JP2009048184A - 積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物、及びこれを用いてなる積層型光学部材と視野角拡大フィルム - Google Patents

積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物、及びこれを用いてなる積層型光学部材と視野角拡大フィルム Download PDF

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真理子 外山
Yasushi Sugimoto
靖 杉本
Akihiro Yoshida
明弘 吉田
Shingo Kobayashi
真悟 小林
Keiji Hamada
啓司 濱田
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【課題】微細な形状であっても転写性に優れた積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を提供する。また、これを用いて複数の樹脂層を積層し一体化することができ、尚且つ、隣接する層の屈折率が異なるよう屈折率を調整することが可能な光硬化型樹脂組成物及びこれを用いてなる積層型光学部材を提供する。
【解決手段】1分子中にイソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物と、特定の一般式で表されるヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物と、特定の一般式で表されるカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物と、を前記イソシアネート基と一般式中の水酸基との等量比(NCO/OH)が、0.8〜1.2になるように配合し合成してなる(A)ウレタンオリゴマー、(B)ハロゲン原子、ケイ素原子、芳香環、硫黄原子の1種以上を含む(メタ)アクリレート系モノマー、及び(C)光開始剤、を含む積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細形状転写性に優れる積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に関する。また本発明は、積層性に優れる積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に関し、さらに複数の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を硬化させた樹脂層を積層し一体化することにより、屈折率の調整が可能なことを特徴とする積層型光学部材及び視野角拡大フィルムに関する。より具体的には、液晶表示装置に使用される視野角拡大フィルム用材料としての積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に関する。
液晶表示装置に用いられる視野角拡大フィルムは、液晶ディスプレイパネル内を直進する光と斜めに進行する光との位相差を補償することにより視野角の拡大を図る方法が知られている(例えば、特許文献1)。
しかし、このタイプの視野角拡大フィルムは液晶ディスプレイパネルの表示モード(STN方式、TN方式、IPS方式、VA方式など)により補償する位相差が異なるため、表示モード毎に品種が必要となる。なお、このタイプの視野角拡大フィルムを使用する場合には、バックライトとしては、指向性の弱いもの、すなわち正面方向以外の斜め方向にも充分な発光強度を有するものが用いられる。
位相差補償型視野角拡大フィルムの表示モード毎に品種が必要となる点を解決する手段として、指向性の強いバックライトを用いて、液晶ディスプレイパネルの前面にマイクロビーズを分散した光拡散板(視野角拡大フィルムとして機能する)を配置する方法も提案されている(例えば、特許文献2)。この方法は、液晶ディスプレイの表示モードによらず適用できるが、マイクロビーズ分散では、光の拡散方向などを精密に制御することができないので(マイクロビーズの位置を精密には制御できないため)、充分に視野角拡大を図ることが困難である。
一方、光の拡散方向を精密に制御できる光拡散シートとして、表面にミクロンオーダーの凹凸形状を形成した光学シートが提案されている(例えば、特許文献3)。このような光学シートを視野角拡大フィルムとして、上記のマイクロビーズを分散した光拡散板の代わりに用いると、凹凸形状の最適化を図ることにより、充分な視野角拡大効果を得ることができる。しかし、この液晶表示装置は、凹凸形状が空気層に接しているため、太陽光下など非常に明るい外光環境光では反射光が強くなり、「白ボケ」と呼ばれる表示コントラストの低下を招く。
この「白ボケ」を改善するために、空気層を凹凸形状層の屈折率により近い樹脂で充填した充填層と、凹凸形状層と、を有する視野角拡大フィルムとして用いることで、凹凸形状層表面でのフレネル反射を低減することが考えられる。この場合、凹凸形状層と充填層との屈折率差は0.05〜0.2であることが望ましい。0.05未満では凹凸形状による視野角拡大効果が失われる。また、0.2を超えるとフレネル反射が増大して「白ボケ」による表示品質の低下を招く。我々の先行技術(例えば、特許文献4)では、微細凹凸形状の転写形成性に優れた光硬化型樹脂組成物を開示しており、視野角拡大フィルムに適した凹凸形状を形成することも可能である。しかし、開示範囲では屈折率を1.49〜1.52(633nmにおいて)の範囲でしか調整できないので、積層型の視野角拡大フィルムを作製する場合、凹凸形状層と充填層との屈折率差は最大で0.03となり、充分な視野角拡大効果が得られない。
近年、樹脂の屈折率を制御する方法として、高屈折率または低屈折率の無機ナノ粒子を樹脂に分散する方法が提案されている(例えば、特許文献5)。しかし、この方法では無機ナノ粒子の分散安定性の点から、分散液の固形分濃度(樹脂分+無機ナノ粒子)を高めることができないので、1μm未満の膜厚しか得られない。視野角拡大フィルムでは、1〜50μm程度の凹凸形状が必要なので、この無機ナノ粒子分散樹脂では視野角拡大フィルムの凹凸層を形成することができない。また、凹凸層の充填をすることもできない。
そこで、屈折率調整が可能で、かつ視野角拡大フィルムに必要な凹凸形状の形成及び充填も可能な光硬化樹脂組成物が求められている。
特開2002−196138号公報 特開平08−54622号公報 特表2002−535690号公報 特開2006−152074号公報 特表2004−524396号公報
本発明の課題は、屈折率調整が可能で、かつ視野角拡大フィルムに用いられる、微細な形状の転写性及び充填性に転写性に優れた積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の別の課題は、積層性に優れ、複数の樹脂層を積層し一体化することが可能な積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物及びそれを用いた積層型光学部材と視野角拡大フィルムを提供することにある。
表面に微細な凹凸形状を形成した視野角拡大フィルムは、前面側偏光板の表面または、液晶ディスプレイパネルの前面ガラス基板と前面側偏光板との間に設置される。従来技術では、視野角拡大フィルムの凹凸形状が空気層と接しているため、太陽光下などの環境では、外光反射によるコントラスト低下により表示品質が劣化する。本発明では、この空気層を樹脂で充填した積層型とするために好適に用いられる積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を特定の組成とすることにより、凹凸形状表面のフレネル反射を低減して、太陽光下でもコントラスト低下のない視野角拡大フィルム用に提供できることを見出した。
