JP2009034708A - アンコイラー及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】板材の曲げ剛性の大小に因らず、板材の先端を一対のロール間隙に確実に誘導可能にするアンコイラーを提供する。
【解決手段】コイル材Cの外周に位置する板材Pの先端LEを、一対のロール14a,14bのロール間隙に誘導する誘導装置20を備え、誘導装置は、コイル材の径方向の外側への板材の先端の移動を規制する第1規制部材と、第1規制部材よりも径方向の内側の位置に、第1規制部材と所定間隔を隔てて対向して配された第2規制部材と、第1規制部材及び第2規制部材を、コイル材の外周面から離れる方向及び近づく方向に移動する移動機構により構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、帯状の板材を巻き取ってなるコイル材から前記板材を繰り出すアンコイラー及びその使用方法に関する。
従来、熱間圧延や冷間圧延等にて製造された鋼板は、コイル状に巻き取られたコイル材の形態で加工工場に搬入され、そして、場内のアンコイラーにより、前記コイル材から鋼板(板材に相当)が繰り出されてプレス加工機等へ供給される。詳しくは、アンコイラーは、コイル材の巻き取り中心部にマンドレルを差し込み、マンドレルを繰り出し方向に駆動回転することにより、鋼板を板状にして繰り出す。
但し、この方法だと、繰り出し時に鋼板を繰り出し方向に押し出すことになって、コイル材には繰り出し方向と逆向きの圧縮力が作用することから、コイル材が巻き緩み易くなる。
このため、現在では、図1のアンコイラー10aの側面図に示すように、マンドレル12の近傍に一対のロール14a,14bからなるピンチロール14を配置してそのロール間隙に鋼板Pを挟み込み、当該ピンチロール14の駆動回転によってコイル材Cから鋼板Pを引き出して鋼板Pを繰り出すことが行われている。そして、このようにすれば、繰り出し時のコイル材Cには繰り出し方向の張力が作用するため、コイル材Cの巻き緩みは有効に防止される(例えば、特許文献1を参照)。
特開2004−148331号
但し、このピンチロール14を具備したアンコイラー10aにコイル材Cをセットする際には、図2に示す鋼板Pの先端LEを、ピンチロール14のロール間隙へ誘導する作業が必要になる。
ここで、鋼板Pの曲げ剛性が小さい場合には、図2に実線で示すように、コイル材Cの外周面からの鋼板Pの先端LEの跳ね上がり量や跳ね上がり力も小さいことから、パイプレンチやバール等を用いて人力により、鋼板Pの先端LEをピンチロール14のロール間隙へ誘導することも可能である。
しかしながら、最近では、鋼種の多様化も相俟って、高張力鋼や極厚材等の曲げ剛性の大きな鋼板(所謂、腰の強い鋼板)の処理量も増えており、このような鋼板の場合には、図2に点線で示すように、コイル材Cの外周面からの鋼板Pの先端LEの跳ね上がり量や跳ね上がり力も大きく、その結果、人力では鋼板Pの先端LEをピンチロール14へと誘導し難いケースがあった。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、板材の曲げ剛性の大小に因らず、板材の先端を、前記ピンチロールが具備する前記一対のロールのロール間隙に確実に誘導可能なアンコイラー及びその使用方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、
帯状の板材を巻き取ってなるコイル材の巻き取り中心部に、回転軸を差し込んで前記コイル材を回転可能に支持するとともに、一対のロールによって前記板材を挟み込んだ状態で前記一対のロールの少なくとも一方を駆動回転することにより、前記コイル材から前記板材を繰り出すアンコイラーにおいて、
前記コイル材の外周に位置する前記板材の先端を、前記一対のロールのロール間隙に誘導する誘導装置を備え、
該誘導装置は、前記コイル材の径方向の外側への前記板材の先端の移動を規制する第1規制部材と、該第1規制部材よりも前記径方向の内側の位置に、前記第1規制部材と所定間隔を隔てて対向して配された第2規制部材と、前記第1規制部材及び前記第2規制部材を、前記コイル材の外周面から離れる方向及び近づく方向に移動する移動機構と、を有していることを特徴とする。
上記請求項1に示す発明によれば、第1規制部材及び第2規制部材によって、前記コイル材の径方向の外側及び内側への前記板材の先端の移動が規制され、また、当該規制状態において前記移動機構が第1規制部材及び第2規制部材を移動することにより、前記板材の先端を、前記コイル材の径方向の任意位置へ移動可能である。
よって、前記一対のロールのロール間隙の近傍位置に前記板材の先端を位置させることができて、その後の前記回転軸の繰り出し方向の回転により、前記板材の先端を前記一対のロールのロール間隙へ確実に誘導することができる。
請求項2に示す発明は、請求項1に記載のアンコイラーであって、
前記誘導装置は、前記回転軸と平行な軸周りに揺動可能に支持された揺動アームを有し、
該揺動アームには、前記第1規制部材及び前記第2規制部材が固定されており、
前記移動機構により前記揺動アームが揺動されることを特徴とする。
上記請求項2に示す発明によれば、移動機構が揺動アームを揺動することにより、第1規制部材及び第2規制部材を移動させることができるので、第1規制部材及び第2規制部材の移動動作の再現性に優れたものとなる。
請求項3に示す発明は、請求項2に記載のアンコイラーであって、
前記第1規制部材は、その内周面を、前記コイル材の外周面に対向して配された円弧状プレートを有し、
前記第2規制部材は、前記回転軸と平行な軸回りに回転可能な第2ローラーを有し、
前記円弧状プレート及び前記第2ローラーは、前記揺動アームに支持されていることを特徴とする。
上記請求項3に示す発明によれば、曲げ剛性が大きい板材の場合でも、コイル材の外周面からの板材の先端の跳ね上がりを第1規制部材たる円弧状プレートで確実に受け止めることができ、もって、コイル材の径方向の外側への前記板材の先端の移動を確実に規制することができる。
また、板材の先端を円弧状プレートの内周面に当接させて滑らせながら、繰り出し方向に移動可能であり、板材の先端の移動性に優れる。
