以下、本発明を具体化した第1実施形態を説明する。第1実施形態は、図1に示す様に、パチンコ機Aと、パチンコ機Aと信号線Lで接続され、信号線Lを介して入力される信号に基づいて役物比率を算出する演算装置Bとから構成された試射試験システムSである。なお、演算装置Bとしては、ノートパソコンを用いる。そして、パチンコ機Aとしては、図2に示す様な遊技盤1を備えたいわゆる普通機タイプのパチンコ機を用いる。なお、図2においては、遊技盤1における各種役物(入賞装置等)の配置関係が見易い様に、障害釘の図示を省略してある。
まず、遊技盤1の全体について説明する。遊技盤1には、誘導レール2が取り付けられ円形の遊技領域3が形成される。また、誘導レール2の外側を取り囲む様にコーナー飾り4が取り付けられている。
遊技領域3の左側領域には、左上チューリップ式入賞装置11と、その直下に位置する左中チューリップ式入賞装置12と、さらにその直下に位置する左下普通入賞装置13と、さらにその右下方に位置する左下チューリップ式入賞装置14とが設けられている。
また、遊技領域3の右側領域には、右上チューリップ式入賞装置15と、その直下に位置する右中チューリップ式入賞装置16と、さらにその直下に位置する右下普通入賞装置17と、さらにその左下方に位置する右下チューリップ式入賞装置18とが設けられている。
さらに、遊技領域3の中央部には、中央入賞装置30が取り付けられている。この中央入賞装置30の直下には、中央上チューリップ式入賞装置21と、その直下に位置する中央下チューリップ式入賞装置22とが備えられている。また、中央入賞装置30の直上に位置する天位置普通入賞装置23も備えられている。
なお、これら本実施形態の特徴的な構成意外にも、遊技領域3には、左下チューリップ式入賞装置14の上方に配置された2個の案内車24,25と、右下チューリップ式入賞装置18の上方に配置された2個の案内車26,27と、下端部に設けられたアウト口28も備わっている。また、遊技領域3の左右の端にそれぞれ設けられているのは装飾部品29a,29bである。
また、中央入賞装置30は、図2,図3に示す様に、その上端に、遊技球を侵入させると共に賞球払出のための入賞を検知する入賞装置31が備えられている。また、中央入賞装置30は、全体にだるま型の内部空間を形成する樹脂成形品の組立体として製造されている。そして、中央入賞装置30の底部前面には、左から、左側はずれ口32、左側入賞口33、中央入賞口34、右側入賞口35、及び右側はずれ口36が順に併設されている。これら左側はずれ口32、左側入賞口33、中央入賞口34、右側入賞口35、及び右側はずれ口36は、いずれも同一寸法のほぼ正方形の上面開口を有していて、左右に一列に並ぶ様に配置されている。また、上面開口の高さについては、左側はずれ口32及び右側はずれ口36が最も高い位置となり、次いで、中央入賞口34が左右のはずれ口32,36よりも若干低く設定されており、左右の入賞口33,35は、中央入賞口34よりも遊技球の直径の1/3〜1/2程度下がった位置に設定されている。
また、中央入賞装置30の内部空間をだるまに見立てたとき、だるまの頭に相当する上部空間30aと、だるまの胴体に相当する下部空間30bとに仕切る様にクルーン40が取り付けられている。このクルーン40は、図4(B)に示す様に、遊技球を滞留させる皿部41と、この皿部41の中心に立設された中心突起42と、この中心突起42を中心とし前後方向を長軸とし、左右方向短軸とするラグビーボール状の盛り上がり部43と、この盛り上がり部43の短軸の両端にそれぞれ外側からほぼ接する様な位置に形成された左側落下口44及び右側落下口45を備えたものとなっている。
ここで、中央入賞装置30の頂上の入賞装置31に入賞した遊技球は、当該入賞装置31から奧に向かって伸びる通路31aを通って中央入賞装置30の上部空間30aに侵入する。そして、通路31aの後端の右側に開口する出口から飛び出して、クルーン40の右奧に形成されているスロープ部46へとはき出され、スロープ部46を転がってクルーン40の皿部41へと侵入する様になっている。
また、中央入賞装置30の下部空間30bには、図3(B)に示す様に、前方を下に斜め約45度に傾けられた状態の傾斜盤50が、自由回転可能な様に設置されている。この傾斜盤50は、クルーン40の左右の落下口44,45のいずれから落下した遊技球も必ず当接する様に十分に大きな直径を有し、その上面に、遊技球が通過可能な間隔で立設された多数のピン51,52,52,…を備えた剣山状の円板53によって構成されている。
なお、中央入賞装置30の上部空間30aの背面には垂直壁30cが取り付けられており、上部空間30aに侵入した遊技球は、必ず、クルーン40の左右いずれかの落下口44,45から下部空間30bへと落下する様に構成されている。
同じく、中央入賞装置30の下部空間30bにおいては、図3(A)に示す様に、傾斜盤50の円板上面とほぼ面一となる傾斜壁30dが背面側を塞いでいる。これにより、クルーン40から落下してきた遊技球は、必ず、下部空間30bの底部前面側に転がる様になっている。なお、この傾斜壁30dは、傾斜盤50の回転を妨げない様に、傾斜盤50の周縁との間に0.5mm〜1mm程度の隙間が開く様に設定された円形穴を備えている。傾斜盤50の本体は、この円形穴に挿入された状態で斜めに軸支されているのである。
次に、剣山状の円板53について詳しく説明する。図5(A)に示す様に、この円板53に立設されているピン51,52,52,…は、いずれも円板53に対して垂直に一体成形された同一長さの丸棒によって構成されている。また、円板53の背面には、図5(C)に点線で示す様に、補強用として格子状に配置されたリブ55が一体成形されている。そして、中心にある一本のピン51の背面には、回転軸嵌合用のブッシュ54が形成されており、このブッシュ54に、金属製の回転軸(図示略)が嵌合される様になっている。そして、この金属製の回転軸が、摺動性の良いスリーブ(図示略)に挿入されて、剣山状の円板53を斜め約45度の傾きで自由回転可能な状態に軸支する構造となっている。自由回転可能な軸支を採用したことにより、剣山状の円板53は、時計回りにも反時計回りにも自由回転することができる。
この剣山状の円板53の上面には、さらに、4個の羽根車81,81,…が回転可能に取り付けられている。これら4個の羽根車81,81,…の支柱及びピン51,52,52,…は、それぞれの間を遊技球が通過することができる様に、遊技球の直径よりも若干広い間隔に立設されている。
次に、本実施形態のパチンコ機の障害釘の配置について、図6で説明する。図示の様に、各チューリップ式入賞装置11,12,14〜16,18,21,22は、羽根を閉じた状態にあっても入賞が可能な釘配置となっている。
次に、この入賞口33,34,35への入賞によるチューリップ開放条件について説明する。
(1)中央入賞装置30の左側入賞口33に遊技球が入賞した場合
左上チューリップ式入賞装置11が開放する。この左上チューリップ式入賞装置11に遊技球が入賞すると、当該左上チューリップ式入賞装置11は閉鎖する。この左上チューリップ式入賞装置11の閉鎖に連動して、左中チューリップ式入賞装置12が開放する。この左中チューリップ式入賞装置12に遊技球が入賞すると、当該左中チューリップ式入賞装置12が閉鎖する。これにより、左側入賞口33に遊技球が入賞した場合に付与される遊技価値が終了する。
(2)中央入賞装置30の右側入賞口35に遊技球が入賞した場合
右上チューリップ式入賞装置15が開放する。この右上チューリップ式入賞装置15に遊技球が入賞すると、当該右上チューリップ式入賞装置15は閉鎖する。この右上チューリップ式入賞装置15の閉鎖に連動して、右中チューリップ式入賞装置16が開放する。この右中チューリップ式入賞装置16に遊技球が入賞すると、当該右中チューリップ式入賞装置16が閉鎖する。これにより、右側入賞口35に遊技球が入賞した場合に付与される遊技価値が終了する。
(3)中央入賞装置30の中央入賞口34に遊技球が入賞した場合
左上チューリップ式入賞装置11、右上チューリップ式入賞装置15及び中央上チューリップ式入賞装置21がそれぞれ開放する。左上チューリップ式入賞装置11に遊技球が入賞すると、当該左上チューリップ式入賞装置11は閉鎖し、左中チューリップ式入賞装置12が開放する。右上チューリップ式入賞装置15に遊技球が入賞すると、当該右上チューリップ式入賞装置15は閉鎖し、右中チューリップ式入賞装置16が開放する。中央上チューリップ式入賞装置21に遊技球が入賞すると、当該中央上チューリップ式入賞装置21は閉鎖し、中央下チューリップ式入賞装置22が開放する。こうして開放された左中チューリップ式入賞装置12、右中チューリップ式入賞装置16及び中央下チューリップ式入賞装置22は、それぞれ遊技球の入賞により閉鎖する。これにより、中央入賞口34に遊技球が入賞した場合に付与される遊技価値が終了する。
なお、本実施形態では、各入賞装置11等に遊技球が1個入賞した場合の賞球払出数は、全て8個に設定してある。従って、遊技球がいずれかの入賞装置11等に1個入賞する毎に、賞球払出装置に対して払出信号が出力されて、8個の賞球が払い出される様になっている。
