JP2009052737A - 調心機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 軸受部材2の外周側に調心部材6を嵌め合わせるとともに、それら両嵌め合わせ面のいずれか一方を、軸受部材2で支持される軸部材1の軸方向に湾曲した凸曲面2aとし、いずれか他方を上記軸方向に湾曲した凹曲面4a,5aとし、軸受部材2と調心部材6とが凸曲面2a及び凹曲面4a,5aを介して相対的に回動することによって調心機能を発揮する調心機構において、上記凸曲面2aと凹曲面4a,5aとの間に、弾性力を保持した弾性部材7を介在させた。
【選択図】 図1
Description
そして、軸部材を調心する際の調心動作時には、相対的に回動する軸受部材と調心部材との摺動面における摩擦力が摺動抵抗となり、調心動作の起動トルクとして作用する。
つまり、軸受部材2と調心部材3との間の摺動抵抗が調心動作の起動トルクとなるといっても、実際には、荷重方向に応じた、非常に狭い両部材の接触部分のみでの摺動抵抗が起動トルクを支配していることになる。
例えば、環境温度変化によって微小隙間が小さくなった場合、軸受部材2が調心部材3に強く押し付けられる部分Aの接触範囲が大きくなり、その分、摺動抵抗が大きくなる。つまり、調心時の起動トルクが大きくなる。
反対に、微小隙間が大きくなった場合には、軸受部材2と調心部材3との接触部分が小さくなり、摺動抵抗が小さくなり、その結果、調心時の起動トルクが小さくなる。
この発明の課題は、環境温度が変化しても、起動トルクの変動が少ない調心機構を実現することである。
第3の発明は、上記第1、第2の発明を前提とし、上記弾性部材はOリングである点に特徴を有する。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれかを前提とし、上記弾性部材はゴム製である点を特徴とする。
なお、上記ゴムには、天然ゴムのほか、樹脂ゴム、エラストマーなどを含む。
第5の発明は、第1の発明を前提とし、上記弾性部材が複数のばね部材からなり、これらばね部材を、上記軸受部材外周に沿った円周上に間隔を保って配置した点に特徴を有する。
また、第1及び第2凹曲面の曲率と凸曲面の曲率とを「ほぼ同じにした」とは、上記凹曲面と凸曲面とが完全に一致するのではなく、両部材間に弾性部材を介在させるとともに両部材を相対回動可能にする僅かな隙間を保持した状態で、凹曲面の曲率と凸曲面の曲率とが僅かに違う状態のことである。
第1実施形態の調心機構は、図1に示すように、軸部材1を回転自在に支持する軸受部材2と、その外周側に嵌めた調心部材6とからなる。
上記軸受部材2は、従来の調心部材に用いるものと同様に、その外周に、軸部材1の軸方向に湾曲した凸曲面2aを備えている。この凸曲面2aが、この発明の軸受部材側の嵌め合わせ面となる。
なお、図1に示す軸受部材2の凸曲面2aは、完全な円弧ではなく、上記凸曲面の中央に、僅かな範囲で平坦部を形成しているが、その理由は次の通りである。
但し、調心部材6に対して軸受部材2をよりスムーズに回動させるためには、凸曲面2aは完全な円弧の方が好ましいので、上記平坦部は、この発明においては必ずしも必須の構成要素とはならない。
上記本体4は、軸受部材2の凸曲面2aを嵌め合わせる第1凹曲面4aと、この第1凹曲面4aに隣接する挿入穴4bとを形成している。この挿入穴4bは、図1に示すように、第1凹曲面4aの最大径部よりも大径にするとともに、挿入穴4bと第1凹曲面4aとの境界部分に挟持用段部4cが形成されるようにしている。このようにして形成された挟持用段部4cは、図1に示すように、軸受部材2と調心部材6とを組み合わせたとき、軸受部材2の凸曲面2aの最大径部となる頂部分に対応する関係にしている。
上記本体4に組み込むキャップ5は、その外側にフランジ部5cを形成するとともに、その先端側には環状凸部5bを形成し、この環状凸部5bを上記挿入穴4bに挿入するようにしている。そして、上記フランジ部5cが位置決め用段部4dに当接したとき、環状凸部5bの先端と、本体4の挟持用段部4cとが所定の間隔を保持して対向する関係にし、この対向間隔を弾性部材保持部8としている。このようにして形成された弾性部材保持部8は、図1からも明らかなように、軸受部材2の凸曲面2aの中央に位置する関係にしている。
また、キャップ5を上記挿入穴4bに挿入することによって、弾性部材保持部8が形成されること前記の通りであるが、この弾性部材保持部8には、この発明の弾性部材であるOリング7をはめ込み、このOリング7の弾性力を上記凸曲面2aに作用させている。
