JP2009043808A - 熱電装置及び熱電装置の製造方法 - Google Patents

熱電装置及び熱電装置の製造方法 Download PDF

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峰広 外崎
Yoshio Muraoka
祥雄 村岡
Shoichi Yajima
正一 矢島
Yuichi Ishida
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Abstract

【課題】一定の高さ寸法以上の微細な電極を有する熱電装置、この熱電装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】基板5のそれぞれの内面5cには、複数の溝6が設けられており、この複数の溝6に電極4が形成される。すなわち、熱電装置10の電極4は、基板5内に形成される。これにより、基板5内に電極4を一定の高さ寸法以上で構成することができる。したがって、電極4の抵抗値を下げることができるため、熱電装置10の熱電性能が増加する。熱電材3の高さを小さく構成する場合、電極4の抵抗値が熱電材3の抵抗値に比して無視できないほど大きくなってしまうため、特に有効である。さらに、電極4を基板5内に設けることで、熱電装置10自体の高さも小さく構成することができる。また、熱電材3の幅寸法を最適化することにより、熱電装置の熱電性能をさらに向上させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ペルチェ冷却素子、あるいはゼーベック発電素子として用いられる熱電材を含む熱電装置、及びこの熱電装置の製造方法に関する。
従来から、IC(Integrated Circuit)チップ、あるいはレーザーダイオードなどの冷却に熱電装置が用いられている。この熱電装置は、絶縁性の1対の基板と、その1対の基板に挟み込まれるように設けられた複数のP型の熱電材及びN型の熱電材とを備えている。これら複数の熱電材は、例えば1対の基板の対向するそれぞれの内面に形成された電極により直列に接続されている。熱電材に電流が印加されることにより、その電流の向きに応じて熱が移動し、一方の基板が吸熱側になり、他方の基板が放熱側になる。これにより、IC(Integrated Circuit)チップ、あるいはレーザーダイオードが冷却される。
また、熱電装置は、腕時計のような携帯用電子機器の電力源としても用いられており、この場合には、一方の基板と、他方の基板との間の温度差を利用して発電がなされることになる。
これらの熱電装置を構成する電極を形成する方法として、次のような技術が知られている。基板2の表面に金属層2aを形成し、その金属層2a上に、レジスト10を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストパターン10aを格子状に形成する。このレジストパターン10aをマスクとして形成された凹部10bにメッキにより銅電極7を形成し、レジストパターン10aを基板2上から剥離する、という技術である(特許文献1参照)。また、真空蒸着法により電極を形成する方法も知られている(特許文献2参照)。
特開2005−159338号公報(段落[0004]、[0005]、図23) 特許第3432257号公報(段落[0040]、[0053]、図1)
ところで、熱電装置の熱電性能を向上させるために、熱電材の微細化、及び電極の微細化を試みると、電極の抵抗値が熱電材の抵抗値に比して無視できないほど大きくなる。この電極の抵抗値を下げるために電極の高さ寸法を大きく構成することが有効な手段であると考えられる。
しかし、例えば特許文献2に記載された真空蒸着法や、スパッタリング法などで電極を形成する場合、その電極の高さ寸法は、1μmが現実的な限界となる。
また、特許文献1に記載された、フォトリソグラフィ技術と電気メッキ法によって電極を形成する方法においては、基板2に形成されるレジストパターン10aの幅寸法に対する高さ寸法の比(以下、高さのアスペクト比)が問題となる。銅電極7は、フォトレジスト10が形成する凹部に電気メッキ法により構成されることから、銅電極7の高さ寸法は、レジストパターン10aの高さ寸法に依存する。したがって、銅電極7の高さ寸法を大きく構成する場合にはレジストパターン10aの高さ寸法を大きく構成する必要がある。しかし、レジストパターン10aの高さのアスペクト比を大きくすると、レジストパターン10aを基板2上から剥離する際に、取り残しを生じてしまうため、高さのアスペクト比は、所定の値を超えることができない。例えば、レジストパターン10aの幅寸法を50μmとすると、電極の高さ寸法は、50μmが現実的な限界となる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、一定の高さ寸法以上の微細な電極を有する熱電装置、この熱電装置の製造方法を提供することにある。
本発明の主たる観点に係る熱電装置は、互いに対向する内面をそれぞれ有し、当該対向する内面にそれぞれ複数の溝を有する1対の基板と、P型熱電材及びN型熱電材を有し、前記1対の基板に挟み込まれるように設けられた熱電材アレイと、前記複数の溝にそれぞれ設けられ、前記P型熱電材及び前記N型熱電材を繋ぐ複数の電極とを具備することを特徴とする。
これにより、基板内に電極を一定の高さ以上で構成することができる。したがって、電極の抵抗値を下げることができるため、熱電装置の熱電性能が増加する。熱電材の高さを小さく構成する場合、電極の抵抗値が熱電材の抵抗値に比して無視できないほど大きくなってしまうため、特に有効である。さらに、電極を基板内に設けることで、熱電装置自体の高さも小さく構成することができる。
上記熱電装置において、前記電極は、Ti、Au、Sn、Au−Sn合金、Au−Si合金、Al、Ni、及びCuのうち少なくとも1つの金属材料で形成されるようにしてもよい。
上記熱電装置において、前記P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの幅寸法をWt、高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、前記P型熱電材及びN型熱電材の比抵抗の平均値をρtとし、前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、前記電極の比抵抗をρeとし、前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、前記P型熱電材及びN型熱電材の幅寸法Wtが下記の式(3)を満たすようにしてもよい。
e=at+Wg+b 式(1)
g=at+b 式(2)
t={ (ρt/ρe)(De/Dt)(Hte/a) }1/2 式(3)
(式(1)及び式(2)のa、a、b、bは、0以上の実数であり、図(3)のaは、a=a+aを満たす。)
前記P型熱電材及びN型熱電材の幅寸法を最適化することにより、熱電装置の電気抵抗を低下させることで、熱電装置の熱電性能をさらに向上させることができる。
上記熱電装置において、前記P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの幅寸法をWt、高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、前記P型熱電材及びN型熱電材の比抵抗の平均値をρtとし、前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、前記電極の比抵抗をρeとし、前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、前記P型熱電材及びN型熱電材の幅寸法Wtが下記の式(3)を満たすようにしてもよい。
