JP2009031966A - 携行物管理ゲート - Google Patents

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Abstract

【課題】 軟磁性体を含む検知対象物を検出する携行物管理ゲートにおいて、検知対象となる磁性体の量や検知対象外の磁性体の有無に関わらず検知信号が飽和をすることを回避する。
【解決手段】 携行物管理ゲートは、検知対象となる軟磁性体を検出する第1の検知ゲート10と、上記軟磁性体による信号の検出するときの信号レベルを検出するための第2の検知ゲート20及び第3の検知ゲート30と、これらの検知ゲートの出力に基づいて検知対象物の有無を判別する信号処理手段45と、通行者を検出する人感センサ41,42とを備えているものとする。信号処理手段45は、軟磁性体による信号の検出するときの信号レベルを検出する第2の検知信号に基づき、第1の検知信号を飽和させない範囲で増幅させた状態で検知対象外の信号を除去することにより検知対象となる磁性体の信号を検出するものとする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の磁化反転による磁界変動を検出して、持ち出し又は持ち込みが制限される携行物の通過を管理する携行物管理ゲートに関するものである。
持ち出し又は持ち込みが禁止される携行物の通過を検知し、警告等を発する携行物管理ゲートとして、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体を利用するものが知られている。
上記大バルクハウゼン効果を生じる磁性体としては、Fe−Co系の非晶質金属細線などの軟磁性体が知られている。この磁性体は保磁力を超える交番磁界を与えることにより急激な磁化反転が生じ、磁界変動が生じる。したがって、持ち出し又は持ち込みが制限される対象物に上記大バルクハウゼン効果を生じる磁性体を添加しておくと、上記磁界変動を検出することによってその対象物が携行物管理ゲートを通過するのを検知することが可能となる。
このような携行物管理ゲートを、持ち出し又は持ち込みが禁止される対象物の管理領域の出入口などに設置することにより、上記対象物の持ち出し又は持ち込みの管理を可能にしている。
上記のような携行物管理ゲートは、例えば特許文献1に記載されている。この携行物管理ゲート101は、図5に示すように、携行物が管理される領域へ出入りする通路に交番磁界を形成する励磁コイル103と、励磁コイルの形成する磁界内で磁化反転することによる磁界変動を検出する検出コイル104とを備えている。上記励磁コイル103には電源装置102から交流電圧が印加され、通路105に交番磁界が形成されている。この領域に大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が添加された対象物が通過すると急激な磁化反転が生じ、これによる磁界の急変は検知コイル104によってパルス状の信号として検出される。そして、比較回路106によって上記磁性体の通過を判別するものである。
前記比較回路106としては、図5に示すように、検知コイルによって検出された信号からノイズを除去又は軽減させるフィルター111と、前記パルス信号を増幅する増幅器112と、前記パルス信号を基準データと比較する比較器113と、前記比較器の結果に応じて駆動される駆動部114と、この駆動部によって管理者への通報等が行われる報知部115とを備えている。検知コイル104の検出信号は、フィルター111を通過させることによりノイズなどが除去又は軽減される。このパルス信号を、増幅器112で増幅した後、比較器113において予め準備された基準データと照合することにより対象物の有無を判別するものである。
特開平8−185496号公報
上記のような従来の携行物管理ゲートでは、大バルクハウゼン効果によって生じる信号のレベルが低く、S/N比が小さくなりやすい。このため、大バルクハウゼン効果による信号の判別が難しくなることがある。このため、検知コイルで検出された信号は初期の段階で増幅するのが望ましい。しかし、検出された信号を増幅するときに、大バルクハウゼン効果によって生じる信号に基づいた増幅率を設定すると、管理対象となる携行物と同時に例えばスチール缶などの磁性体が混在していると検出信号が飽和してしまうという問題がある。つまり、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体のみを検知したときの信号は、図6中の(1)欄に示されるようなパルス状となり、これを(2)欄に示すように増幅して判別処理をおこなうことができる。しかし、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の他にスチール缶等の磁性体が同時に携行物として通過すると、図6中の(3)欄に示すように大バルクハウゼン効果による信号に、励磁コイルに印加されている電圧の周波数成分が重畳される。このように検出された信号を増幅器によって増幅すると、(4)欄に示すように増幅器の出力の上限値を超え、大バルクハウゼン効果による信号の判別ができなくなってしまうことがある。