JP2009045722A - 切削治具 - Google Patents

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Abstract

【課題】狭隘空間に凹凸部が形成された被加工体の凹部の切削加工を可能とし、また、切削加工中に切削治具に負荷変動が生じた場合でも対応可能な切削治具を実現する。
【解決手段】狭隘な凹凸部が形成された被加工体に対して狭隘空間に切削刃を侵入させて該凹部を切削加工する切削治具10であって、回転方向に対して半径方向jに放射状に突出したチップ取付台を複数有するチップ取付部13と、該チップ取付部を回転自在に支持する回転軸12と、チップ取付台に着脱可能に取り付けられた複数の切削用チップ14とからなり、切削用チップ14の外周端は回転軸12の外径より外側に位置し、該回転軸外径と該切削用チップの刃先までの距離が凹凸部の凹部4cと凸部4b間の距離より大であって、回転軸12を介してチップ取付部13を凹凸部が形成された狭隘空間に侵入させ凹部4cを切削する位置に位置決めする移動位置決め手段を設けた。
【選択図】図2

Description

本発明は、狭隘な凹凸部が側面又は周面に沿って形成された被加工体、例えば、熱交換器の設けられたフィン群や、タービンロータ軸と車室間をシールするラビリンスリングのラビリンスシール等を簡単な装置構成で精度良く切削加工することを可能にする切削治具に関する。
従来、蒸気タービンやガスタービンのロータ軸の車室貫通部をシールするために、内周面にラビリンスシールを有するラビリンスリングが装着されている。図7は、特許文献1(特開平10−8993号公報)に開示されたガスタービンのロータ軸端の構成を示す。図7において、ガスタービンのロータ軸01の端部を取り囲む車室02の端面にシールケース05が固定されていて、この端部にロータ軸01の端面に臨んで伸び差センサ06が設けられている。
この伸び差センサ06は電気的にサーボモータ07に連絡し、伸び差センサ06が感知した伸び差の量に対応してサーボモータ07によりシールリテーナ08を軸方向に動かす。シールリテーナ08は、内周面にラビリンスシールを有するラビリンスリング03を保持しており、伸び差の量に拘らずラビリンスシールの接触長さを保つことにより、有効なシールを行なう。なお、シールケース05の内部には図示しないタービン動翼を冷却するための蒸気を導入する空間09が設けられ、蒸気は空間09からロータ軸01内の空間010を通ってタービン動翼に導かれる。
図8の(a)はラビリンスリング03が装着されたシール部分の拡大断面図であり、(b)は更にその一部拡大断面図である。図8において、ロータ軸01が車室02の壁部を貫通する部分には、ラビリンスシール04を有する環状のラビリンスリング03が装着されている。ラビリンスシール04は、シール対象となる2面間に、微小な食違い隙間(ラビリンス)をもうけて流体をシールする非接触シールの一種で、流体の圧力水頭は、この微小な隙間のある食違い部での摩擦損失、絞り効果などにより減圧され、シールされる。食違い隙間を設けるため、ロータ軸01には凸部01a及び凹部01bが設けられている。
ラビリンスシール04のフィン04aは、狭隘空間nの中で交互に高さを違えた複数の円盤状の突起で構成されている。即ち、丈の長い長フィン04bと丈の短い短フィン04cとが交互に複数配置されている。フィン04aの先端とロータ軸01との隙間tは1mm以下の微小隙間となっている。なお、凹部01bの幅lに対し、ロータ軸01は高温下で5〜6mmの軸方向の熱伸び差を発生するので、フィン04aの先端が凹部01bの側壁に接触するおそれがある。この場合、ロータ軸01に凹凸を設けないで、ストレート構造とする場合もある。
各ラビリンスシール04のフィン04aとロータ軸01との隙間tが計画値から外れている場合には、フィン04aの先端部又はラビリンスリング03の顎部を削って計画値に修正する必要がある。しかし、切削面が弧状をなす曲面であり、特に短フィン4cの先端部は長フィン4bに挟まれた狭隘空間n内に配置されているので、グラインダや治具等を用いて手作業で削って隙間tを調整しているが、作業者の感覚で作業を行なうため、削り足りない場合や削りすぎる場合があり、隙間確認や調整作業を何回も繰り返すことがある。なお、ラビリンスリング03は、通常6分割又は8分割されており、分割された状態で個々に切削加工の作業を行なっている。
