JP2009033889A - モータ用ステータ及びその製造方法 - Google Patents

モータ用ステータ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コイル導体の電気的

絶縁及び固着を安定して行うことができ、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができるモータ用ステータ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】モータ用ステータ1は、ステータコア2におけるスロット22に、複数本のコイル導体3を収容してなる。ステータコア2は、その中心軸線方向Lに複数の電磁鋼板21を積層してなる。複数本のコイル導体3は、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材41によって包み込まれており、絶縁フィルム基材41と複数本のコイル導体3との間と、絶縁フィルム基材41とスロット22の内壁面との間には、絶縁フィルム基材41の両表面に積層した半硬化状態の熱硬化性樹脂42A、Bを硬化させた絶縁固着樹脂42が充填されている。絶縁固着樹脂42は、複数本のコイル導体3同士の間の隙間に浸透している。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステータコアにおけるスロット内に複数本のコイル導体を収容してなるモータ用ステータ及びその製造方法に関する。
モータ用ステータを製造するに当たっては、複数の電磁鋼板を中心軸線方向に積層してなるステータコアのスロット内に、絶縁紙(絶縁シート)を配置し、この絶縁紙の内側に、複数本のコイル導体を配置する。そして、絶縁紙により、コイル導体とステータコアとの間の電気絶縁性を確保すると共に、スロット内に形成された隙間(絶縁シートの内側及び外側の隙間、コイル導体同士の間の隙間)にワニスを浸透させて、複数本のコイル導体及び絶縁紙をステータコアに固着して、耐振性を確保している。
例えば、特許文献1の回転電機及びその製造方法においては、断面略角形状の複数本のコイル導体を、略角筒状の絶縁シートを介してステータコアのスロットに配置した構造が開示されている。
しかしながら、ワニスの含浸により、コイル導体及び絶縁紙をステータコアに固着しようとすると、ステータを量産する際に、各ステータ間において、ワニスの浸透度合いにばらつきが生じるおそれがある。また、ワニスの含浸を行う際に、狙いとしない部分(ステータコアの軸方向端面、外周面等)にワニスが滴下されてしまったときには、トリミング等により不要なワニスを除去する必要が生じる。
特開2003−199278号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、コイル導体の電気的絶縁及び固着を安定して行うことができ、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができるモータ用ステータ及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、ステータコアにおけるスロット内に、複数本のコイル導体を収容してなるモータ用ステータにおいて、
上記ステータコアは、その中心軸線方向に複数の電磁鋼板を積層してなり、
上記複数本のコイル導体は、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材によって包み込まれており、該絶縁フィルム基材と上記複数本のコイル導体との間と、該絶縁フィルム基材と上記スロットの内壁面との間には、上記絶縁フィルム基材の両表面に積層した半硬化状態の熱硬化性樹脂を硬化させた絶縁固着樹脂が充填されており、
上記絶縁フィルム基材と上記複数本のコイル導体との間に充填された絶縁固着樹脂は、上記複数本のコイル導体同士の間の隙間に浸透していることを特徴とするモータ用ステータにある(請求項1)。
本発明のモータ用ステータは、ワニスの含浸を行うことなく、コイル導体とステータコアとの電気的絶縁を確保し、コイル導体を安定してステータコアに固着しておくことができるものである。
具体的には、本発明のステータコアにおけるスロット内に収容された複数本のコイル導体は、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材によって包み込まれている。そのため、絶縁フィルム基材により、コイル導体とステータコアとの電気的絶縁を確保することができる。
また、絶縁フィルム基材と複数本のコイル導体との間、絶縁フィルム基材とスロットの内壁面との間には、絶縁フィルム基材の両表面に積層した半硬化状態の熱硬化性樹脂を硬化させた絶縁固着樹脂が充填されている。これにより、コイル導体及び絶縁フィルム基材を安定してステータコアに固着しておくことができる。
そして、絶縁固着樹脂は、複数本のコイル導体同士の間の隙間に浸透している。これにより、複数本のコイル導体同士の電気的絶縁をより効果的に行うことができる。なお、複数本のコイル導体の表面には、絶縁被膜が形成されている。
