JP2009039890A - ポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法 - Google Patents

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晃宏 青木
Yutaka Matsumura
豊 松村
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Abstract

【課題】従来よりも横延伸後の幅方向の厚みが均一なポリエステル系樹脂フィルムを生産する為のポリエステル系樹脂未延伸シートを製造すること。
【解決手段】 少なくとも1軸方向に延伸するポリエステル系樹脂フィルムを製造する為のポリエステル系樹脂未延伸シートの製造する方法において、該ポリエステル系樹脂未延伸シートを電極部材で静電密着する際、溶融ポリエステル系樹脂が押出される口金と電極部材の間の位置において、更に冷却ドラムの面長方向からみて、該溶融ポリエステル系樹脂膜の両端部から3〜30mmの部分にある放電防止部材の直下にある該樹脂膜に40℃以下の気体を熱伝達係数20〜100W/m^2・Kで冷却した後、該ポリエステル系樹脂未延伸シートの両端部から3〜30mmの部分を針状電極から放電させる静電気で補助密着させることを特徴とする製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、少なくとも一軸方向に延伸するポリエステル系樹脂フィルムの製造方法に関するものであって、特に静電密着により、ポリエステル系未延伸シートを製造し、それを用いて少なくとも一軸方向に延伸するポリエステル系樹脂フィルムを製造する方法に関するものである。
溶融した熱可塑性フィルムの全幅にエアナイフによる空気的押付けと各側端部を電気的押付け、空気圧力或はその両者から成る押付け力によって急冷表面に押付けることによる該熱可塑性フィルムを急冷する方法によって、ネックインを低減する方法が例示されている。(例えば、特許文献1参照)
しかし、この方法は、溶融粘度が高いポリオレフィン系溶融樹脂膜に対して有効な方法であるが、溶融粘度の低いポリエステル系溶融樹脂膜を50m/分以上の高速で回転する冷却ドラム上に押出した場合、吹付けられたエアで溶融樹脂膜が揺れて、シートの中央部に横段状の斑(洗濯板のような外観)が発生し、二軸延伸後のポリエステル系フィルムの厚みの均一性が非常に低下するという問題があった。
上記のような問題点を回避する為、全幅をワイヤー状電極による静電密着と両端部を針電極の静電気で押え付ける方法、全幅をテープ状電極による静電密着と両端部をエアノズルから吹き出てくるエアで押え付ける方法が開示されている。(例えば、特許文献2、3参照)
しかしながら、これらの方法は、溶融樹脂膜の端部を強く押え付ける為、押え付けた部分の厚みが極端に薄くなり、二軸延伸後の厚みの均一な部分が狭くなり、生産性が極端に悪いという問題があった。
また、製膜スピードをさらに上げるためには、より電極を近付けより強いクーロン力を与える必要があるが、前記問題は顕著になる。
特公昭53−35587号公報 特開平11−58498号公報 特開平2001−252964号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、厚みの均一なポリエステル系樹脂フィルムを提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。
即ち本発明は(1)ポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法であって、前記ポリエステル系樹脂未延伸シートをワイヤー電極で静電密着する際、溶融ポリエステル系樹脂が押出される口金とワイヤー電極の間に設置された気体吹き付け装置によって、前記溶融ポリエステル系樹脂膜の両端部から3〜30mmの部分にあり、かつ前記両端部が冷却ドラムに接する点より口金側の位置に40℃以下の気体を吹き付けることによって冷却した後、該ポリエステル系樹脂未延伸シートの両端部から3〜30mmの部分を針状電極から放電させる静電気で補助密着させることを特徴とするポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法。
この場合において、前記気体の吹き出し口が矩形であり、吹き出し面積が7〜50mmであることが好適である。
またこの場合において、前記気体の吹き出し口の矩形の長辺を延長した線と電極部材とのなす角度θが15〜45°であることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記気体の吹き出し口と冷却ドラムの中心軸とのなす角度θが15〜45°であることが好適である。
本発明による製造方法でポリエステル系樹脂フィルムを製造することで、従来より端部の厚みの落ち込み量が少ない未延伸シートを得る事ができ、横延伸後の均一な厚みの部分が広くとれ、生産性が向上し、長時間安定的に生産することができるポリエステル系樹脂フィルムを提供することができる。
また、異常放電の発生する箇所が、放電防止部材の直下のポリエステル系樹脂シートの端部に発生する確率が多い事に着目し、該ポリエステル系樹脂シートの端部に気体を吹き付けて、積極的に冷却し、ポリエステル系樹脂表面の見掛け上の溶融比抵抗を上げる事により、該端部への異常放電を防止できる事が確認できた。更に、ダイリップのシェアによる端部の反り返りが発生している場合、気体吹付けが、該端部の反り返りを抑制する効果を果たす為、ワイヤー状電極の位置調整も容易になることも挙げられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムは、単層フィルムであってもよく、また積層フィルムであってもよい。
