JP2009040208A - 車両懸架装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置において、車両の直進走行性と操舵性とをともに向上させる。
【解決手段】ホイールハブ3と回転自在に連結されたナックル4を車両上下方向から支持する上下一対のトレーリング・リンク11,12を備えたダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置において、上記トレーリング・リンク11,12に車両上下方向に延長するバーティカルリンク13をピン結合にて連結するとともに、このバーティカルリンク13の上記下側のトレーリング・リンク12側に、上下のトレーリング・リンク11,12に平行な方向に延長するリンク取付け部材14を取付け、このリンク取付け部材14とナックル4の下側に設けられた下部取付け部材7とを、それぞれが、車体外側方向に延長し、かつ、その延長方向が車体外側で交差する一対のリンク部材15a,15bから成るスプリットリンク15で連結するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】ホイールハブ3と回転自在に連結されたナックル4を車両上下方向から支持する上下一対のトレーリング・リンク11,12を備えたダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置において、上記トレーリング・リンク11,12に車両上下方向に延長するバーティカルリンク13をピン結合にて連結するとともに、このバーティカルリンク13の上記下側のトレーリング・リンク12側に、上下のトレーリング・リンク11,12に平行な方向に延長するリンク取付け部材14を取付け、このリンク取付け部材14とナックル4の下側に設けられた下部取付け部材7とを、それぞれが、車体外側方向に延長し、かつ、その延長方向が車体外側で交差する一対のリンク部材15a,15bから成るスプリットリンク15で連結するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、本発明は車両懸架装置に関するもので、特に、車両の走行安定性に優れたダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置に関する。
電気自動車などのモータによって駆動される車輌においては、車輪を駆動するモータを車輪に内蔵するインホイールモータシステムが採用されつつある。従来、上記駆動用モータ(インホイールモータ)は車輌の足回り部品であるナックルに接続されていた。
しかしながら、足回りにバネ等のサスペンション機構を備えた車輌においては、ホイールやナックル、サスペンションアームといったバネ下に相当する部品の質量、いわゆるバネ下質量が大きい程、凹凸路を走行したときにタイヤの接地力が変動し、ロードホールディング性が悪化することから、上記インホイールモータシステムにおいては、悪路走行時における接地性能、及び、乗り心地性能の向上が望まれていた。
そこで、上記インホイールモータを、緩衝機構または緩衝部材を介して、車輌バネ下部に配置されるナックル等の足回り部品に対して弾性支持することにより、上記モータを車輌の足回り部品(車輌バネ下部)に対してフローティングマウントする構成のインホイールモータシステムが提案されている。これにより、上記インホイールモータの質量を車輌バネ下部から切り離してダイナミックダンパーの質量として作用させることができるので、悪路走行時における接地性能、及び、乗り心地性能をともに大幅に向上させることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、足回りにバネ等のサスペンション機構を備えた車輌においては、ホイールやナックル、サスペンションアームといったバネ下に相当する部品の質量、いわゆるバネ下質量が大きい程、凹凸路を走行したときにタイヤの接地力が変動し、ロードホールディング性が悪化することから、上記インホイールモータシステムにおいては、悪路走行時における接地性能、及び、乗り心地性能の向上が望まれていた。
