JP2009059941A - 気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法 - Google Patents

気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型化、薄型化を図りながら、MEMSデバイスが収容されるキャビティを高気密に維持することができ、高品質化及び高信頼性化を図ること。
【解決手段】MEMSデバイス5が形成されたMEMSデバイス基板2と、MEMSデバイスの周囲を囲むように形成された枠部10と、回路面20上に成膜された絶縁層21を有し、該絶縁層をMEMSデバイス基板側に対向させた状態で枠部を介してMEMSデバイス基板に接合され、キャビティ4内にMEMSデバイスを密閉状態で収容させるIC基板3と、MEMSデバイスに対向するように絶縁層に形成され、枠部の内側でMEMSデバイスと回路面とを電気的に接続する電極パッド22と、枠部の外側にて回路面に一端側が電気的に接続されると共に、MEMSデバイス基板又はIC基板の外面に他端側が露出して外部に電気的に接続される外部電極部25と、を備えている気密パッケージ1を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、密閉されたキャビティ内に収容されたMEMSデバイスを有する気密パッケージ及び該気密パッケージの製造方法に関するものである。
近年、半導体プロセス技術を用いて、1つの基板に機械的構造と電子回路とを集積させた微小デバイスであるMEMS(Micro Electro Mechanical System)デバイスが注目されている。このMEMSデバイスは、半導体技術を利用して製造されることから、加工精度の高さ、量産の容易さ、電子回路と機械的構造とを一体形成することで精密な動作制御が可能等といった利点があり、IT関連のみならず、通信や化学、医療やバイオ等といった様々な分野に応用され始めている。
このMEMSデバイスの1つとして、発振子や角速度センサ等のジャイロに適用されるもので、外部から受ける力学量(例えば、角速度等)や、静電引力を受けて振動する振動部を備えたMEMSデバイスが知られている。
このような振動部を有するMEMSデバイスは、通常、大気圧よりも圧力が低く調整されたキャビティ(密閉室)内に収容する必要がある。これは、空気のダンピングによって感度が低下してしまうことを軽減するためである。また、振動部に関わらず、何らかの動作を行う動作部を有するMEMSデバイスであっても、通常、キャビティ内に収容している。これは、塵埃や水分等の影響を防止したり、周囲の環境条件の影響を受け難くしたりするためである。いずれにしても、キャビティ内にMEMSデバイスを収容する必要がある。
MEMSデバイスをキャビティ内に収容する方法としては、様々な方法が考えられているが、一般的には次の方法が用いられている。
即ち、MEMSデバイスを形成したMEMSデバイス基板に、リッドとなるリッド基板を接合する方法である。この際、リッド基板には、キャビティを形成する凹部が形成されている。そのため、両基板を重ね合わせて接合することで、密閉したキャビティを形成することができると共に、該キャビティ内にMEMSデバイスを収容させることができる。なお、接合の際にキャビティの内部を真空引きすることで、キャビティ内を減圧することができ、減圧したキャビティ内にMEMSデバイスを収容させることも可能である。
ところで、キャビティ内に収容されたMEMSデバイスを作動させるためには、駆動回路等が形成されたIC基板が必要である。そのため、実際に製品化する場合には、MEMSデバイス基板と、リッド基板と、IC基板とを一体的にモジュール化して1つのパッケージにする必要がある。
しかしながら、このようにパッケージングされたものは、基板が3枚構造になってしまうので、サイズが大きくなってしまい、小型化、薄型化を図ることが困難であった。また、基板が3枚必要であるので、コスト高になってしまうものであった。
そこで、このような不都合を解消するべくいくつかの提案がなされている。
その1つとして、図32に示すように、IC基板101の能動回路面(駆動回路が形成された面)102に電気パッド103を介してMEMSデバイス104が表面実装され、IC基板101に接合されたパッケージチップ105によりMEMSデバイス104をキャビティ106内に収容させたパッケージ100が知られている(特許文献1参照)。なお、パッケージチップ105に形成された凹部105aとIC基板101とで囲まれた空間が、キャビティ106となっている。
このように構成されたパッケージ100によれば、3枚の基板を必要としないため、3枚構造に比べれば小型化、薄型化を図り易い。しかしながら、IC基板101とMEMSデバイス104とをウエハレベルで接合することができないので、依然として小型化、薄型化の問題が残されている。また、パッケージチップ105に凹部105aを形成する際に、MEMSデバイス104との干渉を防止するためギャップGが必要であった。そのため、このギャップGの分だけ厚みが増してしまので、この点においても小型化、薄型化が困難であった。
また、別の1つとして、図33に示すように、IC基板111の能動回路面112に電気パッド113を介してMEMSデバイス114が表面実装され、MEMSデバイス114を樹脂115で封止することでキャビティ116内に収容させたパッケージ110が知られている(特許文献2参照)。
このように構成されたパッケージ110によれば、3枚の基板を必要としないため、やはり3枚構造に比べれば小型化、薄型化を図り易い。しかしながら、上記パッケージ100と同様に、IC基板111とMEMSデバイス114とをウエハレベルで接合することができないので、依然として小型化、薄型化の問題が残されている。また、樹脂115封止によってキャビティ116を形成しているので、密閉の信頼性に劣るものであった。特に、樹脂封止であるので、真空引きによってキャビティ116内を減圧することが困難であり、キャビティ116内を例えば真空状態にすることはできなかった。
更に、別の1つとして、MEMSデバイス121が形成されているMEMSデバイス基板122と、IC基板123とを接合することで、MEMSデバイス121をキャビティ124内に収容したパッケージ120が知られている(特許文献3参照)。
このパッケージ120は、図34に示すように、IC基板123と、該IC基板123の能動回路面125上に形成された酸化膜からなるシールリング126と、該シールリング126上に形成された金属膜127と、シールリング126及び金属膜127を介してIC基板123に接合されたMEMSデバイス基板122と、を備えている。
