JP7258474B2 - X線ct装置及び放射線治療システム - Google Patents

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本発明は、X線CT(Computed Tomography)装置及び放射線治療システムに係り、特に、X線CT装置によって取得する画像において、被検体内の高吸収体に起因して発生する高吸収体アーチファクト成分を低減する技術に関する。
放射線治療システムにおいて、近年コーンビームCTやX線CT装置やX線トモシンセシス撮影装置(以下、総じて「X線CT装置」と称する)を一体的又は別個独立に搭載してX線吸収係数分布画像(以下、「CT画像」と称する)を取得し、被検体位置の修正や治療対象の監視に利用する技術が開発されている。X線CT装置は、被検体を多方向から測定して得た測定投影データから被検体内の各点のX線吸収係数を算出し、CT画像を得る装置である。通常、X線吸収係数は、空気と水で規格化したHounsfield Unit値(空気を-1000、水を0)に置き換えて利用される。
X線CT装置による撮像時に、被検体の体内に金属や骨等のX線吸収係数の大きい高吸収体が存在する場合は、当該高吸収体において照射X線の低エネルギー帯を中心としてX線が急激に吸収される。従って、X線源と検出器とを結ぶ直線経路上に高吸収体が存在する場合には、得られた測定投影データが信頼性に欠ける場合がある。信頼性の低い測定投影データに基づいて再構成されたCT画像上には、ライン状のアーチファクト(以下、「高吸収体アーチファクト」)が発生し、臨床上診断能の精度を低下させてしまう。
このような高吸収体アーチファクトを低減させる技術として、非特許文献1には、CT画像から高吸収体領域を抽出し、抽出した高吸収体領域の周辺領域のCT値を用いて高吸収体領域のCT値を置換することにより測定投影データを補正する技術が開示されている。
ところで、放射線治療の際には、予め放射線治療計画用のCT画像を撮影して照射線量を定めたり、予め撮影したCT画像と治療直前に撮影したCT画像との位置合わせを行って、被検体の患部が放射線の照射位置に合致するように寝台位置を設定したりする。
上述した高吸収体アーチファクトは、放射線治療の際の照射線量、被検体の位置合わせに際しても精度を低下させる原因となる。
具体的には、例えば、放射線治療の照射線量は、治療対象と放射線源とを結ぶ直線経路上に存在する構造物のX線吸収係数、またはX線吸収係数から変換した電子密度情報を用いて決定する。このため、治療対象と放射線源とを結ぶ直線経路上に高吸収体が存在することによって、治療計画の精度を低下させてしまう。
また、治療直前のCT画像と治療計画策定時のCT画像とでは、高吸収体アーチファクトの位置や強度が異なるため、これにより位置合わせの精度が低下し、治療対象と照射位置とのずれに繋がる。また、CT画像上で治療対象がアーチファクトと重なってしまい、治療対象の位置を特定することができず、治療の実施が困難になることも考えられる。
特に、放射線治療では、1mmより小さい精度で治療対象の位置を特定することが求められ、放射線治療の中でも、粒子線治療のように高エネルギーかつ照射範囲を絞る治療法は、誤った位置への照射による他組織への影響が大きい。従って、治療計画の際に用いられるX線CT装置には、診断用のX線CT装置以上に、測定投影データに対する高い信頼性が求められる。
Kalender,et al.,"Reduction of CT Artifacts Caused by Metallic Implants",Radiology,164,576-577,1987
上述した非特許文献1に開示された高吸収体アーチファクトの低減技術は、被検体の心拍、呼吸等に基づく動きや装置構成の歪みの無い理想的な状態で撮影された画像であることを前提としている。すなわち、このような場合は、測定投影データにおける各構造物(高吸収体を含む)の位置とCT画像から推定した投影データにおける各構造物の位置とが略一致するため、補正精度が比較的高いと考えられる。
しかしながら、実際には、心電同期や動き補正、装置構成の調整等の処理が不十分な場合、被検体の動きや装置構成の歪みの影響を受けるため、測定投影データとCT画像から推定した投影データとにおいて構造物の位置が一致しないことがある。
特に、放射線治療前の位置合わせ用画像を取得するX線CT装置では、X線CT装置のガントリーが治療装置のガントリーと一体的に構成されている場合、約60秒/回転で撮影を行うのに対し、診断用の画像を取得するX線CT装置では約0.3~1.0秒/回転の高速回転によって撮影を行う。回転速度が遅く計測時間が長いほど被検体の動き等の影響が大きくなるため、放射線治療の際に用いられるX線CT装置では、得られる測定投影データとCT画像から推定した投影データとにおいて構造物の位置ずれが顕著となる。
構造物の位置が一致しない1点目の理由として、被検体の動きや装置構成の歪みは撮影中の変動量の平均値となるため、CT画像上の高吸収体の広がり及び吸収値の低下に繋がることが挙げられる。これにより、本来の高吸収体の体積と比べ、過大または過小に見積もってしまうことがある。また、吸収値が低下すると、高吸収体と高吸収体アーチファクトとの差が明瞭でなくなるという課題がある。
2点目の理由として、X線CT装置1回転の撮影時間にて取得したCT画像と比較して、測定投影データの1投影に要する撮影時間は短く時間分解能が高いことが挙げられる。
