JP2009035524A - 新規なビカルバゾール誘導体、それを用いたホスト材料および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

新規なビカルバゾール誘導体、それを用いたホスト材料および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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【課題】素子の低電圧駆動を可能にし、高効率な素子を提供するために必要な新規なビカルバゾール誘導体、それを用いたホスト材料および有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】下記一般式(1)
Figure 2009035524

(式中、Qはアルキル基等で置換されていてもよいアリール基または窒素原子を1から3含有するヘテロアリール基である。)で示されるビカルバゾール誘導体、それを用いたホスト材料および有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なビカルバゾール誘導体、それを用いたホスト材料および有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の実用化に向けた研究開発が、国内外の電気メーカーや材料メーカーなどが中心になって進められている。液晶表示素子や発光ダイオードなどの既に世間に知られているディスプレイなどと、互角に渡り歩いていくには消費電力の低減および素子の長寿命化が必須の課題としてあげられている。
そこで、この問題を解決する目的で、近年リン光材料による有機EL素子の検討がなされている(非特許文献1)。
リン光材料は、従来の蛍光材料と異なり、三重項励起状態を使用することができるため量子効率が非常に高く、エネルギー失活がほとんどなく内部発光量子収率でほぼ100%に達する材料である。
しかし、このリン光材料は、濃度消光を起こしやすいため蛍光材料と同様にホスト材料との併用が必要になってくる。
高効率発光を得るためには、輸送材料やホスト材料の最適化を図らないといけないが、リン光材料は蛍光材料と異なり三重項エネルギーを完全に閉じこめないと満足な効果が得られない。特に青色の材料に関してはエネルギーレベルが非常に高い。そのためにこれまで使用していた4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)では十分なエネルギーの閉じこめができない。これまでこの青色リン光エネルギーを満足に閉じこめる事ができるワイドギャップ化されたホスト材料はほとんどなく、青色リン光材料の開発を妨げる一つの要因になっていた。
そこで、本発明者らは、化学構造式上、ねじれ構造をもつ化合物が前記目的にかなう化合物となる可能性を考え、請求項1の化合物を開発したが、この基本的構造またはそれに近い化合物について、ケミカルアブストラクト検索を行なったが、該当化合物に関する文献は発見できなかった。
Appl.Phys.Lett.,75(1)4(1999)
本発明の目的は、素子の低電圧駆動を可能にし、高効率な素子を提供するために必要な新規なビカルバゾール誘導体、それを用いたホスト材料および有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
本発明の第1は、下記一般式(1)
Figure 2009035524
(式中、Qは
Figure 2009035524
よりなる群から選ばれた基であり、R1〜4およびR13〜30は水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群から選ばれた基であり、R5〜12は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。ただしQがフェニレン基の場合には、
Figure 2009035524
である。)
で示されるビカルバゾール誘導体に関する。
本発明の第2は、下記一般式(1)
Figure 2009035524
(式中、Qは
Figure 2009035524
よりなる群から選ばれた基であり、R1〜4およびR13〜30は水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群から選ばれた基であり、R5〜12は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。ただしQがフェニレン基の場合には、
Figure 2009035524
である。)
で示されるビカルバゾール誘導体よりなるホスト材料に関する。
本発明の第3は、下記一般式(1)
Figure 2009035524
(式中、Qは
Figure 2009035524
よりなる群から選ばれた基であり、R1〜4およびR13〜30は水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群から選ばれた基であり、R5〜12は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。ただしQがフェニレン基の場合には、
Figure 2009035524
である。)
で示されるビカルバゾール誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明における炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチルなどを挙げることができる。
本発明における炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロピルオキシ、n−ヘキシルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、4−メチルペンチルオキシ、2,2−ジメチルブチルオキシ、2,3−ジメチルブチルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシなどを挙げることができる。
本発明における炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、iso−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、iso−ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、iso−ペンチルアミノ、2,2−ジメチルプロピルアミノ、n−ヘキシルアミノ、2−メチルペンチルアミノ、3−メチルペンチルアミノ、4−メチルペンチルアミノ、2,2−ジメチルブチルアミノ、2,3−ジメチルブチルアミノ、3,3−ジメチルブチルアミノなどを挙げることができる。
本発明の化合物は、下記の反応により製造する事ができる。
Figure 2009035524
(式中、Xはハロゲンであり、Qは
Figure 2009035524