特許文献2(特開2006−281387号公報)には、面取り加工等を目的とし、被加工物が薄肉状で狭隘な場所であっても、スタイラスによってワークの形状を倣いながら所望の加工を可能にする加工装置が開示されている。以下、この加工装置を図9に基づいて説明する。図9において、ワークグリッパ021にワーク022が固定され、図示しない駆動モータによってワークグリッパ021が回転する。スピンドル035の先端には2個の切削用チップ041,041が180°離間した位置に夫々着脱可能に取り付けられている。
切削用チップ041は薄肉状であって三角形の形状をなし、固定ねじ部材043によってスピンドル035に着脱可能に固定されている。切削用チップ041は三面の夫々に切削刃041aを備えており、ある一面側の切削刃041aが消耗したら、別の切削刃041aが切削位置にくるように装着し直すことができる。
スピンドル035の下端にはスタイラス051が取り付けられている。このスタイラス051はベアリングタイプをなしていて、内輪部材053及び外輪部材055と、これらの間に介挿された複数のボール057と、外輪部材055の外周側に取り付けられたリング状部材056とから構成され、内輪部材053を固定ねじ部材059でスピンドル035の先端面に固定している。かかる構成の加工装置により、スピンドル035を図示しない駆動モータによって回転させ、ワーク022のフランジ部022aの角部に面取り加工を行なっている。
特開平10−8993号公報 特開2006−281387号公報
特許文献2に開示された加工装置は、スピンドル035の径が大きく、ラビリンスフィン04aのような狭隘空間nに配置された短フィン4cに切削刃041aを近づけることはできない。従って、この加工装置では狭隘空間n内に配置された短フィン04cの先端部の切削加工はできない。
特許文献2の加工装置では、ワーク022のフランジ部022aの面取加工を目的としているために、スピンドル035の径を小さくすることはできない。
また、加工装置を電動モータで駆動する場合、負荷変動が生じた時これを吸収できず停止したり、あるいは負荷変動の衝撃で切削面に凹凸が入るため、面取加工は可能であるが、切削加工には不都合である。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、ラビリンスリングのフィンのように、狭隘空間に凹凸部が形成された被加工体の凹部の切削加工を可能とする切削治具を実現することを目的とする。また、切削加工中に切削治具に負荷変動が生じた場合でも、それを吸収して停止することなく、滑らかな切削面を形成可能な切削治具を実現することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の切削治具は、
狭隘な凹凸部が側面又は周面に沿って形成された被加工体に対して該凹凸部が形成された狭隘空間に切削刃を侵入させて該凹部を切削加工する切削治具において、
前記切削治具は、回転方向に対して半径方向に放射状に突出したチップ取付台を複数有するチップ取付部と、該チップ取付部を中心軸芯を中心に回転自在に支持する回転軸と、該チップ取付台に着脱可能に取り付けられた複数の切削用チップとからなり、
該チップ取付台に取り付けられた切削用チップの外周端は該回転軸外径より外側に位置し、該回転軸外径と該切削用チップの刃先までの距離が前記凹凸部の凹部と凸部間の距離より大であって、
該回転軸を介して該チップ取付部を該凹凸部が形成された狭隘空間に侵入させ該凹部を切削する位置に位置決めする移動位置決め手段を設けたものである。
かかる構成としたことにより、凹凸部が形成された狭隘空間に切削刃を侵入させて凹部を切削加工することが可能となる。しかも本発明においては、複数のチップ取付台を回転方向に対して半径方向に放射状に突出しているので、複数の切削用チップで連続的に切削加工することができる。そのため、滑らかな切削面とすることができるとともに、個々の切削用チップに付加される切削量は小さくて済む。従って、個々の切削用チップにかかる負荷は軽減されるので、個々の切削用チップの寿命を延ばすことができる。
