JP2009062598A - 銅ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶性が高く且つ液中及び大気下での保存安定性の高い銅ナノ粒子を容易に製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】銅化合物が有機溶剤に溶解してなる油相と、還元剤が水に溶解してなる水相とを混合し、油相と水相との界面において銅を還元することを特徴とする。油相にオレイルアミンなどの脂肪族アミンが含まれていることが好ましい。また、油相にEDTAなどの粒径制御剤が含まれていることも好ましい。本発明の方法に製造された銅ナノ粒子は、好ましくはXRD測定による(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)が100:20〜100:40であり、一次粒子の平均粒径が好ましくは1〜100nmである。
【選択図】図2
【解決手段】銅化合物が有機溶剤に溶解してなる油相と、還元剤が水に溶解してなる水相とを混合し、油相と水相との界面において銅を還元することを特徴とする。油相にオレイルアミンなどの脂肪族アミンが含まれていることが好ましい。また、油相にEDTAなどの粒径制御剤が含まれていることも好ましい。本発明の方法に製造された銅ナノ粒子は、好ましくはXRD測定による(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)が100:20〜100:40であり、一次粒子の平均粒径が好ましくは1〜100nmである。
【選択図】図2
Description
本発明は、導電性インクや導電性ペーストの原料として特に有用な銅ナノ粒子の製造方法に関する。
湿式法による銅ナノ粒子の製造方法に関する技術が種々知られている(特許文献1ないし4参照)。これらの方法で製造される銅ナノ粒子は数十nmないし100nm程度に微細なものである。このように微細な銅ナノ粒子は、その粒径が小さくなるほど、生成した粒子の再溶解が起こりやすい。再溶解は、生成した銅ナノ粒子が、反応系中に存在する化学種と結合することが原因であると考えられる。そのような化学種としては、還元剤残基や、銅源として用いられる銅塩の残基(例えば銅塩として銅の酸塩を用いた場合には、酸の残基)が挙げられる。
銅ナノ粒子の再溶解を防止するために、極性基を有する有機化合物等からなる保護剤を液に多量に添加して、粒子の表面を該保護剤で保護することが行われている(特許文献2及び3参照)。また保護剤による保護は、空気中で酸化しやすい金属である銅ナノ粒子の酸化防止の目的もある。しかし保護剤の存在に起因して、銅の還元過程での粒子の円滑な成長が阻害され、結晶性の高い粒子が得られず、粒子が微結晶の集合体になる場合がある。このような状態の粒子は、結晶性の高い粒子に比べて再溶解を起こしやすいという不都合がある。
したがって本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る銅ナノ粒子の製造方法を提供することにある。
本発明は、銅化合物が有機溶剤に溶解してなる油相と、還元剤が水に溶解してなる水相とを混合し、油相と水相との界面において銅を還元することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記の方法によって製造された銅ナノ粒子であって、
XRD測定による(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)が100:20〜100:40であり、一次粒子の平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする銅ナノ粒子を提供するものである。
XRD測定による(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)が100:20〜100:40であり、一次粒子の平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする銅ナノ粒子を提供するものである。
