JP2009057592A - P含有鋼を用いた鋼板素材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】合金化溶融亜鉛めっき鋼板においてめっき・合金化後に生ずる筋状欠陥を安定して防止できる方法を提示する。
【解決手段】Pを0.035%以上含有する鋼を連続鋳造し、最終的に合金化亜鉛めっき鋼板を製造する鋼板素材の製造方法において、下記条件を満たす連続鋳造工程と、均熱工程を備えたことを特徴とする鋼板素材の製造方法。
W/(8√2)<√(Dc tc )+√(Dh th )
ここで、
W: Pが負偏析している欠陥幅の最大値
Dc,Dh:それぞれ温度Tc,ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dc=Do exp(-Q/(R(Tc+273)))
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do: 鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q : 鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R : 気体定数(1.987cal/mol/K)
Tc: 連鋳機内の鋳片表層下1〜4mm位置での平均温度(℃)
Th: 鋳片の熱延前均熱温度(℃)
tc:鋳片の機内滞留時間(s)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字c、h:それぞれ連続鋳造、均熱炉を意味する。
【選択図】 図1
【解決手段】Pを0.035%以上含有する鋼を連続鋳造し、最終的に合金化亜鉛めっき鋼板を製造する鋼板素材の製造方法において、下記条件を満たす連続鋳造工程と、均熱工程を備えたことを特徴とする鋼板素材の製造方法。
W/(8√2)<√(Dc tc )+√(Dh th )
ここで、
W: Pが負偏析している欠陥幅の最大値
Dc,Dh:それぞれ温度Tc,ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dc=Do exp(-Q/(R(Tc+273)))
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do: 鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q : 鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R : 気体定数(1.987cal/mol/K)
Tc: 連鋳機内の鋳片表層下1〜4mm位置での平均温度(℃)
Th: 鋳片の熱延前均熱温度(℃)
tc:鋳片の機内滞留時間(s)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字c、h:それぞれ連続鋳造、均熱炉を意味する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、特にPを多く含有するP含有鋼を、連続鋳造機で鋳造し、均熱炉で均熱する鋼板素材の製造方法に関するものである。
近年、自動車用冷延鋼板は、自動車走行燃費の向上と強度や耐食性向上の両立のため、従来よりも薄い鋼板が使用される傾向にある。このため、P含有量が多い成分系の鋼板が一般的に製造されるようになった。
しかし、Pを多く含む場合、冷延鋼板の連続合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、合金化が遅れ、その結果、合金化ムラが発生し、その部位が線状模様として認識され、商品価値を損なうという問題があった。線状模様の原因は、Pが表層部に濃化偏析することが原因と考えられている。
しかし、Pを多く含む場合、冷延鋼板の連続合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、合金化が遅れ、その結果、合金化ムラが発生し、その部位が線状模様として認識され、商品価値を損なうという問題があった。線状模様の原因は、Pが表層部に濃化偏析することが原因と考えられている。
このような問題を解決する提案として、合金化ムラ発生の原因を、鋳片表面のオシレーションマーク部に形成される爪部に生成するPの濃化であるとの知見に基づき、連続鋳造時に鋳型内電磁攪拌を実施し、めっき前に行う鋼板表面研削による研削量を2μm以下にし、また鋳片溶削量を2mm以下にすることによって鉄歩留ロスを少なくした合金化亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に示した方法においては、鋼板表面の研削量を2μm以下にして、鉄歩留ロスを少なくするとしているが、表面積が鋳片に比べて200倍以上になっためっき前の冷延鋼板の表面を2μm程度研削することは、歩留まりがよいとは言えず、工程の増加、デリバリー遅延を考えると、生産性が極端に低下する。
