<調湿空気清浄装置の構成>
本発明の一実施形態に係る調湿空気清浄装置は、除湿機能、加湿機能および空気清浄機能を有しており、除湿運転時は除湿機として、加湿運転時は加湿機として、空気清浄運転時は空気清浄機として働く。また、本実施形態の調湿空気清浄装置では、単一機能だけでなく、同時に複数の機能を組合せて稼働させることができる。例えば、本実施形態の調湿空気清浄装置1は、空気清浄機能と除湿機能とを同時に発揮させたり、空気清浄機能と加湿機能とを同時に発揮させたり、除湿機能と加湿機能とを同時に発揮させたりすることができる。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る調湿空気清浄装置1を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る調湿空気清浄装置1の外観斜視図である。
図1において、調湿空気清浄装置1は、本体ケーシング10、送風機2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、空気清浄部5、制御部6、タンク40および後述するドレンパン50(図23参照)等を備えている。ここで、送風機2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、空気清浄部5、制御部6およびドレンパン50等は、本体ケーシング10の内部に収容されている。
以下、図1で示す矢印Aの上流側を正面側とし、矢印Aの下流側を背面側とし、以下説明する。
なお、側および方という語は、ある一つの向きを意味しているものとする。これに対して、方向という語は、ある一つの向きと、その向きとは反対側の向きと、の両方を含む意味とする。
ここで、挿入側とは、例えば、本体ケーシング10とタンク40とを同一床面(平面)上に配置した場合において、タンク40が本体ケーシング10のタンク引出口12に挿入される際に、タンク40が進む向きであり、相対的な向きを意味するものとする。
本実施形態では、ユーザが容易に調湿空気清浄装置1を移動させることができるように、本体ケーシング10の本体底面15(室内の床面と対向する面)に、キャスター19(図11等参照)が設けられている。
本体ケーシング10には、上方部分に制御部6が配置され、下方部分にタンク40を挿入するための挿入スペースSが設けられており、制御部6と挿入空間Sとの間に除湿ユニット3および加湿ユニット4が配置されている。さらに、図23に示すように、除湿ユニット3および加湿ユニット4と、挿入スペースSもしくはタンク40との間に、後述するドレンパン50が配置されている。
送風機2は、本体ケーシング10内部の背面側に位置している。そして、調湿空気清浄装置1は、正面視において、正面側から背面側に向けて、空気清浄部5、除湿ユニット3、加湿ユニット4、送風機2の順で並んで配置されている。送風機2が稼働されることにより空気流路Aが形成され、正面側から吸い込まれた被調和対象の空気は、空気清浄部5を通過して清浄化され、除湿ユニット3を通過した後に加湿ユニット4を通過して送風機2を介して再び被調和対象空間に送り出される。制御部6は、本体ケーシング10内の上方に位置しており、空気清浄部5、除湿ユニット3、加湿ユニット4および送風機2をそれぞれ制御する。
図2は、除湿ユニットおよび加湿ユニットの斜視図である。
図2において、加湿ユニット4は、除湿ユニット3に対して背面側に位置している。図1、図2において、加湿ユニット4の一部である気化素子41が加湿ユニット4から飛び出ておりタンク40および水車42が取り出されているメンテナンス状態をそれぞれ示しているが、運転状態では気化素子41は加湿ユニット4の所定位置に収容され、タンク40および水車42は本体ケーシング10の下方のスペースである挿入スペースSに収容された状態となっている。
<除湿ユニット>
図3は、除湿ユニットの斜視図である。
図3において、除湿ユニット3は、吸着素子31、ヒータ32、第2送風機33、送風管34および熱交換部35、排水口38(図4参照)を有している。
吸着素子31は、ハニカム構造体であり、ゼオライト粉末、バインダーおよび膨張剤を混合して練り上げた多孔質の材料によって円板状に成形されている。ここでのバインダーとしては、例えば、変性PPE、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂から選択されたものである。膨張剤は、ハニカム構造体の成形時に膨張することで、無数の気泡を形成させる。このため、吸着素子31は、水分に対して高い吸着性を有している。
ヒータ32は、吸着素子31の背面側の一部に対向して配置されている。このヒータ32は、略扇形形状であって、吸着素子31の背面側の6分の1程度を覆う位置に設けられている。
第2送風機33は、吸着素子31の上方部分から背面側に向けて突出するような形状を有している。ヒータ32と第2送風機33とは空気の流通ができるように第1送風管34aによって連絡されている。第2送風機33が稼働することで、空気流れが形成され、第1送風管34aを矢印で図示する方向へ流れる。そして、ヒータ32近傍に流れてきた空気は、そこで加熱されて高温空気となる。
送風管34は、第1送風管34a、第2送風管34b、第3送風管34cおよび第4送風管34dを有している。ヒータ32によって加熱された高温空気は、対向する吸着素子31の背面側から吸着素子31の厚み方向の正面側に向かって進み、吸着素子31の正面側からに流れ出る。ここで、吸着素子31の領域のうち高温空気が通過した領域では、高温空気によって暖められることで、保持していた水分が、第2送風機33による空気流れにのって放出される。
吸着素子31を背面側から前面側に向けて通過した空気は、吸着素子31から放出された水分を含むことにより、高温高湿空気となり、第2送風管34bに進む。第2送風管34bは、吸着素子31を通過してきた高温高湿空気の略全部を抵抗なく第3送風管34cに向かわせるために、吸着素子31の一部を正面側から覆うようにして形成されている。第2送風管34bは、外形が正面視略扇形であって、上述したヒータ32と共に吸着素子31の同一部分を挟むような位置に設けられ、吸着素子31の正面側の6分の1程度を覆っている。
