JP2020050716A - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
また、例えば、特許文献2には、ガラス転移温度が0℃未満のポリマー(A)100質量部と、官能基当量が1,000g/mol以上4,600g/mol以下であるポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(B1)及びホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー(B2)をモノマー単位として含み、重量平均分子量が10,000以上100,000未満である重合体(B)0.1質量部〜20質量部と、を含み、上記重合体(B)が、上記モノマー(B1)を10質量%〜20質量%、上記モノマー(B2)を30質量%〜50質量%含む重合体である粘着剤組成物が開示されている。
また、本発明が解決しようとする課題は、上記粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シートを提供することである。
<1> ガラス転移温度が0℃未満である(メタ)アクリル系重合体(A)と、
重量平均分子量が10万以上40万未満の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、を含み、
上記(メタ)アクリル系共重合体(B)は、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位と、単独重合体としたときのガラス転移温度が40℃以上である(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位と、を含み、上記オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の官能基当量が、400g/mol以上15,000g/mol以下の範囲であり、かつ、上記(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位の含有率が、全構成単位に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲であり、
上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下の範囲である粘着剤組成物。
<4> 上記(メタ)アクリル系共重合体(B)における上記オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位の含有率が、全構成単位に対して、10質量%以上20質量%以下の範囲である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シート。
また、本発明によれば、上記粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シートが提供される。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「粘着剤層」とは、粘着剤組成物における架橋反応が終了した後の物質からなる膜を意味する。
本明細書において、「基材」とは、例えば、各種光学部材を指し、「基材」との用語は、「被着体」との用語とは、区別して用いられる。
本発明の粘着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満である(メタ)アクリル系重合体(A)と、重量平均分子量(Mw)が10万以上40万未満の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、を含み、(メタ)アクリル系共重合体(B)は、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位と、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が40℃以上である(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位と、を含み、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の官能基当量が、400g/mol以上15,000g/mol以下の範囲であり、かつ、(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位の含有率が、全構成単位に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲であり、(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下の範囲である。
本発明の粘着剤組成物によれば、貼り合わせ初期には軽剥離性を示し、加温後は高い粘着力を示し、かつ、曲面形状を有するディスプレイと光学部材との貼り合わせに用いた場合でも皺を生じさせ難い、粘着剤層を形成できる。
本発明の粘着剤組成物がこのような効果を奏し得る理由については明らかでないが、本発明者らは以下のように推測している。但し、以下の推測は、本発明の粘着剤組成物を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
本発明の粘着剤組成物は、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体(B)を含有し、かつ、(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)が40万未満であるため、貼り合わせ初期には、(メタ)アクリル系共重合体(B)が被着体との界面に適度に偏在する。このため、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、貼り合わせ初期に軽剥離性を示すと推測される。
以上のことから、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、加温後に高い粘着力を示すと推測される。
本発明の粘着剤組成物によれば、曲面形状を有するディスプレイと光学部材との貼り合わせに用いた場合に、皺のみならず、気泡も生じ難い粘着剤層を形成できるという効果も奏し得る。
本発明の粘着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満である(メタ)アクリル系重合体(A)〔以下、「特定(メタ)アクリル系重合体(A)」ともいう。〕を含む。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)は、1種の単量体を重合して得られる単独重合体であってもよく、2種以上の単量体を重合して得られる共重合体であってもよい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)は、例えば、ガラス転移温度(Tg)を所望の値に調整しやすいという観点から、共重合体であることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)に含まれる構成単位は、特に制限されない。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)は、例えば、以下に示す構成単位を含むことが好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位は、粘着剤層の粘着力の調整に寄与する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