本発明のポリエステル系樹脂とは、特に限定されないが、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸又は脂環族ジカルボン酸とグリコール成分を主たる構成成分からなるものが好ましく用いられる。
芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ビフェニルジカルボン酸、4,4‘−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4‘−ビフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。また、脂肪族ジカルボン酸として、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ダイマー酸等を用いることができる。また、脂環族ジカルボン酸として、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。これらジカルボン酸成分は、1種類のみ用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
また、グリコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2‘−ビス(4’−β―ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジール、1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いることができる。これらグリコール成分は、1種類のみ用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
また、本発明において使用されるポリエステル系樹脂の極限粘度(IV)としては、特に限定されないが、好ましくは0.4〜1.5dl/gである。
本発明において使用されるポリエステル系樹脂フィルムは、フィルムをロール状に巻いた時、ブロッキング起こしやすいという欠点があり、一般的にブロッキング防止の為、原料として使用されるポリエステル系樹脂中に滑剤を添加している。
上記滑剤のポリエステル系樹脂の全量に対する割合は特に限定されないが、例えば滑剤の含有量は、ポリエステル系樹脂の全量に対して0.03重量%以上であればよく、好ましくは、0.05〜40重量%である。0.03重量%未満であると、フィルムの耐ブロッキング等の滑り性が劣り、フィルムに傷が付き易くなるからである。また、40重量%を超えると、生産性が極端に落ち、好ましくない。ここで、滑材とは特に限定しないが、無機粒子、有機粒子等を用いることができ、無機粒子として、例えばシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カーボンブラック等を用いることができ、好ましくは、シリカ等を用いることができる。有機粒子として、例えばポリイミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。
本発明において使用されるポリエステル系樹脂は、後記測定法による285℃での溶融比抵抗値が0.7×10Ω・cm以下であることが好ましい。285℃での溶融比抵抗値が0.7×10Ω・cmを超えるポリエステル系樹脂を前述した異常放電を避ける生産条件で、冷却ドラムへ密着性させようとした場合、溶融樹脂シートと冷却ドラムの間で局所的に空気が噛み込んだ状態で冷却される為、シート表面にピンナーバブルが生じ、好ましくない。また、ピンナーバブルの発生を抑制する為に、吐出された溶融樹脂が冷却ドラムで十分密着できる程度まで生産速度を低下させる必要が生じ、生産する費用が増大してしまう。
本発明において使用されるポリエステル系樹脂において、溶融比抵抗値を上述の範囲に制御するには、該樹脂中にアルカリ土類金属化合物とリン化合物を含有させればよい。アルカリ土類金属化合物中のアルカリ土類金属原子(M2)は、樹脂の溶融比抵抗値を低下させる作用を有する。アルカリ土類金属化合物は、通常、多価カルボン酸類と多価アルコール類からエステルを生成する際の触媒として使用されるが、触媒としての必要量以上に積極添加することで、溶融比抵抗値低下作用を発揮させることができる。具体的には、アルカリ土類金属化合物の含有量を、M2基準で40ppm(質量基準、以下同じ)以上、好ましくは50ppm以上、さらに好ましくは60ppm以上とすることが推奨される。他方、アルカリ土類金属化合物の含有量は、M2基準で400ppm以下、好ましくは350ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下とすることが推奨され、これ以上使用しても、その量に見合っただけの効果は得られず、むしろ、この化合物に起因する異物の生成や着色などの弊害が大きくなる。
好ましいアルカリ土類金属化合物の具体例としては、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族ジカルボン酸塩(酢酸塩、酪酸塩など、好ましくは酢酸塩)、芳香族次カルボン酸塩、フェノール性水酸基を有する化合物との塩(フェノールとの塩など)などが挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど(好ましくはマグネシウム)が挙げられる。より具体的には、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムなどが挙げられ、中でも、酢酸マグネシウムが好ましく使用される。上記アルカリ土類金属化合物は、単独でまたは2種以上組合わせて使用できる。