MEMSデバイス121は、MEMSデバイス基板122とシールリング126とIC基板123とで囲まれたキャビティ124内に収容された状態となっている。また、キャビティ124内には、酸化膜からなるポスト130が複数形成されている。なお、図34では、2つのポスト130を図示している。複数のポスト130のうちの1つには、IC基板123の能動回路面125に電気的に接続された金属膜131が形成されている。また、他の1つには、MEMSデバイス121に電気的に接続された金属膜132が形成されている。そして、MEMSデバイス基板122には、ポスト130に対向する位置に、MEMSデバイス121にアクセスするためのスルーホール133が形成されており、該スルーホール133の内面からMEMSデバイス基板122の表面に亘って金属膜134が成膜されている。この金属膜134は、外部電極部として機能するものであり、上記金属膜131、132に対して物理的に密着すると共に電気的に接続されている。そのため、この金属膜134を介して、パッケージ120を外部に電気的に接続することができると共に、MEMSデバイス121を作動させることができるようになっている。
このように構成されたパッケージ120によれば、基板が2枚構造であるので、3枚構造のものに比べ小型化、薄型化を図ることができる。しかも、MEMSデバイス基板122と、IC基板123とをウエハレベルで接合できるので、上述した各種のパッケージ100、110とは異なり、小型化、薄型化を図ることができる。そのため、このパッケージ120は、最も小型化、薄型化に貢献したパッケージの1つとされている。
特開2007−163501号公報 特開2006−119042号公報 特開2006−173599号公報
しかしながら、上記従来のパッケージには、以下の課題が残されている。
即ち、図34に示すパッケージ120は、小型化、薄型化に貢献するものではあるが、キャビティ124内の気密を確実に行うことができない場合が多々あり、気密の信頼性に不安が残るものであった。
つまり、MEMSデバイス基板122に形成されているスルーホール133は、シールリング126の内側に配置されている。そのため、スルーホール133の内面に成膜している金属膜(外部電極部となる金属膜)134の密着性が悪いと、このスルーホール133を介してキャビティ124と外部とが連通した状態となってしまう。特に、スルーホール133は、エッチングによって形成されているので、内面が粗れてしまう場合がある(深堀りエッチング(DEEP RIE)により形成した場合には、特に顕著である)。
よって、キャビティ124内の気密性の低下を招いてしまっていた。そのため、キャビティ124内を仮に真空状態に設定したとしても、時間と共に真空度が悪化してしまう。これにより、品質低下、信頼性低下を招いてしまうものであった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、小型化、薄型化を図りながら、MEMSデバイスが収容されるキャビティを高気密に維持することができ、高品質化及び高信頼性化を図った気密パッケージ及び該気密パッケージの製造方法を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る気密パッケージは、上面にMEMSデバイスが形成された半導体からなるMEMSデバイス基板と、前記MEMSデバイスの周囲を囲むように前記MEMSデバイス基板の上面に形成された枠部と、上面に形成された回路面と該回路面上に成膜された絶縁層とを有し、該絶縁層を前記MEMSデバイス基板側に対向させた状態で前記枠部を介してMEMSデバイス基板に接合され、MEMSデバイス基板と前記枠部とで囲まれたキャビティ内に前記MEMSデバイスを密閉状態で収容させるIC基板と、前記MEMSデバイスに対向するように前記絶縁層に形成され、前記枠部の内側でMEMSデバイスと前記回路面とを電気的に接続する電極パッドと、前記枠部の外側にて前記回路面に一端側が電気的に接続されると共に、前記MEMSデバイス基板又は前記IC基板の外面に他端側が露出して外部に電気的に接続される外部電極部と、を備えていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る気密パッケージの製造方法は、キャビティ内にMEMSデバイスが密閉状態で収容された気密パッケージを製造する方法であって、半導体からなるMEMSデバイス基板の上面に、半導体技術により上記MEMSデバイス及び該MEMSデバイスを囲む枠部を形成する第1の基板形成工程と、IC基板の上面に形成された回路面上に絶縁層を成膜すると共に、回路面に導通する電極パッドを前記MEMSデバイスに対向するように絶縁層に形成する第2の基板形成工程と、前記第1の基板形成工程又は前記第2の基板形成工程の際に、前記枠部の外側にて前記回路面に一端側が電気的に接続されると共に、前記MEMSデバイス基板又は前記IC基板の外面に他端側が露出して外部に電気的に接続される外部電極部を形成する外部電極部形成工程と、前記各工程が終了した後、前記絶縁層を前記MEMSデバイス基板側に対向させた状態で、前記枠部を介して前記IC基板をMEMSデバイス基板に重ね合わせる重ね合わせ工程と、重ね合わせた前記両基板を接合し、両基板と前記枠部とで囲まれたキャビティ内に前記MEMSデバイスを密閉状態で収容すると共に、前記電極パッドと前記MEMSデバイスとの間を電気的に接続させる接合工程と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法においては、第1の基板形成工程により、半導体技術を利用してMEMSデバイス基板の上面に、MEMSデバイス及び枠部を形成する。この際、MEMSデバイスの周囲を囲むように枠部を形成する。また、この工程と同時或いは前後のタイミングで第2の基板形成工程を行って、IC基板の上面に形成された回路面上に絶縁層を成膜すると共に、回路面に導通する電極パッドを絶縁層に形成する。これにより、電極パッドを介して、絶縁層の下層に配置された回路面に対して導通することが可能となる。また、電極パッドを形成する際、MEMSデバイス基板とIC基板とを重ね合わせた時にMEMSデバイスに対向する位置に形成する。
また、第1の基板形成工程又は第2の基板形成工程を行う際に、外部電極部形成工程を行って外部電極部を形成する。この際、外部電極部は、キャビティを構成する枠部の外側において、回路面に一端側が電気的に接続されるように形成する。
続いて、上述した全ての工程が終了した後、MEMSデバイス基板とIC基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程を行う。この際、回路面上に成膜された絶縁層をMEMSデバイス基板側に向けながら、枠部を介してIC基板を重ね合わせる。これにより、MEMSデバイスは、MEMSデバイス基板とIC基板と枠部とで囲まれた空間、即ち、キャビティ内に収容された状態となる。この際、電極パッドは、MEMSデバイスに対向した状態となる。
続いて、接合工程により、重ね合わせたMEMSデバイス基板とIC基板とを接合する。これにより、MEMSデバイスをキャビティ内に密閉状態で収容することができると共に、電極パッドとMEMSデバイスとを密着させて、両者を電気的に接続することができる。
このようにして製造された気密パッケージは、外部電極部を介してIC基板の回路面及びMEMSデバイスに対して導通を図ることができ、MEMSデバイスを作動させることができる。
