JP2009066700A - ロボットハンド - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリップを有するロボットハンドにおいて、捜査対象箇所を見ながら挟持対象物にかかる力或いはロボットハンドの傾きを表示できるロボットハンドを提供する。
【解決手段】 ベース16に取り付けられ対象物を挟持する一対のグリップ14、15と、ベース16に連結する固定側モアレスリット板11と、弾性部材13を介して一方のグリップと接続する移動側モアレスリット板12とを備える。固定側モアレスリット板11と移動側モアレスリット板12は重ねて配置し、一対のグリップ14、15で対象物を挟み、弾性部材13の変形に追従して移動側モアレスリット板12をスライドさせて生じるモアレ縞の変化で対象物17にかかる力を表示する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ロボットハンド等の遠隔操作時にモアレ縞を利用して、作業対象部位に加わっている力を直感的に操作者或いは周辺の者が視認できるロボットハンドに関する。
産業用ロボットでは人間がコントローラを用いて遠隔操作を行うものがあるが、操作している器具や装置が作業対象にどの程度の力を加えているか、直感的に知ることは困難である。そのため、人間がロボットを操作する場合、熟練した技術を要求され、熟練者が操作すれば優れた性能を発揮できても、初心者には操作することが困難なものが少なくない。このため、力センサ等を装備し、力覚情報を操作者に伝えるシステムの開発が進められている。
非特許文献1或いは非特許文献2には、作業対象箇所に歪ゲージ等のセンサを用い、力が加わることにより生じる歪みを電気的な信号に変換し、増幅回路などを用いて信号処理したものをモニターに表示している。
また、非特許文献3のように、コントローラに力覚を再現し操作者に提示するものがある。
「二重十字構造に基づく小型6分力力覚センサの開発」永井清、伊藤義典、矢崎誠、樋口克己、阿部暁 日本ロボット学会誌:Vol.22,No.3(2004.04.15) 「シリコン歪ゲージを用いた力計測用マイクロセンサ−力センサの構造設計、試作、評価実験−」糸魚川貢一、神戸正方、小出輝彦、福田敏男、新井史人、杉山進 日本ロボット学会誌:Vol.24,No.6(2006.09.15) 「人間型ロボットのための遠隔操縦システムの開発−人間型ロボットによる産業車両の代行運転への適用−」 蓮沼仁志、中嶋勝己、御船文里、宮原啓造、鷹取正夫、森山尚、家中良太、小林政巳、横井一仁 日本ロボット学会誌:Vol.22,No.1(2004.01.15)
非特許文献1或いは非特許文献2のように加わっている力をモニターに表示する方法では、操作者は作業対象を見つつ、力覚情報を得るためにモニターを見る必要がある。このため、作業対象箇所及びモニターを相互に視線を移動させつつ作業をしなければならず、煩わしいばかりか、モニターを視認している際に誤操作をしてしまうという問題がある。
また、非特許文献3では、直接装置を操作している人以外はどの程度の力が作業対象に加わっているかを知ることができないという課題を有する。
本発明は、対象物を挟持する一対の固定グリップと移動グリップと、固定側モアレスリット板と、前記固定グリップ又は前記移動グリップのいずれか一方に接続される弾性部材と、前記弾性部材に取り付けられた移動側モアレスリット板とを備え、前記固定側モアレスリット板と前記移動側モアレスリット板は重ねて配置され、前記一対のグリップで対象物を挟み、前記弾性部材を変形させて前記移動側モアレスリット板をスライドさせ、モアレ縞で前記対象物にかかる力を表示することを特徴とする。
また、本発明は、フィンガーがリンクとヒンジからなる関節型のロボットハンドにおいて、前記リンクに弾性部材を少なくとも1箇所に設け、前記リンクの両端のいずれか一方に移動側モアレスリット板、他方に固定側スリット板を設け、前記固定側モアレスリット板と前記移動側モアレスリット板は重ねて配置され、前記フィンガーで対象物を挟み、前記弾性部材を変形させて前記移動側モアレスリット板をスライドさせ、モアレ縞で前記対象物にかかる力を表示することを特徴とする。
