JP2009040908A - 乾式表面処理炭酸カルシウム及びその製造方法並びにポリマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境衛生の面から好ましく、かつポリマーへの配合において従来の湿式法による表面処理炭酸カルシウムと同程度に優れた性能を発揮することができる乾式表面処理炭酸カルシウムを得る。
【解決手段】乾式法で表面処理された炭酸カルシウムであって、一次粒子径が0.1〜10μmである炭酸カルシウムの表面に、炭酸カルシウム100重量部に対して0.01〜10重量部の有機酸エステル及び有機酸カルシウムからなる有機層が表面処理により形成され、有機層における有機酸カルシウムの含有量が5〜95重量%であることを特徴としている。
【選択図】なし
【解決手段】乾式法で表面処理された炭酸カルシウムであって、一次粒子径が0.1〜10μmである炭酸カルシウムの表面に、炭酸カルシウム100重量部に対して0.01〜10重量部の有機酸エステル及び有機酸カルシウムからなる有機層が表面処理により形成され、有機層における有機酸カルシウムの含有量が5〜95重量%であることを特徴としている。
【選択図】なし
Description
本発明は、乾式法で表面処理された炭酸カルシウム及びその製造方法並びに該炭酸カルシウムを含むポリマー組成物に関するものである。
炭酸カルシウムは古くから“Filler(フィラー)”として、ゴム、プラスチックス、製紙、塗料、インキ、シーラント、食品添加物、化粧品、農薬など幅広い分野で利用されている。
炭酸カルシウムには天然品と合成品の二種類がある。天然品は石灰石を機械的に粉砕分級したもので一次粒子径は数μm程度である。一方、合成品は炭酸ガス化合法に代表される化学合成で得られるもので、非常に微細な粒子を形成することが可能である。反応条件によっては一次粒子径がナノオーダーのものが得られ、通常、このようなサイズのものには乾燥凝集を抑制する目的で「表面処理」が施されている。
表面処理方法としては、湿式法と乾式法が知られている。湿式法は、炭酸カルシウムの水懸濁液に、脂肪酸のナトリウム塩などの表面処理剤を添加して行われる。脂肪酸ナトリウム塩などの表面処理剤は、炭酸カルシウムの水懸濁液中で、カルシウムイオンと反応し、脂肪酸カルシウムなどの形態で炭酸カルシウムの表面に付着するものと考えられている。しかしながら、これらの湿式法では、炭酸カルシウム表面に付着できなかった表面処理剤が、脱水工程で濾水中に混入する可能性があり、河川に表面処理剤が流出した場合に、環境汚染などの問題を生じるおそれがある。
一方、乾式法は、水を介さずに、直接炭酸カルシウムの表面に表面処理を行うことができ、環境衛生の面から好ましい表面処理方法である。しかしながら、乾式法で表面処理したものは、湿式法で表面処理したものに比べ、ポリマーに配合した場合において良好な分散性が得られないなどの問題があった。また、表面処理剤の種類によっては、ポリマーに配合した際、熱安定性が低下するなどの問題を生じた。
特許文献1は、脂肪酸もしくは脂肪酸の塩と、脂肪酸エステルとを用いて炭酸カルシウムを表面処理することを開示している。特許文献1の実施例においては、湿式法により、脂肪酸もしくは脂肪酸の塩と、脂肪酸エステルからなる表面処理剤を用いて表面処理している。特許文献1には、これらの表面処理剤を用いて重質炭酸カルシウムを処理する場合には、乾式法で表面処理することが好ましいことが記載されているが、具体的な表面処理については示されておらず、また表面処理の条件についても開示されていない。
特開2007−45935号公報
本発明の目的は、環境衛生の面から好ましく、かつポリマーへの配合において、従来の湿式法による表面処理炭酸カルシウムと同程度に優れた性能を発揮することができる乾式表面処理炭酸カルシウム及びその製造方法並びにこれを用いたポリマー組成物を提供することにある。
本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムは、表面処理剤として有機酸エステルを使用し、これを乾式法で表面処理した炭酸カルシウムであって、平均一次粒子径が0.1〜10μmである炭酸カルシウムの表面に、炭酸カルシウム100重量部に対して0.01〜10重量部の有機酸エステル及び有機酸カルシウムからなる有機層が表面処理により形成され、有機層における有機酸カルシウムの含有量が5〜95重量%であることを特徴としている。