例えば、X線CT装置において500投影/回転、かつ1秒/回転で撮影することを想定すると、撮影時間は000.2秒/投影である為、1回転1秒と比較して、遥かに高い時間分解能を持つ。この時間分解能の差により、CT画像上で平均的に広がった高吸収体領域に対して、測定投影データ上の高吸収体は時間分解能が高く鮮明である。これにより、広がりが大きいほど高吸収体以外の不必要な領域を含めて、補正が広範囲に実施されることとなる。そして、広範囲な補正になるほど、補正対象の高吸収体領域と補正に用いる周辺組織との距離が大きく相関性が低下するため、補正精度が低下してしまう。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、被検体の動きや装置構成に起因した歪みにかかわらず、CT画像における高吸収体によって生じたアーチファクトを高精度に低減させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、被検体の周囲を周回するX線発生部から照射され前記被検体を透過したX線の線量を異なる複数の投影角度毎に検出した測定投影データを出力する撮影部と、前記測定投影データに基づいて再構成像を生成する画像生成部と、を備え、該画像生成部が、前記被検体に含まれるX線の高吸収体の形状等を示す高吸収体情報及び前記高吸収体の動きを示す動き情報を取得し、前記高吸収体情報及び前記動き情報に基づいて、前記再構成像から前記高吸収体の領域及び該高吸収体が変動した範囲を示す高吸収体変動領域を抽出する高吸収体抽出部と、前記高吸収体変動領域から、投影角度毎に前記測定投影データ上の前記高吸収体の領域を特定する高吸収体特定部と、前記測定投影データ上の前記高吸収体の領域を補正する高吸収体補正部と、前記高吸収体の領域が補正された前記測定投影データに基づいて再構成像を生成する画像再構成部と、を備えるX線CT装置を提供する。
本発明によれば、被検体の動きや装置構成に起因した歪みにかかわらず、CT画像における高吸収体によって生じたアーチファクトを高精度に低減させることができる。
本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置の画像生成部のCPUの機能を示す機能ブロック部である。 本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置における画像処理の流れを示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置において高吸収体の領域の抽出についての説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置において、(A)は測定投影データの例、(B)は高吸収体変動領域が小さい場合の例、(C)は高吸収体変動領域が大きい場合の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置において領域拡張法を適用する際の説明図であり、(A)は開始点、(B)は開始点から拡張する場合の説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置における撮影条件受付画面の例に係る参考図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置における撮影から高吸収体アーチファクト除去にかかる処理の流れについてのフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るX線CT装置における高吸収体の領域の抽出についての説明図である。 本発明の第3の実施形態に係るX線CT装置の画像生成部のCPUの機能を示す機能ブロック部である。 本発明の第3の実施形態に係るX線CT装置において、閾値を変更しながら高吸収体の抽出及び補間処理を繰り返す処理についての説明図である。
本発明の実施形態に係るX線CT装置は、検体の周囲を周回するX線発生部から照射され前記被検体を透過したX線の線量を異なる複数の投影角度毎に検出した測定投影データを出力する撮影部と、前記測定投影データに基づいて再構成像を生成する画像生成部と、を備え、該画像生成部が、前記被検体に含まれるX線の高吸収体の形状等を示す高吸収体情報及び前記高吸収体の動きを示す動き情報を取得し、前記高吸収体情報及び前記動き情報に基づいて、前記再構成像から前記高吸収体の領域及び該高吸収体が変動した範囲を示す高吸収体変動領域を抽出する高吸収体抽出部と、前記高吸収体変動領域から、投影角度毎に前記測定投影データ上の前記高吸収体の領域を特定する高吸収体特定部と、前記測定投影データ上の前記高吸収体の領域を補正する高吸収体補正部と、前記高吸収体の領域が補正された前記測定投影データに基づいて再構成像を生成する画像再構成部、を備えている。
本実施形態によれば、予め高吸収体情報を取得することで、再構成像から高吸収体と高吸収体アーチファクトを正確に分離し抽出することができる。また、再構成像と測定投影データの時間分解能の差を考慮して、再構成像上で任意の撮影時刻tの高吸収体の領域を推定することで再構成像上の高吸収体領域の広がりが小さく、かつ撮影時刻tに応じて高吸収体の位置の変化を把握することができる。再構成像上での高吸収体変動領域に基づいて、測定投影データ上の高吸収体を正確に特定するので、被検体の動きや装置構成の歪みにかかわらず、再構成像の高吸収体から発生するアーチファクト成分を高精度に低減することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置は、放射線治療装置と一体的又は別個独立に設けられるものであり、放射線治療装置の一部を成すものである。以下、本実施形態に係るX線CT装置について説明する。
図1に示すように、X線CT装置は、撮影条件や画像再構成の条件を入力する入力部101と、入力部101に入力された撮像条件に従って撮影の制御やX線の照射及び検出を行って測定投影データを出力する撮影部102と、検出した信号である測定投影データに対して所定の画像処理を行うと共に再構成画像を生成する画像生成部103とを備えている。
