JP2009070473A - 磁気転写用マスター担体及び磁気転写方法、並びに磁気記録媒体 - Google Patents

磁気転写用マスター担体及び磁気転写方法、並びに磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】高密度媒体に短ビットの転写が可能な高い磁界が発生できる磁気転写用マスター担体を提供する。
【解決手段】本発明による磁気転写用マスター担体(20)は、転写用磁気情報に対応した磁性層(204)が形成された転写部と、当該磁性層(204)を有する転写部に対して相対的に低い凹形状を成す非転写部(207)と、を備え、転写部の磁性層(204)は、垂直磁気異方性を有し、残留磁化Mrが500emu/cc以下、かつ飽和磁化Msが900emu/cc以上であることを特徴とする。磁性層(204)の材料としてCoPtを用いることができ、特に、Co4Pt1(at%)を用いることが好ましい。
【選択図】 図4

Description

本発明は、磁気転写用マスター担体及びこれを用いた磁気転写方法、並びにその方法により作成される磁気記録媒体に係り、特に、大容量、高記録密度の垂直磁気記録方式の磁気記録媒体(磁気ディスク)にサーボ情報等の情報パターンを磁気転写する技術に関する。
近年、磁気記録再生装置は、小型でかつ大容量を実現するために、記録密度の高密度化の傾向にあり、特に、代表的な磁気記憶装置であるハードディスクドライブ(HDD)の分野では、技術の進歩が急激である。
このような情報量の増加に伴い、多くの情報を記録することができる大容量で、安価で、かつ、好ましくは短時間で必要な箇所が読み出せる、いわゆる高速アクセスが可能な高密度磁気記録媒体が望まれている。これらの高密度磁気記録媒体は、情報記録領域が狭トラックで構成されており、狭いトラック幅において正確に磁気ヘッドを走査させて高いS/Nで信号を再生するために、いわゆるトラッキングサーボ技術が大きな役割を担っている。このトラッキングサーボを行うためにセクターサーボ方式が広く採用されている。
セクターサーボ方式とは、磁気ディスク等の磁気記録媒体のデータ面に、一定角度等で正しく配列されたサーボフィールドに、トラック位置決めのためのサーボ信号や、そのトラックのアドレス情報信号、再生クロック信号等のサーボ情報を記録しておき、磁気ヘッドが、このサーボフィールドを走査してサーボ情報を読み取り自らの位置を確認しつつ修正する方式である。
サーボ情報は、磁気記録媒体の製造時にプリフォーマットとして予め磁気記録媒体に記録する必要があり、現在は専用のサーボ記録装置を用いてプリフォーマットが行われている。現在用いられているサーボ記録装置は、例えばトラックピッチの75%程度のヘッド幅を有する磁気ヘッドを備え、磁気ヘッドを磁気ディスクに近接させた状態で、磁気ディスクを回転させつつ、1/2トラック毎に磁気ディスクの外周から内周に移動させつつサーボ信号を記録する。そのため、1枚の磁気ディスクのプリフォーマット記録に長時間を要し、生産効率の点で問題があり、コストアップの要因となっている。
このため、プリフォーマットを正確にかつ効率的に行う方法として、サーボ情報に対応したパターンが形成されているマスター記録媒体の情報を磁気記録媒体に磁気転写する方法が提案されている(特許文献1〜3等)。
この磁気転写は、転写用磁気ディスク等の磁気記録媒体(スレーブ媒体)に転写すべき情報(例えばサーボ情報)に応じた磁性層パターンを有するマスター担体を用い、このマスター担体と磁気記録媒体(スレーブ媒体)とを密着させた状態で、記録用磁界を印加することにより、マスター担体の磁性層パターンに対応する磁気パターンを磁気記録媒体に磁気的に転写するものである。この方法では、マスター担体と磁気記録媒体との相対的な位置を変化させることなく静的に記録を行うことができ、正確なプリフォーマット情報の記録が可能であり、しかも記録に要する時間も極めて短時間であるという利点を有している。
特開2003−203325号公報 特開2000−195048号公報 米国特許第7218465B1号明細書
磁気記録の高密度化に伴い、磁気転写においても高密度(短ビット)記録が望まれているが、ビットが短くなるに従い、転写に利用できる凸部の磁界そのものが小さくなり、また、凸部と凹部の磁界差が減少し、これに伴いスレーブ媒体の磁化差は伸びず、一方スペーシングロスは短ビットほど大きくなるという磁気転写にとって厳しい状況になっているため、新たな技術革新が望まれている。
図21は、ビット長が短くなるほどスレーブ媒体の磁化が十分に行われない状況を示す計算(シミュレーション)結果のグラフである。横軸はビット長であり、縦軸は転写によるスレーブ媒体の磁化の変化(ΔMz)を飽和磁化Msで規格化した値(ΔMz/Ms)である。ΔMzは、初期磁化の値Mz1(負の値)と、転写後の磁化の値(磁化を反転させたときの値)Mz2(正の値)からΔMz=ΔMz2−Mz1で表される。理想的に初期磁化の値が−Ms、転写時の磁化がMsとなった場合に、ΔMz/Msは最大値2となり、このとき、当該磁気ディスクの磁性層の能力を最大限活用していることを意味する。
図21のグラフから明らかなように、ビット長が小さくなると、ΔMz/Msの値が低下する。ビット長が50nmのビットでは、ΔMz/Msの値が0.8であり、最大値2の40%程度である。つまり、磁性層の持つ能力の40%しか活用しておらず、磁気記録層の能力を十分に活用できていないことを意味している。この点で、短ビットでも良好な転写を実現することが望まれる。
従来、マスター担体の磁性層には等方的な(磁気異方性のない)軟磁性材料が用いられることが多い。マスター担体に適用する軟磁性層として、一般に、飽和磁化Msが大きいものが好ましいとされ、従来、マスター担体の磁性層としてFe7Co3などが使用されていた。また、特許文献1の段落[0006]においてもマスター磁性層の飽和磁化Msを大きくすることが良い旨の記述がある。
しかし、単に飽和磁化Msを大きくすればよいという単純なものではない。すなわち、飽和磁化Msの大きい磁性層をマスター担体に設けると反磁界(平面の場合は4π×Ms)も大きくなるため、磁界を印加してもその一部しか磁化に寄与しない。
反磁界の発生は磁性体の形状(形状長さの相対的な関係)に依存するものであるが、図22にその一例を示す。図22は、マスター担体の半径方向に2、円周方向に0.5、深さ方向に0.5の長さの比で決まる形状(長さの単位は問わない)のブロックがあるときに、深さ方向に磁界を印加したときの磁界と磁化の関係を示すものである。
保磁力Hc=4000Oeのスレーブ媒体への転写を例にとると、図22のグラフから磁界Ha=5000Oeを印加した場合のマスター磁性層(ここではFe7Co3)の磁化は約950emu/ccとなる。Fe7Co3の飽和磁化Msは1900emu/ccであるため、Fe7Co3の材料の能力(飽和磁化Ms=1900emu/cc)の約半分程度しか磁化していないことになる。これは外部磁界によって磁性体が磁化することで逆方向に磁界ができることにより、磁化されにくくなる現象(反磁界)によるものである。つまり、図22の例によれば、5000Oeの印加磁界をかけても、マスター磁性層は950emu/cc程度しか磁化しないため、スレーブ媒体の保磁力Hcが高いと、初期磁化工程による磁化が反転しない。