ところで、MEMSデバイスと外部電極部とは、絶縁層の下層に形成されているIC基板の回路面を介して電気的に接続されている。しかも、外部電極部は、キャビティを構成する枠部の外側にて、回路面に電気的に接続されている。つまり、MEMSデバイスは、キャビティの外側まで引き出された回路面を介して、外部電極部に接続されている。よって、キャビティと外部とを物理的に連通するようにスルーホールが形成されていた従来のものとは異なり、キャビティ内を密閉した空間に保つことができる。従って、キャビティ内の気密性に影響を与えることがない。特に、絶縁層は、IC基板の回路面上に成膜されているので、絶縁層と回路面との間からキャビティ内の気密が破られる可能性は低い。
これらのことから、キャビティ内の気密が悪化してしまうことを防止でき、高い気密性を有するキャビティ内にMEMSデバイスを収容することができる。その結果、高品質化及び高信頼性化を図ることができる。また、MEMSデバイス基板とIC基板という2枚の基板をウエハレベルで接合した構成であるので、小型化、薄型化を図ることができる。
また、本発明に係る気密パッケージは、上記本発明の気密パッケージにおいて、前記外部電極部が、前記枠部の外側に配置されるように前記MEMSデバイス基板の上面に形成されたコンタクトアイランドと、該コンタクトアイランドに対向するように前記絶縁層に設けられ、コンタクトアイランドと前記回路面とを電気的に接続するアイランド用電極パッドと、前記MEMSデバイス基板を貫通するように形成され、一端側が前記コンタクトアイランドに電気的に接続されると共に他端側がMEMSデバイス基板の外面に露出する貫通配線と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る気密パッケージにおいては、MEMSデバイス基板を貫通する貫通配線、コンタクトアイランド及びアイランド用電極パッドを介して、外部と回路面とを導通することができる。特に、IC基板側に何ら加工を施すことなく、外部電極部を形成することができるので、IC基板の信頼性を保障することができる。また、貫通配線は、キャビティを構成している枠部の外側に配置されているので、仮に貫通配線の気密性が十分でない場合であっても、キャビティ内の気密性に何ら影響を与えることがない。
また、本発明に係る気密パッケージは、上記本発明の気密パッケージにおいて、前記外部電極部が、前記IC基板を貫通するように形成され、一端側が前記枠部の外側にて前記回路面に電気的に接続されると共に他端側がIC基板の外面に露出する貫通配線であることを特徴とするものである。
この発明に係る気密パッケージにおいては、IC基板を貫通する貫通配線を介して、外部と回路面とを導通することができる。特に、貫通配線を形成するだけで、外部電極部を形成することができるので、構成の簡略化を図ることができると共に低コストを図ることができる。また、貫通配線は、キャビティを構成している枠部の外側に配置されているので、仮に貫通配線の気密性が十分でない場合であっても、キャビティ内の気密性に何ら影響を与えることがない。
また、本発明に係る気密パッケージは、上記本発明の気密パッケージにおいて、前記MEMSデバイスが、前記回路面を介して印加された電圧に基づいて静電引力を発生させる電極部と、該電極部に対して所定距離を空けた状態で対向配置され、前記静電引力を受けて振動する振動部と、該振動部に対して所定距離を空けた状態で対向配置され、振動部との間の静電容量の変化を検出する検出部と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る気密パッケージにおいては、MEMSデバイスを発振子として機能させることができる。即ち、電極部は、回路面を介して印加された電圧に基づいて静電引力を発生させ、振動部を振動させる。すると、振動部と検出部との距離が変化するので静電容量が変化する。検出部は、この静電容量の変化を検出すると共に、周波数としてIC基板に出力する。IC基板は、この周波数が共振状態となるように電極部に印加する電圧を調整する。このように、MEMSデバイスを発振子として機能させることができる。特に、気密性に優れたキャビティ内に発振子を収容することができるので、高感度で高性能な発振子としてMEMSデバイスを作動させることができる。
また、本発明に係る気密パッケージは、上記本発明の気密パッケージにおいて、前記キャビティの内部が、大気圧よりも低い圧力に調整されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る気密パッケージの製造方法は、上記本発明の気密パッケージの製造方法において、前記接合工程の際に、前記キャビティ内を真空引きして、内部の圧力を大気圧よりも低い圧力に調整する圧力調整工程を行うことを特徴とするものである。
この発明に係る気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法においては、MEMSデバイス基板とIC基板とを接合する際に、キャビティ内を真空引きする圧力調整工程を行う。この工程を行うことで、キャビティ内の圧力を減圧することができ、大気圧よりも低い圧力、例えば、真空状態にすることができる。よって、ダンピングの影響を低減させた状態でMEMSデバイスを作動させることができる。しかも、気密性が高いキャビティであるので、時間と共に真空度が悪化する恐れがない。よって、性能が低下する恐れがなく、作動の信頼性を長期間に亘って確保することができる。
また、本発明に係る気密パッケージは、上記本発明の気密パッケージにおいて、前記絶縁層が、表面が平坦面とされていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る気密パッケージの製造方法は、上記本発明の気密パッケージの製造方法において、前記第2の基板形成工程の際に、前記絶縁層を成膜した後、研磨加工を行って絶縁層の表面を平坦面にする研磨工程を行うことを特徴とするものである。
この発明に係る気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法においては、研磨工程により絶縁層の表面を均一な平坦面にすることができるので、MEMSデバイス基板とIC基板との密着性を高めることができ、キャビティ内の気密性をより高めることができる。
また、本発明に係る気密パッケージの製造方法は、上記本発明の気密パッケージの製造方法において、前記接合工程の際に、400℃以下の温度環境下で接合を行うことを特徴とするものである。
この発明に係る気密パッケージの製造方法においては、400℃以下の温度環境下でMEMSデバイス基板とIC基板とを接合するので、接合時にIC基板にかかる温度負荷をできるだけ抑えることができる。従って、性能に影響を与えるほどの温度にIC基板が達してしまうことを防ぐことができる。よって、信頼性を向上することができる。
本発明によれば、小型化、薄型化を図りながら、MEMSデバイスが収容されるキャビティ内を高気密に維持することができ、高品質化及び高信頼性化を図ることができる気密パッケージを得ることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る気密パッケージの第1実施形態を、図1から図19を参照して説明する。なお、本実施形態では、気密パッケージを発振器として以下に説明する。
