JP2009050413A - 記憶媒体及びx線ctシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】被検体のX線CT画像のビームハードニング補正を、隣接するスライスの影響を考慮して行うことにより高精度に行うことが可能なプログラムを格納する記憶媒体及びX線CTシステムを提供する。
【解決手段】複数のスライス画像のうちのi番目のスライス画像のビームハードニング補正データを、前記i番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分と、少なくとも前記i番目のスライス画像に隣接するi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分とを考慮して算出する。
【選択図】図4

Description

本発明は、被検体のX線CT(Computed Tomography)画像のビームハードニング(beam hardening)による影響を、所望のビームハードニング補正量を用いて補正するためのプログラム(program)を格納する記憶媒体、及び当該記憶媒体におけるプログラムコードが読み込まれた記憶装置を備えたX線CTシステム(system)に関する。
従来から、被検体の病巣や出血部位の特定の為にCT法が用いられている。かかるCT法においては、X線源から照射され、被検体を通過し、X線検出器が検出したX線の投影データから被検体のスライス(slice)画像を再構成することができる。
ところで、上記スライス画像においては、被検体の骨組織等のようなX線の吸収係数の高い物質の影響によるビームハードニング現象により、アーチファクトが発生することがあり、このビームハードニング現象によるアーチファクト発生を防止するために、ビームハードニング補正が行われる。
このようなビームハードニング補正として、例えば、特許文献1には、頭部のビームハードニング補正について記載されている。この特許文献1には、所定の画像の再構成法により再構成された断層立体画像をしきい値処理してX線の吸収率が高い骨類成分に対応するボクセルの画像を抽出し、この抽出した骨ボクセル(voxel)画像を仮想的にX線検出器へ投影し、この投影処理により得た骨投影データによりビームハードニング補正量を計算して補正用投影データを算出し、この補正用投影データ(data)をボクセルへ逆投影して、補正用ボクセル画像を再構成し、元の画像からこの補正用ボクセル画像を引いて、骨ボクセル画像加算する方法が開示されている。
特開平10−75947号公報
しかしながら、近年のCT検出器列の多列化に伴い、検出器幅が広がり、スライス画像間の間隔が狭まるにつれて、X線散乱をも含むビームハードニング現象の隣接スライス画像への相互影響が懸念されるようになってきた。しかしながら、上述の特許文献1に記載されたビームハードニング補正方法においては、隣接するスライスを考慮するものではない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、被検体のX線CT画像のビームハードニング補正を、隣接するスライスの影響を考慮して行うことにより高精度に行うことが可能な記憶媒体及び当該記憶媒体におけるプログラムコードが読み込まれた記憶装置を備えたX線CTシステムを提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、被検体のX線CT画像のビームハードニングによる影響を、所望のビームハードニング補正データを用いて補正するためのプログラムを格納する記憶媒体であって、 該プログラムは、(a)X線CT装置のコントローラ(controller)に対し、前記被検体の複数のスライス画像を含むX線CT画像の取得を指示するプログラムコード(program code)と、(b)前記複数のスライス画像のうちのi番目のスライス画像のビームハードニング補正データを、前記i番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分と、少なくとも前記i番目のスライス画像に隣接するi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分とを考慮して算出する、ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードと、(c)前記算出されたi番目のスライスの画像のビームハードニング補正データを用いて前記i番目のスライスの画像をビームハードニング補正するプログラムコードと、を備えている記憶媒体、というものである。
また、本発明の第2の観点は、前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記i番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分と、前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分との加重加算を含むことを特徴とする第1の観点に記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第3の観点は、前記ビームハードニング補正成分は、被検体のX線CT画像を用いて算出されることを特徴とする第1の観点又は第2の観点に記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第4の観点は、前記ビームハードニング補正成分は、被検体のX線CT画像を、仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた再投影データに基づき算出されることを特徴とする第3の観点に記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第5の観点は、前記ビームハードニング補正成分が、画像データからなるビームハードニング補正画像であり、前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記i番目のスライス画像に基づき算出されたビームハードニング補正画像と前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に基づき算出されたビームハードニング補正画像との加重加算を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第6の観点は、前記i番目のスライスの画像のビームハードニング補正は、以下の式に基づき行われることを特徴とする第5の観点に記載の記憶媒体、というものである。
Figure 2009050413
ここで、
Image(x,y,z):ビームハードニング補正前のi番目のスライス画像データ
Image’(x,y,z):ビームハードニング補正後のi番目のスライス画像データ
f():各スライス画像に基づくビームハードニング補正成分
g():加重加算の補正関数
n:補正に使用するスライス画像の数(但し、nは3以上の奇数)
また、本発明の第7の観点は、前記ビームハードニング補正成分は、前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた各スライス画像に対応するそれぞれの再投影データに基づいてそれぞれ算出された再投影データからなるビームハードニング補正再投影データであり、前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記ビームハードニング補正再投影データ対して加重加算することにより、前記i番目のスライス画像のビームハードニング補正再投影データを算出し、当該ビームハードニング補正再投影データを逆投影して得られたビームハードニング補正画像データを算出することを含むことを特徴とする第4の観点に記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第8の観点は、前記ビームハードニング補正成分は、前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた前記i−1乃至i+1番目のスライス画像に対応するそれぞれの再投影データからなり、前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記再投影データに対して加重加算を行い、当該加重加算後の再投影データに基づいて算出されたビームハードニング補正再投影データを逆投影して得られたビームハードニング補正画像データを算出することを含むことを特徴とする請求項4に記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第9の観点は、前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に対応するそれぞれの再投影データが、前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像から骨の画素を抽出した骨画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた再投影データであることを特徴とする第7の観点又は第8の観点に記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第10の観点は、前記被検体が、人間又は動物の頭部であることを特徴とする第1乃至第9の観点の何れかに記載の記憶媒体、というものである。
また、本発明の第11の観点は、第1乃至第10の観点の何れかに記載の記憶媒体をにおけるプログラムコードが読み込まれた記憶装置を備えたことを特徴とするX線CTシステム、というものである。
本発明の記憶媒体によれば、被検体のX線CT画像のビームハードニング補正を、隣接するスライスの相互影響を考慮して行うことにより高精度に行うことができる。
また、本発明のX線CT装置によれば、隣接するスライスの相互影響を考慮した被検体のX線CT画像のビームハードニング補正を行う記憶媒体を備えることにより、被検体のX線CT画像のビームハードニング補正を高精度に行うことができる。
以下、実施形態を用いて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本実施形態のX線CTシステム300のブロック(block)構成図である。図示のように本システムは、X線CT装置100とX線CT装置100に接続する操作コンソール(console)200を含む。操作コンソール200は、X線CT装置100のデータ収集部9から入力された画像データを取得し、X線CTシステムが有する記憶装置に読み出された各種画像処理プログラムを用いて画像データを加工し、表示装置56に表示することができる。
X線CT装置100は、以下の構成を備える。1はX線CT装置全体の制御を行うメインコントローラ(main controller)、2は操作コンソール200との通信を行うためのインタフェース(interface)、3はガントリ(gantry)であり、内部には、X線管コントローラ5により駆動制御されるX線源としてのX線管4、X線の照射範囲を画定するためのスリットを有するコリメータ(collimator)6、コリメータ6のX線照射範囲を画定するスリット(slit)幅の調整用モータ(motor)であるモータ7aが設けられている。このモータ7aの駆動はコリメータコントローラ7により制御される。
