JP2009057237A - 化合物半導体単結晶の製造方法 - Google Patents

化合物半導体単結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体封止材を用いた単結晶引上法(LEC法)において、再現性よく結晶のラメラ発生を防止することを可能とした化合物半導体単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】PBN製のるつぼ3に、GaAs多結晶、液体封止材として三酸化硼素を装入し、ヒータ4により加熱してB2O3、GaAs多結晶原料および封止材を溶解させ、種結晶S先端と原料融液Lの接触面の温度を調整することにより結晶増径速度が20mm/h以内となるように種付け・増径をおこなう。増径後は結晶成長速度を6〜12mm/hにして結晶径75mm以上のGaAs単結晶を成長させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、化合物半導体単結晶、特に半絶縁性砒化ガリウム単結晶の製造方法に係り、特に、砒化ガリウム種結晶から結晶を固化させる際に結晶外径を徐々に太らせて種付けを行う半絶縁性砒化ガリウム単結晶の製造方法に関する。
Liquid Encapsulated Czochralski法(以後、LEC法と略す)での砒化ガリウム(以後、GaAsと略す)単結晶の製造方法の一例を以下に説明する。まず、Pyrolitic Boron Nitride(以後、PBNと略す)製のるつぼ(ルツボ)に、GaAs多結晶25000g、液体封止材として三酸化硼素2000gを入れ、これらを圧力容器に収納し、容器内の圧力が0.9MPaになるように不活性ガスを充填する。充填後、ヒータにより加熱することで、三酸化硼素、GaAs多結晶を融解させ、種結晶先端と融液の接触面の温度を調整し、種付けし、ヒータの出力を調整しながら種結晶先端と融液の接触面を固化させた後に、種結晶が取り付けてある引上軸を一定の速度で上昇させ、外径制御を行いながら結晶成長させる。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
特開平11−302094号公報
LEC法により製造されるGaAs単結晶の製造においては、成長させた単結晶の肩部形成(増径)時、特に種付け直後の成長は、るつぼ中心から径方向に向かっての温度勾配が小さいので、結晶外径の増減が不安定である。そのため、結晶外径の急激な増減により、ラメラ(双晶)が発生しやすい。
ラメラは、結晶内部の(111)面の方向に線状に進む不良であり、結晶外観からは判断できないため、結晶成長後のウェハスライス時でなければ発見できず、このことから結晶からのウェハ取得率を大幅に低下させる原因の一つになっている。
垂直ブリッジマン(VB)法や垂直グラジェントフリージング(VGF)法においては、増径部の結晶成長速度を20mm/h以上とすると、双晶発生を抑制することができると提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1の方法は、熱伝導率の高いPBN容器内の原料融液を固化させるVB法やVGF法では、有効である。
しかしながら、熱伝導率の低い三酸化硼素内で固化させるLEC法では、増径部の結晶成長速度を速くすると、一方向のファセット(固液界面で結晶体に発生するフラット面)のみ長くなるような非対称のファセット模様となり、双晶の発生が多く見られるようになった。
そこで、本発明の目的は、再現性よく結晶のラメラ発生を防止することを可能とした化合物半導体単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、原料融液に種結晶を接触させつつ、種結晶に化合物半導体単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、増径時の結晶の増径速度を20mm/h以内にして化合物半導体単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法である。
請求項2の発明は、PBN製のるつぼに、化合物半導体多結晶と三酸化硼素からなる液体封止材を入れ、これらを圧力容器に収納し、圧力容器内を真空引きして不活性ガスを充填し、るつぼを加熱して化合物半導体多結晶と液体封止材を融解し、化合物半導体多結晶の原料融液に種結晶を接触させつつ、種結晶を引き上げ、あるいはるつぼを降下し、増径後の結晶成長速度を6〜12mm/hにして種結晶に結晶径75mm以上の化合物半導体単結晶を成長させる請求項1記載の化合物半導体単結晶の製造方法である。