更には、前記第2規制部材は第2ローラーを有しているので、当該第2ローラーで板材を前記コイル材の径方向の外側へ押すことによって、前記一対のロールを通過後の板材の形状を、その巻き癖よりも大きな曲率半径の湾曲形状に有効に矯正できる。
請求項4に示す発明は、請求項3に記載のアンコイラーであって、
前記第1規制部材は、前記円弧状プレートよりも繰り出し方向の側に配置されて、前記回転軸と平行な軸周りに回転可能な第1ローラーを有し、
該第1ローラーの外周面は、前記円弧状プレートの内周面よりも前記コイル材の径方向の内側に突出していることを特徴とする。
上記請求項4に示す発明によれば、第1規制部材の第1ローラーの外周面は、前記円弧状プレートの内周面よりも前記径方向の内側に突出しているので、当該第1ローラーで板材を前記コイル剤の径方向の内側へ押すことができる結果、板材に付与可能な曲げ変形の曲率半径を小さくすることが可能となる。よって、コイル材に付きがちな前記径方向の外側に凸状の湾曲形状の巻き癖を効果的に小さくすることができて、すなわち、前記一対のロールを通過後の板材を略平坦形状に有効に矯正できる。
請求項5に示す発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のアンコイラーであって、
前記所定間隔の大きさは一定であることを特徴とする。
上記請求項5に示す発明によれば、前記間隔の大きさを変更するための第1規制部材又は第2規制部材の移動機構を別途設けずに済むので、装置構成の簡素化を図れる。
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のアンコイラーであって、
前記板材の先端は、該コイル材の下方から繰り出し方向に繰り出され、
前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端を挿通する際には、前記板材の先端は斜め下方を向いていることを特徴とする。
上記請求項6に示す発明によれば、前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端を挿通する際には、前記板材の先端は斜め下方を向いているので、前記板材の自重も板材の移動を安定化するように作用し、もって挿通を安定して行うことができる。
請求項7に示す発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のアンコイラーであって、
前記一対のロールは、前記回転軸よりも下方に設けられているとともに、前記一対のロールによって、前記板材は斜め下方に繰り出され、
前記一対のロールよりも繰り出し方向の側には、前記板材の形状を矯正するレベラーが配置されており、
前記一対のロールと前記レベラーとの間には、前記板材の先端の移動下限位置を規定しつつ、前記先端を前記レベラーへ案内するガイド部材が設けられていることを特徴とする。
上記請求項7に示す発明によれば、前記一対のロールのロール間隙に前記板材の先端を挿通する際には、前記板材の先端は斜め下方を向いているので、前記板材の自重も板材の移動を安定化するように作用し、もって挿通を安定して行うことができる。
請求項8に示す発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
前記移動機構によって前記第2規制部材が前記コイル材の外周面に当接された状態において、前記回転軸が繰り出し方向に駆動回転することにより、前記板材の先端を前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に挿通することを特徴とする。
上記請求項8に示す発明によれば、第2規制部材が前記コイル材の外周面に当接された状態にあっては、第2規制部材は、当該コイル材の外周面を基準とする所定位置に位置決めされ、また、第1規制部材は、第2規制部材よりもコイルの径方向の外側に所定間隔を隔てて位置している。よって、コイル材の外周面から所定距離だけ前記径方向の外方に離れて位置するはずの板材の先端を、第1規制部材と第2規制部材との間に挿通し易くなる。
請求項9に示す発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端が挿通された状態において、前記板材の先端が、前記一対のロールのロール間隙に近づくように、前記移動機構により前記第1規制部材及び前記第2規制部材が移動され、
前記回転軸が繰り出し方向に駆動回転することにより、前記板材の先端が前記一対のロールのロール間隙に通されることを特徴とする。
上記請求項9に示す発明によれば、前記板材の先端を前記一対のロールのロール間隙に確実に通すことができる。
請求項10に示す発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端が挿通されるとともに、前記一対のロールに前記板材の先端部が挟み込まれた状態において、前記第1規制部材が前記コイル材の外周面に近づく方向へ移動して前記板材を前記コイル材の径方向の内側へ押すことにより、前記板材を前記径方向の内側に凸状の湾曲状態にし、当該状態を維持しながら、前記一対のロールを駆動回転して前記コイル材から前記板材を繰り出すことを特徴とする。
上記請求項10に示す発明によれば、第1規制部材により板材をコイル材の径方向の内側に凸状の湾曲状態にし、当該状態を維持しながら、一対のロールによって板材を繰り出す。よって、一般に、コイル材に付きがちな前記径方向の外側に凸状の湾曲形状の巻き癖を小さくすることができて、すなわち、ロールを通過後の板材を略平坦形状に矯正できる。
よって、例えば、ロールよりも繰り出し方向の側に在る板材の搬送ルートにおいて、板材の巻き癖の曲率半径が小さいことに起因して、前記搬送ルートから板材の先端が逸脱してしまう等の板材の先端の搬送に支障を来す場合には、前記搬送ルートに適した曲率半径の大きい湾曲形状へと板材を矯正可能であり、もって、板材を搬送ルートに沿わせて問題なく搬送可能となる。
請求項11に示す発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端が挿通されるとともに、前記一対のロールに前記板材の先端部が挟み込まれた状態において、前記第2規制部材が前記コイル材の外周面から離れる方向へ移動して前記板材を前記径方向の外側へ押すことにより、前記板材を前記径方向の外側に凸状の湾曲状態にし、当該状態を維持しながら、前記一対のロールを駆動回転して前記コイル材から前記板材を繰り出すことを特徴とする。
