JP2009058063A - 手動変速機のギヤ鳴り防止装置 - Google Patents

手動変速機のギヤ鳴り防止装置 Download PDF

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Abstract

【課題】リバースシフト操作に際して、前進段用の同期装置を十分な時間作動させてインプットシャフトの回転を停止させ、ギヤ鳴りの防止を確実にする。
【解決手段】インターロックプレート26の周端面26Sとシフトインナーレバー21の筒部21aとを連通しプレボーグ部材60を嵌入した連通孔64と、シフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向中立位置にあるとき、プレボーグ部材60の一端部の筒部21a側への脱出を規制する一方、アーム部21bが軸線方向中立位置から軸線方向後ヘッド25側へ移動したとき、前記脱出を許容するように、筒部21aの表面に形成された規制面21eおよびプレボーグ部材脱出溝21cと、を備え、アーム部21bがヘッド(後進段用係合片)25aに係合可能な位置に配置されているとき、プレボーグ部材60の他端部がヘッド(前進段用係合片)24bとの対向位置に配置される。
【選択図】図9

Description

本発明は、自動車等の車両に搭載される手動変速機のギヤ鳴り防止装置に関し、特に、後進段用の同期装置を備えていない手動変速機において、後進段にシフトチェンジする際のギヤ鳴りを防止するための技術に関する。
車両用の手動変速機(マニュアルトランスミッション)においては、前進段には同期装置が設けられているが、後進段には同期装置が設けられていないものが多い。通常、前進段から後進段にシフトチェンジするリバースシフト操作は、クラッチが解放され且つ車両が停車した状態で行われる。このとき、変速機構のインプットシャフトに設けられているリバースドライブギヤおよびカウンタシャフト(FF車両の場合にはアウトプットシャフトとも呼ばれる)に設けられているリバースドリブンギヤは共に停止状態となり、停止状態の両ギヤに対してリバースアイドラギヤの噛合動作が行われると想定されるからである。
ところが、実際のところ、クラッチが解放されていても、インプットシャフトはその慣性によって惰性回転している場合がある。特に、車両の前進走行状態から停車した直後にリバースシフト操作を行う場合にはこのような状況となる可能性が高い。このような状況で、リバースアイドラギヤを軸線方向に移動させて、インプットシャフトと一体に回転しているリバースドライブギヤに噛合させようとすると、回転しているリバースドライブギヤに対して、停止しているリバースアイドラギヤを噛合させることとなるため、円滑な噛み合い動作が行われず、いわゆる「リバースシフトギヤ鳴り」と呼ばれる異音が発生することがあり、ドライバーに違和感を与えてしまう。
このリバースシフトギヤ鳴りの発生防止を目的として、リバースシフト操作に伴い、前進段用の同期装置を作動させて上記噛み合い動作の前にインプットシャフトの回転を低下させる機構を備えたギヤ鳴り防止装置が従来より提案されている。
例えば、特許文献1には、シフトセレクトシャフト(特許文献1では「コントロールロッド」と称している。)にカム溝を有するカムプレートが固着される一方、前進段と後進段とを得るためのフォークシャフト(特許文献1では「シフトロッド」と称している。以下、「前後進段兼用フォークシャフト」という。)の側面から上記シフトセレクトシャフトのカムプレートに向かってピンが延出され、そのピンの先端部が上記カム溝に摺動自在に係合された構成が開示されている。
このギヤ鳴り防止装置によれば、後進段に向けてセレクト操作をする際に(シフトセレクトシャフトの回動動作が行われる際に)上記前後進段兼用フォークシャフトが僅かに5速段側にスライド移動し、5速段用の同期装置が作動するようになっている。そうすることで、車両の停車と同時に回転が停止するアウトプットシャフトに、惰性回転しているインプットシャフトが連繋されて、インプットシャフトの回転が低下ないし停止され、これにより上記リバースシフトギヤ鳴りが防止される。
実開平5−1059号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているギヤ鳴り防止装置では、ドライバーが操作するシフトレバーがセレクト操作されるとき、当該シフトレバーがごく限られた範囲に位置するときに限り、同期装置が作動するようになっており、シフトレバーがリバースセレクト位置まで完全に移動されると、上記同期装置の作動が解除されるようになっている。
このため、通常のドライバーのセレクト操作では、同期装置の作動は一時的にしか行われず、インプットシャフトの慣性回転の低減が不完全な状態でアウトプットシャフトとの継合に至り、ギヤ鳴りを発生するおそれがある。このことは、セレクト操作速度が速いドライバーほど、同期装置の作動時間が短縮されることから、インプットシャフトの慣性回転の低減が不十分となり易く、ギヤ鳴りを発生する可能性が高くなる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リバースシフト操作に際して、前進段用の同期装置を十分な時間作動させてインプットシャフトの回転を停止させ、ギヤ鳴りの防止を確実ならしめることを可能とした手動変速機のギヤ鳴り防止装置を提供することにある。
上述の課題を解決するための手段として、本発明の手動変速機のギヤ鳴り防止装置は、セレクト操作に応じて軸線回りに回動し、シフト操作に応じて軸線方向へ移動するシフトセレクトシャフトと、前記シフトセレクトシャフトに固定された基部およびこの基部から径方向に延在したアーム部を有するシフトインナーレバーと、前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記アーム部の回動経路を挟んで配設された各一対の前進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向への移動が同期装置の作動および前進段への変速動作の実行に連動される複数の前進段用係合部と、前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記複数の前進段用係合部の端位置にある前進段用係合片に並べられて前記アーム部の回動経路の片側に配設された後進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向の前記片側への移動が後進段への変速動作の実行に連動される後進段用係合部と、軸線方向へ移動不能に設けられつつ、前記シフトインナーレバーの基部に対しては軸線方向に相対移動可能に且つ軸線回りに相対回動不能に外嵌され、前記アーム部に係合されて軸線方向へ移動される1つの係合片の通過のみを許容する係合片通路が形成されたインターロック部材と、を備えるものにおいて、前記インターロック部材の前記前進段用係合片に臨む端面と前記シフトインナーレバーの基部とを連通する前記インターロック部材内に形成された連通孔と、前記連通孔に移動自在に嵌入されたプレボーグ部材と、前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置にあるとき前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出を規制する一方、前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置から軸線方向後進段用係合片側へ移動したとき前記脱出を許容するように、前記シフトインナーレバーの基部の表面に形成された規制面および脱出凹部と、を備えている。そして、前記シフトインナーレバーのアーム部が後進段用係合片に係合可能な位置に配置されているとき、前記プレボーグ部材の他端部が何れかの前進段用係合片との対向位置に配置されるように、前記連通孔の前記アーム部に対する形成位置が設定されており、前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が規制されているとき、当該プレボーグ部材の他端部が前記連通孔の前記前進段用係合片に臨む端面側から突出し、この他端部の対向位置に前記前進段用係合片が配置されるときに、その前進段用係合片を前進段への変速動作が成立することなく同期装置が作動する程度に中立位置復帰力に抗して中立位置からシフトセレクトシャフトの軸線方向へ押圧移動し、その後、前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が許容されたときに、その前進段用係合片が中立位置復帰力によって、前記プレボーグ部材を押し戻して中立位置に復帰するように構成されている。
なお、この発明は、前進段のシフトポジションと後進段のシフトポジションとが前後に対向配置されていないタイプのシフトゲートを備える手動変速機に適用することができる。
かかる構成によれば、ドライバーのシフトレバーによるシフト・セレクト操作に応じて、シフトインナーレバーのアーム部が後進段用係合片に係合可能な位置に配置されたとき、インターロック部材の端面から突出しているプレボーグ部材の他端部が前進段用係合片との対向位置に配置されて、当該前進段用係合片を中立位置復帰力に抗して押圧移動して、同期装置を作動させる。同期装置が作動すると惰性回転しているインプットシャフトが、後進段への変速動作時に回転停止していると考えられるアウトプットシャフトに連繋されて、当該インプットシャフトの惰性回転は強制的に停止または減速される。その後、シフトレバーがリバースシフト位置にシフト操作され、当該操作に応じて、シフトインナーレバーのアーム部によって後進段用係合片が軸線方向へ係合移動され、後進段への変速動作が実行されるとき、惰性回転停止されたインプットシャフトが、後進段用のギヤ列を介して同じく回転停止しているアウトプットシャフトに連繋されることとなり、リバースシフトギヤ鳴りの発生が防止される。
本発明では、シフトインナーレバーのアーム部が後進段用係合片に係合可能な位置に配置されている間、同期装置が作動するので、ドライバーが意図的にシフトレバーをリバースセレクト位置に十分な時間保持すれば、その間継続して同期装置を作動させることができ、これにより、インプットシャフトの惰性回転を完全に停止させて、リバースシフトギヤ鳴りの発生を確実に防止することが可能となる。
また、シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向後進段用係合片側へ移動されて、後進段への変速動作が実行される際には、プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が許容され、プレボーグ部材に押圧移動されていた前進段用係合片は、その中立位置復帰力によりプレボーグ部材を連通孔内に押し戻し、中立位置に復帰して同期装置の作動が解除される。このことによって、後進段への変速動作(シフト動作)は、プレボーク部材による悪影響を受けることなく円滑に行われることとなる。
また、本発明に係る手動変速機のギヤ鳴り防止装置は、インターロック部材内にプレボーグ部材を設け、シフトインナーレバーの基部に脱出凹部を形成したコンパクトな構造からなり、専らギヤ鳴りの防止を目的としてシフトセレクトシャフト等のシャフト類に部品を付加する構造のものではないことから、手動変速機のギヤレイアウトを変更したり、手動変速機の設置スペースを拡大することなくリバースシフトギヤ鳴りの発生を防止することができる。
