JP2009073762A - フルオロアルキルアイオダイドの製造方法 - Google Patents

フルオロアルキルアイオダイドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の重合度のフルオロアルキルアイオダイド(テロマー)の選択率が高く、かつ生産性が高いフルオロアルキルアイオダイドの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)RI、CF=CF、ラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程、(b)混合液を第1の管型反応器14に供給し、混合液に気相が形成されないように流しながらテロメル化反応させてRCFCFIを含む混合液を得る工程、(c)混合液に含まれるRCFCFIを回収する工程、(d)RCFCFI、CF=CF、ラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程、(e)混合液を第2の管型反応器18に供給し、混合液に気相が形成されないように流しながらテロメル化反応させてR(CFCFIを含む混合液を得る工程、(f)混合液に含まれるR(CFCFIを回収する工程を有する製造方法。ただしRは炭素数1〜3のフルオロアルキル基。
【選択図】図1

Description

本発明は、テロメル化反応によるフルオロアルキルアイオダイドの製造方法に関する。
フルオロアルキルアイオダイドは、撥水撥油剤、フッ素系界面活性剤等の原料として用いられる。フルオロアルキルアイオダイドの炭素鎖長は、用途に応じてよって異なり、たとえば、撥水撥油性を得るための炭素鎖長は、通常、4以上である。
炭素鎖長が4以上のフルオロアルキルアイオダイドは、たとえば、下式(1)の化合物(以下、化合物(1)と記す。)(テロゲン)に下式(2)の化合物(以下、化合物(2)と記す。)(タキソゲン)を付加させ、下式(5)の化合物(以下、化合物(5)と記す。)(テロマー)を得る、いわゆるテロメル化反応による鎖長伸長により製造される。
I ・・・(1)、
CF=CF ・・・(2)、
(CFCFI ・・・(5)。
ただし、Rは、炭素数1以上のフルオロアルキル基であり、nは、重合度であって、1以上の整数である。
テロメル化反応によるフルオロアルキルアイオダイドの製造方法としては、具体的には、下記の方法が提案されている。
(i)第1反応器にて、ラジカル開始剤の存在下、化合物(1)に化合物(2)を付加させて化合物(5)を含む反応混合物を得る工程と、該混合物を重合度に応じて3つのフラクションに分離する工程と、第2反応器にて、ラジカル開始剤の存在下、所望の重合度より重合度が1つ少ない化合物(5)に化合物(2)を付加させて所望の重合度の化合物(5)を含む反応混合物を得る工程とを有する方法(特許文献1)。
(ii)化合物(1)、化合物(2)およびラジカル開始剤を含む均質な混合液を、管型反応器に供給し、混合液から気相が生成しない条件下で液相状態を保った混合液を管型反応器内に流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(1)に化合物(2)を付加させて所望の重合度の化合物(5)を含む混合液を得る方法(特許文献2)。
(i)の方法は、(ii)の方法に比べれば化合物(5)の生産速度が速いものの、バッチ式で反応させている、すなわちタキソゲンである化合物(2)が反応器内の気相部に豊富に存在する条件で反応させているため、重合度が3以上で、かつ重合度が異なる複数の化合物(5)が生成しやすい。また、生産速度も充分速いとは言えず、さらなる生産性の向上が望まれる。
(ii)の方法は、タキソゲンである化合物(2)が必要以上に存在しない条件で反応させているため、(i)の方法に比べれば所望の重合度の化合物(5)の選択率が高いものの、生産性が低い。また、重合度が2以上の化合物(5)を製造する場合、該化合物(5)の選択率は充分高いとは言えず、さらなる選択率の向上が望まれる。
国際公開第02/062735号パンフレット 特開2006−298817号公報
本発明の目的は、所望の重合度のフルオロアルキルアイオダイド(テロマー)の選択率が高く、かつ生産性が高いフルオロアルキルアイオダイドの製造方法を提供することにある。
本発明のフルオロアルキルアイオダイドの製造方法は、
(a)化合物(1)、化合物(2)およびラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程と、
(b)工程(a)で得られた混合液を第1の反応器に供給し、混合液から気相が生成しない条件で、混合液を第1の反応器の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(1)に化合物(2)を付加させて化合物(3)を含む混合液を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた混合液に含まれる化合物(3)を回収する工程と、
(d)工程(c)で回収された化合物(3)、化合物(2)およびラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程と、
(e)工程(d)で得られた混合液を第2の反応器に供給し、混合液から気相が生成しない条件で、混合液を第2の反応器の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(3)に化合物(2)を付加させて下式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)と記す。)を含む混合液を得る工程と、