第3送風管34cは、第2送風管34bから流れてくる高温高湿空気を、吸着素子31の径方向外側の外周に沿って正面視右側に導く。第3送風管34cには、前後方向に貫通する複数の長孔35aが設けられており、空気流路Aの一部となっている。第3送風管34cを流れる高温高湿空気は、長孔35aを形作っている壁面に接触しながら流れる。このため、長孔35aを含む空気流路Aを通過する空気は、第3送風管34cを流れる高温高湿空気との間で熱交換を行い、互いに混ざり合うことなく、第3送風管34c内を流れる空気から熱量を奪う。このため、長孔35aを形作っている壁面に接触した高温高湿空気は冷却され、長孔35aを形作っている壁面の第3送風管34c内側では結露が生じる。この結露水は、第3送風管34c内において下方に流れ落ちつつ、図4に示す鉛直方向に貫通した排水口38を通じて、後述のドレンパン50を介してタンク40へ流れ込む。
第4送風管34dは、第3送風管34cと第2送風機33とを連絡している。第3送風管34cを通過する高温高湿空気は、複数の長孔35aを形作っている壁面に接触して熱量と水分を奪われた後に、第4送風管34dを通って第2送風機33に吸い込まれる。
長孔35aは、吸着素子31の径方向外側の一部を囲むように設けられており、複数の長孔35aによって熱交換部35を形成している。除湿ユニット3は、厚み方向の寸法がほぼ同じ値に設定された平坦領域3aが形成されており、第3送風管34cと熱交換部35とは、この平坦領域3aに含まれる。
図4は、除湿ユニット3を背面側から視た正面図である。
図4において、除湿ユニット3は、駆動モータ36をさらに有している。駆動モータ36は、ピニオン歯車361を有している。そして、吸着素子31の外周には、ピニオン歯車361と噛み合う従動歯車311が設けられている。駆動モータ36が稼働している間、ピニオン歯車361と噛み合っている従動歯車311に動力を伝えることで、吸着素子31は回転する。そして、吸着素子31が回転しながら、本体ケーシング10に吸い込まれた空気が空気流路Aを通過することで、吸着素子31の一部を通過する。この空気が吸着素子31を通過する際に、吸着素子31は通過しようとする空気中の水分を吸着して保持し、通過後の空気の水分を低減させる。そして、吸着素子31が回転を続けることで吸着素子31のうち水分を保持している部分が、ヒータ32と対向する位置にまで移動し、加熱される。これにより水分を保持していた吸着素子31の一部は、保持していた水分をその場で放出し、ほとんど水分を保持していない状態となる。そして、吸着素子31は、回転を続けることで、空気流路Aを通過して来る新たな空気と接触し、この新たな空気から水分を吸着して保持する。このようにして、吸着素子31が回転することにより、水分の吸着と放出を繰り返すことができる。
図1において、本体ケーシング10の最上面には、空気清浄運転、除湿運転および加湿運転を選択入力可能な選択パネル11が設けられている。この選択入力を受け付ける選択パネル11は、制御部6と通信可能に接続されている。選択パネル11には、吸着素子31の回転と停止とを選択できる選択ボタン37が含まれており、除湿運転時に選択ボタン37をオフ状態に切り替えると、吸着素子31の回転が停止し、積極的な除湿運転が停止される。このとき、ヒータ32と第2送風機33は依然として稼働し続けているので、高温空気は送風管34内を循環する。このため、空気流路Aを流れる空気は、熱交換部35を通過するときに暖められ、調和対象空間に暖められた空気を放出することができるので、小規模な暖房を行うことができる。このときに後述する加湿ユニット4を同時に稼働させることによって、暖房加湿運転を行うことができる。なお、本実施形態では、制御部6に予め暖房加湿運転モードが設定されており、選択パネル11から暖房加湿運転を選択できるようにしている。
<加湿ユニット>
図5は、加湿ユニットの斜視図である。
図5において、加湿ユニット4は、本体内部除湿ユニット3の背面側に設けられており、気化素子41、水車42および駆動部43を有している。この加湿ユニット4は、タンク40の中に貯留されている水が供給されることで、加湿を行う。このタンク40は、空気流路Aを通る空気の加湿に用いる水源であり、本体ケーシング10の挿入スペースSに対して脱着可能に収納されている。タンク40内の水が不足している場合には、加湿用の水を補充するために、ユーザは、本体ケーシング10のタンク引出口12からタンク40を引き出して、水の補充を行う。なお、本実施形態の調湿空気清浄装置1においては、除湿ユニット3の機能を発揮させることで捕獲されてタンク40に貯まった水を、加湿ユニット4における加湿機能の発揮に利用することができるため、単に加湿のみを行う従来の加湿器と比較して水の補充頻度を低減させることができている。
気化素子41は、不織布で円板状に成形され、回転することによってタンク40から送られてくる水を蒸発させる気化部材である。気化素子41は外周に第1歯車411を有しており、第1歯車411は駆動部43によって駆動歯車431が回転することによって回転させられる。気化素子41は、気化素子41の下端がタンク40の満水状態における水位よりも上方に位置するように配置されているので、タンク40内の水とは直接接触していない。
図6は、背面側から見た加湿ユニット4およびタンク40の斜視図である。
図6において、水車42は、その軸がタンク40に設けられた軸受40aに指示されることで、タンク40に対して回転可能に支持されている。そして、水車42は、軸を中心として回転することで、タンク40内の水面下に位置する部分でタンク40内の水を捕らえ、気化素子41と面している水面上の部分まで汲み上げ、水車42が汲み上げた水が水車42から放たれるようにして、気化素子41に対して水を供給する。ここで、加湿ユニット4の厚み方向の寸法を小さくし、調湿空気清浄装置1自体の厚みをコンパクト化させるために、気化素子41と水車42は、各回転の軸が略並行の位置関係にあり、互い対向して隣接配置されている。
ここで、水車42は、軸を中心として回転しつつ、タンク40の水をより上方に位置する気化素子41にまで運ぶために、水車42の背面側の外周近傍には、軸方向に窪んで形成された略台形状の凹部421aが複数設けられている。
図7は、水車42の分解斜視図である。
図7において、水車42は、車輪421、車輪カバー422および第2歯車423等が組み合わされて形成されている。
