JP2009068471A - ブローバイガス用オイルセパレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブローバイガスに含まれるオイルミストを捕集するオイルセパレータ20は、ブローバイガスの流入口22に面して配置され該流入口22から流入するブローバイガスが衝突する衝突壁26と、該衝突壁26に連なる壁面により袋状に前記流入口22の一側に形成される滞留室28と、前記流入口22の他側からブローバイガスの流出口24への経路に形成されるオイルミストを捕集する捕集室30とを備え、前記滞留室28は、ブローバイガスの流れがサイクロンを形成する室として形成されている。
【選択図】図2
Description
ここで、ブローバイガス中にはエンジンオイル等の潤滑油が微粒化されたオイルミストが含まれているため、ブローバイガス中のオイルミストが吸気系に流出するのを防止する必要がある。そこで、ブローバイガス中のオイルミストを捕集する手段として、シリンダヘッドカバーの内側やクランクケースと吸気管路を連結する連結流路の途中にオイルセパレータが設けられている。
慣性衝突式はオイルセパレータの内部にブローバイガスの流れを遮る衝突板を設け、衝突板にブローバイガスを衝突させてブローバイガスに含まれるオイルミストを衝突板に付着させて捕集する方式である。また、ラビリンス式は箱型の装置の中に仕切り板を設けて、オイルミストの浮遊距離を長くしてオイルミストが自重で落下することを促す方式である。仕切り板を設けることでブローバイガスの流速が増して、仕切り板にオイルミストが衝突し易くなるので仕切り板にオイルミストを付着させて捕集する効果もある。よって、ラビリンス式は慣性衝突式を内包した方式と考えることができる。慣性衝突式とラビリンス式はオイルミストの捕集の方法に共通部分があり、オイルセパレータの構造の共通化が容易なため併用されることが多い。
一方サイクロン式は、ブローバイガスを円筒状のサイクロン室内で旋回させ、遠心分離作用によってブローバイガスに含まれるオイルミストを分離する方式である。サイクロン式はオイルミストの捕集の方法が慣性衝突式やラビリンス式と異なるため、サイクロン式のオイルセパレータの構造は、オイルミストの捕集方法の差異に起因して、慣性衝突式やラビリンス式のものとは異なったものとなっている。
他に、ラビリンス式のオイルセパレータについて開示した文献としては、特開2000−274225号公報(特許文献2)がある。特許文献2には、図6で紹介した従来技術に対して、仕切り板を有孔板と無孔板を並べた構成に変更し、ブローバイガスの流れに乱れを生じさせてブローバイガスと仕切り板の接触面積を大きくし、ブローバイガスに含まれるオイルミストの分離率を向上させる方法が提案されている。
サイクロン式のオイルセパレータについて開示した文献としては、特開2001−246216号公報(特許文献3)がある。なお、特許文献3に記載されているバッフルプレートはブローバイガスのサイクロン室からの流出を抑制して旋回流の形成を容易にするものであって、慣性衝突式の衝突板やラビリンス式の仕切り板とは役割が異なる。
そこで、より小粒径のオイルミストを分離できるようにするためには、仕切り板同士の間隔を狭めてオイルミストの流速を上げたり、オイルセパレータの容量を大きくしオイルミストの浮遊距離を長くする必要がある。しかし、仕切り板同士の間隔を狭めることは圧力損失を増大してしまうという問題がある。また、エンジンのコンパクト化という観点から、オイルセパレータの容量を大きくすることは困難である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、圧力損失の増大およびオイルセパレータの容量の拡大をすることなく、より小粒径のオイルミストを捕集することができるオイルセパレータを提供することである。
まず、本発明の第1の発明に係るブローバイガス用オイルセパレータは、エンジンのクランクケース内に発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを捕集するオイルセパレータであって、ブローバイガスの流入口に面して配置され該流入口から流入するブローバイガスが衝突する衝突壁と、該衝突壁に連なる壁面により袋状に前記流入口の一側に形成される滞留室と、前記流入口の他側からブローバイガスの流出口への経路に形成されるオイルミストを捕集する捕集室とを備え、前記滞留室は、ブローバイガスの流れがサイクロンを形成する室として形成されていることを特徴とする。
この第1の発明によれば、流入口から流入したブローバイガスに含まれるオイルミストは流入口に面して配置された衝突壁に衝突することにより衝突壁に付着して捕集される。そして、衝突壁に衝突し滞留室に流入したブローバイガスは、サイクロンを形成する室として形成された滞留室で旋回運動を生じる。そこで、滞留室に集まったブローバイガス中の小粒径のオイルミストは遠心力により大きな径のオイルミストに凝集され、凝集したオイルミストは滞留室の壁に付着して捕集される。さらに、滞留室で凝集した後に捕集室に流入したオイルミストおよび衝突壁に衝突して捕集室に流入したブローバイガスに含まれるオイルミストは捕集室の壁に付着して捕集される。
この第2の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を得られる他に、滞留室で凝集した後に捕集室に流入したオイルミストおよび衝突壁に衝突して捕集室に流入したブローバイガスに含まれるオイルミストは、捕集室に配置された仕切り板に衝突し仕切り板に付着して捕集される。
