JP4910937B2 - 複列玉軸受及びその組立方法 - Google Patents

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この発明は、例えばアイドリングストップ車のエンジン始動装置に組み込んだ状態で使用する複列玉軸受及びその組立方法の改良に関する。具体的には、外輪の内周面に形成した複列の外輪軌道と内輪の外周面に形成した複列の内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつの玉を組み込む作業を容易に、且つ、能率良く行なえる構造及びその組立方法を実現するものである。
近年、二酸化炭素の排出量削減を目的として、車両の停止に伴って走行用のエンジンも停止させる、所謂アイドリングストップ車が普及し始めている。アイドリングストップ車の場合には、発進時に、運転者がブレーキペダルから足を離してアクセルペダルを踏み込むまでの間(自動変速車の場合)、或いはクラッチペダルを踏み込んでからアクセルペダルを踏み込むまでの間(手動変速車の場合)に、エンジンを始動させる必要がある。この為、アイドリングストップ車のエンジン始動装置は、通常車両のエンジン始動装置よりも、エンジンの始動に要する時間を短くする必要がある。
この為従来から、例えば特許文献1に記載された様に、スタータモータにより回転駆動されるピニオンギヤと、エンジンのクランク軸を回転駆動するリングギヤとを、常に噛合させたままとするエンジン始動装置が考えられている。このエンジン始動装置の場合には、上記クランク軸と上記リングギヤとの間に一方向クラッチを設けると共に、この一方向クラッチを構成する、このリングギヤと結合されたクラッチ用内輪を、上記クランク軸の周囲に、本発明の対象となる複列玉軸受により回転自在に支持している。又、上記一方向クラッチのクラッチ用外輪は、上記クランク軸に結合している。この一方向クラッチは、エンジンの始動時に接続され、エンジン始動後には接続を断たれる。
図7〜8は、上述の様なアイドリングストップ車用のエンジン始動装置に使用可能な複列玉軸受の構造の1例として、非特許文献1に記載された、複列アンギュラ型の玉軸受を示している。この複列玉軸受1は、互いに同心に配置された外輪2の内周面と内輪3の外周面との間に、複数個の玉4、4と1対の保持器5、5とを配置して成る。これら各玉4、4は、上記外輪2の内周面に形成した複列の外輪軌道6、6と、上記内輪3の外周面に形成した複列の内輪軌道7、7との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けている。更に、上記両保持器5、5は、上記各玉4、4を、上記両列毎に、転動自在に保持している。
上述の図7〜8に示した複列玉軸受1は、例えばアイドリングストップ車用のエンジン始動装置に組み込んで、クランク軸の周囲に一方向クラッチの内輪を回転自在に支持する、機能上の面からは、特に問題はない。但し、必要とする性能を確保しつつコスト低減を図る面からは、改良すべき点がある。即ち、上記エンジン始動装置の場合、上記一方向クラッチの内輪を、この内輪の中心軸がクランク軸の中心軸に対し傾斜しない様に支持する必要上、(単列玉軸受ではなく)図7〜8に示す様な複列玉軸受1を使用するが、使用時にこの複列玉軸受1に加わる荷重(ラジアル荷重及びスラスト荷重)はあまり大きくはならない。従って、上記両外輪軌道6、6と上記両内輪軌道7、7との間に配置する玉4、4の数を、一般的用途に使用される複列玉軸受に比べて少なくできる。
一方、一般的用途に使用される複列玉軸受は、上記両外輪軌道6、6と上記両内輪軌道7、7との間に上記各玉4、4を組み込む作業を、両列毎に、互いに逆方向から行なっていた。即ち、図8で右側列の玉4、4は図8の右側から、同じく左側列の玉4、4は左側から、それぞれ組み込んでいた。この為、上記両外輪軌道6、6と上記両内輪軌道7、7との間に上記各玉4、4を組み込む作業が面倒で、複列玉軸受1の製造コストが嵩む原因となる。特に、上記外輪2の内周面と上記内輪3の外周面との間の環状隙間に複数個の玉4、4を組み込む際には、特許文献2に記載されている如く、図9に示す様に、上記外輪2と上記内輪3とを偏心させた状態で、外輪軌道6と内輪軌道7との間に必要数の玉4、4を、互いにくっつき合った状態で組み込んだ後、これら各玉4、4を円周方向に等配する必要がある。この様な作業を、上記両列毎に別々に行なう事は面倒で、複列玉軸受の製作費を高くする原因となる。