また、本発明の手動変速機のギヤ鳴り防止装置は、以下のように構成されていてもよい。すなわち、本発明の手動変速機のギヤ鳴り防止装置は、セレクト操作に応じて軸線回りに回動し、シフト操作に応じて軸線方向へ移動するシフトセレクトシャフトと、前記シフトセレクトシャフトに固定された基部およびこの基部から径方向に延在したアーム部を有するシフトインナーレバーと、前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記アーム部の回動経路を挟んで配設された各一対の前進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向への移動が同期装置の作動および前進段への変速動作の実行に連動される複数の前進段用係合部と、前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記複数の前進段用係合部の端位置にある前進段用係合片に並べられて前記アーム部の回動経路を挟んで配設された前進段用係合片および後進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向の一方への移動が同期装置の作動および前進段への変速動作の実行に連動され、同軸線方向の他方への移動が後進段への変速動作の実行に連動される前後進段兼用係合部と、軸線方向へ移動不能に設けられつつ、前記シフトインナーレバーの基部に対しては軸線方向に相対移動可能に且つ軸線回りに相対回動不能に外嵌され、前記アーム部に係合されて軸線方向へ移動される1つの係合片の通過のみを許容する係合片通路が形成されたインターロック部材と、を備えるものにおいて、前記インターロック部材の前記前進段用係合片に臨む端面と前記シフトインナーレバーの基部とを連通する前記インターロック部材内に形成された連通孔と、前記連通孔に移動自在に嵌入されたプレボーグ部材と、前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置にあるとき前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出を規制する一方、前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置から前記軸線方向の他方側へ移動したとき前記脱出を許容するように、前記シフトインナーレバーの基部の表面に形成された規制面および脱出凹部と、を備えている。そして、前記シフトインナーレバーのアーム部が前記後進段用係合片に係合可能な位置に配置されているとき、前記プレボーグ部材の他端部が何れかの前進段用係合部の前進段用係合片との対向位置に配置されるように、前記連通孔の前記アーム部に対する形成位置が設定されており、前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が規制されているとき、当該プレボーグ部材の他端部が前記連通孔の前記前進段用係合片に臨む端面側から突出し、この他端部の対向位置に前記前進段用係合部の前進段用係合片が配置されるときに、その前進段用係合片を前進段への変速動作が成立することなく同期装置が作動する程度に中立位置復帰力に抗して中立位置からシフトセレクトシャフトの軸線方向へ押圧移動し、その後、前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が許容されたときに、その前進段用係合片が中立位置復帰力によって、前記プレボーグ部材を押し戻して中立位置に復帰するように構成されている。
なお、この発明は、前進段のシフトポジションと後進段のシフトポジションとが前後に対向配置されているタイプのシフトゲートを備える手動変速機に適用することができる。
かかる構成によれば、ドライバーのシフトレバーが前進段兼リバースセレクト位置にセレクト操作され、当該操作に応じて、シフトインナーレバーのアーム部が前後進段兼用係合部の後進段用係合片に係合可能な位置に配置されたときは、連通孔の前記端面側から突出しているプレボーグ部材の他端部が前進段用係合片との対向位置に配置されて、当該前進段用係合片を中立位置復帰力に抗して押圧移動して、同期装置を作動させる。同期装置が作動すると惰性回転しているインプットシャフトが、後進段への変速動作時に回転停止していると考えられるアウトプットシャフトに連繋されて、インプットシャフトの惰性回転は強制的に停止または減速される。その後、シフトレバーがリバースシフト位置にシフト操作され、当該操作に応じて、シフトインナーレバーのアーム部によって後進段用係合片が前記軸線方向の他方側へ係合移動されて後進段への変速動作が実行されるとき、回転停止されたインプットシャフトが、後進段用のギヤ列を介して同じく回転停止しているアウトプットシャフトに連繋されることとなり、リバースシフトギヤ鳴りの発生が防止される。
本発明では、シフトインナーレバーのアーム部が後進段係合片に係合可能な位置に配置されている間、同期装置が作動するので、ドライバーが意図的にシフトレバーを前進段兼リバースセレクト位置に十分な時間保持すれば、その間継続して同期装置を作動させることができ、これにより、インプットシャフトの惰性回転を停止させて、リバースシフトギヤ鳴りの発生を確実に防止することが可能となる。
また、シフトインナーレバーのアーム部が前記軸線方向の他方側へ移動されて、後進段への変速動作が実行される際には、プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が許容され、プレボーグ部材に押圧移動されていた前進段用係合片は、その中立位置復帰力によりプレボーグ部材を連通孔内に押し戻し、中立位置に復帰して同期装置の作動が解除される。このことによって、後進段への変速動作は、プレボーク部材による悪影響を受けることなく円滑に行われることとなる。
また、本発明に係る手動変速機のギヤ鳴り防止装置も、インターロック部材内にプレボーグ部材を設け、シフトインナーレバーの基部に脱出凹部を形成したコンパクトな構造からなることから、既述した手動変速機のギヤ鳴り防止装置と同様の作用効果が得られる。
また、前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置にあるときにおける前記脱出凹部の前記連通孔側の端部近傍に、当該端部に向かって凹み深さが浅くなる傾斜部が形成されていることが好ましい。
上記傾斜部が形成されていれば、シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置に復帰する際に、シフトインナーレバーの基部側へ脱出していたプレボーグ部材の一端部の連通孔内への復帰動作が円滑に行われる。
また、前記プレボーグ部材は、両端に配置された2個の球体と、これら球体の間に配置された弾性部材と、を備えるものであることが好ましい。
前記プレボーグ部材がそのような構成を備えていれば、プレボーグ部材の両端部における摺動抵抗が低減されるとともに、プレボーグ部材の円滑な作動が確保される。また、両端部が球体であることにより、シフトインナーレバーの基部に対するプレボーグ部材の押圧力が基部の軸線方向に作用しないので、セレクト操作中に、上記基部と一体であるアーム部がプレボーグ部材の突出側と反対側へ移動されることもなく、これにより、ドライバーが意図しない変速動作が実行されてしまうことも予防される。
また、前記プレボーグ部材は、両端部に球面状部を有する部材からなるものであってもよい。
かかる構成によっても、両端部が球面状部であることにより、プレボーグ部材の両端部における摺動抵抗が低減される。また上記と同様の理由により、ドライバーが意図しない変速動作が実行されてしまうことも予防される。
また、前記シフトインナーレバーのアーム部が前記後進段用係合片に係合可能な位置に配置されているとき、前記プレボーグ部材の他端部が、前記後進段用係合片から最も離れた位置にある前進段用係合部の何れか一方の前進段用係合片との対向位置に配置されるように、前記連通孔の前記アーム部に対する形成位置が設定されていることが好ましい。
かかる構成によれば、シフトインナーレバーのアーム部が回動方向中立位置から後進段用係合片に係合可能な位置に向かって回動中、プレボーグ部材の他端部は、後進段用係合片から最も離れた位置にある上記前進段用係合片を押圧するまでの間に、その他の前進段用係合片を押圧しない。このため、プレボーグ部材を設けたことにより生じるドライバーのセレクト操作力に対する負荷の増加を最小限に抑えることができる。
本発明に係る手動変速機のギヤ鳴り防止装置によれば、リバースシフト操作に際して、前進段用の同期装置を十分な時間作動させてインプットシャフトの回転を停止させ、ギヤ鳴りの防止を確実ならしめることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の実施の形態では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に搭載された、前進6速段、後進1速段の同期噛み合い式手動変速機(マニュアルトランスミッション)を例に挙げて説明する。
[第1の実施の形態]
<手動変速機のギヤレイアウト>
図1は本発明の実施の形態における手動変速機のギヤレイアウトの一部を断面で示した図である。この図1に示すギヤレイアウトは、図示しないトランスミッションケース内に収容されており、互いに平行に配置されたインプットシャフト1、アウトプットシャフト2およびリバースシャフト3(図1において2点鎖線で示す。)が、トランスミッションケースによって回転自在に支持されている。
インプットシャフト1は、図示しないエンジンのクランクシャフトにクラッチ機構を介して連結されており、このクラッチ機構の係合動作によりエンジンの回転駆動力が入力されるようになっている。
インプットシャフト1とアウトプットシャフト2との間には、前進1速段〜前進6速段および後進段の各変速段を成立させるための複数の変速ギヤ列4〜10が設けられている。具体的には、前進段用のギヤ列として、図1において右側から順に軸線方向左側に向かって、1速ギヤ列4、2速ギヤ列5、3速ギヤ列6、4速ギヤ列7、5速ギヤ列8および6速ギヤ列9が配設されている。また、後進段用のギヤ列として、リバースギヤ列10が配設されている。
1速ギヤ列4は、インプットシャフト1に相対回転不能に取り付けられた1速ドライブギヤ4aと、アウトプットシャフト2に対して相対回転自在に組み付けられた1速ドリブンギヤ4bとを備えており、これら1速ドライブギヤ4aと1速ドリブンギヤ4bとは互いに噛み合っている。
2速ギヤ列5は、インプットシャフト1に相対回転不能に取り付けられた2速ドライブギヤ5aと、アウトプットシャフト2に対して相対回転自在に組み付けられた2速ドリブンギヤ5bとを備えており、これら2速ドライブギヤ5aと2速ドリブンギヤ5bとは互いに噛み合っている。
3速ギヤ列6は、インプットシャフト1に相対回転自在に組み付けられた3速ドライブギヤ6aと、アウトプットシャフト2に相対回転不能に取り付けられた3速ドリブンギヤ6bとを備えており、これら3速ドライブギヤ6aと3速ドリブンギヤ6bとは互いに噛み合っている。
4速ギヤ列7は、インプットシャフト1に相対回転自在に組み付けられた4速ドライブギヤ7aと、アウトプットシャフト2に相対回転不能に取り付けられた4速ドリブンギヤ7bとを備えており、これら4速ドライブギヤ7aと4速ドリブンギヤ7bとは互いに噛み合っている。
5速ギヤ列8は、インプットシャフト1に相対回転自在に組み付けられた5速ドライブギヤ8aと、アウトプットシャフト2に相対回転不能に取り付けられた5速ドリブンギヤ8bとを備えており、これら5速ドライブギヤ8aと5速ドリブンギヤ8bとは互いに噛み合っている。