本発明によれば、結晶性が高く且つ液中及び大気下での保存安定性の高い銅ナノ粒子を容易に製造し得る。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の製造方法は、油相と水相とを混合し、両相の界面において銅を還元してナノ粒子を生成させる点に特徴を有するものである。
油相は、銅化合物が有機溶剤に溶解してなるものである。油相には還元剤は含まれていない。有機溶剤としては、沸点が100℃以上のものが挙げられる。例えば炭素数8〜15のアルカン類、炭素数8〜20のアルケン類、炭素数10〜15の飽和又は不飽和脂肪族アルコール、炭素数10〜20の飽和又は不飽和脂肪酸、炭素数7〜10の芳香族化合物などが挙げられる。これらのうち、後述する保護剤を油相中に添加する場合には、その溶解性の観点から、炭素数10〜18のアルカン類及びアルケン類を用いることが好ましい。
油相に占める有機溶剤の割合は、1〜80重量%、特に10〜50重量%であることが、他の添加物の効果を発揮させやすい点から好ましい。
銅化合物は、その種類に特に制限はない。例えば油相中に溶解可能なもの及び油相中に不溶なもののいずれをも用いることもできる。銅化合物は、単独で又は混合して用いられる。銅化合物は、その構成元素として、銅の他に、多くても酸素、水素及び炭素しか含まないものであることが好ましい。この理由は、銅ナノ粒子の生成過程において、反応系に残存する可能性のある無機不純物を可能な限り排除するためである。そのような銅化合物としては、例えば銅の有機酸塩、銅の酸化物、銅の水酸化物、銅の炭酸塩などが挙げられる。銅の有機酸塩としては、脂肪酸の塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩などが好ましい。銅の酸化物としては、亜酸化銅などが好ましい。
油相に占める銅化合物の割合は、銅を基準として、0.1〜10重量%、特に0.1〜3重量%であることが、銅ナノ粒子を高結晶化させやすい点から好ましい。
油相には、上述の成分に加えて、他の成分が含まれていてもよい。他の成分の例としては、銅化合物の溶解促進剤、銅ナノ粒子の保護剤、銅ナノ粒子の粒径制御剤などが挙げられる。
銅化合物の溶解促進剤としては、銅化合物の油相への溶解を促進する働きを有する化合物が用いられる。そのような化合物としては、例えば脂肪族アミン、ポリアミン、アルカノールアミンなどが用いられる。これらの化合物のうち、長鎖脂肪族アミンは、溶解促進剤及び後述する保護剤の双方の機能を有するので特に好ましく用いられる。
脂肪族アミンとしては、例えば炭素数10〜20の飽和又は不飽和の長鎖脂肪族アミンが好ましく用いられる。そのようなアミンの例としては、オレイルアミン、ステアリルアミン、デシルアミン、ドデシルアミンなどが挙げられる。ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アルカノールアミンとしては、例えばヘキサノールアミン、オクタノールアミン、デカノールアミン、ウンデカノールアミン等が挙げられる。
油相に占める溶解促進剤の割合は、該溶解促進剤を、後述する保護剤とは別に配合する場合には、1〜80重量%、特に1〜10重量%であることが、得られた銅ナノ粒子の再溶解を抑制しやすい点から好ましい。これに対して、脂肪族アミンのように、溶解促進剤が保護剤を兼ね、溶解促進剤とは別途に保護剤を用いない場合には、溶解促進剤(兼保護剤)の割合は、10〜80重量%、特に20〜60重量%であることが好ましい。
銅ナノ粒子の保護剤としては、該粒子の表面に付着して該粒子の再溶解を防止する働きや、該粒子の酸化を防止する働きを有するものが用いられる。保護剤としては、例えば上述した脂肪族アミン、脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、芳香族アミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸エステル、複素環系アミンなどが挙げられる。これらの化合物のうち、上述した理由により、脂肪族アミン、特にオレイルアミンなどの長鎖脂肪族アミンを用いることが好ましい。油相に占める保護剤の割合は、10〜80重量%、特に20〜60重量%であることが、大気中での銅ナノ粒子の経時変化を抑制できる点から好ましい。なお、保護剤が上述の溶解促進剤を兼ねる場合には、溶解促進剤に加えて保護剤を用いてもよく、或いは用いなくてもよい。