特開2007−32492号公報 特開平7−113420号公報 日本精工株式会社のカタログ、「転がり軸受」、No.1102b、2005年、A11頁、B66−67頁
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、複列の外輪軌道と複列の内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつの玉を組み込む作業を容易に行なえる複列玉軸受の構造及びその製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の複列玉軸受とその組立方法のうち、複列玉軸受に係る発明は、前述した従来から知られている複列玉軸受と同様に、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪と、これら両外輪軌道とこれら両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた玉と、これら各玉を転動自在に保持する為の1対の保持器とを備え、アイドリングストップ車用のエンジン始動装置に組み込まれて、クランク軸の周囲に一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪を回転自在に支持するものである。
特に、本発明の複列玉軸受に於いては、上記外輪の内周面及び上記内輪の外周面が、熱処理後に施される機械加工によりその表面が削り取られる事で、この熱処理により形成された酸化膜が除去されている。
又、上記外輪の内周面の軸方向中間部で上記複列の外輪軌道の間に存在する外径側中央土手部の軸方向両端部とこれら両外輪軌道の軸方向端部とを連続させる外径側連続部が、これら両外輪軌道の端縁と上記外径側中央土手部の内周面とを滑らかに連続させる断面円弧状の曲面である。
又、上記内輪の外周面の軸方向中間部で上記複列の内輪軌道の間に存在する内径側中央土手部の軸方向両端部とこれら両内輪軌道の軸方向端部とを連続させる内径側連続部が、これら両内輪軌道の端縁と上記内径側中央土手部の外周面とを滑らかに連続させる断面円弧状の曲面である。
そして、上記各玉の直径をDaとし、これら各玉のピッチ円の直径をPCDとし、上記各列に組み込む各玉の数をZとし、上記両列の玉の中心同士の軸方向距離をPとし、上記各外輪軌道の断面形状の曲率半径をr とし、上記各内輪軌道の断面形状の曲率半径をr とした場合に、(Z・Da)/(π・PCD)=0.20〜0.35、且つ、1.05Da≦P≦1.15Da、且つ、r /Da=0.52〜0.55、且つ、r /Da=0.52〜0.55の関係を満たす。
これに対し、本発明の複列玉軸受の組立方法は、上述した様な構成を有する複列玉軸受の組立方法である。
特に本発明の複列玉軸受の組立方法にあっては、部分円弧状の基部と、この基部の両端部から同方向に折れ曲がった互いに平行な1対の抑え腕部とを備え、これら両抑え腕部の長さが各玉の直径Daの1.5倍以上であり、これら両抑え腕部同士の円周方向に関する間隔が、各列に組み込む各玉の数Zとこれら各玉の直径Daとの積と同じ(実質的に同じである場合を含む)である抑え治具を使用し、上記両抑え腕部同士の間に、2Z個の玉を、各列毎にZ個ずつ、2列に亙って、完成後の複列玉軸受でのピッチ円に沿った円弧状に配列する。
そして、上記抑え治具と共に上記各玉を、外輪と内輪とを互いに偏心した状態で配列する事で形成される、この外輪の内周面とこの内輪の外周面との間の環状空間のうちの径方向に関する厚さが大きくなった部分に、互いに異なる列の玉の突き合わせ面が、外径側中央土手部の内周面及び内径側中央土手部の外周面に対向する部分に位置するまで挿入する。