(f)工程(e)で得られた混合液に含まれる化合物(4)を回収する工程とを有することを特徴とする。
I ・・・(1)、
CF=CF ・・・(2)、
CFCFI ・・・(3)、
(CFCFI ・・・(4)。
ただし、Rは、炭素数1〜3のフルオロアルキル基である。
第1の反応器または第2の反応器内の温度は、混合液が反応器内に滞留する時間内に、ラジカル開始剤の50モル%以上が分解する温度であることが好ましい。
第1の反応器または第2の反応器内の温度は、ラジカル開始剤の10時間半減期温度より20℃以上高い温度であることが好ましい。
第1の反応器または第2の反応器内における混合液の滞留時間は、5分以上であることが好ましい。
本発明のフルオロアルキルアイオダイドの製造方法によれば、所望の重合度のフルオロアルキルアイオダイド(テロマー)を高い選択率で、かつ高い生産性で得ることができる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
図1は、フルオロアルキルアイオダイドの製造装置の一例を示す構成図である。製造装置10は、化合物(1)、化合物(2)およびラジカル開始剤を含む混合液(以下、第1の混合液と記す。)を調製する混合槽12と、ラジカル開始剤の存在下、化合物(1)に化合物(2)を付加させて化合物(3)を含む混合液(以下、第2の混合液と記す。)を得る第1の管型反応器14と、化合物(3)、化合物(2)およびラジカル開始剤を含む混合液(以下、第3の混合液と記す。)を調製する混合装置16と、ラジカル開始剤の存在下、化合物(3)に化合物(2)を付加させて化合物(4)を含む混合液(以下、第4の混合液と記す。)を得る第2の管型反応器18と、第2の混合液および第4の混合液を、化合物(1)、(2)と、化合物(1)、(2)を除く混合液(以下、第5の混合液と記す。)とに分離する第1の蒸留塔20と、第5の混合液を、化合物(3)と、化合物(3)を除く混合液(以下、第6の混合液と記す。)とに分離する第2の蒸留塔22と、第6の混合液を、化合物(4)と、化合物(4)を除く混合液(以下、第7の混合液と記す。)とに分離する第3の蒸留塔24と、混合槽12に化合物(1)を供給する化合物(1)供給流路26と、混合槽12に化合物(2)を供給する化合物(2)供給流路28と、混合槽12にラジカル開始剤を供給するラジカル開始剤供給流路30と、混合槽12内の第1の混合液を第1の管型反応器14に供給する第1の混合液供給流路32と、第1の管型反応器14から排出される第2の混合液を第1の蒸留塔20に供給する第2の混合液供給流路34と、第1の蒸留塔20の塔頂から取り出した化合物(1)、(2)を混合槽12に返送する原料返送流路36と、第1の蒸留塔20の塔底から取り出した第5の混合液を第2の蒸留塔22に供給する第5の混合液供給流路38と、第2の蒸留塔22の塔頂から取り出した化合物(3)を混合装置16に供給する化合物(3)供給流路40と、混合装置16に化合物(2)を供給する化合物(2)供給流路42と、混合装置16にラジカル開始剤を供給するラジカル開始剤供給流路44と、混合装置16内の第3の混合液を第2の管型反応器18に供給する第3の混合液供給流路46と、第2の管型反応器18から排出される第4の混合液を第1の蒸留塔20に供給する第4の混合液供給流路48と、第2の蒸留塔22の塔底から取り出した第6の混合液を第3の蒸留塔24に供給する第6の混合液供給流路50と、第3の蒸留塔24の塔頂から取り出した化合物(4)を回収する化合物(4)回収流路52と、第3の蒸留塔24の塔底から取り出した第7の混合液を排出する第7の混合液排出流路54とを具備する。
混合槽12は、撹拌機を備えたオートクレーブである。
混合装置16は、駆動部のない静止型混合器である。
第1の管型反応器14、第2の管型反応器18は、シェル内に複数の反応管が並列配置された、いわゆる多管式反応器である。
第1の管型反応器14、第2の管型反応器18の長さと最大内径との比(長さ/最大内径)は、1以上が好ましく、3以上がより好ましい。
第1の管型反応器14、第2の管型反応器18の最大内径は、通常、0.5mm〜1.5mである。
なお、フルオロアルキルアイオダイドの製造装置は、図示例のものに限定はされない。
たとえば、混合槽として、撹拌機を備えたオートクレーブの代わりにラインミキサーを用いてもよい。混合装置として、静止型混合器の代わりに、撹拌機を備えたオートクレーブまたはラインミキサーを用いてもよい。管型反応器の断面形状は、円形状に限定されず、楕円形状、角形状等であってもよい。管型反応器は、単管式であってもよい。管型反応器は、反応管の軸方向が垂直方向となるように設置されなくてもよい。管型反応器内に充填物を装填してもよい。充填物の材料としては、耐腐食性のものが好ましく、金属であってもよく、樹脂であってもよい。充填物は、不規則充填物でもよく、規則充填物であってもよい。
つぎに、製造装置10を用いたフルオロアルキルアイオダイドの製造方法を説明する。
フルオロアルキルアイオダイドは、下記の工程(a)〜工程(f)を経て製造される。
(a)化合物(1)、化合物(2)およびラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程。
(b)工程(a)で得られた混合液を第1の反応器に供給し、混合液から気相が生成しない条件で、混合液を第1の反応器の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(1)に化合物(2)を付加させて化合物(3)を含む混合液を得る工程。
