JP2009067824A - 感温性樹脂および感温性粘着剤、並びに感温性粘着テープ - Google Patents

感温性樹脂および感温性粘着剤、並びに感温性粘着テープ Download PDF

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【課題】必要な粘着性を維持しつつ、十分な離型性を有する感温性樹脂および感温性粘着剤、並びに感温性粘着テープを提供することである。
【解決手段】融点未満の温度で結晶化しかつ融点以上の温度で流動性を示す感温性樹脂であって、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜60重量部と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜70重量部と、極性モノマー5〜10重量部と、反応性ポリシロキサン化合物5〜50重量部とを重合させて得られる重合体である。この感温性樹脂を含む感温性粘着剤である。前記感温性樹脂を含む粘着剤層を、支持体の片面または両面に設けた感温性粘着テープである。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着性と離型性とに優れる感温性樹脂および感温性粘着剤、並びに感温性粘着テープに関する。
従来から、粘着剤はテープ形状等に加工され、電子部品製造用、医療用、事務用等の様々な分野で用いられている。近時、パソコンや携帯電話等の電子部品は高性能化に伴い小型化されており、これらを被着体とする粘着剤には、更なる物性の向上が求められている。
特に、一度貼り付けた粘着剤を再剥離する必要性のある仮固定用途等では、粘着性と離型性とが求められる。すなわち、部品を固定して加工等する際には粘着性を示し、部品から剥離する際には粘着力が低下して離型性を示す必要がある。
このような粘着剤として、熱により粘着性を可逆的に制御可能な感温性樹脂を含む粘着剤がある。例えば特許文献1には、側鎖結晶化可能ポリマー(感温性樹脂)を含有するポリマー組成物からなる粘着剤層を基材フィルムの片面もしくは両面に設けた積層セラミックコンデンサ積層工程用の仮止め粘着テープが記載されている。この文献によると、側鎖結晶化可能ポリマーが、前記ポリマー組成物を室温以下の温度ではほぼ非粘着性に、またそれより上の温度では粘着性にするのに十分な量だけ該ポリマー組成物中に存在すると記載されている。
ところが、感温性樹脂による粘着力の低下であっても完全に粘着力が消失するわけではなく、被着体は小型化により強度が低下しており、剥離する際に破損しやすくなっている。このため、従来の感温性樹脂では、加工時に必要な粘着性を維持しつつ、剥離時に必要な離型性を付与することが困難になっている。
特開平9−251923号公報
本発明の課題は、必要な粘着性を維持しつつ、十分な離型性を有する感温性樹脂および感温性粘着剤、並びに感温性粘着テープを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、融点未満の温度で結晶化しかつ融点以上の温度で流動性を示す感温性樹脂が、反応性ポリシロキサン化合物を含む特定の組成および割合で重合させて得られる重合体である場合には、部品を固定する際の粘着力を高くしても、部品から剥離する際には、感温性樹脂を所定温度に冷却することにより、該感温性樹脂が結晶化することによる粘着力の低下と、ポリシロキサン化合物による離型性とが相まって、粘着力を大きく低下させることができるので、簡単に取り外すことができるという新たな事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の感温性樹脂は、以下の構成からなる。
(1)融点未満の温度で結晶化しかつ融点以上の温度で流動性を示す感温性樹脂であって、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜60重量部と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜70重量部と、極性モノマー5〜10重量部と、反応性ポリシロキサン化合物5〜50重量部とを重合させて得られる重合体であることを特徴とする感温性樹脂。
(2)前記反応性ポリシロキサン化合物が、片末端反応性ポリシロキサン化合物である前記(1)記載の感温性樹脂。
(3)前記片末端反応性ポリシロキサン化合物が、下記一般式(I)で表される変性ポリジメチルシロキサン化合物である前記(2)記載の感温性樹脂。
Figure 2009067824
[式中、R1はアルキル基を示す。R2は基:CH2=CHCOOR3−またはCH2=C(CH3)COOR3−(式中、R3はアルキレン基を示す。)を示す。nは5〜200の整数を示す。]
(4)前記融点が30℃以上である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の感温性樹脂。
