以下に、図面を参照して、本発明についてさらに説明する。図1に、本発明に係る微小粒子の配置装置(マイクロボールマウンタ、以降においてはボールマウンタ)の概略構成を平面図により示してある。図2に、ボールマウンタ1の概略を側面図により示してある。このボールマウンタ1は、たとえば、8インチまたは12インチ半導体ウェハ10をワークとして、そのワークの所定の位置に精度良く半田ボールなどの微小粒子を実装することができる。このボールマウンタ1は、ウェハストッカ31から供給されたウェハ10を移動させて、反り矯正した後、フラックスを印刷処理し、さらに、半田ボールの充填処理を行い、充填後のウェハ10を別のウェハストッカ32に収納するといった一連の処理を全自動で行うものである。
このボールマウンタ1は、大きく分けて、ウェハ10の供給および収納を行うローダ/アンローダ区画21と、ローダ/アンローダ区画21から供給されたウェハ10をXYZθテーブル23に搭載し、このテーブル23を搬送方向Xに移動させながらフラックス印刷およびボール(微小粒子)の搭載を行うマウント区画22とを有している。マウント区画22は、ローダ/アンローダ区画21から供給されたウェハ10の反りを矯正する反り矯正ユニット25と、反り矯正されたウェハ10にフラックスを印刷するスクリーン印刷ユニット26と、フラックスが印刷されたウェハ10にボール(微小粒子)を搭載するボール搭載ユニット27とを備えており、これらが搬送方向Xに順番に並んで配置されている。
図3に、ボールマウンタ1により実行される作業の流れの概略をブロック図により示してある。以下では、この作業の流れ(ステップS1からS11)に沿って、各部の構成および動作について説明する。まず、ローダ/アンローダ区画21は、供給用ストッカ31から供給されたウェハ10をプリアライメントするプリアライメント部33と、供給用ウェハストッカ31からのウェハ10の取り出し、収納用ストッカ32へのウェハ10の格納、プリアライメント部33へのウェハ10の搬送・回収、マウント区画22のテーブル23へのウェハ10の搬送・回収などを行う搬送ロボット34とを備えている。搬送ロボット34は、供給用ストッカ31から1枚のウェハ10を引き出す。図4に示すように、引き出されたウェハ10は搬送ロボット34によりプリアライメント部(プリアライナ)33に供給され、プリアライナ33は、XY方向に±0.2mm、角度(θ)が±0.2°程度の精度でウェハ10を位置決めする(ステップS1)。プリアライメントされたウェハ10は搬送ロボット34によりマウント区画22のテーブル23に供給される(ステップS2)。
次に、図5に示すように、反り矯正ユニット25において、テーブル23に供給されたウェハ10の反りを修正する(ステップS3)。反り矯正ユニット25においては、テーブル23の上に置かれたウェハ10を、テーブル23の下側から真空吸着して保持することにより、水平度の高い状態に維持されているテーブル23にウェハ10を密着させて、ウェハ10の反りを矯正する。以降の工程においては、ウェハ10はテーブル23と共に移動し、テーブル23に密着した水平な平坦な状態で維持される。
次に、図6〜図9に示すように、スクリーン印刷ユニット26において、微小粒子である半田ボールを搭載するフラックスをウェハ10に印刷する。先ず、図6に示すように、印刷ユニット26では、テーブル23に搭載された状態で搬送されてきたウェハ10のパターンを、認識カメラ26aにより認識し、画像処理により印刷用マスク37とウェハ10をアライメントする(ステップS4)。なお、印刷用マスク37は、マスクの交換時に、スクリーン印刷ユニット26において認識カメラ26aを用いて認識し、予め画像処理することにより、アライメントする際に、ウェハ10の所定の位置にマスクパターンが配置されるように前処理されている。