本実施形態のチューリップ式入賞装置11,12,14,15,16,18,21,22は、図7に示す様に、ソレノイドSOLを用いたリンク機構LINKにより、羽根開閉を実行する様に構成されている。また、このソレノイドSOLは、図示(B)の第1位置へ変位することで羽根を閉じ、図示(D)の第2位置へと変位することで羽根を開く。さらに、各ソレノイドSOLは、この羽根開閉動作のための変位は、ソレノイドSOLに対して、第1位置変位信号又は第2位置変位信号が入力されることによって実行され、当該変位し終えた状態を内蔵されている永久磁石の作用によって維持し続けるものとなっている。即ち、本実施形態では、チューリップ開閉用のソレノイドとして、いわゆるラッチ式ソレノイドを採用している。
次に、本実施形態のパチンコ機の制御系統について説明する。制御系統は、図8に示す様に、CPU,ROM,RAM等を備えた主制御基板60に対して、左上チューリップ式入賞装置11の入賞検知センサSE11、左中チューリップ式入賞装置12の入賞検知センサSE12、左下普通入賞装置13の入賞検知センサSE13、左下チューリップ式入賞装置14の入賞検知センサSE14、右上チューリップ式入賞装置15の入賞検知センサSE15、右中チューリップ式入賞装置16の入賞検知センサSE16、右下普通入賞装置17の入賞検知センサSE17、右下チューリップ式入賞装置18の入賞検知センサSE18、中央上チューリップ式入賞装置21の入賞検知センサSE21、中央下チューリップ式入賞装置22の入賞検知センサSE22、天位置普通入賞装置23の入賞検知センサSE23、入賞装置31の入賞検知センサSE31、左側はずれ口32のはずれ検知センサSE32、左側入賞口33の左側入賞検知センサSE33、中央入賞口34の中央入賞検知センサSE34、右側入賞口35の右側入賞検知センサSE35及び右側はずれ口36のはずれセンサSE36のそれぞれのセンサから検知信号が入力される様になっている。
また、主制御基板60からは、賞球払出装置70、左上チューリップ式入賞装置11の開閉装置SOL11、左中チューリップ式入賞装置12の開閉装置SOL12、左下チューリップ式入賞装置14の開閉装置SOL14、右上チューリップ式入賞装置15の開閉装置SOL15、右中チューリップ式入賞装置16の開閉装置SOL16、右下チューリップ式入賞装置18の開閉装置SOL18、中央上チューリップ式入賞装置21の開閉装置SOL21、中央下チューリップ式入賞装置22の開閉装置SOL22に対して制御信号を出力する構成となっている。
さらに、主制御基板60は、チューリップ式入賞装置11等のそれぞれについて、入賞装置毎に、ラッチソレノイドSOL11等に対して出力した最新の開放信号/閉鎖信号の別を記憶しておくソレノイド制御信号メモリ61としての領域がRAM内に確保される様に構成されている。このソレノイド制御信号メモリ61は、初期状態においては、図9(B)に示す様に、全て閉鎖信号出力後の状態が書かれている。
加えて、主制御基板60には、入賞信号を外部へ出力するための入賞信号出力端子62が設けられている。そして、演算装置Bは、この入賞信号出力端子62から出力される入賞信号に基づいて役物比率を算出する。
なお、主制御基板60には、さらに、サブ制御基板65が接続されており、遊技盤1に備えられている各種ランプの点滅や、音声による演出なども実行できる様に構成されている。
次に、本実施形態の遊技機における賞球払出制御ルーチンについて説明する。
主制御基板60は、図10に示す様に、入賞検知センサSE11,SE12,SE13,SE14,SE15,SE16,SE17,SE18,SE21,SE22,SE23,SE31の内のいずれかから、入賞検知信号が入力されると(S11:YES)、賞球払出装置70に対して、賞球払出信号を出力する(S12)。本実施形態では、全ての入賞装置11等の賞球数を8個としているので、賞球払出信号は基本的には同一内容コマンドである。
次に、本実施形態の遊技機におけるチューリップ開閉動作の制御のためのメインルーチンについて図11を参照しながら説明する。本ルーチンは、入賞検知センサSE11,SE12,SE14,SE15,SE16,SE18,SE21,SE22,SE32,SE33,SE34の内のいずれかから、入賞検知信号が入力されると実行される。
まず、図11に示す様に、今回入力された入賞検知信号は左下チューリップ式入賞装置14の入賞検知センサSE14からのものか否かを判定し(S21)、「YES」ならば、ソレノイド制御信号メモリ61のラッチソレノイドSOL14の記憶内容を参照し(S22)、開放/閉鎖の別を判定する(S23)。
記憶内容が閉鎖であるときは(S23/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S24)。そして、SOL14に対する制御信号として開放信号を出力すると共に(S25)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL14についての記憶内容を開放に書き換える(S26)。これにより、左下チューリップ式入賞装置14のSOL14が後端移動状態へとストローク運動を行い、リンクLINKを介して、チューリップ羽根が開放状態に変化させられる(図7(C),(D)参照)。また、演算装置Bに対して閉鎖中入賞信号が入力される。
一方、記憶内容が開放であるときは(S23/開放)、入賞信号出力端子62から開放中入賞信号を出力する(S27)。そして、SOL14に対する制御信号として閉鎖信号を出力すると共に(S28)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL14についての記憶内容を閉鎖に書き換える(S29)。これにより、左下チューリップ式入賞装置14のSOL14が前端移動状態へとストローク運動を行い、リンクLINKを介して、チューリップ羽根が閉鎖状態に変化させられる(図7(A),(B)参照)。また、演算装置Bに対して開放中入賞信号が入力される。
S21が「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は右下チューリップ式入賞装置18の入賞検知センサSE18からのものか否かを判定し(S31)、「YES」ならば、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL18の記憶内容を参照し(S32)、開放/閉鎖の別を判定する(S33)。記憶内容が閉鎖であるときは(S33/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S34)。そして、SOL18に対する制御信号として開放信号を出力すると共に(S35)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL18の記憶内容を開放に書き換える(S36)。これにより、右下チューリップ式入賞装置18が開放され、閉鎖中入賞信号が演算装置Bに対して入力される。
一方、記憶内容が開放であるときは(S33/開放)、入賞信号出力端子62を介して、演算装置Bに対して開放中入賞信号を出力する(S37)。そして、SOL18に対する制御信号として閉鎖信号を出力すると共に(S38)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL18の記憶内容を閉鎖に書き換える(S39)。これにより、右下チューリップ式入賞装置18が閉鎖され、開放中入賞信号が演算装置Bに対して入力される。
S21,S31が共に「NO」ならば、図12に示す様に、今回入力された入賞検知信号は左上チューリップ式入賞装置11の入賞検知センサSE11からのものか否かを判定し(S41)、「YES」ならば、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL11の記憶内容を参照し(S42)、開放/閉鎖の別を判定する(S43)。記憶内容が閉鎖であるときは(S43/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S44)。そして、SOL11に対する制御信号として開放信号を出力すると共に(S44)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL11についての記憶内容を開放に書き換える(S46)。これにより、左上チューリップ式入賞装置11が開放され、閉鎖中入賞信号が演算装置Bに対して入力される。
一方、記憶内容が開放であるときは(S43/開放)、入賞信号出力端子62から開放中入賞信号を出力する(S47)。そして、SOL11に対して閉鎖信号を出力すると共に、SOL12に対して開放信号を出力する(S48)。さらに、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL11の記憶内容を閉鎖に、SOL12の記憶内容を開放に書き換える(S49)。これにより、左上チューリップ式入賞装置11が閉鎖されると共に左中チューリップ式入賞装置12が開放され、さらに、演算装置Bには開放中入賞信号が出力される。即ち、本実施形態では、左中チューリップ式入賞装置12は、左上チューリップ式入賞装置11に対して開放中入賞があったときにその閉鎖に連動して開放される構成となっている。
