JP2009063137A - シャフトとヨークとの締結部材 - Google Patents

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Katsutoshi Tsuji
勝利 辻
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Abstract

【目的】本発明は、圧入荷重を低減させつつ、必要な接合強度を確保すること。
【構成】 パイプ状のシャフト1の一端の内周に複数の歯条を有するセレーション11と、該セレーション11に圧入されるヨーク2の軸部22とからなること。該軸部22外形は非円形に形成され、該非円形の一部の凸状が前記セレーション11の内周基礎円nの直径よりは大きく形成されると共に、前記非円形の他部の凹状が前記セレーション11の内周基礎円nの直径よりは小さく形成され、圧入されて締結されてなること。
【選択図】 図3

Description

本発明は、圧入荷重を低減させつつ、必要な接合強度は確保できるシャフトとヨークとの締結部材に関する。
一般的に、動力伝達装置において、シャフトにヨークを圧入する場合の、圧入荷重を低減し、且つ接合強度を向上させる例として、特許文献1及び2が開示されている。本例では、圧入荷重を低減し、接合強度を向上させるのに最適な寸法のセレーションを、圧入するヨークの外周に設け、凹凸の無いシャフト内へ圧入している。
しかしながらこの状態においても、ヨークのスリップトルクを確保するための圧入荷重の上昇、且つ締結部のかじりの発生、シャフトがヨークに対し傾く場合がある。
特開平6−200951号 特開2003−237396
このため、本発明は、上記の課題を解決することであり、本発明の課題(技術的課題又は目的等)は、ヨークの外周にシャフトのセレーションが接触する凸部と接触しない凹部を設けて、ヨークのスリップトルクを確保しつつ、ヨークの圧入荷重を低減させるシャフトとヨークの締結部材を提供することにある。
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、パイプ状のシャフトの一端の内周に複数の歯条を有するセレーションと、該セレーションに圧入されるヨークの軸部とからなり、該軸部外形は非円形に形成され、該非円形の一部の凸状が前記セレーションの内周基礎円の直径よりは大きく形成されると共に、前記非円形の他部の凹状が前記セレーションの内周基礎円の直径よりは小さく形成され、圧入されて締結されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材としたことにより、前記課題を解決した。請求項2の発明は、請求項1において、ヨークの軸部がシャフトの材質と異なる硬さにて構成されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材としたことにより、前記課題を解決した。
請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記非円形の円周が凹凸に形成され、円周方向における凹み部の長さと凸部の長さが異なる凹凸を円周上に複数等分化されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材としたことにより、前記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1又は2において、前記非円形の凸状がコブ形に形成され、前記非円形の凹状が凹み部として形成されると共に、前記コブ形の膨出部が円周上に複数等分化されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材としたことにより、前記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1又は2において、前記非円形の円周の凹凸状が波形に形成され、波山部を前記非円形の一部の凸状とし、且つ波谷部を非円形の他部の凹状としてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材としたことにより、前記課題を解決した。
請求項6の発明を、請求項1又は2において、前記非円形の円周が多角形状に形成され、膨出角部を非円形の一部の凸状とし、且つ凹み平面部を前記非円形の他部の凹状としてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材としたことにより、前記課題を解決した。請求項7の発明を、パイプ状のシャフトの一端を非円形とした内周部と、該内周部に圧入するヨークの軸部とからなり、該軸部外形は、複数の歯条を有する軸状セレーションとして形成され、前記非円形の一部の凸状が前記軸状セレーションの外周基礎円の直径よりは小さく形成されると共に、前記非円形の他部の凹状が前記セレーションの外周基礎円の直径よりは大きく形成され、圧入されて締結されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材としたことにより、前記課題を解決したものである。