更に、本発明は、グリップ部と接続するベースと、前記ベースと弾性部材を介して接続するアーム取付部と、前記アーム取付部に接続する固定側モアレスリット板と、前記ベースに接続する移動側モアレスリット板とを備え、前記固定側モアレスリット板と前記移動側モアレスリット板に重ねて配置され、前記ベースの傾きにより前記弾性部材を変形させて前記移動側モアレスリット板をスライドさせ、モアレ縞で前記ベースの傾きを表示することを特徴とする。
更に、本発明は、前記固定側モアレスリット板及び前記移動側モアレスリット板はスリットが前記グリップの移動方向に対して略垂直に設けられていることを特徴とする。
更に、本発明は、前記固定側モアレスリット板又は移動側モアレスリット板のいずれか一方を垂直に引いた複数の直線から構成し、他の一方は左右で傾きを変えた複数の直線から構成し、前記ベースの傾きにより、左右のモアレ縞の一方の間隔を広げ、他方の間隔を縮めることを特徴とする。
更に、本発明は、前記固定側モアレスリット板又は移動側モアレスリット板のいずれか一方は複数の文字や記号をスリット状に施され、前記移動側モアレスリット板をスライドさせて、前記複数の文字や記号を順に表示することを特徴とする。
本発明によれば、ロボットハンドのグリップ付近にモアレスリット板を設置しているので、作業者や周辺の者が作業対象箇所を見ながら挟持対象物にかかる力を視線移動せずに視認することができる利点がある。
また、本発明に依れば、前述の理由から、ロボットハンドの操作に集中することができ、挟持対象物に不要に大きな力をかけて毀損すること、或いは、挟持する力が弱すぎて挟持対象物を落下させてしまう等の誤操作を引き起こしにくいという利点がある。
更に、本発明に依れば、ロボットハンドに移動側モアレスリット板を設け、左右対称の2つのモアレ縞を隣接して表示させておき、ロボットハンドに傾きが生じると、2つのモアレ縞は一方では間隔が狭く、他方が広くなる。このため、傾き具合を直感的に操作者や周辺の者が容易に認識することができる。
更に、本発明に依れば、ベースの傾きが僅かであってもモアレ縞の変化は大きく現れるので、装置自体では気付かない僅かな傾きでも容易に認識することができる。
更に、本発明に依れば、一方のモアレスリット板に複数の文字等をスリット状に施している。このため、移動側モアレスリット板の移動にともない、順に文字等を表示させることができ、どの程度対象物に力が加わっているか直感的に操作者や周辺の者が認識しつつ操作を行える利点を有する。
図1を参照して、第1実施形態のロボットハンドについて説明する。図1は(A)は、ロボットハンド1の概略構成を示す斜視図、(B)は(A)のa−a’断面図、(C)はモアレスリット板を示している。
ロボットハンド1は、固定グリップ14及び移動グリップ15が対向して設けられており、移動グリップ15が内臓モータ等(図示せず)により、固定グリップ方向(図面左右方向)へ開閉駆動し、対象物を挟持する仕組みである。
固定グリップ14は、弾性部材13を介してベース16に接続しており、一定の力が加わると弾性部材が変形することによって、移動グリップ15向きと逆向きに移動する。
弾性部材13は、四面が金属板からなる筒状体であり、固定グリップ14が押されると移動グリップ15の逆方向に変形する。弾性部材13は、金属板のほか、ゴムやスプリング等であってもよい。また、挟持する対象によって、異なる弾性係数、バネ係数を有する弾性部材13を用いることができる。
固定側モアレスリット板11はベース部に一端が固定されており、移動側モアレスリット板は弾性部材13或いは固定グリップ14に直接的或いは間接的に連結している。固定側スリット板11、移動側スリット板12は透明樹脂からなるプレートやシート等を用いている。
そして、図1(B)に示すように、固定側モアレスリット板11と移動側モアレスリット板12は重ねて配置されている。図1(C)に示すように、固定側モアレスリット板11及び移動側モアレスリット板12には複数の直線が平行に施されている。そして、移動側モアレスリット板の直線は移動グリップ15の移動方向に対して垂直に施し、固定側モアレスリット板11の直線は移動側モアレスリット板12の直線に対してやや傾斜させている。このように直線を施すことで、固定側モアレスリット板11と移動側モアレスリット板12を重ねて配置すると、これらの直線と垂直方向にモアレ縞が生じる。移動側モアレスリット板の直線は移動グリップ15の移動方向に対して垂直に施しているので、図1(A)に示すようにモアレ縞Yが生じ、挟持対象物にかかる力で固定グリップ14が微小に移動しても、モアレ縞Yは上下方向に大きく移動し、どの程度力がかかっているか容易に視認できることとなる。移動側モアレスリット板12の直線の傾斜角は小さいと生じるモアレ縞の幅及び間隔は広くなり、傾斜角が大きいとモアレ縞の幅及び間隔が狭まる。どの程度傾斜角させるかは適宜調節して設ければよい。なお、固定側モアレスリット板11、移動側モアレスリット板12の直線はいずれかが傾斜していればよく、本実施例に限定されるものではない。