S31〜S41が共に「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は左中チューリップ式入賞装置12の入賞検知センサSE12からのものか否かを判定し(S51)、「YES」ならば、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL12の記憶内容を参照し(S52)、開放/閉鎖の別を判定する(S53)。記憶内容が閉鎖であるときは(S53/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S54)。そして、SOL12に対して開放信号を出力すると共に(S55)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL12についての記憶内容を開放に書き換える(S56)。一方、記憶内容が開放であるときは(S53/開放)、入賞信号出力端子62から開放中入賞信号を出力する(S57)。そして、SOL12に対して閉鎖信号を出力すると共に(S58)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL12についての記憶内容を閉鎖に書き換える(S59)。この様に、左中チューリップ式入賞装置12は、上述の様な左上チューリップ式入賞装置11への開放中入賞に連動した開放動作以外に、それ自身への入賞を契機とした開閉動作も実行されているのである。
S31〜S51が共に「NO」ならば、図13に示す様に、今回入力された入賞検知信号は右上チューリップ式入賞装置15の入賞検知センサSE15からのものか否かを判定し(S61)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL15の記憶内容を参照し(S62)、開放/閉鎖の別を判定する(S63)。記憶内容が閉鎖であるときは(S63/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S64)。そして、SOL15に対する制御信号として開放信号を出力すると共に(S65)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL15についての記憶内容を開放に書き換える(S66)。これにより、右上チューリップ式入賞装置15が開放され、閉鎖中入賞信号が演算装置Bに対して入力される。
一方、記憶内容が開放であるときは(S63/開放)、入賞信号出力端子62から開放中入賞信号を出力する(S67)。そして、SOL15に対して閉鎖信号を出力すると共に、SOL16に対して開放信号を出力する(S68)。さらに、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL15の記憶内容を閉鎖に、SOL16の記憶内容を開放に書き換えるる(S69)。これにより、右上チューリップ式入賞装置15が閉鎖されると共に右中チューリップ式入賞装置16が開放され、さらに、演算装置Bには開放中入賞信号が出力される。即ち、本実施形態では、右中チューリップ式入賞装置16は、右上チューリップ式入賞装置15に対して開放中入賞があったときにその閉鎖に連動して開放される構成となっている。
S31〜S61が共に「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は右中チューリップ式入賞装置16の入賞検知センサSE16からのものか否かを判定し(S71)、「YES」ならば、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL16の記憶内容を参照し(S72)、開放/閉鎖の別を判定する(S73)。記憶内容が閉鎖であるときは(S73/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S74)。そして、SOL16に対して開放信号を出力すると共に(S75)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL16についての記憶内容を開放に書き換える(S76)。一方、記憶内容が開放であるときは(S73/開放)、入賞信号出力端子62から開放中入賞信号を出力する(S77)。そして、SOL16に対して閉鎖信号を出力すると共に(S78)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL16についての記憶内容を閉鎖に書き換える(S79)。この様に、右中チューリップ式入賞装置16は、上述の様な右上チューリップ式入賞装置15への開放中入賞に連動した開放動作以外に、それ自身への入賞を契機とした開閉動作も実行されているのである。
S31〜S71が共に「NO」ならば、図14に示す様に、今回入力された入賞検知信号は中央上チューリップ式入賞装置21の入賞検知センサSE21からのものか否かを判定し(S81)、「YES」ならば、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL21の記憶内容を参照し(S82)、開放/閉鎖の別を判定する(S83)。記憶内容が閉鎖であるときは(S83/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S84)。そして、SOL21に対して開放信号を出力すると共に(S85)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL21についての記憶内容を開放に書き換える(S86)。
一方、記憶内容が開放であるときは(S83/開放)、入賞信号出力端子62から開放中入賞信号を出力する(S87)。そして、SOL21に対して閉鎖信号を出力すると共に、SOL22に対して開放信号を出力する(S88)。さらに、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL21の記憶内容を閉鎖に、SOL22の記憶内容を開放に書き換える(S89)。これにより、中央上チューリップ式入賞装置21が閉鎖されると共に中央下チューリップ式入賞装置22が開放され、さらに、演算装置Bには開放中入賞信号が出力される。即ち、本実施形態では、中央下チューリップ式入賞装置22は、中央上チューリップ式入賞装置21に対して開放中入賞があったときにその閉鎖に連動して開放される構成となっている。
S31〜S81が共に「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は中央下チューリップ式入賞装置22の入賞検知センサSE22からのものか否かを判定し(S91)、「YES」ならば、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL22の記憶内容を参照し(S92)、開放/閉鎖の別を判定する(S93)。記憶内容が閉鎖であるときは(S93/閉鎖)、入賞信号出力端子62から閉鎖中入賞信号を出力する(S94)。そして、SOL22に対して開放信号を出力すると共に(S95)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL22についての記憶内容を開放に書き換える(S96)。一方、記憶内容が開放であるときは(S93/開放)、入賞信号出力端子62から開放中入賞信号を出力する(S97)。そして、SOL22に対して閉鎖信号を出力すると共に(S98)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL22についての記憶内容を閉鎖に書き換える(S99)。この様に、中央中チューリップ式入賞装置22は、中央上チューリップ式入賞装置21への開放中入賞に連動した開放動作以外に、それ自身への入賞を契機とした開閉動作も実行されているのである。
S31〜S91が共に「NO」ならば、図15に示す様に、今回入力された入賞検知信号は中央入賞装置30の入賞装置31の入賞検知センサSE31からのものか否かを判定し(S101)、「YES」ならば、中央入賞処理ルーチン(S200)に移行する。
一方、S31〜S101が共に「NO」ならば、本ルーチンを一旦終了する。
次に、中央入賞処理ルーチンについて説明する。この処理ルーチンは、中央入賞装置30の入賞装置31への入賞が検知されたときに起動される。
本ルーチンでは、図16に示す様に、左側入賞口33の左側入賞検知センサSE33から検知信号が入力されたか否かを判定する(S210)。「NO」と判定された場合は、中央入賞口34の中央入賞検知センサSE34から検知信号が入力されたか否かを判定する(S220)。これも「NO」と判定された場合は、右側入賞口35の右側入賞検知センサSE35から検知信号が入力されたか否かを判定する(S230)。これもまた「NO」と判定された場合は、左側はずれ口32のはずれ検知センサSE32から検知信号が入力されたか否かを判定する(S240)。これも「NO」と判定された場合は、右側はずれ口36のはずれセンサSE36から検知信号が入力されたか否かを判定する(S250)。これもまた「NO」と判定された場合は、S210へ戻る。なお、S210へ戻る場合があるのは、本実施形態では、中央入賞装置31内にクルーン40、傾斜盤50等が備えられ、入賞口33〜35、はずれ口32,36に入賞するまでに時間がかかるからである。