車輪421には、背面側に向けて窪んだ複数の凹部421aが円周を沿うように配置されて形成されている。
車輪カバー422には、軸方向に貫通した略台形状の複数の孔422aが形成されている。そして、車輪421と車輪カバー422とは、車輪421の複数の凹部421aが、車輪カバー422の複数の孔422aとそれぞれ対向する位置関係において組み合わされている。そして、孔422aの大きさは、凹部421aの窪みの上方近傍を縁取る略台形形状の略半分程度であり、車輪421と車輪カバー422とが組み合わされた状態で、凹部421aの上方近傍を縁取る略台形形状の略半分程度が覆われて、略半分が開口した状態となっている。これにより、車輪421と車輪カバー422とが組み合わされた状態では、車輪421と車輪カバー422の間に回転位置によっては鉛直方向に窪んだ状態となる受け溝を形成することができ、水を上方に汲み上げることが可能になっている。
第2歯車423は、図6に示すように、気化素子41の第1歯車411と噛み合う歯車であり、回転の中心には、車輪421、車輪カバー422および第2歯車423が共有する回転軸424が設けられている。回転軸424を同軸として、第2歯車423、車輪カバー422、車輪421が順に重ねて組み合わされている。
水車42は、回転することによって、凹部421aが順次タンク40の水中を通過して水面を離れる動作を繰り返す。ここで、凹部421aが浸水したとき、孔422aを介して凹部421aへ水が流れ込み、車輪421と車輪カバー422の間に鉛直方向に窪んだ受け溝は、内部が水で満たされた状態で水中から出ていく。
水車42がさらに回転し、水で満たされた状態の受け溝が最上位置に近づくにしたがって、受け溝内の水は孔422aを介して背面側下方に向けて流出し、最上位置を通過したときにほぼ全ての水が流出する。水は、流出する際に重力によってある程度の勢いが付加されているので、凹部421aと近接している気化素子41の前面側に到達するように、背面側に向かって流出する。
図6において、回転軸424は、タンク40の軸受40aに回転可能に支持されている。そして、この軸受40aのタンク40の底の上表面から軸受40aの軸芯までの高さが、水車42が配置されたときにタンク40が最低水位のときであっても、水車42の最下位置における凹部421aが水没する高さとなるように設定されている。
また、軸受40aは、上半分が開いているので、タンク40が本体ケーシング10から引き出されたときに、ユーザは水車42をタンク40から取り出して洗浄することができる。
<除湿ユニットと加湿ユニットとの位置関係>
図8は、除湿ユニット3と加湿ユニット4とが組み合わされた状態の斜視図である。
図8において、加湿ユニット4は、除湿ユニット3の第2送風機33の下方に、平面視において互いに重なるように、配置されている。加湿ユニット4の気化素子41は、除湿ユニット3の吸着素子31および図8では不可視の熱交換部35と対向している。そして、水車42は、気化素子41と熱交換部35とで前後方向から挟まれるように配置されている。
<気化素子の取り付け/取り出し機構>
図5、図6で示すように、気化素子41は、本体ケーシング10からの取り出しを容易にするために、回転軸を前後方向に突出させていない形状に成形されている。
そして、気化素子41は、第1歯車411が駆動歯車431および第2歯車423と噛み合うことによって両歯車431、423によって支持されている。第1歯車411が、安定した姿勢を維持するために、駆動歯車431および第2歯車423は、第1歯車411の回転軸よりも下方に位置し、且つ気化素子41の鉛直中心線の面に対して互いに反対側に位置している。このため、気化素子41は、軸支持されていなくても、安定して回転することができ、本体ケーシング10から取り出されるときには、突出する軸がないので、本体ケーシング10内部に引っ掛かることなく容易に取り出される。
ここで、図1に示すように、本体ケーシング10には、回転式の気化部材扉16を開けることによって、開口する気化素子取出口13が設けられている。これにより、気化素子41は、気化部材扉16を開けることにより、気化素子取出口13を介して取り出すことができる。これによって、ユーザは、気化素子41を取り出して交換することができる。
<タンクの挿入/抜き出し機構>
(タンクの詳細構成)
図9に、タンクと水車と加湿ユニットとの位置関係を示す背面図を、図10に、挿入スペースに対してタンクを挿入する状態を示す背面図を、それぞれ示す。
また、図11に、本体底面とタンクとの位置関係を示す底面斜視図を、図12に、挿入スペースに対してタンクを挿入する状態を示す正面図を、それぞれ示す。
タンク40は、図9〜12に示すように、透明の樹脂で成型された、タンク正面40fと、タンク背面40bと、タンク挿入面40sと、タンク底面46と、タンクリブ44と、タンク曲面45と、凸部40cと、非透明の樹脂で成型された、タンク取出面47と、タンク取手48と、軸受40aと、を備えている。
タンク正面40fは、図12、図1、図2および図5等において示すように、タンク40の正面側の側面を構成している。また、このタンク正面40fは、図1に示すように、その面の一部を構成している添え部40wを有している。この添え部40wは、タンク正面40fの挿入側端部近傍において背面側に窪んだ形状を有している。このため、ユーザは、タンク40を両手で保持する際に、例えば、左手の指をこの添え部40wの窪みに入れて、下から支えるようにしてタンク40を取り上げることができる。
タンク背面40bは、図9、図10、図11および図6等において示すように、タンク40の背面側の側面を構成している。
タンク挿入面40sは、図12、図2等において示すように、タンク40の正面視左側の側面、すなわち、タンク40を本体ケーシング10の挿入スペースSに挿入する際に最初に挿入スペースS内に入る側面を構成している。
タンク底面46は、図9、図10、図11および図12等に示すように、タンク40の底面を構成している。また、タンク底面46は、図10、図11および図12に示すように、タンク挿入面40sから所定距離離れた部分からタンク挿入面40sから離れるに従って下方に傾斜したタンクテーパ46aを有している。
