違いによる有意差はなさそうである。しかしながら、5箇所の断面に亘る測定精度はσ=18.3mmと、参照下部槽102Aの場合に比べて、測定精度が低下している。これは、交換直前の下部槽102の煉瓦には数十mm程度の凹凸(煉瓦の目地部分が溶損しやすい傾向にある)がある上に、本発明による煉瓦厚みの測定位置と冷間で実測する位置とを完全に一致させることができないために生じたものだと考えられる。従って、これらのことを考慮すると、本発明に係る方法は、良好な測定精度で煉瓦厚みを測定できているといえる。
図1は、RH真空脱ガス装置の概略構成を示す正面方向から見た断面図である。 図2は、本発明に係るRH真空脱ガス装置の下部槽煉瓦厚み測定方法を実施するための装置の構成例を模式的に示す正面方向から見た断面図である。 図3は、本発明の一実施形態で用いる測定プローブの概略構成を示す正面方向から見た断面図である。 図4は、本発明の一実施形態で用いるレーザ距離計の概略構成を示す模式図である。 図5は、測定対象下部槽内の煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)、測定プローブの回転軸に対する測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)、及び、測定対象下部槽内の煉瓦の厚みTWiの算出方法を説明するための平面図である。 図6は、測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置(X',Y')の算出方法を説明するための平面図である。 図7は、本発明に係る方法によって算出した参照用下部槽の内断面形状(XSi,YSi)及び煉瓦厚みTSWiの一例を示す図である。 図8は、本発明に係る方法によって参照用下部槽の5箇所の断面について算出した煉瓦厚みTSWiと煉瓦厚みの設計値TW0との差を評価した結果を示す図である。 図9は、本発明に係る方法によって算出した測定対象下部槽102の内断面形状(X,Y)及び煉瓦厚みTWiの一例を示す図である。 図10は、本発明に係る方法によって測定対象下部槽の5箇所の断面について算出した煉瓦厚みTWiと煉瓦厚みの冷間での実測値との差を評価した結果を示す図である。
符号の説明
1・・・測定プローブ
2・・・駆動機構
3・・・移動機構
4・・・コントローラ
5・・・演算装置
6・・・レーザ距離計
7・・・レーザ距離計
10・・・真空槽
12・・・レーザ距離計
20a,20b・・・環流管
102・・・下部槽
102a・・・鉄皮
102b・・・煉瓦

Claims (6)