本発明者等は、微細な形状であっても転写性に優れた積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物、さらには複数のフィルムを積層し一体化することができ、尚且つ、隣接する層の屈折率が異なるよう屈折率を調整することが可能な積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を得るべく鋭意検討した。
本発明者等は、鋭意検討の結果、特定のウレタンオリゴマーと特定のモノマーを選択することにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)下記(A)、(B)及び(C)を含む積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(A)1分子中にイソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物と、一般式(I)で表されるヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物と、一般式(II)で表されるカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物と、を前記イソシアネート基と、前記一般式(I)及び一般式(II)中の水酸基との等量比(NCO/OH)が、0.8〜1.2になるように配合し合成してなるウレタンオリゴマー、
Figure 2009048184
(式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、nは、1〜20の整数である。)
Figure 2009048184
(式中、Rは、水素又はメチル基であり、nは、1〜10の整数であり、Rは直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基である。)
(B)ハロゲン原子、ケイ素原子、芳香環、硫黄原子の少なくとも1種を含む(メタ)アクリレート系モノマー、
(C)光開始剤。
(2)前記(A)ウレタンオリゴマーは、重量平均分子量Mwが2,000〜20,000である上記(1)記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(3)前記(A)のウレタンオリゴマーと前記(B)モノマーとの配合比が、質量比で1:9〜9:1の範囲である上記(1)又は(2)に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(4)前記(C)光開始剤が、前記(A)ウレタンオリゴマーと前記(B)モノマーの合計量100質量部に対して0.01〜5質量部含まれる上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(5)前記ハロゲン原子を含む(メタ)アクリレート系モノマーが、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される一種又は二種類以上である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(6)前記ケイ素原子を含む(メタ)アクリレート系モノマーが、シリコーン(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、3−(トリス(トリメチルシロキシ)シリル)プロピル(メタ)アクリレートからなる群から選択される一種又は二種類以上である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(7)前記芳香環を含む(メタ)アクリレート系モノマーが、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−アクリロイルポリオキシエトキシ)フルオレン、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレートベンジルエーテルからなる群から選択される一種又は二種類以上である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(8)前記硫黄原子を含む(メタ)アクリレート系モノマーが、フェニルチオールアクリレート、4−(メタ)アクリロキシフェニル−4−メトキシフェニルチオエーテル、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィドからなる群から選択される一種又は二種類以上である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
(9)少なくとも二層の樹脂層を有し、その内の少なくとも一層が、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層であることを特徴とする積層型光学部材。
(10)少なくとも二層の樹脂層を有し、その内の少なくとも一層が、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層であることを特徴とする視野角拡大フィルム。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は、微細形状転写性に優れており、視野角拡大フィルムを製造する際に必要とされる特性、金型との離型性、PETフィルム等の支持基材フィルムとの密着性にも優れている。更に、本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は、複数のフィルムを多層に積層することが可能であり、尚且つ屈折率の調整が可能であるため、視野角拡大フィルム用途に留まらず、多層構造の光学部材においても優れた効果を発揮することが可能である。具体的な例としては、バックライトに用いられる複数光学フィルム(拡散フィルムとプリズムシートなど)を一体化したもの、マイクロレンズアレイのレンズ凹凸面上に充填層を設けて表面を平坦化したものなどが挙げられる。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は、(A)ウレタンオリゴマー、(B)ハロゲン原子、ケイ素原子、芳香環、硫黄原子の少なくとも1種を含む(メタ)アクリレート系モノマー及び(C)光開始剤を成分として含有してなる樹脂組成物である。以下、各成分について詳細に説明する。
前記(A)ウレタンオリゴマーは、1分子中にイソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物と、下記一般式(I)
Figure 2009048184
(式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、nは、1〜20の整数である。)
で表されるヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物と、下記一般式(II)
Figure 2009048184
(式中、Rは、水素又はメチル基であり、nは、1〜10の整数であり、Rは直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基である。)