入力部101は、撮影条件の入力等を行うキーボード111及びマウス112、メモリ113、HDD装置115、CPU114等を備えている。CPU114は、メモリ113、HDD装置115等に予め格納されている所定のプログラムを展開・起動することにより、撮影条件や画像再構成の条件等の入力を実現し、入力された内容に従った制御信号を後述する撮影制御部132に出力する。
撮影部102は、X線発生部1と、X線検出部2と、これらX線源発生部1及びX線検出部2を対向配置し所定の回転軸を中心に回転するガントリー回転部4と、ガントリー回転部4の開口内に配置され被検体6を載置する寝台5と、撮影部102に含まれるこれら各部の動作を制御する撮影制御部132を備えている。
X線発生部1は、寝台5上に載置された被検体6にX線を照射する。X線発生部1から照射されたX線は、一部は被検体6によって被検体内の物質分布に応じて吸収され、また一部は被検体6を透過してX線検出部2において検出される。
ガントリー回転部4は、X線発生部1及びX線検出部2を互いに対向配置し、所定の回転軸を中心に回転する。ガントリー回転部4の中央には、被検体6が挿入される開口が設けられ、この開口内に、被検体6が寝かせられる寝台5が配置されている。寝台5とガントリー回転部4とは、所定の方向に相対的に移動可能となっている。
X線検出部2は、X線検出部2に入射したX線量を検出し、検出したX線量を示す検出信号をデジタルデータに変換した測定投影データとして後述する画像生成部103のDAS119に出力する。なお、例えば、X線検出部2内に2次元に配列されたX方向およびY方向のX線検出素子の数は、2000×2000個である。各X線検出素子のサイズの代表例は0.2[mm]である。なお、これらの各仕様は、上記の値に限定されるものはなく、放射線治療用X線CT装置、診断用X線CT装置、X線トモシンセシス装置の構成に応じて種々変更可能である。
撮影制御部132は、ガントリー回転部4の回転及び傾斜を制御するガントリー制御部116、X線発生部1のオンオフ及び入力される電力を制御するX線制御部117、寝台5の上下前後動左右動を制御する寝台制御部118を含んでいる。
画像生成部103は、X線検出部2から入力された測定投影データを収集するデータ収集システム(Data Acquisition System、以下「DAS」という)119、メモリ120、CPU121、HDD装置122、画像表示部としてのモニタ123等を備えている。
CPU121は、図2に示すように、補正処理部135、再構成部136、高吸収体抽出部137、及び高吸収体補正部138として機能する。
画像生成部103は、その一部又は全部をCPU121、メモリ120及びHDD装置122を含む専用又は汎用のコンピュータを適用することができ、CPU121に含まれる各部の機能は、予めHDD装置122に格納されたプログラムをCPU121がメモリにロードし、実行することにより実現することができる。また、上述した各部の機能の一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアで構成することも可能である。
なお、入力部101と画像生成部103とは、独立したハードウェアとしても良いし、これらのハードウェアを共用した構成とすることもできる。また、入力部101及び画像生成部103は、撮影部102と必ずしも一体的に構成又は近接して配置する必要はなく、撮影部102と離れた場所に配置し、ネットワークを介して相互に接続することもできる。
以下、CPU121に含まれる各機能について説明する。
補正処理部135は、測定投影データに対し、オフセット補正や、検出素子間の感度を補正する公知のエアキャリブレーション処理等の補正を行う。
画像再構成部136は、補正処理部135において補正された測定投影データ等を再構成して再構成像を生成する。より詳しくは、図3に示すように、画像再構成部136は、高吸収体401を含む測定投影データ402を再構成し、CT画像(再構成画像)403を生成する。CT画像403には、測定投影データ402上の高吸収体401が再構成された高吸収体405及び高吸収体405によって生じたアーチファクト404が含まれている。測定投影データ402のX方向は、体軸方向と垂直であるCT検出器の中心列のX方向を示し、Y方向は投影角度θから成るサイノグラムを示す。
また、画像再構成部136では、後述する高吸収体補正部138によって高吸収体を補正したCT画像と高吸収体画像(例えば、図3の高吸収体画像406)を合成してアーチファクトを除いたCT画像を生成する。
高吸収体抽出部137は、図3に示すように、測定投影データ402を再構成して得られたCT画像403から、高吸収体及び高吸収体の動きに基づく領域が含まれる高吸収体変動領域405を抽出し、抽出された高吸収体変動領域405から測定投影データ402上の高吸収体401を特定する。このため、高吸収体抽出部137は、領域抽出部371及び高吸収体特定部372を備えている。
領域抽出部371は、例えば、予め定めた閾値に基づいて、CT画像において閾値以上のCT値を示す領域を高吸収体の少なくとも一部を包含する高吸収体包含領域とみなし、それ以下を高吸収体以外の組織や構造物と推定する。さらに、領域抽出部371は、推定した高吸収体包含領域について、後述する高吸収体モデルを適用することで高吸収体包含領域に基づいて高吸収体変動領域405、すなわち、高吸収体及び高吸収体の動きに起因して広がった領域を抽出する。そして、領域抽出部371は、抽出した高吸収体変動領域405からなる高吸収体画像406を生成する(図3参照)。
ここで、閾値以上のCT値を示す領域を、高吸収体の少なくとも一部を包含する高吸収体包含領域と定義するのは、以下の理由による。
被検体内の高吸収体は、被検体の呼吸やX線CT装置の歪みに起因して撮影中に移動するため、測定投影データにおける高吸収体の領域は撮影中の変動量の平均値となる。このため、再構成画像において高吸収体を示すCT値とこれに近い値のCT値を示す領域は、高吸収体のみならず、高吸収体の移動量に起因して実際の高吸収体よりも広い領域や高吸収体に起因して生じたアーチファクトが含まれる。