e=Wt+Wg+b 式(1)
g=at+b 式(2)
t={ (ρt/ρe)(De/Dt)(Hte/(1+a)) }1/2 式(3)
(式(1)、(2)及び式(3)のa、b、bは、0以上の実数である。)
上記熱電装置において、前記P型熱電材の幅寸法をWtpとし、前記N型熱電材の幅寸法をWtnとし、P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、前記P型熱電材の比抵抗をρtpとし、前記N型熱電材の比抵抗をρtnとし、前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、前記電極の比抵抗をρeとし、前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、前記P型熱電材の幅寸法Wtpが下記の式(3)を満たすようにしてもよい。
e=at+Wg+b 式(1)
g=at+b 式(2)
tp=[{ (c+1)/2}(ρtp/ρe)(De/Dt)(Hte/a)]1/2 式(3)
(式(1)及び式(2)のa、a、b、bは、0以上の実数であり、式(3)のaは、a=a+aを満たし、式(3)のcは、c=(ρtn/ρtp)( Wtp/Wtn)を満たす。)
上記熱電装置において、前記P型熱電材の幅寸法をWtpとし、前記N型熱電材の幅寸法をWtnとし、P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、前記P型熱電材の比抵抗をρtpとし、前記N型熱電材の比抵抗をρtnとし、前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、前記電極の比抵抗をρeとし、前記P型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcpとし、前記N型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcnとし、前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、前記P型熱電材の幅寸法Wtpが下記の式(3)を満たすようにしてもよい。
e=at+Wg+b1 式(1)
g=at+b 式(2)
tp=[[{ (c+1)ρtpt+2(d+1)ηcp}/2](ρtp/ρe)(De/Dt)(Hte/a) ]1/2 式(3)
(式(1)及び式(2)のa、a、b、bは、0以上の実数であり、式(3)のaは、a=a+aを満たし、式(3)のcは、c=(ρtn/ρtp)( Wtp/Wtn)を満たし、図(3)のdは、d=(ηcn/ηcp)( Wtp/Wtn)を満たす。)
これにより、電極とN型熱電材及びP型熱電材との接触電気抵抗が、熱電装置全体の電気抵抗に比して無視することができないほどの大きさであっても、前記P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの幅寸法を最適化することにより、熱電装置の電気抵抗を低下させ、熱電装置の冷却性能を向上させることができる。
上記熱電装置において、前記P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの幅寸法をWt、高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、前記P型熱電材の比抵抗をρtpとし、前記N型熱電材の比抵抗をρtnとし、前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、前記電極の比抵抗をρeとし、前記P型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcpとし、前記N型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcnとし、前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、前記P型熱電材及びN型熱電材の幅寸法Wtが下記の式(3)を満たすようにしてもよい。
e=Wt+Wg+b1 式(1)
g=at+b 式(2)
t=[[{ (ρtp+ρtn) /2}Ht+(d+1)ηcp](ρtp/ρe)(De/Dt){He/(1+a)}]1/2 式(3)
(式(1)、(2)及び式(3)のa、b、bは、0以上の実数であり、式(3)のcは、c=(ρtn/ρtp)を満たし、式(3)のdは、d=(ηcn/ηcp)を満たす。)
本発明に係る熱電装置の製造方法は、第1の基板の内面に設けられた複数の溝に第1の電極をそれぞれ形成し、第2の基板の内面に設けられた複数の溝に第2の電極をそれぞれ形成し、第3の基板の内面に設けられた複数の溝にP型熱電材を形成し、第4の基板の内面に設けられた複数の溝にN型熱電材を形成し、前記第1の基板の内面及び前記第3の基板の内面を対向させることで、前記第1の電極及び前記P型熱電材を接合し、前記第2の基板の内面及び前記第4の基板の内面を対向させることで、前記第2の電極及び前記N型熱電材を接合し、前記第3の基板及び前記第4の基板を除去し、前記第1の基板の内面及び前記第2の基板の内面を対向させることで、前記第1の電極及びN型熱電材を接合し、かつ、前記第2の電極及びP型熱電材を接合することを特徴とする。
これにより、基板の複数の溝に電極が形成された熱電装置を容易に製造することができる。
上記熱電装置の製造方法において、前記第3の基板及び前記第4の基板を除去する前に、さらに前記第1及び第2の基板に保護皮膜を生成することを特徴とする。
これにより、例えば、第1乃至第4の基板がシリコンで構成されている場合、第3及び第4の基板を除去する前に、前記第1及び第2の基板を酸素雰囲気で酸化させることで酸化膜の保護皮膜を形成することができる。これにより、例えばドライエッチングにより第3及び第4の基板を除去する場合、保護皮膜が形成されていない第3及び第4の基板を容易に除去することができる。
上記熱電装置の製造方法において、前記第1の基板の内面に設けられた複数の溝に電極を形成するステップは、前記第1の電極を構成する金属材料と前記第1の基板の内面とを接触させ、前記金属材料と前記第1の基板とをカプセルで真空封止し、前記金属材料と前記第1の基板とが真空封止された前記カプセルを加圧し、かつ、加熱することを特徴とする。
これにより、第1の基板に設けられた複数の溝に容易に電極を形成することができる。
上記熱電装置の製造方法において、前記第1の基板の内面に設けられた複数の溝に電極を形成するステップは、第1の圧力に調節されたチャンバ内で前記電極を構成する溶融された金属材料に前記第1の基板を浸漬し、前記チャンバ内の圧力を前記第1の圧力より高い第2の圧力とすることを特徴とする。
これにより、第1の基板に設けられた複数の溝に容易に電極を形成することができる。
上記熱電装置の製造方法において、第3の基板の内面に設けられた複数の溝にP型熱電材を形成するステップは、前記P型熱電材を構成するP型熱電材料と前記第1の基板の内面とを接触させ、前記P型熱電材料と前記第1の基板とをカプセルで真空封し、前記P型熱電材料と前記第1の基板とが真空封止された前記カプセルを加圧し、かつ、加熱することを特徴とする。