このように、本発明のモータ用ステータは、絶縁フィルム基材及び絶縁固着樹脂を用いて、コイル導体とステータコアとの電気的絶縁を確保し、コイル導体を安定してステータコアに固着しておくことができる。そのため、電気的絶縁及び固着を行うために、コイル導体にワニスの含浸を行う必要がなく、モータ用ステータをクリーンな状態に保つことができる。また、不要なワニスを除去する必要もなくなる。
また、本発明のモータ用ステータは、絶縁フィルム基材の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂を積層してなる絶縁シートを用いて製造することができ、モータ用ステータを量産する際に、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができる。
それ故、本発明のモータ用ステータによれば、コイル導体の電気的絶縁及び固着を安定して行うことができ、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができる。
第2の発明は、ステータコアにおけるスロット内に、複数本のコイル導体を収容してなるモータ用ステータの製造方法において、
複数の電磁鋼板を中心軸線方向に積層してなると共に、上記スロット同士の間のティースを有する形状で、上記スロットの数に対応する数に上記ステータコアを周方向に分割して形成したコア形成ブロックと、複数本のコイル導体と、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂を積層してなる絶縁シートとを用いてモータ用ステータを製造するに当たり、
上記絶縁シートにおける一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みを他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくしておき、
上記一方の表面の熱硬化性樹脂を上記複数本のコイル導体に対向させて、当該絶縁シートによって当該複数本のコイル導体を包み込んで、コイル仮組体を形成し、
該コイル仮組体を、一対の上記コア形成ブロックにおけるスロット形成部同士の間に配置して、当該一対のコア形成ブロック同士を接合することにより、上記複数本のコイル導体同士の間の隙間に上記一方の表面の熱硬化性樹脂を流動させた後、上記熱硬化性樹脂の全体を硬化させることを特徴とするモータ用ステータの製造方法にある(請求項7)。
本発明のモータ用ステータの製造方法は、上記優れた作用効果を奏するモータ用ステータの製造に適した方法である。
本発明の製造方法においては、複数のコア形成ブロックからなるステータコア、及び一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みを他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくした絶縁シートを用いる。
そして、厚みの大きい一方の表面の熱硬化性樹脂を複数本のコイル導体に対向させて、当該絶縁シートによって複数本のコイル導体を包み込んで、コイル仮組体を形成する。
次いで、コイル仮組体を、一対のコア形成ブロックにおけるスロット形成部同士の間に配置して、当該一対のコア形成ブロック同士を接合する。このとき、両表面の熱硬化性樹脂は、いずれも半硬化状態にあり、一対のコア形成ブロック同士が接合する方向に加圧されたときには、スロット内の隙間を埋めるように流動する。そして、一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくしてあることにより、一方の表面の熱硬化性樹脂は、絶縁フィルム基材と複数本のコイル導体との間を埋めると共に、複数本のコイル導体同士の間の隙間へ十分に流動することができる。これにより、複数本のコイル導体同士を十分に固着させることができる。
また、他方の表面の熱硬化性樹脂は、絶縁フィルム基材とステータコアとの間を埋める一方、ステータコアを構成する電磁鋼板同士の間の隙間には、できるだけ流動しないようにすることができる。これにより、電磁鋼板同士の間の隙間に不必要に熱硬化性樹脂が流動して、モータ用ステータを用いて製造したモータの振動ノイズ特性に悪影響を与えることを防止することができる。
その後、熱硬化性樹脂の全体を硬化させて、モータ用ステータを製造することができる。
それ故、本発明のモータ用ステータの製造方法によれば、上記第1の発明と同様に、コイル導体の電気的絶縁及び固着を安定して行うことができ、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができるモータ用ステータを製造することができる。
第3の発明は、ステータコアにおけるスロット内に、複数本のコイル導体を収容してなるモータ用ステータの製造方法において、
複数の電磁鋼板を中心軸線方向に積層して円環状に形成したステータコアと、複数本のコイル導体と、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂を積層してなる絶縁シートとを用いてモータ用ステータを製造するに当たり、
上記絶縁シートにおける一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みを他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくしておき、