そこで、上記インホイールモータを、緩衝機構または緩衝部材を介して、車輌バネ下部に配置されるナックル等の足回り部品に対して弾性支持することにより、上記モータを車輌の足回り部品(車輌バネ下部)に対してフローティングマウントする構成のインホイールモータシステムが提案されている。これにより、上記インホイールモータの質量を車輌バネ下部から切り離してダイナミックダンパーの質量として作用させることができるので、悪路走行時における接地性能、及び、乗り心地性能をともに大幅に向上させることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方、操舵系を持つサスペンションでは、キングピンと呼ばれるタイヤを操舵する中心軸があり、構造的に明確な軸がない場合でも、操舵の中心となる軸(仮想キングピン軸)があるように振る舞う。例えば、図5(a)に示すようなダブルウイッシュボーン方式の車両懸架装置50では、上記仮想キングピン軸(同図のK/PIN)は、上アーム51aとナックル52とを連結するボールジョイント53aと下アーム51bと上記ナックル52とを連結するボールジョイント53bとを結ぶ線である。なお、上記図5(a)において、Tはタイヤ、54はリム54aとホイールディスク54bとから成るホイール、55は上記ホイール54とその回転軸において連結されたホイールハブである。上記ナックル52は、上記ホイールハブ55と図示しない軸受けを介して連結される車輪の非回転側部材で、このナックル52に制動装置(図示せず)等が取り付けられる。
また、図5(b)に示すようなマクファーソンストラット方式の車両懸架装置60では、ストラット61の上端と、下アーム62とナックル63の下端側とを連結するボールジョイント64とを結ぶ線が仮想キングピン軸(同図のK/PIN)となる。
また、上記仮想キングピン軸と路面との交点とタイヤの接地点との間にはオフセットがある。このオフセットの大きさはスクラブ半径Rと呼ばれ、これが小さいほどタイヤの切れがよい、すなわち、操舵性に優れている。
特開2004−90699号公報
特開2005−122953号公報
特開2005−126037号公報
また、図5(b)に示すようなマクファーソンストラット方式の車両懸架装置60では、ストラット61の上端と、下アーム62とナックル63の下端側とを連結するボールジョイント64とを結ぶ線が仮想キングピン軸(同図のK/PIN)となる。
また、上記仮想キングピン軸と路面との交点とタイヤの接地点との間にはオフセットがある。このオフセットの大きさはスクラブ半径Rと呼ばれ、これが小さいほどタイヤの切れがよい、すなわち、操舵性に優れている。
ところで、インホイールモータシステムに用いられる車両懸架装置としては、図6(a),(b)に示すように、上記のダブルウイッシュボーン方式、もしくは、マクファーソンストラット方式の車両懸架装置が用いられている。このとき、インホイールモータ70は、緩衝部材71を介して、車輌バネ下部品であるナックル52もしくはナックル63にフローティングマウントされるので、タイヤの上下方向の荷重変動を大幅に低減することができる。しかしながら、上記構成では、タイヤの左右方向の荷重変動(横力)に対してはこれを抑制することは困難であった。
一方、揺動時にトレッド変化やキャンバ変化がなく、タイヤに横力が発生しない、直進走行性に優れた車両懸架方式として、図7(a)に示すような、ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置80が知られている。ダブル・トレーリング・リンク80Rは、一端が車体に設けられたサブフレーム81に取付けられた、車両の進行方向に延長する上下一対のトレーリング・リンク82a,82bとナックル83に設けられた上下の取付け部材83a,83bとを、ボールジョイント84a,84bを介して、連結したもので、同図の矢印で示す車両の進行方向中心軸(BL0)と車両上下方向とに直交する回転軸を有している。この車両懸架装置80は、同図の太い一点鎖線で示すように上記ダブル・トレーリング・リンク80Rが上記BL0と平行な面内に配置されているので、制動トルクを完全にキャンセルできるため、乗り越え性を悪化させずにブレーキダイブを軽くできるという利点がある。
しかしながら、上記ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置80は、横力に対するタイヤ・ロケーションを上記リンクの曲げ剛性に頼っているため、リンクの断面積が大きくなってしまう。そのため、インホイールモータを搭載しようとした場合には、リンクの先端のボールジョイントを狭いホイール内に収めることが難しくなる。そのため、図7(b)に示すように、上記リンクの先端であるボールジョイント84a,84bの位置がホイール85外部、すなわち、車体側に位置してしまい、その結果、仮想キングピン軸(同図のK/PIN)も車体側を通ることになる。したがって、インホイールモータシステムに上記ダブルウイッシュボーン方式の車両懸架装置50やマクファーソンストラット方式の車両懸架装置60を適用した場合(図6(a),(b)参照)よりも、スクラブ半径Rが大きくなってしまい、直進時のハンドルの手応え感や低速での操舵力が余分に必要になるなど、操舵性が低下してしまうといった問題点が発生する。