上記請求項11に示す発明によれば、第2規制部材により板材をコイル材の径方向の外側に凸状の湾曲状態にし、当該状態を維持しながら、一対のロールによって板材を繰り出す。よって、当該ロールを通過後の板材の形状を、その巻き癖よりも曲率半径の小さな前記径方向の外側に凸状の湾曲形状に矯正できる。
よって、例えば、ロールよりも繰り出し方向の側に在る板材の搬送ルートにおいて、板材の巻き癖の曲率半径が大きいことに起因して、前記搬送ルート上で突っ掛かる等の板材の先端の搬送に支障を来す場合には、前記搬送ルートに適した曲率半径の小さい湾曲形状へと板材を矯正可能であり、もって、板材を搬送ルートに沿わせて問題なく搬送可能となる。
本発明のアンコイラー及びその使用方法によれば、板材の曲げ剛性の大小に因らず、板材の先端を、前記ピンチロールが具備する前記一対のロールのロール間隙に確実に誘導可能となる。
図3は、本実施形態のアンコイラー10が適用された板材供給装置1の説明図であり、上段には平面図を示し、下段には側面図を示している。以下の説明では、互いに直交する3軸方向を上下方向、幅方向、及び、前後方向とする。ここで、幅方向は、板材供給装置1によって供給される鋼板Pの幅方向と一致しており、つまり、鋼板Pは前後方向に沿って連続して供給される。なお、上段の平面図では、コイル材C及び鋼板Pを省略して示しており、また、下段の側面図では、一部を破断して示している。
<<<板材供給装置1の概要>>>
板材供給装置1は、セットされたコイル材Cから板材としての鋼板Pを繰り出すとともに、その巻き癖を矯正して、前方の不図示のプレス加工機等へ供給するものである。その設備構成としては、コイル材Cから鋼板Pを繰り出すアンコイラー10と、繰り出された鋼板Pの巻き癖を矯正するレベラー40と、これらアンコイラー10とレベラー40との間にて前記鋼板Pをループ状に蓄積可能なループガイド60と、を有している。
アンコイラー10は、コイル材Cの下方から鋼板Pを繰り出す所謂ダウンループ型である。すなわち、コイル材Cの巻き取り中心部に、幅方向に平行な回転軸としてのマンドレル12を差し込んでコイル材Cを回転可能に支持するとともに、コイル材Cの鋼板Pをピンチロール14のロール間隙で挟み込んだ状態でピンチロール14が繰り出し方向に駆動回転することにより、コイル材Cの下方から前方へ鋼板Pを引き出す。なお、ピンチロール14により鋼板Pを引き出して繰り出すので、当該繰り出し時のコイル材Cの巻き緩みは有効に防止される。このアンコイラー10の構成については後述する。
レベラー40は、アンコイラー10よりも前方に配置されており、上下一対の矯正ロール群42G,44Gを有する。上側の矯正ロール群42G及び下側の矯正ロール群44Gは、それぞれ、前後方向に所定の配置ピッチで並ぶ複数本の水平ロール42,44を有し、上側の矯正ロール群42Gは下側の矯正ロール群44Gに対して前後方向に前記配置ピッチの半分だけずれて配置されている。また、下側の矯正ロール群44Gは、昇降不能にレベラーのフレーム46に固定されているが、上側の矯正ロール群42Gは、油圧シリンダー等のアクチュエータ(不図示)により昇降可能に設けられている。よって、下側の矯正ロール群44Gとのロール間隙を所定開度に設定した状態で、このロール間隙に前記鋼板Pを通過させることにより、鋼板Pには繰り返し曲げ変形が付与されて、これにより、鋼板Pの巻き癖等が矯正される。そして、略平坦形状に矯正された鋼板Pは、前方の前記プレス加工機(不図示)へと送り出される。
なお、これら矯正ロール群42G,44Gを前後に挟む各位置には、それぞれ、上下一対のフィードローラー48a,48bが配置されており、上側フィードローラー48aと下側フィードローラー48bとで鋼板Pを挟みつつ駆動回転することにより、レベラー40内の鋼板Pは前方へ送出される。
ループガイド60は、前後方向に関してアンコイラー10とレベラー40との間に配置された、上に凹の円弧状に湾曲したプレート部材である。そして、このループガイド60は、上述したようなループ状に鋼板Pを蓄えるバッファーとしての機能以外に、レベラー40へ送出される鋼板Pの先端LEの移動下限位置を規定しつつ、当該鋼板Pの先端LEをレベラー40の方へ案内するガイド部材としても機能する。すなわち、アンコイラー10の前記ピンチロール14から前方斜め下方へ送り出された鋼板Pの先端LEは、ループガイド60の凹状の上面60aに対面し、このループガイド60上を前方へ進む間に、凹状の懸垂ループを形成しながら前記レベラー40内に入っていく。
なお、このループガイド60のレベラー40側の端には、鋼板Pの先端LEをレベラー40の入口へ案内するためのレベラー案内装置70が設けられている。このレベラー案内装置70は、レベラー入側案内プレート72と、挿入アーム74とを有している。レベラー入側案内プレート72は、レベラー40の入口の上方に設けられて、それよりも上方への鋼板Pの先端LEの移動を規制する下に凹の円弧状に湾曲したプレート部材である。また、挿入アーム74は、幅方向に沿う軸C74周りに揺動可能に設けられたアーム部材である。
よって、図3の側面図に実線で示すように、ループガイド60を通過してきた鋼板Pの先端LEが、巻き癖等により上反りした状態でレベラー入側案内プレート72に到達して突き当たると、この突き当たり状態において前記軸C74周りの挿入アーム74の旋回により、挿入アーム74の押さえローラー76が鋼板Pへ向けて下方へ移動し、その結果、同側面図に二点鎖線で示すように、当該押さえローラー76が鋼板Pの先端部に上方から当接して、鋼板Pの先端部を下方へ押し下げることにより、鋼板Pの先端LEを、レベラー40の入口たる前記フィードローラー48a,48bのロール間隙に位置させるようになっている。そして、この状態において、前記フィードローラー48a,48bと同期して前記アンコイラー10のピンチロール14が駆動回転し、これにより鋼板Pはレベラー40内へ送られて形状矯正される。
<<<本実施形態のアンコイラー10について>>>
図4は、本実施形態のアンコイラー10の説明図であり、上段には平面図を示し、下段には側面図を示している。なお、上段の平面図では、コイル材C及び鋼板Pを省略して示し、また、下段の側面図では、一部を破断して示している。