上記他方の表面の熱硬化性樹脂を上記スロットの内壁面に対向させて、当該絶縁シートを当該スロットに配置し、
上記複数本のコイル導体を上記絶縁シートにおける上記一方の表面の熱硬化性樹脂に対向させて配置し、当該絶縁シートにおける周方向の両端部を、上記スロットの開口部側において折り重ね、当該絶縁シートの折り重ね部から径方向外方へ加圧して、上記複数本のコイル導体同士の間の隙間に上記一方の表面の熱硬化性樹脂を流動させた後、上記熱硬化性樹脂の全体を硬化させることを特徴とするモータ用ステータの製造方法にある(請求項8)。
本発明のモータ用ステータの製造方法も、上記優れた作用効果を奏するモータ用ステータの製造に適した方法である。
本発明の製造方法においては、一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みを他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくした絶縁シートを用いる。
そして、厚みの小さい他方の表面の熱硬化性樹脂をスロットの内壁面に対向させて、当該絶縁シートをスロットに配置する。
次いで、複数本のコイル導体を絶縁シートにおける一方の表面の熱硬化性樹脂に対向させて配置し、絶縁シートにおける周方向の両端部を、スロットの開口部側において折り重ね、加圧治具等を用いて絶縁シートの折り重ね部から径方向外方へ加圧する。このとき、両表面の熱硬化性樹脂は、いずれも半硬化状態にあり、スロット内の隙間を埋めるように流動する。そして、一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくしてあることにより、一方の表面の熱硬化性樹脂は、絶縁フィルム基材と複数本のコイル導体との間を埋めると共に、複数本のコイル導体同士の間の隙間へ十分に流動することができる。これにより、複数本のコイル導体同士を十分に固着させることができる。
また、他方の表面の熱硬化性樹脂は、絶縁フィルム基材とステータコアとの間を埋める一方、ステータコアを構成する電磁鋼板同士の間の隙間には、できるだけ流動しないようにすることができる。これにより、電磁鋼板同士の間の隙間に不必要に熱硬化性樹脂が流動して、モータ用ステータを用いて製造したモータの振動ノイズ特性に悪影響を与えることを防止することができる。
その後、熱硬化性樹脂の全体を硬化させて、モータ用ステータを製造することができる。
それ故、本発明のモータ用ステータの製造方法によれば、上記第1の発明と同様に、コイル導体の電気的絶縁及び固着を安定して行うことができ、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができるモータ用ステータを製造することができる。
上述した第1〜第3の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1〜第3の発明において、上記絶縁フィルム基材は、樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂)、炭素繊維、ガラス繊維、紙、布等から構成することができる。また、上記熱硬化性樹脂は、半硬化状態のエポキシ樹脂等から形成することができる。絶縁フィルム基材は、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)等の樹脂から構成することができる。
また、上記モータ用ステータは、電動機、発電機又はモータジェネレータのいずれのステータ(固定子)として用いることもできる。
第1の発明において、上記熱硬化性樹脂は、複数本のコイル導体及び絶縁フィルム基材をステータコアに固着できれば、必ずしも絶縁フィルム基材と複数本のコイル導体との間の全体と、絶縁フィルム基材とスロットの内壁面との間の全体とに充填されていなくてもよい。
また、第1の発明において、上記絶縁フィルム基材の両表面に積層した半硬化状態の熱硬化性樹脂は、上記複数本のコイル導体と対向させる一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが、上記スロットの内壁面に対向させる他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きいことが好ましい(請求項2)。
この場合には、コイル導体の電気的絶縁及び固着をより安定して行うことができ、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができる。
また、上記コイル導体は、断面略角形状の角導体から構成し、該角導体において互いに対向する一対の表面を、上記ステータコアの径方向に平行にして上記スロット内に配置することができる(請求項3)。
この場合には、スロット内におけるコイル導体の占積率を効果的に向上させることができる。
また、上記コイル導体は、断面略丸形状の丸導体から構成することもできる(請求項4)。
この場合には、スロット内へのコイル導体の配置を容易に行うことができる。
また、上記ステータコアは、その周方向において、上記スロット同士の間のティースを有する形状で上記スロットの数に対応する数に分割したコア形成ブロックを接合して形成し、上記絶縁フィルム基材は、上記スロットにおける径方向の底部側において折り重ねることができる(請求項5)。