その後、上記外輪と上記内輪とを互いに同心にする事により、上記外径側中央土手部と上記内径側中央土手部とを、上記両列の玉同士の間に入り込ませ、これら両土手部の両側に存在する両外輪軌道と両内輪軌道との間に上記各玉を振り分ける事で、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間に、これら各玉を組み込む。
上述の様に構成する本発明の複列玉軸受及びその組立方法によれば、複列の外輪軌道と複列の内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつの玉を組み込む作業を容易に行なえる。即ち、複列に配置する玉のうち、両列の玉の中心同士の軸方向距離を、これら各玉の直径の1.15倍未満としている為、これら両列の玉を、外輪の内周面と内輪の外周面との間の環状空間に、この環状空間の軸方向片側から挿入しても、外輪及び内輪の直径方向に関する、上記両列の玉の最大直径部を、上記複列の外輪軌道及び内輪軌道同士の間に存在する土手部の軸方向両側に、容易且つ確実に振り分けられる。そして、この様に両列の玉の最大直径部を両土手部の軸方向両側に振り分けられれば、上記外輪と上記内輪とを同心に配置する過程で、上記両列の玉が、それぞれ上記複列の外輪軌道と上記複列の内輪軌道とに、確実に係合する。この為、これら複列の外輪軌道とこれら複列の内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつの玉を組み込む作業を容易に行なえて、複列玉軸受の製造作業の能率化を図り、この複列玉軸受の製造コストの低減を図れる。
又、本発明の場合には、上記外輪の内周面及び内輪の外周面を、熱処理後に施される機械加工により削り取り、この熱処理に伴ってこれら両周面に形成された、過度に硬い酸化膜を除去している。この為、上記各玉の組み込み作業時に、これら各玉の転動面に傷を付ける事を防止できる。又、この組み込み作業に伴って上記両周面から脱落した、硬い酸化被膜の破片が潤滑剤中に混入して、この潤滑剤により潤滑される部分を損傷する事を防止できる。
又、本発明の場合には、上記両土手部の軸方向両端部と上記両外輪軌道及び上記両内輪軌道の軸方向端部との連続部を、軸方向に隣り合う部分同士を滑らかに連続させる断面円弧状の曲面としている。この為、上記組み込み作業時に、上記各玉の転動面が尖った部分に衝突する事がなくなり、上記損傷防止を図れる。
更に、本発明の場合には、上記両外輪軌道及び上記両内輪軌道の断面形状の曲率半径と各玉の直径との比を0.52〜0.55の範囲に規制している。この為、これら各軌道とこれら各玉の転動面との転がり接触部(接触楕円)の面圧を抑えつつ、これら各玉の転動面が上記各軌道の端縁部に接触し(所謂接触楕円の欠けを生じ)、これら各玉の転動面にエッジロードに基づく過大な面圧が作用するのを防止できる。そして、これら各玉の転動面の転がり疲れ寿命、延いては、これら各玉を組み込んだ複列玉軸受の耐久性向上を図れる。
図1〜6により、本発明の実施の形態の1例に就いて説明する。本例の複列玉軸受1aは、前述した従来から知られている複列玉軸受と同様に、互いに同心に配置された外輪2aの内周面と内輪3aの外周面との間に、複数個の玉4、4と1対の保持器5a、5aとを配置して成る。これら各玉4、4は、上記外輪2aの内周面に形成した複列の外輪軌道6、6と、上記内輪3aの外周面に形成した複列の内輪軌道7、7との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けている。更に、上記両保持器5a、5aは、上記各玉4、4を、上記両列毎に、転動自在に保持している。尚、上記外輪2aの外周面の軸方向両端寄り部分には、それぞれ係止溝17、17を、全周に亙り形成している。これら両係止溝17、17には、適宜止め輪18を係止して、上記外輪2aの周囲に、一方向クラッチ用内輪等の他の部品を結合支持する。
特に、本例の複列玉軸受1aの場合には、上記各玉4、4のピッチ円の直径PCD を、これら各玉4、4の直径Daの17〜24倍{PCD =(17〜24)Da}として、これら各玉4、4の直径Daに比較して、上記複列玉軸受1aの直径を、比較的大きくしている。又、上記両列に組み込む上記各玉4、4の数を、比較的少なくしている。即ち、従来から一般的に使用されている玉軸受(単列、複列の何れも)は、ピッチ円上の半分若しくは半分以上に玉を配置していた。即ち、ピッチ円上に配置された玉の数をZとすると、(Z・Da)/(π・PCD )≧0.5としていた。これに対して本例の複列玉軸受1aの場合には、(Z・Da)/(π・PCD )=0.20〜0.35程度と、ピッチ円上に配置された玉の数Zを少なく抑えている。
