JP2009041461A - 車両の運動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
アクセル開度と機関回転速度または車速等によって設定される目標加速度に対し、その微分値(目標躍度)が、車両駆動系によって実現可能な瞬間下限躍度と、車両の乗員に加わるショックを制限するための車両の常用下限躍度を超えないように制限し、該制限した目標加速度に基づいて、スロットル開度による吸入空気量制御を行うことにより、該制限後の目標加速度に実減速度を追従させることができ、減速応答性を最大限高め、かつ、ショックも抑制することができる。
【選択図】図5
Description
しかしながら、実際には、スロットル弁での吸入空気量制御でのトルク制御の応答遅れによって、良好に目標加速度に追従した走行を行うことができなかった。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、加速度の微分値である躍度を適切に制限することによって、目標値に近い加速度(減速度)で走行できるようにすることを目的とする。
を含んで構成した。
図1は、本発明に係る車両の運動制御装置が適用される車両用内燃機関のシステム図である。
前記電制スロットル7は、バタフライ式のスロットルバルブ7aをスロットルモータ(スロットルアクチュエータ)7bで開閉駆動する機構である。
但し、燃料噴射弁9が燃焼室10内に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式内燃機関であっても良い。
前記点火プラグ15それぞれには、パワートランジスタを内蔵する点火コイル16が直付けされており、前記点火コイル16への通電を制御することで、前記点火プラグ15の点火時期及び点火エネルギーが調整される。
前記排気ダクト13には、排気中の有害成分を浄化するための触媒コンバータ14が介装される。
前記各種センサとしては、前記電制スロットル7の上流側で内燃機関1の吸入空気流量Qa(質量流量)を検出するエアフローメータ22、前記触媒コンバータ14の上流側で排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する空燃比センサ23、内燃機関1の回転速度Neを検出する回転速度センサ24、運転者が操作するアクセルペダル25の踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ26、前記スロットルバルブ7aの開度TVOを検出するスロットルセンサ27、内燃機関1が搭載される車両の走行速度(車速)Vを検出する車速センサ28などが設けられている。
前記エンジンコントロールユニット21は、前記燃料噴射弁9による燃料噴射量を以下のようにして制御する。
前記燃料噴射弁9が、その開弁時間に比例する量の燃料を噴射するように、燃料噴射弁9に供給される燃料の圧力が調整されるようになっており、前記噴射パルス信号のパルス幅、即ち、燃料噴射弁9の開弁時間に比例する量の燃料が噴射される。
ここで、本発明に係る構成として、減速時に応答よく減速を行いつつショックを回避するため、瞬間下限躍度と常用下限躍度とで目標加速度を制限するように、吸入空気量を制御する。
常用下限躍度演算部は、車両の乗員に加わるショックを制限できる常用下限躍度dαmin0を演算する。具体的には、−5m/s3以下に設定し、車種によっても適正値が相違するので、−5m/s3〜−20m/s3の範囲内で適正値に設定する。この範囲は、将来的な性能向上に応じて変化しうることは勿論である。
目標加速度演算部は、アクセル開度と機関回転速度または車速とに基づいて設定した目標加速度の基本値tα0を、加速度の微分値である躍度が前記常用下限躍度dαmin0以上、かつ、瞬間下限躍度dαmin1以上に維持されるように制限した目標加速度tαを演算する。
スロットル制御部は、前記電制スロットル7を、前記目標吸気圧力tPBを得るのに必要なスロットル開度TVOとなるように制御する。
図3は、目標加速度を常用下限躍度dαmin0で制限した場合(B)の作用を、制限しない場合(A)と比較して示している。
アクセル開度の急減に伴い目標加速度tαも急減し、制限を行わない場合は、吸入空気量制御の遅れによって、実加速度の減少(実減速度)が追従できないまま、目標加速度tαが最小となる付近でこの目標加速度tαに維持しようとしてスロットル開度の増大制御に転じてしまう。この結果、本来急減速を所望しているにも関わらず、スロットル開度を最小に維持する時間が短すぎて、却って実際の減速が遅れてしまい、要求とおりの減速性が得られない。
瞬間下限躍度dαmin1によって目標加速度tαの減少を緩やかにし、実減速度を追従させて減速応答性を高めつつ、常用下限躍度dαmin0以上に維持することにより、ショックも抑制することができる。