転写磁界Haを大きくしていくと、スレーブ媒体に接した箇所(マスター凸部)の磁化の量は増すが、マスター担体の凹部(スレーブ媒体の初期磁化を維持すべき部分)に磁界が多く漏れ出すために、初期磁化の値が大きく減少し、転写信号のS/Nが劣化するという問題がある。したがって、バランスをとる観点から従来の磁気転写ではスレーブ媒体の保磁力Hc 近くの磁界を印加し、凸部と凹部の磁化差が最大になるように設定しているが、この場合も反磁界のために相当量の磁界が凹部分に流れて、その部分の初期化磁化を劣化させている。
また、垂直磁気転写では、マスター凹部(磁性層の接触が無いビット間)の磁界を凸部に移動させることで、磁気転写を生じさせているが、高密度記録になり、ビット間が短くなると、利用できる磁界が少なくなる一方、スペーシングロスは短ビットほど大きくなるために、従来の磁性層では短ビットによる磁気転写の要請を満たすことができない。
その一方で、特許文献2では、垂直記録の場合のマスター磁性層として、垂直方向の磁気異方性を有する垂直磁化膜が好ましい旨の記述があるが(特許文献2の段落[0037])、必要とされる物性値などの開示はない。垂直磁気異方性膜は、磁気記録媒体の開発に付随して多くの研究がなされているものの、これらの研究は磁気記録用の垂直磁化膜に関するものであり、マスター担体に用いる磁性膜に関するものではない。垂直磁気記録媒体用の磁性膜として要求される物性と、マスター磁性層として要求される物性とは大きく異なり、従来研究されている磁気記録媒体用の垂直磁化膜をそのままマスター磁性層に適用しても良好な転写特性は得られない。
図23に代表的な垂直磁気記録媒体のM−Hカーブ(ヒステリシス曲線)を示す。図23では第1象限と第4象限のみを示す。図23において、横軸は外部印加磁界であり、縦軸は飽和磁化Msで規格化した磁化である。図示の垂直磁気記録媒体の飽和磁化Msは約400emu/ccと低く、保磁力Hcは5000Oeと高い。また、角型比SQ(=Mr/Ms)=1である。このような特性が要請される理由は概ね次のとおりである。すなわち、垂直磁気記録媒体用の磁性膜は磁気ヘッドからの磁界で記録し、磁界を取り去った状態で記録が残る必要がある。このために角型比SQ=1が必要である。また、高密度記録には遷移領域の直線性をよくするために高保磁力Hcが必要である。一方、高い飽和磁化Msは望ましいが、実際には低いMsの材料が使用されている。これは、再生ヘッド(MRヘッド)の高感度化にともない必ずしも必要ではなくなったことと、高Msで、磁化単位間の相互作用が小さく、SQ=1の材料/作成方法が見出せないためである。
図23のようなM−Hカーブの磁性層をマスター担体の磁性層に適用することを実験的に試みたが、転写パターンはシャープに写せなかった。これは飽和磁化Msが低く、転写磁界が不足したこと、及び保磁力Hcが高く、角型比SQ=1のために、印加磁界を減少させた後にもマスターに磁化が残り、これからの磁界がスレーブ媒体を一部磁化したためと推定される。
上記のように磁気記録媒体で要求される垂直磁化膜をマスター担体の磁性層として用いると良い特性が得られないことが判明した。
特許文献3は、垂直磁気異方性の永久磁化膜を凹部に埋め込んだマスター担体の構成を提案しているが、同文3献に記載の技術内容では短ビットの転写を実現できない。その理由として、第1に、特許文献3には、いかなる特性の垂直磁気異方性膜が効果的であるかという観点の記述がない。磁気特性としては、飽和磁化Bsat≧約0.5T、透磁率μ≧約5という条件が記載されているものの(特許文献3のコラム4、第58行〜60行)、Bsat≧約0.5Tという条件だけでは、反磁界により十分なよい転写ができないことは既に述べたとおりである。また、マスター担体についてμが大きいほうが好ましいが、μ≧100であれば十分なことは既に知られており、特段に新しい条件を提示するものではない。
第2に、特許文献3において、磁性膜の材料はNi、NiFe、CoNiFe、CoSiFe、CoFe、CoFeVから選ぶとの記載があるが、これらの材料では後述する本発明の特性を満たすことは出来ず、良好な転写特性は得られなかった。
第3に、特許文献3に記載の構成は、図24に示すように、マスター担体300の凹部に磁性層304を埋め込んだ形態を有し、マスター担体300の転写面はスレーブに対し平面である。このような平坦なマスターと平坦なスレーブを大面積にわたり密着させることは困難な技術である。特に、短ビットになるとスペーシングロスの影響が大きくなるため、接触面積が大きくなる埋め込み方法は適切ではない。
更に、密着後にマスターとスレーブを剥がす必要があるが、接触面積が増すため(凹凸タイプに比べて、接触面積が約2倍に増加するため)粘着力が増すこと、及び磁気的結合も正負すべてもビットがマスターと結合する力も約2倍高まるため、引き剥がしが困難となり、量産適正に劣ることになる。
第4に、転写後にスレーブとマスターを剥がす際に、ディスク半径方向の移動も避けられないため、永久磁化膜の場合、マスターからの磁界によりスレーブが変調を受け、S/Nが劣化するという問題もある。
また、特許文献1に記載の技術も以下の理由により、短ビットの転写には適さない。すなわち、特許文献1は、マスター担体の磁性層として、2層の垂直強磁性体膜を用い、磁性ビット間の磁束の向きを逆にして転写パターンの広がりを防止する技術である。しかし、実際にこの技術を実現できる材料は飽和磁化Msの低いものしか知られておらず、同文献1の開示例でもTbFeCoのMsは40emu/cc、TbFeのMsは300emu/ccと極めて小さい。したがって、高密度媒体で要請される保磁力Hc≧4000Oeに適用するには不十分である。
更に、特許文献1に記載のマスター担体は、磁性層として異なった材料を2層必要なことから、製造工程が複雑である。その上、特許文献3の埋め込み型のマスター担体(図22)と同様に、特許文献1も転写部分全体が平坦となっているため、平坦なマスター担体と平坦なスレーブ媒体を短ビットの記録が可能なレベルまで、スレーブ全体にわたり密着させることも難しい技術であることは前述のとおりである。更に、特許文献3と同様、マスター担体とスレーブ媒体の引き剥がしが困難であり、量産適正に劣る。
上記のように、従来提案されている技術では、短ビットの磁気転写の実現は困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高密度媒体に短ビットの転写が可能な高い磁界が発生できるマスター担体を提供することを目的とし、シンプルな工程でマスター担体を作成でき、スレーブとの密着及び剥離が容易な形態のマスター担体を提供することを目的とする。また、かかるマスター担体を用いた磁気転写方法及びこれにより作成された磁気記録媒体を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る磁気転写用マスター担体は、磁気記録媒体へ磁気情報を転写する際に前記磁気記録媒体に接触させる磁気転写用マスター担体であって、転写用磁気情報に対応した磁性層が形成された転写部と、前記磁性層を有する転写部に対して相対的に低い凹形状を成す非転写部と、を備え、前記磁性層は、垂直磁気異方性を有し、残留磁化Mrが500emu/cc以下、かつ飽和磁化Msが900emu/cc以上であることを特徴とする。