また、近年より厳格な品質が要求されるようになった自動車用外板材の場合、鋳片表面手入れ厚みが2〜6mm程度実施される。
しかし、このような対策を実施しても、めっき・合金化後に、黒色の筋状欠陥(外観上0.10〜0.25mm幅、長さ50〜150mm;鋳片厚/冷延板厚み=300〜310の場合)が発生する場合があり、特許文献1の方法では十分とは言えない。
また、上記のような対策を行なっても、黒筋と混在して、黒筋とは外観が全く異なる白色の筋状欠陥(外観上0.5〜2mm幅、長さ50〜400mm;鋳片厚/冷延板厚み=300〜310の場合)が発生する場合があった。
このような白色の筋状欠陥については、その発生原因の究明は行なわれておらず、また、その防止対策についても未だ何らの提案もなされていない。
しかし、このような対策を実施しても、めっき・合金化後に、黒色の筋状欠陥(外観上0.10〜0.25mm幅、長さ50〜150mm;鋳片厚/冷延板厚み=300〜310の場合)が発生する場合があり、特許文献1の方法では十分とは言えない。
また、上記のような対策を行なっても、黒筋と混在して、黒筋とは外観が全く異なる白色の筋状欠陥(外観上0.5〜2mm幅、長さ50〜400mm;鋳片厚/冷延板厚み=300〜310の場合)が発生する場合があった。
このような白色の筋状欠陥については、その発生原因の究明は行なわれておらず、また、その防止対策についても未だ何らの提案もなされていない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板においてめっき・合金化後に生ずる筋状欠陥を安定して防止できる方法を提示することを目的としている。
従来、Pが表層部に濃化偏析することが原因で、冷延板めっき後の合金化が遅れ、その結果、合金化ムラが発生し、その部位が黒色状の線状模様(黒筋)が発生していたが、黒筋と混在して、黒筋とは外観が全く異なる白色の筋状欠陥(0.5〜2mm幅、圧延方向長さ100〜400mm)が発生する場合があった。この部分はめっき厚が周囲よりも厚く、合金化が促進されてその部位が凸状になっているため、スキンパス後に潰され、白く見えるためである。
発明者は白色の筋状欠陥の発生原因をつきとめるべく、合金化溶融亜鉛めっき処理後に白色の筋状欠陥が発生した部分(以下、単に「白筋部」という)について、めっき除去後の表面のEPMA分析を行なった。この分析から、当該部分はPの偏析比(Pmin/Po; Pmin:筋部の最低P濃度、Po:代表値)が0.70〜0.85であり、P濃度が周囲よりも低く、Pが負偏析していることがわかった。
このような欠陥が多い場合のスラブ表層部を顕微鏡で観察したところ、幅が0.5〜2mmで、図1に示すような、周囲と異なる凝固組織(異常組織)が多く観察された。この異常組織の部分についてEPMA分析を行った結果、Pの偏析比が0.57〜0.78であり、上述した白筋部と同様にPが負偏析していることが分かった。
もっとも、異常組織部のPの偏析比は0.57〜0.78であり、白筋部のそれよりも小さく、両者には偏析の度合いの違いが認められる。しかし、この異常組織部と白筋部の偏析の度合いの違いは、異常組織部の偏析比はスラブでの分析であるのに対して、白筋部はスラブが熱延・冷延を経て合金化亜鉛めっきされた製品での分析であるためであると考えられる。すなわち、白筋部は製品となるまでの間にPが熱拡散し、偏析度合いが異常組織部のそれよりも緩和されるためと考えられる。このことから、異常組織部で観察されたPの偏析は、これを製品化した状態では白筋部の偏析と同レベルになると考えられ、このことから異常組織が白色筋状欠陥の直接の原因であるとの知見を得た。
さらに、異常組織の生成原因について鋭意研究を行ない、異常組織の発生メカニズムを解明した。図2はこのメカニズムを説明する説明図であり、鋳型内湯面近傍(図3参照)を模式的に示している。図2において、1はモールドフラックス、3は凝固シェル、5はデンドライト状組織、7は溶鋼、9は溶鋼中に遊離した結晶、11は異常組織を示している。
異常組織は、図2に示すように、鋳型内凝固開始部である湯面近傍において、凝固界面前方の溶鋼7中に晶出した結晶9、あるいは凝固界面から凝固しているデンドライト状組織の先端部の脆弱な部分が、一旦溶鋼7中に遊離し、その後、溶鋼7の流れに乗って、成長している凝固シェル3の先端部に捕捉されたものである。これが、異常組織として認識される。(図3参照)
異常組織は、図2に示すように、鋳型内凝固開始部である湯面近傍において、凝固界面前方の溶鋼7中に晶出した結晶9、あるいは凝固界面から凝固しているデンドライト状組織の先端部の脆弱な部分が、一旦溶鋼7中に遊離し、その後、溶鋼7の流れに乗って、成長している凝固シェル3の先端部に捕捉されたものである。これが、異常組織として認識される。(図3参照)
このような異常組織は、いわば凝固時の初晶であり、図4に模式的に示すFe-P擬二元状態図からわかるように、母溶鋼よりもP濃度が低い状態で凝固する。
異常組織部は、鋳片手入れによって、あるいは無手入れ鋳片でも鋳造から合金化溶融亜鉛めっきまでの表面酸化状態によっては表面に露出する。よって、最終的に冷延板表面に露出した状態で合金化溶融亜鉛めっきされて、その部位が合金化促進し、製品で筋状の欠陥になることがわかった。
