JP2009046619A - 皮革表面保護剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮革表面保護剤の分野で、自然な艶出し効果と柔軟性付与効果、耐久性を有する皮革表面保護剤を提供することを目的とする。
【解決手段】2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート5〜60モル%と、炭素数10〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート40〜95モル%と、その他の単量体0〜20モル%を重合してなる重合体であって、25℃の水への溶解度が0.5重量%以下であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である重合体1〜30重量%を液状の多価アルコールに分散した皮革表面保護剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、皮革表面保護の分野において利用されるホスホリルコリン基含有重合体を用いた皮革表面保護剤に関する。
皮革表面保護剤の分野においては、水系、オイル系、ワックス系、シリコーン系や、ヘキサンにポリマーを分散させたエマルジョン系などの材料が、皮革材料の洗浄、保護剤として使用されてきた。
例えば、特許文献1には、炭素数30〜70のアルキルアルコールと、イソシアネート単量体すなわちモノイソシアネート化合物および/またはジイソシアネート化合物および/またはトリイソシアネート化合物の1種もしくは2種以上との反応生成物を配合する艶出し剤 ,固化剤 ,撥水剤および撥油剤 およびこれらからなる自動車用ワックス,フロアー家具用ワックス,皮革用ワックスが開示されている。
上記開示技術では、耐久性を出すため、油性物質を使用しているので、テカリやべたつきなどの問題があり、ふき取り性の向上を課題としている。
また、特許文献2には、シリコーンガム、ワックス成分及びこれらのいずれかに相溶性を有する溶剤を含有し、シリコーンガム及びワックス成分の配合率が、シリコーンガム1〜50重量%及びワックス成分1〜30重量%である皮革用洗浄艶出し剤組成物を、シート状の基体10に含浸させてなるものが開示されている。
上記開示技術では、防汚性を高めるため、ワックスに洗浄機能を持たせている。
また特許文献3には、界面活性剤を使用して、高重合ジメチルポリシロキサン類の少なくとも1種以上のトリメチルシロキシケイ酸を含む撥水性成分を水に分散したクロス処理剤を、不織布、特に超極細繊維を用いた不織布などの布帛に含浸させた、皮革用撥水艶出しクロスが開示されている。
上記開示技術では、防汚性を出すため撥水性を高めているが、自然な艶出しに課題がある。
また特許文献4には、含フッ素樹脂およびシリコーンオイルからなる、硬化性含フッ素樹脂、硬化剤およびシリコーンオイルからなる皮革用塗料組成物が開示されている。
上記開示技術では、自然な艶を出すためシリコーンオイルを用いているが、べたつきなどの課題がある。
すなわち、従来から知られる皮革の艶出し成分では、自然な艶を出しながら、べたつきを抑えて、さらに耐水性、防汚性を持って皮革表面を保護することが困難であり、また自然な艶出し効果や柔軟性付与効果、表面保護効果なども具備する新たな艶出し成分の開発が望まれていた。
一方、生体適合性材料や繊維処理の分野では、ホスホリルコリン基含有重合体の研究開発が活発に行われていた。
例えば、特許文献5には、ホスホリルコリン基含有重合体が繊維材料に対して、風合い向上効果、吸水性向上効果を付与する技術が開示されている。また特許文献6と7には、ホスホリルコリン基含有重合体と油性成分、それと多価アルコールまたは糖類水溶液の3成分からなる乳化組成物が報告されている。特許文献8にはウレタンパフへのホスホリルコリン類似基含有重合体コーティング技術が示されている。
しかし、皮革材料の分野では、皮革の自然な艶出し効果や柔軟性付与効果、表面保護効果を発揮するポリマーとして特定の非水溶性ホスホリルコリン類似基含有重合体からなる生体適合性材料を用いることは行われていなかった。
特開平5−295327号公報 特開2001−335753号公報 特開2002−309300号公報 特開2004−203921号公報 特開2001−200480号公報 特開2005−306760号公報 特開2007−31304号公報 特開2006−81832号公報