一方、S210で「YES」と判定された場合は、左上チューリップ式入賞装置11のSOL11に対して開放信号を出力すると共に(S211)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL11の記憶内容を開放に書き換えてから(S212)、本ルーチンを終了する。また、S220で「YES」と判定された場合は、左上チューリップ式入賞装置11のSOL11、右上チューリップ式入賞装置15のSOL15及び中央上チューリップ式入賞装置21のSOL21のそれぞれに対して開放信号を出力すると共に(S221)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL11、SOL15及びSOL21のそれぞれに対する記憶内容を開放に書き換えてから(S222)、本ルーチンを終了する。また、S230で「YES」と判定された場合は、右上チューリップ式入賞装置15のSOL15に対して開放信号を出力すると共に(S231)、ソレノイド制御信号メモリ61のSOL15の記憶内容を開放に書き換えてから(S212)、本ルーチンを終了する。なお、S240またはS250で「YES」と判定された場合(はずれ口入賞の場合)は、直ちに本ルーチンを終了する。なお、本実施形態では、左はずれ口32及び右はずれ口36にも検知センサSE32,SE36を備える構成を採用したが、これらはチューリップ開閉制御には実質的には使用するものではないから、なくてもよい。これらは、例えば、はずれを検知したときの音声演出などを採用する場合には、有効に活用することができる。ちなみに、本実施形態においては、「中央入賞処理ルーチンを確実に抜け出す」という点で役立っている。
ここで、メモリ61の記憶内容による主制御基板60の入賞状況出力のための判定条件は、以下の通りである。
従って、主制御基板60によるメモリ書換、ソレノイド制御指令出力、入賞状況出力について、左上チューリップ式入賞装置11及び左中チューリップ式入賞装置12に関して例を示すと、時間経過と共に、図17の様な判定がなされることになる。図示の通り、主制御基板60は、入賞が検知されたチューリップ式入賞装置11,12の直近のメモリ記憶内容に従って、開閉制御指令の決定並びに入賞状況の判定を行っている。
こうして主制御基板60の入賞信号出力端子62から出力された開放中入賞信号及び閉鎖中入賞信号は、演算装置Bにおいては、図18に示す様に、入力信号の種類を判定し(S301)、判定結果に基づいて開放中入賞信号カウンタC1又は閉鎖中入賞信号カウンタC2をインクリメントする処理を試射試験が終了するまで繰り返し実行する(S302,S303)。そして、試射試験が終了した旨の指令が入力されると(S304:YES)、両カウンタC1,C2の計数値を読み出し(S305)、所定の算式に従って役物比率を算出する(S306)。
ここで、役物比率の算出式としては、本実施形態では、各チューリップ式入賞装置11,12,14〜16,18,21,22の賞球払出数を同一としているので、賞球数の比で算出する必要がある場合も、下記の(1)式を用いることができる。従って、チューリップ式入賞装置への入賞状況が開放中であったか閉鎖中であったかの情報のみから算出可能である。
なお、中央入賞装置30、いわゆるポケットタイプの入賞装置13,17,23への入賞による賞球払出数をも足したものを分母にする必要があるのであれば、チューリップ入賞時の払出個数が8個であるから、賞球払出総数を分母にして、下記(2)式を用いて算出してもよい。
分母の賞球払出総数は、賞球払出装置70に対して出力された指令から正確な数値を得ることができる。従って、本実施形態によれば、ラッチ式ソレノイドをチューリップ開閉手段として採用した普通機タイプのパチンコ機における役物比率を正しく算出することが可能になっているのである。
次に、本実施形態において中央入賞装置30に進入した遊技球の動きについて説明する。図19に示す様に、中央入賞装置30の頂上の入賞装置31に入賞した遊技球Pは、当該入賞装置31から奧に向かって伸びる通路31aを通って中央入賞装置30の上部空間30aに進入する。そして、通路31aの後端の右側に開口する出口から飛び出して、クルーン40の右奧に形成されているスロープ部46へとはき出され、スロープ部46を転がってクルーン40の皿部41へと進入する。そして、クルーン40の皿部41の上を旋回半径を徐々に小さくしながら旋回する。そして、最終的には、盛り上がり部43によって左右のどちらかに振り分けられ、左右の落下口44,45のいずれかから中央入賞装置30の下部空間30bに落下する。
こうして下部空間30bに落下した遊技球Pは、図20に示す様に、自由回転可能な傾斜盤50の上面に落下する。このとき、傾斜盤50の上面に立設されている多数の突起51,52及び羽根車81のいずれに衝突するかによって、傾斜盤50の回転方向、回転速度、及び遊技球の落下経路が変化する。また、ピン同士の間隔は遊技球Pを通過させ得る間隔なので、遊技球Pは円板53の板面に衝突する場合もある。この結果、クルーン40において左右に振り分けられてどの落下口44,45から落下したかによって直ちに最終的な入賞口は定まらない。これは、傾斜盤50は自由回転するので、初期位置は一定でなく、かつ、衝突によって発生する動きも一定ではなく、遊技球Pもはね跳ばされる場合もあれば、ピン52に絡みながらピン52の間を通過しながら落下する場合もある。さらに、羽根車81に絡むことで、この羽根車81の自由回転による経路変更も発生する。従って、傾斜盤50に衝突した後の遊技球Pの動きには意外性が与えられる。
以上の様に構成した結果、本実施形態によれば、中央入賞装置30に進入した遊技球Pは、上部のクルーン40によって旋回運動を誘起されてクルーン40上にある程度の時間滞留する。従って、遊技者の興趣は、このクルーン40での滞留状態の間維持され続ける。また、クルーンで左右いずれかに振り分けられて落下する際に、遊技球Pは、傾斜盤50の作用により、ピン52に衝突して跳ねる場合もあれば、ピン52に絡まって傾斜盤50を自由回転させながらピン52の間を不規則に経路を変えながら落下したり、さらには羽根車81に誘導される場合もある。このため、クルーンにおいて振り分けられた後も、どの落下口から落下したかによって直ちに最終的な入賞口が定まることがないため、さらなる興趣の持続性が与えられる。また、傾斜盤50と絡んだ後の経路には意外性がある。この結果、本実施形態によれば、クルーン40及び自由回転する傾斜盤50による2段階の振り分けに加えて、最終結果が出るまでの意外性が加わって、さらなる興趣の向上が可能となる。
また、本実施形態は、チューリップ式入賞装置11等を中心とするいわゆる普通機タイプのパチンコ機であるが、中央入賞装置30内の入賞口33,34,35のいずれに入賞するかで開放されるチューリップ式入賞装置の位置と個数とが異なっている。従って、中央入賞装置30に進入した遊技球Pの動きは、遊技者にとっては、その後の獲得賞球数への影響を期待させ、あるいは不安にし、興趣の高まりを感じさせる。特に、本実施形態では、クルーン40の左右方向の中心と、傾斜盤50の左右方向の中心とを一致させてあるので、左側落下口44から落下した遊技球Pは、傾斜盤50を反時計回りに回転させ易く、右側落下口45から落下した遊技球Pは、傾斜盤50を時計回りに回転させ易い傾向にある。従って、最も多くの賞球獲得が期待できる中央入賞口34への入賞に対する期待感を高め、遊技者の興趣の昂揚を図ることができる。そして、傾斜盤50も羽根車81も自由回転することから、結果には意外性が大きく、遊技の単調さをなくしている。この結果、チューリップ式入賞装置を中心とした普通機タイプのパチンコ機における遊技の単調さをなくし、射倖性を高めなくても、遊技者にとって十分に楽しめる遊技機とすることができる。
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態のパチンコ機は第1実施形態とほぼ同様であるが、以下の点について異なっている。それは、中央入賞装置30の入賞口33〜35への入賞に連動して開放されるチューリップ式入賞装置11,12,15,16,21,22に関して、賞球数を以下の様に設定した点である。
具体的には、左上及び左中のチューリップ式入賞装置11,12については賞球数を8個(賞球数設定=小プラス)、右上及び右中のチューリップ式入賞装置15,16については賞球数を15個(賞球数設定=大プラス)、中央上及び中央下のチューリップ式入賞装置21,22については賞球数を10個(賞球数設定=中プラス)に設定することとした。なお、これら意外の入賞装置13,14,17,18,23,31については、いずれも賞球数を5個(賞球数設定=通常)に設定してある。