よりなる群から選ばれた基であり、R1〜4およびR13〜30は水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群から選ばれた基であり、R5〜12は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。ただしQがフェニレン基の場合には、
Figure 2009035524
である。)
本発明の化合物の具体例を以下に例示する。なお、下記例示化合物のメチル基は、前記〔0006〕で例示した基と置きかえることができることは勿論である。
Figure 2009035524
Figure 2009035524
Figure 2009035524
Figure 2009035524
Figure 2009035524
Figure 2009035524
本発明のビカルバゾール誘導体は、広いバンドギャップを有し併せてエネルギーの閉じこめ効果が大きい。従って、ホスト材料として使用することができる。
本発明のビカルバゾール誘導体を有機エレクトロルミネッセンスに使用する場合、適当な発光材料と組み合わせて使用することができる。
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について説明する。本発明の有機EL素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物を積層した素子であり、発光層には、発光材料を含有しそれに加えて陽極から注入したホールもしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送するのが目的で、本発明のビカルバゾール誘導体を含有しているのが好ましい。発光層のホスト材料として、公知のホスト材料とともに本発明の、ビカルバゾール誘導体を含有する。本発明のホスト材料を用いた有機EL素子の構成例としては、例えばITO(陽極)/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
ホール輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であっても良い。またホール輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(ホール注入層および電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(ホール輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
本発明の有機EL素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。
以下本発明の有機EL素子の構成要素に関して、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて説明する。本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。
基板の素材については特に制限はなく、従来の有機EL素子に慣用されているものであれば良く、例えば、ガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
本発明の有機EL素子の陽極としては、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
陰極としては、仕事関数の小さい金属単体、仕事関数の大きな金属同士の合金、または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作成することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
本発明の有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は透明もしくは半透明であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層(正孔輸送層)は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用する正孔伝達物質は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
前記の正孔伝達物質としては、たとえば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(α−NPD)等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性の下記式に示すPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)よりなるポリマー混合物などが挙げられる。正孔輸送層は、これらの他の正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたものでよく、前記の正孔伝達物質とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでも良い。
正孔注入材料としては、下記化学式に示されるPEDOT−PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを挙げることができる。
Figure 2009035524
正孔輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、DTASi、α−NPDなどを挙げることができる。

Figure 2009035524
本発明の有機EL素子の電子輸送層は、電子伝達化合物からなるもので、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に電子伝達化合物が配置されて陰極から電子が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の電子移動度を有する電子伝達物質が好ましい。本発明の有機EL素子に使用する電子輸送層に使用する電子伝達物質は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において電子の電荷注入材料として慣用されているものや有機EL素子の電子輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
前記の電子伝達物質としては、たとえばトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)のようなキノリン錯体、1−N−フェニル−2−(p−ビフェニルイル)−5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TAZ)のようなトリアジン誘導体、1,4−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン(DPB)のようなフェナントロリン誘導体、フッ化リチウムのようなハロゲン化アルカリ金属などが挙げられる。電子輸送層は、これらの他の電子伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたものでよく、前記の電子伝達物質とは別の化合物からなる電子輸送層を積層したものでも良い。