前記磁性層の磁性材料として、例えば、CoPtを用いることができ、その中でもCo4Pt1(at%)が更に好ましい。
また、本発明の磁気転写用マスター担体において、前記磁性層の下に下地層が設けられ、該下地層はCoCr、Ru、Ptのいずれか、もしくはいずれかを組み合わせたものであることを特徴とする態様がある。
更に、本発明の他の態様として、磁気転写用マスター媒体上の前記転写部の磁性層が他の部分よりも凸となっている(すなわち、相対的に高くなっている)ことを特徴とする磁気転写用マスター担体を提供する。
また、本発明は上記した本発明による磁気転写用マスター担体を用いた磁気転写方法を提供する。すなわち、本発明に係る磁気転写方法は、保磁力Hcが4000Oe以上である垂直磁気記録媒体を用い、前記垂直方向に初期磁化させる初期磁化工程と、前記初期磁化工程後の前記垂直磁気記録媒体に対し、本発明による磁気転写用マスター担体を密着させる密着工程と、前記垂直磁気記録媒体と前記磁気転写用マスター担体とを密着させた状態で前記初期磁化と逆方向の垂直方向磁界を印加し、前記垂直磁気記録媒体に磁気情報を転写する転写工程と、を備えることを特徴とする。
本発明による磁気転写マスター担体を用いることにより、又は本発明の磁気転写方法を用いることにより、サーボ信号等の情報が記録された垂直磁気記録媒体を製造することが可能である。
本発明の磁気転写用マスター担体によれば、転写部と非転写部の高さの違いにより、転写時において転写部に高い密着性を確保することができるとともに、転写後に当該マスター担体と磁気記録媒体(スレーブ媒体)とを容易に剥がすことができる。また、本発明の磁気転写用マスター担体は、飽和磁化Msが大きいため、高密度高保磁力Hcの磁気記録媒体に対して十分な記録が可能な転写磁界を与えることができるとともに、残留磁化Mrが小さいため、転写後に当該マスター担体を剥離する際に残留磁界による転写信号の劣化(ノイズの発生)を抑えることができる。
このように、本発明によれば高密度で高性能の(S/Nの良い)転写を実現できる。更に、本発明の磁気転写用マスター担体の構造は、特許文献1の構成と比較して単純であり、容易に製造することができる。
以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
初めに、図1を用いて垂直磁気記録の磁気転写技術を概説する。図1は垂直磁気記録の磁気転写方法の工程を示す概要図である。同図において、符号10は被転写用の磁気ディスクとしてのスレーブディスク(「垂直磁気記録媒体」に相当)、符号20はマスター担体としてのマスターディスクを表す。
まず、図1(a)に示すように、スレーブディスク10に垂直方向の直流磁界(Hi)をかけて初期磁化を行い(初期磁化工程)、その後、図1(b)のように、マスターディスク20とスレーブディスク10を密着させ(密着工程)、両ディスク10,20を密着させた状態で、図1(c)のように、初期磁化の際とは逆方向の磁界(Hd)を印加することにより磁気転写を行う(転写工程)。
〔転写用磁気ディスク(スレーブディスク)の説明〕
本例で用いるスレーブディスク10は、円盤状の基板の表面の片面或いは、両面に垂直磁化膜からなる磁性層が形成されたものであり、具体的には、高密度ハードディスク等が挙げられる。
図2にスレーブディスク10の断面模式図を示す。図2に示すように、スレーブディスク10は、ガラスなど非磁性の基板12上に、軟磁性層(軟磁性下地層;SUL)13、非磁性層(中間層)14、磁性層(垂直磁気記録層)16が順次積層形成された構造からなり、磁性層16の上は更に保護層18と潤滑層19とで覆われている。なお、ここでは、基板12の片面に磁性層16を形成した例を示すが、基板12の表裏両面に磁性層を形成する態様も可能である。
円盤状の基板12は、ガラスやAl(アルミニウム)等の非磁性材料から構成されており、この基板12上に軟磁性層13を形成した後、非磁性層14と、磁性層16を形成する。
軟磁性層13は、磁性層16の垂直磁化状態を安定させ、記録再生時の感度を向上させるために有益である。軟磁性層13に用いられる材料は、CoZrNb、FeTaC、FeZrN、FeSi合金、FeAl合金、パーマロイなどFeNi合金、パーメンジュールなどのFeCo合金等の軟磁性材料が好ましい。この軟磁性層13は、ディスクの中心から外側に向かって半径方向に(放射状に)磁気異方性が付けられている。
軟磁性層13の厚さは、50nm〜2000nmであることが好ましく、80nm〜400nmであることが更に好ましい。
非磁性層14は、後に形成する磁性層16の垂直方向の磁気異方性を大きくする等の理由により設けられる。非磁性層14に用いられる材料は、Ti(チタン)、Cr(クロム)、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru(ルテニウム)、Pd(パラジウム)、Ta、Pt等が好ましい。非磁性層14は、スパッタリング法により上記材料を成膜することにより形成される。非磁性層14の厚さは、10nm〜150nmであることが好ましく、20nm〜80nmであることが更に好ましい。
磁性層16は、垂直磁化膜(磁性膜内の磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向したもの)により形成されており、この磁性層16に情報が記録される。磁性層16に用いられる材料は、Co(コバルト)、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Co合金-SiO、Co合金-TiO、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi等)等が好ましい。これらの材料は、磁束密度が大きく、成膜条件や組成を調整することにより垂直の磁気異方性を有している。磁性層16は、スパッタリング法により上記材料を成膜することにより形成される。磁性層16の厚さは、10nm〜500nmであることが好ましく、20nm〜200nmであることが更に好ましい。
本実施の形態では、スレーブディスク10の基板12として、外形65mmの円盤状のガラス基板を用い、スパッタリング装置のチャンバー内にガラス基板を設置し、1.33×10−5Pa(1.0×10−7Torr)まで減圧した後、チャンバー内にAr(アルゴン)ガスを導入し、チャンバー内にあるCoZrNbターゲットを用い、同じくチャンバー内の基板の温度を室温として、80nm厚のSUL第1層をスパッタリング成膜する。次にその上に、チャンバー内にあるRuターゲットを用いて0.8nmのRu層をスパッタリング成膜する。さらにその上に、CoZrNbターゲットを用い、80nm厚のSUL第2層をスパッタリング成膜する。こうしてスパッタ成膜されたSULを、半径方向に50Oe以上の磁場を印加した状態で室温まで昇温し室温に冷却する。