リン化合物は、それ自体フィルムの溶融比抵抗値を低下させる作用は有しないが、アルカリ土類金属化合物、および後述するアルカリ金属化合物と組み合わせることにより、溶融比抵抗値の低下に寄与し得る。その理由は明らかではないが、リン化合物を含有させることにより、異物の生成を抑制し、電荷担体の量を増大させることができるのではないかと考えられる。リン化合物の含有量は、リン原子(P)基準で60ppm(質量基準、以下同じ)以上、好ましくは65ppm以上、さらに好ましくは70ppm以上とすることが推奨される。リン化合物の含有量が上記範囲を下回ると、溶融比抵抗値の低下効果が十分でなく、さらに、異物生成量が増加する傾向にある。
他方、リン化合物の含有量は、P基準で600ppm以下、好ましくは550ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下とすることが推奨され、これ以上使用しても、その量に見合うだけの効果は得られず、溶融比抵抗値の低下効果が飽和する。さらに、ジエチレングリコールの生成を促進し、フィルムの物性低下を引き起こす。
上記のリン化合物としては、リン酸類(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸など)、およびそのエステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)、並びにアルキルホスホン酸、アリールホスホン酸及びそれらのエステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)が挙げられる。好ましいリン化合物としては、リン酸、リン酸の脂肪族エステル(リン酸のアルキルエステルなど;例えば、リン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノブチルエステルなどのリン酸モノC1-6アルキルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジブチルエステルなどのリン酸ジC1-6アルキルエステル、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステルなどのリン酸トリC1-6アルキルエステルなど)、リン酸の芳香族エステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸のモノ、ジ、またはトリC6-9アリールエステルなど)、亜リン酸の脂肪族エステル(亜リン酸のアルキルエステルなど;例えば、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチルなどの亜リン酸のモノ、ジ、またはトリC1-6アルキルエステルなど)、アルキルホスホン酸(メチルホスホン酸、エチルホスホン酸などのC1-6アルキルホスホン酸)、アルキルホスホン酸アルキルエステル(メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチルなどのC1-6アルキルホスホン酸のモノまたはジC1-6アルキルエステルなど)、アリールホスホン酸アルキルエステル(フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチルなどのC6-9アリールホスホン酸のモノまたはジC1-6アルキルエステルなど)、アリールホスホン酸アリールエステル(フェニルホスホン酸ジフェニルなどのC6-9アリールホスホン酸のモノまたはジC6-9アリールエステルなど)などが例示できる。特に好ましいリン化合物には、リン酸、リン酸トリアルキル(リン酸トリメチルなど)が含まれる。これらリン化合物は単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
さらに、アルカリ土類金属化合物とリン化合物は、アルカリ土類金属原子(M2)とリン原子(P)の質量比(M2/P)で1.2以上5.0以下でフィルム中に含有させることが好ましい。M2/P値が1.2以下では、溶融比抵抗値の低下効果が著しく減少する。より好ましくは1.3以下、さらに好ましくは1.4以下である。他方、M2/P値が5.0を超えると、溶融比抵抗値の低下効果よりも、異物生成が促進されたり、フィルムが着色するなどの弊害が大きくなり、好ましくない。より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。
このようなポリエステル系樹脂を押出機内で溶融状態にし、異物を除去する為、フィルターでろ過した後、口金から溶融樹脂をシート状に押し出し、静電密着法で冷却ドラムに密着、冷却固化することで、ポリエステル系未延伸樹脂シートを成形する。その後、必要に応じ、縦方向及び、または横方向に延伸する。横方向に延伸する時、クリップでポリエステル系樹脂シートの両端部を把持し、横延伸させる為、ポリエステル系未延伸シートの両端部をクリップで把持できる程の厚みにする必要がある。また、端部の一部に薄い部分が存在する場合、該部分に延伸時の応力が集中し、横延伸時破れが生じる場合があり、それを防止するようなポリエステル系未延伸シートの横方向の厚み分布にする必要がある。この横厚み分布調整方法は、口金のリップ口の間隔を調整することで可能である。但し、口金から溶融樹脂シートが押出され、静電密着法で冷却ドラム上に密着され、冷却固化されて、ポリエステル系未延伸シートに成形されるまでに、ポリエステル系樹脂シートの幅縮みが発生し、両端部の厚みが大きくなることを考慮しての調整が必要である。好ましいポリエステル系未延伸樹脂シートの端部の横厚み分布は、横延伸する時に延伸されない部分(延伸残)の厚みを、該シートの端部方向程、大きくすることである。