タンク取出面47は、図11および図12等において示すように、タンク40の正面視右側の側面を構成しつつ、タンク40を本体ケーシング10の挿入スペースSに挿入した状態では、本体ケーシング10の正面視右側の側面の一部を構成する。また、このタンク取出面47は、図1、図5等に示すように、タンク取出面47を板厚方向に貫通したタンク窓部47aが設けられている。
以上のタンク正面40f、タンク背面40b、タンク挿入面40s、タンク底面46およびタンク取出面47によって器形状が形成され、タンク40はその器の内側に水を貯めることができる。
タンク取手48は、図1、図10、図11および図12等に示すように、タンク取出面47の下方にV字形状に窪んだ溝であり、下方から上方に向けて手を差し入れて掴むことができる。ユーザは、このタンク取手48を掴んで、本体ケーシング10からタンク40を抜き出したり、本体ケーシング10に対してタンク40を挿入したりすることができる。
タンクリブ44は、図10、図11および図12に示すように、背面視においてタンク底面46とタンク挿入面40sとによって形成されるコーナーを縁取るようにして突出したリブであって、正面側の正面タンクリブ44fと、背面側の背面タンクリブ44bとの2つが互いに平行に伸びるようにして設けられている。この正面タンクリブ44fおよび背面側の背面タンクリブ44bは、共に、タンク底面46の下面側からさらに鉛直方向下方に伸びており、タンク40の最も低い位置を構成しているため、タンク40を床上に置いた状態で、床と接触し、タンク40を支える。
そして、正面タンクリブ44fおよび背面側の背面タンクリブ44bは、正面タンクリブ44fおよび背面側の背面タンクリブ44bの下端から上方に上がるにつれて挿入側を含む方向の幅が広がっていくような形状を有しており、床面Gと正面タンクリブ44fおよび背面側の背面タンクリブ44bとの接触面積が小さくなっており、タンク40を床面Gに対して滑らせる際の摩擦抵抗を低く抑えることができる。そして、床面Gと接触していない部分は、各部分が、所定の曲率半径によって、湾曲して形成されている。
このタンクリブ44は、図19に示すように、タンクリブ44の下端から、本体ケーシング10のキャスター19によって地面から離れている本体底面15の上面の高さ(高さh5と高さh4との和)の高さに至るまでの間の挿入側の縁が、下端から上方に上がるにつれてより挿入側に位置するように形成されている。このため、途中で挿入側に傾斜していない部分が無いため、後述するタンク40の挿入時にその傾斜していない部分で挿入に対する抵抗が増大してしまうという事態を避けることができるようになっている。
なお、タンクリブ44は、図19に示すように、タンク底面46の挿入側の端部近傍に位置している。そして、タンク底面46の上面を超える高さ位置まで設けられている。このため、タンク40と本体ケーシング10とを床面Gに置いた状態で、タンクリブ44に支えられたタンク底面46の下面が本体底面15の上面よりも低い位置にあったとしても、タンクリブ44がタンク底面46の上面を超える高さまで設けられており、さらに、本体ケーシング10の本体底面15の上面を超える高さまで設けられているため、タンク40の挿入負荷を低減させることができる。
そして、このタンクリブ44の長手方向は、挿入側と略平行に形成されている。このため、挿入側に対して垂直に上下挿入補助部の長手方向が形成される構成と比較して、摩擦を少なくすることができる。
タンク曲面45は、図11、図10および図12に示すように、正面タンク曲面45fと、背面タンク曲面45bと、を有している。正面タンク曲面45fは、タンク挿入面40sとタンク正面40fとによって形成されるコーナーを両面がなめらかにつながるR形状として、このR形状が鉛直方向に続いている形状を有している。背面タンク曲面45bは、タンク挿入面40sとタンク背面40bとによって形成されるコーナーを両面がなめらかにつながるR形状として、このR形状が鉛直方向に続いている形状を有している。この正面タンク曲面45fと、背面タンク曲面45bと、によって、タンク40の挿入側端部近傍は、挿入側に向かうにつれて、挿入側に略垂直な水平成分の幅が狭くなっていく形状となっている。このため、タンク40の形状として、挿入側に向かうにつれて水平方向の幅が狭くなっていることから、タンク40を挿入する際に、水平方向についてもタンク引出口12内に導きやすくなる。
また、本体ケーシング10は、図13等において示すように、タンク引出口12の縁のうち、本体正面10fや本体背面10bによって構成されている縁の位置よりも、本体底面15によって構成されている縁の位置のほうが、所定窪み距離h2だけ挿入側に窪むように形成されている。これに対して、図13に示すように、上述した正面タンク曲面45fや背面タンク曲面45bの挿入側とは反対側の端部から、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bの挿入側端部までの間の所定厚さh3のほうが、本体ケーシング10の窪みである所定窪み距離h2よりも短くなるように形成されている。これにより、タンク40の挿入時には、先に、正面タンク曲面45fもしくは背面タンク曲面45bが本体ケーシング10の本体正面10fや本体背面10bのタンク引出口12側の端部に当接して、水平方向の位置がガイドされ、その後に、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bによって上下方向の位置がガイドされることになる。
軸受40aは、図6、図9および図12に示すように、タンク40のタンク底面46の上面側から上方に伸びており、先端が下方にわずかに窪んだ形状を有しており、水車42の回転軸424を回転自在に支持する。
凸部40cは、図6および図9に示すように、タンク取出面47のタンク窓部47aの開口に対応するようにして、タンク40の側面の一部が周囲方向に突出した形状を有している透明樹脂成型部である。この凸部40cは、タンク窓部47aに嵌合されることで、本体ケーシング10の側面の一部を構成するタンク取出面47の一部であるタンク窓部47aに嵌められた透明な凸部40cを介して、タンク40内の水位を、タンク40装着状態であっても視認することができる。