請求項3の発明は、上記化合物半導体単結晶としてGaAs単結晶を製造する請求項1または2記載の化合物半導体の製造方法である。
本発明によれば、LEC法による化合物半導体単結晶製造中において、結晶頭部のラメラ発生を防止できる。
まず、本発明の好適な実施形態に係る化合物半導体単結晶の製造装置を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る化合物半導体単結晶の製造装置(以下、装置)1は、円筒状の高圧容器(圧力容器、あるいはチャンバー)2を有する。高圧容器2内にはカップ状の昇降自在なPBN製のPBNルツボ3が設けられ、PBNルツボ3には原料融液Lと液体状の液体封止材(液体封止材融液)Mが収納される。原料融液Lは、化合物半導体の多結晶原料を溶融したものである。
本実施形態では、化合物半導体の多結晶原料としてGaAs多結晶、液体封止材として三酸化硼素(B)を用いた。化合物半導体の多結晶原料としてはGaPやInPを、液体封止材としてはBaCl、CaClを用いてもよい。
高圧容器2内には、PBNルツボ3を周囲から電磁誘導加熱するためのヒータ4が設けられる。PBNルツボ3の底部中央には、PBNルツボ3を回転させ、PBNルツボ3内の多結晶原料や液体封止材の状態を周方向に均一にするためのルツボ軸(回転軸)5が連結される。高圧容器2の上方からは、種結晶Sの頭部(上部)を保持し、化合物半導体単結晶Cを引き上げるための昇降自在なシード軸(引上軸)6が挿入される。種結晶Sは、化合物半導体単結晶Cを成長させ始めるために上下方向に(100)の面方位を有する。本実施形態では、種結晶SとしてGaAs単結晶を用いた。
次に、本実施形態に係る化合物半導体単結晶の製造方法を装置1の動作と共に説明する。
まず、PBNルツボ3に化合物半導体の多結晶原料として、半導体結晶の材料となるGaAs多結晶と、液体封止材である固体状の三酸化硼素とを収納し、高圧容器2内の残留気体を図示しない真空ポンプで吸引し、高圧容器2内を真空状態にする。
Arガス等の不活性ガスGを高圧容器2内に導入し、約6kg/cmに加圧する。ヒータ4に周波数5kHzの高周波電流を流し、GaAs多結晶の溶融速度を速めるために高圧容器2内に設けた図示しないカーボンリングを電磁誘導加熱する。
すると、PBNルツボ3内に収納した固体状のGaAs多結晶および三酸化硼素が溶融し始め、この溶融状態となったGaAs多結晶自身、高周波誘導に十分な電気伝導度を有するため、直接電磁誘導加熱される。これにより、PBNルツボ3内で原料融液Lと液体状の液体封止材Mが形成されていく。このとき、シード軸6の周囲は不活性ガスGで満たされる。GaAsおよびBは高融点材料であり、GaAsの融点は約1500Kである。
GaAsおよびBのが全て溶融した後、図示しない回転制御装置を作動させてルツボ軸5を回転させる。これにより、PBNルツボ3内の原料融液Lと液体封止材Mの状態が周方向にわたって均一にされる。ヒータ4を用いた電磁誘導加熱のパワーを化合物半導体単結晶Cの製造に適したパワーに落とす。
このとき、原料融液Lの上層にはB融液層が形成されている。化合物半導体単結晶C成長中の原料融液Lは、B融液層で断熱され、不活性ガスGとの温度差が数百Kに達している。B融液層は揮発性の高い原料融液L中のAsが揮発するのを防止する。
一方、シード軸6の先端に、化合物半導体単結晶からなる種結晶Sを保持して固定し、シード軸6を下降、あるいはルツボ軸5を上昇させて原料融液Lに種結晶Sの先端を接触させる。この状態でシード軸6を引き上げ(あるいはPBNルツボ3を下降し)、種結晶SにGaAs単結晶などの化合物半導体単結晶Cを成長させていく。
この結晶成長開始時となる化合物半導体単結晶Cの肩部(結晶頭部)Csの形成(増径)時(図1に示す状態)、結晶の増径速度(肩部Csにおける径方向の結晶成長速度)を20mm/h以内にする。増径速度はシード軸6の上昇速度と比例関係にあるので、増径速度の制御をシード軸6の上昇速度の調整で行う。
さらに、増径後の結晶成長速度を6〜12mm/hにして種結晶Sに結晶径75mm以上の化合物半導体単結晶Cを成長させる。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態に係る化合物半導体単結晶の製造方法では、増径時の結晶の増径速度を20mm/h以内にして化合物半導体単結晶を成長させている。
その理由は、種付けから増径速度が速い(増径速度:20mm/h超)、すなわち、種結晶先端部の降温速度が速いと、結晶が急激に固化した際に双晶(ラメラ不良)が発生しやすいからである。