で表されるカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物と、を前記イソシアネート基と前記一般式(I)及び前記一般式(II)中の水酸基との等量比(NCO/OH)が0.8〜1.2になるように配合し、合成して得られるものである。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」という記載は、メタクリレートとアクリレートの両方を意味する。
上記1分子中にイソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加されたトリレンジイソシアネート、水素添加されたキシリレンジイソシアネート、水素添加されたジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独で又は混合して用いることができる。これらの中では、得られるウレタンオリゴマーの黄変度、ハンドリング性が良好なことから、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートが好ましい。
上記一般式(I)で表されるヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物のRは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。一般式(I)で表されるヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物として具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、メチルペンタンジオール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール等を単独又は混合してジメチルカーボネート化合物と脱メタノール反応させて得られる重量平均分子量500〜2,000の等が挙げられる。これらの中で、適度に柔軟性のある視野角拡大フィルムが得られることを考慮すると、重量平均分子量300〜2,000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が好ましく、重量平均分子量500〜1,800のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等がより好ましい。
また、ウレタンオリゴマーの重量平均分子量を調整する目的で、ヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物の高分子量体と低分子量体を併用して用いることもできる。例えば、ある系においてポリテトラメチレングリコール(重量平均分子量850)のみでウレタンオリゴマーを合成した場合、得られるウレタンオリゴマーの重量平均分子量は10,000であるが、ポリテトラメチレングリコール(重量平均分子量850)に対して質量比で50分の1、ジエチレングリコール(重量平均分子量106)を加えると、ウレタンオリゴマーの重量平均分子量は7,000に減少する。このように、低分子量体のヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6ヘキサンジオール等を少量加えることで、高分子量体のヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物の柔軟さを保ちながら、ウレタンオリゴマーの重量平均分子量を減少させることができる。また、逆に低分子量体のヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物に高分子量体のヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物、例えば、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2,000)、ポリプロピレングリコール(平均重量分子量2,000)、ポリテトラメチレングリコール(平均重量分子量2,000)等を加えることで、ウレタンオリゴマーの高分子量化をすることもできる。
上記一般式(II)で表されるカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物は、ポリカプロラクトンオリゴマーにラジカル重合性を有する(メタ)アクリル二重結合を1つ導入した不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトンであり、式(II)中、Rは水素又はメチル基であり、nは1〜10の整数であり、Rは直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基である。Rの直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基としては、エチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基等が挙げられる。
上記一般式(II)で表されるカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1mol付加品、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート2mol付加品、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート3mol付加品、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート5mol付加品、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート10mol付加品等が挙げられる。適度に柔軟性のある視野角拡大フィルムが得られることを考慮すると、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート2mol付加品、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート3mol付加品がより好ましい。また、ポリカプロラクトンオリゴマーに付加する(メタ)アクリレートとして、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等も使用することができる。
上記(A)ウレタンオリゴマーの重量平均分子量Mwは、2,000〜20,000の範囲であることが好ましく、4,000〜18,000の範囲であることがより好ましく、6,000〜16,000の範囲であることが特に好ましい。重量平均分子量が2,000より小さいと充分な柔軟性が得られにくくなる傾向があり、20,000より大きくなると、前記(B)モノマーとの相溶性が悪くなる傾向がある。(A)ウレタンオリゴマーの重量平均分子量は、上述したように前記ヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物として、高分子量体と低分子量体を併用して用いることで調整可能である。
なお、本発明における上記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定したものであり、測定条件は次のとおりである。
<GPC条件>
使用機器:日立L−6000型(株式会社日立製作所)
カラム :ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)(いずれも日立化成工業株式会社製商品名)
溶離液 :テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量 :1.75ml/min.