これにより、第3の基板に設けられた複数の溝に容易にP型熱電材を形成することができる。
以上のように、本発明によれば、一定の高さ寸法以上の微細な電極を有する熱電装置、この熱電装置の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る熱電装置10を示す斜視図である。図2は、その断面図である。
熱電装置10は、対向する1対の基板5a、5bと、これらの基板5a、5bの間で交互に並ぶように2次元的に配置された複数のP型熱電材(熱電エレメント)3p及び複数のN型熱電材3nでなる熱電材アレイと、これらP型熱電材3p及びN型熱電材3nを接続する複数の電極4とを備えている。以下、基板5a、5bのうち一方を基板5という場合もあり、P型熱電材3p、N型の熱電材3nのうち一方を熱電材3という場合もある。
基板5のそれぞれの内面5cには、複数の溝6が設けられており、この複数の溝6に電極4が形成される。すなわち、本実施形態に係る熱電装置10の電極4は、基板5内に形成される。これにより、基板5内に電極4を一定の高さ寸法以上で構成することができる。したがって、電極4の抵抗値を下げることができるため、熱電装置10の熱電性能が増加する。熱電材3の高さを小さく構成する場合、電極4の抵抗値が熱電材3の抵抗値に比して無視できないほど大きくなってしまうため、特に有効である。さらに、電極4を基板5内に設けることで、熱電装置10自体の高さも小さく構成することができる。
この複数の溝6に形成された電極4は、複数のP型熱電材3p及びN型熱電材3nを交互に直列に接続している。熱電装置に電流が印加されると、その電流の向きに応じて一方の基板5から他方の基板5へ熱が移動する。このような熱の移動は電流が流れる方向に応じて変わる。
電極4としては、Ti、Au、Sn、Au−Sn合金、Au−Si合金、Al、Ni、またはCuなどが用いられる。基板5としては、酸化膜が表面に形成された半導体、ガラス、セラミック等が用いられる。P型、N型の熱電材3p、3nとしては、典型的にはBiTe系が用いられるが、MnSi系、ZnSb系、TAGS系、PbTe系、または酸化物系等の材料が用いられてもよい。
図3及び図4は、熱電装置10の製造方法を示す図である。
図3(A)に示すように、複数の溝6を有する基板5(第1の基板または第2の基板)が用意される。この基板5は、例えばシリコン基板が用いられる。基板5bは、他の半導体基板でもよいし、ガラス、セラミック等の絶縁基板であってもよいが、以下の説明においては、基板5をシリコン基板5として説明する。
シリコン基板5の複数の溝6は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により形成される。例えば、溝6はフォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)により形成される。反応性イオンエッチングは、DRIE(Deep RIE)であってもよい。あるいはドライエッチングに限られず、KOH溶液などが用いられたウェットエッチングであってもよい。
複数の溝6の寸法は、例えば、幅寸法6a=146μm、奥行き寸法=270μm、深さ6b=10μm〜200μmとされ、溝6と溝6との幅方向の間隔6cは、例えば20μmとされるが、この値に限定されない。
図3(B)に示すように、シリコン基板5の表面及び溝6には、絶縁膜5dが形成される。この絶縁膜5dは、例えばシリコン基板5を酸素雰囲気で熱処理することでシリコン基板5の表面に形成された酸化膜である。絶縁膜5dは、絶縁材料の塗布などによって、シリコン基板5の表面及び溝6に形成してもよい。この絶縁膜5dは、後述するシリコン型7を除去する際の保護皮膜としても機能する。
次に、図3(C)に示すように、シリコン基板5の複数の溝6に電極4が形成される。
図5は、電極4をシリコン基板5の複数の溝6に形成するための処理装置を示す模式図である。
処理装置20は、処理対象物15を収容するチャンバ21、チャンバ21内に設けられたヒータ26、チャンバ21内を減圧する真空ポンプ22、チャンバ21内の真空度を調整する真空バルブ23を有する。また、処理装置20は、処理対象物15を加圧するためにチャンバ21内にガスを導入して気圧を高めるためのガス供給源25、導入されるガス量を調整等するガスバルブ24を有する。つまり、処理装置20は、熱処理が可能な真空及び加圧装置である。
チャンバ21内の処理対象物15は、シリコン基板5(第1の基板、または第2の基板)と、このシリコン基板5の内面5cと接触するように配置された電極4の材料である金属材料4dと、シリコン基板5及び金属材料4dを収容し、真空封止するカプセル材11と、カプセル材11の内部に充填された粉末状のセラミック9とで構成される。カプセル材11は例えばパイレックス(登録商標)ガラス(登録商標)などの強化ガラスや、テフロン(登録商標)(登録商標)などの合成樹脂、あるいはその他の材料が用いられる。また、セラミック9は例えばBNが用いられるが、その他の材料であってもよい。
次に処理装置20を用いて行われる、シリコン基板5の複数の溝6に電極4を形成する方法を説明する。
処理対象物15がチャンバ21に収容され、真空ポンプ22の作動によりチャンバ21内が減圧されることで、カプセル材11の内部が減圧される。これにより、シリコン基板5、金属材料4d及びセラミック9のカプセル材11内への真空封入が完成する(真空カプセリング)。
次に、ガス供給源25からチャンバ21内にガスが導入されることで処理対象物15が加圧され、またヒータ26により処理対象物15が加熱される。
例えば、金属材料4dとしてAu−Sn合金(Sn20%)、カプセル材11としてテフロン(登録商標)を用いた場合、処理対象物15は、圧力0.5MPa及び温度320℃で加圧加熱処理される。Au−Sn合金(Sn20%)の融点は290℃であり、テフロン(登録商標)の融点は327℃であるため、チャンバ21内の温度を320℃とすると、Au−Sn合金(Sn20%)が溶融し、テフロン(登録商標)が軟化する。このテフロン(登録商標)の軟化により、チャンバ21内の圧力がテフロン(登録商標)内部に伝達され、溶融したAu−Sn合金(Sn20%)がシリコン基板5の複数の溝6内に押し込まれる。これにより、シリコン基板5の複数の溝6に電極4が形成される。
また、金属材料4dとしてAu−Si合金(Si2%)、カプセル材11として軟化温度400℃のガラスを用いた場合、処理対象物15は、圧力0.5MPa及び温度400℃で加圧加熱処理される。この場合、融点が367℃であるAu−Si合金(Si2%)が溶融し、シリコン基板5の複数の溝6内に押し込まれ、電極4が形成される。上述の加圧加熱処理の圧力、温度及び時間などの処理条件は、金属材料4d及びカプセル材11の種類によって適宜設定可能である。
複数の溝6に電極4が形成されたシリコン基板5はチャンバ21から取り出され、例えばシリコン基板5が適当な大きさに切断され、シリコン基板5から露出する電極4の表面及びシリコン基板の内面5cが研磨加工される。このようにして、図3(C)のような複数の溝6に電極4が設けられたシリコン基板5が形成される。
図5に示すような処理装置20やカプセル材11などが用いられることで、容易にシリコン基板5の複数の溝6に電極4を形成することができる。
図6は、電極4をシリコン基板5の複数の溝6に形成するための他の処理装置を示す模式図である。