ガントリ3は、被検体を透過したX線を検出するX線検出部8、およびX線検出部8で得た透過X線より得られる投影データを収集するデータ収集部9を備える。X線検出部8は2次元の検出器のアレイ(array)を具備し、マルチスライス・ヘリカル(multi slice helical)走査を可能にしている。X線管4及びコリメータ6と、X線検出部8はガントリ3の空洞部分を挟んで、すなわち、テーブル(table)12上に横たえた被検体(図示せず)を挟んで対向する位置に設けられ、ガントリ3が回動するようになっている。この回動は、モータコントローラ11からの駆動信号により駆動される回転モータ10によって行われる。テーブル12は、被検体を乗せてテーブルモータ13によって駆動する、被検体をz軸方向へ搬送する。テーブルモータ13の駆動はテーブルモータコントローラ14により制御される。
メインコントローラ1は、インタフェース2を介して受信した各種コマンド(command)の解析を行い、それに基づいて上記のX線管コントローラ5、コリメータコントローラ7、モータコントローラ11、テーブルモータコントローラ14、そして、データ収集部9に対し、各種制御信号を出力することになる。また、メインコントローラ1は、データ収集部9で収集された投影データを、インタフェース2を介して操作コンソール200に送出する処理も行う。
操作コンソール200は、いわゆるワークステーション(workstation)であり、図示するように、装置全体の制御をつかさどるCPU(Central Processing Unit)51、ブートプログラム(boot program)等を記憶しているROM(Read−Only Memory)52、主記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)53をはじめ、以下の構成を備える。
HDD(Hard Disc Drive)54は、ハードディスク装置等の記録媒体であって、ここにスキャン(scan)制御プログラム等のほか、ガントリ装置100に各種指示を与えたり、ガントリ装置100より受信したデータに基づいてX線断層像を再構成するための画像再構成プログラムが格納されている。VRAM(Video RAM)55は表示しようとするイメージデータ(image data)を展開するメモリ(memory)であり、ここにイメージデータ等を展開することでCRT(Cathode Ray Tube)56に表示させることができる。57及び58は、各種設定を行うためのキーボード(keyboard)およびマウス(mouse)である。また、59はガントリ装置100と通信を行うためのインタフェースである。
操作コンソール200は、また、光ディスク(disc)、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気テープ(tape)、不揮発性のメモリカード(memory card)等の各種可般型記録媒体に格納されたプログラムやデータをRAM53にロードするCD−ROMドライブ等の各種可般型記録媒体駆動装置61を備えている。操作コンソール200はさらに、通信インタフェース63を備え、ネットワーク(network)に接続し、ネットワークに存在するデータやプログラムをダウンロード(download)することができる。CD−ROM等の各種記録媒体に格納されたプログラムやデータ及び、ネットワークからダウンロードされたプログラム(画像処理プログラムを含む)やデータはX線CTシステムが有する記憶装置の一例であるRAM53にロード(load)され(読み込まれ)、実行される。
以下、実施例を用いて、上記各種記憶媒体に格納されたプログラムの動作について説明する。
(実施例1)
図2は、本実施例に係る記憶媒体に格納されたプログラムの動作によるビームハードニング補正の手順を示すフローチャート(flow chart)である。
まず、操作コンソール200からの制御により、X線CT装置100のメインコントローラ1へ投影データ収集を行うことの指示を行う。この指示に応答して、メインコントローラ1はX線CT装置の各部を制御し、ヘリカルスキャン等により被検体15の撮影が行われる。2次元X線検出器8から出力された検出データは、データ収集部9により、投影データとして、操作コンソール200側へ送られる(ステップ(step)201)。必須の処理ではないが、収集された投影データに、X線強度補正や感度補正等の公知の補正処理を施すことができる。
次に、ステップ201において収集された投影データを用いて画像再構成を行い、複数のスライス画像を得る(ステップ202)。
図3は、スライス画像の概念図である。図3(a)に示されているように、本実施例においては、頭頂部側から頸部側に亘って複数のスライス画像を得る。図3(a)においては、i番目のスライスとi+1番目のスライスとの間隔が数cm離間しているかの如く示されているが、現実には5mm程度である。図3(b)はi番目のスライス画像320(断層像)を示す概念図である。図に示されるように、スライス画像320には、頭蓋骨の部分321と脳を含む頭蓋骨の内側の部分323が含まれている。図3(c)は、i番目のスライス画像320において、X軸方向に延びる線311に沿った画素のCT値(画素値)を示すグラフ(graph)330である。図に示されているように、頭蓋骨に対応する位置のCT値は高く(331、339)、脳に対応する位置のCT値は低くなっている(335)。このスライス画像は、頭蓋骨に対応する位置331,339のすぐ内側の領域(333、337)において、ビームハードニングの影響によるアーチファクトによる増加したCT値が観測される。