本発明において使用される静電密着方法は、ワイヤー状電極による静電荷付与方法によるものが好ましい。テープ状電極は、電極表面から溶融ポリエステル系樹脂に向かって、発生する電気の指向性が強く、異常放電が発生し易く、その事によるシートの破れ、冷却ドラムの傷の発生を防止する製造条件に制御することが困難であるので、好ましくない。
本発明において使用されるワイヤー状電極の直径Φは、0.05〜1.0mmが好ましく、特に0.08〜0.5mmが好ましい。ワイヤー状電極の直径Φが0.05mmよりも小さいと、共振や機械振動による電極ブレを防止する為にワイヤー状電極に掛けている張力に耐えられずワイヤーが切れ、好ましくない。また、直径Φが1.0mmが大きいと、静電荷を溶融樹脂シートに効率良く、均一に加えるには、過大な電圧電流が必要となり、異常放電が極めて発生し易くなる為、好ましくない。
本発明において使用されるワイヤー状電極は、リール等に巻き取り決められた速度で随時新しい電極を供給できるものが好ましい。固定式の電極の場合、溶融した樹脂から発生するモノマー、線状オリゴマーや環状オリゴマー等の昇華物が電極に付着するので、品質の良いポリエステル系未延伸樹脂シートを得ようとすると、加える静電荷量を経時的に上げなければならなく、異常放電の可能性が上がる為、好ましくない。
また、巻き取ったワイヤー状電極をリールから送り出す速度は、0.1〜10m/時間が好ましい。ワイヤー状電極を送り出す速度が、0.1m/時間よりも小さいと、溶融した樹脂から発生するモノマー、線状オリゴマーや環状オリゴマー等の昇華物の電極への堆積付着防止が十分でなく、溶融樹脂シートに対して静電荷を与えることができなく、ピンナーバブルのような表面欠点を含む品質の劣るフィルムしか提供できない為、好ましくない。また、ワイヤー状電極を送り出す速度が10m/時間より大きいと、新しいリールへの交換の頻度が多くなり、生産性が劣り、好ましくない。また、交換の頻度を少なくできる程、大きなリールへワイヤーを巻き取った場合は、現行使用している設備に収めることができなく、大きな設備の改造を伴う為、好ましくない。この電極移動装置を例示すると西田工業株式会社製ワインディング装置等を挙げることができる。
本発明に使用されるワイヤー状電極の材質を例示すると、タングステン、鉄、ニッケル、コバルト、モリブテン、チタン、タンタル、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等が挙げられ、これらの合金を用いても良い。また、これら使用するワイヤー状電極に耐触性、耐酸化性向上を目的として、ワイヤー状電極の表面に金、白金等でメッキ処理を施しても良い。
本発明に使用されるワイヤー状電極は、共振、機械振動、樹脂の随伴空気流、クーロン力等による電極ブレ防止の目的で、ワイヤー状電極に張力を掛けている。ワイヤー状電極に掛ける張力は、電極の材質の保証張力範囲内で電極ブレが起こらない範囲内で実施することができる。具体的には、14.7〜24.5Nの張力をワイヤー状電極に掛けることで、ワイヤー状電極が切断することも、電極ブレも起こらない状態でポリエステル系樹脂シートを製造することが可能である。また、ワイヤー状電極にこのような一定の張力を掛ける装置として、株式会社工進精工所製パーマトルク(HC−4−4−J)等が例示できる。
本発明に使用されるワイヤー状電極の両端部には、異常放電を抑制する放電防止部材を設置することが好ましい。これは、口金から溶融されたポリエステル系樹脂を冷却ドラム上に押出し、ワイヤー状電極で静電印加する場合、ワイヤー状電極から一番近い距離にある厚みの大きいシート端部や押出されたポリエステル系樹脂が覆われていない剥き出しの冷却ドラム部材上に異常放電が選択的に起こるからであり、放電防止部材を該位置に設置することで、異常放電の発生確率を低くすることができる。
また、ポリエステル系樹脂シートを製造する際の異常放電を抑制する為の放電防止部材の位置は、ポリエステル系樹脂シートの端部から内側の5〜30mmの位置に放電防止部材の端部があるように位置させることが好ましい。
本発明に用いられる放電防止部材の素材としては、加工性、耐熱性、絶縁性の点からシリコン系樹脂、フッ素系樹脂が好ましい。
本発明に用いられるシリコン系樹脂としては、例えば、ビニルメチルシリコーン、フェニルビニルシリコーン、フルオロシリコーンなどが例示できる。
また、本発明に用いられるフッ素系樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン重合体〔テフロン(登録商標)〕、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等が例示できる。
また、本発明に用いられる放電防止部材は、ワイヤー状電極の端部に取り付けられており、口金から溶融されたポリエステル系樹脂シートを冷却ドラム上に押出し、ワイヤー状電極で静電印加する場合、その樹脂シートの幅に合わせて調整ができる可変式が好ましい。