6速ギヤ列9は、インプットシャフト1に相対回転自在に組み付けられた6速ドライブギヤ9aと、アウトプットシャフト2に相対回転不能に取り付けられた6速ドリブンギヤ9bとを備えており、これら6速ドライブギヤ9aと6速ドリブンギヤ9bとは互いに噛み合っている。
上記各変速ギヤ列の切り換え動作(変速動作)は、3つのシンクロメッシュ機構(同期装置)11,12,13によって行われる。なお、本実施の形態では周知のダブルコーン式のものを例に挙げて図示している。
第1のシンクロメッシュ機構11は、1速ドリブンギヤ4bと2速ドリブンギヤ5bとの間におけるアウトプットシャフト2上に設けられている。この第1のシンクロメッシュ機構11が1速ドリブンギヤ4b側に作動すると、1速ドリブンギヤ4bがアウトプットシャフト2に相対回転不能に連結され、1速ドライブギヤ4aと1速ドリブンギヤ4bとの間で、インプットシャフト1からアウトプットシャフト2への動力伝達が行われるようになる(1段変速)。一方、第1のシンクロメッシュ機構11が2速ドリブンギヤ5b側に作動すると、2速ドリブンギヤ5bがアウトプットシャフト2に相対回転不能に連結され、2速ドライブギヤ5aと2速ドリブンギヤ5bとの間で、インプットシャフト1からアウトプットシャフト2への動力伝達が行われるようになる(2段変速)。
第2のシンクロメッシュ機構12は、3速ドライブギヤ6aと4速ドライブギヤ7aとの間におけるインプットシャフト1上に設けられている。この第2のシンクロメッシュ機構12が3速ドライブギヤ6a側に作動すると、3速ドライブギヤ6aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結され、3速ドライブギヤ6aと3速ドリブンギヤ6bとの間で、インプットシャフト1からアウトプットシャフト2への動力伝達が行われるようになる(3段変速)。一方、第2のシンクロメッシュ機構12が4速ドライブギヤ7a側に作動すると、4速ドライブギヤ7aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結され、4速ドライブギヤ7aと4速ドリブンギヤ7bとの間で、インプットシャフト1からアウトプットシャフト2への動力伝達が行われるようになる(4段変速)。
第3のシンクロメッシュ機構13は、5速ドライブギヤ8aと6速ドライブギヤ9aと間におけるインプットシャフト1上に設けられている。この第3のシンクロメッシュ機構13が5速ドライブギヤ8a側に作動すると、この5速ドライブギヤ8aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結され、5速ドライブギヤ8aと5速ドリブンギヤ8bとの間で、インプットシャフト1からアウトプットシャフト2への動力伝達が行われるようになる(5段変速)。一方、第3のシンクロメッシュ機構13が6速ドライブギヤ9a側に作動すると、6速ドライブギヤ9aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結され、6速ドライブギヤ9aと6速ドリブンギヤ9bとの間で、インプットシャフト1からアウトプットシャフト2への動力伝達が行われるようになる(6段変速)。
このようにして、前進時には、シフトチェンジ動作時を除いて、インプットシャフト1の回転駆動力が、シンクロメッシュ機構11,12,13のうちの何れか一つの作動によって選択された一つの変速ギヤ列4〜9を介してアウトプットシャフト2へ伝達される。
一方、リバースギヤ列10は、インプットシャフト1に相対回転不能に取り付けられたリバースドライブギヤ10aと、アウトプットシャフト2に相対回転不能に取り付けられたリバースドリブンギヤ10bと、リバースシャフト3に対してスライド移動自在に組み付けられたリバースアイドラギヤ10c(図1において2点鎖線で示す。)とを備えている。これらギヤ10a,10b,10cは前進時には動力伝達を行わず、後進時には全てのシンクロメッシュ機構11,12,13が中立状態に設定され、リバースアイドラギヤ10cがリバースシャフト3の軸線方向に移動することによって、リバースドライブギヤ10aおよびリバースドリブンギヤ10bの両方のギヤに噛み合うことで、リバースドライブギヤ10aの回転方向を逆転させてリバースドリブンギヤ10bに伝達する。これにより、アウトプットシャフト2が上記前進段の場合とは逆方向に回転し、駆動輪は後退方向に回転する。なお、リバースドリブンギヤ10bは第1のシンクロメッシュ機構11の外周側に相対回転不能に配設されている。
このようにして所定の変速比で変速または逆回転されてアウトプットシャフト2に伝達された回転駆動力は、ファイナルドライブギヤ15aとファイナルドリブンギヤ15bとからなるファイナルリダクションギヤ列15の終減速比によって減速された後、ディファレンシャル装置16へ伝達される。これによって、図示しない駆動輪が前進方向または後進方向に回転する。
<シフトパターン>
図2は、本実施形態における6速マニュアルトランスミッションのシフトパターンであるシフトゲート形状の概略を示している。図中2点鎖線で示すシフトレバーLは、図2に矢印Xで示す方向のセレクト操作と、セレクト操作方向に直交する矢印Yで示す方向のシ
フト操作とが行い得る形状になっている。
セレクト操作方向には、1速―2速セレクト位置P1,3速―4速セレクト位置P2,5速―6速セレクト位置P3およびリバースセレクト位置P4が一列に並んでいる。
1速―2速セレクト位置P1でのシフト操作(矢印Y方向の操作)により、シフトレバーLを1速位置1stまたは2速位置2ndに動かすことができる。1速位置1stに操作された場合、第1のシンクロメッシュ機構11は1速ドリブンギヤ4b側に作動し、この1速ドリブンギヤ4bがアウトプットシャフト2に相対回転不能に連結される。また、2速位置2ndに操作された場合、上記第1のシンクロメッシュ機構11は2速ドリブンギヤ5b側に作動し、この2速ドリブンギヤ5bがアウトプットシャフト2に相対回転不能に連結される。
同様に、3速−4速セレクト位置P2でのシフト操作により、シフトレバーLを3速位置3rdまたは4速位置4thに動かすことができる。3速位置3rdに操作された場合、第2のシンクロメッシュ機構12は3速ドライブギヤ6a側に作動し、この3速ドライブギヤ6aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結される。また、4速位置4thに操作された場合、第2のシンクロメッシュ機構12は4速ドライブギヤ7a側に作動し、この4速ドライブギヤ7aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結される。
また、5速―6速セレクト位置P3でのシフト操作により、シフトレバーLを5速位置5thまたは6速位置6thに動かすことができる。5速位置5thに操作された場合、第3のシンクロメッシュ機構13は5速ドライブギヤ8a側に作動し、この5速ドライブギヤ8aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結される。また、6速位置6thに操作された場合、第3のシンクロメッシュ機構13は6速ドライブギヤ9a側に作動し、この6速ドライブギヤ9aがインプットシャフト1に相対回転不能に連結される。
更に、リバースセレクト位置P4でのシフト操作により、シフトレバーLをリバース位置REVに動かすことができる。このリバース位置REVに操作された場合、上記全てのシンクロメッシュ機構11,12,13が中立状態となると共に、上記リバースアイドラギヤ10cがリバースシャフト3の軸線方向に移動して上記リバースドライブギヤ10aおよびリバースドリブンギヤ10bに噛み合うことになる。
<セレクト・シフト機構>
次に、上述したシフトレバーLを操作することで前進1速段〜前進6速段および後進段の各変速段を成立させるためにシフトレバーLの操作力を各シンクロメッシュ機構11,12,13や、リバースアイドラギヤ10cに選択的に伝達するためのセレクト・シフト機構について説明する。
このセレクト・シフト機構では、シフトレバーLは図示しないセレクトケーブルおよびシフトケーブルによりシフトセレクトシャフト20(図3参照)に連結されており、このシフトセレクトシャフト20はセレクト操作に応じて軸線回り(図3に矢印Mで示す方向)に回動し、シフト操作に応じて軸線方向(図3に記号Nで示す紙面垂直方向)へスライド移動するようになっている。すなわち、シフトレバーLに対するセレクト操作力(図2に矢印Xで示す方向の操作力)がセレクトケーブルを経てシフトセレクトシャフト20の軸線回りの回動力として、また、シフトレバーLに対するシフト操作力(図2に矢印Yで示す方向の操作力)がシフトケーブルを経てシフトセレクトシャフト20の軸線方向のスライド移動力としてそれぞれ伝達されるようになっている。
また、各シンクロメッシュ機構11,12,13に備えられている各スリーブ13a(図4参照)にはそれぞれに対応して配設されたシフトフォーク30(図3および図4では3本のシフトフォークのうちの1本のみを示している)が係合されており、これらシフトフォーク30の基端部分は、それぞれに対応して設けられた前進段用のフォークシャフト40(図3および図4では3本のフォークシャフトのうちの1本のみを示している)によってそれぞれ支持されている。そして、セレクト操作に応じたシフトセレクトシャフト20の軸線回りの回動によって1本のフォークシャフト40がシフト操作力伝達可能に選択され、シフト操作に応じたシフトセレクトシャフト20のスライド移動によって、選択された1本のフォークシャフト40が軸線方向にスライド移動し、このフォークシャフト40に設けられた1本のシフトフォーク30を介して所定の一つのシンクロメッシュ機構11,12又は13を作動させる。
図3は、上記セレクト・シフト機構の一部をシフトセレクトシャフト20の軸線方向から視た図である。シフトインナーレバー21は、シフトセレクトシャフト20の外周に外嵌固定された筒部(基部)21aと、この筒部21aから径方向に延在したアーム部21bとを有している。シフトインナーレバー21の筒部21aには、軸線方向に相対移動可能に且つ軸線回りに相対回動不能にインターロックプレート(インターロック部材)26が外嵌されている。このインターロックプレート26には、シフトインナーレバー21のアーム部21bの回動両側に摺接する相対向する一対の案内面からなる係合片通路26cが軸線方向に延在して形成されている。そして、この係合片通路26cの案内面同士の間隔は、シフトインナーレバー21のアーム部21bに係合されて軸線方向に移動されるヘッド22a〜24b,25a(「ヘッド22a〜24b,25a」については後に詳述する。)が同時に複数個通過することを規制するもの、つまり、1つのヘッドの通過のみを許容するものとなっている。なお、インターロックプレート26は、上記したように、シフトインナーレバー21の筒部21aに対して軸線方向に移動可能であるが、トランスミッションケースC(シフトインナーレバー21以外のもの)に対しては軸線方向に移動不能に設けられている。
また、シフトレバーLが、図2に矢印Xで示すセレクト方向にセレクト操作されると、その操作力がセレクトケーブルによりシフトセレクトシャフト20に伝達されてシフトセレクトシャフト20は回動され、そのシフトレバーLの操作位置に応じた回動位置をとる。図3では、シフトレバーLが5速―6速セレクト位置P3に操作されたときのシフトセレクトシャフト20およびシフトインナーレバー21の回動位置を示している。
また、シフトレバーLが、図2に矢印Yで示すシフト方向にシフト操作されると、その操作力がシフトケーブルによりシフトセレクトシャフト20に伝達されてこのシフトセレクトシャフト20が軸線方向(図3の紙面に直交する方向)にスライド移動し、そのシフトレバーLの操作位置に応じたスライド位置をとる。