図1に示すように、発振器1は、MEMS基板(MEMSデバイス基板)2と、IC基板3とが2層に接合されたもので、両基板2、3の間に形成されたキャビティ4内に発振子として機能するMEMSデバイス5が密閉状態で収容されている。
上記MEMS基板2は、上面視矩形状に形成された半導体からなる基板であり、MEMSデバイス5と、該MEMSデバイス5の周囲を囲むフレーム(枠部)10と、該フレーム10の外側に配置されたコンタクトアイランド11と、が上面に形成されている。
なお本実施形態では、MEMS基板2をシリコン基板、より具体的には、シリコン支持層2a(例えば、厚さ300〜800μm)と該シリコン支持層2a上に形成された二酸化珪素(SiO)のBOX(Buried Oxide)層2b(例えば、厚さ数μm)と、該BOX層2b上に形成されたシリコン活性層2c(例えば、厚さ5〜100μm)とを有するSOI(Silicon On Insulator)基板を用いた例に挙げて説明する。また、上述したMEMS基板2の上面とは、シリコン活性層2c側の面である。但し、MEMS基板2は、このようなシリコン基板に限られず、半導体基板であれば構わない。
上記MEMSデバイス5は、図1から図3に示すように、振動部12と、該振動部12に対して所定距離(例えば、2μm以下)を空けた状態で、振動部12を間に挟むように対向配置された駆動アイランド(電極部)13及び検出アイランド(検出部)14と、を備えている。なお、図2は図1に示すA−A断面を示す図であり、図3は図1に示すB−B断面を示す図である。
振動部12は、両端が振動部アイランド15によって支持されており、駆動アイランド13との間に発生した静電引力を受けて駆動アイランド13及び検出アイランド14に対して接近離間する方向(図1及び図3に示す矢印C方向)に振動するようになっている。この振動部12は、シリコン活性層2cにより形成されており、振動部12とシリコン支持層2aとの間のBOX層2bが除去されている。これにより、振動部12とシリコン支持層2aとの間には振動ギャップが空いており、中空に浮いた状態で振動部アイランド15によって両端が支持されている。
振動部12の両端を支持する2つの振動部アイランド15は、シリコン活性層2c及びBOX層2bから形成されており、上面がIC基板3の後述する能動回路面(回路面)20上に成膜された絶縁層21に接合されている。この際、振動部アイランド15の一部は、絶縁層21に埋没するように形成された後述するコンタクト電極(電極パッド)22を介して、IC基板3の能動回路面20に電気的に接続されている。振動部12及び振動部アイランド15は、このコンタクト電極22を介して所定の電位(例えばGND)に保たれている。
駆動アイランド13は、振動部アイランド15と同様に、シリコン活性層2c及びBOX層2bから形成されており、やはり上面が絶縁層21に接合された状態となっている。この際、駆動アイランド13の一部も同様に、コンタクト電極22を介してIC基板3の能動回路面20に電気的に接続されている。そして、駆動アイランド13は、能動回路面20及びコンタクト電極22を介して印加された電圧に基づいて振動部12との間に静電引力を発生させ、振動部12を上述した方向に振動させるようになっている。
検出アイランド14は、駆動アイランド13と同様に、シリコン活性層2c及びBOX層2bから形成されており、上面が絶縁層21に接合されている。また、検出アイランド14の一部も同様に、コンタクト電極22を介してIC基板3の能動回路面20に電気的に接続されている。そして、検出アイランド14は、振動する振動部12との間の距離変化を静電容量の変化として検出し、周波数としてIC基板3に出力するようになっている。
このように構成されたMEMSデバイス5は、IC基板3とMEMS基板2とフレーム10とで囲まれたキャビティ4に密閉状態で収容されている。なお本実施形態のキャビティ4は、内部が真空状態に維持された状態となっている。
フレーム10は、振動部アイランド15、駆動アイランド13及び検出アイランド14に対してそれぞれ所定の距離を空けた状態で、MEMSデバイス5の周囲を囲むように、例えば上面視四角形状に形成されている。このフレーム10は、シリコン活性層2c及びBOX層2bから形成されており、上面が絶縁層21に接合されている。これにより、キャビティ4内を密閉している。
上記コンタクトアイランド11は、フレーム10の外側に配置されるように形成されている。具体的には、フレーム10から所定の距離を空けた状態で、フレーム10の各辺に対向するように4つ形成されている。このコンタクトアイランド11も、シリコン活性層2c及びBOX層2bから形成されており、上面が絶縁層21に接合されている。この際、コンタクトアイランド11の一部は、絶縁層21に埋没するように形成された後述するアイランド用電極(アイランド用電極パッド)23を介して、IC基板3の能動回路面20に電気的に接続された状態となっている。
また、MEMS基板2には、一端側がコンタクトアイランド11に電気的に接続されると共に、他端側がMEMS基板2の外面に露出する貫通配線24が形成されている。詳細に説明すると、この貫通配線24は、シリコン支持層2aからBOX層2bを厚さ方向に貫通するように形成されており、コンタクトアイランド11を構成するシリコン活性層2cに一端側が接続し、他端側がシリコン支持層2aの下面(外面)に露出している。
上述した、コンタクトアイランド11、アイランド用電極23及び貫通配線24は、フレーム10の外側にて能動回路面20に一端側が電気的に接続されると共に、MEMS基板2の外面に他端側が露出して外部に電気的に接続される外部電極部25として機能するようになっている。
上記IC基板3は、上面(MEMS基板2に対向する面)に、MEMSデバイス5を作動させる回路等を含む能動回路面20を有している。また、この能動回路面20上には、表面が平坦化された絶縁層21が成膜されている。これにより、能動回路面20は、絶縁層21の下層に隠された状態となっている。このIC基板3は、絶縁層21をMEMS基板2側に対向させた状態で、主にフレーム10を介してMEMS基板2に接合されている。この接合によって、キャビティ4内にMEMSデバイス5が密閉状態で収容されている。また、フレーム10だけでなく、振動部アイランド15、駆動アイランド13、検出アイランド14及びコンタクトアイランド11が、それぞれIC基板3に接合されている。
ところで、絶縁層21には、能動回路面20に導通するコンタクト電極22及びアイランド用電極23が、所定の位置に埋没するように形成されている。この際、コンタクト電極22は、両基板2、3を重ね合わせたときに、MEMSデバイス5の駆動アイランド13、検出アイランド14及び振動部アイランド15にそれぞれ対向する位置に形成されている。一方、アイランド用電極23は、両基板2、3を重ね合わせたときに、コンタクトアイランド11に対向する位置に形成されている。これにより、両基板2、3を接合した際に、駆動アイランド13、検出アイランド14、振動部アイランド15及びコンタクトアイランド11をそれぞれ絶縁層21の下層に配置されている能動回路面20に対して導通させることができるようになっている。