本発明において、移動位置決め手段は、切削用チップを被加工対象である凹部の切削面に押し当てる方向にバネ力を付与するバネ力付勢手段を備え、該バネ力付勢手段を介して回転軸を支持するように構成されるとよい。かかる構成によって、切削加工中、切削用チップがバネ力によって被加工対象である凹部の切削面に常に押し当てられるので、切削加工が確実に行なわれる。また、切削加工中、負荷変動があっても、切削用チップがバネ力に抗して切削面から後退できるので、切削用チップに過剰な負荷が加わらず、切削用チップの破損等を招くことはない。
また、移動位置決め手段は、回転軸と一体的に設けられ被加工体に設けられた倣い面に接触する接触子と、該接触子を該倣い面に押し当てる方向にバネ力を付与するバネ力付勢手段とで構成してもよい。これによって、該接触子を常に倣い面に沿わせながら切削加工することができるので、狭隘空間の凹部に対しても設定された切削面を正確に形成することができる。従って、一度の切削動作で切削作業を完了することができる。
また、本発明において、回転軸はエアモータにより回転駆動されるように構成するとよい。電動モータ駆動と比べ、エアモータ駆動は負荷変動が生じてもその衝撃を空気の弾性力で吸収できるので、停止することなく、切削加工を持続できる。しかも圧力調整が容易であるので、回転軸の回転数及び回転トルクの制御が容易である。
また、圧縮空気供給源は工場等で容易に入手でき、海外でも電動モータと違って商用電源の周波数に左右されず、容易に入手可能である。
また、本発明において、切削用チップは多角形をなし、多角形の各辺が個別に切削刃を構成し、多角形の任意の辺が凹凸部に対面する切削位置に取り付け可能に構成するとよい。
これによって、多角形の一辺の切削刃が消耗したら、他の切削刃を切削位置にくるように装着し直すことにより、1個の切削用チップを長く使用することができる。また、切削用チップは汎用品として、安く市販されているので、安価で取替えが可能であり、メンテナンスコストを低減することができる。
本発明の切削治具によれば、回転方向に対して半径方向に放射状に突出したチップ取付台を複数有するチップ取付部と、該チップ取付部を中心軸芯を中心に回転自在に支持する回転軸と、該チップ取付台に着脱可能に取り付けられた複数の切削用チップとからなり、該チップ取付台に取り付けられた切削用チップの外周端は該回転軸外径より外側に位置し、該回転軸外径と該切削用チップの刃先までの距離が凹凸部の凹部と凸部間の距離より大であって、該回転軸を介して該チップ取付部を該凹凸部が形成された狭隘空間に侵入させ該凹部を切削する位置に位置決めする移動位置決め手段を設けたことにより、狭隘な凹凸部が側面又は周面に沿って形成された被加工体に対して、簡素かつ安価な構成の切削治具を用いて、該凹部を容易に切削加工でき、しかも滑らかな切削面を形成することができる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
本発明の切削治具をラビリンスシールの切削加工に適用した一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る倣い加工装置全体を示す斜視図、図2は前記加工装置に取り付けられた本実施形態の切削治具及びその周辺を示す拡大図である。
図1及び図2において、水平方向に設けられた固定盤1の一辺近傍に回転柱2が上下方向に立設されている。回転柱2は図示しない駆動手段により長手軸を中心に回転可能に構成されている。固定盤1の水平な固定面1aは、回転柱2を中心として放射状に複数条の凹溝1bが穿設されている。凹溝1bには被加工物3の両端を固定盤1上の加工位置に固定するための固定治具5aと、被加工物3を半径方向両側から挟んで固定する固定治具5bとが挿入され、その状態で固定治具5a及び5bを凹溝1bに固定することにより、被加工物3が固定盤1上に固定される。