図2に戻り、ステップ203において、各スライス画像に対し、各スライス画像に基づくビームハードニング補正成分を算出する。本実施例においては、後述するように、各スライス画像に基づくビームハードニング補正成分として、各スライス画像に対応するビームハードニング補正画像データを算出するものとする。このステップは、操作コンソール200のRAMにロードされたプログラムが実行されることにより実施される。
図4は、本実施例におけるビームハードニング補正画像データの算出の手順を説明する概念図である。グラフ410、411、412は、それぞれi−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像について、図3(c)におけるX軸方向に延びる線311に沿った画素のCT値(画素値)を示すグラフである。このi−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像から、ビームハードニング補正画像データを算出する。i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に対応するビームハードニング補正画像データは、420、421、422のグラフで表される。
このビームハードニング補正画像データは、例えば次のような方法で算出することができる。一般的に、骨組織はCT値が200を超え、水はCT値が0であり、脳内の灰白色物質(又は軟組織)はCT値が約20〜50であるので、所定の閾値処理、例えば100以上のCT値を持つ部分を骨に相当するデータとして除去する。次に、骨に相当するデータを除去した残りの画像についてCT値の平均を求める。その後、骨に相当するデータを除去した残りの画像からCT値の平均を除算することにより、各スライス画像にそれぞれに対応するビームハードニング補正画像データを求める。別法としては、骨に相当するデータを除去した残りの画像からCT値の平均を除算する代わりに、骨に相当するデータを除去した残りの画像から所定のCT値(例えばCT値=40)を除算することによってもビームハードニング補正画像データを求めることができる。
図2に戻り、ステップ204において、i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に対応する補正関数を決定する。この補正関数は、補正に使用するスライス画像にそれぞれに対し、合計が1となるように指定される値であり、i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像を加重加算する際の重み係数である。この補正関数は、経験的、或いは後述するように、繰返しビームハードニング補正効果を確認することによりチューニング(tuning)されて設定される。
次に、ステップ205において、i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正画像データのそれぞれに補正関数が適用(乗算)されてそれらを加算し、i番目のスライス画像のビームハードニング補正データ(画像データ)が求められる。
図4の例では、補正関数として、「0.2」、「0.6」、「0.2」という値が採用されている。グラフ460は、i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正画像データに補正関数が適用されて乗算された結果得られたi番目のスライス画像のビームハードニング補正データ(画像データ)を示すグラフである。
次に、ステップ206において、ステップ205で算出したi番目のスライス画像のビームハードニング補正データ(画像データ)を、i番目のスライス画像に対応する元の画像データから減算し、ビームハードニング補正された画像を得る。
このビームハードニング補正された画像において、ビームハードニング補正の効果が不充分であり補正関数を修正する必要がある場合は、ステップ204に戻り、補正関数を決定し直し、新たなビームハードニング補正された画像を得ることができる。補正関数を修正する必要があるか否かの判断は、操作者が目視で判断してもよく、所望の判断処理手段を用いてもよい。具体的には、例えば、i−1〜i+1番目の画像に適用される補正関数を「0.2」、「0.6」、「0.2」から「0.1」、「0.8」、「0.1」と修正することができる。
以上で説明したi番目のスライス画像のビームハードニング補正処理を、全てのスライス画像について行うことにより、全てのスライス画像について、高精度なビームハードニング補正を施すことができる。
以上説明したように、本実施例においては、1枚のスライス画像において複数スライス画像のビームハードニング補正成分を利用することにより、周辺のスライス画像のビームハードニング効果の影響が補正対象のスライス画像に対して及ぼす影響を考慮することができるので、補正対象のスライス画像に対して高精度なビームハードニング補正を行うことができる。
(実施例2)
図5は、本実施例に係る記憶媒体に格納されたプログラムの動作によるビームハードニング補正の手順を示すフローチャートである。
図5において、ステップ501とステップ502は、実施例1において説明したステップ201とステップ202と同等であるため、ここでの説明は省略する。