次に、このように構成された発振器1を作動させる場合について、簡単に説明する。まず、貫通配線24、コンタクトアイランド11及びアイランド用電極23を介してIC基板3の能動回路面20に外部から電源を供給すると共に、作動を開始させる信号を入力する。すると、IC基板3は、能動回路面20及びコンタクト電極22を介して駆動アイランド13に対して交流信号(交流電圧)を印加する。駆動アイランド13は、これを受けて、該駆動アイランド13と振動部12との間に静電引力を発生させる。振動部12は、この静電引力によって、駆動アイランド13及び検出アイランド14に対して接近離間するように振動する。振動部12が振動すると、該振動部12と検出アイランド14との間の距離が変化し、両者の静電容量が変化する。検出アイランド14は、この静電容量の変化を周波数としてIC基板3に出力する。そして、IC基板3は、この周波数が共振状態となるように、駆動アイランド13に印加する交流信号を設定する。
このようにして、MEMSデバイス5を発振子として機能させることができる。
次に、このように構成された発振器1の製造方法について、以下に説明する。
本実施形態の製造方法は、第1の基板形成工程と、第2の基板形成工程と、外部電極部形成工程と、重ね合わせ工程と、接合工程と、を適宜行うことで、発振器1を製造する方法である。これら各工程について、図4から図19を参照しながら以下に説明する。なお、図4から図9は、図1に示すA−A断面に沿った視点を図示している。
まず、MEMS基板2の上面に、半導体プロセス技術によりMEMSデバイス5、フレーム10及びコンタクトアイランド11を形成する第1の基板形成工程を行う。また、これと同時に、外部電極部形成工程を行って、外部電極部25を構成する貫通配線24を同じタイミングで形成する。
始めに、図4に示すように、シリコン支持層2aとBOX層2bとシリコン活性層2cとからなるSOI基板でもあるMEMS基板2を用意する。続いて、図5に示すように、シリコン支持層2a上にエッチングマスクとなるフォトレジスト膜30を成膜する。成膜後、図6に示すように、フォトレジスト膜30をフォトリソグラフィ技術によって部分的に除去するようにパターニングし、貫通配線24を形成する領域のシリコン支持層2aを露出させる。
続いて、図7に示すように、フォトレジスト膜30をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)を行って、マスクされていないシリコン支持層2aを選択的に除去して貫通配線24用の貫通孔24aを形成する。この際、シリコン支持層2aだけでなく、BOX層2bも同時に除去しておく。
なお、上述したドライエッチングに限らず、水酸化カリウム(KOH)やテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等のアルカリ性エッチャントによる異方性エッチング(ウェットエッチング)によりシリコン支持層2a及びBOX層2bを除去しても構わない。
そして、図8に示すように、マスクとしていたフォトレジスト膜30を除去すると共に、貫通孔24a内を埋めるように金属材料をメッキ等により形成して貫通配線24を形成する。貫通配線24を形成した後、図9に示すように、シリコン活性層2c上にエッチングマスクとなるフォトレジスト膜31を成膜する。成膜後、図10に示すように、フォトレジスト膜31をフォトリソグラフィ技術によって部分的に除去するようにパターニングし、振動部12を形成する領域のシリコン活性層2cを露出させる。
続いて、図11に示すように、フォトレジスト膜31をマスクとして同様にドライエッチングやウェットエッチングを行い、マスクされていないシリコン活性層2cを所定距離(例えば、0.5μm〜5μm)だけ除去する。これにより、振動部12とIC基板3との間の振動ギャップを形成することができる。
続いて、マスクとしていたフォトレジスト膜31を除去した後、図12に示すように、新たなフォトレジスト膜32をシリコン活性層2c上に成膜する。そして、図13に示すように、フォトレジスト膜32をフォトリソグラフィ技術によって部分的に除去するようにパターニングし、MEMSデバイス5、フレーム10、コンタクトアイランド11となる以外の領域のシリコン活性層2cを露出させる。
続いて、図14に示すように、フォトレジスト膜30をマスクとして同様にドライエッチングやウェットエッチングを行い、マスクされていないシリコン活性層2cを選択的に除去する。この際、BOX層2bをエッチングストップとして利用する。そして、図15に示すように、ドライエッチングやフッ酸を利用したウェットエッチングを行って、露出したBOX層2b及び、振動部12の下層に位置するBOX層2bを選択的に除去する。
その結果、MEMS基板2の上面(シリコン活性層2c側)にMEMSデバイス5、フレーム10、コンタクトアイランド11を形成することができると共に、コンタクトアイランド11に電気的に接続した貫通配線24を形成することができる。
次に、IC基板3の能動回路面20上に絶縁層21を形成すると共に、能動回路面20に導通するコンタクト電極22及びアイランド用電極23を絶縁層21に形成する第2の基板形成工程を行う。
まず、図16に示すように、IC基板3の上面に能動回路面20を形成する。続いて、図17に示すように、能動回路面20上の所定位置に金属材料をパターニングして、コンタクト電極22及びアイランド用電極23をそれぞれ形成する。この際、駆動アイランド13、検出アイランド14及び振動部アイランド15に対向する位置にコンタクト電極22を形成すると共に、コンタクトアイランド11に対向する位置にアイランド用電極23を形成する。
続いて、図18に示すように、能動回路面20上にTEOS(Tetraethyl orthosilicate)やSiO等の絶縁層21を成膜する。この際、コンタクト電極22及びアイランド用電極23を覆うように厚めに絶縁層21を成膜する。そして、図19に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置等により、コンタクト電極22及びアイランド用電極23が露出するまで絶縁層21の表面を研磨加工する研磨工程を行う。この工程を行うことで、絶縁層21の表面の凹凸をなくすことができ、表面を平坦面とすることができる。また、コンタクト電極22の表面と、外部電極部25を構成するアイランド用電極23の表面と、絶縁層21の表面とが、段差がない面一状態となる。
この時点で、第1の基板形成工程、第2の基板形成工程及び外部電極部形成工程が終了する。なお、第2の基板形成工程は、第1の基板形成工程と同じタイミングで行っても構わないし、前後のタイミングで行っても構わない。
次に、MEMS基板2とIC基板3とを重ね合わせる重ね合わせ工程を行う。この際、能動回路面20上に成膜された絶縁層21をMEMS基板2側に向けながら、フレーム10を介してIC基板3を重ね合わせる。これにより、MEMSデバイス5は、キャビティ4内に収容された状態となる。また、コンタクト電極22が駆動アイランド13、検出アイランド14及び振動部アイランド15にそれぞれ重なると共に、アイランド用電極23がコンタクトアイランド11に重なった状態となる。