検出器 :L−3300RI(株式会社日立製作所)
上記(A)ウレタンオリゴマーの合成方法の一例を以下に示す。ウレタンオリゴマーの原料は、上記ジイソシアネート化合物と、一般式(I)で表されるヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物と、一般式(II)で表されるカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物とである。上記原料成分の他に、公知の重合禁止剤や触媒を添加することもできる。ジイソシアネート化合物のイソシアネート基と、一般式(I)及び一般式(II)中の水酸基との等量比(NCO/OH)は0.8〜1.2とする。等量比(NCO/OH)が0.8〜1.2の間でない場合、未反応物が多くなりブリードアウト等の問題が生じる傾向がある。
まず攪拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した後、ヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物を(NCO/OH)の等量比が0.8〜1.2となるように入れ、また必要により、一般式(II)の(メタ)アクリロイルオキシ基の不飽和結合に対する重合禁止剤、触媒、分子量調整剤を適量入れて、50〜70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつジイソシアネート化合物を均一滴下し、反応を行う。滴下終了後、2〜8時間反応させて、IR測定をし、イソシアネートが消失したことを確認して反応を終了する。
(A)ウレタンオリゴマーの合成に用いられ、一般式(II)の(メタ)アクリロイルオキシ基の不飽和結合に対する重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤が使用でき、例えば、p−メトキシキノン、p−メトキシフェノール、p−t−ブチルカテコール等が挙げられる。(A)ウレタンオリゴマーの合成に用いられる触媒としては、ウレタンオリゴマーの合成に用いる公知の触媒が使用でき、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリエチレンジアミン等が挙げられる。
本発明の光硬化型樹脂組成物に用いる(B)(メタ)アクリレート系モノマーは、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−メチルベンジル(メタ)アクリレート、3−メチルフェニル(メタ)アクリレート、3−メチルベンジル(メタ)アクリレート、4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、4−メチルベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルフェニル(メタ)アクリレート、3−エチルフェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−i−プロピル(メタ)アクリレート、3−フェニル−n−プロピル(メタ)アクレリート、4−フェニル−n−プロピル(メタ)アクレリート、2−ビフェニル(メタ)アクリレート、3−ビフェニル(メタ)アクリレート、4−ビフェニル(メタ)アクリレート、4−ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、2−メチルビフェニル−3−メチル(メタ)アクリレート、1−(4−ビフェニル)エチル(メタ)アクリレート、9−フルオレニル(メタ)アクリレート、9−フルオレニルメチル(メタ)アクリレート、ベンジルエチレンオキシド付加物(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド付加物(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4‐ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5‐オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、3-(トリス(トリメチルシロキシ)シリル)プロピル(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−アクリロイルポリオキシエトキシ)フルオレン、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、フェニルチオールアクリレート、4−(メタ)アクリロキシフェニル−4−メトキシフェニルチオエーテル、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、2−クロロフェニルアクリレート、3−クロロフェニルアクリレート、2,4−ジクロロフェニルアクリレート、2,4,5−トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレートベンジルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウンデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウンデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカプロピレングリコールジ(メタ)クリレート、ペンタデカプロピレングリコールジ(メタ)クリレート、ヘキサデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、メタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオ―ルジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、カプロラクトン変性トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中で、金型との離型性、基材フィルムとの密着性及び作業性等を考慮すると、ハロゲン原子、ケイ素原子、芳香環、硫黄原子の少なくとも1種を含む(メタ)アクリレート系モノマー(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。また、これらを組み合わせて用いても良い。
ハロゲン原子を含む(メタ)アクリレート系モノマーとして具体的には、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ケイ素を含む(メタ)アクリレート系モノマーとして具体的には、シリコーン(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、3−(トリス(トリメチルシロキシ)シリル)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族を含む(メタ)アクリレート系モノマーとして具体的には、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−アクリロイルポリオキシエトキシ)フルオレン、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレートベンジルエーテル等が挙げられる。