ステップ503において、各スライス画像から骨画像を生成し、それを仮想的にX線検出器に再投影して骨再投影データを取得する。具体的には、所定の閾値処理を行うことにより、それぞれi−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像から、骨に相当する画素を抽出して骨画像を得る。そして、この各骨画像について、仮想的にX線検出器に再投影して各スライス画像に対応する骨再投影データをそれぞれ取得する。
次にステップ504において、各スライス画像に対応する骨再投影データに対するビームハードニング補正成分を算出する。尚、本実施例においては、各スライス画像に基づくビームハードニング補正成分として、後述するように、各スライス画像に対応するビームハードニング再投影データを算出するものとする。このステップは、操作コンソール200のRAMにロードされたプログラムが実行されることにより実施される。
即ち、まず、前記骨再投影データからデータにそれぞれi−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に対応するビームハードニング補正再投影データを計算する。但し、ここで求められるのは、骨再投影データとビームハードニング補正再投影データが組み合わされた投影データである。
次に、ステップ505において、i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に対応するの補正関数を決定する。尚、この補正係数は、後述するようにビームハードニング再投影データに対する補正係数であること以外は、実施例の補正係数と同様である。
次に、ステップ506において、i−1番目、i番目、i+1番目の骨再投影データとビームハードニング補正再投影データが組み合わされた投影データのそれぞれに補正関数が適用(乗算)されてそれらを加算し、i番目のスライス画像に対応する骨再投影データとビームハードニング補正再投影データが組み合わされた投影データが求められる。この骨再投影データとビームハードニング補正再投影データが組み合わされた投影データを逆投影して、骨画像とビームハードニング補正画像とが組み合わされた画像を生成し、ステップ503において求めたi番目のスライス画像の骨画像を減算することによって、ビームハードニング補正データ(画像データ)を得る。
そして、ステップ507において、ステップ506で算出したi番目のスライス画像のビームハードニング補正データ(画像データ)を、i番目のスライス画像に対応する元の画像データから減算し、ビームハードニング補正された画像を得る。
そして、実施例1と同様に、このビームハードニング補正された画像において、ビームハードニング補正の効果が不充分であり補正関数を修正する必要がある場合は、ステップ505に戻り、補正関数を決定し直し、新たなビームハードニング補正された画像を得ることができる。
以上説明したように、本実施例においても、実施例1と同様に、1枚のスライス画像において複数スライス画像のデータも利用することにより、周辺のスライス画像のビームハードニング効果の影響が補正対象のスライス画像に対して及ぼす影響を考慮することができるので、補正対象のスライス画像に対して高精度なビームハードニング補正を行うことができる。
また、本実施例においては、ビームハードニング補正成分を、再投影データ空間で算出しているため、各ビューにおける骨の影響を算出することができることから高精度なビームハードニング補正成分を得ることができる。
(実施例3)
図6は、本発明の他の実施態様におけるスライス画像のビームハードニング補正の手順を説明するフローチャートである。
図6において、ステップ601、ステップ602、及びステップ603は、実施例2において説明したステップ501、ステップ502、及びステップ503と同等であるため、ここでの説明は省略する。
次に、ステップ604において、i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に対応する補正関数を決定する。尚、この補正係数は、後述するような骨再投影データに対する補正係数であること以外は、実施例の補正係数と同様である。尚、ステップ503にて取得された各スライス画像の骨再投影データは、ビームハードニングの影響を計るベース(base)となることから、本実施例においては、各骨再投影データがそれぞれの各スライス画像に基づくビームハードニング補正成分であるとする。
次に、ステップ605において、まず、i番目のスライス画像に対応する骨再投影データ、i−1番目のスライス画像に対応する骨再投影データ、及びi−1番目のスライス画像に対応する骨再投影データを決定した補正関数を用いて加重加算を行う。このようにして得られた骨再投影データをi番目のスライス画像の骨再投影データとし、その骨再投影データに基づいてi番目のスライス画像のビームハードニング補正データ(再投影データ)を算出する。但し、ここで求められるのは、骨再投影データとビームハードニング補正データ(再投影データ)とが組み合わされた投影データである。そして、この骨再投影データとビームハードニング補正データ(再投影データ)とが組み合わされた投影データを逆投影して、骨画像とビームハードニング補正データ(画像データ)とが組み合わされた画像を生成し、ステップ603において求めたi番目のスライス画像の骨画像を減算することによって、ビームハードニング補正データ(画像データ)を得る。
そして、ステップ606において、ステップ605で算出したi番目のスライス画像のビームハードニング補正データ(画像データ)を、i番目のスライス画像に対応する元の画像データから減算し、ビームハードニング補正された画像を得る。