  1. RH真空脱ガス装置が具備する円筒状の真空槽を構成する下部槽の内面に設けられた煉瓦の厚みを測定する方法であって、
    レーザ光を投光してからその反射光を受光するまでの時間に基づき距離を測定する方式のレーザ距離計を搭載した測定プローブを、煉瓦厚みを測定する対象である下部槽の下方に取り付けられた環流管内に挿入し上昇させて前記測定対象下部槽内に挿入する第1ステップと、
    前記第1ステップで測定対象下部槽内に挿入した測定プローブをその軸周りに回転させながら、前記レーザ距離計によって前記測定対象下部槽内の煉瓦表面までの水平方向距離を測定し、該距離測定値及び前記測定プローブの回転角度により、前記煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)を算出する第2ステップと、
    前記第2ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定対象下部槽及び前記測定プローブについて、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を測定する第3ステップと、
    前記第2ステップで算出した煉瓦の水平方向の内断面形状(X,Y)と、前記第3ステップで測定した前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)とに基づき、前記煉瓦の厚みを算出する第4ステップとを含むことを特徴とするRH真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法。
  2. 前記第3ステップは、
    前記第2ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定対象下部槽について、所定の基準位置から前記測定対象下部槽の外面に設けられた鉄皮表面までの水平方向距離を測定し、該距離測定値に基づき、前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置を算出する第3−1ステップと、
    前記第2ステップで前記測定対象下部槽の煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定プローブについて、所定の基準位置から前記測定プローブまでの水平方向距離を測定し、該距離測定値に基づき、前記測定プローブの回転軸の水平方向位置を算出する第3−2ステップと、
    前記第3−1ステップで算出した前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向位置と、前記第3−2ステップで算出した前記測定プローブの回転軸の水平方向位置とに基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する第3−3ステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載のRH真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法。
  3. 前記第3ステップは、
    前記レーザ距離計を搭載した測定プローブを、内面に設けられた煉瓦が実質的に侵食されておらず且つ煉瓦の厚みが既知である参照用の下部槽の下方に取り付けられた環流管内に挿入し上昇させて前記参照用下部槽内に挿入する第3−4ステップと、
    前記第3−4ステップで参照用下部槽内に挿入した測定プローブをその軸周りに回転させながら、前記レーザ距離計によって前記参照用下部槽内の煉瓦表面までの水平方向距離を測定し、該距離測定値及び前記測定プローブの回転角度により、前記煉瓦の水平方向の内断面形状(XSi,YSi)を算出する第3−5ステップと、
    前記第3−5ステップで算出した煉瓦の水平方向の内断面形状(XSi,YSi)に基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)を算出する第3−6ステップと、
    前記第3−6ステップで算出した参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)に基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する第3−7ステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載のRH真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法。
  4. 前記第3−7ステップは、
    前記第3−5ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記参照用下部槽について、所定の基準位置から前記参照用下部槽の外面に設けられた鉄皮表面までの水平方向距離を測定すると共に、前記第2ステップで煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定対象下部槽について、所定の基準位置から前記測定対象下部槽の外面に設けられた鉄皮表面までの水平方向距離を測定し、これら距離測定値の差に基づき、前記第3−6ステップで算出した前記参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)を算出する第3−7−1ステップと、
    前記第3−5ステップで前記参照用下部槽の煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定プローブについて、所定の基準位置から前記測定プローブまでの水平方向距離を測定すると共に、前記第2ステップで前記測定対象下部槽の煉瓦表面までの水平方向距離を測定する時と同じ水平方向位置にある前記測定プローブについて、所定の基準位置から前記測定プローブまでの水平方向距離を測定し、これら距離測定値の差に基づき、前記測定プローブの回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)を算出する第3−7−2ステップと、
    前記第3−6ステップで算出した参照用下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(XC0,YC0)と、前記第3−7−1ステップで算出した測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置の変化量(ΔX,ΔY)と、前記第3−7−2ステップで算出した測定プローブの回転軸の水平方向位置の変化量(ΔX,ΔX)とに基づき、前記測定プローブの回転軸に対する前記測定対象下部槽の中心軸の水平方向の相対位置(X,Y)を算出する第3−7−3ステップとを含むことを特徴とする請求項3に記載のRH真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法。
  5. 前記測定プローブは、
    前記レーザ距離計から投光されたレーザ光及びその煉瓦表面からの反射光を透過させるための光学窓と、
    前記光学窓と前記レーザ距離計との間に設けられ、投光及び受光のそれぞれの光路を仕切るための仕切部材とを備えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のRH真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法。
  6. 請求項1から5の何れかに記載の測定方法によって測定された下部槽内の煉瓦厚みに基づき、溶鋼の環流方向及び/又は溶鋼搬送用ガスの流速を決定することを特徴とするRH真空脱ガス装置の操業方法。
JP2007241770A 2007-09-19 2007-09-19 Rh真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法及びこれを用いたrh真空脱ガス装置の操業方法 Pending JP2009074819A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007241770A JP2009074819A (ja) 2007-09-19 2007-09-19 Rh真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法及びこれを用いたrh真空脱ガス装置の操業方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007241770A JP2009074819A (ja) 2007-09-19 2007-09-19 Rh真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法及びこれを用いたrh真空脱ガス装置の操業方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009074819A true JP2009074819A (ja) 2009-04-09