次に、Ruターゲットを用い、基板温度が室温の条件の下で放電させることによりスパッタリング成膜をおこなう。これによりCrTiからなる非磁性層14を60nm成膜する。
この後、上記と同様にArガスを導入し、同じチャンバー内にあるCoCrPtターゲットを用い、同じく基板温度が室温の条件の下で放電させることによりスパッタリング成膜をおこなう。これによりCoCrPt-SiOからなるグラニュラー構造の磁性層16を25nm成膜する。
以上のプロセスにより、ガラス基板に、軟磁性層、非磁性層と磁性層が成膜された転写用磁気ディスク(スレーブディスク)10を作製した。
〔スレーブディスクの初期磁化〕
次に、形成したスレーブディスク10の初期磁化を行う。図1(a)で説明したとおり、スレーブディスク10の初期磁化(直流磁化)は、スレーブディスク10の表面に対し垂直に直流磁界を印加することができる装置(不図示の磁界印加手段)により初期化磁界Hiを発生させることにより行う。具体的には、初期化磁界Hiとしてスレーブディスク10の保磁力Hc以上の強度の磁界を発生させることにより行う。この初期磁化工程により、図3に示すように、スレーブディスク10の磁性層16について、ディスク面と垂直な一方向に初期磁化Piさせる。なお、この初期磁化工程は、スレーブディスク10を磁界印加手段に対し相対的に回転させることにより行ってもよい。
〔マスターディスクの形態〕
次に、マスター担体であるマスターディスク20について説明する。図4にマスターディスク20の形態例を示す。マスターディスク20の形状としては、図4(a)に示すように、基材202の凹凸表面に磁性層204を形成した形態、或いは、図4(b)のように、平坦な基材212の表面において転写信号に対応するビット部(初期磁化を反転させる部分であり、「転写部」に相当)のみに磁性層214を形成した形態が好ましい。
図4(a)の形態は、基材202の凸部206上面に形成される磁性層204が転写信号に対応するビット部(初期磁化を反転させる部分)となる。なお、図4(a)は基材202の凹部207(「非転写部」に相当)にも磁性層208が形成されているが、凹部207については磁性層208を省略してもよい。製造の容易性を考慮すると、凸部206のみに選択的に磁性層204を設ける構成よりも、図4(a)のように凸部206及び凹部207の表面に磁性層204、208を設ける構成の方がより簡便である。
本明細書において「ビットが短い」或いは「短ビット」という用語は、図4(a)の例では凸部206の磁性層204の幅が短いこと、図4(b)の例では磁性層214の幅が小さいことを表している。
図4(a)、(b)の何れ形態も、転写信号に相当する部分(ビット部)の磁性層204、214が設けられた場所がマスターディスク20内で最も高い位置(ただし、保護層や潤滑層等を除く)になっており、ビット部以外の場所は、ビット部の磁性層204、214よりも相対的に低くなっている。つまり、マスターディスク20は、ビット部の磁性層204、214を最上層とする形状であり(ただし、磁性層204、214の上に更に保護層や潤滑層が設けられる場合がある)、非ビット部が相対的に低い凹部を成すことで、ディスク面が凹凸表面を有するものとなっている。
以下の説明では、図4(a)の形態を採用した例を中心に説明するが、図4(b)の形態についても同様に適用できる。
〔マスターディスクの磁性層〕
マスターディスク20の磁性膜204として望ましい磁気特性を[表1]に示す。同表では、比較のために、スレーブディスク10の記録層に用いられる垂直磁気記録膜の特性を対比させて記載した。
Figure 2009070473
以下、マスター担体の磁性層として[表1]の条件が適切であることを説明する。
[垂直磁気異方性膜と等方性膜の比較]
図5は、印加磁界とマスター磁性層の磁化の関係を示したグラフである。ここでは、垂直異方性膜として、飽和磁化Ms1300emu/cc、飽和に必要な磁界4000Oeの特性を有する磁性膜を用い、印加磁界に対する磁化を等方磁気特性の磁性膜(等方性膜)の場合と比較した。磁性膜の形状は、図22で説明した例と同一形状とした。
図5が示すとおり、等方性膜は4000Oeかけたときの磁化が800emu/ccに満たないが、垂直異方性膜の場合は同じ4000Oeをかけたときに1300emu/cc(飽和磁化)となる。垂直異方性膜は、垂直磁気異方性のために印加磁界が有効に磁性層を磁化させていることがわかる。なお、飽和磁化Msが1300emu/ccより大きいものであれば、図5の点線で示した延長線上に沿って磁化していく。
図6は凸部の磁界と凹部の磁界の差に注目した計算結果である。すなわち、図6は垂直異方性膜を凹凸マスター(図4(a)に示す形態のマスター担体)上に100nm設け、ビット長100nm、半径方向の長さ100nmとした場合のマスターから10nm位置での転写時に発生する磁界の計算結果であり、等方性膜の計算結果と比較して示した。
図6の横軸は飽和磁化Msを示し、縦軸は転写時に凸部と凹部に発生する磁界の差(ΔH)である。良好な転写を実現するためには、マスター担体の凹部はスレーブ媒体の初期磁化を反転させないために小さい方がよく、凸部の磁界は大きいほうが好ましい。
図6に示されているように、等方性膜は凹部に磁界が漏れ出すため、飽和磁化を大きくしても磁界差ΔHをある一定以上大きくすることができない。これに対し、垂直異方性膜は垂直磁気異方性のために、飽和磁化を大きくすれば、それだけ磁界差ΔHを大きくできる。図6によれば、飽和磁化が800emu/ccを超える領域で垂直異方性膜を用いる効果が大きいことが明瞭にわかる。望ましくは飽和磁化Msが900emu/cc以上とする。
この効果は、凹部の磁界が減少することにもつながり、遷移領域での磁界分布がシャープになる(凸部の磁界と凹部の磁界の変化が急峻になる)。
図7は100nmのビット長を有する磁性層のビットに転写磁界4000Oeを印加したときの磁界の位置分布を計算したシミュレーション結果である。図7の横軸はマスターディスクの面内方向(半径方向又は周方向)の位置を示し、図8に示すように、位置の原点(x=0)は凹部の中央である。x=50nmの位置は凹凸の境界(つまり凸部と凹部の境目)であり、x=100nmが凸部の中央である。
図7の縦軸は凸部の中央位置(x=100nm)の磁界で規格化した磁界(規格化磁界)である。図7に示したように、垂直磁気異方性膜を用いたビットは、等方性磁性膜を用いたビットと比較して、遷移領域の磁界が急峻である。例えば、x=50nmにおけるカーブの傾きを比較すると、垂直磁気異方性膜の傾きは、等方性磁性膜の傾きの約2倍であり、垂直磁気異方性膜を用いることで約2倍の急峻性を有する磁界が得られる。このようなシャープな磁界分布の磁界を転写時にスレーブディスク10に印加することが可能になるため、スレーブディスク10への信号の記録もシャープになる。