なお、X線CT装置(装置構成)の歪みとは、ガントリー回転部の回転中心の歪みやX線管や検出器の設置誤差であり、各投影角度の平均的な誤差を含むことで、高吸収体の広がりに繋がる。しかし、装置の歪みによる影響は、被検体の動きによる影響と同等に取り扱うことができるため、以下の説明においては、被検体の動きと特段区別することなく「高吸収体の変動」として説明する。
このような背景の下、再構成画像において所定の閾値を定め、閾値以上のCT値を示す領域を高吸収体領域として抽出する場合、設定する閾値の大きさによって領域が変動する。すなわち、閾値が低い場合には、高吸収体を含みながらもアーチファクト等の不要な領域も含む高吸収体が示す領域よりも広い領域を抽出することとなり、閾値が高い場合には、高吸収体の一部を示す領域のみを抽出することとなる。従って、閾値による領域抽出では、高吸収体が示す領域のみを適切に抽出することが困難である。従って、領域抽出部371は、まずは、予め定めた閾値に基づいて、高吸収体の少なくとも一部を包含する高吸収体包含領域として領域抽出を行う。
さらに、高吸収体アーチファクトを精度よく低減させるためには、高吸収体を精度よく抽出することが求められる。そこで、領域抽出部371は、高吸収体包含領域がより実際の高吸収体領域となるように、被検体が時間毎に周期または非周期に動く高吸収体モデルを適用して、高吸収体包含領域に基づいて高吸収体変動領域を抽出する。
高吸収体モデルとは、予め取得した高吸収体の組成や、大きさ、形状等の動きがない高吸収体情報に基づいて被検体内で高吸収体が動く距離と方向を関数化したものであり、言い換えると、時間tにおける高吸収体の重心位置pと高吸収体包含領域に畳み込み積分処理を行うことで得られる関数である。
領域抽出部371は、このような高吸収体モデルを適用することで、高吸収体包含領域から高吸収体が動く範囲に基づいた高吸収体の広がり、つまり、高吸収体変動領域を抽出することができる。
ここで、高吸収体モデルについて図4を用いて説明する。
図4に示すように、高吸収体が周期的に動く場合、予め取得した高吸収体情報に基づいた高吸収体の時間tの重心位置pと、高吸収体h(高吸収体包含領域)を畳み込み積分処理することで、高吸収体モデルを関数化する。
例えば、高吸収体の重心の位置p(x、y、z、t)とし(図4中、左側)、T秒間における2次元または3次元の高吸収体h(k、l、n、t)を畳み込み積分することにより(図4中、中央)、再構成画像403上の高吸収体m(x、y、z、t)、すなわち高吸収体変動領域を算出する(図4中、右側)。
下記の式(1)はT秒間の積分値を示しており、m(x、y、z、t)をT秒で除算すると1秒あたりの高吸収体m(x、y、z、t)、すなわち高吸収体変動領域の平均値が取得される。
Figure 0007258474000001
ここで、x、y、zは3次元位置、tは時間、k、l、nは高吸収体領域の3次元位置を示す。
例えば、高吸収体の重心の位置pは、時間tにおいて一意のインパルス関数で決まる。3次元の高吸収体h(k、l、n、t)は、X線吸収係数の値でもよいし、高吸収体と高吸収体以外の2値化した値でもよい。
このように、高吸収体モデルを適用することで、高吸収体が動く範囲に基づく高吸収体の広がりを把握することができ、高吸収体と高吸収体アーチファクトの識別が可能となる。
上述の式(1)では、周期的な動きである高吸収体モデルを仮定したが、突発的な被検体の動きや腸の運動のような非周期の動体に対しても高吸収体モデルを適用することができる。
突発的な動きや、腸運動等の非周期な動きに対しては、被検体に取り付けられた計測装置から得られる被検体の体表の動き、心電図等のバイタル情報等から高吸収体の重心位置pを推定し、高吸収体変動領域、つまり、高吸収体m(x、y、z、t)を表すことができる。
本実施形態では、撮影時間T秒間に動く高吸収体の平均的な位置を推定することで、高吸収体の広がり、すなわち高吸収体変動領域405を抽出することができる。
高吸収体特定部372は、領域抽出部によって抽出された画像上の高吸収体変動領域に対して、X線発生部1とX線検出部2の間のX線通過範囲に存在するX線吸収係数を積分計算する順投影計算を用いて、高吸収体投影データ407を生成する。これにより、測定投影データにおける高吸収体が示す領域を特定することができる。特定された高吸収体投影データの高吸収体の領域に対して、高吸収体補正部138は周辺組織の値を用いて補間処理する。補間処理についての詳細は後述する。
より詳細には、上述のように、高吸収体変動領域は、高吸収体の動いた範囲を含む領域であり、被検体の動きが大きくなるほど高吸収体変動領域(図5の高吸収体m)は大きな範囲となる。つまり、高吸収体mの広がりが小さい場合は、高吸収体投影データ422の広がりも小さくなり、測定投影データ上の高吸収体401と比べて差異が小さい(図5(A)、(B))。高吸収体mの広がりが大きい場合は、高吸収体投影データ424の広がりも大きくなり、測定投影データ上の高吸収体401に比して差異が大きい(図5(A)、(C))。
従って、測定投影データ上の高吸収体を特定する際に、高吸収体変動領域をそのまま順投影計算して得られた高吸収体投影データ上の高吸収体と、測定投影データ上の高吸収体との差異が大きくなってしまい、測定投影データ上の高吸収体領域を正確に特定することができないことがある。
そこで、高吸収体特定部372は、測定投影データの1投影に要する撮影時間が短く時間分解能が高いことに鑑みて、分解能が低いT秒間の平均値から算出した高吸収体mを用いて、時間分解能の高い測定投影データ上と等しい高吸収体投影データを正確に特定する。