(5)60℃における粘着力が0.05〜20N/25mmであり、23℃における離型力が0.00〜1.0N/25mmであり、かつ下記式(1)から算出される低下率が95%以上である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の感温性樹脂。
Figure 2009067824
本発明の感温性粘着剤は、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の感温性樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の感温性粘着テープは、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の感温性樹脂を含む粘着剤層を、支持体の片面または両面に設けたことを特徴とする。
本発明によれば、必要な粘着性を維持しつつ、十分な離型性を有するという効果がある。すなわち、本発明にかかる感温性樹脂を融点未満の温度に冷却すると、該感温性樹脂が結晶化して粘着力が低下し、離型性を示す。このとき該感温性樹脂は、反応性ポリシロキサン化合物を含む特定の組成および割合で重合させて得られる重合体なので、結晶化することによる粘着力の低下に加えてポリシロキサン化合物による離型性も加わる。したがって、本発明にかかる感温性樹脂は、粘着力を高くしても、取り外し時には粘着力を十分に低下させることができるので、優れた粘着性と離型性とを示すことができる。
本発明の感温性樹脂は、融点未満の温度で結晶化しかつ融点以上の温度で相転移して流動性を示す。すなわち、温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こす。これにより、部品等を固定する際には、感温性樹脂を所定温度に加熱することにより、該感温性樹脂が流動性を示して粘着性を示すと共に、部品から剥離する際には、感温性樹脂を所定温度に冷却することにより、該感温性樹脂が結晶化して粘着力が低下し、離型性を示す。
本発明において融点とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていた樹脂の特定部分が無秩序状態となる温度を意味し、示差熱走査熱量計(DSC)で、10℃/分の測定条件で測定して得られた値である。本発明では、感温性樹脂の融点は30℃以上、好ましくは40〜65℃であるのがよい。融点を所定の値にするには、感温性樹脂の組成、分子量等を変えることによって任意に行うことができる。
ここで、本発明の感温性樹脂は、反応性ポリシロキサン化合物を含む特定の組成および割合で重合させて得られる重合体である。これにより、感温性樹脂が結晶化することによる粘着力の低下に加えてポリシロキサン化合物による離型性も加わるので、感温性樹脂の粘着力を高く設計しても、取り外し時には粘着力を十分に低下させることができ、よって優れた粘着性と離型性とを示すことができる。
具体的には、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜60重量部と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜70重量部と、極性モノマー5〜10重量部と、反応性ポリシロキサン化合物5〜50重量部、好ましくは5〜30重量部とを重合させて得られる重合体であるのがよい。このような特定の組成および割合で前記重合体を構成すると、加工時に必要な粘着性を維持しつつ、剥離時に必要な離型性を十分に付与することができる。
一方、前記した組成および割合で前記重合体が構成されていないと、必要な粘着性を維持しつつ、十分な離型性を付与することができない。特に、反応性ポリシロキサン化合物が5重量部より少ないと、ポリシロキサン化合物による離型性が得られない。また、反応性ポリシロキサン化合物が50重量部より多いと、粘着性が低下すると共に、重合が困難になる。
前記炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル[以下、(メタ)アクリレートという]としては、例えばセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数16〜22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、前記炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、前記極性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有エチレン不飽和単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するエチレン不飽和単量体等が挙げられ、これらは1種または2種以上をブレンドして用いてもよい。