特に、本実施形態に係る化合物半導体単結晶の製造方法は、液体封止材として熱伝導率の低い三酸化硼素内で固化させる場合においても、種付け時からの増径速度が比較的遅いため、一方向のファセットのみ長くなるようなことはなく、得られる化合物半導体単結晶Cに双晶がほとんど見られない。
また、増径後の結晶成長速度を6〜12mm/hにした理由は、単結晶化率を向上させる為である。一般的に、単結晶化率は、結晶成長中の固液界面の融液側への凸度が大きく影響する(凸度が適度に大きい方が、単結晶化率が高い)。この凸度は、成長速度が速いと減少し、遅いと増大する現象が知られている。
したがって、成長速度が12mm/hを超えて速すぎると、凸度が減少し、多結晶化する。また、成長速度が6mm/h未満となって遅すぎると、凸度が大きくなりすぎて、るつぼ底部に結晶成長中の固液界面が接触してしまい、成長続行が不可能となる。
このように、本実施形態に係る化合物半導体単結晶の製造方法によれば、再現性よく化合物半導体単結晶Cのラメラ発生を防止でき、LEC法による化合物半導体単結晶製造中において、結晶頭部のラメラ発生を防止できる。
(実施例1)
PBN製のるつぼに、GaAs多結晶25000g、液体封止材として三酸化硼素(B)2000gをるつぼ3に入れ、高圧容器2に収納し、容器2内の圧力が0.9MPaになるように不活性ガスGを充填する。充填後、ヒータ4により加熱することで、B、GaAs多結晶を溶解させ、種結晶S先端と原料融液Lの接触面の温度を調整し、結晶増径速度を5mm/hとなるように、種付け・増径し、結晶径φ115mmの化合物半導体単結晶Cを成長させ、結晶全長400mmのGaAs単結晶を成長させた。以上の条件で、20本の結晶を作製した結果、双晶(ラメラ)発生率は0%であった。
(実施例2〜4)
実施例1と異なる条件で、結晶増径速度を10,15,20mm/hとしたものを、それぞれ実施例2〜4とし、それ以外は実施例1と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。
(比較例1〜8)
結晶増径速度を25,30,40,50,60,70,80,90mm/hとしたものを、それぞれ比較例1〜8とし、それ以外は実施例1と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。
実施例1〜4、比較例1〜8の内容およびその結果を表1に示す。また、実施例1〜4、比較例1〜8の結晶増径速度とラメラ発生率の関係をまとめて図2に示す。
Figure 2009057237
表1および図2に示すように、増径速度がいずれも20mm/h以内と最適条件である実施例1〜3のラメラ発生率は0%、実施例4のラメラ発生率は5%と極めて低いが、増径速度が20mm/hを超える比較例1〜8は、ラメラ発生率がいずれも15%以上と高いことがわかった。
本発明の好適な実施形態である化合物半導体単結晶の製造方法に用いる化合物半導体単結晶の製造装置の模式図である。 実施例における結晶増径速度とラメラ発生率の関係を示す図である。
符号の説明
L 原料融液
M 液体状の液体封止材
S 種結晶
C 化合物半導体単結晶

Claims (3)

  1. 原料融液に種結晶を接触させつつ、種結晶に化合物半導体単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、増径時の結晶の増径速度を20mm/h以内にして化合物半導体単結晶を成長させることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法。
  2. PBN製のるつぼに、化合物半導体多結晶と三酸化硼素からなる液体封止材を入れ、これらを圧力容器に収納し、圧力容器内を真空引きして不活性ガスを充填し、るつぼを加熱して化合物半導体多結晶と液体封止材を融解し、化合物半導体多結晶の原料融液に種結晶を接触させつつ、種結晶を引き上げ、あるいはるつぼを降下し、増径後の結晶成長速度を6〜12mm/hにして種結晶に結晶径75mm以上の化合物半導体単結晶を成長させる請求項1記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  3. 上記化合物半導体単結晶としてGaAs単結晶を製造する請求項1または2記載の化合物半導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018521942A (ja) * 2015-05-21 2018-08-09 ビイエヌエヌティ・エルエルシイ 直接誘導による窒化ホウ素ナノチューブ合成

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