図6に示すように、処理装置30は、上述の処理装置20と同様にチャンバ21、真空ポンプ22、真空バルブ23、ガス供給源25及びガスバルブ24を有する。これらの他、処理装置30は、金属材料4dを収容する容器33と、この容器33を支持しヒータを内蔵する支持台34と、シリコン基板5を上下方向に移動させる上下駆動機構31とを有する。上下駆動機構31は、例えば固定部材32を有しており、この固定部材32にシリコン基板5が固定される。金属材料4dは、支持台34に内蔵されたヒータにより加熱され、容器33内で溶融される。
まず、複数の溝6が形成されたシリコン基板5(第1の基板、または第2の基板)が固定部材32に固定され、チャンバ21内に収容される。次に真空ポンプ22の作動により、チャンバ21内が減圧され、第1の圧力とされる。その後、シリコン基板5は、上下駆動機構31の駆動により、溶融された金属材料4d内に浸漬される。次にチャンバ21内が加圧され、第1の圧力よりも高い第2の圧力まで上昇される。これにより、溶融された金属材料4dがシリコン基板5の複数の溝6に差圧充填される。
次に、シリコン基板5は、上下駆動機構31の駆動により、溶融された金属材料4d内から引き上げられ、冷却された後、適当な大きさに切断される。このシリコン基板5から露出する電極4の表面及びシリコン基板の内面5cが研磨加工される。これにより、図3(C)のような複数の溝6に電極4が設けられたシリコン基板5が形成される。
図6に示すような処理装置30が用いられ、シリコン基板5の複数の溝6に金属材料4dが差圧充填されることで、複数の溝6に電極4が設けられたシリコン基板5を容易に形成することができる。
また、シリコン基板5の複数の溝6に電極4を形成する他の方法として、電気メッキ法を使用することも可能である。この場合、例えば真空蒸着法や、スパッタリング法などによって、複数の溝6に、Cr、Ti,Pt,Mo,またはWなどの薄膜を形成する。この複数の溝6に薄膜が形成されたシリコン基板5が電解液に浸され、電流が流されることで複数の溝6に電極4が形成される。
再び図3を参照して、熱電装置10の熱電アレイ3の形成方法について説明する。
熱電アレイ3を形成するために図3(D)に示すような型材となるシリコン基材7が用意される。型材はシリコン以外の材料が用いられてもよい。以下、これをシリコン型7(第3の基板、または第4の基板)と呼ぶ。シリコン型7の内面7aには、複数の溝が設けられており、この複数の溝8は、例えば、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングを利用したMEMS技術により形成される。反応性イオンエッチングは、DRIE(Deep RIE)であってもよい。あるいはドライエッチングに限られずウェットエッチングであってもよい。
複数の溝8の寸法は、例えば、幅寸法8a=64μm、奥行き寸法=230μm、深さ8b=100μmとされる。この幅寸法8aと、奥行き寸法との比は、後述する熱電材3の設計寸法の最適化によって導かれた値である。複数の溝8の寸法は、熱電材3の設計寸法の最適化によって導かれた値が用いられてもよいが、これに限定されない。
溝8と溝8との幅方向の間隔8cは、例えば104μmとされるが、この値に限定されない。
図3(E)に示すように、シリコン型7の複数の溝8にP型、またはN型の熱電材3が形成される。
この複数の溝8に熱電材3を形成する方法としては、例えば図5に示す処理装置20が用いられる。この場合、シリコン基板5の代わりにシリコン型7が用いられ、金属材料4dの代わりに熱電材の材料である熱電材料が用いられる。このシリコン型7の複数の溝8が設けられた内面7aと熱電材料とが接触され、カプセル材11によって真空封止される。シリコン型7と熱電材料とが真空封止されたカプセル材11が処理対象物15として処理装置20によって、加圧加熱処理される。
例えば、カプセル材11として、パイレックス(登録商標)ガラスが用いられた場合、処理対象物15は、圧力0.94MPa及び温度720℃で加圧加熱処理される。これにより、軟化温度が500℃であるパイレックス(登録商標)ガラスが軟化し、熱電材料が溶融する。このパイレックス(登録商標)ガラスの軟化により、チャンバ21内の圧力がパイレックス(登録商標)ガラス内部に伝達され、溶融した熱電材料がシリコン型7の複数の溝8内に押し込まれる。これにより、図3(E)に示すようなシリコン型7の複数の溝8に熱電材3が形成される。
図5に示すような処理装置20やカプセル材11などが用いられることで、シリコン型7の複数の溝8に熱電材3を容易に形成することができる。
その他、シリコン型7の複数の溝8に熱電材3が形成される方法として、例えば図6に示す処理装置30が用いられ、溶融された熱電材料にシリコン型7が浸漬されることで、複数の溝8に熱電材料が差圧充填されてもよい。また、電気メッキ法により、複数の溝8に熱電材3が形成されてもよい。
図3(E)に示すようなシリコン型7の複数の溝8に熱電材3が形成された後、図3(F)に示すように、シリコン基板5の内面5cとシリコン型7の内面7aとが対向される。電極4と、熱電材3との間には、例えば半田が介在される。このシリコン基板5とシリコン型7とが、例えば適当なメカニカルな加圧装置によって、加熱処理されながら加圧されることにより、電極4と熱電材3とが接合される。加熱処理の温度は、例えば電極4がAu−Sn合金(Sn20%)である場合には、290℃とされるが、この温度については、電極4、及び熱電材3の種類によって適宜設定される。
次に、図4(G)に示すように、シリコン型7がエッチングにより除去される。このエッチングは、典型的にはXeFガスによるドライエッチングが行われるが、他のガスが用いられてもよい。この場合、シリコン基板5の表面には、上述のように絶縁膜5dとして例えば酸化膜が形成されているため、この酸化膜が保護皮膜として機能し、シリコン型7は除去されるが、シリコン基板5は除去されない。このように、保護皮膜が形成されていないシリコン型7を容易に除去することができる。
図4(H)に示すように、電極4aにN型熱電材3nが接合されたシリコン基板5aの内面5cと、電極4bにP型熱電材3pが接合されたシリコン基板5bの内面5cとが対向される。N型熱電材3n及び電極4bとが接合され、P型熱電材及び電極4aが接合されることで、図4(I)に示すような熱電装置10が形成される。N型熱電材3n及び電極4bとの接合と、P型熱電材3p及び電極4aの接合は、例えば適当なメカニカルな加圧装置によって、シリコン基板5aとシリコン基板5bとが加熱処理されながら加圧されることにより行われる。
図7は、このようにして形成された熱電装置10の熱電性能を測定する測定手段を示す模式図である。図8は、この測定手段によって熱電性能が測定された測定対象物を示す斜視図である。
図7及び図8に示すように、熱電性能の測定には、測定対象物41として、1対の電極4と、1対の熱電材3(P型、及びN型)とを有する熱電モジュール41(以下、モジュール41)が用いられた。
プローブステーション40は、モジュール41を収容する収容部42と、モジュール41を載置するための測定台43と、この測定台43の温度を制御する温度コントローラ44と、モジュール41の温度を視認するためのサーモグラヒィー45を有している。測定台43は、温度コントローラによって、例えば25℃に温度調節される。