図2を参照して、第1実施形態のロボットハンド1の動作状況を説明する。図2(A)は、対象物を挟持し、さらに力を強めた状態を示し、(B)はそれぞれの状態におけるモアレスリット板11、12に生じるモアレ縞を示している。
図2(A)左図のように、対象物17を挟持した状態であり、まだ弾性部材13が変形するほどの力が加わっていない状態であり、移動側モアレスリット板12はスライドしておらず、図2(B)の左図に示すように、モアレ縞Yは中心に存在している。
一方、図2(A)右図のように、更に移動グリップ15を移動させ対象物17に力を加えた状態では、固定グリップ14が左方向に移動し、弾性部材13を変形させるとともに、移動側モアレスリット板12がスライドする。このスライドにより、図2(B)右図に示すように、モアレ縞Yは下方に移動する。固定側モアレスリット板14の僅かな移動量であっても、モアレ縞Yの変位量は大きくなるので、視認性が非常に高く、操作者や周辺にいる者でも容易に視認することができる。
そして、挟持対象物17にかかっている力は弾性部材13の変形量と比例関係にあるので、対象物17にかかる力(F)は、F=k(弾性係数)×ΔX(変形量)である。したがって、固定側モアレスリット板14等に対応する力の目盛を打っておけば、対象物にかかる力を容易に認識することができる。
弾性部材13は、対象物に応じたものを適宜使用すればよい。例えば、対象物の強度が高い場合には硬めの弾性部材13を用いればよく、強度が低い場合には柔らかめの弾性部材14を使用し、微小な力が加わってもモアレ縞の変位量を大きくして対応すれば良い。
ロボットハンドの操作では、操作者は作業対象箇所であるロボットハンドを見ながら操作するのが一般的であり、モニターに表示される力覚情報を見ながらでは視線移動や意識が散乱してしまい、誤った操作を起こしかねない。本発明では、ロボットハンド1のグリップ付近にモアレスリット板11、12を設置しているので、作業対象箇所を見ながら対象物17にかかる力を大きな視線移動なしに視認することができるので、ロボットハンド1の操作に集中することができ、誤操作を引き起こしにくくなる。
図3は、固定側モアレスリット板11に複数の数字や文字をスリット状に施し、対象物にかかる力が大きくなるにつれて、順に数字や文字を表示する形態について示している。
図3(A)に示すように、固定側モアレスリット板11には算用数字1〜5を順にスリット状にして施している。一方の移動側モアレスリット板12には複数の直線が平行に配置され、固定側モアレスリット板11の数字に対してやや傾斜させている。なお、本実施形態では、固定側モアレスリット板11に数字、移動側モアレスリット板12に直線を施しているが、逆に固定側モアレスリット板11に直線、移動側モアレスリット板12に数字を施しても同様の効果を得られる。
このような固定側モアレスリット板11と移動側モアレスリット板12を、初期状態では数字が何も表示されない状態に調節して重ねる。そして、挟持対象物に力がかかり、弾性部材13(図1参照)の変形に追従して移動側スリット板12がスライドするに連れて、順に数字の1が表示される。移動側モアレスリット12が更にスライドすると、順に数字の2、3、4、5と表示される。
また、図3(C)のように、固定側モアレスリット板11にSTOP等の文字を施し、前述同様に、固定側モアレスリット板11と移動側モアレスリット板12を、初期状態では文字が何も表示されない状態に調節して重ねておけば、力が加わるにつれて移動側モアレスリット板12がスライドし、徐々にSTOPの文字が表示される。これ以上力を加えてはいけない対象物を扱う際には、操作者に直感的にこれ以上力を加えてはならないことが認識でき、非常に有効である。
図4を参照して、第2実施形態のロボットハンド2について説明する。図4(A)はロボットハンド2の概略構成図、(B)及び(C)はモアレスリット板を省略した状態であり、グリップで対象物を挟持した際の弾性部材13の変形状態を示す図である。
