以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態におけるナビゲーション装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。なお、本発明における経路探索装置、ならびにナビゲーション装置をナビゲーション装置100の構成を用いて説明するが、これに限定されない。また、当該ナビゲーション装置が移動体としての車両に備えられたものとして説明するが、たとえば、移動体としての歩行者により把持されたものとしても適用可能である。
ナビゲーション装置100は、記憶装置18、演算装置20、表示制御回路14及びインターフェイス6がバス12に接続されている。
このナビゲーション装置100にはディスプレイ15が接続されている。このナビゲーション装置100には、インターフェイス6を介して各種センサ22、スピーカ18、タッチパネル21及び、通話装置23が接続されている。これらディスプレイ15及び各種センサ22は、ナビゲーション装置100の一部とされていてもよい。
上記バス12には、記憶装置18、インターフェイス6、演算装置20及び表示制御回路14が接続されている。従って演算装置20は、これら記憶装置18、インターフェイス6及び表示制御回路14との間でデータの授受が可能な構成となっている。
通話装置23は、車両の外部との間で通話を行うための電話装置である。この通話装置23は、ナビゲーション装置100に接続することで、例えば運転者が通話装置23を手で直接操作すること、ならびに当該通話装置23を運転者が手に把持することを必要とせずに車両の外部との間で通話を可能とするように制御される、いわゆるハンズフリー通話が可能とされる電話装置である。この通話装置23はインターフェース6に接続されている。
この通話装置23は、図示しない所定の基地局との間でデータ通信を行う機能を有する。本実施形態では、この通話装置23が、図示せぬマイクにより収音した運転者などのユーザの音声をデータ通信し、また、通話装置23が受信したデータをインターフェース6及びバス12を経由して後述する演算装置20に送る。そして、演算装置20は、送られてきたデータを音声として後述するスピーカ18等から出力させる。
各種センサ22としては、加速度センサ5、ジャイロセンサ2、車速パルス検出器3、GPS(Global Positioning System)4及び地磁気センサ11のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせを例示することができる。本実施形態では、各種センサ22の出力を総称する場合、これを「センサデータ」とも呼んでいる。
加速度センサ5は、例えば車両の加速度及び傾斜角の少なくとも一方を検出する機能を有する。ジャイロセンサ2は、例えば車両の移動方位の検出を行う機能を有する。このジャイロセンサ2は、車両の方向変化に伴う角速度データを出力する角速度センサの一種である。このジャイロセンサ2は、加速度センサ5の代わりに上記傾斜角を計測しても良い。
車速パルス検出器3は、例えば車両の移動量や加速度を検出する機能を有する。この車速パルス検出器3は、車両が移動中であるか或いは停止中であるかを検出し、その検出状態を出力する。この車速パルス検出器3は、車両が移動中である場合にはこの車両の走行速度及び移動距離に関する走行状態データを出力する機能を有する。GPS4は、複数のGPS衛星からの電波を受信して演算を行い、測位を行う機能を有する。このGPS4は、例えば緯度、経度、高度及び進行方位のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせの測位データを生成する。
具体的には、このGPS4は、例えば同時に観測した4機の衛星までの疑似距離を測定し、これら4機の衛星までの疑似距離の差に基づいて、現在地の測位を行う機能を有する。地磁気センサ11は、地磁気に基づいて車両の絶対方位を表す角度を検出する方位検出装置の一種である。このような角度としては、例えば方位角を挙げることができる。
記憶装置18は、ROM8、RAM9及び記録媒体16を有する。ROM8は、後述する各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM9は、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。
このRAM9は、後述するプログラム、テーブル及びデータを揮発的に記憶可能なメモリである。この記録媒体16は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの情報記憶媒体である。この記憶媒体16は、後述する地図データを不揮発的に記憶可能である。この地図データは、例えばノードやリンクに関する情報を含んでいる。
演算装置20は、CPU7及びグラフィックコントローラ13を有する。CPU7は、上記各種のプログラムに従って各種の演算、制御を行う機能を有する。グラフィックコントローラ13は、CPU7の制御によってビデオRAM(図示せず)などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像を表示制御回路14によってディスプレイ15に表示させる機能を有する。
具体的には、このグラフィックコントローラ13は、このCPU7の制御によって、例えば上記地図データに基づく電子地図をディスプレイ15に表示させたり、その電子地図上に自らの車両の位置(現在地)を表すマークを重ね合わせてマッピングさせて表示させる機能を有する。なお、このCPU7は、通話装置23におけるハンズフリー通話の制御をおこなう。すなわち、通話装置23が外部から着信信号を受信した場合、その着信信号を受信した旨の信号をインターフェース6を介して取得する。そしてCPU7は、たとえば、タッチパネル21から運転者などのユーザが「通話」ボタンを操作した旨の指令を受けることにより、通話装置23を制御して通話可能な状態とし、受信されたデータを音声として図示せぬスピーカ等から出力させる。その出力された相手先からの音声に対する応答は、CPU7によって、たとえば、図示せぬマイクにより収音された運転者等のユーザの音声をデータ変換し、インターフェース6を介して通話装置23に送る。そしてCPU7は、通話装置23を制御して当該データを送信させる。
またCPU7は、タッチパネル21から通話装置23により発信する旨の信号を取得した場合には、通話装置23を制御して通話可能な状態とし、たとえば、タッチパネル21によって入力された相手先の電話番号に基づき、発信信号を送信させる。当該発信に対し相手先から応答があった場合には、CPU7によって、上述したように受信されたデータを音声として後述するスピーカ18等から出力させる。このようにCPU7が通話装置23を制御することによりハンズフリー通話を可能とする。