また、アルキル基の炭素数は、形成される粘着剤層の、被着体に対する粘着力及び基材との密着性の観点から、1〜18の範囲が好ましく、1〜12の範囲がより好ましい。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満の(メタ)アクリル系重合体を製造しやすいという観点から、メチルアクリレート(MA)、n−ブチルアクリレート(n−BA)、及び2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率(割合)の上限は、特に制限されず、例えば、特定(メタ)アクリル系重合体(A)の全構成単位に対して、100質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下が更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)が、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含むと、形成される粘着剤層の加温後の粘着力がより高くなる傾向を示す。
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、クロトン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(例えば、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート)、コハク酸エステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチル−コハク酸)等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、架橋剤(特に、イソシアネート系架橋剤)を含む場合に架橋剤との反応性が良好であるという観点、及び、形成される粘着剤層の加温後の粘着力がより高くなる傾向を示すという観点から、アクリル酸(AA)が好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系重合体(A)の全構成単位に対して0.5質量%以上であると、形成される粘着剤層の加温後の粘着力がより高くなる傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系重合体(A)の全構成単位に対して20質量%以下であると、貼り合わせ初期の粘着剤層の軽剥離性がより損なわれ難い傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)が、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むと、形成される粘着剤層の加温後の粘着力がより高くなる傾向を示す。
水酸基を有する単量体の具体例としては、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらの中でも、水酸基を有する単量体としては、既述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との共重合性の観点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、既述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との相溶性及び共重合性が良好である点、並びに、架橋剤(特に、イソシアネート系架橋剤)を含む場合に架橋剤との反応性が良好である点から、炭素数が1〜5のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系重合体(A)の全構成単位に対して0.5質量%以上であると、形成される粘着剤層の加温後の粘着力がより高くなる傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系重合体(A)の全構成単位に対して30質量%以下であると、貼り合わせ初期の粘着剤層の軽剥離性がより損なわれ難い傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)は、本発明の効果が発揮される範囲内において、既述の構成単位、即ち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位、及び水酸基を有する単量体に由来する構成単位以外の構成単位(所謂、その他の構成単位)を含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、0℃未満であり、−20℃以下が好ましく、−30℃以下がより好ましく、−40℃以下が更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が0℃未満であると、形成される粘着剤層は、被着体に対する濡れ性が適度となり、加温後に高い粘着力を示し得る。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)の下限は、特に制限されず、例えば、被着体に対する粘着力の観点から、−70℃以上が好ましい。
1/Tg=m1/Tg1+m2/Tg2+・・・+m(k−1)/Tg(k−1)+mk/Tgk (式1)
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算でき、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算できる。
単独重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定装置(DSC)(型番:EXSTAR6000、セイコーインスツル(株))を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定し、得られたDSCカーブの変曲点を単独重合体のガラス転移温度(Tg)としたものである。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、40万以上200万以下の範囲が好ましく、50万以上200万以下の範囲がより好ましく、50万以上150万以下の範囲が更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が40万以上であると、貼り合わせ初期の粘着剤層の軽剥離性がより損なわれ難い傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が200万以下であると、形成される粘着剤層の加温後の粘着力がより高くなる傾向を示す。
(1)特定(メタ)アクリル系重合体(A)の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系重合体(A)を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系重合体(A)とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件にて、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)を測定する。
測定装置:高速GPC(型番:HLC−8220 GPC、東ソー(株)製)
検出器:示差屈折率計(RI)(HLC−8220に組込、東ソー(株)製)
カラム:TSK−GEL GMHXL(東ソー(株)製)を直列に4本接続
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
注入量:100μL
流量:0.6mL/分
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系重合体(A)の含有率は、特に制限されず、例えば、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、40質量%以上99質量%以下の範囲が好ましく、50質量%以上99質量%以下の範囲がより好ましく、60質量%以上99質量%以下の範囲が更に好ましい。
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系重合体(A)の含有率が、粘着剤組成物中の全固形分量に対して40質量%以上であると、形成される粘着剤層の加温後の粘着力がより高くなる傾向を示す。
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系重合体(A)の含有率が、粘着剤組成物中の全固形分量に対して99質量%以下であると、貼り合わせ初期の粘着剤層の軽剥離性がより損なわれ難い傾向を示す。
