JP2009047243A - 玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アイドリングストップシステムに組み込まれた玉軸受1は、内輪2,外輪3,2列の玉4,及び樹脂材料製の冠形保持器5を備える大径,幅狭,且つ薄肉の軸受である。樹脂材料の種類は、スーパーエンジニアリングプラスチックや汎用エンジニアリングプラスチックが好ましく、これらの樹脂をガラス繊維及び炭素繊維の少なくとも一方からなる繊維強化材で強化した樹脂組成物としてもよい。その場合には、繊維強化材の含有量は樹脂組成物全体の15質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。
【選択図】図2
Description
例えば特許文献1には、クランク軸に固定され、エンジンルーム内で使用される複列の転がり軸受が開示されている。クランク軸の端部にはボルトが固定されているため、転がり軸受は断続的に不均一な荷重を受ける場合が多い。
そこで、本発明は前述のような従来技術が有する問題点を解決し、自動車のエンジンルーム内において高温環境下等の過酷な条件で使用されても、安定した軸受性能を長期間にわたって維持することが可能な玉軸受を提供することを課題とする。
さらに、本発明に係る請求項3の玉軸受は、請求項1に記載の玉軸受において、前記樹脂材料が汎用エンジニアリングプラスチックであることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4の玉軸受は、請求項1に記載の玉軸受において、前記樹脂材料が、スーパーエンジニアリングプラスチックとガラス繊維及び炭素繊維の少なくとも一方からなる繊維強化材とを含有する樹脂組成物であり、この繊維強化材の含有量は樹脂組成物全体の15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6の玉軸受は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の玉軸受において、前記保持器の組み込み時に前記保持器が変形することにより発生する応力を緩和する応力緩和手段を備えることを特徴とする。
自動車の走行中には信号待ち等の理由により一時的に停車する場合があるが、停車中はエンジンをアイドリングさせていることが多い。しかしながら、燃料消費の節約や二酸化炭素を含む排気ガスの削減などを考えると、停車中はエンジンを停止させることが好ましい。このような事情から、走行中における一時的な停車時にはエンジンの運転を自動的に停止させ、発進時には運転者の始動要求に応じてエンジンの運転を再開させる、いわゆるアイドリングストップシステムを備える自動車が提案されている。
本発明者らは、エンジンの近傍において高温環境下等の過酷な条件で使用されても、安定した軸受性能を長期間にわたって維持することが可能なアイドリングストップシステム用玉軸受について鋭意検討した結果、転動体を保持する保持器を樹脂材料で構成することによって上記目的が達成されることを見出した。
図示しないエンジンのオイルパン31の後端の上方には、ラダービーム32を介してシリンダブロック側に回転可能に支持されたクランク軸11の後端が配されている。このクランク軸11の後端には、フライホイール33,アウターレース支持部材34,及びリングギヤ12が取り付けられており、これらのうちアウターレース支持部材34はフライホイール33とともにクランク軸11の後端にボルト締結にて固定されていて、クランク軸11とともに回転するようになっている。
この一方向クラッチ13は、エンジン始動時にスタータモータがピニオンギヤ14を介してリングギヤ12を回転させる際、すなわちリングギヤ12側からトルクが伝達される際には、アウターレース支持部材34とリングギヤ12とを係合状態とする。このことにより、スタータモータはクランク軸11を回転させることができる。
このようなアイドリングストップシステムに組み込まれた玉軸受1は、内輪2,外輪3,2列の玉4,及び樹脂材料製の冠形保持器5を備える大径,幅狭,且つ薄肉の軸受である(玉軸受1の断面図を図2に示し、冠形保持器5の断面図を図3に示す)。
冠形保持器5が樹脂材料で構成されているので、玉軸受1がエンジンの近傍に配され130℃程度の高温環境下で常時使用されても、安定した軸受性能を長期間にわたって維持することが可能である。また、玉軸受1は断続的に不均一な荷重を受けるが、冠形保持器5が金属と比べて柔軟性の高い樹脂材料で構成されているので、前記荷重を受けても問題なく使用することが可能である。なお、保持器の種類は冠形に限定されるものではないが、冠形保持器が最も好ましい。
また、ポケット5a内に玉4を組み込みにくい場合には、ポケット5aの個数を玉4の個数よりも多くする手段(本発明の構成要件である応力緩和手段に相当する)を採用してもよい。これにより、玉4を保持していないポケット5aの部分において変形しやすくなるので、保持器5全体として変形しやすくなり、ポケット5a内に玉4を組み込みやすくなる。
さらに、本実施形態の玉軸受1は、冠形保持器5の径方向の幅に対して冠形保持器5の直径が大きいので、冠形保持器5の強度を十分に確保するためには、冠形保持器5の径方向の幅はできるだけ大きくする必要がある。しかしながら、この径方向の幅を大きくすると、前記隙間が小さくなってエンジンオイルの通過量が不十分となるおそれがあるとともに、冠形保持器5と内外輪2,3とが干渉しやすくなるおそれがある。よって、これらの問題が生じないようにしつつ径方向の幅をできるだけ大きくするためには、冠形保持器5の真円度を高くすることが好ましい。そのためには、冠形保持器5の真円度を0.30mm以下とすることが好ましく、0.20mm以下とすることがより好ましい。
さらに、本実施形態の玉軸受1においては、組み込む玉4の数を通常の軸受よりも少なくすることが好ましい。例えば15個が好ましい。玉4の数を通常の軸受よりも少なくすることにより、玉軸受1の低トルク化が可能であるとともに、玉軸受1の空転時の摩擦抵抗が低くなる。さらに、保持器5の設計が容易となる。
また、内輪2,外輪3,玉4の材質は特に限定されるものではないが、SUJ2にズブ焼入れを施したものや、SCM材に浸炭窒化処理を施したものが好ましい。
さらに、本実施形態においては転動体は2列であったが、単列でもよいし3列以上でもよい。さらに、この玉軸受1は、3点接触軸受でもよいし、4点接触軸受でもよい。
2 内輪
3 外輪
4 玉
5 冠形保持器
5a ポケット
5b ツノ
6 止め輪
11 クランク軸
12 リングギヤ
Claims (6)
- 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を保持する保持器と、を備え、自動車のエンジンルーム内で使用される玉軸受において、前記保持器を樹脂材料で構成したことを特徴とする玉軸受。
- 前記樹脂材料がスーパーエンジニアリングプラスチックであることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記樹脂材料が汎用エンジニアリングプラスチックであることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記樹脂材料が、スーパーエンジニアリングプラスチックとガラス繊維及び炭素繊維の少なくとも一方からなる繊維強化材とを含有する樹脂組成物であり、この繊維強化材の含有量は樹脂組成物全体の15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記樹脂材料が、汎用エンジニアリングプラスチックとガラス繊維及び炭素繊維の少なくとも一方からなる繊維強化材とを含有する樹脂組成物であり、この繊維強化材の含有量は樹脂組成物全体の15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記保持器の組み込み時に前記保持器が変形することにより発生する応力を緩和する応力緩和手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の玉軸受。
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