(c)工程(b)で得られた混合液に含まれる化合物(3)を回収する工程。
(d)工程(c)で回収された化合物(3)、化合物(2)およびラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程。
(e)工程(d)で得られた混合液を第2の反応器に供給し、混合液から気相が生成しない条件で、混合液を第2の反応器の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(3)に化合物(2)を付加させて化合物(4)を含む混合液を得る工程。
(f)工程(e)で得られた混合液に含まれる化合物(4)を回収する工程。
工程(a):
混合槽12に、各供給流路から化合物(1)、化合物(2)およびラジカル開始剤を供給し、撹拌機にて混合して第1の混合液を調製する。
混合槽12内の温度は、−20〜100℃が好ましい。
混合槽12内における第1の混合液の滞留時間は、混合槽12内におけるテロメル化反応を抑える点から、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましく、5〜15分が特に好ましい。
化合物(1)は、目的とする化合物(4)の炭素鎖長に応じて選択すればよい。たとえば、化合物(4)がC13Iである場合、化合物(1)はCIである。化合物(1)としては、入手のしやすさの点から、CIが好ましい。
第1の混合液における化合物(1)と化合物(2)とのモル比(化合物(1)/化合物(2))は、1以上が好ましい。化合物(2)は、通常、化合物(1)に対して等モル以上に溶解することはないため、化合物(1)/化合物(2)が1以上であれば、化合物(1)に化合物(2)が飽和濃度以下で溶解することになり、工程(b)において混合液から気相が発生しにくくなる。そのため、第1の管型反応器14の反応管内に気相部が形成されにくく、混合液の液相状態を保つことが容易となる。化合物(1)/化合物(2)は、化合物(3)の選択率が高くなる点から、20〜200がより好ましい。
ラジカル開始剤は、テロメル化反応を液相で実施しうるものであればよく、反応温度に応じて適宜選択すればよい。
ラジカル開始剤としては、過酸化物系化合物、アゾ系化合物が挙げられる。
過酸化物系化合物としては、パーオキシケタール、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、無機過酸化物、含フッ素過酸化物等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、アゾニトリル、アゾ化合物、アゾアミド、アゾアミジン等が挙げられる。
なかでも、ラジカル開始剤由来の化合物が不純物とならず、目的生成物あるいは目的生成物の類似の化合物になるという点から、含フッ素過酸化物が好ましい。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ペンタノエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイドとしては、パーフルオロブタノイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(以下、IPPと記す。)、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、ビス−1−ブチルパーオキシイソフタレート等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
ケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。
無機過酸化物としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
含フッ素過酸化物としては、化合物(7)〜化合物(13)が挙げられる。
{X(CFCOO}−{OCO(CF} ・・・(7)、
{(CFCF(CFCOO}−{OCO(CFCF(CF} ・・・(8)、
{C(CFCOO}-{OCO(CF} ・・・(9)、
{C11(CFCOO}-{OCO(CF11} ・・・(10)、
[C{OCF(CF)CFOCF(CF)COO]-[OCOCF(CF)O{CFCF(CF)O}] ・・・(11)、
[CF{OCF(CF)CFOCF(CF)COO]-[OCOCF(CF)O{CFCF(CF)O}CF] ・・・(12)、
[C2m+1O{CFCFO}CFCOO]-[OCOCF{OCFCFOC2r+1] ・・・(13)。
ただし、式中の符号は、下記の意味を示す。
化合物(7)中、aは、1〜14の整数であり、bは、1〜14の整数であり、Xは、H、F、Cl、Br、Iから選択されるいずれかであり、Yは、H、F、Cl、Br、Iから選択されるいずれかである。
化合物(8)中、cは、0〜14の整数であり、dは、0〜14の整数である。
化合物(9)中、eは、0〜14の整数であり、fは、0〜14の整数である。
化合物(10)中、gは、0〜14の整数であり、hは、0〜14の整数である。
化合物(11)中、iは、0〜3の整数であり、jは、0〜3の整数である。
化合物(12)中、kは、0〜3の整数であり、lは、0〜3の整数である。
化合物(13)中、mは、1〜3の整数であり、rは、1〜3の整数であり、pは、0〜3の整数であり、qは、0〜3の整数である。
化合物(7)としては、(CFCOO)、(CCOO)、(CCOO)、(CCOO)、(C11COO)、(C13COO)、(C15COO)、(C17COO)等が挙げられる。