この結果、賞球払出制御ルーチンでは、図21に示す様に、今回入力された入賞検知信号は左下普通入賞装置13の入賞検知センサSE13からのものか否かを判定し(S331)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は左下チューリップ式入賞装置14の入賞検知センサSE14からのものか否かを判定し(S332)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は右下普通入賞装置17の入賞検知センサSE17からのものか否かを判定し(S333)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は右下チューリップ式入賞装置18の入賞検知センサSE18からのものか否かを判定し(S334)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は天位置普通入賞装置23の入賞検知センサSE23からのものか否かを判定し(S335)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は中央入賞装置30の頂上にある入賞装置31の入賞検知センサSE31からのものか否かを判定する(S336)。このS331〜S336の判定において、いずれかが「YES」となった場合は、賞球数5個のコマンドを選択し(S337)、賞球払出装置70へと出力する(S400)。
また、S331〜S336の判定がいずれも「NO」となった場合は、今回入力された入賞検知信号は左上チューリップ式入賞装置11の入賞検知センサSE11からのものか否かを判定し(S341)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は左中チューリップ式入賞装置12の入賞検知センサSE12からのものか否かを判定する(S342)。このS341,S342の判定において、いずれかが「YES」となった場合は、賞球数8個のコマンドを選択し(S343)、賞球払出装置70へと出力する(S400)。
また、S331〜S336,S341,S342の判定がいずれも「NO」となった場合は、今回入力された入賞検知信号は右上チューリップ式入賞装置15の入賞検知センサSE15からのものか否かを判定し(S351)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は右中チューリップ式入賞装置16の入賞検知センサSE16からのものか否かを判定する(S352)。このS351,S352の判定において、いずれかが「YES」となった場合は、賞球数15個のコマンドを選択し(S353)、賞球払出装置70へと出力する(S400)。
また、S331〜S336,S341,S342,S351,S352の判定がいずれも「NO」となった場合は、今回入力された入賞検知信号は中央上チューリップ式入賞装置21の入賞検知センサSE21からのものか否かを判定し(S361)、「NO」ならば、今回入力された入賞検知信号は中央下チューリップ式入賞装置22の入賞検知センサSE22からのものか否かを判定する(S362)。このS361,S362の判定において、いずれかが「YES」となった場合は、賞球数10個のコマンドを選択し(S363)、賞球払出装置70へと出力する(S400)。
なお、本ルーチンは、入賞が検知されたときに起動される。従って、必ず、賞球数8個、5個、15個、10個のいずれかのコマンドが選択され、選択したコマンドを賞球払出装置70へ出力して処理を終了する。
以上の払出制御が、チューリップ開閉制御と共に実施される結果、中央入賞装置30において左側入賞口33に入賞した場合に期待される賞球数は16個(8×2)、中央入賞口34に入賞した場合に期待される賞球数は66個(8×2+10×2+15×2)、右側入賞口35に入賞した場合に期待される賞球数は30個(15×2)と、大きく差が付けられることになる。
これは、本実施形態でも、クルーン40は左右に振り分ける構造であることから、中央入賞口34は基本的には最も入賞し難いことになるのを考慮し、それにも拘わらず入賞した場合には、より多くの賞球獲得を可能にしたのである。
また、右側入賞口35に入賞した場合を左側入賞口33に入賞した場合よりも多くの賞球獲得が可能に設定したのは、次の理由による。即ち、パチンコ機においては、遊技球は、左側上部の案内レール上端から旋回しながら遊技領域に打ち出されるため、意図的に右打ちをしない場合には、概ね左側領域に遊技球が集まり易いという特徴があるからである。つまり、この特徴から、左側のチューリップ式入賞装置11,12には遊技球を入れ易く、アウト球は少なくて済むが左側のチューリップ式入賞装置11,12に入賞したときの獲得賞球数は少なく、逆に、右側のチューリップ式入賞装置15,16には遊技球を入れ難いためアウト球の数が増加するものの右側のチューリップ式入賞装置15,16に入賞したときの獲得賞球数が多いことから、最終的な影響の平均化が図れるのである。
これによって、クルーン40と傾斜盤50とによる2段階振り分けによる興趣の持続性向上と、意外性による興趣自体の向上を図ることに加えて、賞球獲得可能性については、中央入賞という最も困難な状況を乗り越えたときは、単に開放されるチューリップの数によるだけでなく、賞球設定数の相違によってもより大きな賞球獲得が可能となり、一方、中央入賞意外の場合における賞球獲得可能性を平均化することで、さらなる興趣の向上と、興趣の持続により、飽きの来ないパチンコ機を実現することができる。
本実施形態では、この様に、賞球払出個数を異ならせたので、入賞信号出力端子62からの出力信号には、開放中入賞と閉鎖中入賞の別に加えて賞球の払出数をも情報として付加した信号を用いる。上述の通り、左上及び左中のチューリップ式入賞装置11,12については賞球数を8個、右上及び右中のチューリップ式入賞装置15,16については賞球数を15個、中央上及び中央下のチューリップ式入賞装置21,22については賞球数を10個に設定したことから、4ビット信号を用いて、そのうちの1ビットで「開放中入賞信号」か「閉鎖中入賞信号」かの別を示し、残りの3ビットのいずれをオンとするかで、賞球払出数が「8」、「10」、「15」のいずれであるかを、開放中入賞と閉鎖中入賞の別に加えて示す様にしている。従って、演算装置B側では、開放中入賞と閉鎖中入賞の別を判定して計数する際に、8個払出信号であるときは+8、10個払出信号であるときは+10、15個払出信号であるときは+15をカウントアップ条件として第1実施形態同様の計数を行えば、チューリップ開放中の入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。そして、閉鎖中の入賞に対しても同じく正確な賞球払出個数を計測することができるから、役物比率を正しく算出することができる。
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態のパチンコ機も第1実施形態とほぼ同様であるが、以下の点について異なっている。それは、中央入賞装置30の入賞口33〜35への入賞に連動して開放されるチューリップ式入賞装置11,12,15,16,21,22に関して、賞球数を以下の様に設定した点である。
具体的には、左上及び左中のチューリップ式入賞装置11,12については賞球数を15個(賞球数設定=大プラス)、右上及び右中のチューリップ式入賞装置15,16については賞球数を8個(賞球数設定=小プラス)、中央上及び中央下のチューリップ式入賞装置21,22については賞球数を10個(賞球数設定=中プラス)に設定することとした。なお、これら意外の入賞装置13,14,17,18,23,31については、いずれも賞球数を5個(賞球数設定=通常)に設定してある。
この結果、賞球払出制御ルーチンでは、図22に示す様に、入賞検知信号が、左下普通入賞装置13の入賞検知センサSE13、左下チューリップ式入賞装置14の入賞検知センサSE14、右下普通入賞装置17の入賞検知センサSE17、右下チューリップ式入賞装置18の入賞検知センサSE18、天位置普通入賞装置23の入賞検知センサSE23、中央入賞装置30の頂上にある入賞装置31の入賞検知センサSE31のいずれかからのものであるときは(S431〜S436のいずれかが「YES」)、賞球数5個のコマンドを選択し(S437)、賞球払出装置70へと出力する(S500)。
また、S431〜S436の判定がいずれも「NO」で、左上チューリップ式入賞装置11の入賞検知センサSE11、左中チューリップ式入賞装置12の入賞検知センサSE12のいずれかからのものである場合は(S441又はS442がYES)、賞球数15個のコマンドを選択し(S443)、賞球払出装置70へと出力する(S500)。
また、S431〜S436,S441,S442の判定がいずれも「NO」で、右上チューリップ式入賞装置15の入賞検知センサSE15、右中チューリップ式入賞装置16の入賞検知センサSE16のいずれかからのものである場合は(S451又はS452がYES)、賞球数8個のコマンドを選択し(S453)、賞球払出装置70へと出力する(S500)。
また、S431〜S436,S441,S442,S451,S452の判定がいずれも「NO」で、中央上チューリップ式入賞装置21の入賞検知センサSE21、中央下チューリップ式入賞装置22の入賞検知センサSE22のいずれかからのものである場合は(S461又はS462がYES)、賞球数10個のコマンドを選択し(S463)、賞球払出装置70へと出力する(S500)。