Family

ID=40609955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007241770A Pending JP2009074819A (ja) 2007-09-19 2007-09-19 Rh真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法及びこれを用いたrh真空脱ガス装置の操業方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009074819A (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5635714A (en) * 1979-08-31 1981-04-08 Nippon Steel Corp Operating method of continuous type molten steel degassing equipment
JPS6310407U (ja) * 1986-07-08 1988-01-23
JPS6468610A (en) * 1987-09-09 1989-03-14 Shinagawa Refractories Co Thickness measuring method for lining of consumption
JPH08285551A (ja) * 1995-04-13 1996-11-01 Spectra Physics Visiontech Oy 容器ライニングの磨耗を測定するための容器の位置決め方法
JPH0920906A (ja) * 1995-06-30 1997-01-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 高炉炉壁プロフィール測定方法及びその装置
JPH1062133A (ja) * 1996-08-20 1998-03-06 Kuchiku Kogyo Kk 溶融金属容器の内面プロフィール測定装置
JPH1082851A (ja) * 1996-09-06 1998-03-31 Nissan Motor Co Ltd レーザ距離測定装置
JP2006299314A (ja) * 2005-04-18 2006-11-02 Shinagawa Refract Co Ltd Rh炉内観察装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5635714A (en) * 1979-08-31 1981-04-08 Nippon Steel Corp Operating method of continuous type molten steel degassing equipment
JPS6310407U (ja) * 1986-07-08 1988-01-23
JPS6468610A (en) * 1987-09-09 1989-03-14 Shinagawa Refractories Co Thickness measuring method for lining of consumption
JPH08285551A (ja) * 1995-04-13 1996-11-01 Spectra Physics Visiontech Oy 容器ライニングの磨耗を測定するための容器の位置決め方法
JPH0920906A (ja) * 1995-06-30 1997-01-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 高炉炉壁プロフィール測定方法及びその装置
JPH1062133A (ja) * 1996-08-20 1998-03-06 Kuchiku Kogyo Kk 溶融金属容器の内面プロフィール測定装置
JPH1082851A (ja) * 1996-09-06 1998-03-31 Nissan Motor Co Ltd レーザ距離測定装置
JP2006299314A (ja) * 2005-04-18 2006-11-02 Shinagawa Refract Co Ltd Rh炉内観察装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7330242B2 (en) System for recording an object space
US7924438B2 (en) Method for measuring wear in the refractory lining of a metallurgical melting vessel
ES2662906T3 (es) Proceso para monitorizar la integridad de contenedores
CN104132750A (zh) 用于测量熔融金属的温度的方法和设备
US5706090A (en) Method for positioning a container for measurement of wear in the container lining
JPH01114705A (ja) 検査装置およびその方法
WO2019108040A1 (ko) 용접부위 형상과 3d 좌표 측정을 이용한 용접 자동화시스템 및 이를 이용한 용접 방법
JP2013159800A (ja) 高炉炉壁プロフィールの測定装置及び方法並びに高炉炉壁の損耗量検出方法
JP2009074819A (ja) Rh真空脱ガス装置の下部槽内煉瓦厚み測定方法及びこれを用いたrh真空脱ガス装置の操業方法
JP2012187599A (ja) 遠隔レーザ処理装置
JP2006030164A (ja) 高温体の距離測定装置、形状測定装置、耐火構造物の健全性評価装置、高温体の距離測定方法、形状測定方法及び耐火構造物の健全性評価方法
JPS59143905A (ja) 耐火物内張りの内面プロフイル測定方法と装置
CN114952085B (zh) 一种焊枪的清理方法、装置、设备和存储介质
JP4155229B2 (ja) 混銑車のライニング煉瓦厚測定方法、測定装置並びに混銑車の運用方法
JPH0920906A (ja) 高炉炉壁プロフィール測定方法及びその装置
JPS6046406A (ja) 耐火物内張りの内面プロフイル測定方法と装置
JPS62291505A (ja) 容器の内面形状測定方法
JP3002415B2 (ja) 炉内壁の形状測定方法
RU2810030C2 (ru) Система, устройство и способ измерения внутренней огнеупорной футеровки сосуда
JPS6186607A (ja) 耐火物内張容器の耐火物溶損形状測定装置
JP2904467B2 (ja) 連続鋳造用モールドレベル計
ES1304558U (es) Sistema para monitorizar el revestimiento refractario interior de un recipiente adaptado para contener materiales fundidos
JPS60235005A (ja) 炉内プロフイ−ル測定装置
JPH08209220A (ja) スロッピング発生予知装置
TWI840568B (zh) 用以測量容器內部耐火襯料之系統、裝置及方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091029

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110902

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111026

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120615