まず、キャップ5を取り付けていない状態を保った挿入穴4b側から、この発明の弾性部材であるOリング7を、本体4の挟持用段部4cに突き当てるようにして嵌める。
次に、上記Oリング7を、その内周側から多少押し広げるようにして軸受部材2を挿入し、本体4の第1凹曲面4aと軸受部材2の凸曲面2aとを対向させる。
上記の状態でキャップ5に超音波振動装置を当てて超音波振動を与えると、溶着部9が順次溶融してキャップ5が本体4の内部に進行する。溶融とともにキャップ5が進行して、フランジ部5cが位置決め用段部4dに当接した状態となった時点で、上記超音波振動を与えるのを止める。これによって、上記キャップ5は本体4に溶着されることになり、キャップ5の環状凸部5bの先端と本体4の挟持用段部4cとの間にOリング7が挟持され、弾性部材保持部8が形成される。
この調心機構において、軸部材1に荷重Fが作用した場合を、図1、図2の断面図に示している。
この第1実施形態の調心機構でも、軸部材1に加重Fが作用すれば、軸部材1とともに軸受部材2が、調心部材6に対し、荷重方向へ移動する。従って、図1において、軸受部材2の上側の凸曲面2aでは、調心部材6の凹曲面4a,5aとの間に隙間ができるが、Oリング7は、上記凸曲面2aに接触している。
この状態で、環境温度変化によって調心部材6と軸受部材2との間の隙間が全体的に狭くなったり、広くなったりした場合には、Oリング7が変形するが、Oリング7がその弾性力の範囲で全周にわたって凸曲面2aに接触している情況は変わらない。従って、環境温度が変化しても、Oリング7は、その弾性力の範囲内で、軸受部材2に常に接触しているので、調心時の起動トルクの変動は少ない。
図3に示す第2実施形態は、軸受部材10が、ボールベアリングである点が、第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同じである。そこで、第1実施形態と同様の構成要素には、図1と同じ符号を用い、詳細な説明は省略する。
従って、上記第1実施形態と同様に、軸受部材10の偏心や温度変化によっても調心時の起動トルクの変動が少なく、安定している。
その他の構成及び作用は、図3の第2実施形態と同じである。
従って、Oリング7の内側全周と、軸受部材11の凸曲面11dとの摺動抵抗が、環境温度に影響されにくく、調心時の起動トルクの変動が少ない。
但し、調心部材6を本体4とキャップ5で構成せず、初めから1部材としてもよい。その場合には、軸受部材2を調心部材6内に強引に押し込まなければならないので、両部材のうち、少なくともいずれか一方は、組み付け時に、大きく弾性変形する素材で形成する必要がある。
また、上記第1〜第3実施形態とは反対に、軸受部材に凹曲面を形成し、調心部材に凸曲面を形成するようにしても良い。
なお、図5中、符号15は調心部材であり、この調心部材15には、上記軸受部材14の本体12に形成された第1凹曲面12aとキャップ13に形された第2凹曲面13aに対してほぼ同曲率の凸曲面15aが形成されている。
まず、軸受部材14の本体12にキャップ13を嵌めていない状態で、本体12にOリング7を嵌める。次に、上記軸受部材14の外周に調心部材15を嵌め、第1凹曲面12aと調心部材15の凸曲面15aとを対向させる。
さらに、キャップ13を本体12に組み合わせて、両者を溶着部17で溶着して結合し、軸受部材14を形成する。
従って、軸受部材14の偏心や、温度変化による部材の収縮があっても、軸受部材14と調心部材15との相対回動時の抵抗の変動が少ない。つまり、環境温度が変化したとしても、調心時の起動トルクの変動が少なくなる。
さらに、この第4実施形態の調心機構も、軸受部材14の本体12に対して、弾性部材であるOリング7と、調心部材15のどちらを先に組み付けるようにしてもかまわない。
要するに、調心部材と軸受部材のうち、凹曲面を備えるとともに本体とキャップとで構成される部材の本体に、他方の部材と弾性部材とを組み付けた後に、キャップを組み付けるようにすれば、調心部材の組み付けが容易になる。
この第5実施形態は調心部材20に、この発明の弾性部材として上記コイルばね21,22及びそれらコイルばね21,22に設けたばね受け部材23を備えた点が上記第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同様である。
従って、ここでも、図1に示す第1実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を用い、詳細な説明は省略する。以下には、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