ロボットハンド2は、ベース16に固定グリップ14、移動グリップ15が設けられており、移動グリップ15は、弾性部材13を介して駆動部18と接続している。駆動部18が図面左右方向に移動することにより、固定グリップ14及び移動グリップ15で対象物17を挟持する構成である。
駆動部18には移動側モアレスリット板12が取り付けられ、一方、移動グリップ15に移動側モアレスリット板11が設けられ、固定側モアレスリット板11と移動側モアレスリット板12は重ねて配置され、モアレ縞Yが表示されている。
図4(B)は、対象物を挟持し、さほど力を加えていない状態を示しており、この場合、弾性部材13に変形はない。ここから更に駆動部18を固定グリップ側に移動させて力を加えると、図4(C)のように、弾性部材13が変形する。弾性部材13が変形するため、移動側モアレスリット板12がスライドするので、モアレ縞Yが変位する(図示を省略)。
他の点については、第1実施形態のロボットハンド1と同様であるので、説明を省略する。
次に、図5及び図6を参照して、第3実施形態のロボットハンド3について説明する。図5(A)は、ロボットハンド3の概略構成を示し、図5(B)はフィンガー24のモアレスリット板を省略した構成を示している。
ロボットハンド3は、ベース16に設けられた複数のフィンガー24を有する関節型のロボットハンドである。フィンガー24は、リンク22、23とヒンジ21a、21bから構成され、それぞれのリンク22、23はヒンジ21a、21bを介して回転自在に駆動する。
先端側のリンク23は、図5(B)に示すように、中間に弾性部材13を介在させてリンク両端23a、23bが接続している。そして、リンク端23aに固定側モアレスリット板11が、リンク端23bに移動側モアレスリット板12がそれぞれ取り付けられている。固定側モアレスリット板11と移動側モアレスリット板12は重ねて配置され、モアレ縞Yが表示される。
図6(A)は、フィンガー24で対象物17を挟持し、さほど力を加えていない状態を示しており、この場合、弾性部材13に変形はない。この状態から、フィンガー24に挟持する力を更に加えると、弾性部材13が変形する。この弾性部材13の変形に追従するように、リンク23bに取り付けられた移動側モアレスリット板12がスライドするので、モアレ縞Yが変位する(図示を省略)。
このように、それぞれのフィンガー24にモアレスリット板11、12を設けることによって、どのフィンガー24が対象物に接触し、どの程度力が加わっているのかを容易に視認することができる。
また、フィンガー24は本実施形態では2本であるが、更に多くのフィンガー24を設けても良い。そして、リンク22にも、リンク23と同様の構成、すなわち弾性部材13を介在させてモアレスリット板11、12を設けても良い。一本のフィンガー24に複数のモアレスリット板11、12の対を設けることで、例えば、それぞれ力の大きさを測っている向きが異なる場合では、一方でX方向、他方でY方向の力の大きさを測るようにし、これらから、力の向きを知ることもできる。
なお、他の点については第1実施形態のロボットハンド1と同様であるので、説明を省略する。
続いて、図7を参照して、第4実施形態に係るロボットハンド4について説明する。図7(A)は、作業台に設けられた孔に対象物を詰めていくロボットハンドの概略構成を示しており、(B)は、(A)の矢印方向から見たロボットハンド4部分の側面図である。
アーム取付部31はアーム部34と回動可能に接続し、弾性部材13a、13bの上端にはアーム取付部31が接続され、下端にはベース32が接続している。ベース32にはグリップ33a、33bが接続されており、グリップ33a、33bで対象物を挟持し、アーム部34、グリップ33a、33bをコントローラの操作にて遠隔操作を行い、作業台36に設けられた孔37に挿入する仕組みである。
そして、固定側モアレスリット板11a、11bがそれぞれアーム取付部31に取り付けられ、移動側モアレスリット板12a、12bがそれぞれベース32に取り付けられており、移動側モアレスリット板12a、12bはベース32の傾きに追従してスライドするようになっている。(なお、ここで、モアレスリット板11a、12a、弾性部材13aを可視化デバイス41a、モアレスリット板11b、12b、弾性部材13bを可視化デバイス41bとして説明する。)