次に、フラックスを印刷する(ステップS5)。図7に示すように、印刷用マスク37の上にフラックスを塗布する。さらに、図8に示すように、印刷用のスキージ26bにより印刷用マスク37をウェハ10に押し付けるようにしてフラックス11をウェハ10に塗布する。印刷用マスク37は、ウェハ10との間に所定のギャップを開けてアライメントされており、スキージ26bを、マスク37を押し下げるように水平方向(X方向またはY方向)に移動する。これにより、スキージ26bで押し下げられたマスク37だけがウェハ10に接した状態となり、マスク37の開口パターン37aを介してフラックス11がウェハ10に塗布される。したがって、図9に示すように、ウェハ10にマスク37を密着させずに、マスク37の開口パターン37aに基づいた位置および形状で、ウェハ10の所望の位置にフラックス11を印刷できる。
スクリーン印刷ユニット26は、印刷用マスク37をクリーニングする機構36を備えており、1つのウェハ10に対してフラックスの印刷が終了する毎、あるいはマスククリーニングが必要と判断されたときに、マスククリーニングを行なう(ステップS6)。クリーニング機構36により、印刷用マスク37に付着しているフラックスを除去することにより、フラックス11の印刷精度を維持することができる。フラックス印刷が終了したウェハ10は、テーブル23と共にボール搭載ユニット27に移動する。
図1に示すように、本例のボール搭載ユニット27は、ボール充填部28とマスククリーニング部29とを備えている。ボール充填部28においては、充填用ヘッド41により充填用マスク45の開口パターン46に微小粒子である半田ボール48を充填し(ステップS8(第1の工程))、続いて、マスク45をウェハ10から外す前に、除去用ヘッド42によってマスク45に残存している半田ボール48を除去する(ステップS9(第2の工程))。さらに、マスク45をウェハ10から外した後に、マスククリーニング部29において、クリーニング用ヘッド80によりマスク45の裏面に残存している可能性のある半田ボールを除去する(ステップS10(クリーニング工程))。
これらの工程の前に、まず、ボール搭載ユニット27においては、上述した印刷ユニット26と同じ構成により、充填用マスク45とウェハ10を、画像処理によりアライメントする(ステップS7)。なお、充填用マスク45も、印刷用マスクと同様に、マスクの交換時に、ボール搭載ユニット27において認識カメラを用いて認識し、予め画像処理することにより、マスク自身はユニット27に対してアライメントされている。
図10に、ボール搭載ユニット27のボール充填部28の概略構成を平面図により示してある。ボール充填部28は、充填用のヘッド41と、充填用ヘッド41を支持するキャリッジ62と、キャリッジ62を支持するキャリッジシャフト63とを備えている。キャリッジ62は、充填用ヘッド41を支持するアーム62aを伸縮させることにより、充填用ヘッド41をY方向に移動することができる。また、キャリッジ62は、キャリッジシャフト63に沿ってX方向に移動することができ、このシステムにより充填用ヘッド41をボール充填部28のX−Y方向の任意の位置に移動することができる。したがって、充填用ヘッド41を、XY平面において、直線的に、あるいは円を描くように、さらには、楕円を描くように移動させることができる。
さらに、ボール充填部28は、残ボール除去用のヘッド42と、除去用ヘッド42を支持するキャリッジ65と、キャリッジ65を支持するキャリッジシャフト64とを備えている。本例の除去用ヘッド42は、充填用マスク45の直径と同等あるいはそれ以上の長さのY方向に延びた形状のヘッドであり、除去用ヘッド42をキャリッジ65によりY方向に動かすことにより、除去用ヘッド42が充填用マスク45の全面を移動できるようになっている。除去用ヘッド42を、充填用ヘッド41と同様のシステムで支持し、ボール充填部28のX−Y方向の任意の位置に移動する構成にすることも可能である。