本ルーチンは、入賞が検知されたときに起動され、必ず、賞球数8個、15個、5個、10個のいずれかのコマンドが選択され、選択したコマンドを賞球払出装置70へ出力して処理を終了する。
以上の払出制御が、チューリップ開閉制御と共に実施される結果、中央入賞装置30において左側入賞口33に入賞した場合に期待される賞球数は30個(15×2)、中央入賞口34に入賞した場合に期待される賞球数は66個(15×2+10×2+8×2)、右側入賞口35に入賞した場合に期待される賞球数は16個(8×2)と、大きく差が付けられることになる。
この様に、第2施形態とは逆の傾向に賞球数を設定したのは、中央入賞装置30のどの入賞口33〜35に入賞したかによる賞球獲得可能性における有利・不利を拡大することで、有利な方の入賞口に入賞したときの興趣の増大を図るためである。これにより、遊技者は、中央入賞装置30に遊技球が侵入する毎に、スリル感を味わうことができ、やはり、ある意味において、飽きの来ないパチンコ機となる。
本実施形態では、この左上及び左中のチューリップ式入賞装置11,12について15個、右上及び右中のチューリップ式入賞装置15,16について8個、中央上及び中央下のチューリップ式入賞装置21,22について10個に設定した賞球払出数を、第2実施形態と同様に、4ット信号を用いて、そのうちの1ビットで「開放中入賞信号」か「閉鎖中入賞信号」かの別を示し、残りの3ビットのいずれをオンとするかで、賞球払出数が「15」、「10」、「8」のいずれであるかを、開放中入賞と閉鎖中入賞の別に加えて示す。従って、演算装置B側では、第2実施形態と同様に賞球払出数を加味して開放中入賞と閉鎖中入賞の計数を行うことにより、役物比率を正しく算出することができる。
次に、第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、第1実施形態と同様であるが、中央入賞装置30の中央入賞口34に入賞した場合のチューリップ式入賞装置の開放条件を以下の様に設定してある。なお、左側入賞口33に入賞した場合、右側入賞口35に入賞した場合については第1実施形態で説明したのと同様である。
(3’)中央入賞装置30の中央入賞口34に遊技球が入賞した場合
中央上チューリップ式入賞装置21及び中央下チューリップ式入賞装置22がそれぞれ開放する。中央下チューリップ式入賞装置22は、遊技球の入賞により閉鎖する。中央上チューリップ式入賞装置21に遊技球が入賞すると、当該中央上チューリップ式入賞装置21は閉鎖し、中央下チューリップ式入賞装置22は、先に閉じていた場合はもう一度開放される。従って、先に中央下チューリップ式入賞装置22に入賞した場合は、中央下、中央上、中央下と、3回の入賞により賞球を獲得することができる。これに対し、先に中央上チューリップ式入賞装置21に入賞した場合は、中央上、中央下の2回しか入賞できない。
次に、本実施形態の遊技機におけるチューリップ開閉制御について説明する。なお、チューリップ開閉制御のメインルーチン自体は第1実施形態と同様で、中央入賞処理ルーチンが以下の様に異なる構成となっている。
本ルーチンでは、図23に示す様に、左側入賞口33の左側入賞検知センサSE33から検知信号が入力されたか否かを判定する(S510)。「NO」と判定された場合は、中央入賞口34の中央入賞検知センサSE34から検知信号が入力されたか否かを判定する(S520)。これも「NO」と判定された場合は、右側入賞口35の右側入賞検知センサSE35から検知信号が入力されたか否かを判定する(S530)。これもまた「NO」と判定された場合は、左側はずれ口32のはずれ検知センサSE32から検知信号が入力されたか否かを判定する(S540)。これも「NO」と判定された場合は、右側はずれ口36のはずれセンサSE36から検知信号が入力されたか否かを判定する(S550)。これもまた「NO」と判定された場合は、S510へ戻る。
一方、S510で「YES」と判定された場合は、左上チューリップ式入賞装置11の開閉装置SOL11に対して開放指令を出力し(S515)、本ルーチンを終了する。また、S520で「YES」と判定された場合は、中央上チューリップ式入賞装置21の開閉装置SOL21及び中央下チューリップ式入賞装置22の開閉装置SOL22のそれぞれに対して開放指令を出力し(S525)、本ルーチンを終了する。また、S530で「YES」と判定された場合は、右上チューリップ式入賞装置15の開閉装置SOL15に対して開放指令を出力し(S535)、本ルーチンを終了する。なお、S540またはS150で「YES」と判定された場合は、直ちに本ルーチンを終了する。
以上の様に構成した場合も、第1実施形態と同様に、中央入賞装置30の入賞口33,34,35のどれに遊技球が入賞したかにより、遊技者にとってより有利な状態と、それほど有利でない状態とを形成し、しかも、中央入賞装置30での振り分けが直ちに定まらず、かつ、意外性も加わって結果が生じることにより、チューリップ式入賞装置を中心としたいわゆる普通機タイプのパチンコ機における遊技の単調さをなくし、射倖性を高めなくても、遊技者にとって十分に楽しめる遊技機とすることができる。
これに加えて、最大3回の入賞が期待できる中央入賞口34への入賞の際にも、先に中央上チューリップ式入賞装置21に入賞した場合は、左入賞口33や右入賞口35に入賞したときと同じく2回の賞球獲得しかできない。
従って、複数個のチューリップ式入賞装置が同時に開放されるという期待感を与えると共に、さらに、そのいずれかに先に入賞させると、連動開放機能によって再度開放状態となり得るという期待感も与えるものの、その期待感もむなしく他の入賞口33,35への入賞時と同様に2回しか賞球を獲得できないかも知れないという不安感や、この状況をうまく乗り切ろうとする気持ちを生じさせ、首尾良く、中央下チューリップ式入賞装置22に対して先に入賞させたときに、大きな達成感を与えることができる。
本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
次に、第5実施形態を説明する。第5実施形態は、図24に示す様に、剣山状の円板53の中心にある一本のピン51の背面のブッシュ54に、モータM50のモータ軸が嵌合される様になっている。このモータM50は、正逆回転可能なものである。従って、剣山状の円板53を、斜め約45度の傾きを保ったまま、必要に応じて、時計回り又は反時計回りに強制回転することができる。
この結果、図25に示す様に、メイン制御基板60は、モータM50に対してもコマンド出力する様になっている。そして、中央入賞装置30の下部空間30bにおける遊技球の意外性のある動きは、次の様な正逆回転制御が実行されることによってさらに、興趣の高いものとされている。
主制御基板60は、接続されているセンサから検知信号が入力されると、以下のモータ制御コマンド選択処理を実行する。本処理では、図26に示す様に、まず、入力された検知信号が、左通過検知センサSE44からのものか否かを判定する(S601)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「時計回りコマンド」を選択し(S602)、モータM50に対して出力する(S603)。一方、S601の判定が「NO」の場合は、入力された検知信号が右通過検知センサSE45からのものか否かを判定する(S604)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「反時計回りコマンド」を選択し(S605)、モータM50に対して出力する(S603)。S601,S604のいずれもが「NO」の場合は、本ルーチンを一旦終了する。
これにより、モータM50は、遊技球がクルーン40の左側通過口44を通過した場合は、傾斜盤50を時計回りに回転させ、逆に、右側通過口45を通過した場合は、傾斜盤50を反時計回りに回転させる。
この結果、左落下口44からの落下直後は傾斜盤50の左上部に衝突することから、遊技球が傾斜盤50のピン52や羽根車81の間に絡まりながら落下する場合も、傾斜盤50の上部でピン52に弾かれる場合も、時計回りに回転する傾斜盤50によって右方向に付勢される。また、傾斜盤50の左上部で右方向に弾かれて、傾斜盤50の下部でピン52や羽根車81に衝突すると、今度は、左方向に弾かれる格好となる。従って、傾斜盤50の左上部で右方向に大きく弾かれて右下部でピン52や羽根車81に衝突した遊技球は中央へ戻される格好となり、それほど大きく右方向に弾かれなくて左下部でピン52や羽根車81に衝突した遊技球は中央から離れる方向に弾かれる格好となる。右落下口45から落下した場合も、同様である。これにより、遊技球がピン52や羽根車81に絡まったときは、比較的中央に寄りやすく、弾かれる場合は、弾かれ方によって中央に寄ったり、中央から離れる方向に飛ばされたりと多彩な動きを生ずる。どの様な動きが生ずるかは、遊技球がピン52や羽根車81に絡む場合も一定ではない。特に、羽根車81の自由回転がどの方向に発生するかはケースバイケースとなる。従って、最初に中央に寄せる制御をしているけれども、必ずしも中央に寄る訳ではなく、左方向に導かれることもあれば、右方向に導かれることもあり、意外性の高い、様々な動きが発生する。なお、賞球払出については、第2〜第4実施形態の様に構成してもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