電子輸送材料としては、下記化学式に示すAlq、TAZ、DPBなどを挙げることができる。

Figure 2009035524
電子注入材料としては、下記化学式に示されるフッ化リチウムや8−ヒドロキシキノリノラトリチウム錯体(Liq)などを挙げることができるが、本出願人の特願2006−292032号にかかげるフェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB)や特願2007−29695号に掲げるフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)を用いることもできる。
Figure 2009035524
本発明の有機EL素子の発光層については、従来の公知の材料について特に制限はなく、任意のものを選択して用いることができる。
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体、例えばトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Almq)等の蛍光材料や[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)、トリス{1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾラート−N,C2′}イリジウム(III)(Irtfmppz)、ビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(Irppy)などのリン光材料などを挙げることができる。
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することが好ましい。[Appl. Phys. Lett.,65 3610(1989)]。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要であり、この時使用されるホスト材料としては本発明のビカルバゾール誘導体を用いることが望ましいが、従来のホスト材料4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン−2,2′−ジ[4″−(N−カルバゾリル)フェニル]−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)と併用しても構わない。
ゲスト材料は、ホスト材料に対して好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。ゲスト材料としては、下記に示す従来公知のFirpic、Irppy、Fir6等を挙げることができる。
Figure 2009035524
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性を一層向上させる目的で陰極と有機層の間に導電体から構成される電子注入層をさらに設けても良い。ここで使用される導電体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属有機錯体から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウムなどが挙げられる。アルカリ金属有機錯体としては、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム、8−ヒドロキシキノリノラトセシウムなどが挙げられる。
また本発明化合物を電子注入層として使用する場合は、上記の電子注入材料と併用することもできる。
また前記電子注入層に用いる電子注入材料としては、本出願人の特願2006−292032号にかかる化合物、例えば下記化合物群を例示することもできる。

Figure 2009035524
正孔輸送層、発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式製膜法[溶媒塗布法(例えばスピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)]を使用することができる。本発明の新規なビカルバゾール誘導体は、乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)が好ましい。電子輸送層の製膜については、湿式製膜法で行うと下層が溶出する恐れがあるため乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)に限定される。素子の作成については上記の製膜法を併用しても構わない。
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの各層を形成する場合、真空蒸着条件は特に限定されるものではない。通常10−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着原温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
正孔輸送層、発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えばヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等の接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等がある。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として通常1.5〜20V程度印加すると発光が観察される。また本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示装置、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
図17〜20に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
図17は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における一例を示す断面図である。図17は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。本発明のビカルバゾール誘導体は発光層3に含有される。
図18は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図18は、基板1上に陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、正孔注入層7を設けることにより、陽極2と正孔輸送層5の密着性を高めたり、陽極からの正孔の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。本発明のビカルバゾール誘導体は発光層3に含有される。
図19は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図19は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。本発明のビカルバゾール誘導体は発光層3に含有される。