また、携行物に上記磁性体を多量に含んでいる場合も同様に、磁性体の磁化反転による信号自体が大きくなり、飽和してしまうことがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、検知対象となる磁性体の量や検知対象外の磁性体の有無に関わらず検知信号が飽和をすることを回避し、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体を含む検知対象物を検出することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 携行物が管理される領域へ出入りする通路に交番磁界を形成する第1の励磁コイルと、 大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が前記第1の励磁コイルの形成する磁界内で磁化反転することによる磁界変動を検出する第1の検出コイルと、 前記通路の前記第1の励磁コイル及び第1の検出コイルが設けられた位置への進入経路において該通路内に交番磁界を形成する第2の励磁コイルと、 大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が前記第2の励磁コイルの形成する磁界内で磁化反転することによる磁界変動を検出する第2の検出コイルと、 前記第1の検出コイルの検出信号を増幅する第1の増幅器を含み、該第1の増幅器によって増幅された信号に基づいて大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の通過を判別する信号判別手段と、 前記第2の検出コイルの検出信号に基づいて前記第1の増幅器の増幅率を設定する増幅率設定手段とを有する携行物管理ゲートを提供する。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の携行物管理ゲートにおいて、 前記信号判別手段は、前記第1の増幅器によって増幅された信号から、少なくとも前記第1の励磁コイルに印加する電圧の周波数成分を除去又は低減するハイパスフィルターと、 前記ハイパスフィルターを通過した信号を増幅する第2の増幅器とを有し、 前記第2の増幅器の増幅率は、前記増幅率設定手段により、前記第2の検出コイルの検出信号及び前記第1の増幅器について設定された増幅率に基づいて設定されるものとする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の携行物管理ゲートにおいて、 前記通路の、前記第2の励磁コイルが設けられた位置と反対側から前記第1の励磁コイルが設けられた位置へ進入する経路に、交番磁界を形成する第3の励磁コイルと、 前記第3の励磁コイルが形成する磁界内で、磁性体の磁化反転に磁界変動を検出する 第3の検出コイルとを備え、 前記増幅率設定手段は、第3の励磁コイルが設けられた位置を通過して第1の励磁コイルが設けられた位置へ進入する通行者があるときに、前記第3の検出コイルの検出信号に基づいて前記第1の増幅器の増幅率を設定するものとする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の携行物管理ゲートにおいて、 前記第1の励磁コイルが設けられた位置及び第3の励磁コイルが設けられた位置と対応する位置に、それぞれ人感センサが設けられ、 これらの人感センサが通行者を検出したときに、通行者を検出した人感センサと対応する励磁コイルの検出信号に基づいて、前記増幅率設定手段が前記第1の増幅器の増幅率を設定するものとする。
上記のような構成を備えることにより、請求項1に係る発明では、検出された信号のS/N比を大きくして大バルクハウゼン効果による信号の検出を容易にすることと、通行者の携行物に含まれる大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の量や検知対象外の磁性体の有無に関わらず、第1の増幅器の出力が飽和するのを回避することとの両立を可能とし、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の検知精度を向上することが可能となる。
請求項2に係る発明では、大バルクハウゼン効果による信号より低周波の信号を除去した後の信号を、飽和が生じない範囲で増幅して、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の有無の判別をおこなうことができる。
請求項3に係る発明では、携行物管理ゲートを通過する経路上で進入する方向がいずれの方向であっても、つまり携行物が管理される領域から出る方向であっても入る方向であっても検知信号の飽和を回避して管理対象物の検知が可能となる。
請求項4に係る発明では、携行物管理ゲートの通行者が進入する方向にしたがって、第第2の検知コイル又は第3の検知コイル検知信号を選択し、これに基づいて増幅器の増幅率を設定することができる。
以下、本願に係る発明の一実施形態である携行物管理ゲートを図に基づいて説明する。
この携行物管理ゲート1は、携行物に含まれる機密文書を検出するためのゲートであり、図1に示すような機密が保持される領域の出入口に設置することにより、機密文書を不正に又は過誤により持ち出す行為に対し、防止策を講じるものである。