本明細書において、「粘着剤組成物中の全固形分量」とは、粘着剤組成物が溶媒等の揮発性成分を含まない場合には、粘着剤組成物の全質量を意味し、粘着剤組成物が溶媒等の揮発性成分を含む場合には、粘着剤組成物から溶媒等の揮発性成分を除いた残渣の質量を意味する。
本発明の粘着剤組成物は、重量平均分子量(Mw)が10万以上40万未満の範囲である(メタ)アクリル系共重合体であって、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位と、単独重合体としたときのガラス転移温度が40℃以上である(メタ)アクリル系単量体(B2)〔以下、「特定(メタ)アクリル系単量体(B2)」ともいう。〕に由来する構成単位と、を含み、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の官能基当量が、400g/mol以上15,000g/mol以下の範囲であり、(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位の含有率が、全構成単位に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)〔以下、「特定(メタ)アクリル系共重合体(B)」ともいう。〕を含む。
また、本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、特定(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下の範囲である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位を含む。
オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)は、比較的極性が低い。そのため、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位を含むと、貼り合わせ初期に、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が被着体との界面に適度に偏在することで、粘着剤層が軽剥離性を示し得る。
また、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の官能基当量は、例えば、貼り合わせ初期の軽剥離性の観点から、500g/mol以上が好ましく、1,000g/mol以上がより好ましく、2,000g/mol以上が更に好ましい。
また、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の官能基当量は、例えば、加温後の粘着力の向上の観点から、10,000g/mol以下が好ましく、8,500g/mol以下がより好ましく、7,000g/mol以下が更に好ましい。
オルガノシロキサン骨格を有する単量体の官能基当量は、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)装置を用いた測定により得られる1H−NMR(所謂、プロトンNMR)のスペクトル強度から算出される。
具体的には、1H−NMRにおいて、シロキサン構造のケイ素にCを介して結合するH(例えば、Si−(CH3)2のH)のスペクトル強度と、官能基のC−CH3のH、SHのH、又はC=CH2のHのスペクトル強度との比を求める。
Si−(CH3)2結合を有するシロキサン構造(ここでは、ジメチルシロキサン)の1個当たりの分子量はわかっているため、その1個当たりの分子量に、上記シロキサン構造の個数Aと官能基の個数Bとの比(即ち、A/B)を乗じた値が、官能基1個当たりの、Si−(CH3)2結合を有するシロキサン構造の質量、即ち、主骨格の質量となり、その質量にアボガドロ数を乗じた値が官能基当量(単位:g/mol)となる。
本明細書において、(メタ)アクリル系共重合体が、官能基当量が異なる2種以上のオルガノシロキサン骨格を有する単量体を含む場合の、「オルガノシロキサン骨格を有する単量体の官能基当量」は、下記の式により計算する。
オルガノシロキサン骨格を有する単量体の官能基当量(g/mol) = 〔単量体1の官能基当量×単量体1の配合量+単量体2の官能基当量×単量体2の配合量+・・・+単量体nの官能基当量×単量体nの配合量〕/〔単量体1の配合量+単量体2の配合量+・・・+単量体nの配合量〕
オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の具体例としては、例えば、下記の式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
式(1)及び式(2)中、R2は、1価の有機基を表す。
R2で表される1価の有機基は、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよく、環状であってもよい。1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。
R2がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
R2がアルケニル基を表す場合のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、2−プロペニル基等が挙げられ、ビニル基が好ましい。
R2がアルキニル基を表す場合のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基、プロパ−2−イン−1−イル基等が挙げられ、エチニル基が好ましい。
R2がアリール基を表す場合のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ピリジル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
m及びnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。mは、1〜10の整数が好ましく、1〜6の整数がより好ましい。nは、1〜250の整数が好ましく、5〜200の整数がより好ましい。
オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の市販品の例としては、X−22−2404〔商品名、官能基当量:420g/mol、信越化学工業(株)〕、X−22−174ASX〔商品名、官能基当量:900g/mol、信越化学工業(株)〕、X−22−174DX〔商品名、官能基当量:4600g/mol、信越化学工業(株)〕、KF−2012〔商品名、官能基当量:4600g/mol、信越化学工業(株)〕、X−22−2426〔商品名、官能基当量:12,000g/mol、信越化学工業(株)〕等が挙げられる。
以上の市販品は、いずれも式(2)で表される化合物に該当する。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)におけるオルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して10質量%以上であると、貼り合わせ初期の粘着剤層の軽剥離性がより損なわれ難い傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)におけるオルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して30質量%以下であると、低温かつ短時間の加温を行った場合の粘着剤層の粘着力がより高くなる傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が40℃以上である(メタ)アクリル系単量体(B2)〔即ち、特定(メタ)アクリル系単量体(B2)〕に由来する構成単位を含み、特定(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル系単量体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