具体的には、高吸収体特定部372は、高吸収体変動領域、すなわち、CT画像上あるいは高吸収体画像上の高吸収体m(x、y、z、t)の最大値を重心の位置(x、y、z、t)とし、CT画像上の重心位置と対応する測定投影データ上の高吸収体の重心位置を開始点として領域拡張法を適用する。本実施形態では、必ずしも全ての投影角度の重心位置を求める必要はなく、前後の投影角度の重心位置に基づき開始点を推定することができる。
なお、ここでいう開始点とは、測定投影データ上で領域抽出を開始する点、または、領域抽出を開始する領域(形状)に含まれる点を言う。高吸収体特定部372は、この開始点または開始点を含む領域(形状)を拡張(または縮小)していくことにより領域を抽出する方法を用いて、高吸収体を特定する。
上述のように高吸収体を特定するために、高吸収体特定部372は、微分処理部161、境界判定部162、領域拡張部163を備えている。
微分処理部161は、各投影角度の測定投影データのx、y各座標軸に関して微分処理を行う(図6(A))。具体的には、投影角度z番目の横方向x、縦方向yの検出器番号順に並んだ3次元測定投影データであるf(x、y、z)に対して、例えば下記の式(2)に従って、2次元方向x、y方向の各座標軸について偏微分計算を行うことにより勾配画像▽f(x、y、z)を算出する。
Figure 0007258474000002
境界判定部162は、微分処理部161により得られた微分値を用い、再構成画像から抽出した高吸収体に基づき、推定した投影データ上の高吸収体領域の一部を開始点41とし、隣接するデータが所定の条件を満たすか否かを判断する。
具体的には、境界判定部162は、微分処理部161における微分処理により取得した投影角度毎の勾配画像▽g(x、y、z)に対して、下記の式(3)に従って予め定めた閾値a2D以上を境界画素e(x、y、z)=1とし、閾値a2D未満を境界画素e(x、y、z)=0と判定する。
Figure 0007258474000003
領域拡張部163は、境界判定部162で得られた結果に基づいて、微分値が所定の条件を満たす場合は、開始点41からそれぞれ投影角度の測定投影データ上でX線検出部2の横方向、縦方向に領域を順次拡張する。(領域拡張法、図6(B))。
具体的には、領域拡張部163は、開始点に基づいて、画素e(x、y、z)=0であり、この画素e(x、y、z)に隣接する画素の値が0の場合のみ、この画素e(x、y、z)を高吸収体として判定し、e(x、y、z)=2に変更する。同様に、判定した高吸収体の画素と隣接する画素を判定し、判定対象の画素が無い条件に至るまで、処理を繰り返す。これにより、それぞれの投影角度において測定投影データ上の高吸収体42を特定することができ、高吸収体の測定投影データと周囲との境界の内側である高吸収体領域を精度よく抽出することができる。
本実施形態では領域拡張法を適用したが、高吸収体の形状または組織が既知の場合、パターンマッチングを用いて、CT画像上でアーチファクトと分離し高吸収体を特定することもできる。また推定したCT画像上の高吸収体領域の情報に基づき、パターンマッチングを用いて測定投影データ上の高吸収体を特定することができる。
高吸収体補正部138は、測定投影データにおいて特定された高吸収体を周辺組織の値を用いて補間処理する。このとき、アーチファクト要因となる測定投影データ上402の高吸収体401に対し、高吸収体の値と比べてX線吸収係数が低い値に補間処理する。具体的には、高吸収体領域に対して、例えばX方向、Y方向のそれぞれの方向で高吸収体の境界に位置する周辺組織から高吸収体領域を補間する。
高吸収体が補間された測定投影データは、画像再構成部136において再構成され、高吸収体画像(図3の高吸収体画像406)と合成され合成画像が生成される。
合成画像の生成に際し、画像再構成部136は、全体の投影角度の測定投影データに対して、FBP法(Filtered Back Projection法)を用いた再構成を実施し、特定の吸収値変換により高吸収体から発生するアーチファクトを低減することができる。
次に図3に示すように、画像再構成部136では、補間処理後の測定投影データ408から再構成画像409を実施する。これにより、FBP法を用いた場合であっても、測定投影データ408は、高吸収体投影データと比較して値が低いため、FBP法による高周波成分の強調を防止でき、高吸収体アーチファクトを低減することができる。
本実施形態において、アーチファクトの低減量は、例えば、下式(4)に示すように、FBP法を用いて再構成したCT画像(以下、補正無FBP画像とする)のアーチファクト量を基準として、高吸収体領域の測定投影データ値を変換後に再構成したCT画像(以下、補正有FBP画像とする)のアーチファクト量が低減した割合を百分率で示すことにより、数値として評価することができる。
Figure 0007258474000004
なお、本実施形態に係るX線CT装置において、被検体とは撮影対象を意味し、被検体6と、被検体6を支える寝台5とを包含する。なお、被検体6は、人体に限らず、ファントムや機械等の検査対象の物体であってもよい。
ここで、入力部による撮影条件の入力について説明する。図7に、モニタ123に表示される撮影条件受付画面141の一例を示す。
入力部101はモニタ123に表示された撮影条件受付画面141に従って、操作者による撮影条件の入力を受け付ける。図7の撮影条件受付画面141は、照射するX線のエネルギー及び出力量に対応する管電圧および管電流時間積を操作者が設定するためのX線条件設定用部142と、再構成画像の範囲を設定するための再構成範囲設定用部143と、所望する高吸収体条件を選択するための高吸収体設定部144と、再構成画像上の高吸収体の抽出方法を設定するための画像抽出方法設定部145と、測定投影データ上の高吸収体の抽出方法を選択するための投影データ抽出方法設定部146を含む。
以下、本実施形態に係る撮影条件、再構成条件の設定について説明する。