本発明は自然な艶出し効果と柔軟性付与効果、耐久性を有するホスホリルコリン基含有重合体の皮革表面保護剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定のホスホリルコリン類似基含有単量体と疎水性単量体と、その他の単量体からなる重合体を含む皮革表面保護剤が皮革材料に対して自然な艶出し効果があり、付着した汚れを落ちやすくする等の保護効果を付与できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の(1)の発明である。
(1) 2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート5〜60モル%と、式(1)に示す単量体40〜95モル%と、その他の単量体0〜20モル%を重合してなる重合体であって、25℃の水への溶解度が0.5重量%以下であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である重合体1〜30重量%を液状の多価アルコールに分散した皮革表面保護剤。
Figure 2009046619
(式中、L1は、炭素数10〜22のアルキル基を示し、R1は水素原子又はメチル基を示す。)
本発明によって、ホスホリルコリン基含有重合体を用いて、皮革の自然な艶出し効果と皮革の表面保護効果を持った、皮革表面保護剤を提供することができる。
本発明の皮革表面保護剤は、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下、PC単量体と略す。)5〜60モル%と式(1)に示す単量体(以下LA単量体と略す。)40〜95モル%と、その他の単量体0〜20モル%を重合した、25℃の水への溶解性が0〜0.5重量%である重量平均分子量5,000〜5,000,000の重合体(以下PC−LA重合体と略す。)を溶解または分散させた多価アルコール溶液からなる皮革表面保護剤である。
即ち本発明の皮革表面保護剤は、PC単量体とLA単量体と、場合によりその他の単量体とを含む重合性組成物を重合した、PC−LA重合体の多価アルコール溶液である。
本発明に用いられる重合性組成物は、PC単量体とLA単量体、およびその他の単量体を含む。
PC単量体は、公知の方法で製造できる。例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭58−154591号公報等に示された公知の方法等に準じて製造することができる。
また、LA単量体としては下記式(1)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2009046619
式(1)中、L1は、炭素数10〜22のアルキル基を示し、R1は水素原子又はメチル基を示す。
前記、式(1)のL1は、具体的にはデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコサニル基の直鎖または分岐アルキル基等を示す。
式(1)で表される単量体としては、具体的には例えば、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコサニル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル(メタ)アクリレート;デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、ヘキサデカン酸ビニル、オクタデカン酸ビニル、ドコサン酸ビニル等のビニルエステル系単量体等が挙られる。
LA単量体としては、上記のLA単量体の中でもオクタデシルメタクリレートが、皮革保護層の形成性、安定性の面で最も好ましく挙げられる。また、LA単量体として、これらの1種または2種以上を混合して用いても良い。
本発明に用いる重合性組成物には、PC単量体およびLA単量体と重合が可能であり、且つ皮革表面保護剤として用いたときPC−LA重合体により皮革表面に形成される皮革保護層の機能を阻害しない範囲で、その他の単量体を重合性組成物に含んでよい。
その他の単量体としては、疎水性単量体を用いることができ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレンチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレンチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、シリコーンメタクリレートが挙げられる。中でも皮革の持つ風合い維持の点から、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートとパーフルオロエチル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