一方、揺動時にトレッド変化やキャンバ変化がなく、タイヤに横力が発生しない、直進走行性に優れた車両懸架方式として、図7(a)に示すような、ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置80が知られている。ダブル・トレーリング・リンク80Rは、一端が車体に設けられたサブフレーム81に取付けられた、車両の進行方向に延長する上下一対のトレーリング・リンク82a,82bとナックル83に設けられた上下の取付け部材83a,83bとを、ボールジョイント84a,84bを介して、連結したもので、同図の矢印で示す車両の進行方向中心軸(BL0)と車両上下方向とに直交する回転軸を有している。この車両懸架装置80は、同図の太い一点鎖線で示すように上記ダブル・トレーリング・リンク80Rが上記BL0と平行な面内に配置されているので、制動トルクを完全にキャンセルできるため、乗り越え性を悪化させずにブレーキダイブを軽くできるという利点がある。
しかしながら、上記ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置80は、横力に対するタイヤ・ロケーションを上記リンクの曲げ剛性に頼っているため、リンクの断面積が大きくなってしまう。そのため、インホイールモータを搭載しようとした場合には、リンクの先端のボールジョイントを狭いホイール内に収めることが難しくなる。そのため、図7(b)に示すように、上記リンクの先端であるボールジョイント84a,84bの位置がホイール85外部、すなわち、車体側に位置してしまい、その結果、仮想キングピン軸(同図のK/PIN)も車体側を通ることになる。したがって、インホイールモータシステムに上記ダブルウイッシュボーン方式の車両懸架装置50やマクファーソンストラット方式の車両懸架装置60を適用した場合(図6(a),(b)参照)よりも、スクラブ半径Rが大きくなってしまい、直進時のハンドルの手応え感や低速での操舵力が余分に必要になるなど、操舵性が低下してしまうといった問題点が発生する。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置において、適正なスクラブ半径を設定することにより、車両の直進走行性と操舵性とをともに向上させることを目的とする。
本願の請求項1に記載の発明は、 車両の進行方向中心軸及び鉛直方向のそれぞれに直交する回転軸を有し、ホイールもしくはホイールハブと連結されたナックルを車両上下方向から支持する上下一対のトレーリング・リンクを備えたダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置であって、一端が下側のトレーリング・リンクに連結され、他端側が上記ナックルに連結される、上記下側のトレーリング・リンクから車体外側方向に延長し、かつ、その延長方向が車体外側で交差する一対のリンク部材(スプリットリンク)を備えたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両懸架装置において、車両上下方向に延長し、上記上下のトレーリング・リンクにそれぞれ結合される垂直腕部(バーティカルリンク)を設けて、このバーティカルリンクの下側のトレーリング・リンク側に、上記スプリットリンクの一端を連結したものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両懸架装置であって、上記バーティカルリンクと上下のトレーリング・リンクとがピン結合されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両懸架装置において、車両上下方向に延長し、上記上下のトレーリング・リンクにそれぞれ結合される垂直腕部(バーティカルリンク)を設けて、このバーティカルリンクの下側のトレーリング・リンク側に、上記スプリットリンクの一端を連結したものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両懸架装置であって、上記バーティカルリンクと上下のトレーリング・リンクとがピン結合されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置において、下側のトレーリング・リンクとナックルとをスプリットリンクで連結する構成とすることにより、スクラブ半径を小さくしたので、高い直進走行性を維持しながら操舵性を向上させることができる。上記スプリットリンクは、リンク部材の長さが短くても、上記リンク部材の延長方向がナックル側で交差する点がピックアップポイントになるので、ナックル側仮想ピックアップポイントをホイール裏面側に深く入り込ませることができる。したがって、インホイールモータをホイールに搭載した場合でも、適正なキングピン傾斜角とスクラブ半径を設定することが可能となるとともに、インホイールモータに作用する左右方向の揺動を低減することができる。