[残留磁化Mrについて]
マスター磁性層の残留磁化Mrは小さい値であることが望ましい。残留磁化Mrがある値以上大きいと、転写磁界の印加を解除した後もマスターディスクから磁界が発生するため、マスターディスク20をスレーブディスク10から分離する際に不要な転写が生じ、これが信号のノイズとなる。
図9、図10はこの様子を模式的に示したものである。図9(a)、図10(a)は、転写時の密着状態を示し、マスター凸部と接触している部分(符号101)のスレーブディスク10の磁化が、凹部に対応する部分(符号102)の初期磁化の方向と逆向きになっていることを表している。
図9(a)、図10(a)に示した転写工程後(転写磁界の印加を解除した後)、マスターディスク20をスレーブディスク10から剥がす際に、図9(b)、図10(b)のように、面内方向にずれることが起こりうる。
凸部と接触していた部分以外の領域(符号102)のスレーブ磁化状態は、初期磁化の状態を保っていなければならないが、マスター磁性層の残留磁化Mrが高い場合には、転写磁界を無くした後もマスター磁性層から磁界が発生しているため、マスター剥がし時の面内方向の移動により、凹部に対応する部分102の一部(符号103)が残留磁界の影響を受け、初期磁化の状態が劣化する。
このような問題を回避する観点から、マスター磁性層の残留磁化Mrを500emu/cc以下にすることが望ましい。以下、その理由を説明する。
図11は、スレーブディスク10に用いられる代表的な磁性層のM−Hカーブである(図23と同様)。図11における横軸は印加磁界、縦軸は飽和磁化Msで規格化した磁化を示す。
図11によれば、初期磁化の工程によって、規格化磁化=−1に磁化されている。この状態で転写磁界Haをかけると、マスター凸部の上は磁界が増大し、図11の太矢印に沿って状態が移動する。図23で説明したとおり、理想的にはΔMr/Msが「2」となるが、50nmのビット長ではΔMr/Msは0.8程度である。
図12は、垂直磁気異方性の磁性層を有するマスターディスク20において転写後に印加磁界を0にしたときのマスター上での磁界(残留磁化によるもの)を示している。図12では、残留磁化Mr=1000emu/ccの垂直磁気異方性膜によるものと、残留磁化Mr=500emu/ccの垂直磁気異方性膜によるものを示した。
図12の横軸はマスター表面からの距離、縦軸は発生磁界を表す。図12では、転写磁界を取り去ったときに、マスター磁性層にどれだけの磁界が残っているかを示している。マスター表面から距離が離れるにつれて磁界は減衰する傾向にある。マスター表面からの距離が10nmの位置での発生磁界に注目すると、残留磁化Mr=1000emu/cc(SQ=1)の垂直異方性膜のマスターからの発生磁界は約3.5kOeであるのに対し、残留磁化Mr=500emu/cc(SQ=0.5)の垂直異方性膜のマスターからの発生磁界は約2kOeである。
このような残留磁界が転写後のスレーブディスクに与える影響について検討する。図11に示したM−Hカーブの特性を持つ磁性層のスレーブディスクにおいて、初期磁化工程並びに転写工程により、スレーブ磁性層の磁化がフルに(磁性層の能力を最大限活用して)記録されていたとすると、マスター磁性層(ビット部)と接触していないスレーブの領域(マスター凹部に対応する部分、以下「非転写部」という)は、図11において初期磁化の状態が維持され、当該非転写部のΔMr/Msは「−1」である。
磁気転写工程の後、転写磁界を0にしてからマスターディスク20をスレーブディスク10から剥がす際に、面内方向に数十nm動いたと想定すると、残留磁化Mr=1000emu/cc(SQ=1)の垂直異方性膜のマスターの場合、凸部から発生する約3.5kOeの磁界により、図11のM−Hカーブからスレーブの初期磁化の値が「−1」から「−0.5」となり、50%も劣化することになる。なお、当初からスレーブ磁性層の能力をフルに活用した記録がなされておらず、初期磁化が「−1」から既に減少していた場合には、その劣化の影響はさらに大きくなる。
その一方、残留磁化Mr=500emu/cc(SQ=0.5)の垂直異方性膜のマスターの場合、その凸部から発生する磁界は2kOeよりも少なくなる(図12)。図11のM−Hカーブによれば、初期磁化の状態から外部磁界Haが2kOeを超えるあたりから磁化が上昇するため、2kOeよりも低い外部磁界による磁化の変化は無視できる程度に小さい。
このため、残留磁化Mr=500emu/cc(SQ=0.5)の垂直異方性膜の場合、マスター剥がし時に面内方向移動があったとしても、発生磁界(2kOeより小さい磁界)による影響はほとんど無く、図11のM−Hカーブからスレーブの初期磁化の値は、転写時とほぼ同じ値であるため、磁化状態の劣化はほとんど生じない。
なお、残留磁化Mrが500emu/ccよりも小さい垂直異方性膜の場合は、図12におけるMr=500emu/ccのグラフよりも更に下側になるため、Mr=500emu/ccの垂直異方性膜と同様、残留磁界による影響はほとんど生じない。
実際の製造工程では、磁気転写工程後にマスターディスク20とスレーブディスク10を分離する際に、ディスク半径方向に100nm程度の移動は避けがたいため、マスター磁性層の残留磁化Mrを500emu/cc以下とするという条件は重要である。
マスター表面から10nmの位置での残留磁界の影響を評価することの妥当性は、次の理由による。すなわち、スレーブディスク10の膜構成において(図2参照)、磁性層16の上に保護層18と潤滑層19が存在する。例えば、保護層18となるカーボン膜の厚みが約3nm、潤滑層19の膜厚として1〜2nmが想定される。その一方、マスターディスク20についても、磁性層の上に5nm程度の保護層(カーボン膜など)を設けることが多い。
つまり、転写時におけるマスターディスク20とスレーブディスク10の密着状態でもマスターディスク20の磁性層と、スレーブディスク10の磁性層16との間には保護層等の非磁性膜が介在しており、磁性層間で10nm程度の距離がある。実際にはそれ以上の距離の場合もあるが、磁性層間の距離が離れるほど磁界は弱くなるため、10nmのスペーシング位置を検討すれば十分である。
[異方性定数Kuについて]
異方性定数Ku(erg/cm)に関して、垂直磁気記録媒体は、磁化による記録が残るためにKuV/(kT)の値が60以上必要であると考えられている。ここで、Vは磁化反転体積(cm)、kはボルツマン定数(1.38×10−16erg/deg)、Tは温度である。
高密度化に伴い磁化反転体積Vが小さくなるため、垂直磁気記録媒体の場合は異方性定数Kuの大きい材料が不可欠である。
これに対し、マスター磁性層については、情報の記録が磁性層のパターン形状で決まり、転写時(記録用の磁界印加時)だけ磁気パターンが発生し、転写後(記録用の磁界印加を解除したとき)は磁気パターンがむしろ消えることが望ましい。
したがってマスター磁性層の異方性定数Kuは小さくてよい。この点も垂直磁気記録媒体用の磁性材料と、マスター担体用の磁性材料とで大きく異なる。