この場合には、複数のコア形成ブロックを用いることにより、ステータコアへの複数本のコイル導体の組付性を向上させることができる。また、この場合に、絶縁フィルム基材をスロットにおける径方向の底部側において折り重ねることにより、モータ用ステータの組付時において、一対のコア形成ブロックにおけるスロット形成部同士の間に、絶縁シートによって包み込んだ状態の複数本のコイル導体を配置する際に、絶縁シートが解け難くすることができる。
また、上記ステータコアは、円環状に形成された一体型コアとし、上記絶縁フィルム基材は、上記スロットにおける径方向の開口部側において折り重ねることもできる(請求項6)。
この場合には、ステータコアの形成が容易である。また、この場合に、絶縁フィルム基材をスロットにおける径方向の底部側において折り重ねることにより、モータ用ステータの組付時において、ステータコアにおけるスロット内に配置した絶縁シートの内側に、複数本のコイル導体を容易に配置することができる。
第2、第3の発明において、上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚み及び上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、上記絶縁フィルム基材の厚みよりも大きくし、かつ上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みに比べて、1.5〜3倍の厚みに形成することが好ましい(請求項9)。
この場合には、一方の表面の熱硬化性樹脂を複数本のコイル導体同士の間の隙間へより確実に流動させることができる。
上記絶縁フィルム基材の厚みは、25〜150μmの範囲内に設定し、上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、上記絶縁フィルム基材の厚みよりも大きい厚みであって、25〜150μmの範囲内に設定し、上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、上記絶縁フィルム基材の厚みよりも大きいと共に、上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みに比べて1.5〜3倍の厚みであって、75〜450μmの範囲内に設定することが好ましい。
この場合には、絶縁フィルム基材及び両表面の熱硬化性樹脂の厚みが適切であり、コイル導体の電気的絶縁及び固着を一層安定して行うことができ、モータ用ステータ間における製造状態のばらつきを極力抑えることができる。
上記絶縁フィルム基材の厚みが25μm未満であると、その絶縁効果が弱くなるおそれがあり、上記絶縁フィルム基材の厚みが150μmを超えると、絶縁フィルム基材のスロットにおける占有率が増大してしまう。
また、複数の電磁鋼板を積層させる際、製造の際に生じるばらつきにより、スロットの内壁面には、ばらつきによる微小な段差が形成される。そのため、上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが25μm未満であると、ステータコアを構成する複数の電磁鋼板によりスロットの内壁面に形成される段差へ、熱硬化性樹脂を流動させることが困難になる。
一方、上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが150μmを超えると、過剰になった熱硬化性樹脂がスロットの外部に流動するおそれがある。また、特に、積層された複数の電磁鋼板同士の隙間に過剰となった熱硬化性樹脂が入り込んだ場合、振動ノイズが発生しやすくなるという問題がある。
また、上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが75μm未満であると、熱硬化性樹脂を複数本のコイル導体同士の間の隙間へ十分に流動させることが困難になる。一方、上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが450μmを超えると、過剰になった熱硬化性樹脂がスロットの外部に流動するおそれがある。
なお、上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、導体コイルの角部同士の間に空隙が形成されることがあっても、熱硬化性樹脂が複数本の導体コイルの表面に流動することができる厚みとして設定することができる。また、上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、熱硬化性樹脂が、複数の電磁鋼板同士の間においてスロットの内壁面に形成される段差に流動することができる厚みとして設定することができる。
また、上記一方の表面の熱硬化性樹脂と、上記他方の表面の熱硬化性樹脂とは、樹脂の材質、組成等を互いに異ならせ、一方の表面の熱硬化性樹脂を他方の表面の熱硬化性樹脂に比べて、流動し易くすることができる。また、一方の表面の熱硬化性樹脂は、絶縁フィルム基材の表面に厚く積層するために、例えばメッシュ状の素材等に染み込ませておくことができる。
以下に、本発明のモータ用ステータ及びその製造方法にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