また、上記上下のトレーリング・リンクを、車両上下方向に延長するバーティカルリンクで結合し、上記スプリットリンクを上記バーティカルリンクの下側のトレーリング・リンク側に連結するようにすれば、車両懸架装置がタイヤ上下方向に揺動した場合でも、上記スプリットリンクの回転平面を同じ角度に保持できるので、スプリットリンクの機能が低下することを抑制することができる。このとき、上記腕部と上下のトレーリング・リンクとをピン結合して、上記上下のトレーリング・リンクとバーティカルリンクとにより平行リンクを形成するようにすれば、上記スプリットリンクの回転平面を確実に同じ角度に保持することができるので、タイヤ上下方向の揺動が大きい場合でも、上記スプリットリンクの機能が十分に保持することができる。
すなわち、トレーリング・リンクに直接スプリットリンクを取り付けると、サスペンションのバンプ/リバンプといった上下動により上記スプリットリンクが動くときに、下部側の仮想BJ(ボールジョイント)中心が移動するので、キャスタ角の変化やキングピン傾斜角の変化を生じ、スクラブ半径が変化するが、本発明のように、バーティカルリンクを用いれば、上記仮想BJ中心の移動がなくなるので、キングピン傾斜角の変化をなくして、操舵フィーリングを向上させることができる。
また、上記上下のトレーリング・リンクを、車両上下方向に延長するバーティカルリンクで結合し、上記スプリットリンクを上記バーティカルリンクの下側のトレーリング・リンク側に連結するようにすれば、車両懸架装置がタイヤ上下方向に揺動した場合でも、上記スプリットリンクの回転平面を同じ角度に保持できるので、スプリットリンクの機能が低下することを抑制することができる。このとき、上記腕部と上下のトレーリング・リンクとをピン結合して、上記上下のトレーリング・リンクとバーティカルリンクとにより平行リンクを形成するようにすれば、上記スプリットリンクの回転平面を確実に同じ角度に保持することができるので、タイヤ上下方向の揺動が大きい場合でも、上記スプリットリンクの機能が十分に保持することができる。
すなわち、トレーリング・リンクに直接スプリットリンクを取り付けると、サスペンションのバンプ/リバンプといった上下動により上記スプリットリンクが動くときに、下部側の仮想BJ(ボールジョイント)中心が移動するので、キャスタ角の変化やキングピン傾斜角の変化を生じ、スクラブ半径が変化するが、本発明のように、バーティカルリンクを用いれば、上記仮想BJ中心の移動がなくなるので、キングピン傾斜角の変化をなくして、操舵フィーリングを向上させることができる。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1(a),(b)は、本最良の形態に係る車両懸架装置10を備えた車輪部の構成を示す図で、各図において、1はタイヤ、2はこのタイヤ1を装着するホイール、3は上記ホイール2とその回転軸において連結されたホイールハブ、4はホイールハブ3と回転自在に連結されるナックル、5は図示しない緩衝機構または緩衝部材を介して上記ナックル4にフローティングマウントされるインナーロータ型の電気モータ(インホイールモータ)、10は本発明によるダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置(以下、車両懸架装置という)である。
上記ナックル4は車輪の非回転側を支持する部材で、その上部(路面と反対側)と下部(路面側)とに、それぞれ、上記車両懸架装置10を取り付けるための上部取付け部材6と下部取付け部材7とを備えている。
車両懸架装置10は、車両の走行方向の中心線(車体BL0)に平行な方向に延長する上下一対のトレーリング・リンク11,12と、車両上下方向に延長し、上記トレーリング・リンク11,12同士を連結する垂直腕部(バーティカルリンク)13と、このバーティカルリンク13の下側のトレーリング・リンク12側に設けられたリンク取付け部材14と、このリンク取付け部材14に取付けられ、上記車両懸架装置10とナックル4とを連結するスプリットリンク15と、上記ナックル4と上側のトレーリング・リンク11とを連結するボールジョイント16とを備えている。
図1(a),(b)は、本最良の形態に係る車両懸架装置10を備えた車輪部の構成を示す図で、各図において、1はタイヤ、2はこのタイヤ1を装着するホイール、3は上記ホイール2とその回転軸において連結されたホイールハブ、4はホイールハブ3と回転自在に連結されるナックル、5は図示しない緩衝機構または緩衝部材を介して上記ナックル4にフローティングマウントされるインナーロータ型の電気モータ(インホイールモータ)、10は本発明によるダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置(以下、車両懸架装置という)である。