またスピーカ18は、CPU7の制御によって音を出力する機能を有する。タッチパネル21は、例えばディスプレイ15の表示領域の表面に沿って設けられた透明なスイッチである。このタッチパネル21は、例えばディスプレイ15の表示領域の表示物に応じて運転者や同乗者などによる接触があった場合、その接触箇所のスイッチがオンされるようになっている。そして、上述したように、通話装置23に対する通話や発信指令、発信先の電話番号等の入力が可能とされる。
図2は、図1に示すナビゲーション装置100において動作するソフトウェアなどの構成例を示すブロック図である。なお、図2に示すソフトウェアは、CPU7が動作を制御するプログラム及びデータの一例を示している。以下、図1を参照しつつソフトウェアの構成例について説明する。
ナビゲーション装置100は、経路探索部31、通話制御部32、探索基準設定部33、誘導部34及びコストテーブル35を有する。なお、この構成例において後述する誘導部34以外の構成が本発明の経路探索装置の一構成例に相当する。まず、この経路探索装置の一構成例について説明する。
経路探索部31は経路探索手段に相当する。この経路探索部31は、設定された探索基準を用いて目的地までの経路を探索する機能を有する。本実施形態では、この機能を「経路探索機能」と呼び、探索基準としてコストを例示する。なお、この経路の探索は、コストを用いた演算により行われる。後述するが、コストは道路リンク毎に走行のし易さを数値的に表したものであり、経路の探索は、目的地までの道路リンクの総コストが最小となる経路を推奨経路として演算する。つまり、コストが数値的に高い道路リンクは、経路として採用される可能性が低く、逆にコストが数値的に低い道路リンクは、経路として採用される可能性が高い。
また通話制御部32は制御手段に相当する。この通話制御部32は、通話装置23の通話を制御する機能を有する。この通話装置23は通信装置の一例である。本実施形態では、この機能を「通話制御機能」と呼ぶ。
本実施形態では、この通話制御部32は、通話装置23を制御しているか否かに関して通話フラグを用いて管理している。具体的には、この通話制御部32は、例えば、着信、または発信している状態、および、運転者等の利用者が通話装置23を用いて通話している状態であると、この通話フラグを「ON」とする。一方、この通話制御部32は、例えば、着信、または発信していない状態、および、運転者等の利用者が通話装置23を用いて通話していない状態であると、この通話フラグを「OFF」とする。なお、本発明における通話の有無とは、この通話フラグが「ON」である場合に通話を有りとし、また、「OFF」である場合に通話を無しとすることが一例として挙げられる。ちなみに、発信音、または着信音の発音が停止した後に運転者等の利用者が通話装置23を用いての通話に移行した場合には、通信フラグは「ON」のまま維持するが、発信音、または着信音の発音が停止した後に運転者等の利用者が通話装置23を用いての通話に移行しない場合には、通信フラグを「ON」から「OFF」に変更する。
探索基準設定部33は探索基準設定手段に相当とする。この探索基準設定部33は、その通話制御部32による通話を制御しているか否かに応じて経路探索部31が経路の探索のための演算をおこなうにあたり用いるコストを設定する。具体的には、探索基準設定部33は、その通話制御部32が通話装置23の通話を制御していない場合、経路探索部31が用いるコストを通常のコストに設定する。一方、探索基準設定部33は、その通話制御部32が通話装置23の通話を制御している場合、この経路探索部31が経路の探索に用いるコストを特定のコストに設定する。このように、探索基準設定部33は、通話制御部32による通話を制御しているか否かに応じて通常のコストと特定のコストのいずれかを設定する。
つまり、探索基準設定部33は、通話フラグが「OFF」である場合、経路探索部31が経路の探索に用いるコストを通常のコストとする。一方、探索基準設定部33は、通話フラグが「ON」である場合、経路探索部31が経路の探索に用いるコストを、特定のコストに設定する。なお、この探索基準設定部33は、通話フラグが「ON」から「OFF」となった場合、経路探索部31が経路の探索に用いるコストを通常のコストから特定のコストに変更し、通話フラグが「OFF」から「ON」となった場合、特定のコストから通常のコストに変更して、経路探索部31による変更されたコストを用いた経路の探索をおこなうようにしてもよい。
ここで本実施形態において「特定のコスト」とは、例えば通話装置23による通話をおこなう場合に車両を誘導すべき経路の探索に用いるコストを表している。この「特定のコスト」の具体例としては、例えば運転者が通話しながらでも比較的走行し易い経路を探索するためのコストである。このコストは、係数、または要素コストにより求められる道路リンクごとのコストであり、それら係数や要素コストを、通常のコストを求めるための係数や要素コストに対し格差をつけることで求められるコストが特定のコストとなる。この走行し易い経路とは、たとえば、運転者が通話相手と会話しながらでも極力注意力が散漫とならずに運転操作がおこなえるような経路とされる。また、この特定のコストの他に、例えば運転者が通話しながら走行したとしても、極力その通話状態を良好に継続しつづけることが可能な経路を探索するためのコストもあり、特定のコストとしては、その他にも様々な基準を採用することができる。
本実施形態では、経路探索部31が通常のコストを用いて経路を探索する状態を「通常モード」と呼ぶ一方、この経路探索部31が特定のコストを用いて経路を探索する状態を「通話時モード」と呼ぶ。
コストテーブル35はコスト管理手段に相当する。このコストテーブル35は、例えば道路の属性などに応じて設定された係数と、その係数を用いて設定される道路リンクごとのコストを管理している。なお、ここでいう道路の属性とは、高速道路、一般道、トンネル、通話装置23における通話圏内外及び橋などを表している。このような係数を、その道路の属性に応じた道路リンクのコストを求めるために用いる。これら係数、ならびにコストを、通常モードでは「通常コスト」と呼び、通話時モードでは「通話時コスト」と呼ぶ。
探索基準設定部33は、通話制御部32が通話装置23の通話を制御している場合、経路探索部31にて経路の探索に用いるコストテーブル35のコストを通話時コストとする。具体的には、この探索基準設定部33は、通話フラグがONである場合、コストテーブル35からコストとして通話時コストを設定する。一方、この探索基準設定部33は、通話フラグがOFFである場合、コストテーブル35からコストとして通常コストを設定する。
図3および図4は、図2に示すコストテーブル35の第1の構成例を示す図である。図3は図2に示すコストテーブル35aに相当し、図4は図2に示すコストテーブル35bに相当する。
なお、図3に示すコストテーブル35aは、例えば運転者が通話しながら走行したとしても、極力その通話状態を良好に継続しつづけることが可能な経路を探索するための係数を、道路の属性に応じて設定したテーブル構成例を表している。