この様に上記各玉4、4の数Zを少なく抑える理由は、上記複列玉軸受1aの動トルクを低く抑える為である。即ち、本例の複列玉軸受1aは、前述した特許文献1に記載された様なアイドリングストップ車のエンジン始動装置に組み込んだ状態で使用する事を考慮している。この様な使用状態で上記複列玉軸受1aを構成する上記外輪2aと上記内輪3aとは、エンジンが回転している限り、相対回転する。一方、アイドリングストップを行なう理由は、エンジンの燃料消費を少なく抑える為であり、上記複列玉軸受1aの存在が燃料消費率を悪化させる事は極力抑える必要がある。この為本例の場合には、上記各玉4、4の数Zを少なくして、上記複列玉軸受1aの動トルクを低く抑えている。
これら各玉4、4の数Zを少なくしても、この複列玉軸受1aの耐久性の点で問題を生じる事はない。即ち、この複列玉軸受1aに加わる荷重は、上記エンジン始動装置を構成するリングギヤとピニオンとの噛合部で発生するラジアル方向の反力程度であり、しかも、この反力が作用している時間が極く短い。そして、エンジン始動後に上記複列玉軸受1aに加わる荷重は、上記外輪2aの重量、及び、この外輪2aに外嵌固定した、一方向クラッチ用内輪の重量程度の、僅かなラジアル荷重だけになる。この為、上記各玉4、4の数Zを少なくしても、上記複列玉軸受1a内部の転がり接触部の面圧は十分に低く抑えられて、この複列玉軸受1aの耐久性を十分に確保できる(エンジン始動装置を構成する他の構成部材よりも寿命が短くなる事はない)。
又、本例の複列玉軸受1aの場合には、上記両列の玉4、4の中心同士の軸方向距離(列間ピッチ)P(図2参照)を、従来構造の場合よりも小さくしている。具体的には、この軸方向距離Pを、上記各玉4、4の直径Daよりも大きく、これら各玉4、4の直径Daの1.25倍未満(Da<P<1.25Da)としている。これに合わせて、上記複列玉軸受1aの軸方向に関する幅(上記外輪2a及び上記内輪3aの軸方向に関する幅と同じ)Bを、従来構造の場合よりも小さくしている。具体的には、この幅Bを、上記各玉4、4の直径Daの2.8〜3.2倍{B=(2.8〜3.2)Da}の範囲内に規制している。尚、前記両外輪軌道6、6及び前記両内輪軌道7、7の断面形状の曲率半径r 、r と上記各玉4、4の直径Daとの比を、0.52〜0.55{r =(0.52〜0.55)Da、r =(0.52〜0.55)Da}としている。
又、上記外輪2a及び上記内輪3aの、径方向に関する厚さT 、T を、従来構造の場合よりも小さく(薄く)している。具体的には、上記ピッチ円の直径PCD を、上記外輪2aの厚さT 、及び、上記内輪3aの厚さT の25〜35倍(PCD /T =25〜35、PCD /T =25〜35)、好ましくは27〜33倍(PCD /T =27〜33、PCD /T =27〜33)としている。又、本例の場合には、上記外輪2aの厚さT に比べて上記内輪3aの厚さT を小さく(T >T )している。これに合わせて、上記外輪2aのうちで前記両外輪軌道6、6部分の厚さt に比べ、上記内輪3aのうちで前記両内輪軌道7、7部分の厚さt を小さく(t >t )している。前述した通り、上記複列玉軸受1aに加わるラジアル荷重は限られている為、上記外輪2a及び上記内輪3aの厚さT 、T を薄くしても、上記複列玉軸受1aの耐久性を十分に確保できる。