X線条件設定部142は、管電圧値及び管電流時間積を入力することができるようになっており、図7に示す例では、管電圧値80[kV]、管電流時間積200[mAs]が設定されている。図7では、1種類のエネルギースペクトルを有するX線を用いる例について示しているが、2種類以上のX線を用いるマルチエネルギー撮影の場合には、管電圧及び管電流時間積の項目をX線条件設定部142に追加し、X線の種類毎に設定する。
また、図7の再構成範囲設定部143において、画像再構成を行う領域である再構成範囲(FOV:Field of View)を設定ことができる。再構成範囲設定部143は、操作者によりFOVの大きさと中心位置を設定することにより再構成範囲を設定する構成である。本実施形態では、一例として、FOVを正方形で定義する。
図7の例では、FOVとして一辺500[mm]の正方形を設定し、FOVの中心位置をX線発生部1とX線検出部2を円軌道と仮定したときの回転中心に等しいX=Y=Z=0[mm]と設定している。なお、FOVは、正方形に限られず、円形、長方形、立方体、直方体、球等の任意の形状に設定することができる。
図7の高吸収体設定部144には、高吸収体を特定するための開始点41を設定する。設定方法としては、測定投影データ値の閾値を入力し、入力された閾値以下の測定投影データの点を開始点41として設定する方法、取得した測定投影データ上147の高吸収体の領域内の点を操作者がポインタ148を選択する方法、或いは、高吸収体の情報を操作者が選択する方法があり、これらを選択肢として撮影条件受付画面141に表示している。
図7の例では、測定投影データ値の閾値を1000[HU]以上として設定している。よって、この閾値1000[HU]以上のCT画像を示す点が開始点41として設定される。
また、図7の画像抽出方法設定部145は、高吸収体の抽出方法として、高吸収体モデル(時間平均、時間毎)や逐次的に閾値を低くする逐次法を選択できるようになっている。
本実施形態において、投影データ上の高吸収体の領域を抽出する方法としては、領域抽出を開始する点や領域から領域を拡張(または縮小)していくことにより領域を抽出する方法であればどのような方法を用いてもよい。
上述した開始点から領域を拡張する領域拡張法の他、初期形状に基づいて領域を抽出するスネークス法や、初期値に基づいて領域を抽出するレベルセット法や、初期シード(seed)に基づいて領域を抽出するグラフカット法を用いることができる。
このため、投影データ抽出方法設定部146には、領域拡張法、スネークス法、レベルセット法が選択肢として表示されている。領域抽出法として、スネークス法のように、開始点ではなく開始領域(開始形状)から領域抽出を行う方法が選択された場合には、撮影条件入力部131は、図7の高吸収体設定部144において、開始領域(開始形状)の入力を操作者から受け付けてもよい。また、入力部101は、高吸収体設定部144において開始点41の設定を受け付け、開始点41を含むように所定形状の開始領域(開始形状)を設定してもよい。
なお、撮影条件受付画面141は、図7の画面構成に限定されるものではない。また、撮影条件受付画面141で設定を受け付けるX線条件、再構成範囲、高吸収体設定条件、撮影部位の設定条件、および抽出方法をHDD装置115に予め保存しておき、入力部101がHDD装置115から設定条件等を読み出す構成とすることもできる。この場合、毎回操作者が、X線条件等を入力する必要はない。また、上記設定条件の組み合わせを予め複数種類保存しておき、操作者が複数種類の中から選択する構成にすることもできる。
以下、このように構成されたX線CT装置における撮影動作、及び高吸収体アーチファクト除去処理の流れを図8のフローチャートに従って説明する。
ステップS101では、操作者により入力部101に撮影条件が入力される。その後、操作者により撮影開始指示が入力されると、ステップS102において、撮影開始指示に係る入力された撮影条件に応じたCT撮影を行う。すなわち、撮影開始が指示されると、CPU114は、撮影制御部132のガントリー制御部116、X線制御部117及び寝台制御部118に夫々制御信号を出力する。
撮影開始指示に係る制御信号が入力されると、X線制御部117は、図示しない駆動モーターを介してX線発生部1の移動を開始させ、被検体6の撮影位置への配置が終了した時点で、X線制御部117がX線発生部1にX線照射タイミング、及び、X線検出部2の撮影タイミングを指示する。この指示に従って撮影を開始、すなわち、X線発生部1はX線を照射させ、X線検出部2は透過したX線に係る検出信号を検出する。
ガントリー制御部116は、ガントリー回転部4を回転させることでガントリー回転部4上のX線発生部1とX線検出部2とを被検体6の周囲において回転させる制御を行う。寝台5上の被検体6の撮影部位がX線発生部1とX線検出部2の間のX線通過範囲、すなわち、撮影位置に一致した時点で、X線発生部1の回転を停止させる。これにより被検体3の撮影が完了する。ステップS103では、撮影と併行してX線検出部2で検出された信号を、後述する画像生成部103のDAS119によって収集し、デジタル信号に変換して、測定投影データとしてCPU121に出力する。
ステップS104では、補正処理部135によりキャリブレーション補正等を行い、補正後の測定投影データを画像再構成部136に出力する。ステップS105では、画像再構成部136によりFBP処理を用いて画像再構成を行い、CT画像を生成する。生成されたCR画像は、HDD装置122等に保存され、必要に応じて、モニタ123に表示される。
続いて、ステップS106において、まずは、高吸収体抽出部137の領域抽出部371により、予め定めた閾値に基づいて、CT画像において閾値以上のCT値を示す領域を高吸収体の少なくとも一部を包含する高吸収体包含領域を推定する。領域抽出部371は、次のステップS107で、推定した高吸収体包含領域について、上述した高吸収体モデルを適用し、高吸収体変動領域を抽出する。ステップS108において、高吸収体特定部372が、CT画像上の高吸収体変動領域を順投影計算することにより、測定投影データ上の高吸収体を特定する。