このコストテーブル35aは、例えば道路の属性ごとに、上述した通常コスト及び通話時コストとして係数を管理している。
図3の例では、道路の属性(図3では単に「属性」としている)を「トンネル」、「圏内」、「圏外」とし、例えば属性が「トンネル」である場合、通常コストが1.0であり、通話時コストが5.0と設定してある。例えば属性が「圏内」である場合、通常コストが1.0であり、通話時コストが1.0と設定してある。例えば属性が「圏外」である場合、通常コストが1.0であり、通話時コストが5.0と設定してある。なお、圏内(通話圏内に相当)とは、例えば通話装置23が電波を受信可能な領域を表しており、周囲に電波を遮る障害物がなけれは良好に通話可能となる領域とされる。圏外(通話圏外に相当)とは、例えば通話装置23が電波を受信不可能な領域を表しており、通話状態が悪化することが予測される領域とされる。なお、通話圏に応じた経路探索処理については、後述する第2実施形態において説明する。
図3の例では、通常モードにおいては、トンネル、圏内及び圏外における通常コストが1.0と等しい。一方、通話時モードにおいては、圏内における通話時コストが通常モードと等しいが、トンネル及び圏外における通話時コストが5倍となるように設定される。
このようにすると、上述した経路探索部31は、通常モードにおいては「トンネル」、「圏内」及び「圏外」の各々の属性をもつ道路リンクに対し他の道路リンクとの間で通話時による軽重をつけることなく経路を探索するが、通話時モードにおいては「トンネル」及び「圏外」の各々の属性をもつ道路リンクに対し他の道路リンクとの間で軽重をつけて経路を探索する。つまり、「トンネル」及び「圏外」の各々の属性をもつ道路リンクを経路として採用しない或いは採用しにくくする。
より具体的には、この経路探索部31は、経路の探索において採用する候補の道路リンクが複数ある場合、それら道路リンクの中から一番コストが低い道路リンクを優先して経路として採用する。すなわち、この経路探索部31は、例えば候補の道路リンクに属性が「トンネル」である道路リンクが含まれている場合、通常モードのときは「トンネル」の通常コストの係数が1.0であるため、他の道路リンクのコストに対し通話時による軽重をつけることなく経路を探索する。一方、この経路探索部31は、通話時モードのときは「トンネル」の通話時コストの係数が5.0であるため、他の道路リンクのコストに対し通話時による軽重をつけて経路を探索する。つまり、通常モードのときと比べ、道路リンクのコストを5倍としているため、経路として採用しない或いは採用しにくくすることができる。
このようなコストテーブル35aによれば、探索基準設定部33は、経路探索部31によって探索される経路をトンネル、あるいはトンネルに類似の属性である地下道等の道路を走行しない経路とするように、通話時コストを設定することになる。以下の説明では、探索基準設定部33が、一例として、その経路がトンネルの属性である道路リンクを採用しないようにコストを設定するものとする。なお、コストテーブル35aは、このように圏内及び圏外の2つに分ける代わりに、通話圏内において電波の受信状況の良い場所と良くない場所とでコストに格差を設けるようにしてもよい。
ナビゲーション装置100における経路探索装置は以上のような一構成例であり、次に図1〜図3を参照しつつ当該一構成例による経路探索方法の一例について説明する。この経路探索方法は、経路探索プログラムがCPU7において実行させる各ステップによって構成されている。この経路探索方法は、後述する通話の有無に応じた経路探索処理を含んでいる。なお、この通話の有無に応じた経路探索処理に先立ち、探索基準設定部33が、まず最初に、次のようなコスト設定処理を実行しておく。このコスト設定処理では、探索基準設定部33が、上記経路探索部31によって経路を探索するのに用いるコストを次のように設定する。
<第1のコスト設定例>
図4に示すコストテーブル35bは、図3に示すコストテーブル35aの係数に基づいて道路形状に応じて道路リンクごとのコストを設定した例を表している。この道路リンクごとのコスト設定例は、経路探索部31が図3に示すコストテーブル35aの係数に基づいて設定した内容を示している。本実施形態では、一例として道路リンクA,B,C,Dを挙げるとともに、これら道路リンクが各々次のような道路の属性であるものと例示する。すなわり道路リンクA,C,Dが一般道路を示し、道路リンクBがトンネルを表しているものとする。なお、図示の例における属性が空欄の部分は、一般道路であることを表している。
図4に示すコストテーブル35bの例では、道路リンクAは、属性が「一般道路」であり、通常コストが100であり、通話時コストが100である。また道路リンクBは、属性が「トンネル」であり、通常コストが120であり、通話時コストが600である。
また道路リンクCは、属性が「一般道路」であり、通常コストが130であり、通常コストが130である。このように通常コストが130である道路は、通常コストが100である上記道路よりも、たとえば、リンクの長さや復員や形状により、車両がやや走行し難い或いは走行に時間のかかる道路であることを表している。
また道路リンクDは、属性が「一般道路」であり、通常コストが200であり、通話時コストが200である。このように通常コストが200である道路は、通常コストが130である上記道路よりも、たとえば、リンクの長さや復員や形状により、車両がやや走行し難い或いは走行に時間のかかる道路であることを表している。
つまり図4の例では、属性が「一般道路」である場合、通常コストと通話時コストに違いがないように設定される一方、属性が「トンネル」である場合、図3に示す係数により通話時コストが通常コストの5倍となるように設定されることになる。つまり、通話時における通話状態に影響を与えない属性の道路リンクについては、通常コストと通話時コストに格差をつけずに経路を探索する。一方通話時における通話状態に影響を与える、つまり、通話状態を悪化させることが予測される属性をもつ道路リンクについては、図3の係数を乗算することにより通常のコストと通話時コストに格差をつけ、通話時モードではその格差をつけたコストにて経路を探索する。このようにすると、経路探索部31における経路探索の際に、道路リンクA,C,Dでは各々通常モードにおいても通話時モードにおいても特に影響されないが、道路リンクBでは通話時モードにおいて通常モードよりも経路として採用されにくくなる。
<通話の有無に応じた経路探索処理>
上述した経路探索プログラムは、次のような各ステップにより経路探索方法を実現している。まず、概要を説明すると、次のようになっている。
この経路探索プログラムは、この通話の有無に応じた経路探索処理において、探索基準変更ステップ及び経路探索ステップをナビゲーション装置100のCPU7において実行させる。まず探索基準変更ステップでは、通信制御部32が通話装置23による外部との間の通信を制御している場合、探索基準設定部33によって、経路探索部31が経路の探索にあたり用いるコストを通常コストまたは通話時コストに設定する。経路探索ステップでは、経路探索部31が、設定されたコストを用いて目的地までの経路を探索する。