ポリエステル系樹脂シートの生産性を向上させる為、冷却ドラムの回転数を上げ、かつピンナーバブル等の表面欠点のない品質の良いポリエステル系樹脂シートを製造する方法は、ワイヤー状電極に流す電流値を電圧一定の元に上げるか電流一定の元に電圧値を上げる方法とワイヤー状電極に流す電流電圧を一定にし、ワイヤー状電極をポリエステル系樹脂シートに接触させないように徐々に近付ける方法とに大きく分けて二つの方法があるが、これら二つの方法を合わせて行うことが好ましい。即ち、ワイヤー状電極に流す電流電圧を一定にし、ワイヤー状電極を該ポリエステル系樹脂シートに接触しない程度の位置まで近付けても、ピンナーバブル等が発生する場合、ワイヤー状電極に流す電流値を電圧一定の元に上げるか電流一定の元に電圧値を上げるかして、ピンナーバブルのような表面欠点を消滅させるように調整することである。
本発明のポリエステル系樹脂シートを製造する方法において、該ポリエステル系樹脂シートの端部へ気体の吹付けを行い、かつワイヤー状電極による静電密着を行った後に、該ポリエステル系樹脂シートの端部へ針状電極で静電気を付与させている。これは、放電防止部材により遮断されている該ポリエステル系樹脂シートの端部の冷却ドラムとの密着不足を補う為である。針状電極で静電気を付与しないと、該ポリエステル系樹脂シートの端部の冷却ドラムとの密着不良により、シート端部が結晶化してしまい、横延伸時のフィルム破れの発生や横延伸のクリップ把持ができなかったりし、好ましくない。
本発明のポリエステル系樹脂シートの端部へ吹き付けられる気体として、エアフィルター等で塵や埃を除去した空気、乾燥空気、窒素等が例示される。該シート端部に吹付ける好ましい気体の温度は、40℃以下である。40℃を超える温度の気体を吹付けると、耳部が結晶白化し、延伸工程での破断または延伸性低下による厚み均一性の低下が起こる為、好ましくない。また、40℃を超える温度の気体を吹付けても、該シート端部の冷却効果が充分でなく、見掛けの溶融比抵抗を上げることができないので、異常放電の防止ができないので好ましくない。
本発明のポリエステル系樹脂シートの端部へ吹き付けられる気体の熱伝達係数は、20〜100W/m・Kが好ましい。熱伝達係数が20W/m・K以上であると、気体で押え付けた後に実施するシート端部の針状電極での補助静電密着でシート端部の厚みが薄くなるのを防ぐ効果が向上する。熱伝達係数が100W/m2・K以下であると、ポリエステル系樹脂端部の表面の固化が抑えられ、シート端部の針状電極での補助静電密着の効果が向上する。
本発明のポリエステル系樹脂シートの端部へ吹き付ける気体の熱伝達係数を20〜100W/m・Kにする為には、気体の温度、ポリエステル系樹脂シートと気体を吹付ける吹き出し口との距離、気体の風量、気体の圧力を適宜調整する事で可能である。
本発明のポリエステル系樹脂シートを製造方法においては、前記ポリエステル系樹脂未延伸シートをワイヤー電極で静電密着する際、溶融ポリエステル系樹脂が押出される口金とワイヤー電極の間に設置された気体吹き付け装置によって、前記溶融ポリエステル系樹脂膜の両端部から3〜30mmの部分にあり、かつ前記両端部が冷却ドラムに接する点より口金側の位置に40℃以下の気体を吹き付けることによって冷却した後、該ポリエステル系樹脂未延伸シートの両端部から3〜30mmの部分へ針状電極で静電気を付与させている。
前記気体を吹き付ける事で溶融ポリエステル系樹脂の端部を『冷却』することに樹脂変形力抑制効果が得られ、気体吹き付け部分や針電極でからの放電により押さえつけているシート両端部の厚みの落ち込みを防止できる。
また、『冷却』することによって、見掛の溶融比抵抗を上げ、針電極の押さえ付ける力を制御できるという効果もある。
本発明のポリエステル系樹脂シートの端部への気体の吹付け位置は、溶融ポリエステル系樹脂が冷却ドラムに接する点とするのが好ましい。(図1、図2参照)さらに、ポリエステル系樹脂の端部から3〜30mmの部分が好ましい。
溶融ポリエステル系樹脂の端部から3mm以内に気体を吹付けた場合、ギザギザの端部を形成することになり、ポリエステル系樹脂シートを横延伸機で横延伸させる為、ポリエステル系樹脂シートの端部をクリップに把持させようとしても、連続的にクリップで把持できない為、好ましくない。また、溶融ポリエステル系樹脂の端部から30mmを超えた部分に気体を吹付けた場合、口金でシェアが掛かり反り返った端部を抑え付けることができないし、放電抑制効果を狙ったシート端部の冷却効果もなく、生産速度を上げることができない為、好ましくない。
本発明のポリエステル系樹脂シートの端部への気体の吹付け位置は、ワイヤー電極を覆っている放電防止部材の内側の端部直下の溶融ポリエステル樹脂シートの位置より外側が好ましい。(図3参照)
本発明のポリエステル系樹脂シートの端部へ気体を吹付ける方向は、冷却ドラムの面長方向において、ポリエステル系樹脂シートの内側から端部方向に向かって吹付けることが好ましい。図4において具体的に説明すると、延垂直方向と該気体吹付け装置とのなす角度θは15〜45°が好ましい。なす角度θが15°よりも小さいと、シート端部の該一部分にのみにしか、押え付け力が働かない為、好ましくない。なす角度θが45°よりも大きいとシート端部を押え付ける力が分散する為、充分にシート端部を冷却ドラムに密着させることができない為、好ましくない。
本発明に用いられる気体の吹き付け口の形状は、矩形が好ましい。円形の吹き出し口の形状のものを用いると、理由は定かでないが、気体の押付け力が強くなり、シート端部の厚みの落ち込みを防止することができない為、好ましくない。
本発明の気体の吹き出し口の面積は、7〜50mmが好ましい。吹き出し口の面積が、7mmより小さいと、気体の吹き付け位置が一点に集中し、冷却効果が不充分で、針状電極の補助静電密着力を抑制する効果が少なくなり、シート端部の厚みの落ち込みが発生する為、好ましくない。吹き出し口の面積が、50mmより大きいと、溶融樹脂に吹付けられる気体の面積が大きくなり、延伸した後に製品フィルムに該当する部分に気体が当たり、厚みの悪いフィルムとなり、製品価値のないものになる為、好ましくない。