特定(メタ)アクリル系単量体(B2)を単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が40℃以上であると、加温後に高い粘着力を示す粘着剤層を形成し得る。
特定(メタ)アクリル系単量体(B2)を単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)の上限は、特に制限されず、例えば、120℃以下が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
アルキル基の炭素数は、例えば、被着体に対する粘着力及び基材への密着性の観点から、1〜18の範囲が好ましく、1〜12の範囲がより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における特定(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して30質量%以上であると、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)に起因して凝集力が適度となるため、加温後に高い粘着力を示す粘着剤層を形成し得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における特定(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して50質量%以下であると、被着体に対する濡れ性が損なわれ難いため、加温後に高い粘着力を示す粘着剤層を形成し得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、本発明の効果が発揮される範囲内において、既述の構成単位、即ち、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位、及び特定(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位以外の構成単位(所謂、その他の構成単位)を含んでいてもよい。
また、その他の構成単位を構成する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル、並びに、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステルが挙げられる。また、これらの単量体の各種誘導体が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、10万以上40万未満の範囲であり、10万以上35万以下の範囲が好ましく、10万以上30万以下の範囲がより好ましく、20万以上30万以下の範囲が更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)が10万以上であると、曲面形状を有するディスプレイと光学部材との貼り合わせに用いた場合でも皺を生じさせ難い粘着剤層を形成し得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)が40万未満であると、特定(メタ)アクリル系重合体(A)との相溶性が良好となる。また、貼り合わせ初期に、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が被着体との界面に適度に偏在するため、粘着剤層が軽剥離性を示し得る。
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、特定(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下の範囲であり、0.1質量部以上15質量部以下の範囲が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲がより好ましく、0.5質量部以上10質量部以下の範囲が更に好ましい。
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が、特定(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上であることは、本発明の粘着剤組成物が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)を積極的に含むことを意味する。
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が、特定(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して20質量部以下であると、貼り合わせ初期の軽剥離性、加温後の高い粘着力、及び、曲面形状を有するディスプレイと光学部材との貼り合わせに用いた場合の皺の生じ難さをバランス良く兼ね備える粘着剤層を形成し得る。
特定(メタ)アクリル系重合体(A)及び特定(メタ)アクリル系共重合体(B)〔即ち、特定(メタ)アクリル系重合体〕の製造方法は、特に制限されない。
特定(メタ)アクリル系重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合に代表される公知の重合方法で、単量体を重合して製造できる。
これらの中でも、重合方法としては、製造後に本発明の粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ、短時間で行える点で、溶液重合が好ましい。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪系又は脂環族系炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル類、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、並びに、t−ブチルアルコールに代表されるアルコール類が挙げられる。
重合反応時には、これらの有機溶媒を1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、t−ブチルペルオキシピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABVN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、及び2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類、α‐メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、及び9−フェニルフルオレンに代表される芳香族化合物類、p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、及びp−ニトロトルエンに代表される芳香族ニトロ化合物類、ベンゾキノン及び2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンに代表されるベンゾキノン誘導体類、トリブチルボランに代表されるボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、及び3−クロロ−1−プロペンに代表されるハロゲン化炭化水素類、クロラール及びフラルデヒドに代表されるアルデヒド類、炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類、チオフェノール及びトルエンメルカプタンに代表される芳香族メルカプタン類、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類、炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類、並びに、ビネン及びターピノレンに代表されるテルペン類が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。