なお、本体ケーシング10は、図1、図9、図10、図11および図12に示すように、本体底面15を有している。そして、本体底面15の下面側の4つのコーナーには、さらに下方に設けられたキャスター19がそれぞれ設けられており、本体ケーシング10を4点で支えている。さらに、本体ケーシング10は、図1に示すように、本体ケーシング10の正面側を構成する本体正面10fと、本体ケーシング10の背面側を構成する本体背面10bとを備えている。ここで、本体ケーシング10に、タンク40を挿入するために設けられた挿入スペースSは、本体底面15の上面側の面と、本体正面10fの背面側の面と、本体背面10bの正面側の面と、によって囲まれたスペースである。この挿入スペースSは、図1に示すように、略水平方向に開口したタンク引出口12を有している。
また、本体ケーシング10は、後述する図13に示すように、本体底面15のタンク引出口12側端辺は、本体正面10fや本体背面10bのタンク引出口12側端辺の位置よりも、挿入方向に所定窪み距離h2だけ内側に位置している。
さらに、本体ケーシング10の本体底面15は、後述する図19に示すように、タンク引出口12側端辺を構成する底面開口側端辺15pと、この底面開口側端辺15p近傍において下方に窪んだ底面凹部15dとを有している。すなわち、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bの挿入側とは反対側の端部は、タンク40の挿入側端部近傍に位置している。本体底面15のタンク引出口12近傍の上面側に設けられた底面凹部15dは、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bと接触した状態で挿入側とは反対側に向けて正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bを移動させる場合に抵抗として機能する。
以下、この本体ケーシング10の挿入スペースSに対して、タンク40が挿入される様子について説明する。
(タンクの挿入)
図1で示したように、タンク40は、本体ケーシング10の挿入スペースSに対して着脱可能に設けられているため、引き出し式のタンク取出面47のタンク取手48を掴んでタンク40を挿入することによって、本体ケーシング10のタンク引出口12を介して挿入スペースSに挿入することができる。
ここで、調湿空気清浄装置1の上方から見た断面図である、タンク40と本体ケーシング10との位置関係を示す平面断面図を、図13、図14、図15、図16、図17および図18においてそれぞれ示す。
また、調湿空気清浄装置1の正面側から見た断面図である、タンク40と本体ケーシング10との位置関係を示す正面断面図を、図19、図20、図21および図22においてそれぞれ示す。
ここで、図16で示す平面状態は図19の正面状態に対応し、図17で示す平面状態は図20の正面状態に対応し、図18で示す平面状態は図21の正面状態に対応している。
まず、ユーザは、タンク取手48を掴んで、タンク40のタンク挿入面40sが、本体ケーシング10のタンク引出口12の枠内に納まる位置となるように、タンク40の位置を移動させる。
ここで、図13に示すように、タンク正面40fの正面側の面が本体正面10fの背面側の面より内側に位置せず、h1の距離だけずれて点Q1で当接している状態から矢印で示す方向に挿入されようとする場合がある。
なお、ここで、本体ケーシング10は、図13等において示すように、タンク引出口12の縁のうち、本体正面10fや本体背面10bによって構成されている縁の位置よりも、本体底面15によって構成されている縁の位置のほうが、所定窪み距離h2だけ挿入側に窪むように形成されている。これに対して、図13に示すように、上述した正面タンク曲面45fや背面タンク曲面45bの挿入側とは反対側の端部から、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bの挿入側端部までの間の所定厚さh3のほうが、本体ケーシング10の窪みである所定窪み距離h2よりも短くなるように形成されている。
このため、タンク40を挿入する際に、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bが本体底面15の所定窪み距離h2だけ窪んだ部分に到達して本体底面15の上下方向の位置のガイドが行われるよりも先に、正面タンク曲面45fもしくは背面タンク曲面45bが本体ケーシング10のタンク引出口12の縁のうち本体正面10fや本体背面10bによって構成されている縁に当接して、タンク40は、まず最初に、左右方向の位置がガイドされることになる。したがって、タンク40の挿入時には、まず、タンク40のタンク引出口12に対する左右方向の位置のガイド(正面側と背面側とのズレの修正)が行われ、その後に、上下方向の位置のガイド(高さ方向のズレの修正)が行われる、という順で挿入される。
この場合、このように、タンク40の左右方向端部の位置が、本体ケーシング10のタンク引出口12の左右の幅と対応していない位置から挿入される場合であっても、図14に示すように、正面タンク曲面45fが湾曲形状であることにより、図13における矢印の方向にユーザが力を加えても、タンク40は、図14に示す矢印の向きに容易に移動していく。このため、タンク正面40fの挿入側先端は、本体正面10fの内側に位置するように点Q2で当接した状態となる。したがって、タンク40は、図15に示すように、点Q3を支点として回転させるように挿入させることができ、タンク挿入面40sは、本体ケーシング10のタンク引出口12の枠内に納まることが可能な位置に、特段挿入方向をユーザに意識させることなく導かれる。以上のタンク40の水平方向の位置の調節は、背面タンク曲面45bが始めに本体背面10bに当接した場合であっても同様である。
そして、ユーザは、タンク挿入面40sが、本体ケーシング10のタンク引出口12の枠内に納まった状態で、さらに、タンク40を挿入スペースS内に挿入させる。
そうすると、図16に示すように、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bの少なくともいずれか一方(両方同時であってもよい)が点P1において本体底面15のタンク引出口12側端辺に当接した状態となる。この状態は、上述したように、正面断面図で示すと図19で示すような位置関係になっている。ここで、上述した底面開口側端辺15pの上面は、本体底面15の4角に設けられたキャスター19の高さや本体底面15の形状により持ち上げられた分の高さ(h5)と、底面開口側端辺15p自体の厚み高さ(h4)と、によって、床面Gから鉛直上方にh4+h5だけ離れて位置している(キャスター19は、図19において奥行き方向もしくは手前方向に存在しているため点線で示している)。このため、床面Gに当接した状態の正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bは、その一部が、図19の点P1で示す床面Gから離れた点において底面開口側端辺15pと当接している。