硫黄原子を含む(メタ)アクリレート系モノマーとして具体的には、フェニルチオールアクリレート、4−(メタ)アクリロキシフェニル−4−メトキシフェニルチオエーテル、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド等が挙げられる。
本発明の光硬化型樹脂組成物に用いる上記(C)光開始剤は、工業的UV照射装置の紫外線を効率良く吸収して活性化し、硬化樹脂を黄変させないラジカル重合開始剤であれば特に特定されるものではない。
例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノンとトリプロピレングリコールジアクリレートとの混合物及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)−エチルエステルとオキシーフェニルーアセチックアシッド2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステルの混合物等が挙げられるが、硬化後の臭気の問題からオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノンとトリプロピレングリコールジアクリレートとの混合物、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステルの混合物等が好ましい。
上記(A)ウレタンオリゴマーと上記(B)(メタ)アクリレート系モノマーとの配合比は、質量比で1:9〜9:1の範囲であることが好ましく、2:8〜8:2の範囲であることがより好ましく、3:7〜7:3の範囲であることが特に好ましい。(A)ウレタンオリゴマー成分と(B)(メタ)アクリレート系モノマー成分の合計中、(A)ウレタンオリゴマー成分を10質量%以上とすることにより、粘度が低くなりすぎて作業性が低下しまうことを防止でき、また、フィルムに亀裂が入る不具合を防止又は低減することができる。また、(A)ウレタンオリゴマー成分を90質量%以下とすることで粘度が高くなりすぎて作業性が低下することを防止できる。
上記(C)光開始剤は、上記(A)ウレタンオリゴマーと上記(B)(メタ)アクリレート系モノマーの合計量100質量部に対して0.01〜5質量部含まれることが好ましく、0.1〜3質量部含まれることがより好ましい。(C)光開始剤が、0.01質量部より少ないと、紫外線の活性光線に対する活性が低下する傾向にあり、5質量部を超えて添加しても効果はあまり期待できず、コスト的に好ましくない。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に、光硬化型樹脂組成物用分子量調整剤として、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を必要に応じて添加することができる。
また、本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物には、劣化防止、熱的安定性、機械特性強度、成形性及び加工性等の観点から、フェノール系、チオエーテル系等の抗酸化剤、界面活性剤、高級脂肪酸金属塩等の離型剤、その他滑剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重金属不活性化剤等を適宜添加してもよい。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂は、上記(A)ウレタンオリゴマー、(B)ハロゲン原子、ケイ素原子、芳香環、硫黄原子の少なくとも1種を含む(メタ)アクリレート系モノマー、(C)光開始剤、そして必要により光硬化型樹脂組成物用分子量調整剤、抗酸化剤、界面活性剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重金属不活性化剤等を必要量混合して調製する。これを工業的UV照射装置の紫外線を照射することにより、光硬化させて様々な部材に利用できる。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は、視野角拡大フィルム用の材料として好適に使用することができる。視野角拡大フィルムの一態様として、支持基材フィルムの少なくとも一方の表面に、微細形状パターンを有するように本発明の光硬化型樹脂組成物を硬化させ樹脂層を有する硬化体を形成し、さらにその上に、該樹脂層と同じ組成又は別の組成の本発明の光硬化型樹脂組成物を硬化させ、別の樹脂層を有する硬化体を積層し一体化してなるものである。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を用いて視野角拡大フィルムを作製する方法としては、具体的には例えば、以下の方法があげられる。
工程(1)所望のパターンが形成された金型に本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を充填し、その上に光透過性支持基材フィルムを重ね合わせ、その上からローラー等によりこれらを延伸、平坦化した後、光透過性支持基材フィルムを通して積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に紫外線を照射して硬化させ樹脂層aを得る。
工程(2)硬化後に、金型から光透過性の支持基材フィルムと一体となった樹脂層a(以下、「パターン層」ともいう)を有する硬化体を離型する。
工程(3)金型によって形成されたパターン面に、樹脂層aと同じ組成又は異なる組成の本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を充填し、樹脂層a上に、離型処理を施した光透過性保護フィルムを重ね合わせ、光透過性保護フィルムの上からローラー等によりこれらを延伸、平坦化した後、光透過性保護フィルムを通して積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に紫外線を照射してこれらを硬化させ樹脂層b(以下、「埋め込み層」ともいう)を得る。
工程(4)硬化後に、光透過性保護フィルムを剥離し、光透過性支持基材フィルム上に樹脂層aと樹脂層bが積層された積層型光学部材を得ることができる。
このようにして得られる積層型光学部材の一例を図1に示す。樹脂層1は、隣接する樹脂層a(パターン層)11と樹脂層b(埋め込み層)10からなることが、好ましい。
また、例えば、上記の視野角拡大フィルムを作製する方法の工程(3)及び工程(4)の代わりに以下の工程(5)及び工程(6)とすることも可能である。
工程(5)別の光透過性支持基材フィルムに、樹脂層aと同じ組成又は異なる組成の本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を均一に塗工したものを、金型によって形成された樹脂層aのパターン面に重ね合わせ、光透過性支持基材フィルムの上からローラー等によりこれらを張り合わせ、一体化する。
工程(6)光透過性支持基材フィルムを通して積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に紫外線を照射してこれらを硬化させ樹脂層bを得、樹脂層b側の光透過性支持基材フィルムを剥離し、光透過性支持基材フィルムに樹脂層aと樹脂層bが積層された積層型光学部材を得ることができる。