本発明においては、表面処理の対象となる炭酸カルシウムとして、平均一次粒子径が0.1〜10μmである炭酸カルシウムを用い、炭酸カルシウム100重量部に対して、0.01〜10重量部の有機酸エステル及び有機酸カルシウムからなる有機層を表面処理により形成している。また、有機層における有機酸カルシウムの含有量が5〜95重量%となるように表面処理している。
本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムは、乾式法により表面処理された炭酸カルシウムであるので、製造工程において、表面処理剤が河川等に流出することがないため、環境汚染を生じることがなく、環境衛生面から好ましい。また、本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムは、ポリマーに配合した際に、従来の湿式法による表面処理炭酸カルシウムと同程度に優れた性能を発揮することができる。
本発明において、表面処理の対象となる炭酸カルシウムの平均一次粒子径は0.1〜10μmの範囲内であり、より好ましくは0.1〜5μmの範囲内である。
本発明において、一次粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて観察し測定することができる。一般には、透過型電子顕微鏡により1万個の炭酸カルシウムを粒子径を測定し、この粒子径を平均して、平均一次粒子径を求める。平均一次粒子径が0.1μm未満であると、乾燥凝集を起こしやすく、ポリマー中への分散性が低下し、補強効果が損なわれるおそれがある。また、平均一次粒子径が10μmを超えると、ポリマーに配合した場合の補強効果が十分に得られない場合がある。
本発明においては、炭酸カルシウム100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲内の有機層を表面処理して形成する。本発明において、この有機層は、有機酸エステル及び有機酸カルシウムからなり、有機層における有機酸カルシウムの含有量は5〜95重量%であることが好ましく、さらには10〜95重量%であることが好ましい。従って、有機層における有機酸エステルの含有量は95〜5重量%であることが好ましく、さらには90〜5重量%であることが好ましい。有機層における有機酸カルシウムの含有量が少な過ぎると、ポリマーに配合した際に、良好な分散性が得られない場合がある。
本発明において、有機層の量は、炭酸カルシウム100重量部に対し、0.01〜10重量部であり、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。有機層の量は、表面処理の対象となる炭酸カルシウムのBET比表面積などに応じて適宜調整される。炭酸カルシウムに対する有機層の量が少な過ぎる場合には、ポリマーに配合したときの分散性が低下し、また、耐熱性等が低下する場合がある。また、有機層の量が多過ぎると、有機層中に含有される有機酸エステルが軟化剤として働き、ポリマーの固さを低下させてしまう場合がある。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
(炭酸カルシウム)
本発明において、原料となる炭酸カルシウムとしては、特に制限はなく、公知の重質炭酸カルシウム、合成(沈降性)炭酸カルシウムなどを用いることができる。
本発明において、原料となる炭酸カルシウムとしては、特に制限はなく、公知の重質炭酸カルシウム、合成(沈降性)炭酸カルシウムなどを用いることができる。
重質炭酸カルシウム原料は、天然に産出する炭酸カルシウム原石を、ローラーミル、高速回転ミル(衝撃剪断ミル)、容器駆動媒体ミル(ボールミル)、媒体撹拌ミル、遊星ボールミル、ジェットミルなどを用いる公知の、乾式または湿式の方法で粉砕することにより、調整できる。
合成(沈降性)炭酸カルシウム原料は、石灰乳−炭酸ガス反応法、塩化カルシウム−ソーダ灰反応法、石灰乳−ソーダ灰反応法等などの公知の方法により得ることができる。石灰乳−炭酸ガス反応法の一例を示すと、石灰石原石を、コークスあるいは石油系燃料(重油、軽油)、天然ガス、LPG等で混焼することによって生石灰とし、この生石灰を水和して水酸化カルシウムスラリーとし、これに混焼時に発生する炭酸ガスをバブリングして反応させることによって、炭酸カルシウムを生成することができる。炭酸ガス反応時の条件を設定することによって、所望のサブミクロンオーダーの微粒子を得ることができる。
本発明における原料となる炭酸カルシウムのBET比表面積は、特に限定されるものではないが、通常、1〜20m2/g程度である。BET比表面積のより好ましい範囲は、2〜20m2/g程度であり、さらに好ましい範囲は5〜20m2/g程度である。