異常組織部は、鋳片手入れによって、あるいは無手入れ鋳片でも鋳造から合金化溶融亜鉛めっきまでの表面酸化状態によっては表面に露出する。よって、最終的に冷延板表面に露出した状態で合金化溶融亜鉛めっきされて、その部位が合金化促進し、製品で筋状の欠陥になることがわかった。
以上のことから、筋状の欠陥の発生が、連鋳条件や熱間圧延前の均熱条件(均熱温度、均熱時間)に大きく影響されることを発見した。
そこで、この筋状の欠陥の発生を防止するための検討をさらに行なった。
以下に、内容を説明する。
そこで、この筋状の欠陥の発生を防止するための検討をさらに行なった。
以下に、内容を説明する。
異常組織部のP負偏析状態は、鋳造〜合金化溶融亜鉛めっき間での熱履歴に依存して拡散するため、最終製品になるまでには、ある程度緩和される。特に、鋳片表面温度が高い鋳造中や、温度、保持時間ともにP拡散に有利な熱延前の均熱中の熱履歴に影響される。
Pが負偏析している欠陥幅の大きさ(最大幅)をW(cm)とすると、負偏析部のPが周囲への熱拡散により緩和・解消されるためには、P負偏析の部位へその周囲のPが拡散することによりP負偏析を解消するようにすればよく、そのためにはPの拡散距離δは最低でもW/2以上必要である。逆に、拡散距離δ>W/2であれば白筋欠陥は発生しないことになる。
温度をT(℃)、TにおけるPの固体内拡散係数をD、その持続時間をt(s)とすると、Pの拡散距離δは、次のアインシュタインの式で表現できる。
δ=√(2Dt ) ・・・(1)
温度をT(℃)、TにおけるPの固体内拡散係数をD、その持続時間をt(s)とすると、Pの拡散距離δは、次のアインシュタインの式で表現できる。
δ=√(2Dt ) ・・・(1)
ここで、連鋳時の表層下1〜4mm位置での平均温度をTc(℃)、TcにおけるPの固体内拡散係数をDc、その持続時間をtc(s)、さらに熱間圧延前の鋳片均熱温度をTh(℃)、ThにおけるPの固体内拡散係数をDh、均熱時間をth(s)とし、また合金化溶融亜鉛めっきプロセスでは温度が低い(850℃以下)ためP拡散を無視すると、合金化溶融亜鉛めっき後のPの拡散距離は、各工程でのPの拡散距離の総和として(2)式で整理される値となる。
δ=√(2Dc tc )+√(2Dh th ) ・・・(2)
δ=√(2Dc tc )+√(2Dh th ) ・・・(2)
したがって、白筋欠陥が発生しないための条件であるδ>W/2に(2)式を代入して整理することにより、白筋欠陥が発生しないための条件は(3)式として整理できる。
W/(2√2)<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(3)
ここで、
D: Pの拡散係数(cm2/s)で、温度Tの関数(=Doexp[-Q/(R(T+273))] )
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :Pの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
t:均熱時間(s)
添え字c、hはそれぞれ連続鋳造、均熱炉を指す。
W/(2√2)<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(3)
ここで、
D: Pの拡散係数(cm2/s)で、温度Tの関数(=Doexp[-Q/(R(T+273))] )
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :Pの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
t:均熱時間(s)
添え字c、hはそれぞれ連続鋳造、均熱炉を指す。
(3)式は、Pの一次元拡散の場合であるが、実際の三次元拡散(幅方向以外に、厚み方向の拡散が主。圧延方向P拡散距離は、欠陥長さに比べて無視しえるほど小さい。)を考慮すると、次式のような実効的な式で表される。
αW/(2√2)<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(4)
ここで、αは、Pの一次元拡散を三次元拡散に拡張した場合の補正係数であり、本発明の場合、α=0.25の時、欠陥率と操業条件の関係をよく説明できた。
よって、最終的に次式により、白筋状の欠陥を防止できる条件が提示される。
W/(8√2)<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(5)
なお、白筋状の欠陥の最大欠陥幅W=2mmの場合においては、次式となる。
0.018<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(6)
αW/(2√2)<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(4)
ここで、αは、Pの一次元拡散を三次元拡散に拡張した場合の補正係数であり、本発明の場合、α=0.25の時、欠陥率と操業条件の関係をよく説明できた。