図20は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図20は、基板1上に陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2から正孔の注入を良くし、陰極4から電子注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。本発明のビカルバゾール誘導体は発光層3に含有される。
図21〜27は素子の中に正孔ブロック層9を挿入したものの断面図である。正孔ブロック層は、陽極から注入された正孔、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。正孔ブロック層9については、発光層3と陰極4の間もしくは発光層3と電子輸送層6の間あるいは発光層3と電子注入層8の間に挿入することができる。より好ましいものは発光層3と電子輸送層6の間である。本発明のビカルバゾール誘導体は発光層3に含有される。
図21〜27で、正孔輸送層5、正孔注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、正孔ブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であっても良い。
図17〜27は、あくまでも基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成はこれに限定されるものではない。
本発明のビカルバゾール誘導体は、CBP等の従来のホスト材料に比べ広いバンドギャップを有し併せてエネルギーの閉じこめ効果が大きい。また移動度も大きく素子中でのホールや電子とのキャリアーバランスにも優れている。また大きなバンドギャップを有することから大きなエネルギーを必要とする青色発光材料、特に青色リン光材料のホスト材料として適している。よって本発明の新規なビカルバゾール誘導体は工業的に極めて重要なものである。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
実施例1
3,5−ビス(3−9H−カルバゾール−9−イル−フェニル)ピリジン(35DCzPPy)の合成
(1)9−(3−ブロモフェニル)−9H−カルバゾール(mCzPBr)の合成
Figure 2009035524
四つ口フラスコに1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(15.0g,53.0mmol)、カルバゾール(8.70g,52.0mmol)、銅粉(10.1g,159.0mmol)、炭酸カリウム(22.0g,159.0mmol)とジメチルホルムアミド(DMF)(120mL)を入れて、窒素気流下激しく撹拌しながら130℃まで加熱し、24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライトでろ過した。濾過液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法で行い(展開溶媒比:n−ヘキサン/トルエン=6/1)、無色の粘体の目的生成物を得た。収率:13.7g,81.8%。
(2)9−{3−〔4,4,5,5−テトラメチル−(1,3,2)ジオキサボロラン−2−イル〕−フェニル}−9H−カルバゾール(mCzPDOB)の合成
Figure 2009035524
四つ口フラスコに9−(3−ブロモフェニル)−9H−カルバゾール(9.86g,30.6mmol)、ビス(ピナコラート)ジボラン(8.55g,33.7mmol)、酢酸カリウム(9.01g,91.8mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)
ジパラジウム(0)〔Pd(dba)〕(0.841g,0.918mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.03g,3.67mmol)と無水1,4−ジオキサン(200mL)を入れて、窒素気流下80℃で24時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ,酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法〔展開溶媒:トルエン/n−ヘキサン=2/1(2回)〕を行い、白色固体の目的生成物を得た。収率:9.29g,82.2%
(3)3,5−ビス(3−9H−カルバゾール−9−イル−フェニル)ピリジン(35DCzPPy)の合成
Figure 2009035524
四つ口フラスコに3,5−ジブロモピリジン(0.711g,3.0mmol)、mCzPDOB(2.66g,7.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〔Pd(PPh〕(139mg,0.12mmol)、トルエン/エタノール(2/1,150mL)と2M KCO(50mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム)を行い,白色粉末の目的生成物を得た。収率:1.69g,98.8%。
図1に35DCzPPyの吸収曲線を、図2に35DCzPPyのフォトルミネッセンス(PL)曲線を示す。表1に35DCzPPyの電気化学特性を、表2に35DCzPPyの熱特性を示す。(表1および表2は実施例3にまとめて掲げる。)
実施例2
2,6−ビス(3−9H−カルバゾール−9−イル−フェニル)ピリジン(26DCzPPy)の合成
Figure 2009035524
四つ口フラスコに2,6−ジブロモピリジン(0.711g,3.0mmol)、mCzPDOB(2.66g,7.2mmol)、Pd(PPh(139mg,0.12mmol)、トルエン/エタノ−ル(2/1,150mL)と2M KCO(50mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(以下の混合割合の混合溶媒を用いて、1回目〜4回目までの展開を行った。展開溶媒比:クロロホルム/n−ヘキサン=1/2;2/3;1/1;2/1)を行い、白色粉末の目的生成物を得た。収率:1.71g,99.9mol%
図1に26DCzPPyの吸収曲線を、図2に26DCzPPPyのフォトルミネッセンス(PL)曲線を示す。表1に26DCzPPyの電気化学特性を、表2に26DCzPPyの熱特性を示す(表1および表2は実施例3にまとめて掲げる。)。
実施例3
2−メチル−4,6−ビス(3−9H−カルバゾール−9−イル−フェニル)ピリミジン(DCzPMPm)の合成
Figure 2009035524
四つ口フラスコに2−メチル−4,6−ジクロロピリミジン(0.360g, 2.21mmol)、mCzPDOB(1.96g,5.31mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド{PdCl(PPh}(70mg,0.10mmol)、1,4−ジオキサン(120mL)と2M KCO(30mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(以下の混合割合の混合溶媒を用いて、1回目と2回目の展開溶媒を行った。展開溶媒比:クロロホルム/n−ヘキサン=2/1;4/1)を行い、白色粉末の目的生成物を得た。収率:1.21g,94.9%