前記反応性ポリシロキサン化合物とは、反応性を示す官能基を有し、かつ主鎖にシロキサン結合を有するポリシロキサン化合物のことを意味する。この反応性ポリシロキサン化合物は、室温(23℃)でワックス状でもよいが、効率よく重合させる上で、室温(23℃)で流動性を示すオイル状(すなわちシリコーンオイル)が好ましい。
前記官能基としては、例えばビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロキシ基等のエチレン性不飽和二重結合;エポキシ基(グリシジル基およびエポキシシクロアルキル基を含む)、メルカプト基、カルビノール基、カルボキシル基、シラノール基、フェノール基、アミノ基、水酸基等が挙げられる。
これらの官能基は、主鎖が有する側鎖に導入してもよく、主鎖の両末端または片末端に導入してもよい。すなわち、導入される官能基の結合位置によって、いわゆる側鎖型、両末端型、片末端型および側鎖両末端型の4種類が挙げられ、特に、優れた粘着性と離型性とが得られる上で、片末端型(すなわち片末端反応性ポリシロキサン化合物)が好ましい。この理由としては、片末端型を用いて重合すると、重合体の主鎖にポリシロキサン成分を櫛形にグラフトさせることができ、これにより粘着性を損なうことなく、感温性樹脂が結晶化したときにポリシロキサン化合物による離型性が効率よく発現されることによるものと推察される。
片末端反応性ポリシロキサン化合物の具体例としては、前記一般式(I)で表される変性ポリジメチルシロキサン化合物が挙げられる。この化合物は、上記で例示した重合体を構成する(メタ)アクリレートおよび極性モノマーとの相溶性に優れるので、効率よく重合体を得ることができる。
前記一般式(I)中、R1はアルキル基を示し、該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基が挙げられる。R2は基:CH2=CHCOOR3−またはCH2=C(CH3)COOR3−を示す。前記R3はアルキレン基を示し、該アルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6の直鎖または分枝したアルキレン基等が挙げられる。nは5〜200の整数を示す。
前記一般式(I)で表される変性ポリジメチルシロキサン化合物の具体例としては、下記一般式(II)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2009067824
[式中、R1,nは、前記と同じである。]
このような変性ポリジメチルシロキサン化合物としては、例えば信越化学工業(株)製の以下に示す「片末端反応性シリコーンオイル」等が使用可能である。
・同社製の商品名「X−22−2404」
・同社製の商品名「X−24−8201」
・同社製の商品名「X−22−174DX」
・同社製の商品名「X−22−2426」
前記重合体の重量平均分子量は、25万〜100万であるのがよい。前記重合体の重量平均分子量が25万より小さいと、感温性樹脂を部品から取外す際には、該感温性樹脂が部品上に残る、いわゆる糊残りが多くなるおそれがある。また、重量平均分子量が100万より大きいと、感温性樹脂の溶媒への溶解性が悪く、テープ状に塗布/加工することが困難になる。なお、前記重量平均分子量は、前記重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
ここで、本発明では、感温性樹脂が結晶化することによる粘着力の低下と、ポリシロキサン化合物による離型性とが相まって、粘着力を大きく低下させることができるので、部品を固定する際の粘着力を高くすることができる。具体的には、本発明の感温性樹脂は、60℃における粘着力が0.05〜20N/25mmであるのが好ましい。これに対し、前記粘着力が0.05N/25mm未満であると、部品を固定できないおそれがあり、20N/25mmを超えると、離型性が低下するおそれがある。前記粘着力は、60℃の雰囲気温度におけるステンレス鋼(SUS)304に対する粘着力(剥離強度)をJIS Z0237に準じて測定して得られた値である。
また、本発明の感温性樹脂は、23℃における離型力が0.00〜1.0N/25mmであるのが好ましい。これに対し、前記離型力が1.0N/25mmを超えると、部品を剥離できないおそれがある。前記離型力は、次のようにして測定して得られる値である。すなわち、60℃において本発明の感温性樹脂をSUS304に貼付した後、23℃に冷却し、該雰囲気温度におけるSUS304に対する粘着力(剥離強度)をJIS Z0237に準じて測定して得られた値である。
さらに、本発明の感温性樹脂は、前記式(1)から算出される低下率が95%以上であるのが好ましい。該低下率は、粘着力に対する離型力の低下率を示している。該低下率が95%以上であると、必要な粘着性を維持しつつ、十分な離型性を示すことができる。これに対し、前記低下率が95%未満であると、60℃における粘着力および23℃における離型力が、それぞれ前記した特定の数値範囲内であっても、離型性が十分でないおそれがある。