[逆磁区核形成磁界Hnについて]
マスター磁性層の逆磁区核形成磁界Hnは、印加磁界以下になることがマスター磁性層の飽和磁化Msを有効に活用できるために好ましい。印加磁界は通常、スレーブディスク10の磁性層の保磁力Hcを越えないために、マスター磁性層のHnはスレーブ磁性層のHc以下(マスター磁性層Hn≦スレーブ磁性層Hc)とする。
[保磁力Hcについて]
マスター磁性層の保磁力Hcが大きすぎると印加磁界でマスター磁性層が磁化しない。また、転写後に磁気的に転写できない。大きな転写磁界印加は、凹部に磁界を発生するという悪影響を有する。したがって、マスター磁性層の保磁力Hcについて、好ましくは2000Oe以下、更に好ましくは500Oe以下とする。
上述のとおり、表1に示した磁気特性を満たすマスター用垂直磁化膜を用いたマスターディスク20によれば、(1)スレーブディスク10と接触する凸部(転写部)の転写磁界が増すと共に、(2)反磁界が無いために凹部(非転写部)の磁界が減少すること、このため、(3)遷移領域での磁界分布がシャープになること、更に、(4)転写後にマスターディスク20の残留磁化による転写が生じないため、4重の意味でS/Nの良い転写が可能になるというメリットを有する。
[材料の例について]
[表1]にまとめた磁気特性を満たすマスター磁性層の材料としては、例えば、CoPtが好ましく、表1には更に好ましいCo4Pt1(at%)の例を記す。
図13にCo4Pt1(at%)のM−Hカーブ(第1象限のみ)を示す。この材料は、飽和磁化Ms=1300emu/cc、残留磁化Mr=170emu/cc、保磁力Hc=600Oeである。
もちろん、本発明の実施に際しては、この材料に限定されず、上述した必要な物性値が満たされる材料であれば他の材料でもよい。
また、マスターディスク20における磁性層の下に下地層が存在してもよい。この下地層の材料としては、例えば、Pt、Ru、CoCrが好ましく、更に好ましくはCr25at%以上CoCr、Pt、Ruが好ましい。また、これらの材料はそれぞれいずれかを用いても、複数組み合わせても良い。下地層の厚みは0.5〜30nm、更には1〜10nmが好ましい。
[マスターディスクの表面形状について]
図22で説明したとおり、いわゆる埋め込み型マスターは、スレーブと接触する表面が平坦のために密着が不十分になりやすい欠点を有する。このためマスターディスク20の形状は、図4で説明したように、転写部(転写でスレーブの磁化を反転させる部分)の磁性層204,214に対して、非転写部が相対的に低い凹部となる形状が好ましい。
このような凹凸型のマスター担体における磁性層として、従来の等方性磁性膜を用いた場合は、ビットのアスペクト比(down trackの方向のサイズと深さのサイズの比)を大きくとる必要がある。これは反磁界のために転写時の印加磁界をできるだけ有効に凸部に集中させるためである。
しかし、アスペクト比を大きくとると、凹凸型マスター担体の作成時、例えば原版からマスターを引き剥がす時や、複製時に凸部が折れることが生じ、不良品となる。アスペクト比が1を超えるとこの不良率は急増する。
これに対し、本発明による垂直磁気異方性を有する磁性膜を設けた場合は、反磁界を気にすることがないために、アスペクト比は小さくても可能であるため、生産得率は格段に向上する。
また、本発明によるマスターディスク20は、埋め込み型マスター(図24)よりも接触面積が少ないために、転写後にマスターとスレーブを離す際、容易にかつ短時間に離すことが可能性であり、生産性に富む。
この効果を更に進めるためには、転写信号以外の部分は凹であることが好ましい。サーボ信号を転写の場合、data領域は凹となる。凹領域が広すぎてマスタースレーブを重ねたときにマスターの凹部分が変形しスレーブ部分と重なる場合があるが、それを防ぐために広い凹部には若干の凸部を形成すると良い。
〔マスターディスク20の製造方法〕
次に、マスターディスク20の製造方法の例について図14に基づき説明する。先ず、図14(a)に示すように、表面が平滑なシリコンウエハーである原板(Si基板)30を用意し、この原板30の上に、電子線レジスト液をスピンコート法等により塗布して、レジスト層32を形成し(図14(b))、ベーキング処理(プレベーク)を行う。
次いで、高精度な回転ステージ又はX−Yステージを備えた不図示の電子ビーム露光装置のステージ上に原板30をセットし、原板30を回転させながら、サーボ信号に対応して変調した電子ビームを照射し、レジスト層32の略全面に所定のパターン33、例えば各トラックに回転中心から半径方向に線状に延びるサーボ信号に相当するパターンを円周上の各フレームに対応する部分に描画露光(電子線描画)する(図14(c))。
次いで、図14(d)に示すように、レジスト層32を現像処理し、露光(描画)部分を除去して、残ったレジスト層32による所望厚さの被覆層を形成する。この被覆層が次工程(エッチング工程)のマスクとなる。なお、基板30上に塗布されるレジストはポジ型、ネガ型のどちらでも使用可能であるが、ポジ型とネガ型では、露光(描画)パターンが反転することになる。この現像処理の後には、レジスト層32と原板30との密着力を高めるためにベーキング処理(ポストベーク)を行う。
次いで、図14(e)に示すように、レジスト層32の開口部34より原板30を表面より所定深さだけ除去(エッチング)する。このエッチングにおいては、アンダーカット(サイドエッチ)を最小にすべく、異方性のエッチングが望ましい。このような、異方性のエッチングとしては、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)が好ましく採用できる。
次いで、図14(f)に示すように、レジスト層32を除去する。レジスト層32の除去方法は、乾式法としてアッシングが採用でき、湿式法として剥離液による除去法が採用できる。以上のアッシング工程により、所望の凹凸状パターンの反転型が形成された原盤36が作製される。
次いで、図14(g)に示すように、原盤36の表面に均一厚さに導電層38を形成する。この導電層38の形成方法としては、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、イオンプレーティングを含む各種の金属成膜法等が適用できる。このように、導電膜の層(符号38)を1層形成すれば、次工程(電鋳工程)の金属の電着が均一に行えるという効果が得られる。導電層38としては、Niを主成分とする膜であることが好ましい。このようなNiを主成分とする膜は、形成が容易であり導電膜としてふさわしい。この導電層38の膜厚として、特に制限はないが、数十nm程度が一般的に採用できる。
次いで、図14(h)に示すように、原盤36の表面に、電鋳により所望の厚さの金属(ここでは、Ni)による金属板40を積層する(反転板形成工程)。この工程は、電鋳装置の電解液中に原盤36を浸し、原盤36を陽極とし、陰極との間に通電することにより行われるが、このときの電解液の濃度、pH、電流のかけ方等は、積層された金属板40(すなわち、図4で説明した基材202に相当するマスター基板となるも)に歪みのない最適条件で実施されることが求められる。