(実施例1)
本例のモータ用ステータ1は、図1、図2に示すごとく、ステータコア2におけるスロット22に、複数本のコイル導体3(銅線等)を収容してなる。
ステータコア2は、その中心軸線方向Lに複数の電磁鋼板21(軟磁性材料からなるコアシート)を積層してなる。複数本のコイル導体3は、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材41によって包み込まれている。また、絶縁フィルム基材41と複数本のコイル導体3との間と、絶縁フィルム基材41とスロット22の内壁面との間には、絶縁フィルム基材41の両表面に積層した半硬化状態の熱硬化性樹脂42A、Bを硬化させた絶縁固着樹脂42が充填されている。
絶縁フィルム基材41と複数本のコイル導体3との間に充填された絶縁固着樹脂42は、複数本のコイル導体3同士の間の隙間に浸透している。
なお、モータ用ステータ1の製造においては、絶縁フィルム基材41の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂42A、Bを積層してなる絶縁シート4を用いることができる。
以下に、本例のモータ用ステータ1及びその製造方法につき、図1〜図6と共に詳説する。
本例のモータ用ステータ1は、ハイブリッドカー又は電気自動車等に使用する3相交流モータに用いるものである。
図1に示すごとく、本例のコイル導体3は、絶縁被膜を形成してなる断面略角形状の角導体から構成してある。各スロット22内には、複数本のコイル導体3(角導体)が互いに対向する一対の表面をステータコア2の径方向Rに平行にしてスロット22内に配置してある。また、複数本のコイル導体3は、スロット22内におけるコイル導体3の占積率を効果的に向上させるために、スロット22の周方向C及び径方向Rに複数段に配列して配置してある。
コイル導体3は、複数のスロット22に所定のスロット数を空けて分布巻き状態で配置することができる。また、コイル導体3は、スロット22内に配置する複数のスロット導体部31同士を、ステータコア2の軸方向Lの一端側と軸方向Lの他端側とにおいて、スロット22の外部に突出配置するコイルエンド導体部32によって交互に繋いでなる波巻形状に形成することができる。そして、波巻形状のコイル導体3を、複数のスロット22に跨って径方向Rに重ねて配列することができる。
また、ステータコア2は、その周方向Cにおいて、スロット22同士の間のティース23を有する形状でスロット22の数に対応する数に分割したコア形成ブロック25を接合して形成してある。各コア形成ブロック25は、それぞれ中心軸線方向Lに電磁鋼板21を積層してなると共に、スロット22の外周側に位置する部分の周方向Cの中心において分割してある。
また、ステータコア2は、その外周に嵌めるリング部材26によって複数のコア形成ブロック25を接合して、円環状に形成されている。
図2に示すごとく、絶縁シート4(絶縁フィルム基材41)は、スロット22の軸方向Lの全長に渡って配置してあり、軸方向Lの両端部401が、ステータコア2の軸方向Lの両端から突出して配置されている。
また、図1に示すごとく、絶縁シート4(絶縁フィルム基材41)の周方向Cの端部441は、スロット22における径方向Rの底部221側において折り重なっている。
本例の絶縁フィルム基材41は、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂のフィルムからなり、本例の熱硬化性樹脂42A、Bは、半硬化状態のエポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)からなる。
本例のステータコア2におけるスロット22内に収容された複数本のコイル導体3は、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材41によって包み込まれている。そのため、絶縁フィルム基材41により、コイル導体3とステータコア2との電気的絶縁を確保することができる。
また、絶縁フィルム基材41と複数本のコイル導体3との間、絶縁フィルム基材41とスロット22の内壁面との間には、半硬化状態の熱硬化性樹脂42A、Bを硬化させた絶縁固着樹脂42が充填されている。これにより、コイル導体3及び絶縁フィルム基材41を安定してステータコア2に固着しておくことができる。
そして、熱硬化性樹脂42A、Bは、複数本のコイル導体3同士の間の隙間に浸透している。これにより、複数本のコイル導体3同士の電気的絶縁をより効果的に行うことができる。なお、複数本のコイル導体3の表面には、絶縁被膜が形成されている。
このように、本例のモータ用ステータ1は、絶縁フィルム基材41及び絶縁固着樹脂42を用いて、コイル導体3とステータコア2との電気的絶縁を確保し、コイル導体3を安定してステータコア2に固着しておくことができる。そのため、電気的絶縁及び固着を行うために、コイル導体3にワニスの含浸を行う必要がなく、モータ用ステータ1をクリーンな状態に保つことができる。また、不要なワニスを除去する必要もなくなる。