図5は、通話の有無に応じた経路探索処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、例えば運転者がナビゲーション装置100に対して所定の操作を行う。この所定の操作は、たとえば、目的地設定のための操作や経路探索を開始させるための操作である。この操作指令を受けると、CPU7の制御によって経路探索部31による経路探索が開始され、以下のように動作する。
まず、ステップS1では、通話制御部32が通話装置23を制御しているか否か、すなわち、通話フラグがONであるか否かを判断する。通話フラグがOFFである場合には、図3に示すコストテーブル35aが通常コストに切り替えられる(ステップS2)。一方、通話フラグがONである場合には、このコストのコストテーブル35aが通話時コストに切り替えられる(ステップS3)。
次にステップS4では、経路探索部31が、このように切り替えた通常コスト又は通話時コストを用いて目的地までの経路を演算する。このような経路演算時に、各道路リンクA,B,C,Dのコストが計算され、結果的に図4に示すような通常コスト及び通話時コストとなる。具体的には、経路探索部31は、通常モードにおいては通常コストを用いて経路を演算する。一方、この経路探索部31は、通話時モードにおいては通話時コストを用いて経路を演算する。これら通常モード及び通話時モードにおける経路としては、それぞれ次に示すようになっている。
まず通常モードにおいては、図6に示す現在地63から目的地62までの経路を演算する場合、道路リンクB,Dが道路リンクAと道路リンクCとの間の候補の道路リンクとされる。経路探索部31は、それら道路リンクにおいて、図4に示す通常のコストから道路リンクBのコスト120が道路リンクDのコスト200より低いため、道路リンクBを経路として採用し、道路リンクA,B,Cによる目的地62までの経路を演算する。なお、位置61は誘導開始地点を表している。
一方、通話時モードにおいても、図7に示す現在地63から目的地62までの経路を演算する場合、道路リンクB,Dが道路リンクAと道路リンクCとの間の候補の道路リンクとされる。経路探索部31は、それら道路リンクにおいて、図4に示す通話時のコストから道路リンクBのコスト600が道路リンクDのコスト200より高いため、道路リンクDを経路として採用し、道路リンクA,D,Cによる目的地62までの経路を演算する。つまり経路探索部31は、通話装置23による通話状態が悪化すると予測される道路リンクB(トンネル)を回避した経路、A,D,Cを経由する経路を探索することとなる。
ここで、通話時モードにて経路演算が終了した時点において既に車両が、図6の道路リンクB(トンネル)を通過せざるを得ずその他の道路リンクに回避できない状況であると判断した場合、これから車両がトンネルを通過することになる旨を、スピーカ18から音で出力させたり、ディスプレイ15に表示させるようにしてもよい。
なお、本実施形態において、例えば、通常モードにおいて探索された経路に従って走行している際に、運転者が通話装置23を用いて通話を開始した、つまり、通話制御部32が通話フラグをOFFからONとして通話装置23の通話を制御することとなったことを契機として、通話時モードとし、探索基準設定部33が図4に示す通話時コストに設定し、経路探索部31が、これを契機に、通話時コストを用いて目的地までの経路を再計算するようにしてもよい。
一方、本実施形態において、例えば、通話時モードにおいて探索された経路に従って走行している際に、運転者が通話装置23を用いて通話を終了した、つまり、通話制御部32が通話フラグをONからOFFとして通話装置23の通話制御を終了することとなったことを契機として、通常モードとし、探索基準設定部33が図4に示す通常コストに設定し、経路探索部31が、これを契機に、通話時コストを用いて目的地までの経路を再計算するようにしてもよい。
次に経路探索プログラムが、誘導部34に、上述した経路探索部31によって新たに探索された経路に従って車両を誘導させる誘導処理(誘導ステップに相当)を実行させる。この誘導処理では、誘導部34が、その探索結果としての経路(以下、誘導経路と呼ぶ)を運転者や同乗者に対して視覚や聴覚で提示する。具体的には、この誘導処理では、CPU7の制御によってグラフィックコントローラ13を制御し、表示制御部14にディスプレイ15に誘導経路を表示させたり、その誘導経路に応じた案内をスピーカ18から音として出力させる。
<第2のコスト設定例>
図8は、図2に示すコストテーブル35の第2の構成例を示す図である。
コストテーブル35cは、図3に示すコストテーブル35aとほぼ同様のテーブル構成であるが、図3ではトンネルなどの属性ごとにコストが定められていたのに対し、図8では右折、左折などの要素に基づいてコストが定められている点が異なっている。この要素に基づいて定められたコストが要素コストとされる。なお、図3における属性と、図8における要素とは、コストに格差を設けるべき事項である点においてほぼ同様であるが、次のような点が異なっている。
すなわち、図3における属性は、例えば、運転者が通話しながら走行したとしても、極力その通話状態を良好に継続しつづけることを考慮した場合、つまり、通話装置23による電波の受信を考慮した場合にコストに格差を設けるべき事項である一方、図8における要素は、例えば、運転者が通話しながらでも比較的走行し易いようにする場合、つまり、運転者が通話装置23を用いて通話しながらの車両の運転操作を配慮する場合にコストに格差を設けるべき事項である。
図8の例では、このコストテーブル35cでは、例えば要素が「右折」である要素コストにおける通常コストが150であり、通話時コストが300と2倍に設定される。また、このコストテーブル35cでは、例えば要素が「左折」及び「Uターン」である要素コストにおける通話時コストが通常コストの2倍に設定されている。また、このコストテーブル35cでは、その他の要素についても各々図示のように通話時コストが通常コストの数倍に設定される。このうち特に例えば要素が「工事現場」及び「鉄道路線」である要素コストにおける通話時コストが通常コストよりも格段に高い設定となっている。
このようにすると、上述した経路探索部31は、通常モードにおいては図8に示す要素コストとして通常のコストを設定し、通話時モードにおいては同図に示す要素コストとして通話時コストを設定する。そして、このような要素コストの設定に応じて、道路リンクごとのコスト及び道路リンク間の移動に要するコスト(ターンコスト)を求める。道路リンクごとのコストは、たとえば、図8に示す要素コストに道路リンクの距離(リンク長)等を加算し、その加算した値に図3で示す道路の属性に応じた係数や道路の幅員に応じた係数等を乗算して計算される。要素コストとして通常コストと通話時コストとに格差をつけることで、道路リンクごとのコスト及びターンコストにおいても通常時と通話時とで格差のついたコストとなり、よって、図8に示す要素をもつ道路リンクのコストが通話時モードにおいて高くなり、その道路を回避するような経路の探索を行うようになる。