架橋剤の種類は、特に制限されない。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。また、架橋剤としては、金属キレート化合物を用いることもできる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート化合物の2量体、3量体、又は5量体、上記ポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記イソシアネート化合物のビウレット体なども挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の市販品の例としては、「コロネート(登録商標)HX」、「コロネート(登録商標)HL−S」、「コロネート(登録商標)L」、「コロネート(登録商標)L−45E」、「コロネート(登録商標)2031」、「コロネート(登録商標)2030」、「コロネート(登録商標)2234」、「コロネート(登録商標)2785」、「アクアネート(登録商標)200」、及び「アクアネート(登録商標)210」〔以上、東ソー(株)〕、「スミジュール(登録商標)N3300」、「デスモジュール(登録商標)N3400」、及び「スミジュール(登録商標)N−75」〔以上、住化コベストロウレタン(株)〕、「デュラネート(登録商標)E−405−80T」、「デュラネート(登録商標)AE700−100」、「デュラネート(登録商標)24A−100」、及び「デュラネート(登録商標)TSE−100」〔以上、旭化成(株)〕、並びに、「タケネート(登録商標)D−110N」、「タケネート(登録商標)D−120N」、「タケネート(登録商標)M−631N」、「MT−オレスター(登録商標)NP1200」、及び「スタビオ(登録商標)XD−340N」〔以上、三井化学(株)〕が挙げられる。
エポキシ化合物の市販品の例としては、「TETRAD(登録商標)−X」及び「TETRAD(登録商標)−C」〔以上、三菱ガス化学(株)〕が挙げられる。
金属キレート化合物の市販品の例としては、「アルミキレートA」、「アルミキレートD」、及び「ALCH−TR」〔以上、川研ファインケミカル(株)〕が挙げられる。
例えば、本発明の粘着剤組成物が架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を含む場合、粘着剤組成物におけるイソシアネート系架橋剤の含有量は、粘着剤組成物に含まれる全ての重合体の合計含有量100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲がより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下の範囲が更に好ましい。
例えば、本発明の粘着剤組成物が架橋剤としてエポキシ系架橋剤を含む場合、粘着剤組成物におけるエポキシ系架橋剤の含有量は、粘着剤組成物に含まれる全ての重合体の合計含有量100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下の範囲が好ましく、0.01質量部以上1質量部以下の範囲がより好ましく、0.01質量部以上0.5質量部以下の範囲が更に好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、塗布性向上の観点から、有機溶媒を含んでいてもよい。
有機溶媒としては、例えば、既述の特定(メタ)アクリル系重合体の重合反応時に用いられる有機溶媒と同様のものが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、他の成分)を含んでいてもよい。
他の成分としては、既述の各重合体以外の重合体、架橋触媒、粘着付与剤、酸化防止剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)、帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物が、架橋性の官能基を有する特定(メタ)アクリル系重合体と架橋剤とを含む場合、架橋後のゲル分率は、40質量%以上であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下の範囲であることがより好ましく、40質量%以上85質量%以下の範囲であることが更に好ましい。
架橋後のゲル分率が40質量%以上であると、加温後により高い粘着力を示す傾向がある。
(1)精密天秤にて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、架橋後の粘着剤組成物(即ち、粘着剤層)を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着剤層を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とする。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mLに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(単位:質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは金網の質量(単位:g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(単位:g)、Zは浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量(単位:g)である。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、ディスプレイへの貼着に好ましく用いられる。
本発明の粘着剤組成物は、貼り合わせ初期には軽剥離性を示し、加温後は高い粘着力を示し、かつ、曲面形状を有するディスプレイと光学部材との貼り合わせに用いた場合でも皺を生じさせ難い粘着剤層を形成できるため、特に、曲面形状を有するディスプレイと光学部材とを貼り合わせる用途に好適である。
なお、曲面形状を有するディスプレイとしては、例えば、曲率半径7000mm以下の曲面形状が挙げられる。
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える。
本発明の粘着シートは、基材を有しない無基材タイプの粘着シートでもよく、基材の少なくとも片面に粘着剤層を備える有基材タイプの粘着シートでもよい。
剥離フィルムは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
本発明の粘着シートの製造方法は、特に制限されない。
本発明の粘着シートは、例えば、以下の方法により製造できる。
無基材タイプの粘着シートの場合、まず、剥離フィルムの面上に、本発明の粘着剤組成物を塗布し、塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥する。乾燥後の塗布膜の、剥離フィルムと接しない露出した面に、別の剥離フィルムの面が接するように重ねた後、養生することにより、剥離フィルム/粘着剤層/剥離フィルムの積層構造を有する、無基材タイプの粘着シートを製造できる。
剥離フィルムの面上に、本発明の粘着剤組成物を塗布し、乾燥させた後、養生することにより、粘着剤層を形成する。次いで、形成した粘着剤層を基材に転写する。
すなわち、剥離フィルムの粘着剤層が形成された側の面を、基材に貼り合わせて加圧し、基材/粘着剤層/剥離フィルムの積層構造を有する積層体を製造した後、剥離フィルムを剥離することにより、基材/粘着剤層の積層構造を有する、有基材タイプの粘着シートを製造できる。
剥離フィルムの面上に、本発明の粘着剤組成物を塗布した後、乾燥させて、粘着剤付きフィルムを作製する。次いで、基材を粘着剤付きフィルムの粘着面に貼り合わせ、養生することにより、基材/粘着剤層/剥離フィルムの積層構造を有する、有基材タイプの粘着シートを製造できる。
基材又は剥離フィルムの面上への粘着剤組成物の塗布量は、形成する粘着剤層の厚みに応じて、適宜設定される。
基材又は剥離フィルムの面上に塗布した粘着剤組成物の乾燥温度及び乾燥時間は、特に制限されず、塗布した粘着剤組成物の厚み、粘着剤組成物中の有機溶媒の量等に応じて、適宜設定される。