更に、前記両保持器5a、5aは、PPS、PEEK等の合成樹脂を射出成形する事により、図3にその一部を示す様な、冠型保持器として形成している。本例の場合、上記ピッチ円の直径PCD を、上記両保持器5a、5aの径方向に関する厚さT の40〜50倍(PCD /T =40〜50)としている。上記両保持器5a、5aの厚さT の最大値(PCD /40)は、上記外輪2aの内周面或いは上記内輪3aの外周面との干渉防止の面から規制し、最小値(PCD /50)は、強度確保の面から規制する。何れにしても、上記両保持器5a、5aの真円度は、0.30mm以下、好ましくは0.20mm以下に抑える事により、これら両保持器5a、5aの内外両周面と、上記外輪2aの内周面或いは上記内輪3aの外周面との擦れ合いを防止する。この様に優れた真円度を有する上記両保持器5a、5aを得る為に、これら両保持器5a、5aの成形を、射出成形用のキャビティ内への溶融樹脂の送り込みを円周方向複数個所から行なう、複数ゲート方式、或いは内周側のほぼ全周から行なうディスクゲート方式により実施する事が好ましい。尚、真円度は、最大直径と最小直径との差で管理する。
尚、上記両保持器5a、5aの形状は、冠型である限り、特に問わないが、図3に実線で示した一般的な形状よりも、同じく鎖線で示した形状にすれば、上記両保持器5a、5aの組み込む作業の容易化を図れる。即ち、これら両保持器5a、5aの組み込みは、前記各玉4、4を前記両外輪軌道6、6と前記両内輪軌道7、7との間に組み込み、更に円周方向に等配した後、上記両保持器5a、5aを、それぞれのポケット8、8の開口部を上記各玉4、4に整合させた状態で、これら各玉4、4に押し付ける事で行なう。この際、図3に示した様な、ポケット8の開口部両側に存在する弾性爪部9、9を、互いの先端縁同士の間隔を開く方向に弾性変形させる。上記鎖線で示した様に、これら各弾性爪部9、9の基部が、上記ポケット8内に保持されるべき玉の中心よりも、これら各弾性爪部9、9の先端から遠い側に迄達する形状を採用すれば、この作業時に上記各弾性爪部9、9を弾性変形し易くできて、上記両保持器5a、5aの組み込み作業の容易化を図れる。
更に、本例の場合には、上記外輪2aの内周面及び上記内輪3aの外周面を、熱処理(加熱後に焼き入れ油に浸漬する事で行なう、ズブ焼き等の、焼き入れ硬化の為の熱処理)後に施される機械加工により、図4に誇張して示す様に、同図の鎖線で示す状態から実線で示す状態にまで削り取る事で、この熱処理に伴ってこれら両周面に形成された酸化膜を除去している。又、本例の場合には、上記機械加工に伴って、上記外輪2aの内周面の軸方向中間部で上記複列の外輪軌道6、6の間に存在する外径側中央土手部10部分の軸方向両端部とこれら両外輪軌道6、6の軸方向端部とを連続させる外径側連続部11、11を、これら両外輪軌道6、6の端縁と上記外径側中央土手部10の内周面とを滑らかに連続させる、断面円弧状の曲面としている。同様に、上記内輪3aの外周面の軸方向中間部で上記複列の内輪軌道7、7の間に存在する内径側中央土手部12部分の軸方向両端部とこれら両内輪軌道7、7の軸方向端部とを連続させる内径側連続部13、13を、これら両内輪軌道7、7の端縁と上記内径側中央土手部12の外周面とを滑らかに連続させる、断面円弧状の曲面としている。上記機械加工は、それぞれの母線形状が完成後に於ける上記外輪2aの内周面形状、或いは、上記内輪3aの外周面形状に合致する回転砥石によりこれら各周面を研磨する事で、容易に行なえる。尚、上記図4の鎖線と実線との間隔は、誇張して描いている。
上述の様に構成する本例の複列玉軸受1aを組み立てるべく、上記両外輪軌道6、6と上記両内輪軌道7、7との間に前記各玉4、4を組み込む際には、図5に示す様な抑え治具14を使用する。この抑え治具14は、部分円弧状の基部15と、この基部15の両端部から同方向に折れ曲がった、互いに平行な1対の抑え腕部16、16とを備える。これら両抑え腕部16、16の長さL16は、上記各玉4、4の直径Daの1.5倍以上{L16≧1.5Da、例えば2倍程度(L16≒2Da)}とし、上記両抑え腕部16、16同士の円周方向に関する間隔D16は、各列に組み込む上記各玉4、4の数Zとこれら各玉4、4の直径Daとの積とほぼ同じ(D16≒Z・Da)としている。従って、上記両抑え腕部16、16同士の間には、上記両外輪軌道6、6と上記両内輪軌道7、7との間に組み込むべき、各列毎にZ個ずつ、合計2Z個の玉4、4を、2列に配置した状態で、完成後の複列玉軸受1aでのピッチ円に沿った状態で、ほぼ隙間なく並べる事ができる。