アンコイラー10は、マンドレル12と、マンドレル12よりも下方且つ後方に設けられたピンチロール14と、マンドレル12よりも上方且つ後方に設けられ、コイル材Cの外周面からの鋼板Pの浮き上がりを押さえるコイル押さえローラー18と、を有する。
マンドレル12は、支持台8に回転可能に支持された軸体であり、モーター等により繰り出し方向及び巻き取り方向の両方向に駆動回転可能である。また、このマンドレル12には、その回転を制動する方向に作用するドラムブレーキ等のブレーキ機構(不図示)も設けられている。このブレーキ機構は、ピンチロール14でコイル材Cから鋼板Pを引き出す際に用いられ、これにより、鋼板Pにバックテンション(繰り出し方向と逆向きの張力)を与えて、繰り出し時のコイル材Cの巻き緩みを防止する。
ピンチロール14は、幅方向に平行な軸C14周りに回転する上下一対のロール14a,14bを本体とし、上ピンチロール14aはモーター等により駆動回転し、下ピンチロール14bは従動回転する。下ピンチロール14bは、上ピンチロール14aよりも下方に位置しつつ上ピンチロール14aに対して接離可能に設けられており、つまり、油圧シリンダー等のアクチュエータ15によってロール間隙の開閉操作が可能である。例えば、コイル材Cの鋼板Pの先端LEをロール間隙に通す際には、図4の側面図に点鎖線で示すように、下ピンチロール14bは上ピンチロール14aから最も離間する一方、その後に、コイル材Cから鋼板Pを繰り出す際には、同側面図に実線で示すように、上ピンチロール14aとで鋼板Pを挟み込むべく最も接近するようになっている。ちなみに、下ピンチロール14bは上ピンチロール14aよりも後方に位置しているので、そのロール間隙は、コイル材Cからの鋼板Pの繰り出し方向と同じ方向の前方斜め下方を向いており、もって、鋼板Pの先端LEをロール間隙へ案内し易くなっている。
このようなピンチロール14は、前記支持台8に一体的に固定された略直方体のケース16内に収容されている。そして、ケース16の上面をなす上面壁部16aには、前記ロール間隙に対向させて、鋼板P用の入口16bが略矩形形状に開口形成されており、また、ケース16の前面をなす前面壁部16cには、鋼板P用の出口16dが開口形成されている。
コイル押さえローラー18は、前記支持台8に、幅方向に沿う支軸C18回りに旋回可能に支持されたアーム部18aと、アーム部18aにおいて前記支軸C18と逆側の端部に回転可能に支持されたローラー18bとを有している。そして、図4中二点鎖線で示す待機状態から、コイル材Cの方へ向けて旋回してローラー18bがコイル材Cの外周面に当接することにより、コイル材Cからの鋼板Pの浮き上がりを抑えるようになっている。
ところで、本実施形態に係るアンコイラー10は、上述の構成機器に加えて、鋼板Pの先端LEをピンチロール14へ誘導するための誘導装置20を備えている。この誘導装置20は、コイル押さえローラー18とピンチロール14との間に配置されており、つまり、マンドレル12よりも後方の位置において、コイル押さえローラー18よりも下方且つピンチロール14よりも上方の位置に前記誘導装置20は設けられている。よって、マンドレル12にセットされたコイル材Cの外周面の後方から垂れ下がる鋼板Pの先端LEを、ピンチロール14のロール間隙に確実に誘導可能となる。
詳しくは、誘導装置20は、揺動アーム22を有している。揺動アーム22は、マンドレル12の後方に位置する上端部22aを支軸C22として前後に揺動可能に前記支持台8に支持されており、油圧シリンダー等のアクチュエータ(移動機構に相当し、不図示)により、下端部22bを前記コイル材Cの外周面から離れる方向及び近づく方向に移動可能である。この下端部22bは、ピンチロール14の前記ケース16の上面16aに近接しており、もって、同下端部22bは、ピンチロール14の前記ケース16の上面16aに沿って前後に揺動する。
図5は揺動アーム22の斜視図である。揺動アーム22は、幅方向に沿う断面形状がコ字状の部材を本体とする。つまり、幅方向にコイル材Cの最大幅以上の間隔を隔てて対向配置された一対の平板状の側面壁部23,23と、これら側面壁部23,23の後端縁に沿って上端から下端までにかけて掛け渡されて、コイル材Cの外周面に対向して配置された円弧状プレートでなる後面壁部24とを本体とし、更に、前記一対の側面壁部23,23の下端部には、前後一対のローラー25,26がその回転軸を幅方向に揃えて回転自在に支持されている。なお、図4の側面図では、手前側の側面壁部23を取り外して示している。
そして、図4の側面図に示すように、これら前側ローラー25と後側ローラー26とは、互いの間に一定間隔を隔てて固定されており、基本的に、コイル材Cの鋼板Pの先端LEをピンチロール14のロール間隙に誘導する際には、これら前側ローラー25と後側ローラー26との間の間隔に、鋼板Pの先端LEを通して、しかる後に、揺動アーム22が前後に揺動することにより、鋼板Pの先端LEをピンチロール14のロール間隙に近づけるようになっている。
つまり、後側ローラー26は、コイル材Cの径方向の外側への前記鋼板Pの先端LEの移動を規制する第1規制部材として機能する一方、前側ローラー25は、前記後側ローラー26よりもコイル材Cの径方向の内側の位置に、前記前側ローラー25と一定間隔を隔てて対向して配された第2規制部材として機能し、更に言えば、ここでは、この前側ローラー25は、コイル材Cの径方向の内側への前記鋼板Pの先端LEの移動を規制する。なお、後側ローラー26以外に前記後面壁部24も上記の第1規制部材として機能する。
ちなみに、揺動アーム22の上端部22aの前記支軸C22にも、当該支軸C22を回転軸として従動回転するローラー28が設けられている。
<<<コイル材Cから鋼板Pの先端LEをピンチロール14へ誘導する動作>>>
図6A乃至図7Eは、コイル材Cから鋼板Pの先端LEをピンチロール14へ誘導する動作の説明図であり、何れの図も側面視で示しているとともに、揺動アーム22が具備する幅方向手前側の側面壁部23と、ピンチロール14のケース16の幅方向手前側の側面壁部と、を取り外して示している。
上述の誘導装置20によれば、処理対象のコイル材Cの鋼板Pの曲げ剛性の大小によらず、以下のようにして鋼板Pの先端LEをピンチロール14のロール間隙へ誘導することができる。
<コイル材Cの鋼板Pの曲げ剛性が小さい場合>