原料となる炭酸カルシウムのBET比表面積が大きすぎる場合には、製造工程中に乾燥凝集を生じるため好ましくない。一方、原料となる炭酸カルシウムのBET比表面積が小さすぎる場合には、充填剤粒子の微細化の効果が減少し、ポリマーに配合した場合の補強効果が低下するおそれがある。
BET比表面積は、気体吸着法により、炭酸カルシウムへの窒素ガスへの吸着量を検出することにより、測定することができる。
(有機酸エステル)
本発明において用いる有機酸エステルとしては、炭素数が6〜24程度の飽和もしくは不飽和の脂肪酸のエステルが挙げられる。
本発明において用いる有機酸エステルとしては、炭素数が6〜24程度の飽和もしくは不飽和の脂肪酸のエステルが挙げられる。
このような脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、牛脂脂肪酸メチル、ヤシ脂肪酸メチル、植物脂肪酸メチル、植物脂肪酸ブチルなどが挙げられる。また、一価のアルコールから生成されるエステルのみならず、グリセリン等の多価アルコールから生成する脂肪酸エステルも使用できる。このようなものとして、例えば、トリステアリルグリセライド、ジステアリルグリセライド、モノステアリルグリセライド、トリパルミチルグリセライド、牛脂油、パーム油、大豆油等の天然油脂等が挙げられる。
本発明における有機酸エステルは、そのアルコール成分が炭素数4以下のアルコール成分であることが特に好ましい。従って、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール成分であることが好ましい。従って、脂肪酸メチル、脂肪酸エチル、脂肪酸イソプロピル、脂肪酸ブチル、脂肪酸イソブチルなどであることが好ましい。このような炭素数4以下のアルコール成分の有機酸エステルを用いることにより、加熱により比較的容易に加水分解、炭酸カルシウムと反応することにより脂肪酸カルシウムを生成し、また不要なアルコール成分は分子量が低いために比較的容易に揮発する。
(乾式表面処理炭酸カルシウムの製造方法)
本発明の製造方法は、上記本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムを製造することができる方法であり、炭酸カルシウム粉末に有機酸エステルを添加して攪拌し、材料温度を80℃〜220℃の範囲内に加熱して、有機酸エステルと炭酸カルシウムを反応させて、有機酸カルシウムを含む有機層を炭酸カルシウムの表面に形成することを特徴としている。
本発明の製造方法は、上記本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムを製造することができる方法であり、炭酸カルシウム粉末に有機酸エステルを添加して攪拌し、材料温度を80℃〜220℃の範囲内に加熱して、有機酸エステルと炭酸カルシウムを反応させて、有機酸カルシウムを含む有機層を炭酸カルシウムの表面に形成することを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムを効率良く製造することができる。
本発明の製造方法においては、炭酸カルシウムの粉末に有機酸エステルを添加して攪拌する。攪拌装置は、特に限定されるものではないが、炭酸カルシウムの乾式表面処理に従来から一般に用いられている装置を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダなどが挙げられる。
本発明の製造方法においては、有機酸エステルを添加して攪拌する際、材料温度を80℃〜220℃の範囲内に加熱する。より好ましくは、80℃〜150℃の範囲内であり、さらに好ましくは、90℃〜130℃の範囲内である。加熱温度が低過ぎると、有機酸エステルと炭酸カルシウムを反応させて、有機酸カルシウムを十分に生成させることができない場合がある。また、加熱温度が高過ぎると、有機酸エステルが多量に揮発したり、分解したりするおそれがある。表面処理の時間は、特に限定されるものではないが、一般には、5分程度以上であることが好ましく、さらに好ましく、10分〜2時間程度である。表面処理時間が短過ぎると、有機酸エステルと炭酸カルシウムを反応させて有機酸カルシウムを十分に生成させることができない場合がある。また、表面処理時間が長過ぎると、処理剤が多量に揮発したり分解したりする場合がある。
(ポリマー組成物)
本発明のポリマー組成物は、ポリマー100重量部に対し、上記本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムを1〜150重量部配合したことを特徴としている。