上記ナックル4は車輪の非回転側を支持する部材で、その上部(路面と反対側)と下部(路面側)とに、それぞれ、上記車両懸架装置10を取り付けるための上部取付け部材6と下部取付け部材7とを備えている。
車両懸架装置10は、車両の走行方向の中心線(車体BL0)に平行な方向に延長する上下一対のトレーリング・リンク11,12と、車両上下方向に延長し、上記トレーリング・リンク11,12同士を連結する垂直腕部(バーティカルリンク)13と、このバーティカルリンク13の下側のトレーリング・リンク12側に設けられたリンク取付け部材14と、このリンク取付け部材14に取付けられ、上記車両懸架装置10とナックル4とを連結するスプリットリンク15と、上記ナックル4と上側のトレーリング・リンク11とを連結するボールジョイント16とを備えている。
上記トレーリング・リンク11,12のうち、上側のトレーリング・リンク11は、車体BL0に平行な方向に延長する腕部11aと、この腕部11aから車体外側に突出する連結部11bとを備えており、上記腕部11aの上記連結部11bとは反対側の端部に設けられたリンク取付け部11kにて、車体のサブフレーム20に、車体幅方向に平行な方向(同図のB+で示すB寸方向の車体外側方向)に垂直な面内で回転可能にピン接合されている。また、上記連結部11bは、車体外側の端部にて、上記上部取付け部材6とボールジョイント16により連結されている。上記上部取付け部材6は、詳細には、上記ナックル4の上部から車体側に突出する第1の水平部材6aとこの第1の水平部材6aから上側(路面とは反対側)に延長する垂直部材6bと上記垂直部材6bから車体側に突出する第2の水平部材6cとから成る略コの字状の部材で、上記第2の水平部材6cと上側のトレーリング・リンク11の連結部11bとが車体外側にてボールジョイント16により連結される。これにより、ナックル4と上側のトレーリング・リンク11とのナックル側に結合点 (ピックアップポイント)Pを従来よりも車体外側に設定することができる。
一方、下側のトレーリング・リンク12は、車体BL0に平行な方向に延長する腕部12aと、この腕部12aの上記リンク取付け部11kに対向する部分に設けられたリンク取付け部12kとを備えており、このリンク取付け部12kにて、車体のサブフレーム20に、上記トレーリング・リンク11と同一面内で回転可能にピン接合されている。
一方、下側のトレーリング・リンク12は、車体BL0に平行な方向に延長する腕部12aと、この腕部12aの上記リンク取付け部11kに対向する部分に設けられたリンク取付け部12kとを備えており、このリンク取付け部12kにて、車体のサブフレーム20に、上記トレーリング・リンク11と同一面内で回転可能にピン接合されている。
図2(a)は、上記トレーリング・リンク11,12と上記バーティカルリンク13との関係を示す図で、本例では、上記トレーリング・リンク11,12と上記バーティカルリンク13とが、上記トレーリング・リンク11,12が回転する平面と同一平面内で回転するように、ピン結合により連結されている。詳細には、上側のトレーリング・リンク11の腕部11aの上記リンク取付け部11k側とは反対側の端部とバーティカルリンク13の上端部13aとがピン結合され、下側のトレーリング・リンク12の腕部12aの上記リンク取付け部12kとは反対側の端部とバーティカルリンク13の下端部13bとがピン結合されている。本例では、上記のように、バーティカルリンク13はリンクとなるので上記トレーリング・リンク11,12とバーティカルリンク13とで、図2(b)に示すような、相対する2つの辺(腕部11aと腕部12a)のリンクがクランク運動し、対辺(バーティカルリンク13)のリンクが上記トレーリング・リンク11,12の車体側の連結点を結んだ線MNに対して並行運動する、いわゆる平行リンクが形成される。
上記リンク取付け部材14は、上記バーティカルリンク13の下端側に取り付けられる、上記腕部11a,12aと平行でかつ上記バーティカルリンク13に直交する方向に延長する部材で、このリンク取付け部材14の位置は、図2(b)に示すように、上記バーティカルリンク13が上下するのに伴って上下するが、上記バーティカルリンク13とは常に直交関係を維持しながら上下する。
上記リンク取付け部材14は、上記バーティカルリンク13の下端側に取り付けられる、上記腕部11a,12aと平行でかつ上記バーティカルリンク13に直交する方向に延長する部材で、このリンク取付け部材14の位置は、図2(b)に示すように、上記バーティカルリンク13が上下するのに伴って上下するが、上記バーティカルリンク13とは常に直交関係を維持しながら上下する。