本実施形態における被加工物3は、蒸気タービンのロータ軸の車室貫通部に装着されるラビリンスリングを6分割又は8分割したものである。ラビリンスリング3には、図示しない車室側対向面に設けた溝に嵌合されるL形嵌合部3aが外周面3bに周方向に突設され、内周側にはラビリンスシール4が形成されている。ラビリンスシール4は複数条のフィン4aが周方向に突設され、図2に示すように、丈の長い長フィン4bと丈の短い短フィン4cとが交互に配置されている。そのため、短フィン4cの周囲は長フィン4bに挟まれた狭隘空間nを形成している。
回転柱2には長手軸方向に長孔2aが穿設され、内部が中空になっている。回転柱2の内部には上下方向に図示しないネジ棒が配置されている。アーム6は回転柱2から水平方向に延設され、アーム6の一端は長孔2aから回転柱2の内部に挿入され、前記ネジ棒に螺合している。回転柱2の頂部に設けられたハンドル7の軸7aは該ネジ棒に連結され、ハンドル7を回すことによって、ネジ棒が回転し、ネジ棒に螺合したアーム6を水平方向の姿勢を保持したまま上下させることができるようになっている。また、アーム6は回転柱2が回転することによって、水平方向に回転する。
図2に示すように、アーム6の先端にはカッタ取付部6aが設けられ、カッタ取付部6aの下面には切削治具10が取り付けられているとともに、カッタ取付部6aの上面には切削治具10に圧縮空気を供給するホース8が取り付けられている。カッタ取付部6aはアーム6に対してアーム6の長手軸方向(被加工物3の径方向。矢印j方向)の位置調整が可能に取り付けられている。
切削治具10は、垂直方向に配置されたスピンドル12と、スピンドル12を回転可能に支持する軸受部11と、スピンドル12の先端に取り付けられたチップ取付部13とからなる。切削治具10には、ホース8から供給される圧縮空気で回転駆動されるエアモータ11aが内蔵され、該エアモータ11aの回転によってスピンドル12が高速回転する。
図3及び図4において、スピンドル12の下端に装着されるチップ取付部13は、4個のチップ取付台13aがチップ取付部13の回転方向hに対して半径方向に向けて四方に放射状に等角度で突設されている。そして、チップ取付部13の中心軸芯にスピンドル12が取り付けられている。また、各チップ取付台13aに切削用チップ14がボルト15によって着脱可能に固定されている。
切削用チップ14は四角形をなし、四角形のいずれの辺もチップ取付台13aの外郭よりも僅かに外側に飛び出す大きさを有するとともに、四角形のいずれの辺も切削刃14aで構成され、切削可能になっている。そのため、ひとつの切削刃14aが摩耗したら、他の切削刃14aが切削位置にくるように装着し直す。これによって、全ての切削刃14aに順々に切換えながら切削加工することができる。
また、切削用チップ14がラビリンスシール4aの短フィン4cに到達できるように、チップ取付台13aに装着された切削用チップ14の外周端とスピンドル12の外径との距離xは、長フィン4bと短フィン4cとの距離yよりも長く形成されている。
図2において、カッタ取付部6aの外側には、位置調整部材20が設けられ、位置調整部材20にはネジ孔20aが穿設され、ネジ孔20aに位置調整ネジ21が螺合している。位置調整ネジ21の取っ手21aを回すことによってカッタ取付部6aと位置調整部材20との間隔を微調整可能に構成されている。
また、位置調整部材20の下部にはマイクロメータ22が取り付けられ、目盛りの付いた回転環22aを矢印d方向に回すことにより、接触棒22bを1/100mm単位で矢印e方向に進退させるように構成されている。そして図1に示すように、カッタ取付部6aの上面には支柱23が立設され、コイルバネ24の一端がターンバックル25を介して支柱23に接続され、コイルバネ24の他端が回転柱2に接続されている。これによって、カッタ取付部6aに対してコイルバネ24のバネ力iが回転柱2の方向に付勢される。そのため、マイクロメータ22の接触棒22bの先端面がラビリンスリング3の外周面(倣い面)3bにコイルバネ24のバネ力によって常に押し当てられる。