本発明のポリマー組成物は、ポリマー100重量部に対し、上記本発明の乾式表面処理炭酸カルシウムを1〜150重量部配合したことを特徴としている。
炭酸カルシウムのさらに好ましい配合量は、ポリマー100重量部に対し、5〜120重量部であり、さらに好ましくは、10〜100重量部である。炭酸カルシウムの配合量が多過ぎると、ポリマーの流動性が低下するため、加工性が悪くなる。また、硬度が上がり過ぎるという問題も生じる。一方、炭酸カルシウムの配合量が少な過ぎると、加工性の改善、補強性の向上などの機能を発現させることができない場合がある。
本発明のポリマー組成物におけるポリマーとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、合成樹脂、熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。
天然ゴムとは、天然植物から得られるゴム状高分子物質であり、化学構造的に、シス−1,4−ポリイソプレン構造を有するものであれば、形状、色調などは特に限定されない。
合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴムなどを例示することができる。
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂の双方を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレンホモポリマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリブテン、ブチルゴム、HIPS、PS、ABS、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、MMA−スチレン共重合体、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド12、ポリアミド46等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、PBT、PET等のポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、フッ素樹脂、ポリウレタン、アイオノマー、塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、ポリジシクロペンタジエン、メチルペン樹脂、ポリアクリロニトリル繊維素樹脂等などを例示することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アリルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂及びこれらのハロゲン化物等のエポキシ樹脂、ポリウレタン(注型品用)、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、尿素樹脂、アリル樹脂(DAP)、ポリイミド、ケイ素樹脂(含常温硬化)などを例示することができる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、塩素系熱可塑性エラストマー、エンジニアリングプラスチックス系エラストマーなどを例示することができる。
本発明によれば、環境衛生の面から好ましく、かつポリマーへの配合において従来の湿式法による表面処理炭酸カルシウムと同程度に優れた性能を発揮することができる表面処理炭酸カルシウムとすることができる。
本発明の表面処理炭酸カルシウムは、例えば、ゴム、プラスチック、シーリング剤、塗料インキなどの種々の分野において用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
平均一次粒子径が0.1μmである合成炭酸カルシウム粉末(BET比表面積13.5m2/g)を混合攪拌しながら90℃に加熱した。この合成炭酸カルシウム粉末100重量部に対して、90℃に加熱溶融したステアリン酸メチルエステル3重量部を添加し、90℃で30分間攪拌混合した。得られた乾式表面処理炭酸カルシウム粉末を、炭酸カルシウムAとする。
平均一次粒子径が0.1μmである合成炭酸カルシウム粉末(BET比表面積13.5m2/g)を混合攪拌しながら90℃に加熱した。この合成炭酸カルシウム粉末100重量部に対して、90℃に加熱溶融したステアリン酸メチルエステル3重量部を添加し、90℃で30分間攪拌混合した。得られた乾式表面処理炭酸カルシウム粉末を、炭酸カルシウムAとする。