請求項1の発明では、シャフトのセレーションと、ヨークの軸部外周との圧入荷重を低減すると共に、必要な接合強度を確保することができる。特に、軸部外周を非円形とすることで、圧入荷重の大きい箇所と、小さい箇所とを共存させることで、全体として、従来よりは格段と圧入荷重を低減することができる。これによって、締結部のかじり、倒れを防ぎつつ、良好な圧入による締結ができるものである。さらに、良好な圧入による締結ができることから、必要な接合強度(スリップトルク)を確保できる。請求項2の発明では、請求項1の発明と同等の効果を奏する。請求項3の発明では、円周上の長さが異なる凹凸を円周上に複数等分化したことで、周方向全体の圧入荷重を均等に生じさせることができるので、安定した接合強度を確保できる利点がある。請求項4乃至6の発明においては、それぞれの具体的形状の凹凸にて請求項4の発明と同等の効果を奏する。請求項7の発明では、請求項1の発明と同等の効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。まず、第1実施形態について説明する。主要な構成は、パイプ状のシャフト1のセレーション11と、ヨーク2の軸部21とからなり、特有な構造のシャフトとヨークとの締結部材である。
そのシャフト1とヨーク2は、ステアリングコラム5のロアーシャフト5bとして一般的に構成されている。前記ステアリングコラム5は、コラムチューブ5aと、ロアーシャフト5bと、ステアリングホイール(ハンドル)を先端に取り付けるアッパーシャフト5cとで構成されている。また、図1における実施形態では、可動ブラケット6に固定され、車体に取り付けた固定ブラケット7に対してチルト(上下動)操作及びテレスコ(前後動)操作が可能に設けられている。
前記セレーション11は、前記シャフト1の一端の内周に多数の所定形状の歯条11aが形成されて構成されている。該歯条11aは、同一断面で山形に形成されると共に、その山形の先端(最内側端)相互に連続した内周基礎円nは、円をなしている。また、山形の谷部底(最外側端)相互に連続した外周基礎円mも円状をなしている。
前記シャフト1は前記ヨーク2の軸部21より硬質材製にて形成されている。すなわち、前記ヨーク2の軸部21が前記シャフト1の材質と異なる硬さにて構成されている。前記軸部21の外形は、非円形に形成されている。該非円形とは、楕円でも真円ではないが、円周が凹凸でコブ(瘤)付き形状の場合と、円周が凹凸で波形状の場合と、多角形状の場合がある。この各場合のそれぞれの凸頂部は円周上に形成されている。ここで本明細書においては、前記非円形の一部が凹凸状態の凸部に相当する部位、非円形の他部が凹部に相当する部位となるものである。さらに、前記軸部21の外形においては、凸部相互の仮想円は凹部相互の仮想円よりは大きく形成されるが(図3,図5及び6参照)、前記シャフト1の後述する内周部においては、凸部相互の仮想円は凹部相互の仮想円よりは小さく形成される(図7参照)。
非円形の1番目は、図3及び4に示すように、前記ヨーク2の軸部21の外形円周が凹凸でコブ付き形状の場合である。具体的には、最小軸径がR2となる凹み部21bの仮想円が形成された状態で、全周で複数箇所等分されて、瘤状の膨出部21aが形成され、該膨出部21a相互の頂点を結んだ円が仮想円となって、最大軸径としてR1が形成されている。このような膨出部21aと凹み部21bとが交互で且つ連続するように円周上に形成されている。また、歯条11aを数十有するセレーション11における内周基礎円nの直径をS2とし、外周基礎円mの直径をS1とすると、
S1>S2・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
R1>R2・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
S2>R2・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
R1>S2・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
このような条件下で、セレーション11の歯条11aがヨーク2の軸部21の外形の膨出部21aに接触し、前記歯条11aの山形の先端(最内側端)が前記軸部21の膨出部21aにて徐々に潰れていくものである。この作用について、詳述すると、図4(A)及び(B)に示すように、セレーション11と軸部21とをセットしておき、圧入していくと、セレーション11の歯条11aの山形の先端が前記軸部21の膨出部21aにて徐々に潰れて、図4(C)及び(D)の状態のように、潰れた山形の先端が膨出部21aに押し付けられてシャフト1とヨーク2との締結が完了する。さらに、前記軸部21外形の非円形の円周が凹凸に形成されている場合、円周方向における凹み部21bの長さと凸部なる瘤状の膨出部21aの長さが、異なる凹凸として円周上に複数等分化されているものである。
