JP2009064510A - 光記録媒体用の基板、スタンパ、及び光記録媒体用の基板の製造方法 - Google Patents
光記録媒体用の基板、スタンパ、及び光記録媒体用の基板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】表面に機能形状を有し、当該機能形状に寄与しない内周領域に環状の凹部12を有しているスタンパ10上に液状樹脂14を塗布する工程と、前記液状樹脂上に樹脂フィルム13を接液する工程と、スピンアウトし、液状樹脂を凹部12に拘束させる工程と、エネルギー照射により液状樹脂14を硬化した後、樹脂フィルム13を剥離する工程とにより光記録媒体用の基板を作製する。
【選択図】図1
Description
このような光ディスクは、フォトリソグラフィーにより、所定の信号を形成するための機能形状(微細凹凸)を具備するスタンパ(型)を用いた射出成形により転写基板を得、その後、磁性記録層や相変化記録層を形成し、更には被覆層(保護層、光透過層等)を形成することにより作製できる。
例えば、相変化型の光ディスクにおいて、誘電体層(ZnS・SiO2)上に、液状樹脂をスピンコートして光透過層を形成する場合、膜厚のばらつきが光学位相差となり干渉縞が生じて記録再生特性が劣化してしまうことが知られている。更には、スピンコートされた液状樹脂の最表面は空気と接触しているため、クリーンルーム内や、HEAPフィルターを搭載したクリーンブース内であったとしても、わずかなパーティクルが付着することにより膜欠陥を招来するおそれもある。
これに関し、例えば、光ディスク用基板のセンター部分に蓋をし、センター上から液状樹脂を塗工し、膜厚を均等化する技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
また、液状樹脂を塗布した後に板状シートを載置し、スピンしてカバー層を形成する技術(例えば、下記特許文献2参照。)や、スピンアウトした後の液状樹脂に樹脂シートを貼り合わせて樹脂膜を得る技術(例えば、下記特許文献3参照。)が提案されている。
特許文献2、3の発明においては、穴無しの板状シートを液状樹脂膜上に載置して、シートと一体化させた均一な厚さの樹脂層を形成するものであるが、これは、光ディスクを構成する機能形状面上に液状樹脂をスピンコートして光透過層を形成する方式とは技術思想が異なるものである。
この離型剤の膜厚の影響を緩和するために、離型剤を薄膜化すると、部分的な島状の塗布となってしまうおそれがあり離型性を充分に確保できなくなるという問題を生じる。
また、この特許文献4に記載されている技術においては、前記カバー層の膜厚を規定するため間隔設定部を設けているが、内周側の間隔設定部に樹脂が接触することで放射状に均等に展延しなかったり、外周側の間隔設定部に樹脂接触することで記録エリア内への跳ね返りが発生したりし、ハレーション等の膜欠陥を招来するという問題を有している。
また、ガラスは本来撥液性が強い材料であり離型剤はガラス面の撥液性を増幅させるので、樹脂を振り切った後、内周及び外周の界面からエアーが侵入しやすく、樹脂の戻りが発生して被覆層の形成されない記録エリアが発生してしまい、均一な被覆層を全面に亘って形成することは極めて困難であった。
例えば、バレルやバルブタンクを用いて液状樹脂を塗工すると、内容量の減量に応じて圧力が増加変動し、塗工量が変化していくため、樹脂膜の厚さをばらつかせる原因となる。
この問題に関しては、プランジャーポンプを利用して塗工量を安定制御し、均一な塗工幅を確保することはできるが、部材とディスペンサーニードルとの距離を厳密に制御する必要がある。すなわち、これらの距離が0.1mmより近接すると、部材の厚みばらつき等によりディスペンサーニードルの先端が部材と干渉し、機能形状が損傷する危険性がある。一方、これらの距離が30mmを超えていると、塗出初期の樹脂塗工幅が大きくなってしまい、円環幅にばらつきを生じ、更には気泡の巻き込みも起きやすいという問題が生じる。
そこで本発明においては、基板及び転写スタンパにおいて、形状面の検討を行い、樹脂膜形成工程中のエアーの巻き込みを回避して樹脂膜厚を均一化し、高品質な光記録媒体を得ることを目的とした。
本発明の基板、及びスタンパを用いて光ディスクを作製する例について、図1(a)〜(d)を参照して説明する。
図1(a)に示すように、フォトリソグラフィーにより所定のプリグルーブ11が形成されたスタンパ10の記録エリアより内周の領域に、レーザーマーカーにより、半径30mmの環状形状を設定し、レーザーパワー17A、スキャンスピード5mm/sec、レーザー発振周波数(5kHz)とし、幅250μm、深さ30μmの同心円状溝、すなわち環状の凹部12を形成した。
図8にレーザーマーカーにより形成した凹部12の断面形状を示す。
続いて、図1(b)に示すように、PCフィルム(帝人製ピュアーエース)13を載置接液して、記録エリアより内側の凹部12にまで光硬化性樹脂を到達させた。
その後、図1(c)に示すように、6000rpmで10sec振り切りを行い、フュージョン製Hバルブを8sec照射して樹脂を硬化させた。
このとき、光硬化性樹脂14が凹部12に拘束されるため、中心部分における界面からのエアーの侵入が効果的に防止でき、図6に示すように気泡の無い平滑な樹脂膜が得られた。
その後、図1(d)に示すように、スタンパ10を界面で剥離することことにより、記録領域に寄与しない内周側に環状の凸部15が形成された光記録媒体用の基板が得られた。