図1にDCzPMPmの吸収曲線を、図2にDCzPMPmのフォトルミネッセンス(PL)曲線を示す。表1にDCzPMPmの電気化学特性を、表2にDCzPMPmの熱特性を示す。
Figure 2009035524
Ip:イオン化ポテンシャル、
Eg:エネルギーギャップ、
Ea:エネルギーアフィニティ(電子親和力)
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりのところに接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
IP(イオン化ポテンシャル)はイオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−3)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始したところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
Figure 2009035524
実施例4
3,3′−ジ−9H−カルバゾール−9−イル−[1,1′;3′,1″]ターフェニル(DmCzPB)の合成
Figure 2009035524
四つ口フラスコにmCzPBr2.82g(8.8mmol)、1,3−フェニレン−ジ〔4,4,5,5−テトラメチル−(1,3,2)−ジオキサボラン〕(mBDOBB)1.32g(4.0mmol)、2M炭酸カリウム水溶液8.0ml、トルエン60ml、エタノール30mlを加え、1時間窒素バブリングをした。Pd(PPh0.28g(0.24mmol)を加え6時間還流した。反応混合物を室温に戻した後、有機層を酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾別、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒比:ヘキサン/トルエン=4/1)にて精製することにより白色泡状固体の目的生成物を得た。目的物の確認は,H−NMR,MSにより行った。(収量1.30g,収率58%)。
図3にDmCzPBのUV吸収曲線とフォトルミネッセンス(PL)曲線を示す。表3にDmCzPBの電気化学特性を、表4にDmCzPBの熱特性を示す。
Figure 2009035524

Figure 2009035524
Td:分解温度、Tg:二次転移温度、Tm:融点、
Tg(二次転移温度)については、DSC(Diffirential Scanning Calorimeter 示差熱量計)中にサンプルを加え、溶融させたものを急冷し、2〜3回繰り返すとガラス転移を表すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点の温度をTgとして採用する。
Tm(融点)は、同じくDSCにサンプルを加え、昇温していくと吸熱カーブが現れるのでその極大のところとの温度を読んで、その温度をTmとする。
Td(分解温度)は、DTA(Differential thermal analyzer 示差熱分析装置)にサンプルを加え、加熱していくとサンプルが熱によって分解し、重量が減少しだす。その減少が開始しだしたところの温度を読んで、その温度をTdとする。
実施例5、6、7および比較例1
ホスト材料に実施例1の3,5−ビス(3−9H−カルバゾール−9−イル−フェニル)ピリジン(35DCzPPy)、実施例2の2,6−ビス(3−9H−カルバゾール−9−イル−フェニル)ピリジン(26DCzPPy)、実施例3の2−メチル−4,6−ビス(3−9H−カルバゾール−9−イル−フェニル)ピリミジン(DCzPMPm)をそれぞれ用いた下記の実施例4〜6の青色リン光素子を作成した。また比較のためホスト層に4,4′′′−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1′:2′,1″:2″,1′′′−クォーターフェニル(4CzPBP)を用いた下記比較例1の青色リン光素子を作りそれぞれの性能を評価した。4CzPBPの構造式を以下に示す。
Figure 2009035524
またそれぞれのホール輸送層に用いた3,3′′′−ビス(N,N−ジ−p−トリル)−1,1′:2′,1′′:2′′,1′′′−クォーターフェニル(3DTAPBP)の構造式を以下に示す。

Figure 2009035524
それぞれの電子輸送層に用いた3,3′,5,5′−テトラ〔3−(ピリジン−3−イル)フェニル〕−1,1′−ビフェニル(tetra−mPyPhBP)の構造式を以下に示す。
Figure 2009035524
素子の構成
比較例1
Ref.1.○:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(30nm)/4CzPBP:FIrpic(13wt%)(10nm)/tetra−mPyPhBP(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例5
Device1.◇:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(30nm)/35DCzPPy:FIrpic(13wt%)(10nm)/tetra−mPyPhBP(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例6
Device2.△:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(30nm)/26DCzPPy:FIrpic(13wt%)(10nm)/tetra−mPyPhBP(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例7
Device3.□:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(30nm)/DCzPMPm:FIrpic(13wt%)(10nm)/tetra−mPyPhBP(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm).
これらの素子の
電流密度−電圧特性は図4に、
輝度−電圧特性は図5に、
電力効率−電圧特性は図6に、
電流効率−電圧特性は図7に、
電力効率−輝度特性は図8に、
外部量子効率−輝度特性は図9に、
ELスペクトルは図10に、
ELスペクトル(拡大)は図11に、
それぞれ示す。
これらの素子の100cd/mにおける電気化学特性を表5に、1000cd/mにおける電気化学特性を表6に示す。
Figure 2009035524
P.E.=Power Efficiency:電力効率
Q.E.=Quantum Efficiency:外部量子効率
Current density:CE:電流効率
Figure 2009035524