プローブステーション40の収容部42に収容されたモジュール41は、電圧測定装置46と、例えばタングステンプローブ47を介して接続される。電圧測定装置46は、電流または電圧の信号を生成するファンクションジェネレータ48と、その信号波形を視認するためのオシロスコープ49と、その信号を増幅するアンプ50とを有している。このアンプ50がモジュール41と、例えばタングステンプローブを介して接続され、電圧または電流が測定される。また、モジュール41は、温度ユニット51と接続され、温度が測定される。
次に、図7に示す測定手段により測定される、熱電装置10の熱電性能の測定方法について説明する。ここでいう熱電性能とは、後述するように、1.吸熱側と発熱側との温度差で見たモジュール41の性能、2.吸熱量の最大値Qmaxで見たモジュール41の性能である。
まず、高さ寸法Heが100μmである電極4を有するモジュール41と、高さ寸法Heが3μmである電極4を有するモジュール41が用意される。この高さ寸法Heが100μmである電極4を有するモジュール41を本実施形態に係る熱電装置10とみなし、高さ寸法Heが3μmである電極4を有するモジュール41を従来例に係る熱電装置とみなして、それぞれの熱電性能が測定され、熱電性能の比較が行われる。以下、電極4の高さ寸法が100μmである電極4を有するモジュール41を、第1のモジュール41といい、電極4の高さ寸法が3μmである電極4を有するモジュール41を、第2のモジュール41という。
第1及び第2のモジュール41の電極4は、その材質として、ともにAu−Sn合金(Sn20%)が用いられ、また、熱電材3についても、ともに同じ熱電材料が用いられた。第1及び第2のモジュール41は、それぞれ熱電材3の高さ寸法を変えて、図7に示す測定手段により電圧が測定された。
式(1)’は、無次元性能指数ZTを示す式である。この式(1)’の右辺に表されているゼーベック電圧Vs、及び抵抗による電圧Viが測定手段により測定され、無次元性能指数ZTが求められる。なお、Zは性能指数を示し、Tは熱電材3の平均温度を示す。
ZT=Vs/Vi・・・(1)’
式(2)’は、熱電材3の吸熱側と発熱側との温度差の最大値ΔTmaxを示す式である。この式(2)’の右辺に表されている性能指数Zは、式(1)’から求めることできる。
ΔTmax=ZT/2・・・(2)’
この式(2)’より、吸熱側と発熱側との温度差で見たモジュール41の性能が分かる。
一方、式(3)’は、吸熱量の最大値Qmaxを示す式である。ここで、Sはゼーベック係数、Tは吸熱面温度、Rは電気抵抗である。
max=(ST)/2R・・・(3)’
図9は、式(2)’及び式(3)’により求められた第2のモジュール41の最大吸熱量Qmax、及び最大温度差ΔTmaxを基準として、第1のモジュール41のQmax値、及びΔTmax値が改善された割合を示す図である。第1及び第2のモジュール41の熱電材の高さ寸法Htは、それぞれ20μm、50μm、100μmとされた。この第1及び第2のモジュール41の熱電材3がそれぞれ高さ寸法Ht=20μm、50μm、100μmである場合に、その熱電材の高さ寸法Htごとに、熱電材の奥行き寸法Dtと幅寸法Wtとの比が最適化されてQmax値、及びΔTmax値は測定された。この寸法の最適化については、後に詳述する。なお、図9には、参考として、熱電材料として銅が用いられた場合の改善割合が示されている。
図10(A)は、第1のモジュール41(電極の高さ寸法=100μm、電極4の材質=Au−Sn合金(Sn20%)または、Cu)、及び第2のモジュール41(電極の高さ寸法He=3μm、電極4の材質=Au−Sn合金(Sn20%))、のQcmax値と、熱電材3の高さ寸法Htとの関係をグラフ化した図である。
図10(B)は、第1及び第2のモジュール41のΔTmax値と、熱電材3の高さ寸法Htとの関係をグラフ化した図である。
図10に示すように、本発明に係る熱電装置10のQcmax値及びΔTmax値は、従来例に比して上昇している。すなわち、本発明に係る熱電装置10は、熱電性能が向上している。
次に熱電材3の設計寸法の最適化について詳細に説明する。
熱電装置10の熱電性能を向上させるためには、上述のように電極4の高さ寸法Heを大きく構成することが有効である。しかし、熱電装置によって冷却される冷却対象物であるIC(Integrated Circuit)チップや、レイザーダイオードなどの小型化による局所的な発熱量が増加している。したがって、熱電装置10の単位面積あたりの熱電性能を向上させることが望まれている。
本発明者等は、様々な数式から、熱電材3の最適な設計寸法を導き出し、熱電材3の設計寸法の最適化が熱電性能の向上に有効であるという知見を得た。
熱電材3の最適な設計寸法の計算方法について、図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は、モジュールを示す斜視図である。
式(1)は、一般的な熱電装置の吸熱量Qcを示す式である。
=STI−RI/2−KΔT・・・(1)
ここで、STIは、ゼーベック効果による熱輸送量、−RI/2は、ジュール熱により逆流する熱量、−KΔTは、熱伝導により発熱する熱量を示す。また、Sはゼーベック係数、Tは吸熱面温度、Rは電気抵抗、Iは電流、Kは熱コンダクタンス、ΔTは熱電材3の吸熱側と発熱側との温度差である。
この式(1)から最大吸熱量Qmaxを求める。
式(1)の両辺を電流Iで微分し、最大吸熱量Qmaxを与える電流Imaxを求める。
∂Q/∂I=ST−RI・・・(2)
最大吸熱量Qmaxを与える電流Imaxは、式(2)の左辺を0として求めることができる。
Imax=ST/R・・・(3)
したがって、最大吸熱量Qmaxは、式(3)を式(1)に代入して、式(4)として表すことができる。
max=(ST)/2R・・・(4)
ここで、例えば図11に示すモジュール60を熱電装置10がN対有しているとすると、ゼーベック係数Sは、式(5)で表される。なお、αは、P型熱電材3pのゼーベック係数であり、αは、N型熱電材3nのゼーベック係数である。
S=N(|α|+|α|)・・・(5)
上記式(4)から、最大吸熱量Qmaxを大きくするためには、Sを大きくすることが効果的であり、式(5)から、Sを大きくするためには、Nを大きくすることが有効な手段であることが分かる。したがって、単位面積あたりの最大吸熱量Qmaxを大きくするためには、できるだけ熱電材3の断面積(Wt×Dt)を小さくすることで、単位面積あたりのモジュール60の数を大きくすればよい。
しかし、熱電材3の断面積を小さく構成する場合、例えば熱電材3の成型、加工精度、若しくはP型熱電材とN型熱電材とを接合する際の位置決めの制限などが問題となる。この様々な問題により、単位面積あたりのモジュール60の数には、限界が生じる。
そこで、最大吸熱量Qmaxを大きくするために、式(4)の右辺の分母である電気抵抗Rを最小化することが考えられる。
式(6)は、図11に示すモジュール60をN個有する熱電装置10の電気抵抗Rを表す式である。図11に示すモジュール60は、P型熱電材3pとN型熱電材3nとが、それぞれ同じ幅寸法Wt、高さ寸法Ht、奥行き寸法Dtで構成されている。
R=N(2ρtt/Wtt+2ρee/Dee) ・・・(6)
式(6)及び図11に示すWe、He、及びDeは、それぞれ電気抵抗Rを表現するための実効的な電極4の幅寸法、高さ寸法、奥行き寸法である。この電極4のそれぞれの寸法は、例えば電極4と熱電材3とが半田層により接合されている場合には、電極4とこの半田層とを簡略的に一体的な直方体であるものとみなして、この直方体の電気抵抗Rを表現するための実効的な幅寸法、高さ寸法、奥行き寸法を示す場合もある。また、ρtは、P型熱電材3p及びN型熱電材3nの比抵抗の平均値であり、ρeは、電極4の比抵抗である。ρeは、モジュール60が半田層を有している場合には、電極4と半田層を簡略的に一体的な直方体であるものとみなして、この直方体の比抵抗を示す場合もある。