図2(a)に示すように、上述のようにして作製した基板20上に、相変化記録膜21を形成し、その後、オーバーコート材料である液状樹脂である光硬化性樹脂22、この例においては、アクリレートモノマー材料(大日本インキ製ダイキュアクリアーSD-318)をプランジャーポンプを用いて円環状に0.5g塗工した。
次に、図2(b)に示すように、剥離カバー基板である樹脂フィルム23、この例においては、PETフィルム基板(東洋紡製コスモシャインA4100)載置接液し、記録エリアより内側に存在する凸部15にまで光硬化性樹脂が展延したことを確かめ、図2(c)に示すように5000rpmで13secのスピンアウトを行い、フュージョン製Hバルブを10sec照射し、光硬化を行った。
その後、樹脂フィルム23と光硬化性樹脂22の界面で剥離することにより、図2(d)に示すような被覆層を具備する光ディスクが得られた。
上述したような相変化型の光ディスクは、全面に亘って均等に初期化処理が行われ、記録再生信号特性についての評価を行ったところ、フォーカス、トラッキングが良好で、反射率(RF信号)変動のない実用上充分な特性が得られたことが確かめられた。
この例においては、被覆層形成用材料として、熱硬化性樹脂である尿素樹脂を用いた。その他は上記実施例1と同様の条件により相変化型の光ディスクを作製した。
図1(a)〜(d)の工程に従い基板を作製し、図2(a)〜(d)の工程に従い、被覆層を形成した。すなわち、熱硬化性樹脂が同心円状の凸部15に到達したら、5000rpmで20sec間振り切り、160℃で30分間加熱することにより熱硬化性樹脂を硬化させた。その後、熱硬化性樹脂22とPETフィルム基板23を剥離することで被覆層が得られた。
上述した工程により作製された光ディスクを上方から観察したところ、図4に示すように、光硬化性樹脂22の展延最内周が真円であって、表面平滑性と膜厚均一性に優れた被覆層が得られたことが確かめられた。
上述したような相変化型の光ディスクは、全面に亘って均等に初期化処理が行われ、記録再生信号特性についての評価を行ったところ、フォーカス、トラッキングが良好で、反射率(RF信号)変動のない実用上充分な特性が得られたことが確かめられた。
この例においては、フォトリソグラフィーによりプリグルーブと記録エリアより内周における同心円状溝を形成したスタンパを作製する工程について、図3(a)〜(d)を参照して説明する。
先ず、図3(a)に示すように、ガラス基板30にネガ型レジスト(マイクロケム製SU−8)31を膜厚10μm塗布し、乾燥後、直径30mm位置にのみマスク露光を行う。
次に、図3(b)に示すように、所定の溶剤(マイクロケム製SU−8ディベロッパー)を用いて現像処理を行い、ガラス基板30上に、幅100μm、高さ10μmの同心円状凸部32が形成された。
次に、図3(c)に示すように、前記凸部32の外側、すなわち直径30mm位置より外側にポジ型レジスト(東京応化製TSMR−8900)33を塗布し、これを乾燥させた後、DVDフォーマットをレーザー描画露光する。
次に、図3(d)に示すように、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液(東京応化製DE−3)で現像処理を行うことにより、トラックピッチ0.74μm、深さ30nmのDVDのプリグルーブ34が形成される。
次に、図3(e)に示すように、スパッタリングによるメタライズ処理後Ni電鋳、ガラス基板、裏面研磨により、記録エリアより内側に幅100μm、深さ10μmの同心円状溝、すなわち凹部12が形成されたスタンパ10が得られた。
このスタンパ10を用いて、光ディスク用の基板を作製し、所定の記録層、被覆層を形成することによりフォーカス、トラッキングも良好で、再生信号特性に優れた光記録媒体が得られた。
この例においては、内周領域に凹部を有さない従来公知のスタンパを用いて転写を行い基板を作製し、これを用いて光ディスクを作製した。
光ディスクを上方から観察したところ、図5に示すように、記録層上に形成した被覆層の展延樹脂の最内周が真円にならなかった。そしてスピンアウト工程において中心部分において界面からエアーが混入し、図7に示すように膜中に気泡が発生してしまった。
11 プリグルーブ
12 凹部
14 光硬化性樹脂
13 PCフィルム
15 凸部
20 基板
21 相変化記録膜
22 光硬化性樹脂
23 樹脂フィルム
30 ガラス基板
31 ネガ型レジスト
32 凸部
33 ポジ型レジスト
34 プリグルーブ
Claims (3)
- スタンパにより転写された機能形状を有する光記録媒体用の基板であって、
当該機能形状に寄与しない内周領域に、前記スタンパにより転写された環状の凸部を有しており、
前記凸部は、液状樹脂のスピンコートにより前記機能形状形成面上に被覆層を形成する際に、前記液状樹脂の展延を拘束する機能を有していることを特徴とする光記録媒体用の基板。 - 請求項1の光記録媒体用の基板の機能形状を転写するスタンパであって、
前記機能形状に寄与しない内周領域に、前記環状の凸部を転写形成するための凹部を具備していることを特徴とするスタンパ。 - 請求項1の光記録媒体用の基板の製造方法であって、
表面に機能形状を有し、当該機能形状に寄与しない内周領域に環状の凹部を有しているスタンパ上に液状樹脂を塗布する工程と、
前記液状樹脂上に樹脂フィルムを接液する工程と、
スピンアウトし、前記液状樹脂を前記凹部に拘束させる工程と、
エネルギー照射により前記液状樹脂を硬化した後、前記樹脂フィルムを剥離する工程とを有することを特徴とする光記録媒体用の基板の製造方法。
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