先ず、図6Aに示すように、マンドレル12にコイル材Cをセットして支持するとともに、コイル押さえローラー18でコイル材Cの外周面を押さえる。なお、この時には、未だ、コイル材Cを巻き取り状態に保持するための結束バンド(不図示)がコイル材Cの外周面に沿って周回固定されており、これによりコイル材Cの鋼板Pの先端LEは、コイル材Cの外周面に当接保持されている。そして、この結束バンドを取り外すと、鋼板Pの曲げ剛性が小さい場合には、図6Bに示すように、コイル押さえローラー18の押さえ位置P18よりも繰り出し方向の側に在る鋼板Pの先端LEが、コイル材Cの外周面から少し離れて垂れ下がる。
そうしたら、誘導装置20の揺動アーム22をコイル材Cの方へ近づけるべく前方へ移動して前側ローラー25をコイル材Cの外周面に当接させた後、この当接状態を維持しながらマンドレル12及びコイル押さえローラー18を繰り出し方向に駆動回転させて、図6Cに示すように、鋼板Pの先端LEを、前側ローラー25と後側ローラー26との間の間隔に挿通し、当該先端LEが前側ローラー25よりも若干繰り出し方向に飛び出したら、マンドレル12及びコイル押さえローラー18による繰り出しを停止する。なお、このとき、鋼板Pの先端LEが前側ローラー25に当たる場合もあるが、前側ローラー25は従動回転するので、当該前側ローラー25に鋼板Pの先端LEが引っかかって詰まることはなく、鋼板Pの先端LEは前側ローラー25と後側ローラー26との間の間隔にスムーズに挿通される。
次に、揺動アーム22を後方へ移動して、鋼板Pの先端LEをコイル材Cの外周面からコイル材Cの径方向の外側へ離間させる。その際には、図6Dに示すように、ピンチロール14のロール間隙の位置を超えて、これよりも後方の位置まで鋼板Pの先端LEを移動し、これにより、前側ローラー25及び揺動アーム22の支軸C22のローラー28により鋼板Pの先端部に2点曲げ加工を施し、その結果、鋼板Pの先端部にはコイル材Cの外周面から離れる方向の曲げ癖が付けられる。
そうしたら、図6Eに示すように、揺動アーム22を再び前方へ移動して、鋼板Pの先端LEがピンチロール14の全開状態のロール間隙に対向したら停止する。そして、マンドレル12及びコイル押さえローラー18の繰り出し動作により、ピンチロール14の前記ロール間隙に鋼板Pの先端LEが通される。この際に、鋼板Pは、先程付けられた上記曲げ癖によって、前側ローラー25及び後側ローラー26の何れにも接触しない浮いた状態になっているので、前側ローラー25及び後側ローラー26が強く当たる等して鋼板Pの繰り出しを阻害することはなく、もって、スムーズに繰り出し可能となる。
そして、ピンチロール14のロール間隙から鋼板Pの先端LEが繰り出し方向に飛び出したら、マンドレル12及びコイル押さえローラー18の繰り出しを停止するとともに、図6Fに示すように、下ピンチロール14bを前方へ移動して前記ロール間隙を閉じて、上下ピンチロール14a,14bにより鋼板Pを挟み込むが、この挟み込み動作をもって、ピンチロール14のロール間隙への鋼板Pの先端LEの誘導動作が完了する。つまり、以降は、図6Gに示すように、上ピンチロール14aを駆動回転してコイル材Cから鋼板Pを引き出して、ループガイド60へと鋼板Pを送り出すことになる。
<コイル材Cの鋼板Pの曲げ剛性が大きい場合>
一方、曲げ剛性の大きい鋼板Pの場合、マンドレル12にコイル材Cをセットするとともに、その外周面をコイル押さえローラー18で押さえた後に結束バンドを取り外すと、これに伴って、図7Aに示すように、鋼板Pの弾性により鋼板Pの先端LEが、コイル材Cの外周面から大きく跳ね上がってしまう。そして、その跳ね上がり量の大きさに比例して、鋼板Pの先端LEがぶつかった際の衝撃力も大きくなり、機器破損の可能性も高くなる。
そのため、当該鋼板Pの曲げ剛性が大きい場合には、結束バンドを取り外す前に、鋼板Pの先端LEを極力小さな跳ね上がり量で受け止め可能な状態に、誘導装置20の揺動アーム22を準備する。すなわち、図7Bに示すように、揺動アーム22をコイル材Cの方へ近づけるべく前方へ移動して前側ローラー25をコイル材Cの外周面に当接させる。そして、この当接状態において、結束バンドを取り外して、コイル材Cの鋼板Pの先端LEの跳ね上がりを揺動アーム22の前記後面壁部24で受け止める。
そうしたら、図7Cに示すように、マンドレル12及びコイル押さえローラー18を繰り出し方向に駆動回転させて、鋼板Pの先端LEを、前側ローラー25と後側ローラー26との間の間隔に挿通し、当該先端LEが後側ローラー26よりも若干繰り出し方向に飛び出したら、マンドレル12及びコイル押さえローラー18による繰り出しを停止する。
なお、この繰り出し時には、鋼板Pの先端LEは、揺動アーム22の後面壁部24に当接した状態で当該後面壁部24を摺りながら繰り出し方向に移動するが、ここで、この後面壁部24は、その平滑な内周面24aをコイル材Cの外周面に対向させて配された円弧状プレートであるので、前記内周面24aに引っかかって詰まることなく、鋼板Pの先端LEは後面壁部24の内周面24aに沿ってスムーズに移動する。また、後面壁部24を通過後には、鋼板Pの先端LEは後側ローラー26に当たるが、後側ローラー26は従動回転するので、当該後側ローラー26に鋼板Pの先端LEが引っかかって詰まることはなく、鋼板Pの先端LEは前側ローラー25と後側ローラー26との間の間隔にスムーズに挿通される。
そうしたら、図7Dに示すように、揺動アーム22をコイル材Cの外周面から離すべく後方へ移動して、鋼板Pの先端LEが、ピンチロール14の全開状態のロール間隙に対向したら停止する。
そして、マンドレル12及びコイル押さえローラー18の繰り出し動作により前記ロール間隙に鋼板Pの先端LEが通されて、ピンチロール14のロール間隙から鋼板Pの先端LEが繰り出し方向に飛び出したら、マンドレル12及びコイル押さえローラー18の繰り出しを停止する。そうしたら、図7Eに示すように、下ピンチロール14bを前方へ移動して前記ロール間隙を閉じて、上下ピンチロール14a,14bにより鋼板Pを挟み込み、この挟み込み動作をもって、ピンチロール14のロール間隙への鋼板Pの先端LEの誘導動作が完了する。
図8A乃至図8Eは、上述した曲げ剛性が大きい鋼板Pの場合の誘導動作の変形例の説明図である。上述では、揺動アーム22からの鋼板Pの先端LEの飛び出し量の調整を目測で行っていたが、この変形例では、飛び出し量を正確に調整すべく、ピンチロール14のケース16の上面16aを前記調整の目安にしている。