そして、上記のようにして金属板40の積層された原盤36が電鋳装置の電解液から取り出され、剥離槽(図示略)内の純水に浸される。
次いで、剥離槽内において、金属板40を原盤36から剥離し(剥離工程)、図14(i)に示すような、原盤36から反転した凹凸状パターンを有するマスター基板42を得る。
次いで、図14(j)に示されるように、マスター基板42の凹凸表面上に軟磁性膜による磁性層48を形成する。磁性層48の材料は、[表1]で説明した磁気特性を満たすものとする。具体的には、例えば、Co4Pt1(at%)が挙げられる。磁性層48の厚さは、10nm〜320nmの範囲が好ましく、特に、20nm〜300nmの範囲が好ましく、更に好ましくは40〜100nmである。磁性層48は、上記材料のターゲットを用いスパッタリングにより形成される。
その後、マスター基板42の内径及び外径を、所定のサイズに打抜き加工する。以上のプロセスにより、図14(j)に示すように、磁性層48(図4における磁性層204に相当)が設けられた凹凸パターンを有するマスターディスク20が作製される。このように形成されたマスターディスク20上の凹凸パターンは、凸領域(ランド部)のトラック方向(周方向)の幅Laに対する凹領域(スペース部)のトラック方向(周方向)の幅Saの比(Sa/La)が、1.3〜1.9倍、好ましくは、1.45〜1.75倍となるように作製されている。
図15はマスターディスク20の上面図である。同図に示されるように、マスターディスク20の表面には、凹凸パターンからなるサーボパターン52が形成される。また、図には示さないが、マスターディスク20表面の磁性層48(図14(j)参照)の上にダイヤモンドライクカーボン等の保護膜や、更に、保護膜上に潤滑剤層を設けてもよい。
マスターディスク20は、スレーブディスク10と密着させるが、密着させた際に磁性層48が傷つきやすく、マスターディスク20として使用できなくなってしまうことを防止するためである。また、潤滑剤層は、スレーブディスク10との接触の際に生じる摩擦による傷の発生などを防止し、耐久性を向上させる効果がある。
具体的に、保護膜として、厚さが2〜30nmのカーボン膜を形成し、更にその上に潤滑剤層を形成した構成が好ましい。また、磁性層48と、保護膜との密着性を強化するため、磁性層48上にSi等の密着強化層を形成し、その後に保護膜を形成してもよい。
〔磁気転写における密着工程〕
次に、上記工程により作製したマスターディスク20と、初期磁化工程後のスレーブディスク10とを図1(b)のように重ね合わせて両者を密着させる工程(密着工程)を行う。
図1(b)に示すように密着工程では、マスターディスク20の突起状パターン(凹凸パターン)の形成されている面と、スレーブディスク10の磁性層16の形成されている面とを所定の押圧力で密着させる。
スレーブディスク10には、マスターディスク20に密着させる前に、グライドヘッド、研磨体等により、表面の微少突起又は付着塵埃を除去するクリーニング処理(バーニッシング等)が必要に応じて施される。
なお、密着工程は、図1(b)に示すように、スレーブディスク10の片面のみにマスターディスク20を密着させる場合と、両面に磁性層が形成された転写用磁気ディスクについて、両面からマスターディスクを密着させる場合とがある。後者の場合では、両面を同時転写することができる利点がある。
〔磁気転写工程〕
次に、図1(c)に基づき磁気転写工程を説明する。
上記密着工程によりスレーブディスク10とマスターディスク20とを密着させたものについて、不図示の磁界印加手段により初期化磁界Hiの向きと反対方向に記録用磁界Hdを発生させる。記録用磁界Hdを発生させることにより生じた磁束がスレーブディスク10とマスターディスク20に進入することにより磁気転写が行われる。
本実施の形態では、記録用磁界Hdの大きさは、スレーブディスク10の磁性層16を構成する磁性材料のHcと略同じ値である。
磁気転写は、スレーブディスク10及びマスターディスク20を密着させたものを不図示の回転手段により回転させつつ、磁界印加手段によって記録用磁界Hdを印加し、マスターディスク20に記録されている突起状のパターンからなる情報をスレーブディスク10の磁性層16に磁気転写する。なお、この構成以外にも、磁界印加手段を回転させる機構を設け、スレーブディスク10及びマスターディスク20に対し、相対的に回転させる手法であってもよい。
磁気転写工程における、スレーブディスク10とマスターディスク20の断面の様子を図16に示す。同図に示すように、凹凸パターンを有するマスターディスク20をスレーブディスク10が密着させた状態で、記録用磁界Hdを印加すると、磁束Gは、マスターディスク20の凸領域とスレーブディスク10が接触している領域では強く、記録用磁界Hdにより、マスターディスク20の磁性層48の磁化向きが記録用磁界Hdの方向に揃い、スレーブディスク10の磁性層16に磁気情報が転写される。一方、マスターディスク20の凹領域は、記録用磁界Hdの印加によって生じる磁束Gが凸領域に比べて弱く、スレーブディスク10の磁性層16の磁化向きが変わることはなく、初期磁化の状態を保ったままである。
図17は、磁気転写に用いられる磁気転写装置について詳細に示したものである。磁気転写装置は、コア62にコイル63が巻きつけられた電磁石からなる磁界印加手段60を有するものであり、このコイル63に電流を流すことによりギャップ64において、密着させたマスターディスク20とスレーブディスク10の磁性層16に対し垂直に磁界を発生する構造になっている。発生する磁界の向きは、コイル63に流す電流の向きによって変えることができる。従って、この磁気転写装置によって、スレーブディスク10の初期磁化を行うことも、磁気転写を行うことも可能である。
この磁気転写装置により初期磁化させた後、磁気転写を行う場合には、磁界印加手段60のコイル63に、初期磁化したときにコイル63に流した電流の向きと逆向きの電流を流す。これにより、初期磁化の際の磁化向きとは反対の向きに記録用磁界を発生させることができる。磁気転写は、スレーブディスク10及びマスターディスク20を密着させたものを回転させつつ、磁界印加手段60によって記録用磁界Hdを印加し、マスターディスク20に記録されている突起状のパターンからなる情報をスレーブディスク10の磁性層16に磁気転写するため、不図示の回転手段が設けられている。なお、この構成以外にも、磁界印加手段60を回転させる機構を設け、スレーブディスク10及びマスターディスク20に対し、相対的に回転させる手法であってもよい。
本実施の形態では、記録用磁界Hdは、本実施の形態に用いられるスレーブディスク10の磁性層16の保磁力Hcの60〜125%、好ましくは、70〜115%の強度の磁界を印加することにより磁気転写を行う。
これにより、スレーブディスク10の磁性層16には、サーボ信号等の磁気パターンの情報が、初期磁化Piの反対向きの磁化となる記録磁化Pdとして記録される(図18参照)。