本発明に用いるPC−LA重合体は、PC単量体とLA単量体およびその他の単量体とを所定の割合で含む重合性組成物を、例えば通常のホスホリルコリン基含有重合体を得るための公知の重合条件を用いて、ラジカル共重合をすることにより製造することができる。
本発明において、PC−LA重合体を製造するのに用いられる重合性組成物は、PC単量体5〜60モル%とLA単量体40〜95モル%とその他の単量体0〜20モル%の割合で含む重合性組成物である。より好ましくは、PC単量体15〜30モル%及びLA単量体70〜85モル%の割合で含む重合性組成物である。
LA単量体の割合が40モル%未満である重合性組成物を重合したPC−LA重合体では十分に皮革保護層の耐水性を持たせることができず、95モル%を超えると艶出し効果等が十分に発揮することが難しくなるので好ましくない。なお、前記重合性組成物には公知のラジカル重合開始剤を適当量、含ませることができる。
最も好ましい重合性組成物は、艶出し効果と耐水性の理由から2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート5〜60モル%とオクタデシルメタクリレート40〜95モル%からなる重合性組成物である。
上述の重合性組成物を重合することでPC−LA重合体を得ることができる。
本発明において、重合性組成物を重合して得られるPC−LA重合体の分子量は、平均重量分子量で、5,000〜5,000,000の範囲であり、好ましくは100,000〜2,000,000の範囲である。重合体の平均重量分子量が5,000未満では皮革保護層の耐久性が低下するし、またPC−LA重合体の平均重量分子量が5,000,000より大きいと皮革の表面に均一に塗布することが難しくなる。
なお、本発明に用いられるPC−LA重合体は、皮革表面に最適な皮革保護層を形成することのできるPC−LA重合体を使用する必要がある。その条件に合致するPC−LA重合体は、粉末状態での水への溶解性が25℃で0.5重量%、好ましくは0.4重量%となる難水溶性のPC−LA重合体である。この理由は、粉末状態での水への溶解性が25℃で0.5重量%を超えるようなPC−LA重合体を用いると、PC−LA重合体の有するホスホリルコリン基が大気中の水分等を吸着して、処理した皮革表面に含水層を形成するために、皮革保護層の耐水性が大きく低下し、皮革に汚れがしみ込むなど不具合が生じるので好ましくなく、また表面含水層の有する光学的影響により、皮革表面がくすみを生じる為、自然な艶出し効果が発揮できないので好ましくないためである。
なお、PC−LA重合体の25℃の水への溶解性へは具体的には次のような方法で測定する。PC−LA重合体からなるポリマー試料の乾燥粉体を分級して、顕微鏡観察による粒子径が1〜100μmの範囲に入るようにした粉体をガラス瓶に5g入れて、水50gを加えて密栓し一晩振とうする。上澄み液25gを遠心分離により回収し、回収した上澄み液を蒸発乾固することで溶解性を測定することができる。このような測定の結果、水への溶解性が25℃で0〜0.5重量%の範囲にならないPC−LA重合体は、艶出し効果が低く、本発明の皮革表面保護剤に用いることができない。
通常の艶出し剤には溶媒としてヘキサンや、アルキルアルコール、シリコーンワックスなどが使用されるが、ヘキサンやアルキルアルコール、シリコーンワックスには、ホスホリルコリン基を持つPC−LA重合体を均一な状態で分散できないため、表面に塗布したときに艶出し効果が発揮できない。そのため、本発明の皮革表面保護剤に用いられるPC−LA重合体の溶媒としては、液状の多価アルコールが用いられる。本発明で言う液状の多価アルコールとは、分子内にヒドロキシ基を2つ以上有する室温(25℃)で粘度が0.2〜20dPa/secの多価アルコールであり、具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、デカグリセリン、ポリグリセリン挙げられる。その中でも特にエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンから選ばれるものであり、これら液状の多価アルコールが皮革への浸透性と、なじみの良さ、PC−LA重合体の溶解性の点から好ましく、中でも粘度や匂いの点から1,3−ブタンジオールとグリセリンの(混合重量比5:1〜1:1)混合物が最も好ましい。