ここでは、タンク40の正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bには、下端から上方に上がるにつれて縁がより挿入側に位置している傾斜縁部分が設けられている。そして、タンク40に設けられた正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bの高さは、少なくともタンク引出口12近傍における本体底面15の厚さ(h4)よりも長く伸びている。具体的には、ここでは、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bは、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bの下端からh4+h5の高さを超える高さに至るまでの間の挿入側の縁が、途中で挿入側に傾斜していない部分を有することなく、なだらかに、下端から上方に上がるにつれてより挿入側に位置するように形成されている。
このため、挿入側にタンク40が進むようにタンク40を床面Gに対して滑らせて、タンク引出口12を通じて本体ケーシング10の挿入スペースSに挿入する場合に、挿入が楽になる。すなわち、タンク40は、本体底面15の厚み分によって挿入が遮られることなく、タンク40の正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bの傾斜縁部分が、タンク引出口12の縁のうち本体底面15を構成している底面開口側端辺15pの上端近傍部分を滑るようにして、タンク40の挿入側が本体底面15の上面側の上に、挿入抵抗の増大を抑えつつ、楽に滑り上がる。
このように、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bの湾曲傾斜部分が底面開口側端辺15pの上面の高さ位置を超えた部分まで伸びて存在しているため、さらにユーザがタンク40を挿入スペースSに挿入させる方向に軽い力を加えると、図20に示すように、底面開口側端辺15pとの当接点P2において、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bの湾曲傾斜部分が順次スライドしていくことで、タンク40のタンク挿入面40s側が挿入方向に移動しながら鉛直上方に上昇する。この状態は、図17の平面断面図で示された状態である。
そして、さらにユーザがタンク40を挿入スペースSに押し込むと、図21に示すように、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bが完全に本体底面15の上面側に上がり、平面断面図としては図18で示す位置関係となり、容易にタンク40を挿入スペースSに挿入することができる。
(タンクの抜き出し)
図1で示したように、タンク40は、本体ケーシング10の挿入スペースSに対して着脱可能に設けられているため、引き出し式のタンク取出面47のタンク取手48を掴んでタンク40を抜き出すことによって、本体ケーシング10のタンク引出口12からタンク40を抜き出すことができる。
ここで、図22に示すように、タンク40の全体がタンク引出口12から抜き出される直前の状態となると、本体底面15には、底面凹部15dが底面開口側端辺15pの近傍に設けられているため、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bの抜き出し方向の端部が、底面凹部15dの抜き出し方向の壁面と当接し、抜き出しに対する抵抗が一気に増大する状態となる。
すなわち、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bの挿入側とは反対側の端部は、タンク40の挿入側端部近傍に位置しているため、本体底面15のタンク引出口12近傍の上面側に設けられた底面凹部15dは、タンク40の概ね全体が本体ケーシング10から取り出された状態になると、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bと接触した状態で挿入側とは反対側に向けて正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bを移動させる場合に抵抗として機能する。
これにより、タンク40が抜き出される際に、タンク40の概ね全体が本体ケーシング10から取り出されつつある状態で、正面タンクリブ44fや背面側の背面タンクリブ44bが本体底面15の底面凹部15dにより抜き出しに対する抵抗を受け始める。このため、タンク40が本体ケーシング10から取り出されて、本体底面15から脱落する前に、タンク40を抜き出そうとするユーザに状態を把握させることができる。したがって、ユーザは、タンク40を挿入スペースSから勢いよく抜き出す場合であっても、タンク40が完全に抜き出される前に、一旦負荷が増大することで、タンク40が完全に抜き出される状態の手前の状態にあることを把握することができる。これにより、タンク40の脱落を防止できることで、タンク40の本体底面15からの脱落によるタンク40の破損等を未然に防止することができる。
これにより、ユーザが勢いよくタンク40を抜き出すことにより、タンク40のタンク挿入面40sの下端近傍や正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bが、勢いよく床面Gに叩き付けられて破損する等の問題を解決できている。