図11に、充填用ヘッド41の概略構成を断面図により示してある。本例の充填用ヘッド41は回転型であり、ボール充填部28は、充填用ヘッド41を回転駆動する駆動部57と、充填用ヘッド41の中心を支持し、回転力を伝達するシャフト59とを備えている。充填用ヘッド41は、シャフト59を中心として回転する円盤状のスキージサポート51と、スキージサポート51の裏面、すなわち、充填用マスク45およびウェハ10に面した側に配置された複数の充填用のスキージ52とを備えている。充填用スキージ52は、上方から見たときに、回転軸59と同軸の内円の周りに、円周方向に均等なピッチで、内円の接線方向に延びるように配置されている。このため、スキージサポート51を回転することにより、スキージ52により半田ボール48が内円に集められ、内円の範囲内にマスク45の開口パターンに効率よく充填するのに十分な量の半田ボール48の集合49を維持できる。したがって、回転させながら充填用ヘッド41をマスク45の表面45aを移動させることにより、充填用ヘッド41と共に大量の半田ボール48の集合49をマスク45に沿って移動することができ、マスク45の開口パターンに半田ボール48を効率よく、また充填ミスなく充填することができる(ステップS8)。したがって、充填用ヘッド41が、本発明における第1の粒子移動ヘッドに対応し、このステップS8が第1の工程に対応する。
図12(a)および(b)に、ステップS8において、充填用ヘッド41により半田ボール48を充填する様子を示してある。このステップS8においては、充填用ヘッド41により、微小粒子である半田ボール48を移動しながらマスク45の開口パターン46に充填し、ウェハ10の所定の位置に配置する。充填用ヘッド41のスキージサポート51の下面に配置されたスキージ52は、複数のスウィープ部材52aを備えている。これらのスウィープ部材52aは、大量の半田ボール48の集合49を一括して移動するために、適当な強度のある部材、たとえば、導電性で樹脂製のブラシ状部材やワイヤから形成されている。複数のスウィープ部材52aは、スキージ52の進行方向に対して先端が後退するようにサポート51に取り付けられている。図12(a)に示したように、このようなスキージ52を充填用マスク45の表面45aに接触させた状態で、充填用ヘッド41を回転させながらマスク45の表面45aに沿って移動することにより、スウィープ部材52aは、マスク45の上の半田ボール48の集合49を押しながら、あるいは、掃くように移動させる。集合49の半田ボール48の一部は、開口パターン46に充填され、ウェハ10の所定の位置に配置される。残りの過剰な半田ボール48は、スキージ52により集められて集合49を形成し、その状態でマスク45の表面45aを移動し、次々と開口パターン46に充填される。
したがって、充填用ヘッド41により、半田ボール48を開口パターン46に充填するステップS8(第1の工程)においては、開口パターン46の密度に対して十分な量の半田ボール48を集合49として移動する必要がある。このため、ある程度の機械的な強度を備えたスウィープ部材52aにより、大量の半田ボール48をマスク45の表面45aに沿って水平方向に押し続ける必要がある。したがって、スウィープ部材52aが開口パターン46に沿って変形して半田ボールを押し込んだりすることはなく、集合49から半田ボール48は重力により開口パターン46に充填される。また、半田ボール48が強い力で開口パターン46に押し込まれるのではなく、重力により落下することにより、半田ボール48が損傷したり、開口パターン46の位置からずれたりすることなく、開口パターン46に従った所定の位置に半田ボール48を配置することができる。
このステップS8においては、充填用ヘッド41により、開口パターン46に対する充填量に対して十分に余裕のある大量の半田ボール48を移動するために、図12(b)に示したように、充填用ヘッド41が移動した後にスキージ52から漏れたり、溢れたりしてマスク45の上に少量の半田ボール48aが散逸、分散または点在した状態で取り残されることを許容している。スキージ52から漏れないように、集合49を形成する半田ボール48の量を減らすと、開口パターン46に対して十分な密度で半田ボール48を移動できない可能性があり、充填効率が悪化し、充填ミスが発生する可能性があり、そのような事態を防止するためである。また、剛性の高いスキージ52により、微小粒子である半田ボール48を漏れなく移動させようとすると、スキージ52とマスク45との間に隙間が発生しないように過剰な圧力でスキージ52を押し付ける必要があり、マスク45に損傷を与えたり、半田ボール48に損傷を与える可能性があり、そのような不具合の発生を防止するためである。