粘着剤組成物が架橋剤を含む態様では、養生により、粘着剤組成物の架橋反応が終了して粘着剤層が形成される。
被着体の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、及びSUS(ステンレス鋼)に代表される各種金属類、(メタ)アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリイミドに代表される各種樹脂類、ガラスに代表される各種無機材料が挙げられる。
本発明の粘着シートは、特に、SUS、ポリイミド、又はガラスを材質とする被着体への貼着に好適に用いることができる。
〔製造例A−1〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器内に、酢酸エチル237質量部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;重合開始剤)0.05質量部を仕込んだ。
次いで、別の容器に、n−ブチルアクリレート(n−BA)408.6質量部及びアクリル酸(AA)45.4質量部からなる単量体混合液454質量部を準備した。
この準備した単量体混合液のうち、まず80質量部を上記の反応器内に仕込み、加熱して、還流温度で10分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下で、単量体混合液の残量374質量部と、酢酸エチル196質量部とAIBN 0.17質量部との混合溶液と、を120分間かけて逐次滴下し、滴下終了後に70分間反応させた。その後、酢酸エチル50質量部とAIBN 0.790質量部との混合溶液を60分間かけて逐次滴下し、滴下終了後に90分間反応させた。
反応終了後、反応混合物を、酢酸エチルを用いて希釈し、固形分が34質量%の(メタ)アクリル系重合体A−1の溶液を得た。
なお、ここでいう「固形分」とは、(メタ)アクリル系重合体A−1の溶液から溶媒等の揮発性成分を除去した残渣を意味する。以下の(メタ)アクリル系重合体A−2〜A−9の溶液についても同様である。
製造例A−1において、(メタ)アクリル系重合体の単量体組成を、表1に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)を、表1に示す重量平均分子量(Mw)に変更したこと以外は、製造例A−1と同様の操作を行い、(メタ)アクリル系重合体A−2〜A−9の各溶液を得た。
なお、(メタ)アクリル系重合体Aのガラス転移温度(Tg)は、既述の特定(メタ)アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)と同様の方法により計算した。また、(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量(Mw)は、既述の特定(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と同様の方法により測定した。
「n−BA」:n−ブチルアクリレート
「MA」:メチルアクリレート
「t−BA」:t−ブチルアクリレート
「2EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート
「MMA」:メチルメタクリレート
「AA」:アクリル酸
「2HEA」:2−ヒドロキシエチルアクリレート
表1では、「ガラス転移温度(Tg)」を単に「Tg」と表記し、「重量平均分子量(Mw)」を単に「Mw」と表記した。
〔製造例B−1〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器内に、酢酸エチル36質量部及び酢酸ブチル24質量部を仕込んだ。
次いで、別の容器に、メチルメタクリレート(MMA)〔単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg):103℃、特定(メタ)アクリル系単量体(B2)〕40.0質量部、n−ブチルメタクリレート(n−BMA)〔単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg):21℃〕20.0質量部、2−エチルへキシルメタクリレート(2−EHMA)〔単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg):−10℃〕20.0質量部、オルガノシロキサン骨格を有する単量体〔商品名:KF−2012、官能基当量:4600g/mol、信越化学工業(株)〕20.0質量部、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(重合開始剤)1.7質量部、酢酸エチル24質量部、及び酢酸ブチル16質量部を入れて混合した溶液を準備した。
次いで、この溶液を、還流温度条件下で、上記の反応器内に、180分間かけて逐次滴下し、滴下終了後に180分間反応させた。
反応終了後、反応混合物を、酢酸エチルを用いて希釈し、固形分が50質量%の(メタ)アクリル系共重合体B−1の溶液を得た。
なお、ここでいう「固形分」とは、(メタ)アクリル系共重合体B−1の溶液から溶媒等の揮発性成分を除去した残渣を意味する。以下の(メタ)アクリル系共重合体B−2〜B−15の溶液についても同様である。
製造例B−1において、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を、表2に示す重量平均分子量(Mw)に変更したこと以外は、製造例B−1と同様の操作を行い、(メタ)アクリル系共重合体B−2、B−3、及びB−8〜B−11の各溶液を得た。
製造例B−1において、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を、表2に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を、表2に示す重量平均分子量(Mw)に変更したこと以外は、製造例B−1と同様の操作を行い、(メタ)アクリル系共重合体B−4〜B−7、及びB−12〜B−15の各溶液を得た。
なお、オルガノシロキサン骨格を有する単量体の官能基当量は、既述のオルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)と同様の方法により計算した。また、(メタ)アクリル系共重合体Bの重量平均分子量(Mw)は、既述の特定(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と同様の方法により測定した。
「MMA」:メチルメタクリレート〔単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg):103℃、特定(メタ)アクリル系単量体(B2)〕
「n−BMA」:n−ブチルメタクリレート〔単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg):21℃〕
「i−BMA」:i−ブチルメタクリレート〔単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg):48℃、特定(メタ)アクリル系単量体(B2)〕
「2EHMA」:2−エチルヘキシルメタクリレート〔単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg):−10℃〕
「X−22−174ASX」〔商品名、官能基当量:900g/mol、信越化学工業(株)〕:オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)、式(2)で表される化合物
「X−22−2404」〔商品名、官能基当量:420g/mol、信越化学工業(株)〕:オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)、式(2)で表される化合物
「X−22−2426」〔商品名、官能基当量:12,000g/mol、信越化学工業(株)〕:オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)、式(2)で表される化合物