そして、これら第1凹曲面18a及び第2凹曲面19aによって、調心部材20側の嵌め合い面の凹曲面を構成している。また、この調心部材20も、上記第1実施形態と同様に、本体18に軸受部材2を嵌め合わせてから、キャップ19を挿入穴18bに組み付け、上記本体18とキャップ19とを溶着部9で溶着して結合し、調心部材20を形成するようにしている。
図7,図8に示すように、このばね室18c内には、コイルばね21を組み込み、コイルばね21の先端には、先端を球面状にしたばね受け部材23を取り付けている。そして、このばね受け部材23が、上記コイルばね21の弾性力によって、軸受部材2の凸曲面2aに押し付けられている。
このように、上記荷重Fが作用している状態では、軸受部材2及び調心部材20の嵌め合わせ面において、図6に二点鎖線L1で示した円周上に沿って配置された複数のコイルばね21のうち、軸部材1の上側では、図7に示すようにばね室18cからばね受け部材23が突出して、軸受部材2の凸曲面2aに押し付けられている。
一方、上記軸部材1の下側では、図8に示すように、コイルばね21は圧縮されているが、上記ばね受け部材23の先端は軸受部材2の凸曲面2aに接触している。
そして、キャップ19のばね室19bに組み込んだ複数のコイルばね22も、図7,8に示すコイルばね21と同様に、軸部材1に作用する荷重Fによって、軸部材1の上側と下側とでは圧縮の程度は異なるが、いずれも、ばね受け部材23を軸受部材2の凸曲面2aに押し付けている。
さらに、この第5実施形態では、軸受部材2の外周に沿った2つの円周上に、それぞれコイルばね21,22を配置しているが、コイルばねなどの弾性部材の配置は一列でも良いし、3列以上でもよい。同様に、Oリングも1本に限らない。
詳細な説明は省略するが、この第7実施形態においても、上記第6実施形態と同様に、本体24とキャップ5との間に形成されたばね室24dに板ばね26を収容し、この板バネ26の弾性力を軸受部材2に作用させることによって、環境温度が変化したとしても、調心時の起動トルクの変動が少なくなる。
このようにすれば、この第8実施形態の調心機構も、上記した他の実施形態と同様に、環境温度が変化したとしても、調心時の起動トルクの変動が少なくなる。
2 軸受部材
2a 凸曲面
4 本体
4a 第1凹曲面
5 キャップ
5a 第2凹曲面
6 調心部材
7 Oリング
8 弾性部材保持部
9 溶着部
10 軸受部材
10c 凸曲面
11 軸受部材
11d 凸曲面
12 本体
12a 第1凹曲面
13 キャップ
13a 第2凹曲面
14 軸受部材
15 調心部材
15a 凸曲面
16 弾性部材保持部
17 溶着部
18 本体
18a 第1凹曲面
18c ばね室
19 キャップ
19a 第2凹曲面
19b ばね室
20 調心部材
21、22 コイルばね
23 ばね受け部材
24 本体
24a 第1凹曲面
24d ばね室
25 調心部材
26 板ばね
27 コイルばね
Claims (6)
- 軸受部材の外周側に調心部材を嵌め合わせるとともに、それら両嵌め合わせ面のいずれか一方を、軸受部材で支持される軸部材の軸方向に湾曲した凸曲面とし、いずれか他方を上記軸方向に湾曲した凹曲面とし、軸受部材と調心部材とが凸曲面及び凹曲面を介して相対的に回動することによって調心機能を発揮する調心機構において、上記凸曲面と凹曲面との間に、弾性力を保持した弾性部材を介在させた調心機構。
- 上記弾性部材がリング状部材である請求項1に記載の調心機構。
- 上記弾性部材はOリングである請求項1または2に記載の調心機構。
- 上記弾性部材はゴム製である請求項1〜3のいずれか1に記載の調心機構。
- 上記弾性部材が、複数のばね部材からなり、これらばね部材を、上記軸受部材外周に沿った円周上に間隔を保って配置した請求項1に記載の調心機構。
- 上記軸受部材または調心部材のうちいずれか一方を、本体とキャップとで構成するとともに、上記本体であって、上記軸受部材または調心部材のうちいずれか他方の部材の嵌め合わせ面に対向する面には、軸受部材で支持される軸部材の軸方向に湾曲した第1凹曲面を形成し、上記キャップには、上記第1凹曲面に連続し、上記第1凹曲面と曲率を同じにした第2凹曲面を形成し、これら第1,2の凹曲面の境界部分に、上記弾性部材を組み込む弾性部材保持部を備える一方、上記軸受部材または調心部材のうち他方の部材における嵌め合わせ面には、上記第1及び第2凹曲面と曲率をほぼ同じにした凸曲面を形成した請求項1〜5のいずれか1に記載の調心機構。
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