工程(4)又は工程(6)の後、樹脂層bの平坦化された面の上にさらに光硬化型樹脂組成物を積層し別のパターンを形成することもできる。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は、微細形状転写性に優れることから、プリズムフィルム等の光学部材フィルム用途としても好適に使用することができる。それらのフィルムを作製する方法としては特に限定されないが、例えば、所望の微細形状パターンが形成された金型に本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を充填し、その上に光透過性支持基材フィルムを重ね合わせ、その上からローラー等によりこれらを延展、平坦化した後、支持基材フィルムを通して積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に紫外線を照射してこれを硬化させる。硬化終了後に、金型から支持基材フィルムと一体になった積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物の硬化体を離型することで得ることができる。
上記金型の材質としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、これらの合金等が挙げられる。また、金型に形成される微細形状パターン、すなわち視野角拡大フィルムの微細形状パターンとしては、特に限定されないが、例えば、その断面が、山形(三角)形状、凸凹形状、階段形状、台形形状、正弦波状形状等の繰り返し単位を有する繰り返しパターンを挙げることができる。
積層型光学部材に用いられる光透過性支持基材フィルム及び光透過性保護フィルムとしては、光透過性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリメタクリルアミド樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等の透明合成樹脂フィルム等を用いることができる。保護フィルムは離型性を良くしたものを用いても良い。
支持基材フィルムの厚さは、25〜200μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。支持基材フィルムの厚さが厚くなり過ぎると、視野角拡大フィルムの重さが重くなり、薄過ぎると硬化時に反りが発生する傾向がある。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を硬化する際に用いる紫外線照射の光源は、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンランプ等を使用することができる。照射雰囲気は、大気中等でよく、特に限定されない。硬化の条件としては、積算露光量500mJ/cm以上照射することが好ましい。積算露光量500mJ/cm以下であると硬化が不十分であり、未重合モノマーによるフィルム表面のべた付き等の不具合が生じる。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は、光開始剤に加えてラジカル重合開始剤を添加し、ラジカル重合開始剤を用いた熱重合で硬化させることもできる。それにより、光硬化に加えて熱重合による予備硬化又は二次硬化をすることができる。熱重合用のラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒及び過酸化物又は過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒;等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。
本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は、微細形状転写性に優れる特徴があり、視野角拡大フィルムのような山形の繰り返し形状に限らず、水平方向1nm以上、垂直方向1nm以上までの形状が転写でき、尚且つ二層以上に積層することが可能である。その特性を活かして、例えば、バックライト用光学フィルム、光拡散シート、防眩性反射防止フィルム、反射型映写スクリーン等に使用することができる。
また光学特性が優れていることから、微細な部品、装置等でも使用することができ、例えば、マイクロレンズアレイ、光配線部材、MEMS等にも使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
<ウレタンオリゴマーの合成>
(ウレタンオリゴマー1)
攪拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を2Lの三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した後、ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学株式会社製、商品名:PTG850SN 前記一般式(I)においてn=11、R=(CH、重量平均分子量:850)520.80g、ジエチレングリコール1.06g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキレンエステル修飾ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:FA2D 前記一般式(II)においてn=3、R=H、R=CHCH)275.20g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.5g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル株式会社製、商品名:L101)0.3gを入れ、70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつイソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールI)222gを2時間かけて均一滴下し、反応を行った。滴下終了後、約5時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、重量平均分子量が7,000のウレタンオリゴマー1(UA1)を得た。
(ウレタンオリゴマー2)
ポリテトラメチレングリコールを0g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキレンエステル修飾ε−カプロラクトンを828g、イソホロンジイソシアネートを208gとした以外は、上記UA1と同様にしてウレタンオリゴマー2(UA2)を合成した。その重量平均分子量は1,000であった。
(実施例1〜7及び比較例1〜9)
表1に示すとおりの成分を混合して、実施例1〜7及び比較例1〜9の各積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を調整した。
<光硬化型樹脂組成物の微細形状転写性評価>
この積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物の特徴である微細形状転写性について評価するのに、視野角拡大フィルム金型を用い視野角拡大フィルムパターン層を形成した。視野角拡大フィルム金型(材質Ni−P、山形形状のピッチ幅5μm、高さ5μm、頂角45度、格子サイズ縦7cm、横7cmの日立製作所株式会社製 小型金型)に、上記で得た積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を垂らし、その上に支持基材フィルムとなるPETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名:A4100、膜厚50μm)を重ね合わせ、更にその上からローラーを走らせ平坦化した後、露光を行うことで積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を硬化させた。硬化条件は超高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製、型式USH−3502MA、照度16mW/cm)を用い、積算露光量2,000mJ/cmで露光を行った。硬化終了後、金型から視野角拡大フィルムパターン層を剥がし、これをサンプルとした。