なかでも、(CFCOO)、(CFCFCOO)、(CFCFCFCOO)、(CFCFCFCFCOO)、(COCF(CF)COO)、(COCF(CF)CFOCF(CF)COO)が好ましい。
アゾニトリルとしては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[1−シアノ−1−メチルエチルアゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)等が挙げられる。
アゾ化合物としては、ジメチル−2、2’−アゾビスイソブチレート、アゾビスシアノ吉草酸、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等が挙げられる。
アゾアミドとしては、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ハイドロキシメチル)−2−ハイドロキシエチル]プロピオアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ハイドロキシブチル)]−プロピオアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−ハイドロキシエチル]−プロピオアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオアミド]、2,2’−アゾビス[N−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
アゾアミジンとしては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−ハイドロキシエチル)−2−メチル−プロピオアミジン]等が挙げられる。
ラジカル開始剤の量は、化合物(1)に対して、0.001〜2モル%が好ましく、0.01〜1モル%がより好ましい。
ラジカル開始剤は、化合物(1)、炭化水素系有機溶媒、含フッ素有機溶媒等に溶解した状態で混合槽12に供給してもよい。
工程(b):
工程(b)の第1の管型反応器14内においては、第1の混合液は、しだいに第2の混合液に変化しているため、第1の混合液と第2の混合液とを明確に区別できない。したがって、本明細書においては、第1の管型反応器14内に存在する、第1の混合液、第2の混合液、およびこれらの中間状態の混合液をまとめて、単に「混合液」とも記す。
混合槽12の底部から第1の混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、第1の混合液を第1の混合液供給流路32経由で第1の管型反応器14の底部に供給する。
第1の管型反応器14の底部に供給された第1の混合液は、第1の管型反応器14内の各反応管に分配される。
混合液に気相が発生しないように、混合液を反応管の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(1)に化合物(2)を付加させて化合物(3)を含む第2の混合液を得る。
第2の混合液は、第1の管型反応器14の頭部から排出される。
反応管内の温度は、ラジカル開始剤の10時間半減期温度より20℃以上高い温度が好ましく、30℃以上高い温度がより好ましく、35℃以上高い温度がさらに好ましい。該温度であれば、化合物(3)をより高い選択率で得ることができる。
また、反応管内の温度は、混合液が第1の管型反応器14内に滞留する時間内に、ラジカル開始剤の50モル%以上が分解する温度が好ましい。該温度であれば、化合物(3)をさらに高い選択率で得ることができる。
反応器内の滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率は、公知の活性化エネルギーと温度によって求めることができる。また、文献値として掲載される半減期と温度の関係からも求めることができる。
反応管内の圧力は、混合液に気相が形成されることなく液相状態で反応管内を流れることができる圧力であればよい。
第1の管型反応器14内における混合液の滞留時間は、混合液中の化合物(2)が反応に寄与し、消費されるに充分な時間が好ましい。具体的には、滞留時間は、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、15分以上がさらに好ましく、30分以上が特に好ましい。
混合液に気相が形成されないようにするためには、第1の混合液における化合物(1)と化合物(2)とのモル比(化合物(1)/化合物(2))を1以上とすること等を実施することが好ましい。
工程(b)において、混合液に気相が形成されないように、混合液を反応管の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(1)に化合物(2)を付加させることにより、下記の3つの理由から、化合物(3)を高い選択率で得ることができる。
(i)混合液に気相(気泡等。)が形成される場合、該気相部のほとんどは、混合液に溶けきれなくなった化合物(2)である。よって、気相部が形成されてしまうと、気相部との界面付近の液相部(混合液)に化合物(2)が偏在することになり、該界面付近の液相部にて化合物(3)と化合物(2)とのテロメル化反応が進行し、化合物(4)が生成しやすい。その結果、後段の工程(e)にてnが3以上の化合物(5)が生成しやすい。
一方、混合液に気相が形成されない場合は、化合物(2)が均一に存在する混合液中にて、化合物(1)と化合物(2)とのテロメル化反応が優先的に進行し、化合物(2)が効率よく消費されるため、化合物(3)と余分な化合物(2)とのテロメル化反応が進行しにくい。