また、図22で示す、タンク40が完全に抜き出される前に一旦負荷が増大する状態は、図1に示す状態において、タンク40を抜き出そうとする場合の位置関係に等しく、このタンク40のほぼ全体が挿入スペースSから取り出されている状態では、タンク40のタンク正面40fの一部を構成している添え部40wが本体ケーシング10の外側に露出する位置まで移動している。そして、この添え部40wは、タンク正面40fの挿入側端部近傍において背面側に窪んだ形状を有しているため、右手でタンク取手48を掴んでタンク40を挿入スペースSから抜き出している状態において、ユーザは、余った左手を添え部40wに差し入れて、下からタンク40を支持することで、両手でタンク40を持ち上げることができる。そして、このように、タンク40を抜き出す際にタンク40の添え部40wに左手を添えて両手で持ち上げるためのタイミングは、タンク40が完全に抜き出される前に一旦負荷が増大することによりユーザが把握することができる。このため、ユーザは、タンク40が本体ケーシング10から脱落してしまう前の、この一旦負荷が増大している状態で左手を添えることができるようになる。
このようにして、ユーザは、タンク40を本体ケーシング10から取り出して、加湿のための水の補給および除湿の際の水の廃棄を行ったり、水車42の洗浄等を行うことができる。
以下、上述したタンク40の挿入および抜き出しにより、傾斜状態が変化するドレンパン50について説明する。
<タンクの挿入時および抜き出し時におけるドレンパンの状態>
(ドレンパンの詳細構成)
図23に、タンクが挿入されている状態におけるドレンパンおよびその近傍の構成配置を示す斜視図を、図24に、タンクが抜き出される途中の状態におけるドレンパンおよびその近傍の構成配置を示す斜視図を、それぞれ示す。
図25に、タンクが挿入されている状態におけるドレンパンの傾斜状態を示す背面図を、図26に、タンクが抜き出される途中の状態におけるドレンパンの傾斜状態を示す背面図を、それぞれ示す。
ここで、ドレンパン50は、図23、図24、図25および図26においてそれぞれ示すように、遥動軸51と、注ぎ口52と、予備容器53と、加湿水受け54と、傾斜リブ55とを備えている。
遥動軸51は、正面側から背面側に向かって伸びる軸である。この遥動軸51は、この軸を中心としてドレンパン50を回転自在に、除湿ユニット3の下端部分に対して支持している。
注ぎ口52は、ドレンパン50において補水した水を、下方に配置されたタンク40に導くために、鉛直方向に貫通した開口であり、遥動軸51の近傍に設けられている。これにより、図24および図25に示すように、ドレンパン50の傾斜状態が略水平状態である場合に、補水した水をタンク40に向けて流れ落とす。
予備容器53は、ドレンパン50の水受けのうち、正面視左側、すなわち、タンク40の挿入側の水受けを構成しており、主に、除湿ユニット3で生じた凝縮水を補水する。ここで、除湿ユニット3は、図26に示すように、除湿ユニット3の下端に設けられた排水口38を介して、熱交換部35において生じた凝縮水を予備容器53上に滴下させることができる。
加湿水受け54は、ドレンパン50の水受けのうち、上述した予備容器53とは、遥動軸51に対して反対側の端部の水受けを構成しており、主に、加湿ユニット4に対して水車42が給水する際に気化素子41が保持しきれずに落下させる水を補水する。
傾斜リブ55は、正面視左側、すなわち、タンク40の挿入側の下面からさらに下方に突出したリブであり、挿入方向に行くにしたがって突出程度が増大するように形成されている。
以上の構成で、ドレンパン50は、遥動軸51に対して、加湿水受け54が設けられている側よりも、予備容器53や傾斜リブ55が設けられている側のほうが大きく重くなっている。そして、遥動軸51は、ドレンパン50の重心よりも加湿水受け54側に配置されている。このため、ドレンパン50に何ら力が作用されていない状態では、ドレンパン50は、予備容器53や傾斜リブ55が設けられている側が下方に移動し、加湿水受け54が設けられている側が持ち上げられるようにして、バランスが保たれる。
(ドレンパンの傾斜状態)
(タンク挿入時)
タンク40が挿入スペースSに挿入された状態では、図25に示すように、点Tにおいて、タンク40の上面部分がドレンパン50の傾斜リブ55と当接して持ち上げ、ドレンパン50は遥動軸51を軸芯として回動し、ドレンパン50の傾斜状態は略水平状態となる。このため、タンク40が挿入された状態では、ドレンパン50は、除湿ユニット3や加湿ユニット4からの補水を注ぎ口52を介して、下方に存在しているタンク40に導く。
(タンク抜き出し時)
タンク40が挿入スペースSから傾斜リブ55に触れない程度に抜き出された状態では、図26に示すように、点Uにおいて、タンク40の上面部分がドレンパン50の傾斜リブ55と当接していないため、ドレンパン50を遥動軸51を軸芯として回動し、ドレンパン50の傾斜状態は、予備容器53や傾斜リブ55が設けられている側が下方に移動し、加湿水受け54が設けられている側が持ち上げられるようにしてバランスが保たれた傾斜状態となる。
これにより、たとえ、除湿ユニット3からの凝縮水によってタンク40が満水状態となり、タンク40を抜き出して排水作業を行う場合において、除湿ユニット3の下にタンク40が不在の状態となったとしても、除湿ユニット3の熱交換部35等から落下する凝縮水は、予備容器53が傾斜して水受けとして機能することができるため、タンク40の水が排水されて再びタンク40が装着されるまでの一時的な補水を行うことができる。また、ドレンパン50の加湿水受け54は、加湿ユニット4の気化素子41の鉛直下方まで伸びて設けられているため、タンク40が本体ケーシング10から抜き出された状態であっても、気化素子41からの落水を補水することができる。これにより、タンク40を抜き出しても、除湿ユニット3からの凝縮水や、気化素子41からの落水が、本体ケーシング1の本体底面15上に滴下してしまうことを回避できる。また、タンク40が再度挿入された場合には、タンク40がドレンパン50の注ぎ口52の下に存在する状態となった後に、傾斜リブ55に当接して、予備容器53に貯まっている水をタンク40に導く。このため、タンク40の挿入動作に伴う水漏れも防ぐことができる。
なお、タンク40が本体ケーシング10から抜き出された状態では、図1等に示すように、気化部材扉16を開けることで気化素子41を気化素子取出口13を介して取り出すことができる。そして、この際、図26で示すように、気化素子41が本体ケーシング10内に収容されている状態では、ドレンパン50の加湿水受け54は、気化素子41と当接した状態にある。そして、気化素子41が本体ケーシング10から取り出されると、ドレンパン50は予備容器53の位置が下降するようにさらに傾斜した状態となり、より多くの水を保持することができる状態になる。