図7(C)に示すように、固定側モアレスリット板11a、11bにはそれぞれ複数の直線が平行に施されている。固定側モアレスリット板11aでは直線が図面左上から右下に傾斜させており、一方、移動側モアレスリット板11bでは直線が図面右上から左下に向けて傾斜させている。それぞれの固定側モアレスリット板11a、11bの傾斜角は等しく、いずれか一方を反転させると他の一方と同一となるように傾斜角は同一にしている。移動側モアレスリット板12a、12bは複数の直線が平行に施され、直線は傾斜することなくアーム取付部からグリップ33を結ぶ直線に対して平行に引かれている。
図7(D)は前述の固定側モアレスリット板11aと移動側モアレスリット板12a、固定側モアレスリット板11bと移動側モアレスリット板12bをそれぞれ重ねて配置した図である。いずれもモアレ縞が2本略水平方向に生じている。固定側モアレスリット板11a、11bに施した直線の傾斜角は互いに等しいため、それぞれにモアレ縞が対称に現れている。
図7(E)は、移動側モアレスリット板12a、12bがそれぞれ右回転に同一角度回転した状態を示している。移動側モアレスリット板12aが右に回転すると、移動側モアレスリット板12aに施された直線の傾斜角と固定側モアレスリット板12aに施された直線との傾斜角との差が小さくなるので、モアレ縞の幅が広がり、現れるモアレ縞の本数が減少する。一方、移動側モアレスリット板12bが右に回転すると、移動側モアレスリット板12bに施された直線の傾斜角と固定側モアレスリット板12bに施された直線との傾斜角との差が逆に大きくなるので、モアレ縞の幅が狭まり、現れるモアレ縞の本数が増加する。
このように、移動側モアレスリット板12a、12bに傾きが無い場合は、可視化デバイス41a、41bに現れるモアレ縞は対称の形状で生じるが、傾きが生じると、可視化デバイス41a、41bに現れるモアレ縞に変化が生じるので、ベース32傾き具合を直感的に操作者や周辺の者が容易に認識することができる。そして、ベースの傾きが僅かであってもモアレ縞の変化は大きく現れるので、装置自体を見ても気付かない僅かな傾きでも容易に認識することができる。
また、弾性部材13は、対象物35に応じて適宜異なるものを使用すると良い。対象物35が多少傾いて作業台36に引っかかっても、強度のある対象物ではさほど問題は生じないが、強度の低い対象物35ではすぐに壊れてしまうことがある。この場合には、柔軟な弾性部材13を用いれば、対象物35がわずかに引っかかった場合でも、すぐに弾性部材13が変形して、モアレ縞が左右で異なる形状に表示される。このため、操作者或いは周辺の者が即時に認識でき、すぐに操作を修正することができるので、対象物の毀損を未然に防ぐことができる。
図8は、第4実施形態に係るロボットハンド4の作業状況を示している。図8(A)は対象物35をグリップ33a、33bで挟持し、孔36に詰める前の状態であり、弾性部材13a、13bが変形しないので、2つの可視化デバイス41a、41bに現れるモアレ縞は対称の形状をしている。このため、ベース22に傾きは生じていないことがわかる。
図8(B)は、対象物35を孔に詰める状況であり、対象物35の一端が作業台37に引っかかっている。このため、弾性部材13a、13bがそれぞれ変形し、ベース32に接続する移動側モアレスリット板12a、12bが回転するようにスライドするので、右側の可視化デバイス41aではモアレ縞の幅、間隔が狭まり、一方、左側の可視化デバイス41bではモアレ縞の幅及び間隔が逆に広がるので、ベース32が傾いていることが、操作者及び周辺の者が容易に認識することができる。
図9は、第4実施形態に係るロボットハンド4の固定側モアレスリット板11、移動側モアレスリット板12、及び弾性部材13をそれぞれ1つずつから構成したロボットハンド5である。前述同様、ベース32とアーム取付部31は弾性部材13を介して接続しており、固定側モアレスリット板11がアーム取付部21に固定され、移動側モアレスリット板12がベース22に固定され、それぞれのモアレスリット板11、12が重ねて配置されている。(なお、ここで、モアレスリット板11、12、弾性部材13を可視化デバイス41として説明する。)
図9(C)に示すように、固定側スリット板11は中央を境に、両側で傾斜角の異なる複数の直線が平行して施されている。一方の移動側スリット板12には垂直方向に複数の直線を平行に施している。