図13(a)および(b)に、ステップS9において、マスク45に残存したボール48aを除去する様子を示してある。このステップS9においては、ボール充填部28の除去用ヘッド42を動かして、マスク45に残存している半田ボール48aを移動する。したがって、このステップS9が第2の工程に対応し、除去用ヘッド42が第2の粒子移動ヘッドに対応する。本例の残ボール除去用のヘッド42は、X方向に延びたスキージサポート53と、このスキージサポート53の下面に配置されたスキージ54とを備えている。この除去用ヘッド42は、充填用ヘッド41に対して非常に少ない量の半田ボール48を移動することを目的としている。したがって、スキージ54の機械的な強度はそれほど要求されず、逆に、マスク45に接した状態で、マスク45との間に隙間を形成しないような柔軟性を備えていることが望ましい。このため、この除去用ヘッド42のスキージ54は、ステンレススチール製の細い繊維状のスウィープ部材54aを採用し、数多くのスウィープ部材54aが下側に向かってブラシ状に配置された構成となっている。
除去用ヘッド42を、繊維状のスウィープ部材54aがマスク45の表面45aに必ず接し、ある程度変形するような間隔を開けて移動することにより、スウィープ部材54aがマスク45の表面45aに対して垂直方向の力が加えられた状態で移動することができる。したがって、スウィープ部材54aは、箒でマスク45の表面45aを掃くように動き、マスク45の表面45aに残った半田ボール48aをかき集めて移動させることができる。したがって、図13(b)に示したように、柔らかいスキージ54を持つ残ボール用または除去用ヘッド42を、ボール48の充填後にマスク45の上で移動させることにより、マスク表面45aに残存している半田ボール48aをマスク45の外に払い出して除去できる。
さらに、除去用ヘッド42のスウィープ部材54aは、柔軟で変形し易く、さらに細いので、マスク45の表面45aを移動したときに開口パターン46の内部に入り込み、開口パターン46に充填された半田ボール48を上方からウェハ10に押し付ける。したがって、開口パターン46に配置された半田ボール48は、ウェハ10に印刷されたフラックス11に押し付けられ、フラックス11と密着した状態になり、マスク45を外したときにマスク45と共に半田ボール48が外れたり、フラックス11から半田ボール48がずれ落ちてしまうような不具合を未然に防止できる。このため、本例のボールマウンタ1において生成される、所定の位置に半田ボール48が配置された、ボールマウント済みのウェハ10の歩留まりを向上できる。このため、本例のボールマウンタ1により生成されたウェハ10を、リフロー炉に入れてフラックス11を介して半田ボール48をウェハ10と接続することにより、信頼性の高い製品、例えば、LSIあるいはLCDを製造することができる。
図14(a)および(b)に、ステップS10において、充填用マスク45をクリーニングする様子を示してある。ボール搭載ユニット27は、充填用マスク45をウェハ10から外してクリーニング部29へ移動するマスク移動機構58を備えている。したがって、マスクをクリーニングする工程S10においては、マスク45をウェハ10からクリーニング部29に退避させた後、マスク45のクリーニングを行なう。したがって、このマスク移動機構58が、ワークに対してマスクを着脱する手段に対応する。クリーニング部29は、マスク45を、その裏面45bの側からクリーニングするクリーニング用ヘッド80と、マスク裏面45bに沿ってクリーニング用ヘッド80を移動する機構81と、クリーニング用ヘッド80を介してマスク裏面45bから半田ボール48を吸引可能な吸引ポンプ(真空ポンプ)82とを備えている。