前記粘着力および離型力を所定の値にするには、感温性樹脂の組成、すなわち前記(メタ)アクリレート、極性モノマーおよび反応性ポリシロキサン化合物の選択・割合や、分子量等を変えることによって任意に行うことができる。具体例を挙げると、反応性ポリシロキサン化合物の割合を前記した範囲内において少なくすると、粘着力を高くすることができる。これとは逆に、反応性ポリシロキサン化合物の割合を前記した範囲内において多くすると、離型力を低くすることができる。このように本発明では、粘着性と離型性とを所望の値に制御することができる。
また、前記粘着力および離型力を測定する際には、感温性樹脂を後述するテープの形態にすると、厚みが薄く一定になる為、感温性の変化が鋭敏かつ均一になり、粘着力および離型力の値の評価が容易になる。なお、このテープが備える感温性樹脂を含む粘着剤層の厚さを変えることによっても、前記粘着力および離型力を所望の値にすることができる。
本発明の感温性樹脂の使用形態は、特に限定されるものではなく、例えばフィルム状またはシート状の形態で用いることもでき、あるいは感温性樹脂に適当な溶剤を加えて、被着体に直接塗布して乾燥するようにしてもよい。
特に、本発明の感温性樹脂は、感温性粘着剤として使用するのが好ましい。この感温性粘着剤は、上記した効果を奏する感温性樹脂を含むので、特に、微小で破損しやすい電子部品の製造用に好適に使用することができる。しかも、この感温性粘着剤は、感温性樹脂の相変化を利用するものであるため、繰り返し使用することができる。
感温性粘着剤として使用する場合には、該感温性粘着剤の凝集力を上げるために架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、例えばイソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物等が挙げられる。また、必要に応じて可塑剤、タッキファイヤー、フィラー等のような任意の成分を添加してもよい。タッキファイヤーとしては、例えば特殊ロジンエステル系、テルペンフェノール系、石油樹脂系、高水酸基価ロジンエステル系、水素添加ロジンエステル系等があげられる。
また、本発明の感温性樹脂は、感温性粘着テープとして使用してもよい。この場合には、本発明の感温性樹脂を含む粘着剤層(すなわち感温性粘着剤層)を、支持体の片面または両面に設ければよい。この感温性粘着テープの粘着剤層は、上記した効果を奏する感温性樹脂を含むので、再剥離する必要性のある仮固定用途等に好適に使用することができる。
前記支持体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルム、紙等が挙げられる。該支持体は、単層体またはこれらの複層体からなるものであってもよく、厚さは、通常、5〜500μm程度である。支持体の表面には、粘着剤層に対する密着性を向上させるため、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理、プライマー処理等の表面処理を施してもよい。
粘着剤層を支持体に設けるには、例えばナイフコーター、ロールコーター、カレンダーコーター、コンマコーター等のコーターを用いるのが好ましい。また、塗工厚みや材料の粘度によっては、グラビアコーター、ロッドコーター等を用いてもよい。粘着剤層の厚さは、通常、5〜60μm程度であるのがよい。厚みがこの範囲内であると、粘着剤層が優れた粘着性と離型性とを示すことができる。
以下、合成例および実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の合成例および実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明で「部」は重量部を意味する。
以下の実施例および比較例で使用した共重合体は、以下の3種類である。
(合成例1)
ベヘニルアクリレート(日本油脂社製)を35部、メチルアクリレート(日本触媒社製)を50部、アクリル酸を5部、変性ポリジメチルシロキサン化合物(信越化学工業(株)製の「片末端反応性シリコーンオイル」であり商品名「X−22−174DX」)を10部およびパーブチルND(日本油脂社製)を0.2部の割合で、それぞれ酢酸エチル230部に加えて混合し、55℃で4時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は50万、融点は48℃であった。
(合成例2)
ベヘニルアクリレート(日本油脂社製)を25部、メチルアクリレート(日本触媒社製)を45部、アクリル酸を5部、変性ポリジメチルシロキサン化合物(信越化学工業(株)製の「片末端反応性シリコーンオイル」であり商品名「X−22−174DX」)を25部およびパーブチルND(日本油脂社製)を0.2部の割合で、それぞれ酢酸エチル230部に加えて混合し、55℃で4時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は48万、融点は41℃であった。