一方、各シンクロメッシュ機構11,12,13に対応して配設された各フォークシャフト40(図3、図4では5速―6速用のフォークシャフト40のみを示している。)には、シフトインナーレバー21のアーム部21bの回動経路を挟んで配設された各一対のヘッド(前進段用係合片)22a〜24a,22b〜24b(以下この符号を「22a〜24b」と記す。)を有する前進段用係合部22〜24がそれぞれ配置されている。これらヘッド22a〜24bには、セレクト操作に応じてシフトインナーレバー21のアーム部21bが選択的に係合可能に配置され、選択されたヘッド22a〜24bは、同アーム部21bによってシフトセレクトシャフト20の軸線方向に係合移動される。各一対のヘッド22a〜24bの中立位置から上記軸線方向への移動、つまり、各一対のヘッドを有する各前進段用係合部22〜24の中立位置から上記軸線方向への移動は、同期装置の作動およびその後の前進段への変速動作の実行にそれぞれ連動されるようになっている。
さらに、上記複数の前進段用係合部22〜24の端位置にあるヘッド22aに並べられ、シフトインナーレバー21のアーム部21bの回動経路の片側に、ヘッド(後進段用係合片)25aが配設されている。このヘッド25aにも、セレクト操作に応じてシフトインナーレバー21のアーム部21bが選択的に係合可能に配置され、同アーム部21bによってシフトセレクトシャフト20の軸線方向に係合移動される。このヘッド25aおよびこれが設けられた後進段用係合部25の軸線方向の前記片側への移動は後進段への変速動作の実行に連動されるようになっている。具体的には、ヘッド25aが設けられた後進段用係合部25は、リバースアイドラギヤ10cの軸線方向へのスライド移動と連動する図示しない後進段用変速動作伝達部に設けられており、ヘッド25aが軸線方向へ移動されることにより、後進段用変速動作伝達部を介してリバースアイドラギヤ10cが軸線方向へスライド移動される。これにより、リバースアイドラギヤ10cは、リバースドライブギヤ10aおよびリバースドリブンギヤ10bの両方のギヤに噛合わされ、後進段への変速動作が実行される。上記後進段用変速動作伝達部としては、例えばフォークシャフト、リバースアームなどが採用される。
図3における符号22は1速―2速用フォークシャフトに形成された前進段用係合部を、符号23は3速―4速用フォークシャフトに形成された前進段用係合部を、符号24は5速―6速用フォークシャフトに設けられた前進段用係合部をそれぞれ示している。また、符号25は、上記後進段用変速動作伝達部に設けられた後進段用係合部を示している。シフトレバーLが、中立位置(本実施形態では、3速―4速セレクト位置P2)にあり、何れの変速段も成立していない状態では、シフトインナーレバー21のアーム部21bも軸線方向および回動方向中立位置にあり、各ヘッド22a〜24bは同アーム部21bの回動経路の両側に沿って隣接配置される。
そして、上述したシフトレバーLのセレクト操作に応じてシフトセレクトシャフト20と一体にシフトインナーレバー21のアーム部21bが回動して、シフトレバーLのセレクト位置に応じた回動位置に配置されているヘッド22a〜24bと係合可能な位置に選択的に配置される。例えば、シフトレバーLが1速―2速セレクト位置P1に操作された場合にはシフトインナーレバー21のアーム部21bは1速―2速用フォークシャフトに設けられた前進段用係合部22のヘッド22a,22bと係合可能に配置され、シフトレバーLが3速―4速セレクト位置P2に操作された場合には上記アーム部21bは3速―4速用フォークシャフトに設けられた前進段用係合部23のヘッド23a,23bと係合可能に配置され、シフトレバーLが5速―6速セレクト位置P3に操作された場合には上記アーム部21bは5速―6速用フォークシャフトに設けられた前進段用係合部24のヘッド24a,24bに係合可能に配置され、シフトレバーLがリバースセレクト位置P4に操作された場合には上記アーム部21bは上記後進段用変速動作伝達部に設けられた後進段用係合部25のヘッド25aに係合可能に配置される。
このようにして何れかのヘッド22a〜24b,25aにシフトインナーレバー21のアーム部21bが係合可能に配置されることで、一つのフォークシャフト40または後進段用変速動作伝達部が操作力伝達可能に選択される。この選択状態から、シフトレバーLがシフト方向に操作されると、その操作力がシフトケーブルによりシフトセレクトシャフト20に伝達される。これにより、シフトセレクトシャフト20がその軸線方向にスライド移動し、シフトインナーレバー21のアーム部21bが何れかの(前進段用)ヘッド22a〜24bに係合している場合には、その係合しているヘッド22a〜24bとともに、ヘッド22a〜24bが設けられている何れかの前進段用係合部22〜24およびこれに連動するフォークシャフトをスライド移動させることで何れかのシンクロメッシュ機構11,12,13が作動することになる。また、シフトインナーレバー21のアーム部21bが(後進段用)ヘッド25aに係合している場合には、ヘッド25aとともに、このヘッド25aが設けられている後進段用係合部25を軸線方向にスライド移動させることで、これに連動する後進段用変速動作伝達部がリバースアイドラギヤ10cをリバースシャフト3の軸線方向に移動することになる。
例えば図3に示すようにシフトインナーレバー21のアーム部21bが5速―6速用フォークシャフト40に形成された前進段用係合部24のヘッド24a,24bに係合可能に配置されている状態からシフトレバーLが5速位置5thにシフト操作された場合には、シフトセレクトシャフト20が図3の紙面手前側に移動し、これに伴ってアーム部21b、前進段用係合部24、フォークシャフト40およびシフトフォーク30が同方向に移動することで、第3のシンクロメッシュ機構13が5速ドライブギヤ8a側に作動して5段変速が成立する。また、この図3に示す状態からシフトレバーLが6速位置6thにシフト操作された場合には、シフトセレクトシャフト20が図3の紙面奥側に移動し、これに伴ってアーム部21b、前進段用係合部24、フォークシャフト40およびシフトフォーク30も同方向に移動することで、第3のシンクロメッシュ機構13が6速ドライブギヤ9a側に作動して6段変速が成立することになる。
図4は、5速―6速用フォークシャフト40とシンクロメッシュ機構13との係合部分を示す断面図である。この図に示すように、フォークシャフト40には2点鎖線で示す連結部30aを介して上記シフトフォーク30が取り付けられており、このシフトフォーク30の先端部がシンクロメッシュ機構13のスリーブ13aに係合されている。
また、フォークシャフト40には5速段−中立位置−6速段に対応した3個のロックボール溝41,42,43が形成され、これらロックボール溝41,42,43の何れかに、フォークシャフト40側に押圧されている1個のロックボール44が選択的に嵌入され得るようになっている。ロックボール44は、トランスミッションケースCに形成された孔C1の内部に収容され、同じく孔C1に収容されて孔C1のプラグ45によって係止された圧縮状態のコイルスプリング46によりフォークシャフト40側に押圧されている。これらの構成により、ギヤ抜け防止と節度感が得られるようになっている。
各前進段用係合部22〜24が設けられたフォークシャフト40が上記中立位置から軸線方向へ僅かに移動すると、ロックボール44がロックボール溝42から完全に離脱しない限り、ロックボール44がロックボール溝42側に押圧されていることによりフォークシャフト40およびこれに固定されている前進段用係合部22〜24(ヘッド22a〜24b)に対し、中立位置に復帰させようとする中立位置復帰力が作用する。
また、図4に示すように、シンクロメッシュ機構13(11,12)においては、シンクロナイザハブ17の外径側に、周方向に等間隔をおいて複数のシンクロナイザーキー18が配設されており、各シンクロナイザーキー18の中央部に外周側に突出して形成された突起18aが、スリーブ13aの内周面に形成された周方向の溝13bに係合されている。シンクロナイザーキー18は、シンクロナイザハブ17の内部に配設されたキースプリング19によってスリーブ13aの内周面に押し付けられている。かかる構成によっても、上記ロックボール44等からなる機構と同様に、ヘッド22a〜24bおよびフォークシャフト40が上記中立位置から軸線方向へ僅かに移動すると、シンクロナイザーキー18の突起18aがスリーブ13aの内周面に形成された溝13bから完全に離脱しない限り、シンクロナイザーキー18がスリーブ13aの内周面に押圧されていることによりスリーブ13aに対し、中立位置に復帰させようとする中立位置復帰力が作用する。この中立位置復帰力は、スリーブ13aに係合されているシフトフォーク30を介してフォークシャフト40およびこれに固定されている前進段用係合部22〜24(ヘッド22a〜24b)にも伝達される。
なお、1速―2速用フォークシャフト(図示省略)と第1のシンクロメッシュ機構11との係合部分、3速―4速用フォークシャフト(図示省略)と第2のシンクロメッシュ機構12との係合部分も同様の構成となっている。
<ギヤ鳴り防止装置>
次に、本発明の実施の形態に係る手動変速機のギヤ鳴り防止装置の特徴部分について説明する。このギヤ鳴り防止装置は、リバースシフトギヤ鳴りの発生を防止するためのものであって、リバースシフト操作に際して、シンクロメッシュ機構(例えば第3のシンクロメッシュ機構13)を作動させてインプットシャフト1の回転を十分に低下または停止させた上で、インプットシャフト1とアウトプットシャフトとの連繋を行うものである。本実施形態では、第3のシンクロメッシュ機構13を作動させることにより、ギヤ鳴りを防止するギヤ鳴り防止装置を例に挙げて説明するが、ギヤ鳴り防止に利用するシンクロメッシュ機構は、第3のシンクロメッシュ機構13以外であってもよい。
図5(a)はシフトインナーレバー21を軸線方向から視た図、図5(b)はシフトインナーレバー21を軸線に直交する方向から視た図である。既述したように、シフトインナーレバー21は、シフトセレクトシャフト20に外嵌固定される筒部21aと、この筒部21aから径方向に延在したアーム部21bを有している。筒部21aの外周面には、途中位置からヘッド25aに臨む端面と反対側の端面21Sに向かって脱出凹部21cが形成されている。
筒部21aの外周面のうち上記脱出凹部21cが形成されていない領域はシフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向中立位置にあるとき後述するプレボーグ部材60の一端部の筒部21a側への脱出を規制する規制面21eとなる。一方、上記脱出凹部21cは、シフトインナーレバー21のアーム部21aが軸線方向中立位置から軸線方向ヘッド25a側へ移動したとき上記脱出を許容するように形成されている。なお、本明細書においては、上記脱出凹部21cとして軸線方向に延在した溝であるプレボーグ部材脱出溝21cを例に挙げて説明する。
図6は、上記シフトインナーレバー21の筒部21aにインターロックプレート26が外嵌された状態を示す図であって、軸線を含む切断面で切断した断面図である。インターロックプレート26は、既述したように、シフトインナーレバー21の筒部21aに外嵌されており、1つのヘッドの通過のみを許容する係合片通路26c(図3参照)が形成されている。これにより同時に複数の前進段用係合部22〜24がアーム部21bにより係合移動されて同時に複数のシンクロメッシュ機構が作動したり、同士の複数の変速段が成立することが防止されている。