より具体的には、この経路探索部31は、目的地までの道路リンクにおいてコストを演算し、そのコストが最小となる経路を探索する。すなわち、この経路探索部31は、例えば通話時モードのときは右折、Uターンなどの要素を含む道路リンクの通話時コストが特に高くなるため、このようなコストの高い要素をもつ道路リンクをできるだけ含まない経路を探索する。
このようなコストテーブル35cによれば、探索基準設定部33は、通話フラグがONである場合、つまり、通話制御部32によって通話装置23における通話を制御している場合には、図8に示す要素コストとして通話時コストを設定し、経路探索部31は、この設定された通話時コストによって道路リンクごとのコストを求めるとともに、その求められたコストにより目的地までの経路を探索する。
つまり、探索基準設定部33は、通話時モードにおいて右折やUターンなどの要素コストを通常モードと比較して著しく高くしたコストに設定するため、経路探索部31は、この右折やUターンをできるだけ少なくするように、目的地へと経路を探索することになる。このようにすると、運転者が通話装置23を用いて通話するという運転にやや集中しにくい状態でも、運転者は自らの車両を比較的走行し易い経路に沿って直進させたり左折させるなどしながら、目的地まで移動することができる。
また通話時モードにおいては、例えば学校の近くでは予期せぬ児童の飛び出しなどに注意を払わなければならないことから、探索基準設定部33は、通話時コストに比べて高くした通話時コストを設定する。また通話時モードにおいては、例えば工事現場や鉄道路線の付近では騒音により通話を邪魔される可能性があるので、探索基準設定部33は、これを避けるため、これらを表す道路リンクについて通話時コストを通常コストに比べて著しく高く設定してもよい。なお、上述した図3及び図4に示すコスト設定と、図8に示すコスト設定とは相反するものではなく、両コスト設定を同時に用いることも可能である。
図9は、通常モードにおいて探索された経路の一例を示すイメージ図である。なお図9はディスプレイ15の表示例を示している。
図8に示すコストテーブル35cによれば、通常モードにおいては右折などの要素コストは各々道路形状等に応じて設定されている。経路探索部31は、このコストテーブル35cの通常コストを用いつつ、例えば最も道路リンクのコストが少なくなるよう車両の現在地61から目的地62へと経路を探索する。
図10は、通話時モードにおいて探索された経路の一例を示すイメージ図である。なお図10はディスプレイ15の表示例を示している。
この例では、探索基準設定部33が、経路探索部31によって探索される経路において車両が曲がる回数を極力最小とするように、通常コストから通話時コストに変更する。なお、この探索基準設定部33は、この車両の曲がる方向についても、例えば車両が左側通行をする場合、できるだけ右折よりも左折を優先するようにコストを変更するのが望ましい。
なお、上記通話装置23は、上述のような運転者などの利用者が用いて車両の外部との間で通話を行う通話装置に限られない。具体的には、このような通信機器の一例としては、PDA(Personal Digital Assistant)などの情報端末であってもよい。
以上のように、上記実施形態における経路探索装置は、探索基準を用いて目的地までの経路を探索する経路探索装置であって、外部との間で通話が可能な通話装置23における通話の有無に応じて、通常の探索基準(通常コストに相当)と、当該通常の探索基準とは異なる特定の探索基準(通話時コストに相当)のいずれかを用いて経路を探索する経路探索手段31を備える。
このようにすると、経路探索手段31は、通常、通話装置23と独立して動作するものの、必要に応じてこの通話装置23と連携して動作する。すなわち、この経路探索手段31は、例えば車両の運転者が通話装置23を用いて通話などの通信していない場合には通常の探索基準を用いて経路を探索する。一方、この経路探索手段31は、例えば車両の運転者が通話装置23を用いて通信中である場合には特定の探索基準を用いて経路を探索する。
このように経路探索手段31は、例えば車両の運転者が通話装置23を用いて通信しているか否かに応じて、経路の探索にあたり用いるべき探索基準(コストに相当)を変わることになる。このため運転者が、通話装置23を用いて通信を行いながら運転をしている場合には、経路探索手段31が特定の探索基準に従って車両を誘導するため、この特定の探索基準を所望の適切な設定とすれば、運転者が通話時にも安全な運転を行うことができるようになる。また、このような経路探索装置は、通常の探索基準を用いて経路を探索した場合における使い勝手の良さを残しつつ、必要に応じて円滑に、特定の探索基準を用いて経路を探索することができる。
上記実施形態における経路探索方法は、外部との間で通話が可能な通話装置23における通話の有無を判別する通話判別ステップと、前記判別結果に応じて、通常の探索基準、または当該通常の探索基準とは異なる特定の探索基準のいずれかを用いて目的地までの経路を探索する経路探索ステップとを有する。
この経路探索方法によれば、通話装置23における通話の有無に応じて、通常の探索基準または特定の探索基準を用いて目的地までの経路を探索する。つまり、この経路探索方法では、例えば車両の運転者が通話装置23を用いて通信しているか否かに応じて、経路の探索にあたり用いるべき探索基準(コストに相当)を変更して目的地までの経路を探索するようになる。
この経路探索方法によれば、例えば運転者が、通話装置23を用いて通信を行いながら運転をしている場合、特定の探索基準に従って車両が誘導されるため、この特定の探索基準を所望の適切な設定とすれば、運転者が通話時にも安全な運転を行うことができるようになる。また、このような経路探索方法は、通常の探索基準を用いて経路を探索した場合における使い勝手の良さを残しつつ、必要に応じて円滑に、特定の探索基準を用いて経路を探索することができる。
上記実施形態における経路探索プログラムは、外部との間で通話が可能な通話装置23における通話の有無を判別する通話判別ステップと、前記判別結果に応じて、通常の探索基準、または当該通常の探索基準とは異なる特定の探索基準のいずれかを用いて目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、をコンピュータに実行させている。
この経路探索プログラムによれば、コンピュータに、通話装置23における通話の有無に応じて、通常の探索基準または特定の探索基準を用いて目的地までの経路を探索させる。つまり、この経路探索プログラムは、例えば車両の運転者が通話装置23を用いて通信しているか否かに応じて、経路の探索にあたり用いるべき探索基準(コストに相当)を変更して目的地までの経路を探索するようになる。