高吸収体が特定されると、ステップS109において、高吸収体補正部138により測定投影データ上の高吸収体を周辺組織の値を用いて補間処理する。そして、ステップS110において、画像再構成部136により、高吸収体が補間された測定投影データを再構成し、高吸収体画像(図3の高吸収体画像406)と合成し合成画像を生成する。
このように本実施形態によれば、予め高吸収体情報を取得することで、被検体の動き等に起因した高吸収体の変動の平均的な位置を推定し、高吸収体の領域と高吸収体の変動する領域を抽出することができ、これに基づいて投影角度毎の測定投影データ上の高吸収体が示す領域を特定することができる。これにより、被検体の動きや装置構成に起因した歪みにかかわらず、CT画像における高吸収体によって生じた高吸収体アーチファクトを高精度に低減することができる。
上述した本実施形態では、X線検出部2がX線発生部1と対峙しながら回転するものとして説明したが、X線発生部1の移動に同期して、X線検出部2が固定または移動しながら撮影するX線装置にも適用することができる。
また、本実施形態では、1回のCT撮影から取得した測定投影データを用いて、CT画像を再構成したが、1回に限定することはなく、例えば2回以上の撮影による異なる時間の測定投影データを用いる再構成に対しても適用可能である。
また、生体用のX線CT装置に限られず、爆発物検査や製品検査等の非破壊検査を目的としたX線CT装置またはラミノグラフィ装置においても、上述した高吸収体アーチファクト除去処理を行うことができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態に係るX線CT装置では、撮影時間tの平均値とした高吸収体モデルを用いることにより高吸収体変動領域を抽出したが、本実施形態に係るX線CT装置では、高吸収体が時間毎に周期または非周期に動く場合を想定した高吸収体モデルを適用して高吸収体変動領域を抽出する。従って、本実施形態に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置と略同様の構成であり、同一の構成には同符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態においては、領域抽出部371では、第1の実施形態のように高吸収体包含領域を抽出することなく、高吸収体情報に基づいて、動きが無いと仮定した高吸収体h(図9参照)を推定する。高吸収体情報としては、高吸収体の形状や大きさ等の既知の高吸収体情報や、取得済みの各方向におけるX線撮影画像やX線透視画像に基づく高吸収体情報を用いる。
そして、高吸収体情報に基づいて推定した高吸収体hに高吸収体モデルを適用することで、高吸収体変動領域を抽出する。
ここで、本実施形態における高吸収体モデルについて説明する。
領域抽出部371では、光学カメラや超音波診断装置等の計測機器を用いて、呼吸や体表等の被検体の動体情報を取得し、これに基づいて、高吸収体モデルを関数化する。高吸収体が周期的に動く場合は、高吸収体の時間tの位置p(t)と推定した高吸収体情報を畳み込み積分処理することで、高吸収体モデルを関数化することができる。
例えば、高吸収体の重心を位置p(x、y、z、t)とし、2次元または3次元の高吸収体h(k、l、n、t)を畳み込み積分することにより、CT画像上の高吸収体m(x、y、z、t)を表す。以下の、式(5)は時間tの高吸収体の領域を示す。x、y、zは3次元位置、tは時間、k、l、nは高吸収体の領域を示す3次元空間の位置を示す。
Figure 0007258474000005
例えば、高吸収体の重心の位置pは、時間tにおいて一意のインパルス関数で決まる。3次元の高吸収体h(k、l、n、t)は、X線吸収係数の値でもよいし、高吸収体と高吸収体以外の2値化した値でもよい。
高吸収体モデルの導入により、高吸収体が動く範囲である高吸収体変動領域を事前に把握することができるので、高吸収体と高吸収体アーチファクトとの識別が可能となる。ここでは周期的な動きである高吸収体モデルを仮定したが、突発的な被検体の動きや腸の運動のような非周期の動体に対しても、体表の動き、心電図等のバイタル情報等を被検体に取り付けた計測装置によって得られた動体情報に基づいて重心の位置pを推定し、高吸収体m(x、y、z、t)を表すことができる。
高吸収体特定部372では、領域抽出部371で得られた高吸収体変動領域に基づいて、図9に示すように時間tの時の高吸収体を決定する。
本発明では、図9に示すようにCT画像上で時間tの高吸収体の位置を推定することで、測定投影データ上の高吸収体の領域を領域拡張法等を適用して特定する。第1の実施形態と比較して、被検体の動きによる高吸収体m(x、y、z、t)の広がり(高吸収体変動領域)が小さいため、高吸収体m(x、y、z、t)から特定した投影データ上の高吸収体の領域と、測定投影データの高吸収体の領域の差異が小さい。従って、第1の実施形態における領域拡張法やパターンマッチングによる抽出を行った場合、第1の実施形態における高吸収体変動領域に比して本実施形態の高吸収体変動領域が小さくなる分、高吸収体を高精度に特定することができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について説明する。上述した各実施形態では高吸収体抽出部137が、測定投影データ上の高吸収体を特定したのに対し、本実施形態ではCT画像403(図3参照)上の高吸収体405を抽出する。このため、図10に示すように本実施形態に係る高吸収体抽出部137は、閾値設定部373、高吸収体特定部372及び高吸収体判定部374を備えている。