(実施例2)
平均一次粒子径が0.1μmである合成炭酸カルシウム粉末に代えて、平均一次粒子径が0.15μmである合成炭酸カルシウム粉末(BET比表面積10.5m2/g)を用いる以外は、実施例1と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムBとする。
平均一次粒子径が0.1μmである合成炭酸カルシウム粉末に代えて、平均一次粒子径が0.15μmである合成炭酸カルシウム粉末(BET比表面積10.5m2/g)を用いる以外は、実施例1と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムBとする。
(実施例3)
平均一次粒子径が3μmである天然炭酸カルシウム粉末(BET比表面積3.4m2/g)を混合攪拌しながら、90℃に加熱した。この炭酸カルシウム粉末100重量部に対して、90℃に加熱溶融したステアリン酸メチルエステル1重量部を添加し、90℃で30分間加熱した。得られた乾式表面処理炭酸カルシウム粉末を、炭酸カルシウムCとする。
平均一次粒子径が3μmである天然炭酸カルシウム粉末(BET比表面積3.4m2/g)を混合攪拌しながら、90℃に加熱した。この炭酸カルシウム粉末100重量部に対して、90℃に加熱溶融したステアリン酸メチルエステル1重量部を添加し、90℃で30分間加熱した。得られた乾式表面処理炭酸カルシウム粉末を、炭酸カルシウムCとする。
(実施例4)
表面処理の際の加熱温度を90℃に代えて、150℃とする以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムDとする。
表面処理の際の加熱温度を90℃に代えて、150℃とする以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムDとする。
(実施例5)
表面処理の際の混合攪拌時間を30分間に代えて、60分間とする以下は、実施例2と同様にして、乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムEとする。
表面処理の際の混合攪拌時間を30分間に代えて、60分間とする以下は、実施例2と同様にして、乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムEとする。
(実施例6)
ステアリン酸メチルエステルの代わりに、パルミチン酸メチルエステルを用いる以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムFとする。
ステアリン酸メチルエステルの代わりに、パルミチン酸メチルエステルを用いる以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムFとする。
(比較例1)
ステアリン酸メチルエステルの代わりに、ステアリン酸を用いる以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムGとする。
ステアリン酸メチルエステルの代わりに、ステアリン酸を用いる以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムGとする。
(比較例2)
表面処理の際の加熱温度を90℃に代えて、50℃とする以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムHとする。
表面処理の際の加熱温度を90℃に代えて、50℃とする以外は、実施例2と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムHとする。
(比較例3)
平均一次粒子径が0.15μmの合成炭酸カルシウム(BET比表面積10.5m2/g)の10重量%のスラリーを調製し、このスラリーを攪拌混合しながら40℃に加熱した。このスラリーに、90℃に加熱溶融したステアリン酸Na水溶液を合成炭酸カルシウム100重量部に対して、ステアリン酸Naが3重量部となるように添加し、10分間混合攪拌した。その後、脱水、乾燥、解砕し、湿式表面処理炭酸カルシウムを得た。得られた湿式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムIとする。