この経路探索プログラムによれば、例えば運転者が、通話装置23を用いて通信を行いながら運転をしている場合、特定の探索基準に従って車両が誘導されるため、この特定の探索基準を所望の適切な設定とすれば、運転者が通話時にも安全な運転を行うことができるようになる。また、このような経路探索プログラムは、通常の探索基準を用いて経路を探索した場合における使い勝手の良さを残しつつ、必要に応じて円滑に、特定の探索基準を用いて経路を探索することができる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記経路探索手段31は、前記通話装置23における発信、着信または通話中に応じて、前記特定の探索基準を用いて経路を探索する。
このようにすると、通話装置23の状態が発信、着信または通話中である場合には、車両が特定の探索基準に従って誘導されるため、この特定の探索基準を所望の適切な設定とすれば、運転者が通話時にも安全な運転を行うことができる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記通話装置23における通話を制御する制御手段32と、前記制御手段32における制御の有無に応じて、経路の探索に用いる探索基準を、通常の探索基準と特定の探索基準のいずれかに設定する探索基準設定手段33を備え、前記経路探索手段31は、設定された探索基準を用いて経路を探索する。
このようにすると、探索基準設定手段33は、制御手段32における制御の有無に応じて正確に通話装置23の状態が発信、着信または通話中であるか否かを判断し、経路の探索に用いる探索基準を変更している。車両が特定の探索基準に従って誘導されるため、この特定の探索基準を所望の適切な設定とすれば、運転者が通話時にも安全な運転を行うことができる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、上記制御手段32は、利用者が手で直接操作することを必要とせずに外部との間で通話を可能とするように前記通話装置23における通話を制御する。
一般的に、このような形態の通話装置23は、運転者が車両などの移動体を運転中に利用しても比較的安全とはいわれているものの、やはり運転者の運転への集中力は、通話中でない場合に比べればやや鈍る傾向がある。しかしながら、上述のような構成によれば、運転者が通話装置23を用いて通話している場合、経路探索手段31が、通常の探索基準とは異なる特定の探索基準に従って経路を探索するため、この特定の探索基準を適切に設定すれば、運転者がこの経路に従って比較的安全に所望の目的地に向かうことができる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記経路探索手段31は、移動体が目的地に移動するための経路を探索し、前記探索基準設定手段33は、前記制御手段32が前記通話装置23における通話を制御している場合、前記通話中における移動体の移動のし易さを考慮した経路とするように、前記特定の探索基準を設定する。
このようにすると、制御手段32が、運転者が通話装置23を用いて通話しているか否かを随時把握しており、探索基準設定手段33が、通話装置23を用いた通話中であると探索基準を変更する。すると、経路探索手段31は、移動体が移動しやすい経路を探索するようになり、運転者は安全に運転することができるようになる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記探索基準設定手段33は、前記制御手段32が前記通話装置23における通話を制御している場合、前記通話装置23における通話状態の悪化を低減させる経路とするように、前記特定の探索基準を設定する。
このようにすると、運転者が車両を運転しながら通話装置23を用いて通信していても、この通話装置23は、電波を受信し易くなり、運転者による通信が途切れにくくなる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記経路探索手段31は、移動体が目的地に移動するための経路を探索し、前記探索基準設定手段33は、前記制御手段32が前記通話装置23における通話を制御している場合、前記移動体の曲がる回数が少ない経路とするように、前記特定の探索基準を設定する。
このようにすると、運転者が車両などの移動体を運転しながら通話装置23を用いて通話などの通信を行っても、所望の目的地までの経路において右折などの回数が少ないため、運転者が注意を分散させることなく安全に所望の目的地まで誘導されるようになる。またこのように車両が曲がる回数が少なくなるように誘導すると、誘導に伴う音声案内が通話の邪魔をすることが少なくなる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記経路探索手段31は、移動体が目的地に移動するための経路を探索し、前記探索基準設定手段33は、前記移動体が移動を開始した後に、前記制御手段32における制御が開始または終了されたことを契機として、前記経路探索手段31が用いる探索基準を変更する。
このようにすると、経路探索手段31は、移動体が目的地へ移動を開始した後に、運転者が通話装置23を用いて通話し始めた場合または終了した場合、この特定の探索基準を用いて経路を探索する。すると、運転者は、この特定の探査基準を用いて探索された経路に沿って移動体で安全に移動することができる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記経路探索手段31は、前記通話装置23における通話の開始または終了を契機として、経路の再計算を実行する。
このようにすると、経路探索手段31は、運転者が通話装置23を用いて通話を開始した場合または終了した場合に経路を再計算する。すると、運転者は、その状況変化に応じて再計算された経路に沿って車両などの移動体で安全に移動することができる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記探索基準としての道路リンクのコストを通常のコストと当該通常のコストとは異なる特定のコストとして管理するコスト管理手段35,35a,35b,35cを有し、上記探索基準設定手段33は、前記通話装置23における通話の有無に応じて、前記コスト管理手段35,35a,35b,35cにおける前記通常のコストまたは前記特定のコストのいずれかを用いて経路を探索する。
このようにすると、適切な通常のコスト及び特定のコストをコスト管理手段35などに用意しておけば、経路探索手段31は、通話装置23が通信中である場合、通常のコストとは異なる特定のコストを用いて、運転者が移動しやすい経路を探索することができる。このため運転者は、通話装置23を用いて通信をしながらでも比較的安全に所望の目的地に到着することができる。
上記実施形態におけるナビゲーション装置100においては、上述した各構成のいずれかの経路探索装置と、前記経路探索装置により探索された経路に従って車両を誘導する誘導装置34(誘導部に相当)とを有する。