次に、MEMS基板2とIC基板3とを接合する接合工程を行う。ここで、接合を行う前に、キャビティ4内を真空引きする圧力調整工程を行う。この工程を行うことで、キャビティ4内の圧力を減圧することができ、大気圧よりも低い圧力にすることができる。本実施形態では、キャビティ4内を真空状態にする。
真空引きが終了した後、接合を開始する。これより、内部の圧力が真空に調整されたキャビティ4内にMEMSデバイス5を密閉状態で収容することができる。また、コンタクト電極22が駆動アイランド13、検出アイランド14及び振動部アイランド15に対して密着して導通した状態になると共に、アイランド用電極23がコンタクトアイランド11に対して密着して導通した状態となる。
その結果、図1に示す気密パッケージを製造することができる。
このように製造された発振器1は、MEMSデバイス5と外部電極部25とが絶縁層21の下層に形成されている能動回路面20を介して接続されている。しかも、貫通配線24で構成される外部電極部25は、キャビティ4を構成するフレーム10の外側にて、能動回路面20に接続されている。つまり、MEMSデバイス5は、キャビティ4の外側まで引き出された能動回路面20を介して、外部電極部25に接続されている。よって、キャビティと外部とを連通するようにスルーホールが形成されていた従来のものとは異なり、キャビティ4内を密閉した空間に保つことができる。従って、キャビティ4内の気密性に影響を与えることがない。
特に、絶縁層21は、能動回路面20上に成膜されているので、絶縁層21と能動回路面20との間からキャビティ4内の気密が破られる可能性は低い。しかも、絶縁層21の表面は、凹凸がない平坦面となっているので、MEMS基板2とIC基板3との密着性を高めることができ、上述した可能性が低く、気密性を確実なものにすることができる。
以上のことから、キャビティ4内の気密が悪化してしまうことを防止でき、高い気密性を有するキャビティ4内に発振子として機能するMEMSデバイス5を収容することができる。その結果、高感度で高性能な発振子としてMEMSデバイス5を作動させることができ、発振器1の高品質化及び高性能化を図ることができる。
しかも、キャビティ4内は真空状態になっているので、ダンピングの影響を低減させた状態で振動部12を振動させることができる。また、気密性が高いキャビティ4であるので、時間と共に真空度が悪化する恐れがない。よって、性能が低下する恐れがなく、作動の信頼性を長期間に亘って確保することができる。
また、本実施形態では、シリコン支持層2aに貫通配線24を形成しているが、この貫通配線24はキャビティ4の外側に配置されている。そのため、仮に貫通孔24aの粗れ等によって貫通配線24の気密性が十分でない場合であっても、キャビティ4内の気密性に何ら影響を与えることがない。
また、本実施形態の発振器1は、MEMS基板2とIC基板3という2枚の基板をウエハレベルで接合した構成であるので、小型化及び薄型化を図ることができる。また、IC基板3側に何ら加工を施すことなく、外部電極部25を形成することができるので、IC基板3の信頼性を保障することができる。
上述したように、本実施形態の発振器1によれば、小型化、薄型化を図りながら、発振子として機能するMEMSデバイス5が収容されるキャビティ4内を高気密に維持することができ、高品質化及び高信頼性化を図ることができる。
なお、上述した発振器1は、各種の電子機器の基板回路上に実装されて使用される。この際、図20に示すように、発振器1の周囲を樹脂35でモールドした状態で実装しても構わない。
つまり、MEMS基板2を上側にした状態でIC基板3をリードフレーム36上に接着剤37を利用して固定する。そして、MEMS基板2の外面に露出している貫通配線24の他端側と、リードフレーム36とをワイヤー38を介してワイヤーボンディングによって電気的に接続する。最後に、リードフレーム36が露出するように、発振器1を樹脂35によりモールドしてパッケージングする。これにより、図示しない基板回路上に発振器1を安定して実装することができ、使い易くなる。
また、図21に示すように、貫通配線24の他端側にバンプ39を形成し、該バンプ39を介して基板回路上に直接実装しても構わない。こうすることで、パッケージレス化を図ることができる。
なお、上記第1実施形態において、接合工程を行う際に、400℃以下の温度環境下で接合を行うことが好ましい。こうすることで、接合時にIC基板3にかかる温度負荷をできるだけ抑えることができる。従って、性能に影響を与えるほどの温度にIC基板3が達してしまうことを防ぐことができ、動作保障をより確実にして信頼性を向上することができる。
このような接合方法としては、例えば、表面活性化接合、AuSi共晶接合、AuSn共晶接合やAuAu熱圧着接合等が考えられる。
表面活性化接合は、接合を行う前に、MEMS基板2及びIC基板3の表面にAr、O、N等のプラズマやArイオンビーム等を照射して、互いの表面を活性化させておく。その後、両基板2、3を200℃〜400℃程度に加熱して接合を行う方法である。この方法は、Si−Si、Si−SiO、SiO−SiO等の組み合わせで可能な方法である。そのため、絶縁層21をSiOの層にしたり、フレーム10等の上面をSiOの層にしたりすれば良い。
また、AuSi共晶接合は、AuとSiとの共晶反応による融解を利用して接合させる方法である。この場合には、フレーム10等に対向するように絶縁層21上にAuの薄膜をパターン形成した後、MEMS基板2とIC基板3とを重ね合わせる。そして、両基板2、3を360℃以上に加熱することで、共晶反応を利用して接合させることができる。このように、AuとSiとの共晶反応を利用して接合を行っても構わない。
また、AuSn共晶接合は、AuとSnとの共晶反応による融解を利用して接合させる方法である。この場合には、MEMS基板2又はIC基板3の一方或いは両方に、AnSn合金の薄膜をパターン形成したり、一方の基板にAuの薄膜をパターン形成すると共に他方の基板にSnの薄膜をパターン形成したりした後、両基板2、3を重ね合わせる。そして、両基板2、3を250℃以上に加熱することで、共晶反応を利用して接合させることができる。このように、AuとSnとの共晶反応を利用して接合を行っても構わない。
また、両基板2、3の表面にAuを成膜した後、300℃以上に加熱しながら、両基板2、3を1MPa以上の荷重で圧接することで接合を行っても構わない。つまり、AuAu熱圧着接合により接合を行っても構わない。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について、図22から図31を参照して説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、外部電極部25がMEMS基板2側に形成されていたが、第2実施形態ではIC基板3側に形成されている点である。