また、本例のモータ用ステータ1は、絶縁フィルム基材41の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂42A、Bを積層してなる絶縁シート4を用いて製造することができ、モータ用ステータ1を量産する際に、各モータ用ステータ1同士の間における製造状態のばらつきを極力抑えることができる。
次に、本例のモータ用ステータ1を製造する方法につき詳説する。
モータ用ステータ1を製造するに当たっては、上記ステータコア2を形成するための複数のコア形成ブロック25及び複数本のコイル導体3を用いると共に、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材41の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂42A、Bを積層してなる絶縁シート4を用いる。この絶縁シート4においては、図3に示すごとく、コイル導体3と対向する内側に配置する一方の表面の熱硬化性樹脂42Aの厚みが、スロット22の内壁面と対向する外側に他方の表面の熱硬化性樹脂42Bの厚みよりも大きくしてある。
また、同図に示すごとく、一方の表面の熱硬化性樹脂42Aの厚み及び他方の表面の熱硬化性樹脂42Bの厚みは、絶縁フィルム基材41の厚みよりも大きくしてあり、かつ一方の表面の熱硬化性樹脂42Aの厚みは、他方の表面の熱硬化性樹脂42Bの厚みに比べて、1.5〜3倍の厚みに形成してある。本例の絶縁フィルム基材41の厚みは、50μmとし、コイル導体3と対向する内側に配置する一方の表面の熱硬化性樹脂42Aの厚みは、300μmとし、スロット22の内壁面と対向する外側に配置する他方の表面の熱硬化性樹脂42Bの厚みは、150μmとした。
これにより、絶縁フィルム基材41による絶縁効果を維持して、一方の表面の熱硬化性樹脂42Aを、複数本のコイル導体3同士の間の隙間へ十分に流動させることができ、他方の表面の熱硬化性樹脂42Bを、ステータコア2を構成する複数の電磁鋼板21によりスロット22の内壁面に形成される段差へ十分に流動させることができる。
そして、図4、図5に示すごとく、一方の表面の熱硬化性樹脂42Aを内側にし(複数本のコイル導体3に対向させて)、当該絶縁シート4によって複数本のコイル導体3を包み込んで、コイル仮組体15を形成する。このとき、図4に示すごとく、絶縁シート4においては、スロット22の内周側(開口側)に配置される中間部43に対して、この中間部43の周方向Cの両側に折り曲げた一対の折曲部44を形成し、当該絶縁シート4の内側に各コイル導体3を配置することができる。そして、図5に示すごとく、絶縁シート4の内側に複数本のコイル導体3を配置した後には、一対の折曲部44の先端側部分441をさらに折り曲げて折り重ね、コイル仮組体15を形成することができる。
次いで、図6に示すごとく、コイル仮組体15を、一対のコア形成ブロック25におけるスロット形成部220(スロット22の内壁面を形成する部分)同士の間に配置し、一対のコア形成ブロック25に周方向Cからの加圧力Pを作用させる。本例においては、すべてのコア形成ブロック25におけるスロット形成部220同士の間にコイル仮組体15を配置し、複数のコア形成ブロック25を周方向Cに並べた後、この複数のコア形成ブロック25の外周にリング部材26を嵌めることによって、複数のコア形成ブロック25に周方向Cに向けた加圧力Pを作用させ、すべてのコア形成ブロック25を接合してステータコア2を形成し、モータ用ステータ1を製造する。
なお、絶縁フィルム基材41の一対の先端側部分441をスロット22における径方向Rの底部221側において折り重ねることにより、モータ用ステータ1の組付時において、一対のコア形成ブロック25におけるスロット形成部220同士の間に、絶縁シート4によって複数本のコイル導体3を包み込んだ状態のコイル仮組体15を配置する際に、絶縁シート4が解け難くすることができる。
上記コア形成ブロック25同士を接合する際には、絶縁フィルム基材41の両表面における熱硬化性樹脂42A、Bは、いずれも半硬化状態にある。そのため、一対のコア形成ブロック25同士が接合する方向(周方向C)に加圧されたときには、熱硬化性樹脂42A、Bは、スロット22内の隙間を埋めるように流動する。そして、一方の表面の熱硬化性樹脂42Aの厚みが他方の表面の熱硬化性樹脂42Bの厚みよりも大きくしてあることにより、一方の表面の熱硬化性樹脂42Aは、絶縁フィルム基材41と複数本のコイル導体3との間を埋めると共に、複数本のコイル導体3同士の間の隙間へ十分に流動することができる。これにより、複数本のコイル導体3同士を十分に固着させることができる。
また、他方の表面の熱硬化性樹脂42Bは、絶縁フィルム基材41とステータコア2との間を埋める一方、ステータコア2を構成する電磁鋼板21同士の間の隙間には、できるだけ流動しないようにすることができる。これにより、電磁鋼板21同士の間の隙間に不必要に熱硬化性樹脂42Bが流動して、モータ用ステータ1を用いて製造したモータの振動ノイズ特性(ワニスの含浸を行う際には、電磁鋼板21同士の間の隙間へのワニスの浸透度合いのばらつきにより、モータの固有振動数がばらつき、振動ノイズ特性がばらつく問題が生じていた。)に悪影響を与えることを防止することができる。
その後、熱硬化性樹脂42A、Bの全体を硬化させて、モータ用ステータ1を製造することができる。