このようにすると、誘導装置34は、運転者が運転中に通話装置23を用いて通話などをしている場合、通常の探索基準とは異なる特定の探索基準に従って探索された経路に沿って、車両などの移動体を誘導することができる。このため運転者は、通話装置23を用いて通話などしていても、安全に目的地まで導かれるようになる。
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態におけるナビゲーション装置100aにおいて動作するソフトウェアの構成例を示すブロック図である。
第2実施形態におけるナビゲーション装置100aは、第1実施形態におけるナビゲーション装置100とほぼ同様の構成でありほぼ同様の動作を実行する。このため第2実施形態では、同一の構成及び動作については第1実施形態における図1乃至図10と同一の符号を用いるとともに、その説明を省略し、以下の説明では異なる点を中心として説明する。
このナビゲーション装置100aは、第1実施形態における経路探索部31の代わりに経路探索部31aを有するとともに、通話圏データ37を有する。
この経路探索部31aは、第1実施形態における経路探索部31とほぼ同様の機能を有するが、次のような点が異なる。すなわちこの経路探索部31aは、通話フラグがONである場合に、通話維持のための経路探索処理を実行する。この経路探索部31aは、第1実施形態における通話の有無に応じた経路探索処理の代わりに、或いは併せて、その通話維持のための経路探索処理を実行する。この通話維持のための経路探索処理は、車両が通話装置23によって電波を受信可能な通話圏内を極力走行するように経路を探索する処理である。
通話圏データ37は、上述した通話装置23が通話の継続のために必要な電波を十分な共同で受信し続けられる受信可能範囲を表す情報である。本実施形態では、この受信可能範囲を「通話圏」と呼んでいる。この通話圏データ37は、例えば通話装置23の提供会社より事前に入手しておくことができる。
この通話圏データ37は、地図データに含まれるリンク及びノードに関連づけられている。すなわち、この通話圏データ37は、この地図データに基づく電子地図上においてその通話圏を特定し、その通話圏を電子地図に重ねてマッピングした表示態様の表示をするための情報である。この通話圏データ37は、例えば記録媒体16に記憶されている。
探索基準設定部33は、上述した通話圏データ37から導き出しうる通話圏に基づいて、その通話圏外に位置する道路リンクのコストを設定する。或いはこの探索基準設定部33は、その代わりに、通話装置23の電波の中継基地アンテナの所在地のデータから、各道路リンクの最寄りの基地からの距離によって、電波の強さを推定し、それに応じて各道路リンクのコストを設定させる仕組みを採用することもできる。
図12は、通話維持のための経路探索処理の手順例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、経路探索方法の一部として含まれる経路探索処理の概要を表している。経路探索プログラムは、CPU7の制御によって経路探索部31aに、この通話維持のための経路探索処理を実行させる。
まず経路探索部31aは、通話圏データ37に基づいて、通話装置23によって電波を受信可能な範囲(上記通話圏に相当)を取得する。つまり、この通話圏データ37は、通話装置23によって電波を受信して通話のための通信が可能な範囲(上記通話圏に相当)を示す情報を表している。
まずステップS11では、経路探索部31aが、現在、誘導部34によって誘導処理が実行されているか否かを判断する。経路探索部31は、この誘導部34によって誘導処理が実行されていない場合にはこの通話維持のための経路探索処理を終了する一方、この誘導部34によって誘導処理が実行されている場合には次のステップS12が実行される。
次にステップS12では、経路探索部31aが、車両の現在地が通話圏外に入るか否かが判断される。この経路探索部31aは、車両の現在地が通話圏外に入らないと判断した場合、この経路演算処理を終了する。この経路探索部31aは、車両の現在地が通話圏外に入ると判断した場合、探索基準設定部33に、次のようなステップS13を実行させる。
このステップS13では、探索基準設定部33が、コストの設定に関して通話圏外の道路リンクのコストを高く設定する。そして経路探索部31aは、この新たなコスト設定に基づいて新たな経路を再度計算する。次にステップS14では、経路探索部31aが、この新たな経路として再計算前の元の経路とは異なる経路を探索したか否かを判断する。ここでいう元の経路とは、既に経路探索が終了し、誘導部34によって現在誘導に用いられている経路を表している。経路探索部31aは、この元の経路とは異なる経路を算出した場合には新たな経路を誘導経路と設定し(ステップS15)、異なる経路を算出していない場合には、この通話維持のための経路探索処理を終了し、元の経路のまま誘導を継続する。ただし、経路探索部31aは、これらの経路が一致するしない判定をせずに、無条件で新たな経路を誘導経路に設定するようにしても良い。
ここで本実施形態では、この経路探索部31aが、例えば通話装置23に着信があったことを契機に経路の探索を開始し、探索された新たな経路への差し替えを、例えば通話の開始を契機としてもよい。それにより、経路探索部31aが通話時の経路の切り替えをより高速に行うことが出来る。
また本実施形態では、この経路探索部31aが、通話制御部32によって外部との間で通話が可能な通話装置23の発信または着信を検出し(検出手段に相当)、その着信または発信が検出された際に、車両の現在地が所定の走行時間内に通話装置23の通話圏外(電波の受信可能領域外に相当)になるか否かを判断し(判断手段に相当)、車両が通話圏外になると判断された場合に上述したように通話圏外の道路リンクのコストを高く設定するようにしてもよい。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、上記探索基準設定手段33(探索基準設定部に相当)は、前記制御手段32が前記通話装置23における通話を制御している場合、前記移動体が前記通話装置23によって受信されるべき電波の受信可能領域内に極力位置する経路とするように、前記特定の探索基準を設定する。
このようにすると、運転者は、車両が移動中に通話を行って特定の探索基準で誘導された場合でも、通話装置23が常時電波を受信できることから、運転者は通話が途切れることなく通信を行うことができる。また運転者は、車両で走行しているにもかかわらず、通信が途切れる心配をする必要がないため、通信をしながらであってもより安全に車両を運転することができる。
上記実施形態における経路探索装置においては、上記構成に加えてさらに、前記探索基準設定手段33は、前記制御手段32が前記通話装置23における通話を制御している場合、前記通話装置23における通話状態の悪化を低減させる経路とするように、前記特定の探索基準を設定する。
このようにすると、運転者が車両を運転しながら通話装置23を用いて通信していても、この通話装置23は、電波を受信し易くなり、運転者による通信が途切れにくくなる。