銅ナノ粒子の粒径制御剤としては、例えば銅イオンに配位して錯体の形成が可能な化合物を用いることができる。粒径制御剤は、銅の還元によるナノ粒子の生成の際に、粒子の過度の成長を抑制する働きを有するものである。そのような化合物の例としては、ジエチレントリアミン五酢酸(EDPA)又はその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)又はその塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩、アミノカルボン酸、アミノチオール、オキシカルボン酸、ポリアミン、チオ尿素、脂肪酸アミンなどが挙げられる。油相に占める粒径制御剤の割合は、0.01〜5重量%、特に0.03〜1重量%であることが、生成した銅ナノ粒子の再溶解を抑制し得る点から好ましい。
油相には、更に、該油相の粘度を調整する目的で、ブタノール等の低級アルコール、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン、酢酸エチル等の脂肪酸エステルを配合することもできる。
油相は、上述の各成分を混合することで調製できる。銅化合物の油相への溶解を確実にすることを目的として、油相を加熱して銅化合物の溶解を促進するようにしてもよい。油相の加熱温度は、該油相に含まれる有機溶剤の沸点以下であることを条件として、50〜90℃であることが好ましい。
油相と共に用いられる水相は、還元剤が水に溶解してなるものである。しかし、水相には銅化合物は含まれていない。還元剤としては、水溶性で且つ上述した有機溶剤に難溶性のものを用いることが好ましい。また還元剤としては、その構成元素として、多くても酸素、水素、炭素、窒素、リン及びホウ素しか含まないものであることが好ましい。還元剤は更に好ましくは、その構成元素として、多くても酸素、水素、炭素及び窒素しか含まず、一層好ましくは、その構成元素として、多くても酸素、水素及び炭素しか含まないか、又は多くても水素及び窒素しか含まないものである。この理由は、銅ナノ粒子の生成過程において、反応系に残存する可能性のある不純物を可能な限り排除するためである。
還元剤の例としては、水素及び窒素しか含まない化合物であるヒドラジン、酸素、水素及び炭素しか含まない化合物であるグルコース等の糖類、アスコルビン酸又はその塩、ポリオール類などが挙げられる。これらの還元剤は、例えばヒドラジンヒドラートのように、水和物の状態で用いることができる。その場合には、別途に水を添加することなく、該水和物のみで水相を形成することができる。この場合と異なり、還元剤と水とを混合して水相を形成する場合には、水相における水と還元剤との割合は任意に設定可能である。一般に、水相に占める還元剤の濃度が高いほど、得られる銅ナノ粒子が微粒化する。
水相には、更に、該水相の粘度を調整する目的で、ブタノール等の低級アルコール、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン、酢酸エチル等の脂肪酸エステルを配合することもできる。
油相と水相との混合方法に特に制限はない。例えば油相中に水相を添加してもよく、逆に水相中に油相を添加してもよい。添加は一括添加でもよく、或いは一定の時間にわたる逐次添加でもよい。本発明者らの検討の結果、油相中に水相を一括添加することが、均一な粒径の銅ナノ粒子を首尾良く得る点から好ましいことが判明した。
使用する油相及び水相の量は、それらに含まれている銅及び還元剤の量に応じて適宜決定される。具体的には、油相に含まれている銅の量(mol)に対する、水相に含まれている還元剤の量(mol)の比(還元剤/銅)が1.2〜20.0、特に2.0〜10.0となるように、使用する油相及び還元剤の量を調整する。