除去工程S9において、除去用ヘッド42によりマスク45の表面45aの残ボールを除去することができるが、ウェハ10から取り外したマスク45の裏面45bに残ボール48cが着いて垂れ下がっていたり、開口パターン46に残ボール48dが詰まった状態になっている可能性がある。マスク45の裏面45bに残ったボール48cは、そのまま次のウェハ10にマスク45を重ねると、位置ずれが発生したり、ウェハ10とマスク45との間に隙間が発生する可能性があり、充填ミスにつながる。また、開口パターン46に残ボール48dが詰まっていると、そのままの状態で半田ボールが充填されない可能性がある。クリーニング用ヘッド80により、マスクの裏面45bから残ボールを吸引しながらクリーニングすることにより、マスクの裏面45bおよび開口パターン46の残ボールを除去でき、充填ミスの発生を未然に防止できる。
このようにして、ボール搭載ユニット27における処理が終了し、半田ボール48が所定の位置に配置されたウェハ10は、テーブル23と共にローダ/アンローダ区画21に向けて搬送される。そして、搬送ロボット34により回収され、収納用のストッカ32に格納される(ステップS11)。これにより、1枚のウェハ10に対するボールマウントが終了する。
上記のボールマウンタ1においては、充填用ヘッドおよび除去用ヘッドは、スウィープ部材により半田ボールに接して移動するタイプであるが、充填用ヘッドおよび/または除去用ヘッドを、空気などの気体を吹き出して半田ボールなどの微小粒子を移動するタイプにすることも可能である。図15に、充填用マスク45の表面45aに沿った水平方向に空気Aを吹き出して半田ボール48の集合49を一括して吹き払うタイプの充填用ヘッド71の概要を示してある。この充填用ヘッド71は、水平方向に向いたエアーノズル75を有しており、ヘッド71の内部を介して供給された圧縮空気をマスク45の表面45aに沿って吹き出すことができ、大量の半田ボール48を移動することができる。
図16に、充填用マスク45に対して斜め上から空気Aを吹き出して半田ボール48を吹き払うタイプの除去用ヘッド72を示してある。この除去用ヘッド72は、斜め下方に向いたエアーノズル76を有しており、除去用ヘッド72の内部を介して供給された圧縮空気をマスク45に対して斜め上方から吹き付けることができる。充填用ヘッド71のノズル76の向きを変えることにより除去用ヘッド72として機能させることも可能である。マスク45の上から空気Aを供給することにより、マスク45の表面45aに散逸している残ボール48aを浮かせるようにして、確実に移動し、マスク45の表面45aから除去できる。充填する場合は、半田ボール48を浮かせるような方向に空気を供給できないが、除去する場合は好ましい。さらに、マスク45に対して、上から空気Aを吹き付けることにより、マスク45の開口パターン46に充填された半田ボール48をウェハ10に押しつけることができる。したがって、上述した機械的な除去用ヘッド42と同様に、開口パターン46に充填された半田ボール48をフラックス11に密着させることができ、半田ボールがマウントされたウェハ10の歩留まりを向上できる。半田ボールを移動するために吹き出す気体は、空気Aに限らず、窒素ガス、アルゴンガスやイオン化した気体であっても良い。
なお、ウェハ10に半田ボール48を搭載するボールマウンタを例に本発明を説明したが、ワークにマスクをセットし、微小粒子をマスクの開口パターンに振込むあらゆる装置に本発明は適用可能である。また、上述したヘッドの形状あるいはヘッドを移動する機構は例示であり、上記の例に限定されるものではない。例えば、充填用ヘッドは回転式の変わりに、直線的に往復動するものであっても良いし、ヘッドを動かす代わりにマスクとワークとを一体にして動かしても良い。