この第3の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得られる他に、衝突壁および滞留室を簡易に形成することができる。
この第4の発明によれば、第2の発明と同様の効果を得られる他に、衝突壁、滞留室および仕切り板を簡易に形成することができる。
まず、この第1の発明によれば、流入口から流入したブローバイガスに含まれるオイルミストは衝突壁に衝突することにより衝突壁に付着して捕集される。さらに、衝突壁に衝突したのち滞留室に集まったブローバイガス中の小粒径のオイルミストは遠心力により凝集されより大きな粒径のオイルミストとなり、滞留室の壁に付着して捕集される。さらに、滞留室で凝集した後に捕集室に流入したオイルミストおよび衝突壁に衝突して捕集室に流入したブローバイガスに含まれるオイルミストは捕集室の壁に付着して捕集される。よって、この第1の発明によれば、より小粒径のオイルミストを捕集することができる。
次に上述の第2の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得られる他に、滞留室で凝集した後に捕集室に流入したオイルミストおよび衝突壁に衝突して捕集室に流入したブローバイガスに含まれるオイルミストは、捕集室に配置された仕切り板に衝突し仕切り板に付着して捕集される。このため、より小粒径のオイルミストを効率よく捕集することができる。
次に上述の第3の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得られる他に、衝突壁および滞留室を簡易に構成することができる。
次に上述の第4の発明によれば、第2の発明と同様の効果を得られる他に、衝突壁、滞留室および仕切り板を簡易に構成することができる。
図1に本発明の一実施例である自動車エンジンに取り付けられるオイルセパレータ筐体10の外観斜視図を示す。オイルセパレータ筐体10はケーシング12と蓋体14の内部に独立した2系統のオイルセパレータを包含する構成となっており、流入口22と流出口24および流入口42と流出口44を備えている。なお、2系統のオイルセパレータを一筐体にまとめたのはオイルセパレータの配置の都合によるものであって、本発明のオイルセパレータにおいて必須の事項ではない。
図2にオイルセパレータ筐体10のケーシング12の上面図を示す。図2に示すとおり、ケーシング12の右側に第1のオイルセパレータ20が配置され、左側に第2のオイルセパレータ40が配置されている。
滞留室28は袋状に形成されており、ブローバイガスの流入によって流入口22側と衝突壁26側に圧力差が生じるので、サイクロンを形成する室として形成された滞留室28には反時計回りに旋回運動が生じる。そこで、滞留室28ではブローバイガスの旋回運動による遠心力により、衝突壁26によって捕集されなかった小粒径のオイルミストが凝集される。そして、凝集されたオイルミストは滞留室28の壁面に付着して捕集される。
ここで、第2のオイルセパレータ40の特徴は、流入口42が第2のオイルセパレータ40の底面に設けられており、ブローバイガスが下方から上方に向かって流れ込んでくる点にある。
流入口42から流入したブローバイガスは、流入口42に面した蓋体14の内側に衝突する。第2のオイルセパレータ40では、蓋体14の内側が衝突壁46の役割を果たす。また、ブローバイガスが下方から流れ込んでくるため、滞留室48で生じる旋回運動は上下方向となる。なお、第2のオイルセパレータ40では、内壁面54と仕切り板52とは別体で形成されて結合されている。
なお、オイルセパレータの全体形状は実施例に限られるものではなく、本発明の思想の範囲で各種の形態とすることが可能である。
12 ケーシング
14 蓋体
20 第1のオイルセパレータ
22 流入口
24 流出口
26 衝突壁
28 滞留室
30 捕集室
32 仕切り板
34 内壁面
40 第2のオイルセパレータ
42 流入口
44 流出口
46 衝突壁
48 滞留室
50 捕集室
52 仕切り板
54 内壁面
Claims (4)
- エンジンのクランクケース内に発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを捕集するオイルセパレータであって、
ブローバイガスの流入口に面して配置され該流入口から流入するブローバイガスが衝突する衝突壁と、該衝突壁に連なる壁面により袋状に前記流入口の一側に形成される滞留室と、前記流入口の他側からブローバイガスの流出口への経路に形成されるオイルミストを捕集する捕集室とを備え、
前記滞留室は、ブローバイガスの流れがサイクロンを形成する室として形成されていることを特徴とするオイルセパレータ。 - 請求項1に記載のオイルセパレータであって、前記捕集室にラビリンスを形成する仕切り板が配置されていることを特徴とするオイルセパレータ。
- 請求項1に記載のオイルセパレータであって、前記衝突壁とオイルセパレータの内壁面が一体成形されていることを特徴とするオイルセパレータ。
- 請求項2に記載のオイルセパレータであって、前記衝突壁と前記仕切り板とオイルセパレータの内壁面が一体成形されていることを特徴とするオイルセパレータ。
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