式(6)に示すように、電気抵抗Rを最小化するためには、熱電材3の高さ寸法Htを小さく構成することが有効な手段であることが分かる。しかし、熱電材3の成型、加工精度などの問題により、熱電材3の高さ寸法Ht小さく構成することには限界がある。
そこで、次の電気抵抗Rを最小化するため方法として、熱電材3の幅寸法Wtを最適化することが有効な手段であると考えられる。
式(7)は、電気抵抗Rを表現するための実効的な電極4の幅寸法Weを、熱電材3の幅寸法Wtと、Wgとの関数として表した式である。
e=at+Wg+b1・・・(7)
式(7)に示すWgは、図11に示すように、P型熱電材3pとN型熱電材3nとの幅方向の間隔を示している。この間隔Wgは、熱電材3の幅寸法Wtの関数として、式(8)のように表すことができる。
g=at+b・・・(8)
この式(8)を式(7)に代入することで、式(9)を得る。
e=(a+a)Wt+(b1+b) =aWt+b・・・(9)
ここで、a、a、b1、bは、0以上の実数であり、a=(a+a)、b=(b1+b)である。
この式(9)を式(6)に代入することで、図11に示すモジュール60の電気抵抗Rを式(10)として表すことができる。
R=N{2ρtt/Wtt+2ρe(aWt+b)/Dee }・・・(10)
この式(10)の右辺に表れている熱電材3の幅寸法Wtを変数として考えた場合、電気抵抗Rを最小とする熱電材3の幅寸法Wtが存在することが分かる。
式(10)の両辺を熱電材3の幅寸法Wtで微分し、Rを最小とする熱電材3の幅寸法Wtを求める。
∂R/∂Wt=N{−2ρtt/Wt t+2ρeaWt/Dee }・・・(11)
式(11)の左辺を0として、式(12)を得る。
t={ (ρt/ρe)(De/Dt)(Hte/a) }1/2・・・(12)
この式(12)により、電気抵抗Rを最小とする熱電材3の幅寸法Wtが表される。すなわち、式(12)は、熱電材3の幅寸法Wtの最適値を表している。
さらに、熱電材3の奥行き寸法Dtと、電極4の奥行き寸法Deとが略同一であるとみなせることから、(De/Dt)≒1と近似することができる場合、式(12)は、式(13)と表すことができる。
t={ (ρt/ρe)(Hte/a) }1/2・・・(13)
また、図11に示すモジュール60のP型熱電材3pとN型熱電材3nとは、それぞれ略直方体形状であり、略同一寸法であることから、電極4の電気抵抗について、他の端子部の電気抵抗を無視することができる。この場合、式(7)に示すaは、1とみなすことができるため、式(12)は、式(14)と表すことができる。
t={ (ρt/ρe)(De/Dt){Hte/(1+a) }・・・(14)
次に、P型熱電材3p及びN型熱電材3nの高さ寸法Ht、奥行き寸法Deについては、それぞれ略同一であるが、幅寸法がそれぞれ異なる場合について説明する。
図12は、P型熱電材3p及びN型熱電材3nのそれぞれの幅寸法が異なる場合のモジュールを示す図である。図12に示すように、モジュール70のP型熱電材3pの幅寸法をWtpとし、N型熱電材3nの幅寸法をWtnとする。
ここで、P型熱電材3pの比抵抗をρtpとし、N型熱電材3nの比抵抗をρtnとすると、モジュール70をN個有する熱電装置10の電気抵抗R’は、式(15)と表される。
R’=N(ρtpt/Wtpt+ρtnt/Wtnt+2ρee/Dee ) ・・・(15)
この式(15)に式(16)を代入することで、式(17)を得る。
c=(ρtn/ρtp)( Wtp/Wtn) ・・・(16)
R’=N{ (c+1)ρtpt/Wtpt+2ρee/Dee } ・・・(17)
式(18)は、Weを式(9)と同様にWtpの関数として表した式である。
e=aWtp+b・・・(18)
この式(18)を式(17)に代入し、両辺をWtpで微分することで式(19)を得る。
∂R’/∂Wtp=N{−(c+1)ρtpt/Wtp t+2ρea/Dee}・・・(19)
この式(19)の左辺を0として、電気抵抗R’を最小とするP型熱電材3pの幅寸法Wtpを求める。
tp=[{(c+1)/2}(ρtp/ρe)(De/Dt)(Hte/a)]1/2・・・(20)
この式(20)は、P型熱電材3pの幅寸法Wtpの最適値を表している。
次に、電極4と熱電材3との間の接触電気抵抗がモジュール70全体の電気抵抗を計算する上で無視できないほど大きい場合について説明する。
電極4とP型熱電材3pとの間の単位面積あたりの接触電気抵抗をηcpとし、電極4とN型熱電材3nとの間の単位面積あたりの接触電気抵抗をηcnとすると、モジュール70をN個有する熱電装置10の電気抵抗R’’は、式(21)で表される。
R’’=N(ρtpt/Wtpt+ρtnt/Wtnt+2ηcp/Wtpt+2ηcn/Wtnt+2ρee/Dee ) ・・・(21)
この式(21)に式(22)を代入することで式(23)を得る。
d=(ηcn/ηcp)( Wtp/Wtn) ・・・(22)
R’’=N{ (1+c)ρtpt/Wtpt+2(1+d)ηcp/Wtpt+2ρee/Dee }・・・(23)
この電気抵抗R’’を最小とするP型熱電材3pの幅寸法Wtpについても、上記式(18)〜(20)と同様に、微分を用いて計算することで、式(24)を求めることができる。
tp=[[{ (c+1)ρtpt+2(d+1)ηcp }/2](ρtp/ρe)(De/Dt)(Hte/a) ]1/2・・・(24)
ここで、モジュール70のP型熱電材3pの幅寸法Wtp及びN型熱電材3nが略同じ幅寸法である場合には、電極4の電気抵抗について、他の端子部の電気抵抗を無視することができるためa=1とみなすことができる。この場合、Wtp=Wtn=Wtとして、式(24)は、式(25)と表すことができる。
t=[[{ (ρtp+ρtn) /2}Ht+(d+1)ηcp](ρtp/ρe)(De/Dt){He/(1+a)}]1/2=[{ρtt+(d+1)ηcp}(ρtp/ρe)(De/Dt){He/(1+a)}]1/2・・・(25)
次に、最大吸熱量Qmaxを最大化するために幅寸法Wtが最適化された熱電材3を有するモジュール60の熱電性能について上記式(1)〜式(25)を参照して説明する。
図13は、図11に示すモジュール60の電極4の高さ寸法He、及び奥行き寸法Deと、熱電材3の奥行き寸法Dtとの構成例を示す図である。図13に示す構成例A〜Dは、それぞれHe、De及びDtの組み合わせが異なっており、電極4の奥行き寸法Deは、熱電材3の奥行き寸法Dtの1.2倍となっている。P型熱電材3p及びN型熱電材3nは、それぞれ同じ形状、寸法とされた。また、P型熱電材3p及びN型熱電材3nの比抵抗の平均値ρtは、ρt=1.0×10−5、電極4の比抵抗ρeは、ρe=2.1×10−7、式(7)に示すa及びbは、a=1、b=0、式(8)に示すa及びbは、a=1、b=0とされ、構成例A〜Dに関わらず一定とされた。
図14は、図13に示す構成例A〜Dを条件として、式(12)を用いて、熱電材3の高さ寸法Htごとに幅寸法Wtを最適化し、この最適化された幅寸法Wtと奥行き寸法Dtとの比(以下、アスペクト比=Wt/Dt)を表した図である。
図14に示すように、熱電材3の高さ寸法Htを小さくしていくと、それに伴い、アスペクト比が小さくなる。この関係から、電気抵抗Rを最小化し、最大吸熱量Qmaxを最大とするためには、熱電材3の高さ寸法Htを小さくしていくのに従い、熱電材3の形状を奥行き方向に細長い形状とすればよいことが分かる。