よって、最終的に次式により、白筋状の欠陥を防止できる条件が提示される。
W/(8√2)<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(5)
なお、白筋状の欠陥の最大欠陥幅W=2mmの場合においては、次式となる。
0.018<√(Dc tc )+√(Dh th ) ・・・(6)
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成を有するものである。
(1)本発明に係る鋼板素材の製造方法は、Pを0.035%以上含有する鋼を連続鋳造し、最終的に合金化亜鉛めっき鋼板を製造する鋼板素材の製造方法において、下記条件を満たす連続鋳造工程と、均熱工程を備えたことを特徴とするものである。
W/(8√2)<√(Dc tc )+√(Dh th )
ここで、
W: Pが負偏析している欠陥幅の最大値
Dc,Dh:それぞれ温度Tc,ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dc=Do exp(-Q/(R(Tc+273)))
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
Tc:連鋳機内の鋳片表層下1〜4mm位置での平均温度(℃)
Th:鋳片の熱延前均熱温度(℃)
tc:鋳片の機内滞留時間(s)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字c、h: それぞれ連続鋳造、均熱炉を意味する。
W/(8√2)<√(Dc tc )+√(Dh th )
ここで、
W: Pが負偏析している欠陥幅の最大値
Dc,Dh:それぞれ温度Tc,ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dc=Do exp(-Q/(R(Tc+273)))
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
Tc:連鋳機内の鋳片表層下1〜4mm位置での平均温度(℃)
Th:鋳片の熱延前均熱温度(℃)
tc:鋳片の機内滞留時間(s)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字c、h: それぞれ連続鋳造、均熱炉を意味する。
なお、Tcは機内での冷却条件や鋳造速度に依存する値であり、その上限値は冷却条件や鋳造速度によって幅があるが、900〜1350℃程度となる。
また、Thは炉体損傷や生産性から決まり、1250℃程度が上限となる。
また、tcは機長L/鋳造速度で一義的に決まる数値である。
また、thはThに到達する時間と生産性から決定される値であり、上限は300分程度である。
また、連鋳機内とは、連続鋳造機における最終段のサポートロールまでをいう。
また、Thは炉体損傷や生産性から決まり、1250℃程度が上限となる。
また、tcは機長L/鋳造速度で一義的に決まる数値である。
また、thはThに到達する時間と生産性から決定される値であり、上限は300分程度である。
また、連鋳機内とは、連続鋳造機における最終段のサポートロールまでをいう。
(2)また、Pを0.035%以上含有する極低炭素鋼を連続鋳造し、最終的に合金化亜鉛めっき鋼板を製造する鋼板素材の製造方法において、下記条件を満たす均熱工程を備えたことを特徴とするものである。
W/(8√2)−0.006<√(Dh th )
ここで、
Dh:温度ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
Th:鋳片の熱延前均熱温度(℃)
th: 鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字h:均熱炉を意味する。
W/(8√2)−0.006<√(Dh th )
ここで、
Dh:温度ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
Th:鋳片の熱延前均熱温度(℃)
th: 鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字h:均熱炉を意味する。
以上のように、本発明によれば、鋳片段階で合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金化ムラの原因となる異常組織によるPの負偏析を抑制でき、冷延板表面の研削が不要となる。このため、製品歩留まり向上やデリバリーの短縮という効果が得られる。
以下、本発明を以下の実施例によってその効果を中心に説明する。
本発明の効果を確認するために、本発明で規定した条件およびそれ以外の比較例となる条件により、極低炭素鋼(C:0.0015、Si<0.05、Mn:0.20〜1.5、P:0.035〜0.10、S:0.001〜0.005、Al:0.02〜0.05wt%)のスラブ(サイズ220mm×1050〜1800mm)を、垂直曲げ型の鋼の連続鋳造機によって鋳造し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