次に、第6実施形態を説明する。第6実施形態は、図27に示す様に、剣山状の円板53の中心にある一本のピン51の背面のブッシュ54に、金属製の回転軸56が嵌合されている。この金属製の回転軸56は、円板53と平行に、円板53の左右方向中心を通る様に設置された軸ピン57をモールドしたモールドベース(図示略)に、自由回転可能に支持されている。剣山状の円板53は、このモールドベースによって斜め約45度の傾きで自由回転可能な状態に軸支されているのである。
一方、軸ピン57は、その両端を中央入賞装置30の本体に回転可能に軸支されている。そして、中央部には、図示を省略した扇形ギヤが下向きに取り付けられ、この扇形ギヤにギヤ嵌合する傾動モータM57が設置されている。
この傾動モータM57は、正逆回転可能なものであり、図28(B)に示す様に、傾斜盤50を全体として右下がりとなる状態に傾けたり、同図(C)に示す様に、傾斜盤50を全体として左下がりとなる状態に傾けたりすることができる。
この結果、図29に示す様に、メイン制御基板60は、モータM57に対してもコマンド出力する様になっている。そして、中央入賞装置30の下部空間30bにおける遊技球の意外性のある動きは、次の様な傾動制御が実行されることによってさらに、興趣の高いものとされている。
主制御基板60は、接続されているセンサから検知信号が入力されると、以下のモータ制御コマンド選択処理を実行する。本処理では、図30に示す様に、まず、入力された検知信号が、左通過検知センサSE44からのものか否かを判定する(S701)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「右下がり傾斜コマンド」を選択し(S702)、傾動モータM57に対して出力する(S703)。一方、S701の判定が「NO」の場合は、入力された検知信号が右通過検知センサSE45からのものか否かを判定する(S704)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「左下がり傾斜コマンド」を選択し(S705)、傾動モータM57に対して出力する(S703)。S701,S704のいずれもが「NO」の場合は、本ルーチンを一旦終了する。
これにより、傾動モータM57は、遊技球がクルーン40の左側通過口44を通過した場合は、傾斜盤50を右下がり傾斜となる様に回転させ、逆に、右側通過口45を通過した場合は、傾斜盤50を左下がり傾斜となる様に回転させる。
この結果、遊技球が傾斜盤50のピン52や羽根車81の間に絡まりながら落下する場合は、傾斜盤50の傾きにより、中央に寄せられ易くなる。また、傾斜盤50は、自由回転可能であるから、落下してきた遊技球Pの衝突によって回転する。このとき、傾斜盤50の上面に立設されている多数の突起51,52や羽根車81のいずれに衝突するかによって、傾斜盤50の回転方向、回転速度、及び遊技球の落下経路が変化する。また、ピン同士の間隔は遊技球Pを通過させ得る間隔なので、遊技球Pは円板53の板面に衝突する場合もある。この結果、クルーン40において左右に振り分けられてどの落下口44,45から落下したかによっては、直ちに最終的な入賞口は定まらない。これは、傾斜盤50は自由回転するので、初期位置は一定でなく、かつ、衝突によって発生する動きも一定ではなく、遊技球Pもはね跳ばされる場合もあれば、ピン52や羽根車81に絡みながらこれらの間を通過しながら落下する場合もある。従って、傾斜盤50に衝突した後の遊技球Pの動きには意外性が与えられる。また、この意外性は、概ね遊技球Pが中央に寄せられる方向での意外性であるが、必ずしも中央に寄るとは限らず、中央を越えてさらに反対方向へと転がる場合も十分にある。従って、最初に中央に寄せる制御をしているけれども、必ずしも中央に寄る訳ではなく、左方向に導かれることもあれば、右方向に導かれることもあり、意外性の高い、様々な動きが発生する。なお、賞球払出については、第2〜第5実施形態の様に構成してもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
次に、第7実施形態について説明する。基本的な機構は、上述した第6実施形態と同様であるが、次の様な傾動制御を実行する点で異なっている。
主制御基板60は、接続されているセンサから検知信号が入力されると、以下のモータ制御コマンド選択処理を実行する。本処理では、図31に示す様に、まず、入力された検知信号が、左通過検知センサSE44からのものか否かを判定する(S801)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「左下がり傾斜コマンド」を選択し(S802)、傾動モータM57に対して出力する(S803)。一方、S801の判定が「NO」の場合は、入力された検知信号が右通過検知センサSE45からのものか否かを判定する(S804)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「右下がり傾斜コマンド」を選択し(S805)、傾動モータM57に対して出力する(S806)。S801,S804のいずれもが「NO」の場合は、本ルーチンを一旦終了する。
これにより、第6実施形態とは逆に、傾動モータM57は、遊技球がクルーン40の左側通過口44を通過した場合は、傾斜盤50を左下がり傾斜となる様に回転させ、逆に、右側通過口45を通過した場合は、傾斜盤50を右下がり傾斜となる様に回転させる。
この結果、傾斜盤50の傾き方向は、遊技球Pを外へ寄せる作用をすることになる。そして、遊技球Pは、設計上、傾斜盤50の上部に衝突するから、その衝撃によって、左落下口44から落下した遊技球Pは、傾斜盤50を反時計方向に回転しようとする。左下がりに傾斜していることから、この回転力は、傾斜していない状態の傾斜盤50の左上部に遊技球Pが衝突した場合よりも強くなる。この結果、遊技球Pは、外へ大きく弾かれる場合もある反面、ピン52や羽根車81に掬われて反時計回りの回転力を与えられ、中央寄りに弾き飛ばされる場合も生じ得る。また、ピン52や羽根車81に絡まった場合は、強い回転力によって、遊技球Pの落下経路も傾斜盤50の中心に対して反時計回りとなって、中央方向に寄りながらピン52や羽根車81の間を転がり落ちる場合も生じ得る。右落下口45を通過した場合は、これと逆の動きにより、時計回りに回転し易い傾斜盤50の影響を受ける。この様に、第7実施形態とは逆の傾きに制御した場合も、必ずしも遊技者に不利にはならない。これは、傾斜盤50が自由回転するからである。なお、自由回転の方向は、遊技球Pが傾斜盤に50に衝突するタイミングなどによって一定ではない。このことは、多くの意外な動きを遊技球Pに生じさせる。なお、賞球払出については、第2〜第4実施形態の様に構成してもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
次に、第8実施形態について説明する。第8実施形態のパチンコ機も、基本的な機構は、上述した第6実施形態と同様であるが、次の様な傾動制御を実行する点で異なっている。
メイン制御基板60は、接続されているセンサから検知信号が入力されると、以下のモータ制御コマンド選択処理を実行する。本処理では、図32に示す様に、まず、入力された検知信号が、左通過検知センサSE44からのものか否かを判定する(S901)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「最初に右下がり傾斜させた後に左下がり傾斜に切り替える第1の切替制御コマンド」を選択し(S902)、傾動モータM57に対して出力する(S903)。一方、S901の判定が「NO」の場合は、入力された検知信号が右通過検知センサSE45からのものか否かを判定する(S904)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「最初に左下がり傾斜させた後に右下がり傾斜に切り替える第2の切替制御コマンド」を選択し(S905)、傾動モータM57に対して出力する(S903)。S901,S904のいずれもが「NO」の場合は、本ルーチンを一旦終了する。