本発明の気体の吹き出し口の矩形の長辺を延長した線と電極部材とのなす角度θは15〜60°が好ましい。θが15°よりも小さいと、口金から吐出される溶融ポリエステル系樹脂に付随する随伴流の流れに影響を受け、シート端部の密着が不十分となり、電極をシートに接近させることができなく、シートの表面にピンナーバブルが発生する為、好ましくない。θが60°よりも大きいと、シート端部の冷却効率が良くなりすぎて、針状電極による補助静電密着力の効果が働かず、シート端部の密着が不十分となり、端部が結晶化する場合もあり、好ましくない。
本発明の溶融ポリエステル系樹脂を冷却固化させる際の冷却ドラムの温度は、該溶融ポリエステル系樹脂を冷却できれば、特に限定しないが、冷却効率を高めることと冷却ドラムへの水滴の結露を抑制することを両立させるため10〜40℃が好ましい。
ポリエステル系樹脂シートを二軸延伸をする方法として、ポリエステル系樹脂シートを長手方向あるいは幅方向に延伸し、続いて先の延伸方向と直行する方向の延伸を行う逐次二軸延伸方法や、長手方向、幅方向に一度に延伸する同時二軸延伸方法が例示されるが、本発明においては、特に限定しないが、以下逐次二軸延伸方法で例示する。
上記の方法で得られたポリエステル系樹脂シートを80〜120℃に加熱後、ロールの周速差を利用して長手方向に2.5〜5.0倍延伸した後、一旦冷却され、一軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを得る。該加熱方法は、温度制御した数本のロールを接触させる方法でも、赤外線ヒーターなどのヒーターの輻射熱により加熱させる方法でもよい。また、該延伸方法は1段階で行ってもよく、また、多段階で行ってもよい。
上記の方法で得られた一軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、必要に応じて該フィルムの片面、若しくは両面に、帯電防止性、易接着性、易滑性等を付与する目的で樹脂塗布層を設けてもよい。
上記の樹脂塗布層を設ける方法の具体例として、バー・コート法、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールフラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法等が挙げられ、これらの方法を単独、または、組み合わせて行ってもよい。
次いで、フィルムの端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、塗布液を乾燥後、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き220〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜20秒間の熱固定処理を行い、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを得る。この熱固定処理工程中では、必要に応じて、巾方向あるいは長手方向1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
また、熱固定処理工程後に、縦方向および/または横方向に再延伸して、フィルムの配向を高めてもよい。
縦方向に再延伸する方法としては、通常、1段目の縦延伸と同様、複数本配列したロール群のロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、多段階で行ってもよい。延伸倍率は、通常、1〜5倍程度である
次いで、フィルムワインダーでフィルムを巻き取って二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを得る。
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、本実施例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
・ 融点の測定方法
株式会社島津製作所の示差走査型熱量計(DSC−60)を用いて測定を行った。実施例1、比較例1、2の原材料としてのポリエステルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。その10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温していった際に現れる結晶融解に基づく吸熱ピーク温度(融点)を測定した。
(2)極限粘度の測定方法
フェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比で6/4)に、実施例1、比較例1、2の原材料としてのポリエステルを濃度0.4dl/gとなるように溶解し、ウベローデ型粘度管を用いて温度30℃で測定した。
・ 溶融比抵抗値
温度275℃で溶融した試料(チップまたはフィルム)中に一対の電極板を挿入し、120Vの電圧を印加する。その際の電流を測定し、下式に基づいて溶融比抵抗値Si(Ω・cm)を算出する。
Si=(A/I)×(V/io)
ここで、A:電極の面積(cm)、I:電極間距離(cm)、V:電圧(V)、io:電流(A)である。
・ 水分率測定方法
乾燥過程を終了した直後の実施例1、比較例1、2の原材料としてのポリエステルチップをそれぞれ容器にサンプリングし、水分率測定まで密封しておく。この原材料チップを約2g程度を秤量し、京都電子工業株式会社製の水分気化装置(ADP−351)付きカールフィッシャ水分計(MKC−210)を用いて、気化温度180℃で測定した。