上述したように、マスクに設けられた複数の微細な開口(開孔)にミスなく微小粒子を充填または配置するためには、開口に充填される微小粒子の量、すなわち、面積当たりの開口の密度に対して十分に余裕のある量の微小粒子を、マスクの上でスキージにより移動する必要がある。しかしながら、大量の微小粒子をマスクの上でスキージにより移動すると、スキージから微小粒子が漏れて、マスクに微小粒子が残存することになる。マスクの上に残存した微小粒子は、マスクをワークから外すときに、意図しないタイミングでマスクの開口に入り込んでワーク上の不良な粒子になったり、そのままマスクに付着して次のワークにマスクをセットするときの障害になる可能性がある。一方、スキージによりマスク上の微小粒子を掃くように移動(スウィープ)した後に、マスクに微小粒子が残存しないように微小粒子の量を減らすと、全ての開口に微小粒子を確実に配置することが難しくなり、充填ミスが発生する可能性がある。
また、充填効率を向上するために十分な量の微小粒子を一括して移動させるようなスキージは、大量の微小粒子を機械的に押せるように、十分な強度を持った材料あるいは構造を有する必要がある。したがって、少量の微小粒子を掃き集めるのに適した、柔軟性の高い材料あるいは構造のスキージは適さない。
そこで、マスクの開口に微小粒子を確実に充填できると共に、マスクに微小粒子が残留しないように微小粒子を配置し、歩留まりを向上できる方法および装置を提供している。
微小粒子をワークの所定の位置に配置するための開口パターンを備えたマスクを用いて、ワークの上に微小粒子を配置する方法は、大量の微小粒子を移動するのに適した第1の粒子移動手段により、マスクに沿って微小粒子を移動する第1の工程と、少量の微小粒子を移動するのに適した第2の粒子移動手段により、マスクに沿って微小粒子を移動する第2の工程とを有する。第1の工程においては、第1の粒子移動手段により、マスクに沿って開口パターンに充填するのに十分な量の微小粒子の集合を一括して移動し、第2の工程においては、第2の粒子移動手段により、マスクに沿って、散逸している微小粒子を移動する。
この微小粒子の配置方法においては、微小粒子を開口パターンに充填することを目的とする第1の工程と、微小粒子をマスクの外に移動することを目的とする第2の工程とを分離して行なう。したがって、第1の工程では、微小粒子を開口パターンに充填するために十分な量、すなわち、大量の微小粒子を移動するのに適した第1の移動手段を用いることができ、充填効率を向上し、充填ミスの発生を防止できる。そして、この第1の移動手段は、残留している微小粒子をかき集めるのには適していないようなものであってもかまわない。
一方、第2の工程では、大量の微小粒子を移動する必要はなく、マスク上に散逸している少量の微小粒子を移動するのに適した第2の移動手段により、マスク上に残留している微小粒子を除去し、それらによるトラブルを未然に防止できる。さらに、第2の移動手段は、大量の微小粒子を移動させる必要がなく、マスク上に残っている微小粒子を確実に移動させる必要があるので、移動のために微小粒子に加える力の向きを変えることができ、力の向きを変えた移動手段を用いることが好ましい。そのため、第2の粒子移動手段に、マスクの開口パターンに充填された微小粒子を、上方からワークに押し付けて、充填され、配置された微小粒子とワークとの密着性を高める機能を付加させることができ、所定の位置に微小粒子を配置したワークの歩留まりを向上できる。
ワークには、微小粒子が配置される位置に予めフラックスなどの微小粒子と結合させる素材が塗布されていることが多い。フラックスの場合は、微小粒子を配置した後にリフローすることにより微小粒子を固定できる。マスクの開口パターンに充填された微小粒子が、なんらかの要因によりフラックスと密着していない場合、マスクを外すときに微小粒子がマスク側に着いて外れたり、フラックスからずれ落ちたりする可能性がある。第2の粒子移動手段により、マスクの開口パターンの上方から微小粒子に力を加えることができれば、微小粒子を確実にフラックスに密着できるので、微小粒子が外れたり、ずれたりする問題を解決できる。
大量の微小粒子を移動する必要がある第1の粒子移動手段は、微小粒子に対してマスクの表面に沿った水平方向の力を主として加える必要があり、開口パターン内の微小粒子を押すことは難しい。これに対し、第2の粒子移動手段は、第1の粒子移動手段よりも、微小粒子に対してマスクの表面に垂直な方向の比率が高い力を加えることにより、マスク表面に残った微小粒子を確実に移動でき、また、マスクの開口パターン内の微小粒子を押してワークに密着させることができる。