油相と水相との混合に際しては、反応系を加熱してもよい。例えば油相における銅化合物の溶解促進の目的で油相を加熱し、銅化合物を油相に溶解させた後に、加熱を引き続き行ってその状態下に水相を油相中に添加することができる。この場合、油相の温度、及び油相と水相とを混合してなる反応系の温度は、油相に含まれる有機溶剤の沸点以下であることを条件として、50〜90℃、特に70〜90℃とすることが好ましい。
油相と水相とを混合して形成される両相の界面において、銅の還元が生じ、粒子が生成する。銅の還元は、油相中に含まれる銅と、水相中に含まれる還元剤とが、両相の界面において反応することで起こる。この反応を促進させることを目的として、油相と水相とを混合してなる反応系を激しく攪拌して、W/Oエマルション又はO/Wエマルションの状態とすることが好ましい。これによって、油相と水相との界面の面積が増大し、油相中に含まれる銅と、水相中に含まれる還元剤との反応が促進される。
還元によって生じた銅のナノ粒子は、その表面が油相中に含まれる保護剤によって被覆され、それによって油相中にとどまる。また、油相中には銅化合物の残基(例えば銅化合物が有機酸の塩である場合には、有機酸残基)が存在しているところ、該残基は油相と水相との界面を通じて水相中へ移動する。この残基が油相中にとどまっていると、生成した銅ナノ粒子と結合して銅ナノ粒子を溶解させる原因となるが、該残基が水相中へ移動することで、油相において銅ナノ粒子を溶解させる原因となる物質の量が低減する。したがって油相にとどまっている銅ナノ粒子が、該残基と結合して溶解することが防止される。
これに加えて、水相に含まれている還元剤残基(例えばアミノ基やカルボキシル基を有する物質)は、油相へ移動し難い。したがって油相にとどまっている銅ナノ粒子が、該還元剤残基と結合して水相中に溶解することも防止される。これらの結果、本発明の製造方法によれば、生成した銅ナノ粒子の溶解が効果的に防止される。
また本発明の製造方法では、油相において銅ナノ粒子を溶解させる原因となる物質の量が少ないので、油相に保護剤を多量に配合する必要がなく、銅ナノ粒子が油相にとどまるに足る最低限の量の保護剤を用いればよい。このことは、銅ナノ粒子の生成及び生成した粒子の成長において、粒子の結晶性が高くなる観点から極めて有利である。
油相と水相との混合による銅ナノ粒子の生成は比較的短時間で終了する。例えば両相を0.1〜2分間攪拌することで銅ナノ粒子の生成が終了する。その後、反応系を静置してエージングすることが好ましい。エージングによって、生成した銅ナノ粒子の成長が進行し、結晶性の高い銅ナノ粒子が得られる。銅ナノ粒子の結晶性が高くなることの理由は、上述のとおり、油相に含まれる保護剤の量が少ないからである。エージングの時間を調整することで、所望の粒径を有する銅ナノ粒子が得られる。粒径が例えば1〜100nmの銅ナノ粒子を得る場合、エージングは、1〜30分間行うことが好ましい。エージングの間、反応系を、混合攪拌時の温度と同じ温度に保っておくことが好ましい。
次いで油相と水相とを分離し、油相をアセトン等の有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中に分散した状態の銅ナノ粒子を得る。このようにして得られた銅ナノ粒子は、後述する図2に示すように一般に六角板状の形状を有する粒状のものである。透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって測定された一次粒子の平均粒径は1〜100nm、特に10〜80nmという微細なものである。平均粒径は、TEM観察によって50個の粒子の最も長い部分の長さを測定し、その測定値を平均した値である。
有機溶剤中に分散した状態の銅ナノ粒子は、その溶剤を他の溶剤と置換することで、種々の用途に用いられる。例えばターピネオールと置換することで、銅ペーストが得られる。また低粘性の炭化水素と置換することで、銅インクが得られる。このように、本発明の製造方法で得られた銅ナノ粒子は、導電性インクや導電性ペーストの原料として特に有用なものである。