上記のようにして得られた各実施例及び比較例の視野角拡大フィルムパターン層サンプルについて、この積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物の特徴である微細形状転写性及び屈折率について評価し、その結果を表1にまとめて示した。
なお、比較例1の組成で調整した積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物は粘度が高く、取り扱いが困難であったため、サンプルを作製することができなかった。また、比較例2の組成で調整した積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物から作製されたサンプルは亀裂が生じたため以下の評価を行うことができなかった。
比較例1〜6は、下記の微細形状転写性が悪く、積層型光学部材作製に適していないため、屈折率評価は行っていない。
(微細形状転写性)
転写性は、金属顕微鏡にて各視野角拡大フィルムパターン層サンプルの山形形状の頂角を確認することで評価した。評価基準は以下の通りである。
○:良好(頂角45度)
△:転写不十分(頂角44〜40度)
×:転写不可
表1に示すとおり、比較例1及び2のサンプルは粘度が高いため取り扱いが困難であった。比較例3〜6のサンプルの頂角は、金型の頂角(45度)と比較して狭くなっていることが確認された。
(屈折率)
各視野角拡大フィルムパターン層サンプルについての屈折率の評価は以下のようにしてを行った。二枚の離型処理を施した光透過性フィルムの間に光硬化性樹脂を入れ、ローラーで延伸し、平坦化した後、紫外線を照射した。硬化後に離型フィルムを剥離し、得られたフィルムを20×8mm程度の大きさに切り取り、アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製、NAR−2T型)で測定した。
Figure 2009048184
表中の数値(配合)の単位は全て質量部
化合物の略号
UA1、UA2:上記で作製したウレタンオリゴマー1,2
AA:アクリルアクリレートオリゴマー(日立化成工業株式会社製、商品名:ヒタロイド7885SS2*溶剤型材料であったため、エバポレーターにて脱溶剤してから用いた)
EA:エポキシアクリレートオリゴマー(日立化成工業株式会社製、商品名:ヒタロイド7660−1*溶剤型材料であったため、エバポレーターにて脱溶剤してから用いた)
A−BPFE:9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学工業株式会社製)
BzA:ベンジルアクリレート(日立化成工業株式会社製)
V−3F:2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
1,9−ND−A:1,9−ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学株式会社製)
X−22−164:シリコーンジメタクリレート(信越化学工業株式会社)
光開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティーケミカル社製、商品名:イルガキュア184)
(実施例8〜14及び比較例10〜13)
表2に示すとおりの成分を混合して、実施例8〜14及び比較例10〜13の各積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を調整した。
<視野角拡大フィルムの作製及び評価>
次に、視野角拡大フィルム材料としての評価を行った。視野角拡大フィルムは、以下のようにして作製した。まず、パターンが形成された金型に本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を充填し、その上に光透過性の支持基材フィルムを重ね合わせ、その上からローラー等によりこれらを延伸、平坦化した後、支持基材フィルムを通して積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に紫外線を照射してこれを硬化させて、パターン層を形成した。金型としては、図3に示すような2種類のV溝を3方向に加工した金型を用いた。ただし、比較例13については、図3においてV溝の角度を45度から60度に、また80度から128度に変更した金型を用いた。
硬化後に、金型から支持基材フィルムとパターン層が一体化となった硬化体を離型する。さらに、金型によって形成されたパターン面(パターン層)に、本発明の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を充填し、その上に離型処理を施した光透過性保護フィルムを重ね合わせ、その上からローラー等によりこれらを延伸、平坦化した後、光透過性保護フィルムを通して積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物に紫外線を照射してこれらを硬化させ、埋め込み層を形成した。硬化後に、光透過性保護フィルムを剥離して視野角拡大フィルムを作るので、視野角拡大フィルムパターン層における微細形状転写性に加えて、パターン層の金型からの離型性、埋め込み層を積層後の支持基材フィルムとの密着性及び複数の樹脂層を積層する積層性が必要となるため、これらについて評価した。
また、視野角拡大効果の基準となるパターン層と埋め込み層との屈折率差、視野角拡大フィルムの視野角拡大性、太陽光下での視認性についても評価を行った。
(微細形状転写性)
転写性は、実施例1〜7及び比較例1〜9と同様の方法で評価した。
(金型からの離型性)
離型性は、微細形状を転写したパターン層を金型から剥がした時の状態を確認することで評価した。評価基準は以下の通りである。
○:良好
△:若干張り付く
×:張り付く
(支持基材フィルムとの密着性)
JIS K5600−5−6に準拠し、支持基材フィルム(PETフィルム)と積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物の密着性を評価した。すなわち、各金型から転写したパターン層を有するサンプルに、カミソリで支持基材フィルムに達する傷を2mmの間隔で縦横6本ずつ入れてマス目を作り、セロハンテープ(幅25mm、ニチバン社製)をカット部に指先でしっかり密着させ、テープを付着して5分以内に、できるだけ60度に近い角度でテープの端を掴み0.5から1.0秒で確実に引き離すようにする。その後、剥がされたカット部を評価した。評価基準(分類)は以下の通りである。
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。
1:カットの交差点における塗膜の小さな剥がれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数ヶ所の目が部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を上回ることはない。