具体的には、高吸収体抽出部137では、閾値設定部373において閾値を定める。図11に示すように高吸収体特定部372では、閾値設定部373により定められた閾値に基づいて、CT画像において閾値以上のCT値を示す領域を高吸収体421とし、それ以下を高吸収体以外の組織や構造物とする。
この時、高吸収体のX線吸収係数と同等のアーチファクト強度がある場合、閾値だけでは高吸収体とアーチファクトが識別困難である。アーチファクトを高吸収体と誤認識した場合、測定投影データ上では存在しないにもかかわらずアーチファクトとして誤認識された領域が周辺組織の値で補間処理され、CT画像の精度を低下させる。
このため、高吸収体抽出部137では、高吸収体の存在確率の高い閾値から低い閾値に段階的に閾値を変更して繰り返し処理を行うことにより、高吸収体から発生するアーチファクトを低減させ、CT画像から高吸収体の領域を特定する。
なお、高吸収体の存在確率については、事前に抽出対象のX線吸収係数の範囲を把握し、X線吸収係数が大きいほど高い存在確率として取り扱う。例えば、図11の例では、閾値aHU以上の高吸収体の存在確率が高く、閾値b、閾値cの順に閾値が小さくなる。そして、これら複数の閾値を予めHDD装置122等に記憶させておく。
具体的には、図11に示すように、高吸収体抽出部137は、先ずは、再構成されたCT画像403から閾値a以上のCT値を示す領域を高吸収体421の領域として抽出する(図11)。抽出した高吸収体の領域について、高吸収体補正部138によって周辺領域の値を用いて補間することで、閾値a以上で抽出した高吸収体由来のアーチファクトを低減する。
この後、高吸収体判定部374により、アーチファクト低減後のCT画像402のアーチファクト量を評価し、閾値の変更の要否を判定する。変更の必要有りの場合、閾値設定部373によって、閾値を変更し、以降の処理を繰り返す。閾値の変更の要否判定において、変更不要と判定されるまで、逐次処理を実施する。閾値は、閾値b、閾値cの順に変更される。これにより高吸収体と高吸収体から発生するアーチファクトを高い精度で識別することができる。
1・・・X線発生部、2・・・X線検出部、4・・・ガントリー回転部、5・・・寝台、6・・・被検体、101・・・入力部、102・・・撮影部、103・・・画像生成部、103a・・・データ、バス、111・・・キーボード、112・・・マウス、113・・・メモリ、114・・・CPU、115・・・HDD装置、116・・・ガントリー制御器、117・・・X線制御器、118・・・寝台制御器、119・・・DAS、120・・・メモリ、121・・・CPU、122・・・HDD装置、123・・・モニタ、131・・・撮影条件入力部、132・・・撮影制御部、135・・・補正処理部、136・・・画像再構成部、137・・・高吸収体抽出部、138・・・高吸収体補正部、141・・・撮影条件受付画面、142・・・X線条件設定部、143・・・再構成範囲設定部、144・・・高吸収体設定部、145・・・画像抽出方法設定部、146・・・投影データ抽出方法設定部、161・・・微分処理部、162・・・境界判定部、163・・・領域拡張部、371・・・領域抽出部、372・・・高吸収体特定部、373・・・閾値設定部、374・・・高吸収体判定部

Claims (5)

  1. 被検体の周囲を周回するX線発生部から照射され前記被検体を透過したX線の線量を異なる複数の投影角度毎に検出した測定投影データを出力する撮影部と、
    前記測定投影データに基づいてCT画像を生成する画像生成部と、を備え、
    該画像生成部が、
    前記CT画像において閾値以上のCT値を示す高吸収体を抽出するか、または、既知または取得済みの高吸収体の形状を示す情報から高吸収体を推定し、前記高吸収体に、予め求めておいた、前記被検体内で前記高吸収体が動く距離と方向を関数化した高吸収体モデルを適用することにより、前記CT画像において前記高吸収体の動きに起因して広がった高吸収体変動領域を抽出する高吸収体抽出部と、
    前記高吸収体変動領域を順投影した高吸収体投影データを生成する高吸収体特定部と、
    前記測定投影データ上の前記高吸収体投影データの領域の値を補正する高吸収体補正部と、
    前記高吸収体投影データの領域の値が補正された前記測定投影データに基づいてCT画像を生成する画像再構成部と、を備える
    ことを特徴とするX線CT装置。
  2. 請求項1に記載のX線CT装置であって、
    前記高吸収体モデルは、
    前記高吸収体が周期的に動く場合、予め取得または計測した前記被検体の動体情報に基づいた前記高吸収体の時間tの重心位置p(t)と、2次元または3次元の前記高吸収体(t)と畳み込み積分処理して関数化したものであり、
    前記高吸収体が非周期な動きの場合、前記被検体に取り付けられた計測装置から得られた前記被検体の動きから前記高吸収体の重心位置p(t)を推定し、推定した前記高吸収体の重心位置p(t)と、2次元または3次元の前記高吸収体(t)と畳み込み積分処理して関数化したものである
    ことを特徴とするX線CT装置。
  3. 請求項1に記載のX線CT装置であって、
    前記画像再構成部は、補正された前記測定投影データに基づいて生成したCT画像に、前記高吸収体変動領域からなる画像を合成することを特徴とするX線CT装置。
  4. 請求項1に記載のX線CT装置であって、
    前記高吸収体特定部は、前記高吸収体投影データの領域を、領域拡張法を用いて前記測定投影データ上で特定することを特徴とするX線CT装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のX線CT装置を備えた放射線治療システム。
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