そして、実施例1と同様に、このビームハードニング補正された画像において、ビームハードニング補正の効果が不充分であり補正関数を修正する必要がある場合は、ステップ604に戻り、補正関数を決定し直し、新たなビームハードニング補正された画像を得ることができる。
以上説明したように、本実施例においても、実施例1、2と同様に、1枚のスライス画像において複数スライス画像のデータも利用することにより、周辺のスライス画像のビームハードニング効果の影響が補正対象のスライス画像に対して及ぼす影響を考慮することができるので、補正対象のスライス画像に対して高精度なビームハードニング補正を行うことができる。
また、本実施例においても、実施例2と同様に、ビームハードニング補正成分を、再投影データ空間で算出しているため、各ビュー(view)における骨の影響を算出することができることから高精度なビームハードニング補正成分を得ることができる。
尚、本発明に係る記憶媒体に格納されたプログラムの動作は、上記実施例に限定されるものではない。
上述の補正関数は、上述のように、補正に用いるスライス画像に対応する補正関数の合計が1となれば、正の値に限らず負の値であってもよい。さらに、上記実施例では、補正関数は、補正に用いるスライス画像毎に設定したが、各スライスの画素毎に設定してもよい。その場合、各スライス間で同じxy座標に位置する画素の補正関数の合計が1となるように設定する。
また、上述の実施例では、i番目のスライス画像のビームハードニング補正を行うために、i−1番目、i番目、i+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分を用いたが、本発明は、スライス画像の数は、2以上の整数において適用可能である。例えば、スライス画像の数が2の場合、補正関数として、i番目のビームハードニング補正画像に対し「0.8」、i+1番目のビームハードニング補正画像に対し「0.2」という値を採用することができる。
さらに、i番目のスライス画像を中心にi−1番目、i+1番目よりさらに外側に連続するスライス画像(i−n番目及び/又はi+n番目:nは1より大きい整数)を用いてもよい。
例えば、上述の実施例1におけるプログラムの動作において、i番目のスライス画像のビームハードニング補正データを3以上の奇数のスライス画像で用いる場合、ビームハードニング補正は、例えば以下の式により行うことができる。
Figure 2009050413
ここで、
Image(x,y,z):ビームハードニング補正前のi番目のスライス画像データ
Image’(x,y,z):ビームハードニング補正後のi番目のスライス画像データ
f():各スライス画像におけるビームハードニング補正成分
g():加重加算の補正関数
n:補正に使用するスライス画像の数(但し、nは3以上の奇数)」
また、ビームハードニング補正量の算出については、実施例2及び3のような再投影データを用いる方法においては、骨再投影データを用いてビームハードニング補正成分を算出する方法に限るものではなく、他のあらゆる方法を含むものである。
また、実施例2及び3のような再投影データを用いる方法においては、補正係数を用いた加重加算を行うタイミングについても、例えば、各スライス画像に対応するビームハードニング補正再投影データをそれぞれ逆投影して得られた各スライス画像に対応するビームハードニング補正画像に対して補正係数を用いた加重加算を行う等、補正係数を用いた加重加算を行う対象が、周辺のスライス画像のビームハードニング効果の影響を考慮できるような対象であれば、如何なるタイミング(timing)であってもよい。
また、本発明のX線CTシステムは、上記実施形態に記載のX線CTシステムに限るものではなく、如何なる変形例も含むものである。
実施形態のX線CTシステム300のブロック構成図である。 実施形態の記憶媒体に格納されたプログラムの動作によるビームハードニング補正の手順を示すフローチャートである。 スライス画像の概念図である。 実施形態におけるビームハードニング補正画像データの算出の手順を説明する概念図である。 実施形態の記憶媒体に格納されたプログラムの動作によるビームハードニング補正の手順を示すフローチャートである。 実施形態の記憶媒体に格納されたプログラムの動作によるビームハードニング補正の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 メインコントローラ
2 インタフェース
3 ガントリ
4 X線管
5 X線管コントローラ
6 コリメータ
7a モータ
7 コリメータコントローラ
8 X線検出部
9 データ収集部
10 回転モータ
11 モータコントローラ
12 テーブル
13 テーブルモータ
14 テーブルモータコントローラ
15 被検体
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 HDD
55 VRAM
56 表示装置
57 キーボード
58 マウス
59 インタフェース
61 CD−ROMドライブ
63 通信インタフェース
100 X線CT装置
200 操作コンソール
300 X線CTシステム

Claims (11)

  1. 被検体のX線CT画像のビームハードニングによる影響を、所望のビームハードニング補正データを用いて補正するためのプログラムを格納する記憶媒体であって、
    該プログラムは、
    (a)X線CT装置のコントローラに対し、前記被検体の複数のスライス画像を含むX線CT画像の取得を指示するプログラムコードと、