「X−22−174DX」〔商品名、官能基当量:4,600g/mol、信越化学工業(株)〕:オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)、式(2)で表される化合物
表2では、「ガラス転移温度(Tg)」を単に「Tg」と表記し、「重量平均分子量(Mw)」を単に「Mw」と表記した。
〔実施例1〕
(メタ)アクリル系重合体A−1の溶液100質量部(固形分換算値)と、(メタ)アクリル系共重合体B−1の溶液3.0質量部(固形分換算値)と、イソシアネート系架橋剤〔商品名:コロネート(登録商標)L−45E、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分:45質量%、東ソー(株)〕3.0質量部(固形分換算値)と、を十分に混合して、実施例1の粘着剤組成物を得た。
実施例2〜14では、粘着剤組成物の組成を表3に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着剤組成物を得た。
比較例1〜12では、粘着剤組成物の組成を表4に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着剤組成物を得た。
1.ゲル分率の測定
上記にて調製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E−0010N023、藤森工業(株)〕の剥離処理面に、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃、1分間の乾燥条件で乾燥させ、剥離フィルム上に粘着膜を形成した。
次いで、粘着膜が露出した面を、別途準備した剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E−0010N023、藤森工業(株)〕の剥離処理面に重ねて貼り合わせた後、雰囲気温度35℃、45%RHの環境下で4日間養生して架橋反応を進行させ、剥離フィルム/粘着剤層/剥離フィルムの積層構造を有する無基材タイプの粘着シートを得た。
なお、架橋剤を含まない実施例10の粘着剤組成物についても、同手順で粘着シートを作製した。但し、実施例10の粘着剤組成物では、架橋反応は進行しなかった。
得られた粘着シートの粘着剤層を用いて、既述の方法により、粘着剤組成物の架橋後のゲル分率を測定した。
結果を表3及び表4に示す。
(評価用粘着シートの作製)
上記にて調製した粘着剤組成物を、易接着処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルム、型番:G2P2、厚み:50μm、帝人フィルムソリューション(株)〕の易接着処理面に、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃、1分間の乾燥条件で乾燥させ、PETフィルム上に粘着膜を形成した。
次いで、粘着膜が露出した面を、別途準備したシリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E−0010N023、藤森工業(株)〕の剥離処理面に重ねて貼り合わせた後、雰囲気温度35℃、45%RHの環境下で4日間養生して架橋反応を進行させ、評価用粘着シートを得た。
なお、架橋剤を含まない実施例10の粘着剤組成物についても、同手順で粘着シートを作製した。但し、実施例10の粘着剤組成物では、架橋反応は進行しなかった。
作製した評価用粘着シートは、PETフィルム/粘着剤層の積層構造を有し、粘着剤層の表面が剥離フィルムにより保護されている。
上記にて作製した評価用粘着シートを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を2枚準備した。
準備した2枚の評価用粘着シート片から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、それぞれ別のステンレス板〔商品名:SUS304(BA)、(株)パルテック〕(以下、適宜「SUS」と称する。)の面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを2往復させて圧着し、試験片A−1及びA−2を作製した。
試験片A−1を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間放置した。
放置後の試験片A−1について、SUSから評価用粘着シート片を長辺(150mm)方向に180°剥離した場合の粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイのシングルコラム型材料試験機(型番:STA−1225)を用い、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、SUSに対する初期の粘着力を評価した。
結果を表3及び表4に示す。
評価結果が「A」又は「B」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:粘着力が1N/25mm未満である。
B:粘着力が1N/25mm以上3N/25mm未満である。
C:粘着力が3N/25mm以上である。
試験片A−2を、70℃の温度に設定した乾燥機内に20分放置した後、乾燥機内から取り出し、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間放置した。
放置後の試験片A−2について、SUSから評価用粘着シート片を長辺(150mm)方向に180°剥離した場合の粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイのシングルコラム型材料試験機(型番:STA−1225)を用い、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、SUSに対する加温後の粘着力を評価した。
なお、ジッピング(滑らかに剥離せずに微小な振動が生じる現象)が生じた場合には、測定された粘着力の最大値及び最小値の平均値を採用した。
結果を表3及び表4に示す。
評価結果が「A」又は「B」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:粘着力が10N/25mm以上である。
B:粘着力が7N/25mm以上10N/25mm未満である。
C:粘着力が7N/25mm未満である。
上記にて作製した評価用粘着シートを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を2枚準備した。
準備した2枚の評価用粘着シート片から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着膜の面を、それぞれ別のガラス板(商品名:FLOAT GLASS、TAIWAN GLASS IND.CORP.)(以下、適宜「ガラス」と称する。)の面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを2往復させて圧着し、試験片B−1及びB−2を作製した。
試験片B−1を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間放置した。
放置後の試験片B−1について、ガラスから評価用粘着シート片を長辺(150mm)方向に180°剥離した場合の粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイのシングルコラム型材料試験機(型番:STA−1225)を用い、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、ガラスに対する初期の粘着力を評価した。
結果を表3及び表4に示す。
評価結果が「A」又は「B」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:粘着力が1N/25mm未満である。
B:粘着力が1N/25mm以上3N/25mm未満である。
C:粘着力が3N/25mm以上である。
試験片B−2を、70℃の温度に設定した乾燥機内に20分放置した後、乾燥機内から取り出し、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間放置した。