図2に示すように、ターンバックル25と支柱23とは、ターンバックル25に設けられたネジ孔と螺合したネジ25aを介して接続されているとともに、ターンバックル25とコイルバネ24とも同様な構成でネジ25aを介して接続されている。そのため、ターンバックル25を回すことにより、ターンバックル25とネジ25aとの相対位置が変わり、これによって、マイクロメータ22の接触棒22bに付与されるコイルバネ24のバネ力を変えることができるようになっている。
かかる本実施形態において、ラビリンスリング3のラビリンスシール4の短フィン4cを切削加工する場合の作業手順を、以下主として図5及び図6に基づいて説明する。
まず、ラビリンスリング3を水平な固定盤1の固定面1aに固定治具5によって固定する。この場合、アーム6の先端に取り付けられたカッタ取付部6aの移動軌跡、即ち円弧運動をなす移動軌跡に大体合うようにラビリンスリング3を位置決めすればよく、カッタ取付部6aに装着された切削治具10の移動軌跡に精密に合わせる必要はない。
次に、図5に示すように、カッタ取付部6aはアーム6に対してアーム6の長手軸方向(被加工物3の径方向、矢印j方向)の位置調整が可能に取り付けられているので、コイルバネ24のバネ力によって、マイクロメータ22の接触棒22bの先端面をラビリンスリング3の外周面(倣い面)3bに押し当てることができる。そして、ターンバックル25を回してターンバックル25と螺合したネジ25aとの位置関係を調整することにより、接触棒22bに付与されるコイルバネ24のバネ力を調整する。次に、位置調整ネジ21を回して、切削用チップ14とラビリンスシール4の短フィン4cの先端とを接触させた状態とする図2中の切削前の基準位置aにセットする。
次に、アーム6を水平方向に回転させて(図5及び図6のf又はg方向)、切削治具10及びマイクロメータ22を一旦ラビリンスリング3の固定位置の外側に移動させる。その位置でマイクロメータ22の接触棒22bを切削量分だけ前進させる。これによって、切削用チップ14が図2中のbの位置に前進し、正確な切削量c(a−b)が設定される。なお、コイルバネ24によって接触棒22bに付与されるバネ力は図5中の矢印iの方向に作用している。
次に、ホース8から圧縮空気を供給してエアモータ11aを回転させ、チップ取付部13を矢印h方向に回転させる。そして、アーム6の先端をラビリンスリング3の周方向(f又はg方向)に回転させて、マイクロメータ22の接触棒22bを倣い面3bに当てた状態で該接触棒22bを倣い面3bに沿って滑らせるとともに、切削用チップ14で短フィン4cを切削加工する。
本実施形態によれば、まず、被加工物であるラビリンスリング3を固定盤1上に固定する場合に、正確な位置決め作業が不要となる。即ち、コイルバネ24の弾性力iがカッタ取付部6aに対して回転柱2側に作用しているので、マイクロメータ22の接触棒22bの先端面が常にラビリンスリング3の倣い面3bに押し当る状態となっている。そのため、ラビリンスリング3の固定位置を正確に位置決めしなくても正確な倣い加工が可能になる。
また、位置調整ネジ21により切削対象となるラビリンスシール4の短フィン4cの先端位置に切削治具10の切削用チップ14を合わせてそれを基準位置とし、その後、マイクロメータ22の接触棒22bを前進させて切削量c(a−b)を設定するため、1度の切削動作で所望の切削量だけ切削できる。しかも、マイクロメータ22は1/100mm単位で接触棒22bを進退できるので、正確に切削量を設定でき、そのため、精度良い切削加工を行なうことができる。
また、切削治具10は、水平方向に放射状に突出されたチップ取付台13aを有するチップ取付部13を備え、チップ取付台13aにそれぞれ切削用チップ14が装着された構造であり、かつ切削用チップ14の外周端とスピンドル12の外径との距離xは、長フィン4bと短フィン4cとの距離yよりも長く構成されているので、狭隘空間nにある短フィン4cに切削用チップ14が到達でき、短フィン4cの切削加工が可能となる。
しかも、設定した切削量cを正確に切削加工できるので、1回の切削加工で済む。従って、グラインダや砥石を用いた場合のように、隙間確認や調整作業を何回も繰り返す必要がない。