(ii)混合液を反応管の入口から出口に向かって流しながら化合物(1)と化合物(2)とのテロメル化反応を行うと、反応管の入口側では化合物(2)の濃度が比較的高いため、化合物(2)が効率よく消費される。そのため、反応管の出口側に近づくにつれて化合物(2)の濃度がしだいに低下し、反応管の出口側では化合物(3)と化合物(2)とのテロメル化反応が進行しにくい。
(iii)混合液に気相が形成されない状態は、すなわち化合物(1)に化合物(2)が飽和濃度以下で溶解しているということであり、理由(i)、(ii)において化合物(2)が効率よく消費されることにより、第1の管型反応器14から排出される第2の混合液には化合物(2)がほとんど含まれない、または、含まれていてもごく少量である。そのため、反応管の出口側にて化合物(2)がほとんど存在しないため、反応管の出口側にて化合物(3)と化合物(2)とのテロメル化反応が進行しにくい。
工程(c):
まず、第1の管型反応器14から排出される第2の混合液を、第2の混合液供給流路34経由で第1の蒸留塔20に供給し、第1の蒸留塔20にて第2の混合液および後述の第4の混合液の蒸留を行い、該混合液を、化合物(1)、(2)と、第5の混合液とに分離する。第5の混合液は、化合物(3)、(4)を主成分として含み、nが3以上の化合物(5)、他の副生物等を微量含む。
第1の蒸留塔20の塔頂から取り出した化合物(1)、(2)は、原料返送流路36経由で混合槽12に返送し、原料として再利用する。
ついで、第1の蒸留塔20の塔底から取り出した第5の混合液を、第5の混合液供給流路38経由で第2の蒸留塔22に供給し、第2の蒸留塔22にて第5の混合液の蒸留を行い、第5の混合液を、化合物(3)と、第6の混合液とに分離する。
第2の蒸留塔22の塔頂から取り出した化合物(3)は、化合物(3)供給流路40経由で混合装置16に供給される。
第2の蒸留塔22の塔底から取り出した第6の混合液は、第6の混合液供給流路50経由で第3の蒸留塔24に供給される。第6の混合液は、化合物(4)を主成分として含み、nが3以上の化合物(5)、他の副生物等を微量含む。
工程(d):
混合装置16に、各供給流路から化合物(3)、化合物(2)およびラジカル開始剤を供給し、混合して第3の混合液を調製する。
混合装置16内の温度は、−20〜100℃が好ましい。
混合装置16内における第3の混合液の滞留時間は、混合装置16内におけるテロメル化反応を抑える点から、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましく、5〜15分が特に好ましい。
第3の混合液における化合物(3)と化合物(2)とのモル比(化合物(3)/化合物(2))は、1以上が好ましい。化合物(2)は、通常、化合物(3)に対して等モル以上に溶解することはないため、化合物(3)/化合物(2)が1以上であれば、化合物(3)に化合物(2)が飽和濃度以下で溶解することになり、工程(d)において混合液から気泡が発生しにくくなる。そのため、第2の管型反応器18の反応管内に気相部が形成されにくく、混合液の液相状態を保つことが容易となる。化合物(3)/化合物(2)は、化合物(4)の選択率が高くなる点から、20〜200がより好ましい。
ラジカル開始剤としては、上述の過酸化物系化合物、アゾ系化合物が挙げられる。
ラジカル開始剤の量は、化合物(3)に対して、0.001〜2モル%が好ましく、0.01〜1モル%がより好ましい。
ラジカル開始剤は、化合物(3)、炭化水素系有機溶媒、含フッ素有機溶媒等に溶解した状態で混合装置16に供給してもよい。
工程(e):
工程(e)の第2の管型反応器18内においては、第3の混合液は、しだいに第4の混合液に変化しているため、第3の混合液と第4の混合液とを明確に区別できない。したがって、本明細書においては、第2の管型反応器18内に存在する、第3の混合液、第4の混合液、およびこれらの中間状態の混合液をまとめて、単に「混合液」とも記す。
混合装置16の底部から第3の混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、第3の混合液を第3の混合液供給流路46経由で第2の管型反応器18の底部に供給する。
第2の管型反応器18の底部に供給された第3の混合液は、第2の管型反応器18内の各反応管に分配される。
混合液に気相が形成されないように、混合液を反応管の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(3)に化合物(2)を付加させて化合物(4)を含む第4の混合液を得る。
第4の混合液は、第2の管型反応器18の頭部から排出される。
反応管内の温度は、ラジカル開始剤の10時間半減期温度より20℃以上高い温度が好ましく、30℃以上高い温度がより好ましく、35℃以上高い温度がさらに好ましい。該温度であれば、化合物(4)をより高い選択率で得ることができる。
また、反応管内の温度は、混合液が第2の管型反応器18内に滞留する時間内に、ラジカル開始剤の50モル%以上が分解する温度が好ましい。該温度であれば、化合物(4)をさらに高い選択率で得ることができる。
反応管内の圧力は、混合液に気相が形成されることなく液相状態で反応管内を流れることができる圧力であればよい。
第2の管型反応器18内における混合液の滞留時間は、混合液中の化合物(2)が反応に寄与し、消費されるに充分な時間が好ましい。具体的には、滞留時間は、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、15分以上がさらに好ましく、30分以上が特に好ましい。