放置後の試験片B−2について、ガラスから評価用粘着シート片を長辺(150mm)方向に180°剥離した場合の粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイのシングルコラム型材料試験機(型番:STA−1225)を用い、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、ガラスに対する加温後の粘着力を評価した。
なお、ジッピング(滑らかに剥離せずに微小な振動が生じる現象)が生じた場合には、測定された粘着力の最大値及び最小値の平均値を採用した。
結果を表3及び表4に示す。
評価結果が「A」又は「B」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:粘着力が10N/25mm以上である。
B:粘着力が7N/25mm以上10N/25mm未満である。
C:粘着力が7N/25mm未満である。
上記「2.粘着力」における「評価用粘着シートの作製」と同様の操作を行い、評価用粘着シートを作製した。次いで、作製した評価用粘着シートを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を準備した。
準備した評価用粘着シート片から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、SUSの面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを2往復させて圧着し、試験片Cを作製した。
試験片Cを、70℃の温度に設定した乾燥機内に20分間放置した後、乾燥機内から取り出し、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間放置した。次いで、放置後の試験片Cを90°屈曲させた。
屈曲後の試験片Cを目視により観察し、皺の有無及び程度を確認した。そして、下記の評価基準に従って、皺の生じ難さを評価した。
結果を表3及び表4に示す。
評価結果が「A」又は「B」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:皺が全く確認されない。
B:皺が僅かに確認される。
C:皺が確認され、実用上許容できない。
上記「2.粘着力」における「評価用粘着シートの作製」と同様の操作を行い、評価用粘着シートを作製した。次いで、作製した評価用粘着シートを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を準備した。
準備した評価用粘着シート片から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、SUSの面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを2往復させて圧着し、試験片Dを作製した。
試験片Dを、70℃の温度に設定した乾燥機内に20分間放置した後、乾燥機内から取り出し、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間放置した。
放置後の試験片Dを目視により観察し、発泡の有無及び程度を確認した。そして、下記の評価基準に従って、気泡の生じ難さを評価した。
結果を表3及び表4に示す。
評価結果が「A」又は「B」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:発泡が全く確認されない。
B:発泡が僅かに確認される。
C:発泡が確認され、実用上許容できない。
表3及び表4中、「−」は、該当するものがないことを意味する。
表3及び表4では、「皺」を「シワ」と表記した。
また、実施例1〜14の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、屈曲による皺を生じさせ難いことが確認された。このことから、実施例1〜14の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、曲面形状を有するディスプレイと光学部材との貼り合わせに用いた場合でも皺を生じさせ難いことが推測される。
さらに、実施例1〜14の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、気泡を生じさせ難いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体Bの重量平均分子量が28,400である比較例2の粘着剤組成物、88,000である比較例3の粘着剤組成物、及び22,000である比較例12の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、屈曲による皺を生じさせやすいことが確認された。
比較例1〜比較例3の結果から、(メタ)アクリル系共重合体Bの重量平均分子量が低すぎると、屈曲による皺は生じ難くなるものの、一方で気泡が生じやすくなることがわかった。
単独重合体としたときのガラス転移温度が40℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まない比較例8の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、加温後に高い粘着力を示さないことが確認された。
単独重合体としたときのガラス転移温度が40℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、(メタ)アクリル系共重合体Bの全構成単位に対して、30質量%未満である比較例9の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、加温後に高い粘着力を示さないことが確認された。
Claims (5)
- ガラス転移温度が0℃未満である(メタ)アクリル系重合体(A)と、
重量平均分子量が10万以上40万未満の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、を含み、
前記(メタ)アクリル系共重合体(B)は、オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位と、単独重合体としたときのガラス転移温度が40℃以上である(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位と、を含み、前記オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)の官能基当量が、400g/mol以上15,000g/mol以下の範囲であり、かつ、前記(メタ)アクリル系単量体(B2)に由来する構成単位の含有率が、全構成単位に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下の範囲である粘着剤組成物。 - 前記オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)が、下記の式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の粘着剤組成物。
式(1)及び式(2)中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、1価の有機基を表し、m及びnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
- 架橋後のゲル分率が、40質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系共重合体(B)における前記オルガノシロキサン骨格を有する単量体(B1)に由来する構成単位の含有率が、全構成単位に対して、10質量%以上20質量%以下の範囲である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シート。
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