即ち、本実施形態の発振器40は、図22及び図23に示すように、貫通配線41が形成されているIC基板3を備えている。なお、図23は、図22に示すD−D断面を示す図である。
この貫通配線41は、IC基板3を貫通するように形成され、一端側がフレーム10の外側にて能動回路面20に電気的に接続されると共に、他端側がIC基板3の外面に露出するように形成されている。即ち、本実施形態では、この貫通配線41が外部電極部として機能する。このように、IC基板3側に貫通配線41が形成されているので、本実施形態のMEMS基板2には、第1実施形態のようにコンタクトアイランド11や貫通配線24が不要である。また、絶縁層21にアイランド用電極23を形成する必要もない。
このように構成された発振器40によれば、IC基板3側に貫通配線41を形成するだけで外部電極部を形成することができるので、構成の簡略化を図ることができると共に、低コスト化を図ることができる。また、仮に貫通孔41aの粗れによって貫通配線41の気密性が十分でない場合であっても、フレーム10の外側に配置されているので、第1実施形態と同様にキャビティ4内の気密性に何ら影響を与えることがない。
また、第1実施形態のようにMEMS基板2側にコンタクトアイランド11や貫通配線24を形成する必要がないので、構成の簡略化を図ることができると共に、第1実施形態に比べて製造工程、製造時間の短縮化、デバイスの小型化を図ることができる。なお、上述した点以外に関しては、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、本実施形態の発振器40の製造方法について、図24から図31を参照にして簡単に説明する。なお、本実施形態の製造方法は、第2の基板形成工程の際に、外部電極部形成工程を行って、IC基板3に絶縁層21やコンタクト電極22を形成すると同時に貫通配線41を形成する。
まず、第1の基板形成工程を行って、MEMS基板2の上面にMEMSデバイス5及びフレーム10を形成する。即ち、図24に示すように、スタート基板となるSOI基板でもあるMEMS基板2を用意した後、図25に示すように、シリコン活性層2cを部分的に削って、振動部12の振動ギャップを形成する。続いて、図26に示すように、MEMSデバイス5、フレーム10となる以外の部分のシリコン活性層2cを選択的に除去する。そして、図27に示すように、露出したBOX層2b及び振動部12の下層に位置するBOX層2bを除去して、MEMSデバイス5及びフレーム10を形成する。
このように本実施形態では、第1の基板形成工程の際に、コンタクトアイランド11を形成する必要がないので、工程を簡略化することができる。
次に、第2の基板形成工程を行う。まず、図28に示すように、IC基板3に貫通孔41aを形成すると共に、該貫通孔41a内を埋めるように金属材料を形成して貫通配線41を形成する。なお、貫通配線41が予め設けられたIC基板3を用意しても構わない。
続いて、図29に示すように、IC基板3の上面に能動回路面20を形成する。これにより、貫通配線41の一端側は、能動回路面20に導通した状態となる。続いて、図30に示すように、能動回路面20上の所定位置に金属材料をパターニングして、コンタクト電極22を形成する。そして、このコンタクト電極22を覆うように能動回路面20上に絶縁層21を形成した後、コンタクト電極22が表面に露出するまで絶縁層21の表面を研磨加工する。
これにより、図31に示すように、絶縁層21の表面を平坦面にすることができると共に、コンタクト電極22の表面と絶縁層21の表面とが段差がなく、面一となった状態になる。その後、第1実施形態と同様に、重ね合わせ工程及び接合工程を行うことで、図22に示す発振器40を製造することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、振動部12の両端が振動部アイランド15に支持された構成を例に挙げて説明したが、振動部アイランド15を1つだけ形成し、該振動部アイランド15によって振動部12が片持ち状態で支持されるように構成しても構わない。この場合であっても、MEMSデバイス5を同様に発振子として機能させることができる。
また、上記各実施形態では、MEMSデバイス5を発振子として機能させ、気密パッケージを発振器1、40に適用した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、MEMSデバイスを、加速度センサや角速度センサとして機能させ、気密パッケージをこのようなセンサを有するデバイスとして機能させても構わない。このように、本発明に係る気密パッケージを、幅広い分野に適用することができる。
特に、本実施形態のように、キャビティ4内を減圧して真空状態に設定しても構わないが、MEMSデバイス5が振動部12を有していない場合には、キャビティ4内を減圧する必要はなく、単に密閉するだけでも構わない。この場合であっても、キャビティ4内の気密性が高いので、外部から塵埃等が侵入する可能性を低減することができ、高品質で信頼性の高い気密パッケージとすることができる。
本発明に係る第1実施形態の発振器の斜視図である。 図1に示すA−A断面を示す図である。 図1に示すB−B断面を示す図である。 図1に示す発振器の製造方法を示した一工程図であって、スタート基板となるMEMS基板(SOI基板)を示す断面図である。 図4に示す状態の後、シリコン支持層上にフォトレジスト膜を成膜した状態を示す図である。 図5に示す状態の後、フォトレジスト膜をパターニングした状態を示す図である。 図6に示す状態の後、フォトレジスト膜をマスクとしてシリコン支持層及びBOX層をエッチング加工し、貫通孔を形成した状態を示す図である。 図7に示す状態の後、貫通孔を利用して貫通配線を形成した状態を示す図である。 図8に示す状態の後、シリコン活性層上にフォトレジスト膜を成膜した状態を示す図である。 図9に示す状態の後、フォトレジスト膜をパターニングした状態を示す図である。 図10に示す状態の後、フォトレジスト膜をマスクとしてシリコン活性層をエッチング加工し、振動ギャップを形成した状態を示す図である。 図11に示す状態の後、シリコン活性層上に新たなフォトレジスト膜を成膜した状態を示す図である。 図12に示す状態の後、フォトレジスト膜をパターニングした状態を示す図である。 図13に示す状態の後、フォトレジスト膜をマスクとしてシリコン活性層をエッチング加工した状態を示す図である。 図14に示す状態の後、露出したBOX層及び振動部の下層のBOX層を選択的に除去して、MEMSデバイス、フレーム及びコンタクトアイランドを形成した状態を示す図である。 図1に示す発振器の製造方法を示した一工程図であって、IC基板上に能動回路面を形成した状態を示す図である。 図16に示す状態の後、能動回路面上にコンタクト電極、アイランド用電極を形成した状態を示す図である。 図17に示す状態の後、両電極を覆うように能動回路面上に絶縁層を成膜した状態を示す図である。 図18に示す状態の後、両電極が露出するまで絶縁層の表面を研磨した状態を示す図である。 図1に示す発振器を実装する場合の一例を示す図であって、フレーム上に固定した発振器の周囲を樹脂でモールドした状態を示す図である。 