混合液に気相が形成されないようにするためには、第3の混合液における化合物(3)と化合物(2)とのモル比(化合物(3)/化合物(2))を1以上とすること等を実施することが好ましい。
工程(e)において、混合液に気相が形成されないように、混合液を反応管の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、化合物(3)に化合物(2)を付加させることにより、下記の3つの理由から、化合物(4)を高い選択率で得ることができる。
(i)混合液に気相が形成される場合、該気相部のほとんどは、混合液に溶けきれなくなった化合物(2)である。よって、気相部が形成されてしまうと、気相部との界面付近の液相部(混合液)に化合物(2)が偏在することになり、該界面付近の液相部にて化合物(4)と化合物(2)とのテロメル化反応が進行し、nが3以上の化合物(5)が生成しやすい。
一方、混合液に気相が形成されなければ、化合物(2)が均一に存在する混合液中にて、化合物(3)と化合物(2)とのテロメル化反応が優先的に進行し、化合物(2)が効率よく消費されるため、化合物(4)と余分な化合物(2)とのテロメル化反応が進行しにくい。
(ii)混合液を反応管の入口から出口に向かって流しながら化合物(3)と化合物(2)とのテロメル化反応を行うと、反応管の入口側では化合物(2)の濃度が比較的高いため、化合物(2)が効率よく消費される。そのため、反応管の出口側に近づくにつれて化合物(2)の濃度がしだいに低下し、反応管の出口側では化合物(4)と化合物(2)とのテロメル化反応が進行しにくい。
(iii)混合液に気相が形成されないような状態は、すなわち化合物(3)に化合物(2)が飽和濃度以下で溶解しているということであり、理由(i)、(ii)において化合物(2)が効率よく消費されることにより、第2の管型反応器18から排出される第4の混合液には化合物(2)がほとんど含まれない、または、含まれていてもごく少量である。そのため、反応管の出口側にて化合物(2)がほとんど存在しないため、反応管の出口側にて化合物(4)と化合物(2)とのテロメル化反応が進行しにくい。
工程(f):
まず、第2の管型反応器18から排出される第4の混合液を、第4の混合液供給流路48経由で第1の蒸留塔20に供給し、第1の蒸留塔20にて上述の第2の混合液および第4の混合液の蒸留を行い、該混合液を、化合物(1)、(2)と、第5の混合液とに分離する。第5の混合液は、化合物(3)、(4)を主成分として含み、nが3以上の化合物(5)、他の副生物等を微量含む。
第1の蒸留塔20の塔頂から取り出した化合物(1)、(2)は、原料返送流路36経由で混合槽12に返送し、原料として再利用する。
ついで、第1の蒸留塔20の塔底から取り出した第5の混合液を、第5の混合液供給流路38経由で第2の蒸留塔22に供給し、第2の蒸留塔22にて第5の混合液の蒸留を行い、第5の混合液を、化合物(3)と、第6の混合液とに分離する。第6の混合液は、化合物(4)を主成分として含み、nが3以上の化合物(5)、他の副生物等を微量含む。
第2の蒸留塔22の塔頂から取り出した化合物(3)は、化合物(3)供給流路40経由で混合装置16に供給される。
ついで、第2の蒸留塔22の塔底から取り出した第6の混合液を、第6の混合液供給流路50経由で第3の蒸留塔24に供給し、第3の蒸留塔24にて第6の混合液の蒸留を行い、第6の混合液を、化合物(4)と、第7の混合液とに分離する。
第3の蒸留塔24の塔頂から取り出した化合物(4)は、化合物(4)回収流路52経由で回収される。
第3の蒸留塔24の塔底から取り出した第7の混合液は、第7の混合液排出流路54経由で排出される。第7の混合液は、nが3の化合物(5)を主成分として含み、nが4以上の化合物(5)、他の副生物等を微量含む。
本発明においては、工程(a)〜工程(f)をそれぞれ連続運転することが好ましく、工程(a)〜工程(f)を接続した連続プロセスで行うことが特に好ましい。
回収された化合物(4)は、たとえば、アクリル酸フルオロアルキルエステルのアルコール成分の原料として用いる。化合物(4)としては、下記の利点を有することから、C13Iが好ましい。
(i)アクリル酸フルオロアルキルエステルの(共)重合体を含む撥水撥油剤が、基材の風合いを保ちつつ、基材に撥水性を付与でき、また、低温での基材付着性(低温キュア性)が良好である。
(ii)アクリル酸フルオロアルキルエステルの重合時の乳化安定性が良好である。
(iii)炭素数が6以下のフルオロアルキル化合物は、炭素数が8以上のフルオロアルキル化合物に比べ、生分解性等の環境適応性が良好である。
アクリル酸フルオロアルキルエステルは、公知方法によって製造できる。
得られるアクリル酸フルオロアルキルエステルとしては、たとえば、化合物(6)が挙げられ、化合物(6−1)が好ましい。
CH=CZCOO(CCFCF ・・・(6)、
CH=CZCOOCCFCF ・・・(6−1)。
ただし、Zは、H、CH、C、Cl、FまたはBrであり、yは、1以上の整数である。
以上説明した本発明のフルオロアルキルアイオダイドの製造方法にあっては、2段階のテロメル化反応による鎖長伸長を、2つの反応器を用い、かつ各反応器にて1段階ずつ行っているため、従来のように、2つの反応器を用いて各反応器にて1段階以上の鎖長伸長を行って重合度の高い化合物(5)を得る方法や、1つの反応器を用いて2段階の鎖長伸長を行う方法に比べ、化合物(4)を高い選択率で、かつ高い生産性で得ることができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
例1〜2は実施例であり、例3〜4は比較例である。