本発明の製造方法で得られた銅ナノ粒子は、その結晶性の高さによって特徴付けられる。銅は通常立方晶の結晶形態をとる。XRD測定による立方晶の銅の回折ピークは、(111)が最も強く、次いで(200)が強い。本発明の製造方法で得られた銅ナノ粒子は結晶性が高く、且つ板状のものであることから、(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)が100:20〜100:40、好ましくは100:20〜100:30という、(111)に起因するピークが強くかつ半値幅が狭いパターンとなる。この結晶性の高さに起因して、本発明の製造方法で得られた銅ナノ粒子は、液中での保存安定性が極めて高いものとなる。これに対して、従来の技術では、得られる銅ナノ粒子の結晶性が低いことから、(111)と(200)のピーク強度比は低い値となる。
また、本発明の製造方法で得られた銅ナノ粒子は、その表面が保護剤で保護されている場合には、更に耐酸化性に優れたものとなる。
次に本発明の別の実施形態を、図1を参照しながら説明する。これまでに説明した実施形態は、いわゆるバッチ式の製造方法である。これに対して図1に示す製造方法は連続式である。詳細には、油相及び水相を貯留するタンク1,2をそれぞれ用意し、各タンク1,2中に油相及び水相をそれぞれ貯留しておく。必要に応じタンク1,2の何れか一方又は両方を所定温度に温調しておいてもよい。例えば銅化合物の溶解を促進させる観点から、タンク2中に貯留される油相が5〜95℃、特に70〜90℃に保たれるようにタンク2を温調することができる。
各タンク1,2からは配管3,4が延びている。配管の途中には送液ポンプ5,6が取り付けられている。送液ポンプ5,6を作動させることで、各タンク1,2に貯留されている油相及び水相が、配管3,4を通じて送液される。配管3,4は、合流点7において合流して一本の配管8となる。合流点7において、油相と水相とが並流接触(液−液接触)し、両相の界面において銅の還元が起こり、銅ナノ粒子が生成する。
両相は混合状態で配管8内を移動する。配管8内を移動している間に、生成した粒子の成長が進行する。粒子の成長の進行を制御する目的で、必要に応じ、配管8を加熱してもよい。加熱温度は5〜95℃、特に70〜90℃であることが好ましい。配管8内での粒子の成長を十分に行う観点から、配管8内の滞留時間を長くすることが好ましい。この観点から、本実施形態においては配管8をスパイラル状に巻回して、その流路を長くしている。
本実施形態においては、並流接触した油相と水相が実質的に閉鎖状態で配管8内を送液される。このような反応系を採用する場合には、水相に配合される還元剤として、銅の還元の際にガス発生を伴うものを用いることが好ましい。ガス発生によって油相と水相との混合が一層促進され、両相の界面の面積が更に増大して反応効率がより高まるからである。ガス発生を伴う還元剤としては、例えばヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図1に示す実施形態においては、配管8をスパイラル状に巻回することに代えて、蛇腹状に蛇行させてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
(1)油相の調製
50mlのビーカーに、10.0gのオクタデセンと20.0gのオレイルアミンを入れ、両者を混合した。これに1.0gの酢酸銅(II)と0.2gのエチレンジアミン四酢酸を添加した。液を80℃に加熱して攪拌し、酢酸銅(II)を溶解させ、油相を調製した。
(1)油相の調製
50mlのビーカーに、10.0gのオクタデセンと20.0gのオレイルアミンを入れ、両者を混合した。これに1.0gの酢酸銅(II)と0.2gのエチレンジアミン四酢酸を添加した。液を80℃に加熱して攪拌し、酢酸銅(II)を溶解させ、油相を調製した。
(2)水相の調製
3.0gのヒドラジンヒドラート100%を用い、これを水相とした。
3.0gのヒドラジンヒドラート100%を用い、これを水相とした。
(3)銅ナノ粒子の生成
油相を80℃に保ったまま水相を一括添加した。引き続き、2分間攪拌して、混合液をエマルション状態にした。混合攪拌によって銅ナノ粒子が生成した。その後、液を静置して2分間エージングを行った。エージングの間、液を80℃に保った。エージング後、氷水でビーカーを室温まで急冷した。次いでビーカーに50mlのアセトンを加えて遠心分離を行った。これによって目的とする銅ナノ粒子を得た。得られた銅ナノ粒子は、TEMによる一次粒子の平均粒径が30nmであった。また、XRD測定による(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)は100:23であった。得られた銅ナノ粒子のTEM像を図2に示す。