ここで、図14に示すような熱電材3の高さ寸法Htごとに幅寸法Wtが最適化されたモジュール60(以下、最適化モジュール)と、熱電材3の高さ寸法Htに関わらず幅寸法Wtが一定であるモジュール60(以下、一定モジュール)との比較について説明する。なお、一定モジュールのアスペクト比は、1(Wt=Dt)であるとして説明する。
図15は、一定モジュールの最大吸熱量Qmaxを基準とした、最適化モジュールの最大吸熱量Qmaxの割合をQmax比として、熱電材3の高さ寸法Htとの関係を表した図である。図15(A)は、最適化モジュール、及び一定モジュールのそれぞれの電極4の高さ寸法He、奥行き寸法De、及び熱電材3の奥行き寸法Dtの構成をそれぞれ図13に示す構成例Aとした場合のQmax比を示す図である。また、図15(B)、(C)及び(D)は、それぞれ図13に示す構成例B、C及びDに対応している。
図15(A)に示すように、熱電材3の高さ寸法Htが小さくなるのに従い、Qmax比は、一度1に近づく。しかし、熱電材3の高さ寸法が0.2mmよりも小さくなると、Qmax比は、急激に大きくなる。これは、熱電材3の高さ寸法が小さくなり、電極4の電気抵抗が熱電材3の電気抵抗に比して無視できないほど大きくなるのに従って、幅寸法Wtの最適化が有効であることを表している。
図15(B)は、図15(A)に比して、Qmax比が大きい。これは、構成例Bの電極4の高さ寸法Heが、構成例Aの電極4の高さ寸法Heより極端に小さいことから、電極4の電気抵抗が熱電材3の電気抵抗に比して大きいためである。
図15(C)及び図15(D)は、図15(B)に比してQmax比が小さい。これは、構成C及び構成Dの熱電材3の断面積(Wt×Dt)が、構成Bの熱電材3の断面積よりも小さいため、熱電材3の電気抵抗が大きくなってしまうからである。しかし、構成C及び構成Dの熱電材3は、断面積(Wt×Dt)が小さいため、単位面積あたりのモジュール60の個数を増加させることができので、単位面積あたりの最大吸熱量Qmaxを増加させることができる。
本発明の一実施の形態に係る熱電装置を示す斜視図である。 図1に示す熱電装置の断面図である。 熱電装置の製造方法を示す図である。 熱電装置の製造方法を示す図である。 電極をシリコン基板の複数の溝に形成するための処理装置を示す模式図である。 電極をシリコン基板の複数の溝に形成するための他の処理装置を示す模式図である。 熱電装置の熱電性能を測定する測定手段を示す模式図である。 図7に示す測定手段によって熱電性能が測定された測定対象物を示す斜視図である。 式(2)’及び式(3)’により求められた第2のモジュールの最大吸熱量Qmax、及び最大温度差ΔTmaxを基準として、第1のモジュールのQmax値、及びΔTmax値が改善された割合を示す図である。 モジュールのQcmax値と、電極材の高さ寸法Htとの関係をグラフ化した図、またはモジュールのΔTmax値と、電極材の高さ寸法Htとの関係をグラフ化した図である。 P型熱電材とN型熱電材とが、それぞれ同じ幅寸法Wt、高さ寸法Ht、奥行き寸法Dtで構成されているモジュールを示す図である。 P型熱電材及びN型熱電材の高さ寸法Ht、奥行き寸法Deについては、それぞれ略同一であるが、幅寸法がそれぞれ異なるモジュールを示す図である。 図11に示すモジュールの電極の高さ寸法He、及び奥行き寸法Deと、熱電材の奥行き寸法Dtとの構成例を示す図である。 、図13に示す構成例A〜Dを条件として、式(12)を用いて、熱電材3の高さ寸法Htごとに幅寸法Wtを最適化し、この最適化された幅寸法Wtと奥行き寸法Dtとの比を表した図である。 最適化モジュール、及び一定モジュールのそれぞれの電極の高さ寸法He、奥行き寸法De、及び熱電材3の奥行き寸法Dtの構成をそれぞれ図13に示す構成例A、B、C及びDとした場合のQmax比を示す図である
符号の説明
3…熱電材
3p…P型熱電材
3n…N型熱電材
4、4a、4b…電極
4d…金属材料
5、5a、5b…シリコン基板
5d…絶縁膜
6、8…溝
10…熱電装置
11…カプセル材
20、30…処理装置
21…チャンバ
41、60、70…モジュール

Claims (12)

  1. 互いに対向する内面をそれぞれ有し、当該対向する内面にそれぞれ複数の溝を有する1対の基板と、
    P型熱電材及びN型熱電材を有し、前記1対の基板に挟み込まれるように設けられた熱電材アレイと、
    前記複数の溝にそれぞれ設けられ、前記P型熱電材及び前記N型熱電材を繋ぐ複数の電極と
    を具備することを特徴とする熱電装置。
  2. 請求項1に記載の熱電装置であって、
    前記電極は、Ti、Au、Sn、Au−Sn合金、Au−Si合金、Al、Ni、及びCuのうち少なくとも1つの金属材料で形成されることを特徴とする熱電装置。
  3. 請求項1に記載の熱電装置であって、
    前記P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの幅寸法をWt、高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、
    前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、
    前記P型熱電材及びN型熱電材の比抵抗の平均値をρtとし、
    前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、
    前記電極の比抵抗をρeとし、
    前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、
    前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、
    前記P型熱電材及びN型熱電材の幅寸法Wtが下記の式(3)を満たす
    ことを特徴とする熱電装置。
    e=at+Wg+b 式(1)
    g=at+b 式(2)
    t={ (ρt/ρe)(De/Dt)(Hte/a) }1/2 式(3)
    (式(1)及び式(2)のa、a、b、bは、0以上の実数であり、図(3)のaは、a=a+aを満たす。)
  4. 請求項1に記載の熱電装置であって、
    前記P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの幅寸法をWt、高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、
    前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、
    前記P型熱電材及びN型熱電材の比抵抗の平均値をρtとし、
    前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、
    前記電極の比抵抗をρeとし、
    前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、
    前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、
    前記P型熱電材及びN型熱電材の幅寸法Wtが下記の式(3)を満たす
    ことを特徴とする熱電装置。
    e=Wt+Wg+b 式(1)
    g=at+b 式(2)