それ故、本例のモータ用ステータ1の製造方法によれば、コイル導体3の電気的絶縁及び固着を安定して行うことができ、モータ用ステータ1間における製造状態のばらつきを極力抑えることができるモータ用ステータ1を製造することができる。
なお、絶縁固着樹脂42は、必ずしも絶縁フィルム基材41と複数本のコイル導体3との間の全体と、絶縁フィルム基材41とスロット22の内壁面との間の全体とに充填されていなくてもよい。例えば、図1に示すごとく、複数本のコイル導体3の角部同士の間に形成される隙間35、スロット22の角部に形成される隙間225等には、若干の空隙が形成されてもよい。
(実施例2)
本例は、図7、図8に示すごとく、複数の電磁鋼板21を中心軸線方向Lに積層して円環状に形成した一体型コアとしてのステータコア2Aを用いて、モータ用ステータ1Aを製造する例である。
また、本例においては、断面略丸形状の複数本のコイル導体3(丸導体)を用いる。
そして、モータ用ステータ1Aを製造するに当たっては、図7に示すごとく、厚みの大きい一方の表面の熱硬化性樹脂42Aを内側にして(他方の表面の熱硬化性樹脂42Bをスロット22の内壁面に対向させて)、当該絶縁シート4をステータコア2Aのスロット22の内壁面に対向配置する。
次いで、複数本のコイル導体3を、絶縁シート4の内側に配置する(絶縁シート4における一方の表面の熱硬化性樹脂42Aに対向させて配置する)。本例のコイル導体3は、ループ状に形成したループ導体部を複数連ねてなる形状に形成し、このループ導体部を各スロット22内に跨って配置した。
そして、図8に示すごとく、絶縁シート4における周方向Cの両端部を、スロット22の開口部222側において折り重ね、加圧治具等を用いて絶縁シート4の折り重ね部441から径方向Rの外方へ加圧する(加圧方向を矢印Pで示す。)。このとき、両表面の熱硬化性樹脂42A、Bは、いずれも半硬化状態にあり、スロット22内の隙間を埋めるように流動する。そして、一方の表面の熱硬化性樹脂42Aの厚みが他方の表面の熱硬化性樹脂42Bの厚みよりも大きくしてあることにより、一方の表面の熱硬化性樹脂42Aは、絶縁フィルム基材41と複数本のコイル導体3との間を埋めると共に、複数本のコイル導体3同士の間の隙間へ十分に流動することができる。これにより、複数本のコイル導体3同士を十分に固着させることができる。
また、他方の表面の熱硬化性樹脂42Bは、絶縁フィルム基材41とステータコア2Aとの間を埋める一方、ステータコア2Aを構成する電磁鋼板21同士の間の隙間には、できるだけ流動しないようにすることができる。これにより、電磁鋼板21同士の間の隙間に不必要に熱硬化性樹脂42Bが流動して、モータ用ステータ1Aを用いて製造したモータの振動ノイズ特性に悪影響を与えることを防止することができる。
その後、熱硬化性樹脂42A、Bの全体を硬化させて、モータ用ステータ1Aを製造することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例1における、モータ用ステータを軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1における、モータ用ステータを軸方向に直交する方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1における、モータ用ステータのスロット内に配置した絶縁シート及びコイル導体の一部を拡大して示す断面説明図。 実施例1における、一方の表面の熱硬化性樹脂を内側にし、当該絶縁シートによって複数本のコイル導体を包み込む状態を示す断面説明図。 実施例1における、一方の表面の熱硬化性樹脂を内側にし、当該絶縁シートによって複数本のコイル導体を包み込んで形成したコイル仮組体を示す断面説明図。 実施例1における、コイル仮組体を、一対のコア形成ブロック同士の間に配置し、一対のコア形成ブロックに周方向からの加圧力を作用させる状態を示す断面説明図。 実施例2における、絶縁シートにおける周方向の両端部を、スロットの開口部側において折り重ね、絶縁シートの折り重ね部から径方向の外方へ加圧する状態を示す断面説明図。 実施例2における、モータ用ステータを軸方向から見た状態で示す断面説明図。
符号の説明
1 モータ用ステータ
15 コイル仮組体
2 ステータコア
21 電磁鋼板
22 スロット
23 ティース
25 コア形成ブロック
3 コイル導体
4 絶縁シート
41 絶縁フィルム基材
42 絶縁固着樹脂
42A 一方の表面の熱硬化性樹脂
42B 他方の表面の熱硬化性樹脂
L 中心軸線方向(軸方向)
C 周方向
R 径方向

Claims (9)

  1. ステータコアにおけるスロット内に、複数本のコイル導体を収容してなるモータ用ステータにおいて、
    上記ステータコアは、その中心軸線方向に複数の電磁鋼板を積層してなり、
    上記複数本のコイル導体は、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材によって包み込まれており、該絶縁フィルム基材と上記複数本のコイル導体との間と、該絶縁フィルム基材と上記スロットの内壁面との間には、上記絶縁フィルム基材の両表面に積層した半硬化状態の熱硬化性樹脂を硬化させた絶縁固着樹脂が充填されており、