油相を80℃に保ったまま水相を一括添加した。引き続き、2分間攪拌して、混合液をエマルション状態にした。混合攪拌によって銅ナノ粒子が生成した。その後、液を静置して2分間エージングを行った。エージングの間、液を80℃に保った。エージング後、氷水でビーカーを室温まで急冷した。次いでビーカーに50mlのアセトンを加えて遠心分離を行った。これによって目的とする銅ナノ粒子を得た。得られた銅ナノ粒子は、TEMによる一次粒子の平均粒径が30nmであった。また、XRD測定による(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)は100:23であった。得られた銅ナノ粒子のTEM像を図2に示す。
〔実施例2〕
図1に示す設備に従って、銅ナノ粒子を合成した。
(1)油相の調製
タンク2として500mlビーカーを用い、これに100gのn−デカンと200gのオレイルアミンを入れ、両者を混合した。これに10gの酢酸銅(II)と2gのエチレンジアミン四酢酸を添加した。液を80℃に加熱して攪拌し、酢酸銅(II)を溶解させ、油相を調製した。
図1に示す設備に従って、銅ナノ粒子を合成した。
(1)油相の調製
タンク2として500mlビーカーを用い、これに100gのn−デカンと200gのオレイルアミンを入れ、両者を混合した。これに10gの酢酸銅(II)と2gのエチレンジアミン四酢酸を添加した。液を80℃に加熱して攪拌し、酢酸銅(II)を溶解させ、油相を調製した。
(2)水相の調製
タンク1に30gのヒドラジンヒドラート100%を用い、水相とした。
タンク1に30gのヒドラジンヒドラート100%を用い、水相とした。
(3)銅ナノ粒子の生成
タンク1及びタンク2にチューブ3,4を接続し、チューブポンプ5,6で送液できるようにした。7の合流部としてY字管を用いた。ポンプの流量設定を油相100ml/min、水相10ml/minとし、これらが2分間流れるのに足る長さを持つチューブ8を準備した。チューブ8は恒温槽で80℃に維持した。前記の流量設定で油相と水相を同時に流した。合流部7以降で油相と水相が反応して銅ナノ粒子が生成し、チューブ8を流れる間にエージングが完了した。生成した銅ナノ粒子をタンクに回収し、氷水で室温まで急冷した。得られた銅ナノ粒子はXRDによる(111)と(200)のピーク強度比が100:35であった。得られた銅ナノ粒子のTEM像を図3に示す。
タンク1及びタンク2にチューブ3,4を接続し、チューブポンプ5,6で送液できるようにした。7の合流部としてY字管を用いた。ポンプの流量設定を油相100ml/min、水相10ml/minとし、これらが2分間流れるのに足る長さを持つチューブ8を準備した。チューブ8は恒温槽で80℃に維持した。前記の流量設定で油相と水相を同時に流した。合流部7以降で油相と水相が反応して銅ナノ粒子が生成し、チューブ8を流れる間にエージングが完了した。生成した銅ナノ粒子をタンクに回収し、氷水で室温まで急冷した。得られた銅ナノ粒子はXRDによる(111)と(200)のピーク強度比が100:35であった。得られた銅ナノ粒子のTEM像を図3に示す。
〔評価1〕
実施例1で得られた銅ナノ粒子から溶媒を除去し、室温下に大気中に放置し、耐酸化性を評価した。評価は、合成直後、3日放置後、30日放置後の銅ナノ粒子のXRD測定により行った。その結果を図4に示す。図4に示す結果から明らかなように、大気中に30日放置しても、XRDのチャートは合成直後とほとんど変わりがなく、本発明の方法によって製造された銅ナノ粒子の耐酸化性が高いことが確認された。
実施例1で得られた銅ナノ粒子から溶媒を除去し、室温下に大気中に放置し、耐酸化性を評価した。評価は、合成直後、3日放置後、30日放置後の銅ナノ粒子のXRD測定により行った。その結果を図4に示す。図4に示す結果から明らかなように、大気中に30日放置しても、XRDのチャートは合成直後とほとんど変わりがなく、本発明の方法によって製造された銅ナノ粒子の耐酸化性が高いことが確認された。