次に、非円形の2番目は、図5に示すように、前記ヨーク2の軸部21の外形円周が凹凸で波形の場合である。該波形は規則的であるが、規則的ではない場合もある。具体的には、波谷部21dの谷底相互を結んだ最小軸径としてW2なる仮想円が形成された状態で、波山部21cの山頂相互を結んだ最大軸径としてW1なる仮想円が形成されている。このような波山部21cと波谷部21dとが交互で且つ連続するように円周上に形成されている。また、前述と同様に、前記セレーション11の内周基礎円nの内径をS2、外周基礎円mの直径をS1とすると、
S1>S2・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
W1>W2・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
S2>W2・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
W1>S2・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
このような条件下において、第1実施形態と同様に、セレーション11の歯条11aが、軟質であるヨーク2の軸部21の波形の波山部21cに接触して、歯条11aの山形の先端が波山部21cに徐々に潰れて押し付けられて行くものである。
非円形の3番目は、図6に示すように、前記ヨーク2の軸部21の外形円周が多角形の場合である。該多角形は、正多角形が多いが、正多角形に近い多角形も存在している。具体的には、多角形における中心として対向する両辺間の最小間隔相互を結んだ最小軸径としてP2なる凹み平面部21fの仮想円が形成された状態で、多角形における中心として、角部として形成された角頂点相互を結んだ最大軸径としてP1なる膨出角部21eの仮想円が形成されている。このような膨出角部21eと凹み平面部21fとが交互で且つ連続するように多角形に形成されている。また、前述と同様に、前記セレーション11の内周基礎円nの内径をS2、外周基礎円mの直径をS1とすると、
S1>S2・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
P1>P2・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
S2>P2・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
P1>S2・・・・・・・・・・・・・・・(10)
このような条件下において、第1実施形態と同様に、セレーション11の歯条11aが、軟質であるヨーク2の軸部21の多角形の膨出角部21e(角部分)に接触して、前記歯条11aの山形の先端(最内側端)が徐々に潰れて、潰れた山形の先端が膨出角部21eに押し付けられて行くものである。
また、第1実施形態において、前記ヨーク2の軸部21が前記シャフト1の材質よりも軟質材製にて形成されてなる場合について詳述したが、前記ヨーク2の軸部21が前記シャフト1の材質よりも硬質材製にて形成されることもある。この場合にも、前記歯条11aの山形の先端(最内側端)の潰れ状態などは同等である。
次に、第2実施形態について図7に基づき説明する。主要な構成は、第1実施形態と同様であるが、パイプ状のシャフト1の内周部12と、ヨーク2の軸部22の軸状セレーション23とからなり、特有な構造のシャフト1とヨーク2との締結部材である。すなわち、パイプ状のシャフト1の一端の非円形とした内周部12と、該内周部12に圧入する前記シャフト1の材質よりも硬質材製のヨーク2の軸部22とからなり、該軸部22外形は、円周に複数の歯条23aを有する軸状セレーション23として形成され、前記非円形の一部が前記軸状セレーション23の外周基礎円S3の直径よりは大きく形成されると共に、前記非円形の他部が前記セレーションの外周基礎円S3の直径よりは小さく形成されて、圧入されて締結されてなるシャフトとヨークとの締結部材である。
非円形としては、図7に示すように、前記シャフト1の一端の内周部12が凹凸でコブ付き形状の場合である。具体的には、最小内径としてR4なる膨出部12aの仮想円が形成された状態で、全周で複数箇所等分されて、凹み部12bが形成され、該凹み部12b相互の頂点を結んだ円が仮想円となって、最大内径としてR3が形成されている。このような膨出部12aと凹み部12bとが交互で且つ連続するように円周上に形成されている。また、歯条23aが数十有する軸状セレーション23における内周基礎円nの直径をS4とし、外周基礎円mの直径をS4とすると、
S3>S4・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