5:上記いずれの分類でも分類できない程度の剥がれ。
(積層性)
積層性は、金型から転写したパターン面(パターン層)とパターン面を埋め込んだ埋め込み面(埋め込み層)を積層し一体化した時の状態を目視による外観によって評価した。評価基準は以下の通りである。
○:積層の際、パターン層段差を十分に埋め込み平坦化でき、且つ積層後の外観が良好である
△:積層の際、パターン層段差を十分に埋め込み平坦化できない。または、積層後に反り、剥離等の外観に難がある。
×:積層の際、パターン層段差を十分に埋め込み平坦化できず、また積層後に反り、剥離等の外観に難がある。
(視野角拡大性)
視野角拡大性については、STN方式液晶ディスプレイの前面側偏光板上に作製した視野角拡大フィルムを設置し、暗室内において、表示の階調反転が起こらない上下、左右方向の角度範囲を測定し、視野角拡大フィルムを設置しない場合の角度範囲からの増分を視野角拡大とした。測定に用いたSTN方式液晶ディスプレイは、視野角拡大フィルムなしの状態での視野角は、上下方向では+45度〜−35度、左右方向では+45度〜−45度であった。なお、視野角拡大フィルムは、図3の金型から形成されるプリズムの一方向が液晶ディスプレイの左右方向と平行となるように設置した。
(太陽光下での視認性)
視野角拡大フィルムを設置した状態のSTN方式液晶ディスプレイを晴天時の戸外に持ち出して、正面から画面を見た場合に、表示が白ボケなく明瞭に視認できるものを○とし、白ボケで表示が見えないものを×とした。
表2に示すとおり、実施例8〜14は全ての評価において良好の結果が得られた。比較例10は、埋め込み層の組成にウレタンオリゴマーを用いなかったために、埋め込み層がパターン層段差を十分に埋め込み平坦化することができなかった。比較例11および12は、屈折率差がわずかであった。比較例13は、太陽光下での視認性が悪かった。
以上より、実施例8〜14の樹脂組成物を用いて作製した視野角拡大フィルムは、微細形状転写性、金型からの離型性、支持基材フィルムとの密着性および積層性の全てに優れており、視野角拡大効果も有り、太陽光での視認性にも優れていることが分かる。
Figure 2009048184
積層型光学部材の断面図 山形繰り返し単位形状の一例を示す断面図。 実施例及び比較例で用いた、パターン層の金型を示す。
符号の説明
1 樹脂層
2 支持基材フィルム
3 導光体
4 液晶表示用スペーサーの金型
5 ガラス
6 粘着剤
7 ナノインプリントの金型
8 液晶分子
9 液晶配表示用配向膜
10 樹脂層b(埋め込み層)
11 樹脂層a(パターン層)

Claims (10)

  1. 下記(A)、(B)及び(C)を含む積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
    (A)1分子中にイソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物と、一般式(I)で表されるヒドロキシル基含有アルキレングリコール系化合物と、一般式(II)で表されるカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物と、を前記イソシアネート基と、前記一般式(I)及び一般式(II)中の水酸基との等量比(NCO/OH)が、0.8〜1.2になるように配合し合成してなるウレタンオリゴマー、
    Figure 2009048184
    (式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、nは、1〜20の整数である。)
    Figure 2009048184
    (式中、Rは、水素又はメチル基であり、nは、1〜10の整数であり、Rは直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基である。)
    (B)ハロゲン原子、ケイ素原子、芳香環、硫黄原子の少なくとも1種を含む(メタ)アクリレート系モノマー、
    (C)光開始剤。
  2. 前記(A)ウレタンオリゴマーは、重量平均分子量Mwが2,000〜20,000である請求項1記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
  3. 前記(A)ウレタンオリゴマーと前記(B)モノマーとの配合比が、質量比で1:9〜9:1の範囲である請求項1又は2記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
  4. 前記(C)光開始剤が、前記(A)ウレタンオリゴマーと前記(B)モノマーの合計量100質量部に対して0.01〜5質量部含まれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
  5. 前記ハロゲン原子を含む(メタ)アクリルレート系モノマーが、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される一種又は二種類以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
  6. 前記ケイ素原子を含む(メタ)アクリルレート系モノマーが、シリコーン(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、3−(トリス(トリメチルシロキシ)シリル)プロピル(メタ)アクリレートからなる群から選択される一種又は二種類以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
  7. 前記芳香環を含む(メタ)アクリルレート系モノマーが、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−アクリロイルポリオキシエトキシ)フルオレン、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレートベンジルエーテルからなる群から選択される一種又は二種類以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
  8. 前記硫黄原子を含む(メタ)アクリルレート系モノマーが、フェニルチオールアクリレート、4−(メタ)アクリロキシフェニル−4−メトキシフェニルチオエーテル、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィドからなる群から選択される一種又は二種類以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物。
  9. 少なくとも二層の樹脂層を有し、その内の少なくとも一層が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層であることを特徴とする積層型光学部材。
  10. 少なくとも二層の樹脂層を有し、その内の少なくとも一層が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層型光学部材用光硬化型樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層であることを特徴とする視野角拡大フィルム。
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