〔評価2〕
実施例1で得られた銅ナノ粒子を原料として導電性インクを調製した。先ず、銅ナノ粒子をテトラデカンで洗浄し、次いでアセトンで洗浄した。この操作をもう一回行った後に、遠心分離により銅ナノ粒子を回収した。引き続き、インク溶媒としてのテトラデカンを銅ナノ粒子に加え、更にバインダ(エチルセルロース)を加えた。このようして導電性インクを調製した。
インクの処方は以下のとおりである。
・銅ナノ粒子 50%
・テトラデカン 49%
・バインダ 1%
スピンコータを用い、このインクを基材としてのガラス基板上に、1000rpm、10秒間の条件で塗工し塗膜を成膜した。次いで塗膜を350℃、1時間の条件で還元雰囲気下に焼成した。雰囲気は、1体積%H2/N2とした。このようにして厚さ1000nmの導電性膜を得た。得られた導電性膜の断面の走査型電子顕微鏡像を図5に示す。この導電性膜の表面粗さRaを測定したところ89.3nmであった。また導電性膜の比抵抗を、四探針抵抗測定機(三菱化学株式会社製ロレスタGP)を用いて測定したところ6.79×10-6Ω・cmであった。これらの結果から、この導電性膜は、表面粗さが低く、低抵抗のものであることが判った。
実施例1で得られた銅ナノ粒子を原料として導電性インクを調製した。先ず、銅ナノ粒子をテトラデカンで洗浄し、次いでアセトンで洗浄した。この操作をもう一回行った後に、遠心分離により銅ナノ粒子を回収した。引き続き、インク溶媒としてのテトラデカンを銅ナノ粒子に加え、更にバインダ(エチルセルロース)を加えた。このようして導電性インクを調製した。
インクの処方は以下のとおりである。
・銅ナノ粒子 50%
・テトラデカン 49%
・バインダ 1%
スピンコータを用い、このインクを基材としてのガラス基板上に、1000rpm、10秒間の条件で塗工し塗膜を成膜した。次いで塗膜を350℃、1時間の条件で還元雰囲気下に焼成した。雰囲気は、1体積%H2/N2とした。このようにして厚さ1000nmの導電性膜を得た。得られた導電性膜の断面の走査型電子顕微鏡像を図5に示す。この導電性膜の表面粗さRaを測定したところ89.3nmであった。また導電性膜の比抵抗を、四探針抵抗測定機(三菱化学株式会社製ロレスタGP)を用いて測定したところ6.79×10-6Ω・cmであった。これらの結果から、この導電性膜は、表面粗さが低く、低抵抗のものであることが判った。
1,2 タンク
3,4,8 配管
5,6 送液ポンプ
7 合流部
3,4,8 配管
5,6 送液ポンプ
7 合流部
Claims (8)
- 銅化合物が有機溶剤に溶解してなる油相と、還元剤が水に溶解してなる水相とを混合し、油相と水相との界面において銅を還元することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法。
- 油相に銅ナノ粒子の保護剤が含まれている請求項1記載の銅ナノ粒子の製造方法。
- 油相に銅化合物の溶解促進剤が含まれている請求項1又は2記載の銅ナノ粒子の製造方法。
- 油相に銅ナノ粒子の粒径制御剤が含まれている請求項1ないし3の何れかに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
- 保護剤及び溶解促進剤の双方の機能を有する化合物として、油相に脂肪族アミンが含まれている請求項1記載の銅ナノ粒子の製造方法。
- 脂肪族アミンがオレイルアミンである請求項5記載の銅ナノ粒子の製造方法。
- 銅化合物として有機酸塩を用いる請求項1ないし6の何れかに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
- 請求項1記載の方法によって製造された銅ナノ粒子であって、
XRD測定による(111)と(200)のピーク強度比(前者/後者)が100:20〜100:40であり、一次粒子の平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする銅ナノ粒子。
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