また、切削用チップ14は市販品を使用できるので、安価であり、また、四辺のうちのひとつの切削刃14aが摩耗したら、別な切削辺14aを切削位置にくるように装着し直すことで、全ての切削刃14aを使用可能である。従って、切削用チップ14の寿命を長くすることができ、メンテナンスコストを低減できる。
さらに、本実施形態では、切削治具10の駆動源として圧縮空気を用いているため、工場等で容易に使用でき、電動モータを用いる場合のように商用電源のサイクル数の違いでカッタの性能が左右されない。また、エアモータ11aを用いているので、一旦かじりが起きて負荷変動が起きても、空気の弾性力で負荷変動を吸収することができるので、停止することなく、切削動作を維持できるので、滑らかな切削面を形成することができる。
なお、本実施形態では、ラビリンスシール4の短フィン4cを切削加工する場合であるが、当然のことながら、ラビリンスシール4の長フィン4bを切削加工する場合でも、本発明の切削治具を用いることができる。
本発明の切削治具によれば、ラビリンスリングのフィンのように、狭隘空間に凹凸部が形成された被加工体の凹部の切削加工を可能とすることができる。
本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。 前記実施形態のカッタ取付部を示す正面図である。 前記実施形態のチップ取付部の平面図である。 前記実施形態のチップ取付部の正面図である。 図2中のA−A断面図である。 図2中のB−B断面図である。 従来のガスタービンのロータ軸端を示す縦断面図である。 (a)は従来のタービンロータ軸のラビリンスシール部を示す断面図であり、(b)はその拡大図である。 従来の切削治具を示す縦断立面図である。
符号の説明
1 固定盤
2 回転柱
3 ラビリンスリング(被加工体)
3a 外周面(倣い面)
4 ラビリンスシール
4a フィン(凹凸部)
6 アーム
10 切削治具
12 スピンドル(回転軸)
21 位置調整ネジ
22 マイクロメータ
22b 接触棒(接触子)
24 コイルバネ(バネ力付勢手段)
a 切削前基準位置
b 切削位置
c 切り込み量
f、g 被加工物3の周方向
i バネ力
j 被加工物3の径方向
h チップ取付部13の回転方向

Claims (5)

  1. 狭隘な凹凸部が側面又は周面に沿って形成された被加工体に対して該凹凸部が形成された狭隘空間に切削刃を侵入させて該凹部を切削加工する切削治具において、
    前記切削治具は、回転方向に対して半径方向に放射状に突出したチップ取付台を複数有するチップ取付部と、該チップ取付部を中心軸芯を中心に回転自在に支持する回転軸と、該チップ取付台に着脱可能に取り付けられた複数の切削用チップとからなり、
    該チップ取付台に取り付けられた切削用チップの外周端は該回転軸外径より外側に位置し、該回転軸外径と該切削用チップの刃先までの距離が前記凹凸部の凹部と凸部間の距離より大であって、
    該回転軸を介して該チップ取付部を該凹凸部が形成された狭隘空間に侵入させ該凹部を切削する位置に位置決めする移動位置決め手段を設けたことを特徴とする切削治具。
  2. 前記移動位置決め手段は、前記切削用チップを前記凹部の切削面に押し当てる方向にバネ力を付与するバネ力付勢手段を備え、該バネ力付勢手段を介して前記回転軸を支持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削治具。
  3. 前記移動位置決め手段は、前記回転軸と一体的に設けられ被加工体に設けられた倣い面に接触する接触子と、該接触子を該倣い面に押し当てる方向にバネ力を付与するバネ力付勢手段と、からなることを特徴とする請求項1に記載の切削治具。
  4. 前記回転軸はエアモータにより回転駆動されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削治具。
  5. 前記切削用チップは多角形をなし、多角形の各辺が個別に切削刃を構成し、多角形の任意の辺が前記凹凸部に対面する切削位置に取り付け可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の切削治具。
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