(5)延伸ポリエステル系樹脂フィルムの有効製品幅率
フィルムワインダーに巻き取ったポリエステル系樹脂フィルムを横方向に40mm幅のサンプルを採り、アンリツ株式会社製FILM THICKNESS TESTER KG601Aで厚みの測定を以下の測定条件で行い、以下の式で計算するTV10%以下となる有効製品長さを算出し、以下に示す基準に基づき有効製品幅率Lの評価を行った。○のものを合格とする。
・厚み測定条件
フィルムの送り速度:1.5m/分
マイクロメーターのスケール:±5μm
レコーダーのハイカット:5Hz
レコーダーのスケール:±2μm
レコーダーのチャート速度:2.5mm/秒
レコーダーの測定レンジ:×1
・TV%算出式
TV%=(T1−T2)/T3×100
ここで、T1:最大厚み(μm)、T2:最小厚み(μm)、T3:平均厚み(μm)
・有効製品幅率:L(%)
L=B/C×100
ここで、B:TV%=10以下となる製品幅(mm)、C:フィルムワインダ−に捲かれた製品幅(mm)
・ 有効製品幅率の評価基準
○:L=93.0%以上
△:L=90.5〜93.0%
×:L=90.5%未満
(6)冷却ドラムの傷評価
連続48時間後生産した後、少なくとも冷却ドラムの3周分に相当する長さのポリエステル系延伸樹脂フィルムを確保し、西田工業株式会社製偏光板を使用して、ポリエステル系延伸樹脂フィルムの傷の検査を目視で行った。なお、冷却ドラムからの転写傷か否かについては、傷の周期性を確認した。また、冷却ドラム表面についても株式会社LPL社製LPLビデオライトVL−302で冷却ドラムの表面を照らして、肉眼で傷を探し、該当部をマーキングしておき、応研商事株式会社製ビオデンRFAアセチルセルロースフィルム厚口100×120×0.08mmを測定すべき試料面積より大きく切る。ビンにナカライテスク株式会社製酢酸メチルを入れ、それに切り取ったアセチルセルロースフィルムを浸し、マーキングした試料表面の端から空気泡が入らないように注意して貼り付け、数分間放置する。アセチルセルロースフィルムが乾燥したのち、観察面がわかりにくいので、印をつけて、ピンセットで注意深く剥がし、転写面が上になるようにして、アセチルセルロースフィルムを、両面テープを貼り付けたプレパラートに貼る。その試料をオリンパス株式会社製走査型共焦点レーザ顕微鏡LEXTOLS3100(対物レンズ×100倍)で観察をし、三次元顕微鏡レーザー画像を記録媒体に取り込み、解析ソフトを使用して、転写痕の大きさと深さを読んだ。以下に示す基準に基づき冷却ドラムの傷の評価を行った。○のものを合格とする。
○:冷却ドラムに傷はない。
△:冷却ドラムに小さい傷があるが、ポリエステル系未延伸樹脂シートに周期性のある傷はない。
×:冷却ドラムに傷があり、ポリエステル系未延伸樹脂シートにも周期性のある傷がある。
(7)ピンナーバブル評価
実施例1、比較例1、2で得られるフィルムを西田工業株式会社製偏光板を使用して、目視で観察し、フィルム表面に発生するピンナーバブルを下記基準に従って評価した。○のものを合格とした。
○:ピンナーバブルの発生なし。
△:ピンナーバブルの発生が部分的に認められる。
×:ピンナーバブルの発生大。
(実施例1)
原料のポリエステル系樹脂として、極限粘度が0.62dl/g、融点が254℃、溶融比抵抗が0.2×10Ω・cm、シリカ非含有のポリエチレンテレフタレートRE553(商品名)(東洋紡績株式会社製)と極限粘度が0.62dl/g、融点が254℃、溶融比抵抗が0.2×10Ω・cm、平均粒径1.5μmの凝集タイプのシリカ0.2重量%含有のポリエチレンテレフタレートRE554(商品名)(東洋紡績株式会社製)を用い、シリカ0.08重量%を含有するよう原料比率を調整して準備した。これら原料のポリエステル系樹脂はチップ状とし、それぞれ別のパドルドライヤーで乾燥させた。乾燥後の水分率を測定するとそれぞれ、32ppm、45ppmであった。これら乾燥後の原料チップをそれぞれ定量フィーダーで押出機の直前ホッパーへ定量送りして、単軸押出機で樹脂温度が285℃になるように溶融させた。押出機から押出された溶融樹脂は、ギアポンプにて一定量計量され送り出されるが、この時のギアポンプ前の樹脂圧力が5.0MPaの一定圧力で制御できるように押出機の回転数を変更させた。ギアポンプから送り出された溶融樹脂は、ろ過精度15μmのリーフディスクフルターにてろ過し、1,886mm幅の口金から溶融樹脂を以下に示す静電密着条件で35℃に調整した70m/分の速度で回転する直径1,800mmの冷却ドラム上に押出し、無定形シートとした。その後、上記無定形シートを110℃で縦方向に3.5倍、130℃で横方向に4.0倍延伸し、240℃で熱固定して、厚さ12μmのポリエステル系フィルムを製造した。
(静電密着装置と条件)
Φ0.13mmのダングステンワイヤーVWW10(1,000m捲き)(三宅金属株式会社製)をワインディング装置(西田工業株式会社製)に通して、17.65Nになるようにワイヤー張力をパーマトルクHC−4−4−J(株式会社工進精工所製)の目盛りで調整した。ワイヤーの移動速度は、1m/Hrである。口金、冷却ドラム、静電密着装置の位置関係は以下の通りである。口金と冷却ドラムの距離は20mm、ワイヤー状電極と樹脂シートの中央部の距離は5mm、気体の吹付け位置は、ワイヤー状電極上の両端部を放電防止部材としてテフロン(登録商標)管(内径0.5mm、外径1.5mm)を設置し、テフロン(登録商標)管の端部をシート端部から内側に7mmを覆うように位置を調整し、該テフロン(登録商標)管の直下の樹脂シート部を端部から内側に5mm入った部分を中心として、気体が当たる部分である。気体は、20℃の空気であり、熱伝達係数29.49W/m・Kでシートを冷却した。また、その空気は、冷却ドラムの面長方向において、ポリエステル系樹脂シートの内側から端部方向に向かって吹き付けられ、延垂直方向と該気体吹付け装置とのなす角度θは、30°である。気体吹き出し口の形は、短辺2mm、長辺15mmの矩形であり、気体の吹き出し口の面積は、30mmである。また、気体吹き出し口の長辺を延長した線とワイヤー状電極とのなす角度θは、30°である。ワイヤー状電極に流す電源は、電流制御(ACR)とし、電流6.0mA、電圧8.0kVとした。針状電極の位置は、気体の吹付け位置の延長線上にあり、樹脂流れ方向において、ワイヤー状電極から、15mm離れた位置にあり、シート端部から5mm内側の箇所である。針電極に流す電源も、電流制御(ACR)とし、電流0.5mA、電圧6.0kVとした。