25℃の水への溶解度が0.5重量%以下であるPC−LA重合体は、強い疎水性のアルキル鎖の影響で分子全体が疎水性の性質を示すのにもかかわらず、親水性のホスホリルコリン基も絶妙な割合で同時に有しているため、多価アルコール中で特殊な会合形態をとっていると考えられる。また濃度が高いときは多価アルコール中でミセルやナノスフェアのような会合形態をとって均一分散することもある。このため、皮革表面に対してPC−LA重合体を含む多価アルコール溶液を処理した際、皮革表面に会合体が接触したと同時に、溶液中ではバランスしていた会合体の会合エネルギーが解放され、PC−LA重合体が皮革表面に絶妙な分子配向をとって広がることができる。親水性のホスホリルコリン基の含有割合が少なすぎる場合には、ポリマーが結晶のような状態で強く結びついたまま分散しており、これも皮革表面への広がりを阻害するように働く。即ち、親水性のホスホリルコリン基を持つユニットと疎水性ユニットとが絶妙にバランスしたPC−LA重合体が、多価アルコール中に最適なミクロ状態で分散しているために、これで皮革の表面処理をすることにより、艶だしに最適な皮革表面保護層を形成することができ、皮革表面に自然な艶を出すことができると考えられる。
そして、多価アルコール以外の溶媒では、25℃の水への溶解性が0〜0.5重量%であるPC−LA重合体を用いたとしても、この効果を十分に発揮することが出来ず、PC−LA重合体を溶解することが出来たとしても、皮革表面に自然な艶を出す皮革表面保護剤としては適切に用いることができない。
本発明の皮革表面保護剤は、PC−LA重合体を1〜30重量%分散した多価アルコールからなり、該重合体を多価アルコールに分散させた組成物である。より好ましくは、PC−LA重合体を5〜20重量%分散した、多価アルコールからなる組成物である。該重合体を多価アルコールに分散させた多価アルコールとは、外観上均一化した多価アルコール溶液であればよく、該重合体がミセルまたはナノスフェアを形成して分散している白濁した溶液も含まれる。尚、表面保護時、使用後の美観などを考慮すると、沈殿物を含まない均一な多価アルコール溶液である必要がある。
本発明に用いる多価アルコール溶液が、さらに油を含んで乳化した乳剤のような形態をとるものは、油と疎水性のPC−LA重合体との親和性が強すぎるため皮革の表面処理をしたときに均一に表面を被覆できず目的とする自然な艶の再現が困難であり、また油によるべたつきなどの影響もでるため本発明の皮革表面保護剤と同等の性能は発揮できない。
多価アルコールに対するPC−LA重合体の割合が、1重量%より少ないと皮革保護層の形成が十分でなく、30重量%より多いとPC−LA重合体を皮革材料の表面に均一に塗布することが困難となるため好ましくない。
本発明の皮革表面保護剤を皮革材料に使用する場合には、例えば皮革表面保護剤2gを布、綿、スポンジ、ティッシュペーパー、不織布に染み込ませ、皮革材料の表面0.1m2に塗布しながら十分に延ばして処理することなどで使用することができる。
なお、特殊な方法として皮革表面保護剤を水、水/有機溶媒などの溶媒で5〜10倍に希釈して噴霧する方法により処理することも出来る。さらに別の方法として、皮革材料を皮革表面保護剤またはその5〜10倍の水希釈液に浸漬し、その後乾燥する方法により処理することも可能である。このような希釈方法により処理する場合は、PC−LA重合体の多価アルコール溶液中での会合形態が壊れて、艶出しに悪影響を生ずることがあるため、結果を見ながら注意して行う必要がある。
艶出しに悪影響を生じない希釈方法としては、具体的には、例えばPC−LA重合体の粉末5.0gに対し、1,3−ブタンジオール10.0g及びグリセリン10.0gを加え、約70℃で強く攪拌して溶解させ、皮革表面保護剤を得、この液を純水で8倍に希釈して得た分散液を霧吹き器にて、天然皮革または合成皮革の表面に噴霧し、ドライヤーで低温で乾燥して処理することで、皮革の表面に自然な艶が認められるようにすることができる
本発明の皮革表面保護剤には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、多価アルコール以外の他の有機溶剤、消臭剤、防臭剤、吸着剤、界面活性剤、柔軟剤、染料、顔料、染色助剤、保湿剤、防腐剤、防虫剤、香料、樹脂等の他の添加剤を混合することが考えられる。どの程度配合できるかについては、皮革の表面に自然な艶が認められるかどうかにより判断することができる。
本発明の皮革表面保護剤は、上述したように25℃の水への溶解性が0〜0.5重量%であるPC−LA重合体を含み、このPC−LA重合体が有するホスホリルコリン基とアルキル鎖の割合が適度であり、これにより皮革表面に特有の細胞膜類似分子配向構造を形成し、且つポリマーの25℃の水への溶解性が0〜0.5重量%になるように調整されていることにより、大気中との水分交換も抑制しつつ、更にホスホリルコリン基の効果で最小限の水分も保持し、これらの相乗効果が皮革に独特の自然な艶を付与する特徴を発揮するものである。即ち、PC−LA重合体以外の他の重合体では同様の光学的効果を生じることが困難である。処理後の表面状態を目視すれば一目で判断できるが、市販されたワックスなどでは真似の出来ない独特な自然な艶を出すことができ、皮ジャンなどの表面を丹念に処理すれば、とても風格のある格調高い艶を演出することができる。