上記実施形態におけるナビゲーション装置100aは、上述した各構成のいずれかの経路探索装置と、前記経路探索装置により探索された経路に従って車両を誘導する誘導装置(誘導部34に相当)とを有する。
このようにすると、誘導装置34は、運転者が運転中に通話装置23を用いて通話などをしている場合、通常の探索基準とは異なる特定の探索基準に従って探索された経路に沿って、車両などの移動体を誘導することができる。このため運転者は、通話装置23を用いて通話などしていても、安全に目的地まで導かれるようになる。
上記実施形態におけるナビゲーション装置100aにおいては、外部との間で通話が可能な通話装置23の発信または着信を検出する検出手段と、前記着信または発信が検出された際に、前記移動体の現在地が所定の走行時間内に前記通話装置23によって受信されるべき電波の受信可能領域外になるか否かを判断する判断手段と、前記受信可能領域外になると判断された場合には、当該受信可能領域外の道路に対する探索基準を通常の探索基準よりも高くして経路を探索する経路探索手段31a(経路探索部に相当)と、前記探索された経路に従って前記移動体を誘導する誘導手段34(誘導部に相当)と、を備える。
このようにすると、ナビゲーション装置100aは、通話装置23において発信または着信が検出されると、車両などの移動体の現在地が所定の走行時間内に電波の受信領域外になると判断された場合、移動体は受信可能領域外の道路に誘導されにくくなる。このため通話装置23による通話が途切れにくくなる。
なお、本実施形態は、上記に限られず、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
図13及び図14は、各々、上記実施形態の変形例におけるディスプレイ15の表示例を示すイメージ図である。
この変形例では、上記実施形態と同様に、経路探索部31が、一旦、車両の現在地から所望の目的地までの経路(以下、「元の経路」という)を探索した後に、例えば運転者によって通話装置23を用いて通話が開始されたことを契機として、さらに以下のように経路を計算するようにしても良い。
すなわち経路探索部31が、例えば現在地から所望の目的地まで車両の移動時間が3時間程度かかると見積もられた経路を計算した場合に、通話装置23に電話が掛かってきた場合でも、3時間全てにわたり通話が続くとは考えにくいため、全経路を再度計算し直すかわりに、次のようにする。
具体的には、経路探索部31が、通話装置23による通話時間を例えば5分と仮定し、図13に示すように、この車両が5分後に到達する地点64までを通話時コストに基づいて再計算し、その先は元の経路とつなぎ合わせるように誘導経路を計算するようにしてもよい。以下、このように車両が5分後に到達する地点を「5分後到達予定地点」と呼ぶ。
すると、車両は、図12に示す現在地61から5分後到達予定地点64までは、経路探索部31が通話時コストに従って誘導した経路65となる。その後、図14に示すように、その5分後に実際に到達した地点64aから所望の目的地62までは、経路探索部31が通常コストに従って誘導した経路66となる。
また経路探索部31は、全区間を再計算するものの、予め、5分以内に到達する範囲の経路については通話時コストを用いて計算し,その先の経路については通常コストを用いて計算するようにしても良い。
また経路探索部31は、上記通話時間と仮定した5分よりも前、例えば4分30秒程度でまだ話し中であったら、5分後時点でも通話が継続しているであろうと判断し、再計算しても良い。また経路探索部31は、5分後にまだ通話中であった場合に経路の再計算を行っても良い。
また経路探索部31は、上述のように通話時間として例示した5分に限られず、その代わりに、通話者などのユーザごとに過去の通話時間を記録媒体16に記憶しておき、その過去の通話時間に基づいて通話時間を予測するようにしてもよい。さらにこの経路探索部31は、例えば通話の相手先ごとに過去の通話時間を記録媒体16に記憶しておき、その記録媒体16に記憶済の過去の通話時間に基づいて通話時間の予測値を見積もるようにしても良い。
また通話装置23による通話を維持するためとはいえ、車両がトンネルなどを避けて極端な遠回りをするのは合理的ではない。そこで誘導部34は、通話装置23による通話が終了するまで、その場で停車した方がより良い旨を運転者に提示するようにしてもよい。またこの経路探索部31は、例えば元の経路と新たに計算した経路との所要時間の差を比較して、その増分が通話時間を下回ると判断した場合にのみ、誘導部34が新しい経路を提示するようにしてもよい。また経路探索部31は、通話時コストを用いる場合でも、運転の合理性を考慮して極端に遠回りな経路にならないように誘導経路を計算するのが望ましい。
また、上記実施形態では、例えば運転者などのユーザが所定の再探索ボタンを操作したことを契機として、経路探索部31が再度、上述した図5に示す通話の有無に応じた経路探索処理を実行するようにしてもよい。
この再探索ボタンは、ナビゲーション装置100において操作可能であればどのような形態であってもよいが、例えば着信があったことを契機に、表面にタッチパネルを有するディスプレイ15に上記再探索ボタンを表示させ、この再探索ボタンの表面のタッチパネルがオンとなったことを契機に経路探索部31が上述した通話の有無に応じた経路探索処理を実行する。
このようにすると、運転者や同乗者が意図した時刻に、経路探索部31に、上記実施形態に示した通話の有無に応じた経路探索処理を実行させ、運転者が通話装置23を用いて通話しつつ車両をより安全に運転することができる。
上記実施形態は、ナビゲーション装置100が車両に搭載されている形態のみならず、このナビゲーション装置100が、例えばPND(Personal Navigation Device)と呼ばれる簡易タイプのポータブル型ナビゲーション装置であってもよい。また、このナビゲーション装置100は歩行者が携帯するナビゲーション装置であってもよい。
また、上記実施形態では、例えばテレビジョン放送やラジオ放送の視聴状態の維持などを目的として経路を誘導してもよい。また、上記実施形態では、ナビゲーション装置100が、災害情報などの重要な番組に関する放送波を受信可能であり、このような放送波を受信したら、探索基準設定部33が、例えば山間部やトンネル、ビルの谷間といった受信が乱れそうな経路を回避するようコストを変更するようにしてもよい。このようにすると、通常時の使い勝手を損なうことなく、緊急時にもストレスを与えることなく安全性を確保することができる。
また、上記実施形態では、現状の地上波デジタル放送や無線LAN(Local Area Network)のホットスポットのように、電波を受信できる場所の方が少ない状況であれば、次のようにしても良い。すなわち、探索基準設定部33が、逆に電波を受信可能な道路のコストを低く設定する。すると、経路探索部31は、車両がなるべくその受信可能な道路を通るように経路を計算するようになる。