鋳造等の条件は以下の通りである。
鋳造等の条件は以下の通りである。
(1)鋳造条件
鋳造条件は、タンディッシュ〜鋳型間の浸漬ノズル内吹き込みArガス量を10NL/minとした。そして、浸漬深さhをh=200〜250mmの範囲で変更し、また鋳造速度を1.5〜2.2m/minの範囲で種々変更した。
(2)モールドフラックス
モールドフラックスは塩基度(CaO/SiO2)1.1、1300℃粘度0.5Poise、結晶化温度1150℃の顆粒タイプを使用した。
(3)圧延条件
鋳造後、無手入れのまま、あるいは4mm手入れ後、均熱温度1000〜1250℃、均熱時間60〜230分の後、熱間圧延を経て、冷間圧延し0.7mm厚みとし、その後、合金化溶融亜鉛めっきした。
(4)めっき条件
めっき条件は、亜鉛浴温度460℃、浴中のAl濃度0.13%、付着量片面当たり50g/m2、鉄合金化度が10%になるように合金化温度を520〜580℃の範囲で調整した。
(5)欠陥検査条件
欠陥検査は、合金化溶融亜鉛めっき後の鋼板の表面を目視検査し筋状欠陥の有無を検査した。0.5mm以上、長さ50mm以上の筋状欠陥の有無(2個数/コイル以上の筋状欠陥がある製品を不良製品と判定)を検査し、製造チャンスにおける全製品重量に対する不良製品重量の比率で筋状欠陥発生率(=不良製品重量/製品重量×100%)を評価した。
鋳造条件は、タンディッシュ〜鋳型間の浸漬ノズル内吹き込みArガス量を10NL/minとした。そして、浸漬深さhをh=200〜250mmの範囲で変更し、また鋳造速度を1.5〜2.2m/minの範囲で種々変更した。
(2)モールドフラックス
モールドフラックスは塩基度(CaO/SiO2)1.1、1300℃粘度0.5Poise、結晶化温度1150℃の顆粒タイプを使用した。
(3)圧延条件
鋳造後、無手入れのまま、あるいは4mm手入れ後、均熱温度1000〜1250℃、均熱時間60〜230分の後、熱間圧延を経て、冷間圧延し0.7mm厚みとし、その後、合金化溶融亜鉛めっきした。
(4)めっき条件
めっき条件は、亜鉛浴温度460℃、浴中のAl濃度0.13%、付着量片面当たり50g/m2、鉄合金化度が10%になるように合金化温度を520〜580℃の範囲で調整した。
(5)欠陥検査条件
欠陥検査は、合金化溶融亜鉛めっき後の鋼板の表面を目視検査し筋状欠陥の有無を検査した。0.5mm以上、長さ50mm以上の筋状欠陥の有無(2個数/コイル以上の筋状欠陥がある製品を不良製品と判定)を検査し、製造チャンスにおける全製品重量に対する不良製品重量の比率で筋状欠陥発生率(=不良製品重量/製品重量×100%)を評価した。
表1に白筋欠陥率と√(Dc tc )+√(Dh th ) の計算値の関係を示す。
ここで、表中のTcは一般的な手法で解析されている凝固伝熱計算により得られる表層下1〜4mmでの凝固シェル平均温度で与えた。また、極低炭素鋼における900℃以上(δ相)でのPの拡散係数D(Dc、Dh)(cm2/s)は、次式で計算した。
Dc=2.9 exp(-55000/(1.987(Tc+273)))
Dh=2.9 exp(-55000/(1.987(Th+273)))
なお、上記のDc、Dhにおける具体的な数値の出典先は例えば、MetallurgicalTransactionsB,vol.17B,1986,p845である。
Dc=2.9 exp(-55000/(1.987(Tc+273)))
Dh=2.9 exp(-55000/(1.987(Th+273)))
なお、上記のDc、Dhにおける具体的な数値の出典先は例えば、MetallurgicalTransactionsB,vol.17B,1986,p845である。
表1より、本発明により得られる(5)式を指標に操業することにより、筋状欠陥が効率よく防止できることがわかる。
筋状欠陥が発生した場合には、操業条件を変更して、(5)式を満足する操業条件になるようにすればよいが、この場合の操業条件の変更方法としては、連続鋳造における温度、時間を変更する方法と、均熱炉における均熱温度、時間を変更する方法がある。
この2つの方法を比較すると、連続鋳造における操業条件の変更よりも均熱炉における操業条件の変更の方が容易である。
そこで、連続鋳造における条件√(Dc tc )を最も厳しい条件に固定しておき、変更が容易な均熱炉における条件√(Dh
th )を調整するようにすることで操業条件の制御が容易になる。
この2つの方法を比較すると、連続鋳造における操業条件の変更よりも均熱炉における操業条件の変更の方が容易である。
そこで、連続鋳造における条件√(Dc tc )を最も厳しい条件に固定しておき、変更が容易な均熱炉における条件√(Dh
th )を調整するようにすることで操業条件の制御が容易になる。
表1によると、連続鋳造における条件√(Dc tc )の最も厳しい値は、0.0060であるので、(5)式における√(Dc
tc )に0.006を代入して(5)式を整理すると、下記の(7)式となる。