本発明の皮革表面保護剤を用いて処理できる皮革材料としては、通常の牛、豚、羊、蛇等の天然皮革のみでなく、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等からなる合成皮革も使用できるが、LA単量体の有する炭素数10〜22の長鎖アルキル基と、皮革表面との相互作用に起因する密着性の良さと、処理時の艶の点から、皮革としては天然皮革の方がより好ましい。
本発明の皮革表面保護剤で処理した皮革材料は、いずれの用途にも利用可能であるが、特にジャケット、コート、スカート、ジャンパー等の衣類、家具、自動車等のシート材、靴、カバン、財布等の日用品にも好適に使用することができる。
なお、本発明でいう皮革表面保護とは、皮革の表面を被覆することで皮革本来の独特の艶を維持し、さらには汚れの付着を除去することを示す。即ち本発明の皮革表面保護剤は、皮革の艶出しに効果があり、皮革用艶出し剤として最適に使用することができるものである。また皮革の毛羽立ちを抑えキズを見えにくくする、ホスホリルコリン基の効果により乾燥を抑えて皮革を保護することができる。特定の鎖長のアルキル鎖をポリマーに有することにより、通常、皮革表面保護剤として使用されるワックス類などと全く異なり、べたつきがなく使いやすい皮革表面保護剤として使用できる特徴があり、産業上も、とても有用である。
以下、実施例に基づいてさらに詳しく説明する。以下に、重合体の重量平均分子量の測定方法、溶解性の測定方法を示す。
(重量平均分子量の測定)
メタノール/クロロホルム(重量比4/6)を溶離液とし、単分散ポリメチルメタクリレートを標準物質として、屈折率を用いて検出したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量を評価した。
(溶解性の測定)
ポリマー試料の乾燥粉体を分級して、顕微鏡観察による粒子径が1〜100μmの範囲に入るようにした粉体をサンプル瓶に1.0g取り、それに純水を加えて20gとした液をウェーブローターで24時間撹拌後、2時間静置させた。上澄みの液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、5gを秤量し、重量既知の磁性皿に入れ、105℃で8時間乾燥後の重量から乾燥後残留したポリマー分の重量を算出し、上澄み液に溶解していたポリマーの濃度を評価した。なお、ウェーブローターで撹拌後に沈降物が無く、全て溶解したものは、溶解度が5wt%以上とした。
合成例1
MPC3.57g、オクタデシルメタクリレート(C18MA)16.43g(単量体組成モル比、MPC/C18MA=20/80)をn−ブタノール180gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹込んだ後、60℃でアゾビスイソブチロニトリル0.82gを加えて8時間重合反応させた。
重合液を3リットルのアセトン中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、粉末15.8gを得た。得られた共重合体は、重量平均分子量で189,000であり、25℃での水への溶解性は0.01重量%であった。これをポリマー1(P−1)とした。
合成例2〜5
合成例1のポリマー1の合成に準じて、表1に示すように単量体の種類、組成比を変更し、合成例1と同様の操作により、ポリマー2(P−2)〜ポリマー5(P−5)を得た。得られた共重合体の組成比、重量平均分子量、水への溶解性(25℃)を、表1に示した。
比較合成例1〜4
合成例1のポリマー1の合成に準じて表1に示すように単量体の種類、組成比を変更し、合成例1と同様の操作により、比較ポリマー1(C−1)〜比較ポリマー4(C−4)を得た。得られた共重合体の組成比、重量平均分子量、水への溶解性(25℃)を、表1に示した。
Figure 2009046619
表1中、略語は以下の意味である。
MPC;2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート
C18MA;オクタデシルメタクリレート
C12MA;ドデシルメタクリレート
BMA;ブチルメタクリレート
EHMA;2−エチルヘキシルメタクリレート
PPGMA;プロピレングリコールメタクリレート
実施例1