すなわち、図8Aに示すように、揺動アーム22をコイル材Cの方へ移動後、結束バンドを取り外して揺動アーム22の後面壁部24にて鋼板Pの先端LEの跳ね上がりを受けるところまでの動作は、上述と同じである。但し、この変形例では、この受けた後に直ぐに鋼板Pを繰り出すのではなく、先ず始めに、揺動アーム22の後面壁部24で鋼板Pの先端LEの跳ね上がりを受けた状態のまま、図8Bに示すように、揺動アーム22を後方へ移動してコイル材Cの外周面から離す。そして、揺動アーム22の下端部22bが、ピンチロール14のロール間隙の位置を超えて、この位置よりも後方の位置まで達したら、揺動アーム22の後方への移動を停止する。
次に、図8Cに示すように、マンドレル12及びコイル押さえローラー18を繰り出し方向に駆動回転して鋼板Pの先端LEを繰り出し、これにより、鋼板Pの先端LEを揺動アーム22の下端部22bから飛び出させ、当該先端LEがピンチロール14のケース16の上面16aに達して突き当たった時点で、繰り出し動作を停止する。なお、この時に、前記ケース16の上面16aが、揺動アーム22からの鋼板Pの飛び出し量の目安となるので、鋼板Pの飛び出し量を正確に調整できる。
そうしたら、図8Dに示すように、揺動アーム22を再び前方へ移動する。すなわち、前記ケース16の上面16aに鋼板Pの先端LEを摺らせながら前方へ移動し、前記ケース16の上面16aに開口形成された鋼板用の入口16bの中央に達したら移動を停止する。そして、マンドレル12及びコイル押さえローラー18の繰り出し動作により、ピンチロール14の全開状態のロール間隙に鋼板Pの先端LEが通される。
なお、以降の動作は、上述と同じである。つまり、ピンチロール14のロール間隙から鋼板Pの先端LEが繰り出し方向に飛び出したら、マンドレル12及びコイル押さえローラー18の繰り出しを停止するとともに、図8Eに示すように、下ピンチロール14bを前方へ移動して前記ロール間隙を閉じて、上下ピンチロール14a,14bにより鋼板Pを挟み込み、この挟み込み動作をもって、ピンチロール14のロール間隙への鋼板Pの先端LEの誘導動作は完了する。
<<<誘導装置20による鋼板Pの巻き癖の矯正>>>
ところで、以上のようにしてピンチロール14に誘導された鋼板Pの先端LEは、ピンチロール14の駆動回転によって、その前方のループガイド60へと送出される。但し、鋼板Pの先端部の巻き癖等によっては、ループガイド60上での鋼板Pの上反りが小さすぎて(つまり、鋼板Pの曲率半径が大きい)、図9Aのように鋼板Pの先端LEがループガイド60の上面60aに突っ掛かったり、逆に、上反りが大きすぎて(つまり、鋼板Pの曲率半径が小さい)、図9Bに示すようにループガイド60の前方のレベラー案内装置70の案内可能範囲から鋼板Pの先端LEが後方に外れてしまい、その結果、当該鋼板Pの先端LEをレベラー40へ案内できない虞がある。
この点につき、本実施形態に係るアンコイラー10では、誘導装置20とピンチロール14とを用いて、鋼板Pの巻き癖等を矯正可能であり、これにより、鋼板Pの先端部をループガイド60に通し易い適度な曲率半径に曲げ加工しながらループガイド60へ送り出すことができる。
例えば、図9Bのように鋼板Pの上反りが大きい場合には、次のようにして上反りを小さく矯正して、ループガイド60へ送出できる。先ず、ピンチロール14で鋼板Pの先端部を挟み込んだ状態において、図10Aに示すように、ピンチロール14のロール間隙近傍に位置する揺動アーム22をコイル材Cの外周面に近づく方向たる前方へ移動する。すると、鋼板Pは、揺動アーム22によって、コイル材Cの径方向の内側へ押されて、前記径方向の内側に凸状の湾曲状態になる。詳しくは、揺動アーム22の後面壁部24の内周面よりも後側ローラー26の方が、前方たるコイル材Cの径方向の内側に突出しているので、当該後側ローラー26によって鋼板Pは外周面側から押されて、当該鋼板Pは前記径方向の内側に凸状の湾曲状態になる。
そして、この湾曲状態を維持しながら、図10Bに示すようにピンチロール14を駆動回転して鋼板Pを繰り出し方向に繰り出せば、これにより、鋼板Pの小さな曲率半径の巻き癖は大きな曲率半径たる小さな上反りへと矯正され、以降、ピンチロール14による鋼板Pの繰り出し動作により、鋼板Pの先端LEを、レベラー案内装置70の案内可能範囲へ到達させることができる。
他方、図9Aのように鋼板Pの上反りが小さい場合には、次のようにして上反りを大きく矯正してループガイド60へ送出できる。先ず、ピンチロール14で鋼板Pの先端部を挟み込んだ状態において、図11Aに示すように、ピンチロール14のロール間隙近傍に位置する揺動アーム22をコイル材Cから離れる方向たる後方へ移動する。すると、揺動アーム22の前側ローラー25にて鋼板Pは内周面側から押されて、つまり、鋼板Pはコイル材Cの径方向の外側へ押されて、当該鋼板Pは前記径方向の外側に凸状の湾曲状態になる。そして、この湾曲状態を維持しながら、図11Bに示すようにピンチロール14を駆動回転して鋼板Pを繰り出し方向に繰り出せば、これにより、鋼板Pの大きな曲率半径の曲げ癖は小さな曲率半径たる大きな上反りへと矯正され、以降、ピンチロール14による鋼板Pの繰り出し動作により、鋼板Pの先端LEは、ループガイド60の上面60aに突っ掛かることなく当該上面60aに誘導されてレベラー案内装置70の案内可能範囲へと到達することができる。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
(a)上述の実施形態においては、誘導装置20として、上端部22aを支点として前後に揺動する揺動アーム22を備えた構成を例示したが、これに限るものではない。例えば、図12に示すように、コイル材Cの外周面から離れる方向及び近づく方向に往復直線移動可能な枠体30と、この枠体30における前後に互いに一定間隔を隔てて回転可能に支持された一対のローラー32a,32bとを備えた構成を適用しても良い。ちなみに、この構成では、後側ローラー32bが第1規制部材に相当し、前側ローラー32aが第2規制部材に相当する。
(b)上述の実施形態においては、誘導装置20の第1規制部材として、後側ローラー26と後面壁部24とを備えた構成を例示したが、何等これに限るものではなく、後面壁部24のみでも良いし、逆に後側ローラ26のみでも良い。