W/(8√2)−0.006<√(Dh th ) ・・・(7)
ここで、
Dh:温度ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
Th:鋳片の熱延前均熱温度(℃)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字h:均熱炉を意味する。
tc )に0.006を代入して(5)式を整理すると、下記の(7)式となる。
W/(8√2)−0.006<√(Dh th ) ・・・(7)
ここで、
Dh:温度ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do:鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q :鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R :気体定数(1.987cal/mol/K)
Th:鋳片の熱延前均熱温度(℃)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字h:均熱炉を意味する。
(7)式による制御を行なうようにすることで、容易な制御で確実に筋状欠陥の発生を防止できる。
上記の説明では白筋欠陥の例を挙げて説明したが、前述したように白筋と黒筋の違いは白筋の原因がPの負偏析であるのに対して黒筋の原因がPの正偏析であることであり、共にPの偏析には変わりがなく、上記の考え方は黒筋欠陥の防止にも適用でき、より具体的には白筋の場合に提示したδ>W/2に相当する黒筋欠陥と拡散距離の関係を規定することにより、黒筋欠陥防止の具体的指標となる。
1 モールドフラックス
3 凝固シェル
5 デンドライト状組織
7 溶鋼
9 結晶
11 異常組織
3 凝固シェル
5 デンドライト状組織
7 溶鋼
9 結晶
11 異常組織
Claims (2)
- Pを0.035%以上含有する鋼を連続鋳造し、最終的に合金化亜鉛めっき鋼板を製造する鋼板素材の製造方法において、下記条件を満たす連続鋳造工程と、均熱工程を備えたことを特徴とする鋼板素材の製造方法。
W/(8√2)<√(Dc tc )+√(Dh th )
ここで、
W: Pが負偏析している欠陥幅の最大値
Dc, Dh:それぞれ温度Tc,ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dc=Do exp(-Q/(R(Tc+273)))
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do: 鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q : 鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R : 気体定数(1.987cal/mol/K)
Tc: 連鋳機内の鋳片表層下1〜4mm位置での平均温度(℃)
Th: 鋳片の熱延前均熱温度(℃)
tc:鋳片の機内滞留時間(s)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字c、h:それぞれ連続鋳造、均熱炉を意味する。 - Pを0.035%以上含有する極低炭素鋼を連続鋳造し、最終的に合金化亜鉛めっき鋼板を製造する鋼板素材の製造方法において、下記条件を満たす均熱工程を備えたことを特徴とする鋼板素材の製造方法。
W/(8√2)−0.006<√(Dh th )
ここで、
Dh: 温度ThにおけるPの拡散係数(cm2/s)
Dh=Do exp(-Q/(R(Th+273)))
Do: 鋼種に依存する定数(cm2/s)
Q : 鋼種に依存するPの活性化エネルギー(cal/mol)
R : 気体定数(1.987cal/mol/K)
Th: 鋳片の熱延前均熱温度(℃)
th:鋳片の熱延前均熱時間(s)
添え字h:均熱炉を意味する。
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JP2007224778A JP2009057592A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | P含有鋼を用いた鋼板素材の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20190124739A (ko) * | 2017-02-28 | 2019-11-05 | 테라파워, 엘엘씨 | 강 조성물들을 균질화하기 위한 방법 |
CN115852137A (zh) * | 2022-12-27 | 2023-03-28 | 太原科技大学 | 一种消除低合金高强度q345e钢带状组织缺陷的方法 |
-
2007
- 2007-08-30 JP JP2007224778A patent/JP2009057592A/ja active Pending
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