また、図3(a)に示すように、上記リンク取付け部材14の両端側には、車体外側方向に延長し、かつ、その延長方向が車体外側で交差する一対のリンク部材15a,15bの一端側がピン結合されている。上記リンク部材15a,15bの他端側は、図1(b)に示すように、ナックル4の下部取付け部材7にそれぞれ連結される。これにより、上記リンク取付け部材14と下部取付け部材7とを連結するスプリットリンク15が形成されるので、その結果、下側のトレーリング・リンク12とナックル4とが上記スプリットリンク15を介して連結されたことになる。このとき、上記スプリットリンク15の回転平面は、上記バーティカルリンク13の延長方向と垂直な面になる。
上記スプリットリンク15の車体側での結合点 (ピックアップポイント)は、図3(b)に示すように、上記リンク部材15a,15bと上記リンク取付け部材14との連結部m,nで、ナックル4側のピックアップポイントは、上記リンク部材15a,15bと上記下部取付け部材7との連結部p,qであるが、上記スプリットリンク15は、上記リンク部材15aの延長方向とリンク部材15bの延長方向との交点(仮想交点)Qがナックル4側のピックアップポイントであるように運動する。上記点Qをスプリットリンク15の仮想ピックアップポイントという。
このように、本例の車両懸架装置においては、上側のトレーリング・リンク11とナックル4とのナックル4側のピックアップポイントが上記ボールジョイント16の位置Pであり、下側のトレーリング・リンク12とナックル4とのピックアップポイントが上記仮想ピックアップポイントQとなるので、仮想キングピン軸は、図1(a)に示すように、上記点Pと点Qとを結んだ直線となる。上記仮想ピックアップポイントQは、上記リンク部材15a,15bと上記下部取付け部材7との連結部がホイール2内の車体側にある場合でも、ホイール2の裏側に深く入ることになるので、仮想キングピン軸と路面との交点とタイヤ1の接地点との間のオフセットの大きさであるスクラブ半径Rを小さくすることができるだけでなく、ホイール2の内側にインホイールモータ5をフローティングマウントした場合でも、適正なキングピン傾斜角とそれに付随する適正なスクラブ半径Rが設定可能となる。
したがって、インホイールモータ搭載車であっても、直進時のハンドルの手応え感や低速での操舵力の低下を招くことなく、走行直進性を向上させることができる。
上記スプリットリンク15の車体側での結合点 (ピックアップポイント)は、図3(b)に示すように、上記リンク部材15a,15bと上記リンク取付け部材14との連結部m,nで、ナックル4側のピックアップポイントは、上記リンク部材15a,15bと上記下部取付け部材7との連結部p,qであるが、上記スプリットリンク15は、上記リンク部材15aの延長方向とリンク部材15bの延長方向との交点(仮想交点)Qがナックル4側のピックアップポイントであるように運動する。上記点Qをスプリットリンク15の仮想ピックアップポイントという。
このように、本例の車両懸架装置においては、上側のトレーリング・リンク11とナックル4とのナックル4側のピックアップポイントが上記ボールジョイント16の位置Pであり、下側のトレーリング・リンク12とナックル4とのピックアップポイントが上記仮想ピックアップポイントQとなるので、仮想キングピン軸は、図1(a)に示すように、上記点Pと点Qとを結んだ直線となる。上記仮想ピックアップポイントQは、上記リンク部材15a,15bと上記下部取付け部材7との連結部がホイール2内の車体側にある場合でも、ホイール2の裏側に深く入ることになるので、仮想キングピン軸と路面との交点とタイヤ1の接地点との間のオフセットの大きさであるスクラブ半径Rを小さくすることができるだけでなく、ホイール2の内側にインホイールモータ5をフローティングマウントした場合でも、適正なキングピン傾斜角とそれに付随する適正なスクラブ半径Rが設定可能となる。
したがって、インホイールモータ搭載車であっても、直進時のハンドルの手応え感や低速での操舵力の低下を招くことなく、走行直進性を向上させることができる。
ところで、上記スプリットリンク15の回転平面は、上記のように、上記バーティカルリンク13の延長方向と垂直な面であるので、タイヤ1に荷重方向の入力が作用して上記タイヤ1が、例えば、上方向に移動した場合、図4(a)に示すように、上記上下のトレーリング・リンク11,12は回転する。上記スプリットリンク15の回転平面は、上記バーティカルリンク13がない場合には、図4(b)に示すように、上記トレーリング・リンク11,12の回転角度に応じて、路面に平行な方向から傾くことになる。そして、この傾きが大きい程、スプリットリンク15のピックアップポイント間の距離dの正射影d’がdよりも小さくなる。上記スプリットリンク15は、路面に平行な面での回転を吸収するリンクであるので、ピックアップポイントm,p(もしくは、ピックアップポイントn,q)間の距離dの正射影が小さくなるほどその性能は低下する。