平均一次粒子径が0.15μmの合成炭酸カルシウム(BET比表面積10.5m2/g)の10重量%のスラリーを調製し、このスラリーを攪拌混合しながら40℃に加熱した。このスラリーに、90℃に加熱溶融したステアリン酸Na水溶液を合成炭酸カルシウム100重量部に対して、ステアリン酸Naが3重量部となるように添加し、10分間混合攪拌した。その後、脱水、乾燥、解砕し、湿式表面処理炭酸カルシウムを得た。得られた湿式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムIとする。
(比較例4)
平均一次粒子径0.1μmの合成炭酸カルシウムに代えて、平均一次粒子径0.04μmの合成炭酸カルシウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムJとする。
平均一次粒子径0.1μmの合成炭酸カルシウムに代えて、平均一次粒子径0.04μmの合成炭酸カルシウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして乾式表面処理炭酸カルシウムを得た。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムJとする。
(比較例5)
実施例2で得た炭酸カルシウムBを、さらに280℃で30分間加熱した。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムKとする。
実施例2で得た炭酸カルシウムBを、さらに280℃で30分間加熱した。この乾式表面処理炭酸カルシウムを、炭酸カルシウムKとする。
〔表面処理炭酸カルシウムの評価:粉体物性試験〕
得られた各表面処理炭酸カルシウムについて、有機層における有機酸カルシウムの含有量、起泡性、及びpHを以下のようにして測定した。
得られた各表面処理炭酸カルシウムについて、有機層における有機酸カルシウムの含有量、起泡性、及びpHを以下のようにして測定した。
(有機層における有機酸カルシウムの含有量)
ジエチルエーテルを用いて、表面処理炭酸カルシウムから脂肪酸及び脂肪酸エステルを抽出し、次に、エタノールを用いて脂肪酸Naを抽出した。それぞれの抽出物の重量を測定した。
ジエチルエーテルを用いて、表面処理炭酸カルシウムから脂肪酸及び脂肪酸エステルを抽出し、次に、エタノールを用いて脂肪酸Naを抽出した。それぞれの抽出物の重量を測定した。
残った炭酸カルシウムには、エーテル及びアルコールに不溶な脂肪酸のカルシウム塩が付着しているので、HClを加えて、炭酸カルシウムを溶解しつつ、脂肪酸のカルシウム塩を脂肪酸にし、これをジエチルエーテルで抽出し、抽出物の重量を測定した。
以上のようにして測定した脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸ナトリウム塩、及び脂肪酸カルシウム塩の量から、有機層における脂肪酸カルシウム塩の含有量を算出した。
(起泡性)
表面処理炭酸カルシウムを製造する全ての工程において、表面処理剤に起因する泡立ちがあるないか、また、その泡が1時間以上経過して残るかどうかを調べた。起泡性については、以下の基準で評価した。
表面処理炭酸カルシウムを製造する全ての工程において、表面処理剤に起因する泡立ちがあるないか、また、その泡が1時間以上経過して残るかどうかを調べた。起泡性については、以下の基準で評価した。
◎:起泡がなく良好
〇:殆ど起泡がなく良好
△:やや起泡がある
×:起泡が激しい
〇:殆ど起泡がなく良好
△:やや起泡がある
×:起泡が激しい
(pH)
表面処理炭酸カルシウムのpHを以下のようにして測定した。
表面処理炭酸カルシウムのpHを以下のようにして測定した。
試料5.0gを三角フラスコにはかり取り、エタノール−水混合溶媒(エタノール40重量%)10mlを三角フラスコに加えて、2〜3分間振り混ぜ、試料を完全に湿潤させ、蒸留水90mlを加えて、5〜10秒間振り混ぜ、30分間放置後、5〜10秒間振り混ぜ懸濁液の状態でガラス電極pH計で測定した。
〔PVC応用試験〕
ポリ塩化ビニル(PVC)に、上記の各表面処理炭酸カルシウムを配合し、評価した。
ポリ塩化ビニル(PVC)に、上記の各表面処理炭酸カルシウムを配合し、評価した。
ポリ塩化ビニル樹脂(PVC):ZEST1000Z、新第一塩ビ社製
三塩基性硫酸鉛:TL−7000、堺化学工業社製
ステアリン酸鉛:SL−1000、堺化学工業社製
DOP(可塑剤):サンソサイザー、新日本理化社製
三塩基性硫酸鉛:TL−7000、堺化学工業社製
ステアリン酸鉛:SL−1000、堺化学工業社製
DOP(可塑剤):サンソサイザー、新日本理化社製
ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)100重量部、三塩基性硫酸鉛5重量部、ステアリン酸鉛1重量部、可塑剤50重量部に、表面処理炭酸カルシウム50重量部を混合し、150℃の8インチロールで7分間混練したものを、1mmの厚みのシート状に作製した。これを用いて、以下の分散性試験及び熱安定性試験を行った。
(分散性試験)
上記の方法で得られた樹脂シートの表面を観察し、炭酸カルシウム粒子の分散状態を調べた。目視で確認できる炭酸カルシウム粒子のないものが、分散性が良く、目視で確認できる炭酸カルシウム粒子が多いものほど分散性が悪い。分散性については、以下の基準で評価した。
上記の方法で得られた樹脂シートの表面を観察し、炭酸カルシウム粒子の分散状態を調べた。目視で確認できる炭酸カルシウム粒子のないものが、分散性が良く、目視で確認できる炭酸カルシウム粒子が多いものほど分散性が悪い。分散性については、以下の基準で評価した。
◎:分散不良がなく良好
〇:殆ど分散不良がなく良好
△:やや分散不良がある
×:分散不良が多い
〇:殆ど分散不良がなく良好
△:やや分散不良がある
×:分散不良が多い
(熱安定性試験)
上記の方法で得られた樹脂シートを、170℃のギア老化試験機に30分間及び60分間セットし、色調の変化を確認した。色調の変化(黄色味)が少ないものほど熱安定性が良好で、黄色く変化するものは熱安定性が悪い。熱安定性は、以下の基準で評価した。
上記の方法で得られた樹脂シートを、170℃のギア老化試験機に30分間及び60分間セットし、色調の変化を確認した。色調の変化(黄色味)が少ないものほど熱安定性が良好で、黄色く変化するものは熱安定性が悪い。熱安定性は、以下の基準で評価した。
◎:黄変がなく良好
〇:殆ど黄変がなく良好
△:やや黄変がある
×:黄変が激しい
以上のようにして測定した測定結果を、表1及び表2に示す。
〇:殆ど黄変がなく良好
△:やや黄変がある
×:黄変が激しい
以上のようにして測定した測定結果を、表1及び表2に示す。
表1及び表2に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1〜6の乾式表面処理炭酸カルシウムを含むポリ塩化ビニル樹脂組成物は、比較例1〜5の表面処理炭酸カルシウムを含むポリ塩化ビニル樹脂組成物に比べて、分散性及び熱安定性において優れている。
比較例1においては、ステアリン酸を用いて表面処理しているため、塩化ビニル樹脂組成物の熱安定性が悪くなっている。
比較例2においては、50℃で表面処理しており、有機層における有機酸カルシウムの含有量が少ないため、ポリ塩化ビニル樹脂組成物における分散性に劣っている。
比較例3は、湿式法により製造しているため、製造工程における起泡性において劣っている。
比較例4は、平均一次粒子径が0.04μmの合成炭酸カルシウムを用いているため、ポリ塩化ビニル樹脂組成物における分散性が劣っている。
比較例5においては、280℃で加熱処理しているため、表面処理剤が気化または分解してしまい、表面処理量が低下したため、ポリ塩化ビニル樹脂組成物における熱安定性及び分散性が悪くなったと思われる。
Claims (4)
- 乾式法で表面処理された炭酸カルシウムであって、平均一次粒子径が0.1〜10μmである炭酸カルシウムの表面に、炭酸カルシウム100重量部に対して0.01〜10重量部の有機酸エステル及び有機酸カルシウムからなる有機層が表面処理により形成され、前記有機層における有機酸カルシウムの含有量が5〜95重量%であることを特徴とする乾式表面処理炭酸カルシウム。
- 前記有機酸エステルのアルコール成分が、炭素数4以下のアルコール成分であることを特徴とする請求項1に記載の乾式表面処理炭酸カルシウム。
- 請求項1または2に記載の乾式表面処理炭酸カルシウムを製造する方法であって、
炭酸カルシウム粉末に有機酸エステルを添加して攪拌し、材料温度を80℃〜220℃の範囲内に加熱して、有機酸エステルと炭酸カルシウムを反応させて、有機酸カルシウムを含む前記有機層を炭酸カルシウムの表面に形成することを特徴とする乾式表面処理炭酸カルシウムの製造方法。 - ポリマー100重量部に対し、請求項1または2に記載の乾式表面処理炭酸カルシウムを1〜150重量部を配合したことを特徴とするポリマー組成物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2007
- 2007-08-09 JP JP2007208015A patent/JP2009040908A/ja active Pending
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