(c)上述の実施形態においては、図7Cに示すように、曲げ剛性の大きい鋼板Pの先端LEを誘導装置20にてピンチロール14のロール間隙へ誘導する際に、誘導装置20の前側ローラー25と後側ローラー26との間の間隔に鋼板Pの先端LEを挿通し、これにより、コイル材Cの径方向の外側への鋼板Pの先端LEの移動を後側ローラー26で規制していたが、これに限るものではない。例えば、図13に示すように、前側ローラー25よりも前方たるコイル材C側に鋼板Pを位置させて、これにより、コイル材Cの径方向の外側への鋼板Pの先端LEの移動を規制するようにしても良い。
(d)上述の実施形態においては、板材の一例として鋼板Pを示したが、巻き取られてコイル材になる帯状の板材であれば、何等これに限るものではなく、アルミ板や銅板等の金属でも良いし、樹脂板でも良い。
(e)上述の実施形態においては、コイル材Cの幅方向の側端面を押さえる目的で幅方向に一対配されるサイドガイドローラーや、マンドレル12をコイル材Cの径方向に拡径縮径変形して巻き緩みを防ぐための拡縮変形機構などについては例示していないが、これらに代表される既存の付帯機器を備えていても良いのは言うまでもない。
(f)上述の実施形態においては、揺動アーム22の後面壁部24の一例として円弧状プレートを例示したが、鋼板Pの先端LEを受け止めるだけの剛性の形状であって、しかも、鋼板Pの繰り出しに伴って先端LEが引っ掛かって詰まらないような形状であれば、何等、円弧状に限るものではない。例えば、平坦面を有する平板でも良いし、多角形形状に鈍角で折れ曲がった板材でも構わない。
(g)上述の実施形態においては詳しく説明していないが、望ましくは、図14に示すように、ピンチロール14のケース16の上面16aは、揺動アーム22の揺動方向に関して段差hを有し、この段差hによって、鋼板P用の入口16bの前端縁16eの高さと後端縁16fの高さとが異なっていると良い。例えば、図示例のように、前記入口16bの前端縁16eの高さの方が後端縁16fよりも高くなっていれば、図8Cで既述した鋼板Pの剛性が大きい場合の変形例において、図8Dのように揺動アーム22を前方へ移動して鋼板Pの先端LEを入口16bへ誘導する際には、図14に二点鎖線で示すように、鋼板Pの先端LEが前記入口16bの前端縁16eに当たって、それ以上の前方への鋼板Pの移動を規制するようになるので、鋼板Pの先端LEが入口16bを超えて前方へ行き過ぎてしまうことを抑制し、結果、鋼板Pの先端LEをピンチロール14のロール間隙へ誘導し易くなる。
なお、この前端縁16eの位置の方が後端縁16fよりも高い例においては、より一層好ましくは、図15Aに示すように、前記前端縁16eから上ピンチロール14aへ向けて立設する平板状のガイド坂17を備えていると良い。そして、このようになっていれば、上述とは逆に、図7Cのように前記入口16bよりも前方に位置する鋼板Pの先端LEを、図7Dのように揺動アーム22を後方へ移動させることにより入口16bに誘導する場合にあっても、当該先端LEはピンチロール14のロール間隙に確実に誘導されるようになる。すなわち、このガイド坂17が無い場合には、揺動アーム22の後方への移動に伴って、図15Bに示すように鋼板Pの先端LEが、ケース16の上面壁部16aと上ピンチロール14aとの間の隙間に入って詰まってしまう虞があるが、図15Aのように、この隙間を前記ガイド坂17が塞いでいれば、このようなトラブルは未然に防がれる。このようなガイド坂17は、図15Aに示すように鉛直下方を向いていても良いが、図15Cに示すように斜め後ろを向いていても良い。
従来のアンコイラー10aの側面図である。 コイル材Cの鋼板Pの先端LEの跳ね上がりの様子を、鋼板Pの曲げ剛性が小さい場合と大きい場合との両者について示す側面図である。 本実施形態のアンコイラー10が適用された板材供給装置1の説明図であり、上段には平面図を示し、下段には側面図を示している。 本実施形態のアンコイラー10の説明図であり、上段には平面図を示し、下段には側面図を示している。 誘導装置20の揺動アーム22の斜視図である。 コイル材Cから鋼板Pの先端LEをピンチロール14へ誘導する動作の説明図であり、鋼板Pの曲げ剛性が小さい場合を示している。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 コイル材Cから鋼板Pの先端LEをピンチロール14へ誘導する動作の説明図であり、鋼板Pの曲げ剛性が大きい場合を示している。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 上述した曲げ剛性が大きい鋼板Pの場合の誘導動作の変形例の説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 同じく説明図である。 鋼板Pの上反りが小さい場合の問題点の説明図である。 鋼板Pの上反りが大きい場合の問題点の説明図である。 誘導装置20にて鋼板Pの上反りを小さく矯正する方法の説明図である。 同じく説明図である。 誘導装置20にて鋼板Pの上反りを大きく矯正する方法の説明図である。 同じく説明図である。 その他の実施の形態の説明図である。 その他の実施の形態の説明図である。 その他の実施の形態の説明図である。 その他の実施の形態の説明図である。 その他の実施の形態の説明図である。 その他の実施の形態の説明図である。
符号の説明
1 板材供給装置、8 支持台、10 アンコイラー、
12 マンドレル(回転軸)、14 ピンチロール、
14a 上ピンチロール、14b 下ピンチロール、
15 アクチュエータ、16 ケース、
16a 上面壁部(上面)、16b 入口、16c 前面壁部、
16d 出口、16e 前端縁、16f 後端縁、
17 ガイド坂、18 コイル押さえローラー、
18a アーム部、18b ローラー、20 誘導装置、
22 揺動アーム、22a 上端部、22b 下端部、23 側面壁部、
24 後面壁部(第1規制部材)、24a 内周面、
25 前側ローラー(第2規制部材)、26 後側ローラー(第1規制部材)、
28 ローラー、30 枠体、32a 前側ローラー、32b 後側ローラー、
40 レベラー、42 水平ロール、42G 上側の矯正ロール群、