(比較合成例1)
ベヘニルアクリレート(日本油脂社製)を45部、メチルアクリレート(日本触媒社製)を50部、アクリル酸を5部およびパーブチルND(日本油脂社製)を0.2部の割合で、それぞれ酢酸エチル230部に加えて混合し、55℃で4時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は55万、融点は57℃であった。
上記合成例1,2および比較合成例1で得られた各共重合体を表1に示す。
Figure 2009067824
<感温性粘着テープの作製>
上記合成例1で得られた共重合体に酢酸エチルを加えて共重合体溶液を調製した。ついで、この共重合体溶液を支持体(厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の片面に塗布して乾燥し、厚さ10μmの粘着剤層が形成された感温性粘着テープを作製した。
<評価>
上記で得た感温性粘着テープについて、粘着力、離型力および低下率を評価した。各評価方法を以下に示すと共に、結果を表2に併せて示す。
(粘着力)
60℃の雰囲気温度におけるSUS304に対する粘着力(剥離強度)をJIS Z0237に準じて測定した。
(離型力)
60℃において前記テープをSUS304に貼付した後、23℃に冷却し、該雰囲気温度におけるSUS304に対する粘着力(剥離強度)をJIS Z0237に準じて測定した。
(低下率)
上記のようにして測定し得られた60℃における粘着力と、23℃における離型力とをそれぞれ前記式(1)に当てはめて低下率(%)を算出した。
前記合成例2で得られた共重合体を用いた以外は、前記実施例1と同様にして感温性粘着テープを作製した。この感温性粘着テープについて、実施例1と同様にして粘着力、離型力および低下率を評価した。その結果を表2に示す。
[比較例1]
前記比較合成例1で得られた共重合体を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてテープを作製した。このテープについて、実施例1と同様にして粘着力、離型力および低下率を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2009067824
表2から明らかなように、実施例1および実施例2の感温性粘着テープは、粘着力および離型力に優れているのがわかる。これに対し、変性ポリジメチルシロキサン化合物を重合させていない比較例1のテープは、粘着力には優れているものの、離型力が劣る結果を示した。

Claims (7)

  1. 融点未満の温度で結晶化しかつ融点以上の温度で流動性を示す感温性樹脂であって、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜60重量部と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル20〜70重量部と、極性モノマー5〜10重量部と、反応性ポリシロキサン化合物5〜50重量部とを重合させて得られる重合体であることを特徴とする感温性樹脂。
  2. 前記反応性ポリシロキサン化合物が、片末端反応性ポリシロキサン化合物である請求項1記載の感温性樹脂。
  3. 前記片末端反応性ポリシロキサン化合物が、下記一般式(I)で表される変性ポリジメチルシロキサン化合物である請求項2記載の感温性樹脂。
    Figure 2009067824
    [式中、R1はアルキル基を示す。R2は基:CH2=CHCOOR3−またはCH2=C(CH3)COOR3−(式中、R3はアルキレン基を示す。)を示す。nは5〜200の整数を示す。]
  4. 前記融点が30℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載の感温性樹脂。
  5. 60℃における粘着力が0.05〜20N/25mmであり、23℃における離型力が0.00〜1.0N/25mmであり、かつ下記式(1)から算出される低下率が95%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の感温性樹脂。
    Figure 2009067824
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の感温性樹脂を含むことを特徴とする感温性粘着剤。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の感温性樹脂を含む粘着剤層を、支持体の片面または両面に設けたことを特徴とする感温性粘着テープ。
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