例えば、第1の粒子移動手段および第2の粒子移動手段が、機械的に微小粒子に接して微小粒子を移動するスウィープ部材を備えている場合は、第2の粒子移動手段のスウィープ部材は、マスクの表面に残留した微小粒子を確実に捉えて移動できるように、第1の粒子移動手段のスウィープ部材よりも柔軟であることが望ましい。そして、柔軟なスウィープ部材は、変形してマスクの開口パターン内の微小粒子にも接触することにより、開口パターン内の微小粒子をワークに押し付けることができる。特に、スウィープ部材として、微小粒子の径と同等あるいはそれより細いワイヤ状の部材を用いることができ、それによりマスクの表面を掃くように移動すると、開口パターンの上部に部材が侵入して開口パターン内の微小粒子をワークに押し付けることができる。
第1の粒子移動手段および第2の粒子移動手段が、気体を吹き出して微小粒子を移動するものである場合は、第1の工程および第2の工程における気体の吹き出し角度を変えることにより、第1の工程では水平方向に気体を吹き出して微小粒子を押し、第2の工程では斜め上方から気体を吹き出して微小粒子を押すことが望ましい。そして、第2の工程では、斜め上方から気体を吹き出すことにより、開口パターンに充填された微小粒子をワークに押し付けることができる。第1の工程においてスウィープ部材を備えた粒子移動手段を用い、第2の工程において気体を吹き出す粒子移動手段を用いたり、逆に、第1の工程において気体を吹き出す粒子移動手段を用い、第2の工程においてスウィープ部材を備えた粒子移動手段を用いたりすることは可能である。
さらに、微小粒子をワークの所定の位置に配置するための開口パターンを備えたマスクを用いて、ワークの上に微小粒子を配置する装置を提供する。この微小粒子の配置装置は、マスクに沿って開口パターンに充填するのに十分な量の微小粒子の集合を一括して移動する第1の粒子移動手段と、マスクに沿って、散逸している微小粒子を移動する第2の粒子移動手段とを有する。さらに、上述した理由により、第1の粒子移動手段は、微小粒子に対してマスクの表面に沿った水平方向の力を主として加え、第2の粒子移動手段は、第1の粒子移動手段よりも、微小粒子に対してマスクの表面に垂直な方向の比率が高い力を加えるものであることが望ましい。
第1の粒子移動手段および第2の粒子移動手段が、機械的に微小粒子に接して微小粒子を移動する移動部材を備えている場合は、第2の粒子移動手段の移動部材は、第1の粒子移動手段の移動部材よりも柔軟であることが望ましい。また、第1の粒子移動手段および第2の粒子移動手段が、気体を吹き出して微小粒子を移動させる場合は、第2の粒子移動手段は、第1の粒子移動手段とは異なる角度で気体を吹き出すものであることが望ましい。
微小粒子が配置されたワークの歩留まりをさらに向上するには、この微小粒子の配置方法において、マスクをワークから退避させ、退避させたマスクの少なくとも裏面をクリーニングする工程を設けることが望ましい。また、この微小粒子の配置装置においては、ワークに対してマスクを着脱する手段と、ワークから離れたマスクの少なくとも裏面をクリーニングする手段とをさらに設けることが望ましい。第2の粒子移動手段によりマスクの表面に残留した微小粒子を除去しても、マスクをワークから外したときに、マスクの裏面に微小粒子が付着していたり、マスクの開口パターンに微小粒子が詰まったりしている可能性がある。それらの微小粒子は、次のワークにマスクを取り付けて微小粒子を配置する際に障害になる。特に、マスクの裏面に付着している微小粒子は、次のワークにマスクをセットした際に、ワークを損傷させたり、ワークとマスクとの間に意図しない隙間を発生させて微小粒子を所望の場所に配置できなくなる要因になる。したがって、マスクをワークから取り外した後に、少なくとも裏面をクリーニングして、マスクの裏面に残留している微小粒子を除去することが、歩留まりを向上するために有用である。