車両の駆動源である内燃機関1のトルク変化が瞬間下限躍度を決める主要因であり、吸入空気量(吸気圧力)でトルク制御を行う機関では、吸入空気量変化(吸気圧力変化)がトルク変化に相当する。
ステップS11では、下限有効スロットル開度tTVOminを演算する。これは、図8に示すように、現在の目標スロットル開度(前回算出値)tTVOzに、電制スロットル7によってスロットルバルブ7aを最大速度で閉方向に駆動したときの次回算出時までのスロットル開度変化量dTVOを減算し、この減算した値と、最小開度TVOmin(例えば、0.5°)とのうち、大きい方を選択して求める。簡易的には、最小開度TVOminを下限有効スロットル開度tTVOminとしてもよいが、上記の演算により、現実に取り得る目標値に近づけて、精度を高めることができる。
ステップS13では、一次元定常エントロピー流れとして、前記下限有効スロットル開口面積tAminに基づいて、次式に示すスロットルバルブ下流のコレクタに流入する下限吸気流量n_in_minを演算する。
具体的には、図9に示すように、前記下限有効スロットル開口面積tAminに、スロットルバルブ7aをバイパスする吸気通路(アイドル制御弁やアシストエア通路など)の開口面積Aetcを加算した下限有効開口面積tAminと、スロットルバルブ7aの前後圧力比の目標値tPB/P0を臨界圧で制限した上で変換して求めた流量係数Fcとを乗じ、この値を、吸気温度Tに吸気(空気)のガス定数Rを乗じた値の平方根(TR)1/2で除し、モル流量に換算して算出する。
ηvはシリンダ体積効率、Veは排気量である。
具体的には、図10に示すように、目標吸気圧力tP1を、吸気温度Tとガス定数Rとの乗算値T・Rで除した値と、機関回転速度Neに基づいてマップ参照等によって求めた体積効率ηvと、サイクル換算定数1/120と、排気量Veと、を乗じてモル流量として演算する。
Rはガス定数、Tは吸気温度、Vcはコレクタ容積である。
すなわち、図11に示すように、単位時間内に、コレクタに流入する吸気流量n_in_minから流出する吸気流量n_outを差し引いて、コレクタ内の吸気量の変化量を算出し、この吸気量変化量を吸気圧力変化量に換算して算出する。
dTE=dPBmin/a(Ne)・・・(4)
a(Ne)は、吸気圧力変化dPBに対する図示トルク変化dTEの傾きa(=dTE/dPB)であり、機関回転速度Neの関数として示される。
そこで、図13に示すように、傾きa(Ne)をマップ化しておけば、機関回転速度Neに基づいて検索した傾きa(Ne)を用いるだけの極めて容易な演算で、瞬間下限図示トルク変化dTEminを算出することができる。
RDは駆動輪の半径、iは減速比、Iは車体等価慣性モーメント、IEは駆動系回転部分の慣性モーメント
具体的には、図14に示すようにして算出する。
上記のように選択した大きい方の下限躍度dαminと、制限無しでの目標躍度tdαBとのうち、大きい方を、最終的な目標躍度tdαとして選択する。
すなわち、常用下限躍度dαmin0と瞬間下限躍度dαmin1との大きい方の下限躍度dαminで制限した目標加速度tαが設定される。
ステップS21では、上記のように演算された目標加速度tαを読み込む。
tF=(M+ME)/g・α+μr・M+μ1・Ac・V2・・・(6)
Mは車重、MEは駆動系回転部分の重量、μrは転がり抵抗係数、Acは車の前面投影面積、Vは車速である。
tTE0=F・RD/(i・ηt・t)+Tetc・・・(7)
右辺の前項は、前記目標駆動力Fの発生に必要なトルク、Tetcは、駆動軸・エンジンのフリクションや慣性モーメント、補機負荷等を加算したトルクである。
この演算を行う代わりに、目標図示エンジントルクtTEiから、上述の図9に示したエンジントルクと吸気圧力との関係を用いて、次式により、目標吸気圧力tPBを算出するようにしてもよい。
b(Ne)は、機関回転速度Neの関数で示される切片であり、マップを作成して機関回転速度Neに基づいて検索する構成とすればよく、機関回転速度Neによる相違が小さい場合は、平均的な値を固定値として用いるようにしてもよい。
tPB=a(Ne)・tTE0/ηE+b(Ne)・・・(9)
以上のように、a(Ne)のマップを共用すれば、複雑な演算を行うことなく、容易に目標吸気圧力tPBを算出することができる。
具体的には、前記瞬間吸気圧力変化dPBminを、コレクタ流出流量n_outと下限吸気流量n_in_min(コレクタ流入流量)とを用いて算出したのと同様の手法で演算することができる。すなわち、コレクタ流出流量n_outを前記同様に(2)式を用いて算出すると共に、目標吸気圧力変化d(tPB)を目標吸気圧力tPBの微分(今回値と前回値との偏差)演算等で算出し、これら、n_out及びd(tPB)を用いて、(3)式を変形した形の次式により算出する。
ステップS26では、前記コレクタ流入流量n_inを得るための目標スロットル開口面積tAを、(1)式を変形した形の次式により演算する。