本例では、上記のように、リンク結合されたトレーリング・リンク11,12とバーティカルリンク13とにより、平行リンクを形成しているので、トレーリング・リンク11,12の腕部11a,12aが回転しても、図4(a)に示すように、上記バーティカルリンク13の延長方向は変わらない。したがって、上記バーティカルリンク13に、上記バーティカルリンク13と一体に上下するリンク取付け部材14を介して取り付けられたスプリットリンク15の回転平面は、常に、路面と平行な平面内にあるので、タイヤ1に荷重方向の入力が作用した場合でもその性能が低下することはない。
本例では、上記のように、リンク結合されたトレーリング・リンク11,12とバーティカルリンク13とにより、平行リンクを形成しているので、トレーリング・リンク11,12の腕部11a,12aが回転しても、図4(a)に示すように、上記バーティカルリンク13の延長方向は変わらない。したがって、上記バーティカルリンク13に、上記バーティカルリンク13と一体に上下するリンク取付け部材14を介して取り付けられたスプリットリンク15の回転平面は、常に、路面と平行な平面内にあるので、タイヤ1に荷重方向の入力が作用した場合でもその性能が低下することはない。
このように本最良の形態では、ホイールハブ3に連結されたナックル4を車両上下方向から支持する上下一対のトレーリング・リンク11,12を備えたダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置において、上記上下のトレーリング・リンク11,12に車両上下方向に延長する垂直腕部(バーティカルリンク)13をピン結合にて連結するとともに、このバーティカルリンク13の上記下側のトレーリング・リンク12側に、上記上下のトレーリング・リンク11,12に平行な方向に延長するリンク取付け部材14を取付け、このリンク取付け部材14とナックル4の下側に設けられた下部取付け部材7とを、それぞれが、車体外側方向に延長し、かつ、その延長方向が車体外側で交差する一対のリンク部材15a,15bから成るスプリットリンク15で連結するようにしたので、ホイール2の内側にインホイールモータ5をフローティングマウントした場合でも、スクラブ半径Rを小さく設定することができる。したがって、操舵力の低下を招くことなく、走行直進性を向上させることができる。
また、タイヤ1に荷重方向の入力が作用した場合でも、スプリットリンク15のピックアップポイント間の距離dの正射影は変わらないので、スプリットリンク15を有効に動作させることができる。
また、タイヤ1に荷重方向の入力が作用した場合でも、スプリットリンク15のピックアップポイント間の距離dの正射影は変わらないので、スプリットリンク15を有効に動作させることができる。
なお、上記最良の形態では、下側のトレーリング・リンク12とナックル4とをスプリットリンク15で連結する構成としたが、上側のトレーリング・リンク11とナックル4とをスプリットリンク15で連結してもよい。但し、スクラブ半径Rに関しては、下側のピックアップポイントの寄与が大きいので、本例のように、スプリットリンク15は下側のみでも十分である。
また、上記例では、インホイールモータ5をインナーロータ型の電気モータとしたが、インホイールモータ5として、インナーロータ型の電気モータと減速歯車機構とを組合わせたギヤドモータを用い、このギヤドモータのケースとナックル4とを、緩衝部材を介して、連結する構成であってもよい。
また、トレーリング・リンク11,12と上記バーティカルリンク13とは、本例のように、ピン結合してリンクとすることが好ましい。インホイールモータ搭載車の場合には、上下方向の揺動が抑制されるので、ピン結合しなくてもスプリットリンク15の回転平面はほぼ同じ角度に保たれるが、上下方向の入力が大きい場合も想定すると、本例のように、トレーリング・リンク11,12と上記バーティカルリンク13とをピン結合した方が、上記スプリットリンクの回転平面を確実に同じ角度に保持することができるとともに、結合部の負荷が軽減されるので好ましい。
また、上記例では、インホイールモータ5をインナーロータ型の電気モータとしたが、インホイールモータ5として、インナーロータ型の電気モータと減速歯車機構とを組合わせたギヤドモータを用い、このギヤドモータのケースとナックル4とを、緩衝部材を介して、連結する構成であってもよい。