(生産状況と評価結果)
上記の条件で48時間生産した所、横延伸工程で、一過性の破れが2回のみ発生しただけで、それ以外の生産上の問題は発生しなかった。
得られたフィルムの有効製品幅率は95.2%であり、○であった。また、フィルムのピンナーバブル評価を行った所、○であった。48時間生産した後、冷却ドラムの傷評価も○であった。
(比較例1)
静電密着装置として、端部に気体吹付けを行わなかった他は実施例1と同じ。しかし、端部の反り返りにより、ワイヤー状電極を近付けることができず、密着電圧を上げピンナーバブルの消失を試みたが、火花放電が発生し、ワイヤー状電極が切れるトラブルが発生した。やむを得ず、火花放電が発生しない電圧電流で静電密着を掛け、厚さ12μmのポリエステル系フィルムを製造したが、得られたフィルムのピンナーバブル評価は、×であり、品質の劣るものしかできなかった。また、有効製品幅率は、90.4%であり、×であった。また、48時間生産した後、冷却ドラムの傷評価は、△であり、火花放電によると思われる傷は存在したが、フィルムへの転写傷となる大きさではなかった。
(比較例2)
ワイヤー状電極の代わりにテープ状電極を用い、196.14Nになるように張力を調整した他は実施例1と同じ。電極調整時に火花放電が発生し、ポリエステル系樹脂が冷却ドラムに巻き付くトラブルが発生した他、一度の未延伸樹脂シートの破れが発生した。更に数回の火花放電が原因と思われる波板状の表面欠点を観察した。この条件で48時間生産した所、横延伸工程で、4回破れが発生した。
得られたフィルムの有効製品幅率は93.7%であり、○であり、ピンナーバブル評価も、○であった。また、48時間生産した後、冷却ドラムの傷評価は、×であり、後日の光学用フィルム製造に耐えられない程のフィルムへの転写傷が発生した為、冷却ドラムの傷の補修を行った。
本発明の製造方法によれば、従来よりも有効製品幅を多く採る事ができ、生産する為の費用を低減することができるばかりか、静電密着装置の電極の位置調整の操作が容易になり、安易に高品位のポリエステル系樹脂フィルムを製造することが可能になり、産業界に寄与することが大である。
本発明のワイヤー状電極と気体吹付け装置とワイヤー電極および針状電極の位置関係の一つの例を示す。 本発明のワイヤー状電極と気体吹付け装置とワイヤー電極および針状電極の位置関係の一つの例を示す。 本発明の未延伸樹脂シートへの気体吹付け方向の一つの例を示す。 本発明の未延伸樹脂シートへの気体吹付け方向の一つの例を示す。
符号の説明
1 口金
2 冷却ドラム
3 溶融樹脂シート
4 ワイヤー状電極
5 気体吹付け装置
6 針状電極
7 放電防止部材

Claims (4)

  1. ポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法であって、前記ポリエステル系樹脂未延伸シートをワイヤー電極で静電密着する際、溶融ポリエステル系樹脂が押出される口金とワイヤー電極の間に設置された気体吹き付け装置によって、前記溶融ポリエステル系樹脂膜の両端部から3〜30mmの部分にあり、かつ前記両端部が冷却ドラムに接する点より口金側の位置に40℃以下の気体を吹き付けることによって冷却した後、該ポリエステル系樹脂未延伸シートの両端部から3〜30mmの部分を針状電極から放電させる静電気で補助密着させることを特徴とするポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法。
  2. 請求項1記載のポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法であって、前記気体を吹き出す吹き出し口が矩形であり、吹き出し口の面積が7〜50mmであることを特徴とするポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法であって、製造方法。
  3. 請求項1記載のポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法であって、前記気体の吹き出し口の矩形の長辺を延長した線と電極部材とのなす角度θが15〜60°であることを特徴とするポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法。
  4. 請求項1記載のポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法であって、前記気体の吹き出し口と冷却ドラムの中心軸とのなす角度θが15〜45°であることを特徴とするポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法。
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