図1に示す発振器を実装する場合の一例を示す図であって、貫通配線の他端側にバンプを形成した状態を示す図である。 本発明に係る第2実施形態の発振器の斜視図である。 図22に示すD−D断面を示す図である。 図22に示す発振器の製造方法を示した一工程図であって、スタート基板となるMEMS基板(SOI基板)を示す断面図である。 図24に示す状態の後、シリコン活性層上に振動ギャップを形成した状態を示す図である。 図25に示す状態の後、シリコン活性層を選択的に除去した状態を示す図である。 図26に示す状態の後、露出したBOX層及び振動部の下層のBOX層を選択的に除去して、MEMSデバイス及びフレームを形成した状態を示す図である。 図22に示す発振器の製造方法を示した一工程図であって、IC基板に貫通配線を形成した状態を示す図である。 図28に示す状態の後、IC基板に能動回路面を形成した状態を示す図である。 図29に示す状態の後、能動回路面上にコンタクト電極を形成した状態を示す図である。 図30に示す状態の後、能動回路面上に絶縁層を成膜し、コンタクト電極が露出するまで絶縁層の表面を研磨した状態を示す図である。 従来のパッケージの一例を示す断面図である。 従来のパッケージの別の一例を示す断面図である。 従来のパッケージの更に別の一例を示す断面図である。
符号の説明
1、40 発振器(気密パッケージ)
2 MEMS基板(MEMSデバイス基板)
3 IC基板
4 キャビティ
5 MEMSデバイス
10 フレーム(枠部)
11 コンタクトアイランド
12 振動部
13 駆動アイランド(電極部)
14 検出アイランド(検出部)
20 能動回路面(回路面)
21 絶縁層
22 コンタクト電極(電極パッド)
23 アイランド用電極(アイランド用電極パッド)
24 貫通配線
25 外部電極部
41 貫通配線(外部電極部)

Claims (10)

  1. 上面にMEMSデバイスが形成された半導体からなるMEMSデバイス基板と、
    前記MEMSデバイスの周囲を囲むように前記MEMSデバイス基板の上面に形成された枠部と、
    上面に形成された回路面と該回路面上に成膜された絶縁層とを有し、該絶縁層を前記MEMSデバイス基板側に対向させた状態で前記枠部を介してMEMSデバイス基板に接合され、MEMSデバイス基板と前記枠部とで囲まれたキャビティ内に前記MEMSデバイスを密閉状態で収容させるIC基板と、
    前記MEMSデバイスに対向するように前記絶縁層に形成され、前記枠部の内側でMEMSデバイスと前記回路面とを電気的に接続する電極パッドと、
    前記枠部の外側にて前記回路面に一端側が電気的に接続されると共に、前記MEMSデバイス基板又は前記IC基板の外面に他端側が露出して外部に電気的に接続される外部電極部と、を備えていることを特徴とする気密パッケージ。
  2. 請求項1に記載の気密パッケージにおいて、
    前記外部電極部は、
    前記枠部の外側に配置されるように前記MEMSデバイス基板の上面に形成されたコンタクトアイランドと、
    該コンタクトアイランドに対向するように前記絶縁層に設けられ、コンタクトアイランドと前記回路面とを電気的に接続するアイランド用電極パッドと、
    前記MEMSデバイス基板を貫通するように形成され、一端側が前記コンタクトアイランドに電気的に接続されると共に他端側がMEMSデバイス基板の外面に露出する貫通配線と、を備えていることを特徴とする気密パッケージ。
  3. 請求項1に記載の気密パッケージにおいて、
    前記外部電極部は、前記IC基板を貫通するように形成され、一端側が前記枠部の外側にて前記回路面に電気的に接続されると共に他端側がIC基板の外面に露出する貫通配線であることを特徴とする気密パッケージ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の気密パッケージにおいて、
    前記MEMSデバイスは、
    前記回路面を介して印加された電圧に基づいて静電引力を発生させる電極部と、
    該電極部に対して所定距離を空けた状態で対向配置され、前記静電引力を受けて振動する振動部と、
    該振動部に対して所定距離を空けた状態で対向配置され、振動部との間の静電容量の変化を検出する検出部と、を備えていることを特徴とする気密パッケージ。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の気密パッケージにおいて、
    前記キャビティの内部は、大気圧よりも低い圧力に調整されていることを特徴とする気密パッケージ。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の気密パッケージにおいて、
    前記絶縁層は、表面が平坦面とされていることを特徴とする気密パッケージ。
  7. キャビティ内にMEMSデバイスが密閉状態で収容された気密パッケージを製造する方法であって、
    半導体からなるMEMSデバイス基板の上面に、半導体技術により上記MEMSデバイス及び該MEMSデバイスを囲む枠部を形成する第1の基板形成工程と、
    IC基板の上面に形成された回路面上に絶縁層を成膜すると共に、回路面に導通する電極パッドを前記MEMSデバイスに対向するように絶縁層に形成する第2の基板形成工程と、
    前記第1の基板形成工程又は前記第2の基板形成工程の際に、前記枠部の外側にて前記回路面に一端側が電気的に接続されると共に、前記MEMSデバイス基板又は前記IC基板の外面に他端側が露出して外部に電気的に接続される外部電極部を形成する外部電極部形成工程と、
    前記各工程が終了した後、前記絶縁層を前記MEMSデバイス基板側に対向させた状態で、前記枠部を介して前記IC基板をMEMSデバイス基板に重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    重ね合わせた前記両基板を接合し、両基板と前記枠部とで囲まれたキャビティ内に前記MEMSデバイスを密閉状態で収容すると共に、前記電極パッドと前記MEMSデバイスとの間を電気的に接続させる接合工程と、を備えていることを特徴とする気密パッケージの製造方法。
  8. 請求項7に記載の気密パッケージの製造方法において、
    前記接合工程の際に、前記キャビティ内を真空引きして、内部の圧力を大気圧よりも低い圧力に調整する圧力調整工程を行うことを特徴とする気密パッケージの製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の気密パッケージの製造方法において、
    前記第2の基板形成工程の際に、前記絶縁層を成膜した後、研磨加工を行って絶縁層の表面を平坦面にする研磨工程を行うことを特徴とする気密パッケージの製造方法。
  10. 請求項7から9のいずれか1項に記載の気密パッケージの製造方法において、
    前記接合工程の際に、400度以下の温度環境下で接合を行うことを特徴とする気密パッケージの製造方法。
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