また、インターロックプレート26内には、ヘッド22a〜24bに臨む一方の周端面26Sとシフトインナーレバー21の筒部21aとを連通する連通孔64が形成されており、この連通孔64には、後述するプレボーグ部材60が移動自在に嵌入されている。
図7(a)〜図9(a)は、図3において、シフトインナーレバー21の筒部21aとインターロックプレート26との境界面に沿って切断した円筒面を中心側から視た展開図である。図7(b)〜図9(b)は、各図7(a)〜図9(a)において、軸線を含む切断面で切断した断面図であって、プレボーグ部材60およびその周囲を示したものである。
図7および図8は、シフトインナーレバー21のアーム部21bが、軸線方向中立位置にある状態を示している。つまり、図2において各セレクト位置P1〜P4が一列に並ぶ線上にシフトレバーLがあり、これに応じた位置にシフトインナーレバー21のアーム部21bが配置されている状態を示している。この状態では、プレボーグ部材60の一端部(後述する球体61)の筒部21a側への脱出がプレボーグ部材脱出溝21cが形成されていない筒部21aの領域で形成される規制面21eにて規制されるように、プレボーグ部材脱出溝21cの連通孔64側端部(以下「始端部」ともいう。)の位置が設定されている。つまり、この状態では、連通孔64の筒部21a側の一部又は全部が、上記規制面21eによって閉塞される。
また、シフトレバーLが3速―4速セレクト位置P2に配置されて、図7に示すように、シフトインナーレバー21のアーム部21bが回動方向中立位置であってヘッド23a,23bに係合可能な位置に配置されているとき、プレボーグ部材60の他端部(後述する球体63)が全てのヘッド22a〜24b,25aとの非対向位置に配置される。また、シフトレバーLがリバースセレクト位置P4に配置され、図8〜図9に示すように、同アーム部21bがヘッド25aに係合可能な回動位置に配置されているとき、プレボーグ部材60の他端部がヘッド25aから最も離れた位置に配置されている前進段用係合部24のヘッド24aとの対向位置に配置されるように、連通孔64のアーム部21bに対する形成位置が設定されている。
図9は、シフトインナーレバー21のアーム部21bが、軸線方向中立位置から軸線方向ヘッド25a側(後進段用係合片側)へ移動したときの状態を示している。この状態では、プレボーグ部材60の一端部(後述する球体61)の筒部21a側への脱出が許容されるように、プレボーグ部材脱出溝21cの始端部の位置が設定されている。つまり、この状態では、連通孔64の筒部21a側は、プレボーグ部材脱出溝21cの途中位置に臨むようになっている。
また、プレボーグ部材脱出溝(脱出凹部)21cの始端部近傍には、当該始端部に向かって溝深さ(凹み深さ)が浅くなった傾斜部21d(この傾斜部21dの傾斜は直線傾斜に限らず湾曲傾斜でもよい。)が形成されている。これにより、シフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向中立位置に復帰する際に、シフトインナーレバー21の筒部21a側へ脱出したプレボーグ部材60の一端部(球体61)の連通孔64内への復帰動作が円滑に行われる。
図6〜図9に示すように、プレボーグ部材60は、例えば、2個の球体61、63と、これら球体61、63の間に配置された弾性部材であるコイルスプリング62とで構成されている。コイルスプリング62は、少なくともシフトインナーレバー21のアーム部21bが、軸線方向中立位置にあるときに、両球体61、63を相離反する方向へ押圧し、ヘッド22a〜24bの中立位置復帰力に抗し得るように圧縮状態で介装されている。
以下、図7〜図9に基づいてリバースシフト操作時における上記プレボーグ部材60等の動作について詳述する。
図7は、シフトレバーL(図2参照)が3速―4速セレクト位置P2にあり、シフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向中立位置にあるときにおけるプレボーグ部材60、ヘッド22a〜24b,25等の状態を示している。このとき、プレボーグ部材60の球体61は、シフトインナーレバー21の筒部21a側への脱出を規制されており、プレボーグ部材60のもう一方の球体63は、何れのヘッド22a〜24b,25とも対向しない回動位置において、連通孔64の周端面26S側から突出している。なお、球体63やプレボーグ部材60全体がインターロックプレート26の連通孔64から脱落しないように、プレボーグ部材60の球体63を回動方向に摺動自在に係止して上記脱落を防止する脱落防止ガイド70がインターロックプレート26の上記周端面26Sと若干の隙間(好ましくは、球体63の半径以下の隙間)をおいて設置されている。
図8は、シフトレバーLが3速―4速セレクト位置P2からリバースセレクト位置P4に向かってセレクト操作される際におけるプレボーグ部材60、ヘッド22a〜24b,25等の状態を示している。このとき、シフトレバーLのセレクト操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該セレクト操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20に固定されているシフトインナーレバー21およびこの筒部21aに相対回転不能に外嵌されているインターロックプレート26が一体に回動される。この状態では、引き続いてアーム部21bが軸線方向中立位置にあることから、球体61はシフトインナーレバー21の筒部21a側への脱出を規制されており、球体63は連通孔64の周端面26S側から突出している。この球体63は、後進段用のヘッド25から最も離れた位置に配置されている5速―6速用フォークシャフトに形成されたヘッド24aの対向位置に最終的に配置される。そのとき、球体61が筒部21a側への脱出を規制されているため、コイルスプリング62は、比較的大きく圧縮された状態にあり、周端面26S側の球体63は、コイルスプリング62の弾性力によって、ヘッド24aをその中立位置復帰力に抗して軸線方向へ押圧移動させる。すると、ヘッド24aの移動に伴ってフォークシャフト40およびシフトフォーク30も同方向に移動して第3のシンクロメッシュ機構13が5速ドライブギヤ8a側に作動する。
ここで、ヘッド24aが押圧移動される距離は、ヘッド24aが設けられた5速―6速用フォークシャフト40と連動するシンクロメッシュ機構13が5速段への変速動作を成立させることなくシンクロメッシュ機構13(同期装置)が作動する程度の距離であり、かかる押圧移動距離を確保するように、中立位置復帰力に対するコイルスプリング62の弾性力が設定されている。
なお、図8(a)に示すように、プレボーグ部材60によってヘッド24aが押圧移動される際に、このヘッド24aが設けられている前進段用係合部24に設けられたもう一方のヘッド24bが、ロックプレート26に係止されるようになっており、この係止動作によっても、上記押圧移動距離を規制することができるようになっている。すなわち、アーム部21bが軸線方向中立位置にあるときにおけるヘッド24bとロックプレート26との初期隙間M(図7(a)参照)は、前進段用係合部24が軸線方向中立位置から上記軸線方向(図8において右側)へ移動して、シンクロメッシュ機構13が5速段への変速動作を成立させることなく同期装置を作動させるまでの距離に対応している。
一方、このとき、プレボーグ部材60の球体61には、ヘッド24aからの反力が球体63、コイルスプリング62を介して作用しており、この球体61はシフトインナーレバー21の筒部21aを押圧することになるが、当該筒部21aと球体61との接触は、球面同士の点接触であるので、当該筒部21aへの押圧力は、筒部21aの軸線に直交する矢印Qの方向に作用し筒部21aの軸線方向には作用しない。このため、セレクト操作中に、プレボーグ部材60によってシフトインナーレバー21のアーム部21bがヘッド24aからの反力を受けても、筒部21aがこの反力によってヘッド24aと反対側にスライド移動されドライバーの意図しない変速動作が実行されてしまうようなことが回避される。
上記のようにして、第3のシンクロメッシュ機構13が5速ドライブギヤ8a側に作動すると、5速ドライブギヤ8aが第3のシンクロメッシュ機構13を介してインプットシャフト1に連繋(摩擦接触)される。つまり、インプットシャフト1は、第3のシンクロメッシュ機構13、5速ドライブギヤ8a、5速ドリブンギヤ8bを介してアウトプットシャフト2と連繋されることになる。そして、後進段への変速動作時にあっては車両は停車状態であり、アウトプットシャフト2も停止しているため、インプットシャフト1が惰性回転している状況であっても、第3のシンクロメッシュ機構13の動作によりアウトプットシャフト2に連繋されるインプットシャフト1は強制的に停止または減速される(アウトプットシャフト2の回転に合わされる)ことになる。
また、ドライバーが意図的にシフトレバーLをリバースセレクト位置P4にしばらく保持(例えば数秒間保持)することで、シンクロメッシュ機構13を十分な時間作動させることが可能であり、これにより、インプットシャフト1の惰性回転を確実に停止させることが可能である。
図9は、シフトレバーLのリバース位置REVへのリバースシフト操作時におけるプレボーグ部材60、ヘッド22a〜24b,25等の状態を示している。このとき、シフトレバーLのリバース位置REVへのリバースシフト操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該リバースシフト操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20およびこれに固定されているシフトインナーレバー21が軸線方向へスライド移動される。シフトインナーレバー21が軸線方向へスライド移動されるのに伴って、そのアーム部21bがヘッド25aに係合し、このヘッド25aおよびこのヘッド25aが設けられた後進段用係合部25を軸線方向へスライド移動させ、これにより後進段への変速動作が実行される。このとき、インプットシャフト1に相対回動不能に設けられているリバースドライブギヤ10aは、停止または十分に減速した状態にあり、これに同じく停止した状態にあるリバースアイドラギヤ10cを噛合させることができるため、円滑な噛み合い動作が行われてギヤ鳴りの発生が防止される。
また、上記後進段への変速動作が実行されるとき、プレボーグ部材60の球体61のプレボーグ部材脱出溝21cへの脱出が許容される。このとき、周端面26S側の球体63はヘッド24aの中立位置復帰力に抗して押圧することができなくなり、プレボーグ部材60全体がヘッド24aの中立位置復帰力によって、連通孔64内に押し戻され、ヘッド24a(前進段用係合部24)とともにフォークシャフト40およびシフトフォーク30が上記中立位置復帰力によって中立位置に復帰して第3のシンクロメッシュ機構13の作動が解除される。この結果、5速ドライブギヤ8aのシンクロメッシュ機構13を介したインプットシャフト1との連繋(摩擦接触)が開放されることとなるため、上記後進段への変速動作が、プレボーク部材60による悪影響を受けることなく円滑に行われる。