反応器から排出される混合液について、ガスクロマトグラフにより組成分析を行い、下記のようにしてC13I選択率、C13I生産速度を求めた。
(C13I選択率)
組成分析の結果を用い、下式からC13I選択率を求めた。
13I選択率(%)={1−(C17I(モル)/C13I(モル))}×100。
(C13I生産速度)
反応器出口流量値と組成分析の結果、下式から反応器1LあたりのC13I生産速度を求めた。
13I生産速度(g/分)={C13I出口濃度(g/g)×出口流量(g/分)}/反応器容量。
(ラジカル開始剤分解率)
反応器内の滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率は、公知の活性化エネルギーと温度によって求めた。
〔例1〕
混合槽である、撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:800L)に、化合物(1)であるCIを流速1800L/時間、化合物(2)であるCF=CF(テトラフルオロエチレン)を流速53.5kg/時間、ラジカル開始剤であるIPP(10時間半減期温度:40.5℃)を流速0.24kg/時間で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ内の温度は20℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、19.8分とした。混合液におけるCIとCF=CFとのモル比(CI/CF=CF)は、28.7であり、IPPの量は、CIに対して、0.008モル%であった。
オートクレーブの底部から混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、混合液を第1の管型反応器(多管式、容積:1800L)の底部に供給した。
混合液に気相が形成されないように、混合液を管型反応器内の反応管の入口から出口に向かって流し、化合物(3)であるCIを含む混合液を得た。反応管内の温度は、69℃とし、第1の管型反応器内における混合液の滞留時間は、59分とした。該滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率を求めた。結果を表1に示す。
第1の管型反応器から排出される混合液について蒸留を行い、該混合液に含まれるCIを回収した。
混合槽である、撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:1L)に、化合物(3)であるCIを流速1.5L/時間、化合物(2)であるCF=CFを流速18.6g/時間、ラジカル開始剤であるIPPを流速0.63g/時間で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ内の温度は10℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、10分とした。混合液におけるCIとCF=CFとのモル比(CI/CF=CF)は、49であり、IPPの量は、CIに対して、0.034モル%であった。
オートクレーブの底部から混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、混合液を第2の管型反応器(単管式、容積:0.5L)の底部に供給した。
混合液に気相が形成されないように、混合液を管型反応器内の反応管の入口から出口に向かって流し、化合物(4)であるC13Iを含む混合液を得た。反応管内の温度は、80℃とし、第2の管型反応器内における混合液の滞留時間は、20分とした。該滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率を求めた。結果を表1に示す。
第2の管型反応器から排出される混合液について、組成分析を行い、C13I選択率、C13I生産速度を求めた。結果を表1に示す。
〔例2〕
第2の管型反応器の反応管内の温度を60℃とした以外は、例1と同様にして、化合物(4)であるC13Iを含む混合液を得た。第2の管型反応内の滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率を求めた。結果を表1に示す。
第2の管型反応器から排出される混合液について、組成分析を行い、C13I選択率、C13I生産速度を求めた。結果を表1に示す。例2では、第2の管型反応器の反応管内の温度が低くいにもかかわらず、例2よりも温度が高い例3に示す従来の製造方法と同等の生産速度を達成できた。
〔例3〕
第1の反応器である、撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:1L)に、化合物(1)であるCIを流速1000g/時間、化合物(2)であるCF=CFを流速3.4g/時間、ラジカル開始剤であるIPPを流速0.07g/時間で供給し、撹拌機にて混合し、化合物(3)であるCIを含む混合液を得た。オートクレーブ内の温度は69℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、60分とした。該滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率を求めた。結果を表1に示す。供給されたCIとCF=CFとのモル比(CI/CF=CF)は、120であり、IPPの量は、CIに対して、0.008モル%であった。
第1の反応器から流速1004g/時間で連続的に排出される混合液について蒸留を行い、該混合液に含まれるCIを回収した。