    上記絶縁フィルム基材と上記複数本のコイル導体との間に充填された絶縁固着樹脂は、上記複数本のコイル導体同士の間の隙間に浸透していることを特徴とするモータ用ステータ。
  2. 請求項1において、上記絶縁フィルム基材の両表面に積層した半硬化状態の熱硬化性樹脂は、上記複数本のコイル導体と対向させる一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みが、上記スロットの内壁面に対向させる他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きいことを特徴とするモータ用ステータ。
  3. 請求項1又は2において、上記コイル導体は、断面略角形状の角導体からなり、該角導体において互いに対向する一対の表面を、上記ステータコアの径方向に平行にして上記スロット内に配置してあることを特徴とするモータ用ステータ。
  4. 請求項1又は2において、上記コイル導体は、断面略丸形状の丸導体からなることを特徴とするモータ用ステータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記ステータコアは、その周方向において、上記スロット同士の間のティースを有する形状で上記スロットの数に対応する数に分割したコア形成ブロックを接合してなり、
    上記絶縁フィルム基材は、上記スロットにおける径方向の底部側において折り重ねてあることを特徴とするモータ用ステータ。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記ステータコアは、円環状に形成された一体型コアであり、
    上記絶縁フィルム基材は、上記スロットにおける径方向の開口部側において折り重ねてあることを特徴とするモータ用ステータ。
  7. ステータコアにおけるスロット内に、複数本のコイル導体を収容してなるモータ用ステータの製造方法において、
    複数の電磁鋼板を中心軸線方向に積層してなると共に、上記スロット同士の間のティースを有する形状で、上記スロットの数に対応する数に上記ステータコアを周方向に分割して形成したコア形成ブロックと、複数本のコイル導体と、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂を積層してなる絶縁シートとを用いてモータ用ステータを製造するに当たり、
    上記絶縁シートにおける一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みを他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくしておき、
    上記一方の表面の熱硬化性樹脂を上記複数本のコイル導体に対向させて、当該絶縁シートによって当該複数本のコイル導体を包み込んで、コイル仮組体を形成し、
    該コイル仮組体を、一対の上記コア形成ブロックにおけるスロット形成部同士の間に配置して、当該一対のコア形成ブロック同士を接合することにより、上記複数本のコイル導体同士の間の隙間に上記一方の表面の熱硬化性樹脂を流動させた後、上記熱硬化性樹脂の全体を硬化させることを特徴とするモータ用ステータの製造方法。
  8. ステータコアにおけるスロット内に、複数本のコイル導体を収容してなるモータ用ステータの製造方法において、
    複数の電磁鋼板を中心軸線方向に積層して円環状に形成したステータコアと、複数本のコイル導体と、可撓性及び電気絶縁性を有する絶縁フィルム基材の両表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂を積層してなる絶縁シートとを用いてモータ用ステータを製造するに当たり、
    上記絶縁シートにおける一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みを他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みよりも大きくしておき、
    上記他方の表面の熱硬化性樹脂を上記スロットの内壁面に対向させて、当該絶縁シートを当該スロットに配置し、
    上記複数本のコイル導体を上記絶縁シートにおける上記一方の表面の熱硬化性樹脂に対向させて配置し、当該絶縁シートにおける周方向の両端部を、上記スロットの開口部側において折り重ね、当該絶縁シートの折り重ね部から径方向外方へ加圧して、上記複数本のコイル導体同士の間の隙間に上記一方の表面の熱硬化性樹脂を流動させた後、上記熱硬化性樹脂の全体を硬化させることを特徴とするモータ用ステータの製造方法。
  9. 請求項7又は8において、上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚み及び上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、上記絶縁フィルム基材の厚みよりも大きくし、かつ上記一方の表面の熱硬化性樹脂の厚みは、上記他方の表面の熱硬化性樹脂の厚みに比べて、1.5〜3倍の厚みに形成することを特徴とするモータ用ステータの製造方法。
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