<本実施形態に係る調湿空気清浄装置1の特徴>
(1)
タンク40は、除湿ユニット3によって得られる水を貯留するため、もしくは、加湿ユニット4による加湿のための水を貯留しておくため、本体ケーシング10の挿入スペースSに略水平方向に挿入されて用いられる。
そして、ユーザは、除湿ユニット3によって得られる水の貯留量が所定量を超えた場合に、タンク40を本体ケーシング10の挿入スペースSから抜き出し、タンク40にたまった水を廃棄する等して、空状態となったタンク40を再度挿入スペースSに挿入する。
もしくは、ユーザは、加湿ユニット4による加湿に用いられる水が減ったり無くなったりした場合に、タンク40を略水平方向に動かして本体ケーシング10の挿入スペースSから抜き出し、タンク40に水を補充して、水の入った状態のタンク40を再度挿入スペースSに挿入する。
ここで、タンク40は、除湿ユニット3によって得られる水を貯留する場合であっても、加湿ユニット4に用いられる水を貯留しておく場合であっても、本体ケーシング10に対して略水平方向に移動させて抜き出す動作が行われることになる。
そして、タンク40を本体ケーシング10の挿入スペースSから抜き出す場合に、タンク40は、タンク取手48を掴んだユーザによって略水平方向に移動されていくが、タンク40全体のうちのどの程度が抜き出された状態なのかについて、把握することが困難なことがある。
これに対して、本実施形態に係る調湿空気清浄装置1では、タンク40の本体ケーシング10の挿入スペースSへの挿入時に上下方向のガイドとして機能していたタンクリブ44(正面タンクリブ44f、背面タンクリブ44b)が、タンク40の挿入スペースSからの取り出し時には、抵抗機構の一部として機能する。
すなわち、タンク40が本体ケーシング10の挿入スペースSから抜き出される際に、図22に示すように、タンク40の挿入側端部近傍に設けられたタンクリブ44が、タンク引出口12の内側近傍(挿入スペースS)に位置している状態で、すなわち、タンク40の概ね全体が本体ケーシング10から取り出されている状態で、本体底面15の底面凹部15dに嵌ることになる。
これにより、このタンクリブ44が本体底面15の底面凹部15dに嵌った状態で、タンク40を抜き出す方向に対する抵抗が増大し、タンク取手48によってタンク40を引き抜こうとするユーザに対してより多くの負荷をかけるようになる。このため、ユーザは、タンク40の概ね全体が本体ケーシング10から取り出されようとしている状態であることを把握でき、タンク40が脱落しないように待ちかまえることができる。
これにより、タンク40の不意の脱落を防止することができる。
(2)
本実施形態に係る調湿空気清浄装置1では、タンクリブ44を、上下方向のガイドとしてだけでなく、タンク40の抜き出し時の抵抗増大のためにも機能させることができる。
(3)
本実施形態に係る調湿空気清浄装置1では、タンク40のほぼ全体が挿入スペースSから取り出されている状態では、タンク40のタンク正面40fの一部を構成している添え部40wが本体ケーシング10の外側に露出する位置まで移動するように、タンク40が形成されている。
そして、この添え部40wは、タンク正面40fの挿入側端部近傍において背面側に窪んだ形状を有しているため、右手でタンク取手48を掴んでタンク40を挿入スペースSから抜き出している状態において、ユーザは、余った左手を添え部40wに差し入れて、下からタンク40を支持することで、両手でタンク40を持ち上げることができる。そして、このように、タンク40を抜き出す際にタンク40の添え部40wに左手を添えて両手で持ち上げるためのタイミングは、タンク40が完全に抜き出される前に一旦負荷が増大することによりユーザが把握することができる。このため、ユーザは、タンク40が本体ケーシング10から脱落してしまう前の、この一旦負荷が増大している状態で左手を添えることができるようになる。
<調湿空気清浄装置1の変形例>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記実施形態では、タンク取出面47がタンク40と一体に設けられた場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、図27の斜視図および図28の平面図に示すように、タンク取出面147は、本体底面15のうちタンク引出口12近傍部分の端辺に沿うように軸が設けられたヒンジJによって、タンク引出口12を開閉可能に覆うものであってもよい。
そして、このタンク取出面147は、閉じた状態の本体スペースS側、すなわち、開いた状態で上側に露出する面に、図28に示すように、窪んで形成されるタンクガイド147dが設けられている。このタンクガイド147dは、正面タンクリブ44fおよび背面タンクリブ44bに対応する位置に設けられており、開いた状態で、タンク40の挿入および取り出しをガイドすることができる。
これにより、タンク40のタンク挿入面40sの4角それぞれがタンク引出口12の内側にくるように位置合わせをして挿入する必要がなく、このタンクガイド147dにタンク40のタンクリブ44を位置合わせるだけで容易に挿入作業を行うことができる。また、タンク40の取り出しの際には、タンク40のタンクリブ44をタンクガイド147dに沿わせて取り出すことができるため、取り出し作業を安定してスムーズに行うことができる。
さらに、ヒンジJによってタンク取出面147を開閉させることができるため、単にタンク取出面47がタンク40に一体に設けられて全体を出し入れする構造よりも、閉まった状態でのタンク取出面147の位置を予め特定の場所となるように設計しやすくなる。そして、閉状態でタンク取出面147の縁がちょうどタンク引出口12を覆う位置に位置するように設計しておくことで、シール性を向上させる設計を行うことができる。このように、シール性を向上させることで、本体ケーシング10の側面とタンク取出面147との境界についての意匠性を向上させることができる。さらに、タンク引出口12とタンク取出面147との隙間から調湿されていない空気や清浄化されていない空気がそのまま進入してしまうことを防止することができる。