なお、上記した実施の形態においては、シフトレバーLがリバースセレクト位置P4に配置され、シフトインナーレバー21のアーム部21bがヘッド25aに係合可能な位置に配置されたときに、プレボーグ部材60の球体63がヘッド24aとの対向位置に配置されるように、連通孔64のアーム部21bに対する形成位置が設定されているが、シフトインナーレバー21のアーム部21bがヘッド25aに係合可能な位置に配置されたときに、プレボーグ部材60の球体63がヘッド23aとの対向位置に配置されるようにして、第2のシンクロメッシュ機構12を3速ドライブギヤ6a側に作動させるようにしてもよい。但し、そうした場合は、シフトレバーLがリバースセレクト位置P4に達するまでに一時的にプレボーグ部材60がヘッド24aを押圧する動作が介在することとなり、ドライバーのセレクト操作に余分な負荷が掛かる。
シフトレバーLのリバース位置REVからリバースセレクト位置P4へのシフト解除操作時においては、シフトレバーLの当該操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20およびこれに固定されているシフトインナーレバー21が軸線方向中立位置側へスライド移動される。このとき、プレボーグ部材脱出溝21cへ脱出しているプレボーグ部材60の球体61は、プレボーグ部材脱出溝21cの始端部に形成された軸線方向中立位置側へ移動する前記傾斜部21dによって、連通孔64側へ円滑に押し戻され、シフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向中立位置に復帰するときには、上記球体61は完全に連通孔64内に押し込まれて、再び、筒部21a側への脱出が規制される。
その後、シフトレバーLがリバースセレクト位置P4に戻されると、シフトセレクトシャフト20に当該シフト解除操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20およびこれに固定されているシフトインナーレバー21が軸線方向の中立位置側へスライド移動される。シフトインナーレバー21の同方向へのスライド移動に伴って、アーム部21bのヘッド25aへの係合が解除され、当該ヘッド93aおよび後進段用係合部25は図示しない中立位置復帰機構によって中立位置に復帰され、リバースアイドラギヤ10cは、リバースドライブギヤ10aおよびリバースドリブンギヤ10bから離脱される。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態における構成と同様の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
図10(a)〜図12(a)は、図3において、シフトインナーレバー21の筒部21aとインターロックプレート26との境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図である。図10(b)〜図12(b)は、各図10(a)〜図12(a)の状態において、軸線を含む切断面で切断した断面図であって、プレボーグ部材80およびその周囲を示したものである。
本発明の第2の実施の形態では、図示するように、プレボーグ部材80の構成が第1の実施の形態に係るプレボーグ部材60と相違している。すなわち、第2の実施の形態に係るプレボーグ部材80は、両端に球面状部80a、80bを有する円柱状体(部材)からなる。
図10〜図12に基づいてリバースシフト操作時における上記プレボーグ部材80等の動作について説明する。
図10は、シフトレバーL(図2参照)が3速―4速セレクト位置P2にあり、シフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向中立位置にあるときにおけるプレボーグ部材80、ヘッド22a〜24b,25等の状態を示している。このとき、プレボーグ部材80の筒部21a側球面状部80aは、同側への脱出を規制されており、プレボーグ部材80の周端面26S側球面状部80bは、何れのヘッド22a〜24b,25とも対向しない回動位置において、連通孔64の周端面26S側から突出している。なお、プレボーグ部材80がインターロックプレート26の連通孔64から脱落しないように、プレボーグ部材80の端部を回動方向に摺動自在に係止して上記脱落を防止する脱落防止ガイド70が上記周端面26Sと若干の隙間をおいて設置されている。
図11は、シフトレバーLが3速―4速セレクト位置P2からリバースセレクト位置P4に向かってセレクト操作される際におけるプレボーグ部材80、ヘッド22a〜24b,25等の状態を示している。このとき、シフトレバーLのセレクト操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該セレクト操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20に固定されているシフトインナーレバー21およびこれに相対回転不能に連結されているインターロックプレート26が一体に回動される。この状態では、引き続いてアーム部21bが軸線方向中立位置にあることから、球面状部80aはシフトインナーレバー21の筒部21a側への脱出を規制されており、球面状部80bは連通孔64の周端面26S側から突出している。この球面状部80bは、ヘッド25aから最も離れた位置に配置されている5速―6速用フォークシャフトに形成された前進段用係合部24のヘッド24aとの対向位置に最終的に配置される。このとき、球面状部80aが筒部21a側への脱出を規制されており、且つ球面状部80bが連通孔64の周端面26S側から突出しているため、球面状部80bは、ヘッド24aをその中立位置復帰力に抗して軸線方向へ押圧移動させる。すると、ヘッド24aおよびこのヘッド24aが設けられている前進段用係合部24の移動に伴ってフォークシャフト40およびシフトフォーク30も同方向に移動して第3のシンクロメッシュ機構13が5速ドライブギヤ8a側に作動する。
ここで、ヘッド24aが押圧移動される距離は、ヘッド24aが設けられた5速―6速用フォークシャフト40と連動するシンクロメッシュ機構13が5速段への変速動作を成立させることなく同期装置が作動する程度の距離であり、かかる押圧移動距離を確保するように、プレボーグ部材80の全長が設定されている。
なお、図10(a)に示す、ヘッド24bとロックプレート26との初期隙間Mは、第1の実施の形態で説明したものと同様である。
一方、このとき、プレボーグ部材80はヘッド24aから反力を受けており、この反力によって球面状部80aがシフトインナーレバー21の筒部21aを押圧することになるが、当該筒部21aと球面状部80aとの接触は、球面同士の点接触であるので、当該筒部21aへの押圧力は、筒部21aの軸線に直交する矢印Qの方向に作用し筒部21aの軸線方向には作用しない。このため、セレクト操作中に、プレボーグ部材80によってシフトインナーレバー21のアーム部21bがヘッド24aからの反力を受けても、筒部21aがこの反力によってヘッド24aと反対側にスライド移動されドライバーの意図しない変速動作が実行されてしまうようなことが回避される。
上記のようにして、第3のシンクロメッシュ機構13が5速ドライブギヤ8a側に作動すると、5速ドライブギヤ8aが第3のシンクロメッシュ機構13を介してインプットシャフト1に連繋(摩擦接触)される。そして、後進段への変速動作時にあっては車両は停車状態であり、アウトプットシャフト2も停止しているため、インプットシャフト1が惰性回転している状況であっても、第3のシンクロメッシュ機構13の動作によりアウトプットシャフト2に連繋されるインプットシャフト1は強制的に停止または減速されることになる。
また、第1の実施の形態と同様に、ドライバーが意図的にシフトレバーLをリバースセレクト位置P4にしばらく保持することで、インプットシャフト1の惰性回転を確実に停止させることが可能である。
図12は、シフトレバーLのリバース位置REVへのリバースシフト操作時におけるプレボーグ部材80、ヘッド22a〜24b,25等の状態を示している。このとき、シフトレバーLのリバース位置REVへのリバースシフト操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該リバースシフト操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20およびこれに固定されているシフトインナーレバー21が軸線方向へスライドされる。シフトインナーレバー21は軸線方向へスライド移動されるのに伴って、そのアーム部21bがヘッド25aを係合し、このヘッド25aおよびこのヘッドが設けられた後進段用係合部25を軸線方向へスライド移動させ、後進段への変速動作が実行される。このとき、インプットシャフト1に相対回動不能に設けられているリバースドライブギヤ10aは、停止または十分に減速した状態にあり、これに同じく停止した状態にあるリバースアイドラギヤ10cを噛合させることができるため、円滑な噛み合い動作が行われてギヤ鳴りの発生が防止される。
また、上記後進段への変速動作が実行されるとき、プレボーグ部材80のシフトインナーレバー21の筒部21a側の球面状部80aのプレボーグ部材脱出溝21cへの脱出が許容される。このとき、周端面26S側の球面状部80bはヘッド24aの中立位置復帰力に抗して押圧することができなくなり、プレボーグ部材80全体がヘッド24aの中立位置復帰力によって、連通孔64内に押し戻され、ヘッド24aとともにフォークシャフト40およびシフトフォーク30が上記中立位置復帰力によって中立位置に復帰して第3のシンクロメッシュ機構13の作動が解除される。この結果、第1の実施の形態と同様に、後進段への変速動作が、プレボーク部材80による悪影響を受けることなく円滑に行われる。
なお、第2の実施の形態においても、シフトインナーレバー21のアーム部21bがヘッド25aに係合可能な位置に配置されたときに、プレボーグ部材80の球面状部80bがヘッド23aとの対向位置に配置されるようにしてもよい。
シフトレバーLのリバース位置REVからリバースセレクト位置P4へのシフト解除操作時においては、シフトレバーLの当該操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20およびこれに固定されているシフトインナーレバー21が軸線方向中立位置側へスライド移動される。このとき、プレボーグ部材脱出溝21cへ脱出しているプレボーグ部材80の球面状部80aは、プレボーグ部材脱出溝21cの始端部に形成された軸線方向中立位置側へ移動する傾斜部21dによって、連通孔64側へ円滑に押し戻され、シフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向中立位置に復帰するときには、上記球面状部80aは完全に連通孔64内に押し込まれて、再び、筒部21a側への脱出が規制される。
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態における構成と同様の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。また、プレボーグ部材には、第1の実施の形態に係るプレボーグ部材60を例に挙げて説明するが、第1の実施の形態に係るプレボーグ部材60に代えて第2の実施の形態に係るプレボーグ部材80を適用してもよい。また、第3の実施の形態では、プレボーグ部材脱出溝、連通孔等は、第1および第2の実施の形態で説明したものに対してシフトセレクトシャフト20の軸線方向に対象に形成されているが、その構成および作用効果は第1および第2の実施の形態で説明したものと同様であるため、プレボーグ部材脱出溝、連通孔等については同一符号を付してそれらの説明を省略する。
第3の実施の形態では、図13に示すように、前進段(例えば5速段)のシフトポジションと後進段のシフトポジションとが対向配置されているシフトゲートが適用された手動変速機のギヤ鳴り防止装置について説明する。