主制御基板60は、傾動モータM57に対して回転方向を指定する制御指令を出力する。これにより、傾動モータM57は、遊技球がクルーン40の左側通過口44を通過した場合は、傾斜盤50を最初右下がり傾斜にした後に左下がり傾斜に切り替える、逆に、右側通過口45を通過した場合は、傾斜盤50を最初左下がり傾斜にした後に右下がり傾斜に切り替える。この様に、傾斜方向を切り替える制御を実行することで、遊技球Pの経路を左右に揺らすことが可能となり、より一層の意外性を与えることができる。この様にしてクルーン40による振り分け結果に対する変更を加えることで、遊技球Pは左右方向へも揺れ動きつつ最終的な入賞口へと跳ねたり、絡んだりしながら落下していくので、チューリップ式入賞装置を中心としたタイプの遊技機における遊技の単調さをなくし、射倖性を高めなくても、遊技者にとって十分に楽しめる遊技機となり得る。しかし、傾斜方向のみによって遊技球Pの経路が直ちに決まる訳ではないことは、他の実施形態と同様である。なお、賞球払出については、第2〜第4実施形態の様に構成してもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態は、基本的な構成は、これまで説明した各実施形態と同様であるが、図33(B)に示す様に、剣山状の円板53の中心にあるピン51の背面のブッシュ54に回転駆動モータM50のモータ軸が嵌合されている。この回転駆動モータM50は、正逆回転可能なものである。また、この回転駆動モータM50は、円板53と平行に、円板53の左右方向中心を通る様に設置された軸ピン57をモールドしたモールドベース(図示略)に固定されている。剣山状の円板53は、回転駆動モータM50と共に、このモールドベースによって斜め約45度の傾きに支持されているのである。一方、軸ピン57は、その両端を中央入賞装置30の本体に回転可能に軸支されている。そして、中央部には、図示を省略した扇形ギヤが下向きに取り付けられ、この扇形ギヤにギヤ嵌合する傾動モータM57が設置されている。この傾動モータM57は、正逆回転可能なものであり、第6〜第8実施形態において説明したのと同様に、傾斜盤50を全体として右下がりとなる状態に傾けたり、全体として左下がりとなる状態に傾けたりすることができる。
従って、傾斜盤50は、前下がり傾斜を保ったまま、さらに左下がりに傾いたり、右下がりに傾いたりとな三次元的な傾きをするだけでなく、その様な三次元的な傾きと併せて、時計回り又は反時計回りの強制回転が可能な構造となっている。
この第9実施形態のパチンコ機の制御系統は、図34に示す様に、概ねは上述した各実施形態と同様であるが、メイン制御基板60は、回転駆動モータM50と傾動モータM57の両方に対してコマンド出力する様になっている。
メイン制御基板60は、接続されているセンサから検知信号が入力されると、以下のモータ制御コマンド選択処理を実行する。本処理では、図35に示す様に、まず、入力された検知信号が、左通過検知センサSE44からのものか否かを判定する(S1001)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「右下がり傾斜コマンド及び反時計回転コマンド」を選択し(S1002)、傾動モータM57及び回転駆動モータM50に対して出力する(S1003)。一方、S1001の判定が「NO」の場合は、入力された検知信号が右通過検知センサSE45からのものか否かを判定する(S1004)。「YES」と判定された場合は、モータ制御コマンドとして、「左下がり傾斜コマンド及び時計回り回転コマンド」を選択し(S1005)、傾動モータM57及び回転駆動モータM50に対して出力する(S1003)。S1001,S1004のいずれもが「NO」の場合は、本ルーチンを一旦終了する。
主制御基板60は、回転駆動モータM50及び傾動モータM57に対して回転方向を指定する制御指令を出力する。これにより、遊技球がクルーン40の左側通過口44を通過した場合は、傾動モータM57が傾斜盤50を右下がり傾斜に回転させると共に回転駆動モータM50が反時計回りに回転させる。逆に、右側通過口45を通過した場合は、傾斜盤50は、傾動モータM57及び回転駆動モータM50により、左下がり傾斜となって時計回りに回転させられる。
この結果、回転盤50を傾動させるだけの場合よりもさらに複雑な影響を遊技球Pに対して与え、その挙動を予想外のものとすることができる。よって、この第9実施形態も、興趣の向上と、興趣の持続により、飽きの来ないパチンコ機を実現することができる。なお、賞球払出については、第2〜第4実施形態の様に構成してもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
次に、第10実施形態について説明する。第10実施形態は、羽根車81を自由回転ではなく、モータ駆動によって回転させる構成としたものである。図36に示す様に、第5実施形態と同様に、傾斜盤50を回転させるために設けたモータM50が備えられている。このモータM50の駆動軸82には、羽根車81の内の一つの支軸83に対しても動力を伝達する様に、タイミングベルト84が掛け渡されている。また、このモータM50からの動力を受ける支軸83には、さらに、他の羽根車の支軸85に対して動力を伝達するためのタイミングベルト86が掛け渡されている。この結果、モータM50を正逆回転させることにより、各羽根車81が同一方向に回転駆動させることになる。
羽根車81が強制回転されることにより、遊技球Pが羽根車81に絡まった場合に生じ得る落下経路に対する期待感を与える。しかしながら、回転中心の右側で羽根車81に絡むか、左側で羽根車81に絡むかによって遊技球Pが誘導される方向が異なることとなるので、遊技者の期待通りには落下経路が変化しない。この結果、自由回転よりは落下経路を予測できそうであるにも拘わらず、そうとは限らないという意外性が遊技者の興趣を持続させることになる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
次に、第11実施形態について説明する。第12実施形態は、図37に示す様に、モータM50から羽根車81の内の一つの支軸83に対して動力伝達用のタイミングベルト84が掛け渡されている点は、第10実施形態と同様である。しかし、この実施形体では、他の羽根車の支軸85に対して動力を伝達するための機構をギヤ組87,88,89としている。この結果、第10実施形態の様に全て同じ方向に回転するのではなく、逆方向に回転する羽根車も存在する状態となる。
これら第10,第11実施形態では、第5実施形態において説明した様に、モータM50に対して、遊技球がクルーン40の左側通過口44を通過した場合は傾斜盤50を時計回りに回転させ、逆に右側通過口45を通過した場合は傾斜盤50を反時計回りに回転させる制御を実行する。なお、これらの実施形態において、モータM50の回転方向を、制御の途中で逆転させる様にしてもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で詳述した通り、メモリ61における直近のソレノイド制御信号出力状況から次に出力すべきソレノイド制御信号を決定し、制御信号を出力すると共に、メモリ61の内容を最新情報に更新する処理を行っている。そして、このメモリ61の直近ソレノイド制御信号出力状況に基づき、入賞信号出力端子62から出力すべき開放中入賞信号と閉鎖中入賞信号の別を正しく判定している。よって、さらに複雑な開閉動作を行う様にした本実施形態においても、開放中入賞回数又は開放中入賞による賞球払出個数を正しく計測することができる。よって、試射試験における役物比率を正しく算出することができる。
以上、発明を実施するための最良の形態としての第1〜第11実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
例えば、賞球数の設定において、中央上チューリップ式入賞装置21及び中央下チューリップ式入賞装置22の賞球数を大プラスにして、中央入賞口34への入賞の期待をより高める様にすることもできる。
また、実施形態では羽根車81の羽根の枚数を3枚としているが、1枚、2枚、4枚等と変更してもよい。さらに、第12実施形態のギヤ組87〜89に代えて、遊星歯車機構などを採用してもよい。
例えば、メモリ61は、フリップフロップ回路などを用いたハードウェアロジックで構成しても構わない。また、入賞信号出力端子62を、賞球払出装置70への出力端子と共通化することもできるなど、本発明の要旨の範囲内において、種々の具体的態様を採用し得る。
また、パチンコ機の障害釘の配置について、図38に示す様に、一部については、チューリップ開放時以外には入賞不可能な構成とすることもできる。図示の例では、左上チューリップ式入賞装置11,左中チューリップ式入賞装置12,右上チューリップ式入賞装置15,右中チューリップ式入賞装置16,中央上チューリップ式入賞装置21及び中央下チューリップ式入賞装置22に対しては、チューリップが閉じた状態のときには遊技球が入賞できない様に、閉鎖用障害釘群111,112,115,116,121,122が配置されている。一方、中央入賞装置30の上部に設けられている入賞装置31に対しては、遊技球を誘導し易い様にした誘導用障害釘群131,131が左右から中央へと斜めに下がるV字形の配置とされている。これらの点を除くと、障害釘の配置は、通常のパチンコ機と同様である。
左上,左中,右上,右中,中央上,中央下の各チューリップ式入賞装置11,12,15,16,21,22は、上述の様に、閉鎖用障害釘群111,112,115,116,121,122が配置されていて、遊技領域に飛んだ遊技球が直接入賞することはできないが、中央入賞装置30に遊技球が侵入し、左側入賞口33、中央入賞口34及び右側入賞口35のいずれかに入賞すると、チューリップ開放状態となって遊技球が入賞可能な状況となる。