そして、(B)に示すように、対象物35の一端が作業台37に引っかかることで、弾性部材13が変形し、ベース32の傾きに追従して移動モアレスリット板12が回転するようにスライドする。このため、前述同様、可視化デバイス41に右側のモアレ縞の幅、間隔が広がり、一方、左側のモアレ縞の幅及び間隔が逆に狭まるので、ベース32が傾いていることを操作者及び周辺の者が容易に且つ迅速に認識することができる。モアレ縞は、作業対象付近にて確認できるので、操作者は作業対象箇所を見ながら、初期状態のように左右のモアレ縞が対象の形状になるように調節しながら操作を行うことができる。
本発明の第1実施形態のロボットハンドの概略図である。 本発明の第1実施形態のロボットハンドの作業状態を示す概略図である。 本発明の文字等をモアレ縞で表示するモアレスリット板を説明する図である。 本発明の第2実施形態のロボットハンドの概略図である。 本発明の第3実施形態のロボットハンドの概略図である 本発明の第3実施形態のロボットハンドの作業状態を示す概略図である。 本発明の第4実施形態のロボットハンドの概略図である。 本発明の第4実施形態のロボットハンドの作業状態を示す概略図である。 本発明の第5実施形態のロボットハンドの作業状態を示す概略図である。
符号の説明
1 ロボットハンド
2 ロボットハンド
3 ロボットハンド
4 ロボットハンド
5 ロボットハンド
11 固定側モアレスリット板
12 移動側モアレスリット板
13 弾性部材
14 固定グリップ
15 移動グリップ
16 ベース
17 対象物
18 駆動部
21 ヒンジ
22 リンク
23 リンク
24 フィンガー
31 アーム取付部
32 ベース
33 グリップ
34 アーム
35 対象物
36 孔
37 作業台
41 可視化デバイス

Claims (6)

  1. 対象物を挟持する一対の固定グリップと移動グリップと、
    固定側モアレスリット板と、
    前記固定グリップ又は前記移動グリップのいずれか一方に接続される弾性部材と、
    前記弾性部材に取り付けられた移動側モアレスリット板とを備え、
    前記固定側モアレスリット板と前記移動側モアレスリット板は重ねて配置され、
    前記一対のグリップで対象物を挟み、前記弾性部材を変形させて前記移動側モアレスリット板をスライドさせ、モアレ縞で前記対象物にかかる力を表示することを特徴とするロボットハンド。
  2. フィンガーがリンクとヒンジからなる関節型のロボットハンドにおいて、
    前記リンクに弾性部材を少なくとも1箇所に設け、
    前記リンクの両端のいずれか一方に移動側モアレスリット板、他方に固定側スリット板を設け、
    前記固定側モアレスリット板と前記移動側モアレスリット板は重ねて配置され、
    前記フィンガーで対象物を挟み、前記弾性部材を変形させて前記移動側モアレスリット板をスライドさせ、モアレ縞で前記対象物にかかる力を表示することを特徴とするロボットハンド。
  3. グリップ部と接続するベースと、
    前記ベースと弾性部材を介して接続するアーム取付部と、
    前記アーム取付部に接続する固定側モアレスリット板と、
    前記ベースに接続する移動側モアレスリット板とを備え、
    前記固定側モアレスリット板と前記移動側モアレスリット板に重ねて配置され、
    前記ベースの傾きにより前記弾性部材を変形させて前記移動側モアレスリット板をスライドさせ、モアレ縞で前記ベースの傾きを表示することを特徴とするロボットハンド。
  4. 前記固定側モアレスリット板及び前記移動側モアレスリット板はスリットが前記グリップの移動方向に対して略垂直に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
  5. 前記固定側モアレスリット板又は移動側モアレスリット板のいずれか一方を垂直に引いた複数の直線から構成し、他の一方は左右で傾きを変えた複数の直線から構成し、前記ベースの傾きにより、左右のモアレ縞の一方の間隔を広げ、他方の間隔を縮めることを特徴とする請求項3に記載のロボットハンド。
  6. 前記固定側モアレスリット板又は移動側モアレスリット板のいずれか一方は複数の文字や記号をスリット状に施され、前記移動側モアレスリット板をスライドさせて、前記複数の文字や記号を順に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロボットハンド。
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