    t={ (ρt/ρe)(De/Dt)(Hte/(1+a)) }1/2 式(3)
    (式(1)、(2)及び式(3)のa、b、bは、0以上の実数である。)
  5. 請求項1に記載の熱電装置であって、
    前記P型熱電材の幅寸法をWtpとし、前記N型熱電材の幅寸法をWtnとし、P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、
    前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、
    前記P型熱電材の比抵抗をρtpとし、前記N型熱電材の比抵抗をρtnとし、
    前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、
    前記電極の比抵抗をρeとし、
    前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、
    前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、
    前記P型熱電材の幅寸法Wtpが下記の式(3)を満たす
    ことを特徴とする熱電装置。
    e=at+Wg+b 式(1)
    g=at+b 式(2)
    tp=[{ (c+1)/2}(ρtp/ρe)(De/Dt)(Hte/a)]1/2 式(3)
    (式(1)及び式(2)のa、a、b、bは、0以上の実数であり、式(3)のaは、a=a+aを満たし、式(3)のcは、c=(ρtn/ρtp)( Wtp/Wtn)を満たす。)
  6. 請求項1に記載の熱電装置であって、
    前記P型熱電材の幅寸法をWtpとし、前記N型熱電材の幅寸法をWtnとし、P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、
    前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、
    前記P型熱電材の比抵抗をρtpとし、前記N型熱電材の比抵抗をρtnとし、
    前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、
    前記電極の比抵抗をρeとし、
    前記P型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcpとし、前記N型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcnとし、
    前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、
    前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、
    前記P型熱電材の幅寸法Wtpが下記の式(3)を満たす
    ことを特徴とする熱電装置。
    e=at+Wg+b1 式(1)
    g=at+b 式(2)
    tp=[[{ (c+1)ρtpt+2(d+1)ηcp}/2](ρtp/ρe)(De/Dt)(Hte/a) ]1/2 式(3)
    (式(1)及び式(2)のa、a、b、bは、0以上の実数であり、式(3)のaは、a=a+aを満たし、式(3)のcは、c=(ρtn/ρtp)( Wtp/Wtn)を満たし、図(3)のdは、d=(ηcn/ηcp)( Wtp/Wtn)を満たす。)
  7. 請求項1に記載の熱電装置であって、
    前記P型熱電材及びN型熱電材のそれぞれの幅寸法をWt、高さ寸法をHt、奥行き寸法をDtとし、
    前記P型熱電材と前記N型熱電材との幅寸法方向の間隔をWgとし、
    前記P型熱電材の比抵抗をρtpとし、前記N型熱電材の比抵抗をρtnとし、
    前記電極の高さ寸法をHe、幅寸法をWe、奥行き寸法をDeとし、
    前記電極の比抵抗をρeとし、
    前記P型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcpとし、前記N型熱電材と前記電極との単位面積あたりの接触電気抵抗をηcnとし、
    前記電極の幅寸法Weが下記の式(1)を満たし、
    前記間隔Wgが下記の式(2)を満たすとき、
    前記P型熱電材及びN型熱電材の幅寸法Wtが下記の式(3)を満たす
    ことを特徴とする熱電装置。
    e=Wt+Wg+b1 式(1)
    g=at+b 式(2)
    t=[[{ (ρtp+ρtn) /2}Ht+(d+1)ηcp](ρtp/ρe)(De/Dt){He/(1+a)}]1/2 式(3)
    (式(1)、(2)及び式(3)のa、b、bは、0以上の実数であり、式(3)のcは、c=(ρtn/ρtp)を満たし、式(3)のdは、d=(ηcn/ηcp)を満たす。)
  8. 第1の基板の内面に設けられた複数の溝に第1の電極をそれぞれ形成し、
    第2の基板の内面に設けられた複数の溝に第2の電極をそれぞれ形成し、
    第3の基板の内面に設けられた複数の溝にP型熱電材を形成し、
    第4の基板の内面に設けられた複数の溝にN型熱電材を形成し、
    前記第1の基板の内面及び前記第3の基板の内面を対向させることで、前記第1の電極及び前記P型熱電材を接合し、
    前記第2の基板の内面及び前記第4の基板の内面を対向させることで、前記第2の電極及び前記N型熱電材を接合し、
    前記第3の基板及び前記第4の基板を除去し、
    前記第1の基板の内面及び前記第2の基板の内面を対向させることで、前記第1の電極及びN型熱電材を接合し、かつ、前記第2の電極及びP型熱電材を接合する
    ことを特徴とする熱電装置の製造方法。
  9. 請求項8に記載の熱電装置の製造方法であって、
    前記第3の基板及び前記第4の基板を除去する前に、さらに前記第1及び第2の基板に保護皮膜を生成する
    ことを特徴とする熱電装置の製造方法。
  10. 請求項8に記載の熱電装置の製造方法であって、
    前記第1の基板の内面に設けられた複数の溝に電極を形成するステップは、
    前記第1の電極を構成する金属材料と前記第1の基板の内面とを接触させ、
    前記金属材料と前記第1の基板とをカプセルで真空封止し、
    前記金属材料と前記第1の基板とが真空封止された前記カプセルを加圧し、かつ、加熱する
    ことを特徴とする熱電装置の製造方法。
  11. 請求項8に記載の熱電装置の製造方法であって、
    前記第1の基板の内面に設けられた複数の溝に電極を形成するステップは、
    第1の圧力に調節されたチャンバ内で前記電極を構成する溶融された金属材料に前記第1の基板を浸漬し、
    前記チャンバ内の圧力を前記第1の圧力より高い第2の圧力とする
    ことを特徴とする熱電装置の製造方法。
  12. 請求項8に記載の熱電装置の製造方法であって、
    第3の基板の内面に設けられた複数の溝にP型熱電材を形成するステップは、
    前記P型熱電材を構成するP型熱電材料と前記第1の基板の内面とを接触させ、
    前記P型熱電材料と前記第1の基板とをカプセルで真空封し、
    前記P型熱電材料と前記第1の基板とが真空封止された前記カプセルを加圧し、かつ、加熱する
    ことを特徴とする熱電装置の製造方法。
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