上記両外輪軌道6、6と上記両内輪軌道7、7との間に上記各玉4、4を組み込むには、先ず、上記抑え治具14を構成する1対の抑え腕部16、16同士の間に2Z個の玉4、4を、各列毎にZ個ずつ、2列に亙って、上記ピッチ円に沿った円弧状に配列する。この場合、必要に応じて、円筒状或いは部分円筒状の抑え板により、上記各玉4、4が、上記両抑え腕部16、16同士の間から径方向に脱落するのを防止する。一方、前記外輪2aと前記内輪3aとを、例えば前述の図9に示す様に、互いに偏心した状態で配列しておく。そして、上記円弧状に配列した2Z個の玉4、4を、上記外輪2aの内周面と上記内輪3aの外周面との間の環状空間のうち、径方向に関する厚さが大きくなった部分に、上記抑え治具14と共に挿入する。この挿入作業時、上記抑え板は、上記環状空間外に止める。この挿入作業は、図6の(A)に示す様に、互いに異なる列の玉4、4の突き合わせ面が、前記外径側中央土手部10の内周面及び前記内径側中央土手部12の外周面に対向する部分に位置するまで行なう。
そして、この様な図6の(A)に示した状態から、上記外輪2aと上記内輪3aとを互いに同心にする。この過程で、上記外径側中央土手部10と上記内径側中央土手部12とが、上記両列の玉4、4同士の間に入り込み、これら両土手部10、12の両側に存在する、上記両外輪軌道6、6と上記両内輪軌道7、7との間に上記各玉4、4を振り分ける。本例の場合には、前述した様に、完成後の複列玉軸受1aの状態で、上記両列の玉4、4の中心同士の軸方向距離Pを、上記各玉4、4の直径Daよりも大きく、これら各玉4、4の直径Daの1.25倍未満としている。この為、上記両列の玉4、4を上記環状空間に、この環状空間の軸方向片側から挿入しても、上記外輪2a及び内輪3aの直径方向(図1、2、6の上下方向)に関する、上記両列の玉4、4の最大直径部を、上記複列の外輪軌道6、6及び内輪軌道7、7同士の間に存在する上記両土手部10、12の軸方向両側に、容易且つ確実に振り分けられる。そして、この様に上記両列の玉4、4の最大直径部を上記両土手部10、12の軸方向両側に振り分けられれば、上記外輪2aと上記内輪3aとを同心に配置する過程で、上記両列の玉4、4が、それぞれ上記複列の外輪軌道6、6と上記複列の内輪軌道7、7とに、確実に係合する。この為、これら複列の外輪軌道6、6とこれら複列の内輪軌道7、7との間に、両列毎にZ個ずつ、合計2Z個の玉4、4を組み込む作業を容易に行なえて、上記複列玉軸受1aの製造作業の能率化を図り、この複列玉軸受1aの製造コストの低減を図れる。この様な本例の構造に対して、図6の(B)に示す様に、両列の玉4、4の中心同士の軸方向距離P (>P)が大きい構造の場合には、上記作業によっては、これら両列の玉4、4の最大直径部を両土手部10a、12aの軸方向両側に振り分けられない。尚、上記軸方向距離Pを上記各玉4、4の直径Daよりも大きくする事は、上記両列の玉4、4同士が干渉するのを防止する為に必要である。尚、上記複列の外輪軌道6、6と内輪軌道7、7との間に、上記各玉4、4をより確実に係合させる為には、P≦1.15Daとする事が好ましい。又、両列の玉4、4同士、両列の保持器5a、5a同士の干渉を確実に防止する為には、P≧1.05Daとする事が好ましい。
又、本例の場合には、上記外輪2aの内周面及び上記内輪3aの外周面に仕上加工を施しているので、前述した様に、上記各玉4、4の組み込み作業時に、これら各玉4、4の転動面に傷を付ける事を防止できる他、この組み込み作業に伴って上記両周面から脱落した、硬い酸化被膜の破片が潤滑剤中に混入する事を防止できる。
更に、本例の場合には、上記両外輪軌道6、6及び上記両内輪軌道7、7の断面形状の曲率半径を、上記各玉4、4の直径Daとの関係で適切に規制しているので、上記各軌道6、7とこれら各玉4、4の転動面との転がり接触部の接触面圧を抑えつつ、これら各玉4、4の転動面にエッジロードに基づく過大な面圧が作用するのを防止できて、これら各玉4、4の転動面の転がり疲れ寿命、延いては、これら各玉を組み込んだ複列玉軸受1aの耐久性向上を図れる。