図14は、第3の実施の形態に係るセレクト・シフト機構の一部をシフトセレクトシャフト20の軸線方向から視た図である。シフトレバーLが、図13に矢印Xで示すセレクト方向にセレクト操作されると、その操作力がセレクトケーブルによりシフトセレクトシャフト20に伝達されてシフトセレクトシャフト20は(図14で矢印Mで示す方向へ)回動され、そのシフトレバーLの操作位置に応じた回動位置をとる。図14では、シフトレバーLが1速―2速セレクト位置P11に操作されたときのシフトセレクトシャフト20およびシフトインナーレバー21の回動位置を示している。
シフトレバーLが、図13に矢印Yで示すシフト方向にシフト操作されると、その操作力がシフトケーブルによりシフトセレクトシャフト20に伝達されてこのシフトセレクトシャフト20が軸線方向(図14で記号Nで示す紙面垂直方向)にスライド移動し、そのシフトレバーLの操作位置に応じたスライド位置をとる。
図示しない3つのシンクロメッシュ機構(1段および2段変速時に作動されるシンクロメッシュ機構、3段および4段変速時に作動されるシンクロメッシュ機構、並びに5段変速時に作動されるシンクロメッシュ機構)に対応して配設された各フォークシャフト40(図14では1速―2速用のフォークシャフト40のみを示している。)には、シフトインナーレバー21のアーム部21bの回動経路を挟んで配設された各一対のヘッド(前進段用係合片)91a,91b,92a,92b(以下この符号を「91a〜92b」と記す。)を有する前進段用係合部91,92がそれぞれ配置されている。また、同様にアーム部21bの回動経路を挟んで配設された一対のヘッド(後進段用係合片)93aおよびヘッド(前進段用係合片)93bを有する前後進段兼用係合部93が配置されている。ヘッド91a〜92b,93a,93bには、セレクト操作に応じて選択的にシフトインナーレバー21のアーム部21bが係合可能に配置され、選択されたヘッド91a〜92b,93a,93bは、同アーム部21bによって中立位置からシフトセレクトシャフト20の軸線方向に係合移動される。ヘッド(前進段用係合片)91a〜92bの軸線方向への移動は、シンクロメッシュ機構(同期装置)の作動およびその後の前進段への変速動作の実行に連動されるようになっている。また、ヘッド(前進段用係合部)93bの軸線方向の一方(インターロックプレート26から離反する方向)への移動もシンクロメッシュ機構(同期装置)の作動およびその後の前進段(5速段)への変速動作の実行に連動されるようになっている。一方、ヘッド(後進段用係合片)93aの軸線方向の他方(インターロックプレート26から離反する方向)への移動は、後進段への変速動作の実行に連動されるようになっている。
なお、第3の実施の形態においては、シンクロメッシュ機構、ロックボール機構等の図示はしないが、第1の実施の形態と同様に、ヘッド91a〜92b,93bを各前進段(1速〜5速)側へ僅かにスライド移動させると、シンクロメッシュ機構(同期装置)だけが作動し、インプットシャフトがシンクロメッシュ機構の動作によりアウトプットシャフトに連繋される。また同様に、ヘッド91a〜92b,93a,93bがそれぞれ設けられた前進段用係合部91,92および前後進段兼用係合部93にはロックボール機構等により中立位置復帰力が働いている。
図15(a)〜図17(a)は、図14において、シフトインナーレバー21の筒部21aとインターロックプレート26との境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図である。図15(b)〜図17(b)は、各図(a)の状態における、軸線を含む切断面で切断した断面図であって、プレボーグ部材60およびその周囲を示したものである。
図15〜図17は、プレボーグ部材60、ヘッド91a〜93b等の状態を示している。符号91a,91bは、1速―2速用フォークシャフトに形成された前進段用係合部91に設けられたヘッドを、符号92a,92bは3速―4速用フォークシャフトに形成された前進段用係合部92に設けられたヘッドを、符号93a,93bは5速用および後進段用フォークシャフトに形成された前後進段兼用係合部93に設けられたヘッドをそれぞれ示している。
以下、図15〜図17に基づいてリバースシフト操作時における上記プレボーグ部材60等の動作について詳述する。
図15は、シフトレバーL(図13参照)が3速―4速セレクト位置P12にあり、シフトインナーレバー21のアーム部21bが軸線方向および回動方向中立位置にあるときにおけるプレボーグ部材60、ヘッド91a〜93b等の状態を示している。このとき、プレボーグ部材60の球体61は、シフトインナーレバー21の筒部21a側への脱出を規制されており、プレボーグ部材60のもう一方の球体63は、連通孔64の周端面26S側から突出している。このとき、プレボーグ部材60の球体63は何れのヘッド91a〜92b,93a,93bとも対向しない非対向位置に配置されるように、連通孔64の同アーム部21bに対する形成位置が設定されている。
図16は、シフトレバーLが3速―4速セレクト位置P12から5速−リバースセレクト位置(前進段兼リバースセレクト位置)P13に向かってセレクト操作される際におけるプレボーグ部材60、ヘッド91a〜93b等の状態を示している。このとき、シフトレバーLのセレクト操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該セレクト操作力が伝達され、これにより、シフトインナーレバー21およびこれに相対回転不能に連結されているインターロックプレート26が一体に回動される。この状態では、引き続いてアーム部21bが軸線方向中立位置にあることから、球体61はシフトインナーレバー21の筒部21a側への脱出を規制されており、球体63は連通孔64の周端面26S側から突出している。この球体63は、ヘッド93aから最も離れた位置に配置されている1速―2速用フォークシャフトに形成された前進段用係合部91のヘッド91aとの対向位置に最終的に配置される。つまり、シフトレバーLが5速−リバースセレクト位置P13に配置され、シフトインナーレバー21のアーム部21bがヘッド93aに係合可能な回動位置に配置されるとき、プレボーグ部材60の球体63がヘッド91aの対向位置に配置されるように、連通孔64の同アーム部21bに対する形成位置が設定されている。
このとき、球体61が筒部21a側への脱出を規制されているため、コイルスプリング63は、比較的大きく圧縮された状態にあり、周端面26S側の球体63は、コイルスプリング62の弾性力によって、ヘッド91aをその中立位置復帰力に抗して軸線方向へ押圧移動させる。すると、ヘッド91a(前後進段兼用係合部91)の移動に伴ってフォークシャフト40およびシフトフォーク30も同方向に移動してフォークシャフト40に連結された図示しない1段又は2速変速時に作動されるシンクロメッシュ機構が図示しない2速ドライブギヤ側に作動する。
ここで、ヘッド91aが押圧移動される距離は、上記シンクロメッシュ機構が2速段への変速動作を成立させることなく同期装置が作動する程度の距離である。
なお、図15(a)に示す、ヘッド91bとロックプレート26との初期隙間Mは、第1の実施の形態で説明したものと同様である。
上記のように、シンクロメッシュ機構が2速ドライブギヤ側に作動すると、2速ドライブギヤがシンクロメッシュ機構を介してインプットシャフトに連繋(摩擦接触)され、インプットシャフトは、シンクロメッシュ機構、2速ドライブギヤ、2速ドリブンギヤを介してアウトプットシャフトと連繋される。後進段への変速動作時にあっては車両は停車状態であり、アウトプットシャフトも停止しているため、インプットシャフトが惰性回転している状況であっても、シンクロメッシュ機構の2速ドライブギヤ側への作動によりアウトプットシャフトに連繋されるインプットシャフトは強制的に停止または減速されることになる。
なお、第1の実施の形態と同様に、ドライバーが意図的にシフトレバーLを5速−リバースセレクト位置P13にしばらく保持(例えば数秒間保持)することで、シンクロメッシュ機構を十分な時間作動させることが可能であり、これにより、インプットシャフト1の惰性回転を確実に停止させることが可能である。
図17は、シフトレバーLのリバース位置REVへのリバースシフト操作時におけるプレボーグ部材60、ヘッド91a〜93b等の状態を示している。このとき、シフトレバーLのリバース位置REVへのリバースシフト操作に応じて、シフトセレクトシャフト20に当該リバースシフト操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20およびこれに固定されているシフトインナーレバー21が軸線方向へスライドされる。シフトインナーレバー21が軸線方向へスライド移動されるのに伴って、そのアーム部21bがヘッド93aに係合し、このヘッド93aおよびこのヘッド93aが設けられた前後進段兼用係合部93を軸線方向の後進段用係合片93a側へスライド移動させ、これにより後進段への変速動作が実行される。このとき、インプットシャフトに相対回動不能に設けられている図示しないリバースドライブギヤが停止または十分に減速した状態で図示しないリバースアイドラギヤを噛合させることができるため、円滑な噛み合い動作が行われてギヤ鳴りの発生が防止される。
また、第1の実施の形態と同様に、上記後進段への変速動作が実行されるとき、プレボーグ部材60の球体61のプレボーグ部材脱出溝21cへの脱出が許容され、プレボーグ部材60全体がヘッド91の中立位置復帰力によって、連通孔64内に押し戻され、ヘッド91(前進段用係合部91)とともにフォークシャフト40およびシフトフォーク30が上記中立位置復帰力によって中立位置に復帰してシンクロメッシュ機構の作動が解除される。この結果、上記後進段への変速動作が、プレボーク部材60による悪影響を受けることなく円滑に行われる。
その後、シフトレバーLが5速−リバースセレクト位置P13に戻されると、シフトセレクトシャフト20に当該シフト解除操作力が伝達され、これにより、シフトセレクトシャフト20およびこれに固定されているシフトインナーレバー21が軸線方向の中立位置側へスライド移動される。シフトインナーレバー21の同方向へのスライド移動に伴って、アーム部21bのヘッド93aへの係合が解除され、当該ヘッド93aおよび前後進段兼用係合部93は図示しない中立位置復帰機構により中立位置に復帰され、リバースアイドラギヤ10cは、リバースドライブギヤ10aおよびリバースドリブンギヤ10bから離脱される。
既述した実施の形態におけるプレボーグ部材60、80の周端面26S側の端部は、ヘッドとの摺動を円滑にするために、プレボーグ部材60は球状、プレボーグ部材80は球面状となっているが、ヘッドとの摺動が円滑に行えれば球状、球面状以外の形状であってもよい。例えば、シフトの摺動面を球面状や円弧面状にすれば、プレボーグ部材60、80の周端面26S側の端部の形状が球状、球面状以外の形状であっても、プレボーグ部材60、80とヘッドとの摺動を円滑にすることができる。
本発明は、自動車等の車両に搭載される手動変速機のギヤ鳴り防止装置に適用することができる。