クリーニングする工程においては、マスクの裏面を吸引する方法が望ましい。また、クリーニングする手段は、マスクの裏面を吸引する手段を備えていることが望ましい。マスクを裏面から吸引することにより、開口パターンに目詰まりした微小粒子も含めて、確実に除去することが可能となり、歩留まりを向上できる。
この微小粒子の配置方法および配置装置により、マスクに残存した微小粒子に起因する問題の発生を防止し、マスクの開口パターンに微小粒子を確実に充填できる。このため、半導体デバイスあるいは光学デバイスの実装において使用される、半田ボール、金ボール、または銅ボールなどの微小粒子をウェハなどのワークに対して所望のパターンに従って精度良く、そして、高い信頼性で配列することができ、微小粒子を備えたワークを歩留まり良く製造できる。
すなわち、微小粒子をワークの所定の位置に配置するための開口パターンを備えたマスクを用いて、前記ワークの上に前記微小粒子を配置する方法は、大量の前記微小粒子を移動するのに適した第1の粒子移動手段により、前記マスクに沿って前記微小粒子を移動する第1の工程と、少量の前記微小粒子を移動するのに適した第2の粒子移動手段により、前記マスクに沿って前記微小粒子を移動する第2の工程とを有する。微小粒子をワークの所定の位置に配置するための開口パターンを備えたマスクを用いて、前記ワークの上に前記微小粒子を配置する方法は、第1の粒子移動手段により、前記マスクに沿って前記開口パターンに充填するのに十分な量の前記微小粒子の集合を一括して移動する第1の工程と、第2の粒子移動手段により、前記マスクに沿って、散逸している前記微小粒子を移動する第2の工程とを有する。前記第1の工程は、前記微小粒子を前記開口パターンに充填することを目的とし、前記第2の工程は、前記微小粒子を前記マスクの外に移動することを目的とする。前記第1の粒子移動手段は、前記微小粒子に対して前記マスクの表面に沿った水平方向の力を主として加え、前記第2の粒子移動手段は、前記第1の粒子移動手段よりも、前記微小粒子に対して前記マスクの表面に垂直な方向の比率が高い力を加える。前記第1の粒子移動手段および前記第2の粒子移動手段は機械的に前記微小粒子に接して前記微小粒子を移動するスウィープ部材を備えており、前記第2の粒子移動手段のスウィープ部材は、前記第1の粒子移動手段のスウィープ部材よりも柔軟である。前記第1の粒子移動手段および前記第2の粒子移動手段は気体を吹き出して前記微小粒子を移動するものであり、前記第1の工程および前記第2の工程における気体の吹き出し角度が異なる。配置方法は、さらに、前記マスクを前記ワークから退避させ、退避させた前記マスクの少なくとも裏面をクリーニングする工程を有する。前記クリーニングする工程では、前記マスクの裏面を吸引することによりクリーニングする。
微小粒子をワークの所定の位置に配置するための開口パターンを備えたマスクを用いて、前記ワークの上に前記微小粒子を配置する装置は、前記マスクに沿って前記開口パターンに充填するのに十分な量の前記微小粒子の集合を一括して移動する第1の粒子移動手段と、前記マスクに沿って、散逸している前記微小粒子を移動する第2の粒子移動手段とを有する。前記第1の粒子移動手段は、前記微小粒子に対して前記マスクの表面に沿った水平方向の力を主として加え、前記第2の粒子移動手段は、前記第1の粒子移動手段よりも、前記微小粒子に対して前記マスクの表面に垂直な方向の比率が高い力を加える。前記第1の粒子移動手段および前記第2の粒子移動手段は機械的に前記微小粒子に接して前記微小粒子を移動する移動部材を備えており、前記第2の粒子移動手段の移動部材は、前記第1の粒子移動手段の移動部材よりも柔軟である。前記第1の粒子移動手段および前記第2の粒子移動手段は気体を吹き出して前記微小粒子を移動し、前記第2の粒子移動手段は、前記第1の粒子移動手段とは異なる角度で気体を吹き出す。この装置は、さらに、前記ワークに対して前記マスクを着脱する手段と、前記ワークから離れた前記マスクの少なくとも裏面をクリーニングする手段とを有する。前記クリーニングする手段は、前記マスクの裏面を吸引する手段を備えている。