    (b)前記複数のスライス画像のうちのi番目のスライス画像のビームハードニング補正データを、前記i番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分と、少なくとも前記i番目のスライス画像に隣接するi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分とを考慮して算出する、ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードと、
    (c)前記算出されたi番目のスライスの画像のビームハードニング補正データを用いて前記i番目のスライスの画像をビームハードニング補正するプログラムコードと、
    を備えている記憶媒体。
  2. 前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記i番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分と、前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に基づくビームハードニング補正成分との加重加算を含むことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
  3. 前記ビームハードニング補正成分は、被検体のX線CT画像を用いて算出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の記憶媒体。
  4. 前記ビームハードニング補正成分は、被検体のX線CT画像を、仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた再投影データに基づき算出されることを特徴とする請求項3に記載の記憶媒体。
  5. 前記ビームハードニング補正成分が、画像データからなるビームハードニング補正画像であり、
    前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記i番目のスライス画像に基づき算出されたビームハードニング補正画像と前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に基づき算出されたビームハードニング補正画像との加重加算を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の記憶媒体。
  6. 前記i番目のスライスの画像のビームハードニング補正は、以下の式に基づき行われることを特徴とする請求項5に記載の記憶媒体。
    Figure 2009050413
    ここで、
    Image(x,y,z):ビームハードニング補正前のi番目のスライス画像データ
    Image’(x,y,z):ビームハードニング補正後のi番目のスライス画像データ
    f():各スライス画像に基づくビームハードニング補正成分
    g():加重加算の補正関数
    n:補正に使用するスライス画像の数(但し、nは3以上の奇数)
  7. 前記ビームハードニング補正成分は、前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた各スライス画像に対応するそれぞれの再投影データに基づいてそれぞれ算出された再投影データからなるビームハードニング補正再投影データであり、
    前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記ビームハードニング補正再投影データ対して加重加算することにより、前記i番目のスライス画像のビームハードニング補正再投影データを算出し、当該ビームハードニング補正再投影データを逆投影して得られたビームハードニング補正画像データを算出することを含むことを特徴とする請求項4に記載の記憶媒体。
  8. 前記ビームハードニング補正成分は、前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた前記i−1乃至i+1番目のスライス画像に対応するそれぞれの再投影データからなり、
    前記ビームハードニング補正データを算出するプログラムコードは、前記再投影データに対して加重加算を行い、当該加重加算後の再投影データに基づいて算出されたビームハードニング補正再投影データを逆投影して得られたビームハードニング補正画像データを算出することを含むことを特徴とする請求項4に記載の記憶媒体。
  9. 前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像に対応するそれぞれの再投影データが、前記i番目のスライス画像及び前記少なくともi−1番目及び/又はi+1番目のスライス画像から骨の画素を抽出した骨画像を仮想的にX線検出器に再投影することにより得られた再投影データであることを特徴とする請求項7又は8に記載の記憶媒体。
  10. 前記被検体が、人間又は動物の頭部であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の記憶媒体。
  11. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の記憶媒体におけるプログラムコードが読み込まれた記憶装置を備えたことを特徴とするX線CTシステム。
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