第2の反応器である、撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:1L)に、化合物(3)であるCIを流速3000g/時間、化合物(2)であるCF=CFを流速50.4g/時間、ラジカル開始剤であるIPPを流速0.21g/時間で供給し、撹拌機にて混合し、化合物(4)であるC13Iを含む混合液を得た。オートクレーブ内の温度は80℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、20分とした。該滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率を求めた。結果を表1に示す。供給されたCIとCF=CFとのモル比(CI/CF=CF)は、17.2であり、IPPの量は、CIに対して、0.012モル%であった。
第2の反応器から流速3051g/時間で連続的に排出される混合液について、組成分析を行い、C13I選択率、C13I生産速度を求めた。結果を表1に示す。
〔例4〕
混合槽である、撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:800L)に、化合物(1)であるCIを流速800L/時間、化合物(3)であるCIを流速1104L/時間、化合物(2)であるCF=CFを流速22.3kg/時間、ラジカル開始剤であるIPPを流速0.04kg/時間で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ内の温度は20℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、12.1分とした。混合液におけるCIおよびCIの合計とCF=CFとのモル比((CI+CI)/CF=CF)は、60.7であり、IPPの量は、CI、CIの合計(100モル%)に対して、0.001モル%であった。
オートクレーブの底部から混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、混合液を管型反応器(多管式、容積:1800L)の底部に供給した。
混合液に気相が形成されないように、混合液を管型反応器内の反応管の入口から出口に向かって流し、化合物(4)であるCIを含む混合液を得た。反応管内の温度は、73℃とし、管型反応器内における混合液の滞留時間は、59分とした。該滞留時間内におけるラジカル開始剤分解率を求めた。結果を表2に示す。
管型反応器から排出される混合液について、組成分析を行い、C13I選択率、C13I生産速度を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2009073762
Figure 2009073762
本発明の製造方法によって得られたフルオロアルキルアイオダイドは、撥水撥油剤、フッ素系界面活性剤等の原料として有用である。
フルオロアルキルアイオダイドの製造装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
14 第1の管型反応器(第1の反応器)
18 第2の管型反応器(第2の反応器)

Claims (4)

  1. (a)下式(1)で表される化合物、下式(2)で表される化合物およびラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程と、
    (b)工程(a)で得られた混合液を第1の反応器に供給し、混合液から気相が生成しない条件で、混合液を第1の反応器の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、下式(1)で表される化合物に下式(2)で表される化合物を付加させて下式(3)で表される化合物を含む混合液を得る工程と、
    (c)工程(b)で得られた混合液に含まれる下式(3)で表される化合物を回収する工程と、
    (d)工程(c)で回収された下式(3)で表される化合物、下式(2)で表される化合物およびラジカル開始剤を含む混合液を調製する工程と、
    (e)工程(d)で得られた混合液を第2の反応器に供給し、混合液から気相が生成しない条件で、混合液を第2の反応器の入口から出口に向かって流しながら、ラジカル開始剤の存在下、下式(3)で表される化合物に下式(2)で表される化合物を付加させて下式(4)で表される化合物を含む混合液を得る工程と、
    (f)工程(e)で得られた混合液に含まれる下式(4)で表される化合物を回収する工程と
    を有する、フルオロアルキルアイオダイドの製造方法。
    I ・・・(1)、
    CF=CF ・・・(2)、
    CFCFI ・・・(3)、
    (CFCFI ・・・(4)。
    ただし、Rは、炭素数1〜3のフルオロアルキル基である。
  2. 第1の反応器または第2の反応器内の温度が、混合液が反応器内に滞留する時間内に、ラジカル開始剤の50モル%以上が分解する温度である、請求項1に記載のフルオロアルキルアイオダイドの製造方法。
  3. 第1の反応器または第2の反応器内の温度が、ラジカル開始剤の10時間半減期温度より20℃以上高い温度である、請求項1に記載のフルオロアルキルアイオダイドの製造方法。
  4. 第1の反応器または第2の反応器内における混合液の滞留時間が、5分以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のフルオロアルキルアイオダイドの製造方法。
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