ポリマー1(P−1)の粉末5.0gに対し、1,3−ブタンジオール20.0gを加え、約70℃で強く攪拌して溶解させ、わずかに白濁した粘性液である皮革表面保護剤を得た。
皮革表面保護剤の評価は以下の要領で実施した。ティッシュペーパーに1g取り天然皮革(牛)及び合成皮革(ポリウレタン)の0.04m2表面に薄く延ばした後、ティッシュペーパーで10往復して余分な皮革表面保護剤を拭き取った。耐久性の評価としては、上記にて処理した皮革表面をウェットティッシュにより100往復して表面を拭き取って行った。
艶出し効果の判定は、表面処理した皮革と表面未処理皮革を並べ、蛍光灯を約30cm離した斜め上方から当て官能評価により行った。評価点数は以下の基準で行い、評価人数5名の合計点数をまとめたもので行った。
自然な艶あり;2、艶がわずかにあるまたはテカリがある;1、艶なし;0として官能評価で行った。
実施例1では、いずれの皮革の表面も自然な艶と柔軟性が認められた。また、耐久性の評価として、ウエットティッシュにより約100回表面を拭き取った後の表面状態を観察した結果、いずれの皮革にも自然な艶が認められた。
実施例2〜8
ポリマー1(P−1)〜ポリマー5(P−5)について、濃度や溶媒を変えて、実施例1と同様の操作により、表2の皮革表面保護剤を得て、皮革材料を処理した。その結果を表2に示す。
比較例1〜4
比較ポリマー1(C−1)〜比較ポリマー4(C−4)について、実施例1と同様の操作により、比較用ポリマー液を得て皮革材料を処理した。その結果を表2に示す。
比較例5
皮革表面保護剤を、市販の保革剤にかえて、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例6
皮革表面保護剤を、13BGのみとして、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例7
溶媒を、ヘキサンとして、実施例1と同様に試験を行った。外見上、沈殿が生じており均一な溶液は得られなかったが、そのまま不均一な状態で試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例8
溶媒を、エタノールとして、実施例1と同様に試験を行った。外見上、沈殿が生じており均一な溶液は得られなかったが、そのまま不均一な状態で試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例9
溶媒を、ヘキサノールとして、実施例1と同様に試験を行った。外見上、沈殿が生じており均一な溶液は得られなかったが、そのまま不均一な状態で試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2009046619
表2中、略語は以下の意味である。
13BG;1,3―ブタンジオール
GLY;グリセリン
15PG;1,5−ペンタンジオール
保革剤1;蜜ロウ、ホホバ油、ワセリン、ラノリンのみからなる天然成分100%の市販の保革剤(ドイツ国WESEN社製、商品名ウェッセンレザートリートメント)
実施例9
実施例1と比較例6で得られた処理皮革それぞれに対して、人工汚れ成分を塗布し、その後ティッシュペーパーにて拭き取った後の状態を観察し、JIS L0805の汚染用グレースケールにて、汚染等級を評価した。
図1に人工汚れ成分(ステアリン酸12.5%、オレイン酸12.5%、ヤシ硬化油12.5%、オリーブ油12.5%、セタノール8.5%、流動パラフィン21.5%、コレステロール5%、カーボンブラック15%)を付着させた時及びふき取った後の画像を示す。ふき取った後の汚染等級は、実施例1では4−5級であり、本発明の皮革表面保護剤の優れた皮革保護性能が確認された。
比較例6(未処理)及び実施例1(処理)、それぞれの汚れを付着させた状態と汚れを拭き取った後の状態

Claims (1)

  1. 2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート5〜60モル%と、式(1)に示す単量体40〜95モル%と、その他の単量体0〜20モル%を重合してなる重合体であって、25℃の水への溶解度が0.5重量%以下であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である重合体1〜30重量%を液状の多価アルコールに分散した皮革表面保護剤。
    Figure 2009046619
    (式中、L1は、炭素数10〜22のアルキル基を示し、R1は水素原子又はメチル基を示す。)
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