R3>R4・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
R3>S3・・・・・・・・・・・・・・・・(13)
S3>R4・・・・・・・・・・・・・・・・(14)
このような条件下で、軸状セレーション23の硬質の歯条23aが、軟質であるシャフト1の内周部12の膨出部12aに接触して、前記歯条23aの山形の先端(最外側端)が膨出部12aにて徐々に潰れて、潰れた山形の先端が膨出部12aに押し付けられて行くものである。
(A)は本発明をステアリングコラムに設けた断面図、(B)は(A)の要部拡大図である。 (A)は本発明の第1実施形態の圧入前の分離断面図、(B)は本発明の第1実施形態の圧入完了後の断面図、(C)は本発明の第1実施形態の圧入前の分離斜視図である。 (A)は本発明の第1実施形態のヨークの軸部をコブ付き形状とした正面図、(B)は本発明の第1実施形態のシャフトの端部正面図、(C)は本発明の第1実施形態の圧入完了した一部拡大状態図である。 (A)は本発明の第1実施形態の圧入前の分離断面図、(B)は(A)のZ1−Z1矢視一部拡大断面図、(C)は本発明の第1実施形態の圧入完了後の状態拡大断面図、(D)は(C)のZ2−Z2矢視一部拡大断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態のヨークの軸部を波形状とした正面図、(B)は本発明の第1実施形態のシャフトの端部正面図、(C)は本発明の第1実施形態の圧入完了した一部拡大状態図である。 (A)は本発明の第1実施形態のヨークの軸部を多角形とした正面図、(B)は本発明の第1実施形態のシャフトの端部正面図、(C)は本発明の第1実施形態の圧入完了した一部拡大状態図である。 (A)は本発明の第2実施形態の圧入前の分離断面図、(B)は本発明の第2実施形態のヨークの軸部の正面図、(C)は本発明の第2実施形態のシャフトの端部を非円形とした正面図、(D)は本発明の第2実施形態の圧入完了した一部拡大状態図である。
符号の説明
1…シャフト、2…ヨーク、11…セレーション、12…内周部、21,22…軸部、21a…膨出部、21b…凹み部、21c…波山部、21d…波谷部、n…内周基礎円、
21e…膨出角部、21f…凹み平面部、23…軸状セレーション、m…外周基礎円。

Claims (7)

  1. パイプ状のシャフトの一端の内周に複数の歯条を有するセレーションと、該セレーションに圧入されるヨークの軸部とからなり、該軸部外形は非円形に形成され、該非円形の一部の凸状が前記セレーションの内周基礎円の直径よりは大きく形成されると共に、前記非円形の他部の凹状が前記セレーションの内周基礎円の直径よりは小さく形成され、圧入されて締結されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材。
  2. 請求項1において、ヨークの軸部がシャフトの材質と異なる硬さにて構成されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材。
  3. 請求項1又は2において、前記非円形の円周が凹凸に形成され、円周方向における凹み部の長さと凸部の長さが異なる凹凸を円周上に複数等分化されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材。
  4. 請求項1又は2において、前記非円形の凸状がコブ形に形成され、前記非円形の凹状が凹み部として形成されると共に、前記コブ形の膨出部が円周上に複数形成されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材。
  5. 請求項1又は2において、前記非円形の円周の凹凸状が波形に形成され、波山部を前記非円形の一部の凸状とし、且つ波谷部を非円形の他部の凹状としてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材。
  6. 請求項1又は2において、前記非円形の円周が多角形状に形成され、膨出角部を非円形の一部の凸状とし、且つ凹み平面部を前記非円形の他部の凹状としてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材。
  7. パイプ状のシャフトの一端を非円形とした内周部と、該内周部に圧入するヨークの軸部とからなり、該軸部外形は、複数の歯条を有する軸状セレーションとして形成され、前記非円形の一部の凸状が前記軸状セレーションの外周基礎円の直径よりは小さく形成されると共に、前記非円形の他部の凹状が前記セレーションの外周基礎円の直径よりは大きく形成され、圧入されて締結されてなることを特徴とするシャフトとヨークとの締結部材。
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