そして、エンジンコントロールユニット21は、前記目標スロットル開度tTVOを実現すべく、前記スロットルモータ(スロットルアクチュエータ)7bをフィードバック制御することで、目標加速度tαを実現する。
目標加速度tdαを常用下限躍度以上の躍度となるように制限することは第1の実施形態と同様であるが、瞬間下限躍度で直接制限する代わりに、目標加速度に応じて算出される目標吸気圧力の変化が瞬間吸気圧力変化以上とならないように目標吸気圧力を制限して設定する。
このように、瞬間下限圧力変化で制限する構成とすれば、瞬間下限躍度を算出する前に算出されるから、演算が簡単になり、プログラムサイズや演算負荷を軽減して、より安価なマイクロコンピュータ(CPU)を使用でき、製造コストを低減できる。
図19は、目標加速度を下限躍度と共に、上限躍度によっても制限する第3の実施形態の制御ブロック図を示す。
これら常用上限躍度dαmax0と瞬間上限躍度dαmax1のうち、小さい方を上限躍度dαmaxとして選択した上で、前記下限躍度dαmin以上に制限した目標躍度と比較し、小さい方を選択することで、上限躍度dαmax以下に制限した最終的な目標躍度を算出する。
瞬間上限躍度dαmax1は、以下のように算出する。
すなわち、瞬間上限躍度dαmax1以下に制限することによって、スロットルバルブ7aを最大開度に保持する時間を長引かせて加速応答性を高められ、また、常用上限躍度dαmax0以下に制限することによって、加速ショックも効果的に抑制することができる。
Claims (9)
- 運転者が車両の運転を制御すべく操作する操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、
前記操作量に基づいて車両の目標加速度を演算する目標加速度演算手段と、
車両駆動系によって実現可能な瞬間限界躍度を演算する瞬間限界躍度演算手段と、
前記目標加速度を、その微分値である目標躍度が前記瞬間限界躍度を超えないように制限する目標加速度制限手段と、
前記制御威厳した目標加速度に追従して車両を運動させるように、車両駆動系を制御する駆動系制御手段と、
を含んで構成したことを特徴とする車両の運動制御装置。 - 車両の乗員に加わるショックを制限するための車両の常用限界躍度を演算する常用限界躍度演算手段を含み、
前記目標加速度制限手段は、目標加速度を、目標躍度が前記瞬間限界躍度及び常用限界躍度を超えないように制限することを特徴とする請求項1に記載の車両の運動制御装置。 - 前記瞬間限界躍度または常用限界躍度は、車両駆動出力を減少時に加速度減少方向の限界値である瞬間下限躍度または常用下限躍度であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の運動制御装置。
- 前記瞬間限界躍度または常用限界躍度は、車両駆動出力を増大時に加速度増大方向の限界値である瞬間上限躍度または常用上限躍度であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の運動制御装置。
- 前記駆動系制御手段は、車両搭載内燃機関の吸気系に備えられるスロットル弁の開度を制御することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の車両の運動制御装置。
- 前記瞬間限界躍度演算手段は、前記スロットル弁の有効開度作動範囲から有効限界開度を演算し、少なくとも前記有効限界開度と吸気圧力とから限界吸気流量を演算し、少なくとも機関回転速度と吸気圧力とからシリンダ流入吸気流量を演算し、前記限界吸気流量と前記シリンダ流入吸気流量とから瞬間限界吸気圧力変化を演算し、前記瞬間限界吸気圧力変化が実現したときに予測される瞬間限界躍度を演算することを特徴とする請求項5に記載の車両の運動制御装置。
- 前記瞬間限界躍度演算手段は、前記スロットル弁の有効開度作動範囲から有効限界開度を演算し、少なくとも前記有効限界開度と吸気圧力とから限界吸気流量を演算し、少なくとも機関回転速度と吸気圧力とからシリンダ流入吸気流量を演算し、前記限界吸気流量と前記シリンダ流入吸気流量とから瞬間限界吸気圧力変化を演算し、前記瞬間限界吸気圧力変化によって目標吸気圧力の変化量を制限することを特徴とする請求項5に記載の車両の運動制御装置。
- 前記瞬間限界躍度演算手段は、機関回転速度の関数として求めた傾きを有した一次方程式を用いて、吸気圧力変化と機関トルク変化との相互変換演算を行うことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の車両の運動制御装置。
- 前記傾きを用いて、吸気圧力と機関トルクとの相互変換演算を共有して行うことを特徴とする請求項8に記載の車両の運動制御装置。
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