また、トレーリング・リンク11,12と上記バーティカルリンク13とは、本例のように、ピン結合してリンクとすることが好ましい。インホイールモータ搭載車の場合には、上下方向の揺動が抑制されるので、ピン結合しなくてもスプリットリンク15の回転平面はほぼ同じ角度に保たれるが、上下方向の入力が大きい場合も想定すると、本例のように、トレーリング・リンク11,12と上記バーティカルリンク13とをピン結合した方が、上記スプリットリンクの回転平面を確実に同じ角度に保持することができるとともに、結合部の負荷が軽減されるので好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置において、ホイール内にインホイールモータをフローティングマウントした場合でも、適正なキングピン傾斜角とそれに付随する適正なスクラブ半径が設定できるので、インホイールモータ搭載車であっても、良好な操舵性を確保しつつ、走行直進性を向上させることができる。
1 タイヤ、2 ホイール、3 ホイールハブ、4 ナックル、
5 インホイールモータ、6 上部取付け部材、7 下部取付け部材、
10 ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置(車両懸架装置)、
11,12 トレーリング・リンク、11a,12a 腕部、11b 連結部、
11k,12k リンク取付け部、13 垂直腕部(バーティカルリンク)、
14 リンク取付け部材、15 スプリットリンク、15a,15b リンク部材、
16 ボールジョイント、20 サブフレーム。
5 インホイールモータ、6 上部取付け部材、7 下部取付け部材、
10 ダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置(車両懸架装置)、
11,12 トレーリング・リンク、11a,12a 腕部、11b 連結部、
11k,12k リンク取付け部、13 垂直腕部(バーティカルリンク)、
14 リンク取付け部材、15 スプリットリンク、15a,15b リンク部材、
16 ボールジョイント、20 サブフレーム。
Claims (3)
- 車両の進行方向中心軸及び鉛直方向のそれぞれに直交する回転軸を有し、ホイールもしくはホイールハブと連結されたナックルを車両上下方向から支持する上下一対のトレーリング・リンクを備えたダブル・トレーリング・リンク方式の車両懸架装置であって、一端が下側のトレーリング・リンクに連結され、他端側が上記ナックルに連結される、上記下側のトレーリング・リンクから車体外側方向に延長し、かつ、その延長方向が車体外側で交差する一対のリンク部材を備えたことを特徴とする車両懸架装置。
- 車両上下方向に延長し、上記上下のトレーリング・リンクにそれぞれ結合される垂直腕部を設けて、この垂直腕部の下側のトレーリング・リンク側に、上記一対のリンク部材の一端を連結したことを特徴とする請求項1に記載の車両懸架装置。
- 上記垂直腕部と上下のトレーリング・リンクとがピン結合されていることを特徴とする請求項2に記載の車両懸架装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007206997A JP2009040208A (ja) | 2007-08-08 | 2007-08-08 | 車両懸架装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007206997A JP2009040208A (ja) | 2007-08-08 | 2007-08-08 | 車両懸架装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009040208A true JP2009040208A (ja) | 2009-02-26 |
Family
ID=40441448
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JP2007206997A Pending JP2009040208A (ja) | 2007-08-08 | 2007-08-08 | 車両懸架装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009040208A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016222065A (ja) * | 2015-05-28 | 2016-12-28 | Ntn株式会社 | インホイールモータ駆動装置のサスペンション構造 |
-
2007
- 2007-08-08 JP JP2007206997A patent/JP2009040208A/ja active Pending
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