44G 下側の矯正ロール群、46 フレーム、
48a フィードローラー、48b フィードローラー、
60 ループガイド、60a 上面、
70 レベラー入側案内装置、72 レベラー入側案内プレート、
74 挿入アーム、76 押さえローラー、
C14 軸、C18 支軸、C22 支軸、C74 軸、
P18 押さえ位置、C コイル材、P 鋼板(板材)、LE 先端、h 段差

Claims (11)

  1. 帯状の板材を巻き取ってなるコイル材の巻き取り中心部に、回転軸を差し込んで前記コイル材を回転可能に支持するとともに、一対のロールによって前記板材を挟み込んだ状態で前記一対のロールの少なくとも一方を駆動回転することにより、前記コイル材から前記板材を繰り出すアンコイラーにおいて、
    前記コイル材の外周に位置する前記板材の先端を、前記一対のロールのロール間隙に誘導する誘導装置を備え、
    該誘導装置は、前記コイル材の径方向の外側への前記板材の先端の移動を規制する第1規制部材と、該第1規制部材よりも前記径方向の内側の位置に、前記第1規制部材と所定間隔を隔てて対向して配された第2規制部材と、前記第1規制部材及び前記第2規制部材を、前記コイル材の外周面から離れる方向及び近づく方向に移動する移動機構と、を有していることを特徴とするアンコイラー。
  2. 請求項1に記載のアンコイラーであって、
    前記誘導装置は、前記回転軸と平行な軸周りに揺動可能に支持された揺動アームを有し、
    該揺動アームには、前記第1規制部材及び前記第2規制部材が固定されており、
    前記移動機構により前記揺動アームが揺動されることを特徴とするアンコイラー。
  3. 請求項2に記載のアンコイラーであって、
    前記第1規制部材は、その内周面を、前記コイル材の外周面に対向して配された円弧状プレートを有し、
    前記第2規制部材は、前記回転軸と平行な軸回りに回転可能な第2ローラーを有し、
    前記円弧状プレート及び前記第2ローラーは、前記揺動アームに支持されていることを特徴とするアンコイラー。
  4. 請求項3に記載のアンコイラーであって、
    前記第1規制部材は、前記円弧状プレートよりも繰り出し方向の側に配置されて、前記回転軸と平行な軸周りに回転可能な第1ローラーを有し、
    該第1ローラーの外周面は、前記円弧状プレートの内周面よりも前記コイル材の径方向の内側に突出していることを特徴とするアンコイラー。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のアンコイラーであって、
    前記所定間隔の大きさは一定であることを特徴とするアンコイラー。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のアンコイラーであって、
    前記板材の先端は、該コイル材の下方から繰り出し方向に繰り出され、
    前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端を挿通する際には、前記板材の先端は斜め下方を向いていることを特徴とするアンコイラー。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のアンコイラーであって、
    前記一対のロールは、前記回転軸よりも下方に設けられているとともに、前記一対のロールによって、前記板材は斜め下方に繰り出され、
    前記一対のロールよりも繰り出し方向の側には、前記板材の形状を矯正するレベラーが配置されており、
    前記一対のロールと前記レベラーとの間には、前記板材の先端の移動下限位置を規定しつつ、前記先端を前記レベラーへ案内するガイド部材が設けられていることを特徴とするアンコイラー。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
    前記移動機構によって前記第2規制部材が前記コイル材の外周面に当接された状態において、前記回転軸が繰り出し方向に駆動回転することにより、前記板材の先端を前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に挿通することを特徴とするアンコイラーの使用方法。
  9. 請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
    前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端が挿通された状態において、前記板材の先端が、前記一対のロールのロール間隙に近づくように、前記移動機構により前記第1規制部材及び前記第2規制部材が移動され、
    前記回転軸が繰り出し方向に駆動回転することにより、前記板材の先端が前記一対のロールのロール間隙に通されることを特徴とするアンコイラーの使用方法。
  10. 請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
    前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端が挿通されるとともに、前記一対のロールに前記板材の先端部が挟み込まれた状態において、前記第1規制部材が前記コイル材の外周面に近づく方向へ移動して前記板材を前記コイル材の径方向の内側へ押すことにより、前記板材を前記径方向の内側に凸状の湾曲状態にし、当該状態を維持しながら、前記一対のロールを駆動回転して前記コイル材から前記板材を繰り出すことを特徴とするアンコイラーの使用方法。
  11. 請求項1乃至7の何れかに記載のアンコイラーの使用方法であって、
    前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に前記板材の先端が挿通されるとともに、前記一対のロールに前記板材の先端部が挟み込まれた状態において、前記第2規制部材が前記コイル材の外周面から離れる方向へ移動して前記板材を前記径方向の外側へ押すことにより、前記板材を前記径方向の外側に凸状の湾曲状態にし、当該状態を維持しながら、前記一対のロールを駆動回転して前記コイル材から前記板材を繰り出すことを特徴とするアンコイラーの使用方法。
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