本発明の実施の形態の1例を示す、複列玉軸受の断面図。 図1のX部拡大図。 保持器の一部を径方向から見た図。 研磨等の機械加工を施す部位を示す、外輪の部分断面図。 各玉の組み込み作業に使用する抑え治具の斜視図。 本発明により玉の組み込み作業の容易化を図れる理由を説明する為の図で、(A)は本発明の場合を、(B)は従来構造の場合を、それぞれ示す、外輪と各玉との部分断面図。 従来から知られている複列玉軸受の1例を示す、部分切断斜視図。 同じく断面図。 外輪軌道と内輪軌道との間に玉を組み込む状態を示す断面図。
1、1a 複列玉軸受
2、2a 外輪
3、3a 内輪
4 玉
5、5a 保持器
6 外輪軌道
7 内輪軌道
8 ポケット
9 弾性爪部
10、10a 外径側中央土手部
11 外径側連続部
12、12a 内径側中央土手部
13 内径側連続部
14 抑え治具
15 基部
16 抑え腕部
17 係止溝
18 止め輪

Claims (2)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪と、これら両外輪軌道とこれら両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた玉と、これら各玉を転動自在に保持する為の1対の保持器とを備え、アイドリングストップ車用のエンジン始動装置に組み込まれて、クランク軸の周囲に一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪を回転自在に支持する複列玉軸受に於いて、
    上記外輪の内周面及び上記内輪の外周面は、熱処理後に施される機械加工によりその表面が削り取られる事で、この熱処理により形成された酸化膜が除去されており、
    上記外輪の内周面の軸方向中間部で上記複列の外輪軌道の間に存在する外径側中央土手部の軸方向両端部とこれら両外輪軌道の軸方向端部とを連続させる外径側連続部が、これら両外輪軌道の端縁と上記外径側中央土手部の内周面とを滑らかに連続させる断面円弧状の曲面であり、
    上記内輪の外周面の軸方向中間部で上記複列の内輪軌道の間に存在する内径側中央土手部の軸方向両端部とこれら両内輪軌道の軸方向端部とを連続させる内径側連続部が、これら両内輪軌道の端縁と上記内径側中央土手部の外周面とを滑らかに連続させる断面円弧状の曲面であり、
    上記各玉の直径をDaとし、
    これら各玉のピッチ円の直径をPCDとし
    上記各列に組み込む各玉の数をZとし、
    上記両列の玉の中心同士の軸方向距離をPとし、
    上記各外輪軌道の断面形状の曲率半径をr とし、
    上記各内輪軌道の断面形状の曲率半径をr とした場合に、
    (Z・Da)/(π・PCD)=0.20〜0.35、且つ、
    1.05Da≦P≦1.15Da、且つ、
    /Da=0.52〜0.55、且つ、
    /Da=0.52〜0.55
    の関係を満たす事を特徴とする複列玉軸受。
  2. 請求項1に記載した複列玉軸受の組立方法であって、
    部分円弧状の基部と、この基部の両端部から同方向に折れ曲がった互いに平行な1対の抑え腕部とを備え、これら両抑え腕部の長さが各玉の直径Daの1.5倍以上であり、これら両抑え腕部同士の円周方向に関する間隔が、各列に組み込む各玉の数Zとこれら各玉の直径Daとの積と同じである抑え治具のうちの、上記両抑え腕部同士の間に、2Z個の玉を、各列毎にZ個ずつ、2列に亙って、完成後の複列玉軸受でのピッチ円に沿った円弧状に配列し、
    上記抑え治具と共に上記各玉を、外輪と内輪とを互いに偏心した状態で配列する事で形成されるこの外輪の内周面とこの内輪の外周面との間の環状空間のうちの径方向に関する厚さが大きくなった部分に、互いに異なる列の玉の突き合わせ面が、外径側中央土手部の内周面及び内径側中央土手部の外周面に対向する部分に位置するまで挿入した後、
    上記外輪と上記内輪とを互いに同心にする事により、上記外径側中央土手部と上記内径側中央土手部とを、上記両列の玉同士の間に入り込ませ、これら両土手部の両側に存在する、両外輪軌道と両内輪軌道との間に上記各玉を振り分ける事で、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間にこれら各玉を組み込む事を特徴とする、複列玉軸受の組立方法。
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