表5は、各電子輸送材料を用いた素子を作成したときの輝度100cd/mにおける素子にかかる電圧、電流密度、電力効率、外部量子効率を列挙している。表6は1000cd/mにおける素子にかかる電圧、電流密度、電力効率、外部量子効率を列挙している。
35DCzPPyについては4CzPBPに比べて電流密度が大きいので電子の移動度が大きいと考えられる。しかし電力効率、外部量子効率が劣るのは、素子中でのホールと電子のキャリアバランスが適正でないからで、これは素子の膜厚を検討すれば改善されると考えられる。26DCzPPyとDCzPMPmについては、電力効率、量子効率から4CzPBPと同等もしくはそれ以上の性能を有するものと判断できる。
実施例8および比較例2
ホスト材料に実施例4の3,3′−ジ−9H−カルバゾール−9−イル−[1,1′;3′,1″]ターフェニル(DmCzPB)を用いた下記の青色リン光素子を作成した。また比較のためホスト材料に4,4′′′−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1′:2′,1″:2″,1′′′−クォーターフェニル(4CzPBP)を用いた下記の青色リン光素子を作りその性能を評価した。電子輸送層の3,3″,5,5″−テトラ(ピリジン−3−イル)−1,1′:2′,1″−ターフェニル(BmPyPB)の構造式を以下に示す。
Figure 2009035524
素子の構成
Device4.■:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:11wt%FIrpic(10nm)/BmPyPB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)]
Ref.2.◇:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)/3DTAPBP(20nm)/DmCzPB:11wt%FIrpic(10nm)/BmPyPB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)]
前記TPDPESは、Poly〔oxy−1,4−phenylenesulfonyl−1,4−phenyleneoxy−1,3−phenylene(phenylimino)(1,1′−biphenyl)−4,4′−diyl(phenylimino)−1,3−phenylene〕のことであり、下記の構造式で示される。
Figure 2009035524
TBPAHは、Tris(p−bromophenyl)ammoniumyl hexachloroantimonateのことであり、下記構造式で示される。
Figure 2009035524
これらの素子の
電流密度−電圧特性は図12に、
輝度−電圧特性は図13に、
電力効率―電圧特性は図14に、
電流効率−電圧特性は図15に、
ELスペクトルは図16に、
それぞれ示す。
これらの素子の100cd/mと1000cd/mにおける電気化学特性を表7に示す。
Figure 2009035524
表7からはDmCzPBの電力効率が4CzPBPのものより高い値が得られていることが分る。外部量子効率については、DmCzPBが4CzPBPより若干低いもののほぼ同等という値になっている。相対的に判断したところでは、DmCzPBの効率は4CzPBPに比べて高いと判断される。
実施例1の35DCzPPy、実施例2の26DCzPPyおよび実施例3のDCzPMPmのUV吸収曲線を示す。 実施例1の35DCzPPy、実施例2の26DCzPPyおよび実施例3のDCzPMPmのフォトルミネッセンス曲線を示す。 実施例4のDmCzPBのUV吸収曲線およびフォトルミネッセンス曲線を示す。 実施例5、6、7および比較例1の電流密度−電圧特性を示す。 実施例5、6、7および比較例1の輝度−電圧特性を示す。 実施例5、6,7および比較例1の電力効率−電圧特性を示す。 実施例5、6、7および比較例1の電流効率−電圧特性を示す。 実施例5、6、7および比較例1の電力効率−輝度特性を示す。 実施例5、6、7および比較例1の外部量子効率−輝度特性を示す。 実施例5、6、7および比較例1のELスペクトルを示す。 実施例5、6、7および比較例1のELスペクトル(拡大)を示す。 実施例8および比較例2の電流密度−電圧特性を示す。 実施例8および比較例2の輝度−電圧特性を示す。 実施例8および比較例2の電力効率−電圧特性を示す。 実施例8および比較例2の電流効率−電圧特性を示す。 実施例8および比較例2のELスペクトルを示す。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔輸送層(ホール輸送層)
6 電子輸送層
7 正孔注入層(ホール注入層)
8 電子注入層
9 正孔ブロック層(ホールブロック層)

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2009035524
    (式中、Qは
    Figure 2009035524
    よりなる群から選ばれた基であり、R1〜4およびR13〜30は水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群から選ばれた基であり、R5〜12は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。ただしQがフェニレン基の場合には、
    Figure 2009035524
    である。)
    で示されるビカルバゾール誘導体。
  2. 下記一般式(1)
    Figure 2009035524
    (式中、Qは
    Figure 2009035524
    よりなる群から選ばれた基であり、R1〜4およびR13〜30は水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群から選ばれた基であり、R5〜12は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。ただしQがフェニレン基の場合には、
    Figure 2009035524
    である。)
    で示されるビカルバゾール誘導体よりなるホスト材料。
  3. 下記一般式(1)
    Figure 2009035524
    (式中、Qは
    Figure 2009035524
    よりなる群から選ばれた基であり、R1〜4およびR13〜30は水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群から選ばれた基であり、R5〜12は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。ただしQがフェニレン基の場合には、
    Figure 2009035524
    である。)
    で示されるビカルバゾール誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
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