なお、本発明の実施に際して、マスターディスク20に形成された突起状のパターンは、図14(j)で説明したポジパターンと反対のネガパターンであってもよい。この場合、初期化磁界Hiの方向及び記録用磁界Hdの方向を各々逆方向にすることにより、スレーブディスク10の磁性層16に、同様の磁化パターンを磁気転写することができるからである。また、本実施の形態では、磁界印加手段は、電磁石の場合について説明したが、同様に磁界が発生する永久磁石を用いても良い。
なお、上述した本発明の実施形態に係る方法により製造された垂直磁気記録媒体は、例えば、ハードディスク装置等の磁気記録再生装置に組み込まれて使用される。これにより、サーボ精度が高く、良好な記録再生特性の高記録密度磁気記録再生装置を得ることができる。
〔実施例〕
実験条件:本発明による垂直磁気異方性を有するマスター担体を用いて、媒体保磁力(Hc)の70%で転写を実施し、媒体の再生波形を測定した。比較のために、従来の磁性層を用いて同条件で転写を行い、媒体の再生波形を測定した。[表2]にその測定結果を示す。
Figure 2009070473
再生波形の測定評価の観点は、「波形振幅」、「波形幅のばらつき」、「欠落パルス数発生率」とし、いずれの値も従来の磁性層を有したマスター担体の測定結果で規格化した。
波形振幅は、図19中の「A」で示される量(再生信号の両振幅)である。出力値が大きいほど、良好な信号品質といえる。波形幅(時間幅)のばらつきについては、図19に示すように、目的とする波形のゼロクロス(縦軸0と交わるとき)の時間(ta,tb,tc,td・・・)を求める。同図から明らかなように、ta〜tb,tb〜tc,tc〜td,・・・のそれぞれが波形の幅(1/2パルス分)になるため、それらの値から標準偏差を算出し、「波形幅のばらつき」とする。波形幅のばらつきが小さいほど、良好な信号品質といえる。
欠落パルス数発生率は、図20中の二点鎖線で囲んだパルスのように、他のパルスと比べて振幅が50%以下であるパルス発生率である。この値が小さいほど、良好な信号品質といえる。
スレーブディスクに転写されたサーボ信号の評価を行うための構成について以下に説明する。
スレーブディスクはスピンドルモータの軸に取り付けられ、所定の速度(回転数)で回転されるようになっている。スレーブディスクの表面に所定のフライングハイトで近接して磁気ヘッドが設けられる。この磁気ヘッドは、ポジショナにより所定の位置に移動可能となっている。この磁気ヘッドは、記録・再生を行うためのものである。
また、磁気ヘッドには、シンクロスコープ(オシロスコープ)が接続されており、磁気ヘッドからのリード信号波形がシンクロスコープのディスプレイに表示されるようになっている。このシンクロスコープには、更にスピンドルモータが接続されており、スピンドルモータの回転子が所定の回転角にあるときに出力するインデックス信号がトリガ信号として入力されるようになっている。
[表2]に示すとおり、本発明による垂直磁気異方性を有するマスター担体を用いた転写による再生信号は、「波形振幅」、「波形幅のばらつき」、「欠落パルス数発生率」の全ての項目で従来よりも良好な結果が得られた。
本発明の実施形態における磁気転写方法の工程の概要図 スレーブディスクの模式断面図 初期磁化工程後の磁性層(記録層)の磁化方向を示した模式断面図 マスターディスクの形態例を示す断面図 印加磁界と磁化の関係を示すグラフ 転写時に発生する磁界の計算結果を示すグラフ 遷移領域における磁界分布を示すグラフ 図7の横軸に示したマスター上の位置の説明図 マスターディスクをスレーブディスクから剥がす際に面内方向にずれる様子を示す説明図 マスターディスクをスレーブディスクから剥がす際に面内方向にずれる様子を示す説明図 スレーブディスクに用いられる磁性膜のM−H特性を示す図 マスターディスクからの距離と発生磁界の関係を示したグラフ マスター磁性層に適用されるCo4Pt1(at%)のM−H特性を示す図 マスターディスクの製造方法を示す工程図 マスターディスクの平面図 磁気転写工程の説明図 磁気転写工程に用いる磁界印加装置の概略構成図 磁気転写工程後の磁性層の磁化方向を示した断面模式図 再生信号波形の説明図 再生信号波形の説明図 ビット長と転写に利用できる磁化差の関係を示すグラフ 印加磁界と磁化の関係を示すグラフ スレーブディスクに用いられる磁性膜のM−H特性を示す図 従来の埋め込み型マスター担体の形態を示す断面図
符号の説明
10…スレーブディスク、20…マスターディスク、12…基板、13…軟磁性層、16…磁性層、60…磁界印加手段、62…コア、63…コイル、80…磁界印加装置、202,212…基材、204,214…磁性層、206…凸部、207…凹部

Claims (7)

  1. 磁気記録媒体へ磁気情報を転写する際に前記磁気記録媒体に接触させる磁気転写用マスター担体であって、
    転写用磁気情報に対応した磁性層が形成された転写部と、
    前記磁性層を有する転写部に対して相対的に低い凹形状を成す非転写部と、を備え、
    前記磁性層は、垂直磁気異方性を有し、残留磁化Mrが500emu/cc以下、かつ飽和磁化Msが900emu/cc以上であることを特徴とする磁気転写用マスター担体。
  2. 前記磁性層は、CoPtであることを特徴とする請求項1記載の磁気転写用マスター担体。
  3. 前記磁性層は、Co4Pt1(at%)であることを特徴とする請求項1記載の磁気転写用マスター担体。
  4. 前記磁性層の下に下地層が設けられ、該下地層はCoCr、Ru、Ptのいずれか、もしくはいずれかを組み合わせたものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気転写用マスター担体。
  5. 磁気転写用マスター担体上の前記転写部の磁性層が他の部分よりも凸となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気転写用マスター担体。
  6. 保磁力Hcが4000Oe以上である垂直磁気記録媒体を用い、前記垂直方向に初期磁化させる初期磁化工程と、
    前記初期磁化工程後の前記垂直磁気記録媒体に対し、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気転写用マスター担体を密着させる密着工程と、
    前記垂直磁気記録媒体と前記磁気転写用マスター担体とを密着させた状態で前記初期磁化と逆方向の垂直方向磁界を印加し、前記垂直磁気記録媒体に磁気情報を転写する転写工程と、
    を備えることを特徴とする磁気転写方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気転写マスター担体を用いて作製された、又は請求項6記載の磁気転写方法を用いて作製された、ことを特徴とする磁気記録媒体。
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