本発明の第1および第2の実施の形態におけるマニュアルトランスミッションのギヤレイアウトを示す断面図である。 6速マニュアルトランスミッションのシフトパターンの概略を示す図である。 第1および第2の実施の形態におけるセレクト・シフト機構の一部をシフトセレクトシャフトの軸線方向から視た図である。 5速−6速用フォークシャフトとシンクロメッシュ機構との係合部分を示す断面図である。 (a)はシフトインナーレバーを軸線方向から視た図、(b)はシフトインナーレバーを軸線に直交する方向から視た図である。 シフトインナーレバーの筒部にインターロックプレートが外嵌された状態を示す図であって、軸線を含む切断面で切断した断面図である。 図3において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、軸線方向中立位置にある状態を示す図である。 図3において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、リバースセレクト位置への回動途中位置にある状態を示す図である。 図3において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、リバースセレクト位置にある状態を示す図である。 図3において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、軸線方向中立位置にある状態を示す第2の実施の形態に係る図である。 図3において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、リバースセレクト位置への回動途中位置にある状態を示す第2の実施の形態に係る図である。 図3において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、リバースセレクト位置にある状態を示す第2の実施の形態に係る図である。 5速マニュアルトランスミッションのシフトパターンの概略を示す図である。 第3の実施の形態におけるセレクト・シフト機構の一部をシフトセレクトシャフトの軸線方向から視た図である。 図14において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、軸線方向中立位置にある状態を示す図である。 図14において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、リバースセレクト位置への回動途中位置にある状態を示す図である。 図14において、シフトインナーレバーの筒部とインターロックプレートとの境界面に沿って切断した円筒面を中心側から見た展開図であって、シフトインナーレバーのアーム部が、リバースセレクト位置にある状態を示す図である。
符号の説明
11〜13 シンクロメッシュ機構(同期装置)
20 シフトセレクトシャフト
21 シフトインナーレバー
21a 筒部(基部)
21b アーム部
21c プレボーグ部材脱出溝(脱出凹部)
21d 傾斜部
21e 規制面
22〜24 前進段用係合部
22a〜24b ヘッド(前進段用係合片)
25 後進段用係合部
25a ヘッド(後進段用係合片)
26 インターロックプレート(インターロック部材)
26c 係合通路
26S 周端面
60 プレボーグ部材
61 球体
62 コイルスプリング(弾性部材)
63 球体
64 連通孔
80 プレボーグ部材
80a,80b 球面状部
91,92 前進段用係合部
91a〜92b,93b ヘッド(前進段用係合片)
93 前後進段兼用係合部
93a ヘッド(後進段用係合片)

Claims (6)

  1. セレクト操作に応じて軸線回りに回動し、シフト操作に応じて軸線方向へ移動するシフトセレクトシャフトと、
    前記シフトセレクトシャフトに固定された基部およびこの基部から径方向に延在したアーム部を有するシフトインナーレバーと、
    前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記アーム部の回動経路を挟んで配設された各一対の前進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向への移動が同期装置の作動および前進段への変速動作の実行に連動される複数の前進段用係合部と、
    前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記複数の前進段用係合部の端位置にある前進段用係合片に並べられて前記アーム部の回動経路の片側に配設された後進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向の前記片側への移動が後進段への変速動作の実行に連動される後進段用係合部と、
    軸線方向へ移動不能に設けられつつ、前記シフトインナーレバーの基部に対しては軸線方向に相対移動可能に且つ軸線回りに相対回動不能に外嵌され、前記アーム部に係合されて軸線方向へ移動される1つの係合片の通過のみを許容する係合片通路が形成されたインターロック部材と、
    を備える手動変速機のギヤ鳴り防止装置において、
    前記インターロック部材の前記前進段用係合片に臨む端面と前記シフトインナーレバーの基部とを連通する前記インターロック部材内に形成された連通孔と、
    前記連通孔に移動自在に嵌入されたプレボーグ部材と、
    前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置にあるとき前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出を規制する一方、前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置から軸線方向後進段用係合片側へ移動したとき前記脱出を許容するように、前記シフトインナーレバーの基部に形成された規制面および脱出凹部と、
    を備えており、
    前記シフトインナーレバーのアーム部が後進段用係合片に係合可能な位置に配置されているとき、前記プレボーグ部材の他端部が何れかの前進段用係合片との対向位置に配置されるように、前記連通孔の前記アーム部に対する形成位置が設定されており、
    前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が規制されているとき、当該プレボーグ部材の他端部が前記連通孔の前記前進段用係合片に臨む端面側から突出し、この他端部の対向位置に前記前進段用係合片が配置されるときに、その前進段用係合片を前進段への変速動作が成立することなく同期装置が作動する程度に中立位置復帰力に抗して中立位置からシフトセレクトシャフトの軸線方向へ押圧移動し、その後、前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が許容されたときに、その前進段用係合片が中立位置復帰力によって、前記プレボーグ部材を押し戻して中立位置に復帰するように構成されていることを特徴とする手動変速機のギヤ鳴り防止装置。
  2. セレクト操作に応じて軸線回りに回動し、シフト操作に応じて軸線方向へ移動するシフトセレクトシャフトと、
    前記シフトセレクトシャフトに固定された基部およびこの基部から径方向に延在したアーム部を有するシフトインナーレバーと、
    前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記アーム部の回動経路を挟んで配設された各一対の前進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向への移動が同期装置の作動および前進段への変速動作の実行に連動される複数の前進段用係合部と、
    前記アーム部が選択的に係合可能に配置されるように、前記複数の前進段用係合部の端位置にある前進段用係合片に並べられて前記アーム部の回動経路を挟んで配設された前進段用係合片および後進段用係合片を有し、前記シフトセレクトシャフトの軸線方向の一方への移動が同期装置の作動および前進段への変速動作の実行に連動され、同軸線方向の他方への移動が後進段への変速動作の実行に連動される前後進段兼用係合部と、
    軸線方向へ移動不能に設けられつつ、前記シフトインナーレバーの基部に対しては軸線方向に相対移動可能に且つ軸線回りに相対回動不能に外嵌され、前記アーム部に係合されて軸線方向へ移動される1つの係合片の通過のみを許容する係合片通路が形成されたインターロック部材と、
    を備える手動変速機のギヤ鳴り防止装置において、
    前記インターロック部材の前記前進段用係合片に臨む端面と前記シフトインナーレバーの基部とを連通する前記インターロック部材内に形成された連通孔と、
    前記連通孔に移動自在に嵌入されたプレボーグ部材と、
    前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置にあるとき前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出を規制する一方、前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置から前記軸線方向の他方側へ移動したとき前記脱出を許容するように、前記シフトインナーレバーの基部に形成された規制面および脱出凹部と、
    を備えており、
    前記シフトインナーレバーのアーム部が前記後進段用係合片に係合可能な位置に配置されているとき、前記プレボーグ部材の他端部が何れかの前進段用係合部の前進段用係合片との対向位置に配置されるように、前記連通孔の前記アーム部に対する形成位置が設定されており、
    前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が規制されているとき、当該プレボーグ部材の他端部が前記連通孔の前記前進段用係合片に臨む端面側から突出し、この他端部の対向位置に前記前進段用係合部の前進段用係合片が配置されるときに、その前進段用係合片を前進段への変速動作が成立することなく同期装置が作動する程度に中立位置復帰力に抗して中立位置からシフトセレクトシャフトの軸線方向へ押圧移動し、その後、前記プレボーグ部材の一端部のシフトインナーレバーの基部側への脱出が許容されたときに、その前進段用係合片が中立位置復帰力によって、前記プレボーグ部材を押し戻して中立位置に復帰するように構成されていることを特徴とする手動変速機のギヤ鳴り防止装置。
  3. 請求項1又は2に記載の手動変速機のギヤ鳴り防止装置において、
    前記シフトインナーレバーのアーム部が軸線方向中立位置にあるときにおける前記脱出凹部の前記連通孔側の端部近傍に、当該端部に向かって凹み深さが浅くなる傾斜部が形成されていることを特徴とする手動変速機のギヤ鳴り防止装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の手動変速機のギヤ鳴り防止装置において、
    前記プレボーグ部材は、両端に配置された2個の球体と、これら球体の間に配置された弾性部材と、を備えることを特徴とする手動変速機のギヤ鳴り防止装置。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載の手動変速機のギヤ鳴り防止装置において、
    前記プレボーグ部材は、両端部に球面状部を有する部材からなることを特徴とする手動変速機のギヤ鳴り防止装置。
  6. 請求項1〜3の何れか1項に記載の手動変速機のギヤ鳴り防止装置において、
    前記シフトインナーレバーのアーム部が前記後進段用係合片に係合可能な位置に配置されているとき、前記プレボーグ部材の他端部が、前記後進段用係合片から最も離れた位置にある前進段用係合部の何れか一方の前進段用係合片との対向位置に配置されるように、前記連通孔の前記アーム部に対する形成位置が設定されていることを特徴とする手動変速機のギヤ鳴り防止装置。
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