機密が保持される領域内では、機密事項が文書として又は電子情報として保管されており、文書はプリンタ又は複写機2等によって作成される。このとき、機密文書は大バルクハウゼン効果を生じる磁性体を含むいわゆるリモート紙を使用して作成される。そして、機密文書の廃棄は、機密領域内でシュレッダ3にかけられ処分される。
上記リモート紙は、例えば図3に示すものを使用することができる。
このリモート紙4は、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体4aを線材として紙の繊維に漉き込んだものである。上記磁性体4aは、紙のほぼ全域に分散して含まれるのが望ましく、図3に示すように規則的に配置されるものでも良いがランダムに分散して配置されるものが好ましい。また、紙の繊維内に埋め込まれ、簡単には除去することができないように含まれるものが良い。磁性体は、例えばFe−Co系の非晶質金属細線(直径数十μm、長さ1mm以上)を用いることができ、その他、大バルクハウゼン効果を生じる軟磁性体を用いることができる。
図2は、上記管理領域の出入り口に設けられる携行物管理ゲートを示す概略構成図である。
この携行物管理ゲート1は、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体を検出する第1の検知ゲート10と、大バルクハウゼン効果による信号の検出するときの信号レベルを検出するための第2の検知ゲート20及び第3の検知ゲート30と、これらの検知ゲートの出力に基づいて大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の有無を判別する信号処理手段45と、上記第2の検知ゲート及び第3の検知ゲートを通過する通行者を検出する人感センサ41,42とを備えている。
上記第1の検知ゲート10は、携行物が管理される領域へ出入りする通路に面して設けられ、交番磁界を形成する第1の励磁コイル11と、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が励磁コイルの形成する磁界内で磁化反転し、磁界が変動するのを検出する第1の検出コイル12とを有するものである。これら第1の励磁コイル11及び第1の検知コイル12は、通路の両側に立設されたパネル状の収容ケース13のそれぞれに収容されている。上記第1の励磁コイル11は、通路の通行方向と平行な鉛直面に沿って巻き回されており、電源装置(図示しない)から交流電圧が印加され通路14に交番磁界を発生させるものである。また、上記第1の検出コイル12は第1の励磁コイル11の内側で、該第1の励磁コイル11の巻き線と平行な鉛直面に沿って「8」の字状に巻き回されている。この第1の検出コイル12は、通路14に生じている磁界の変動を誘導電流として検出するものであり、「8」の字状に巻き回すことにより、第1の励磁コイル11に印加された交流電圧の周波数成分の誘導電流を抑制するものとなっている。
上記第2の検知ゲート20は、管理領域から出る方向で第1の検知ゲートに進入する経路に設けられており、第1の検知ゲート10と同様に第2の励磁コイル21と第2の検知コイル22とを備えるものである。これらの第2の励磁コイル21及び第2の検知コイル22は通路24に面して両側にそれぞれ設けられており、第2の励磁コイル21は通路24に交番磁界を形成し、第2の検知コイル22は「8」の字状に巻き回されて、磁界の変動による誘導電流を検出するものとなっている。また、第2の検知ゲート20が設けられた位置には第1の人感センサ41が設けられている。この第1の人感センサ41は、第2の検知ゲート20を通過する通行者を検知するものであり、例えば、光線を照射しその反射量の変化を検知するものや、所定の場所に投受させた光線の遮断を検知するもの等を採用することができる。
第3の検知ゲート30は、管理領域へ入る方向で第1の検知ゲート10に進入する経路に設けられており、上記第2の検知ゲート20と同じ構成を有するもので、第3の励磁コイル31及び第3の検知コイル32を備えるものである。また、この第3の検知ゲート30が設けられた位置に第2の人感センサ42が設けられており、第3の検知ゲート30を通過する通行者を検知するものとなっている。
上記信号処理手段45は、図2(b)及び図4に示すように、第1の検知ゲートが備える検知コイルの出力(以下、第1の検出信号という)に基づき、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の有無を判別するための信号判別回路50と、第2の検知ゲート30又は第3の検知ゲート30の出力(以下、第2の検出信号)に基づいては第1の検出信号の増幅率を設定する増幅率設定回路60とを備えるものである。
第2の検知ゲート20の検知コイル21によって検出された信号と第3の検知ゲート30の検知コイル31によって検出された信号とは、人感センサ41,42の出力に基づいて選択されるものとなっている。つまり、第1の人感センサ41が通行者を検知すると、第2の検知ゲート20から出力される信号を第2の検知信号として増幅率設定回路60に入力するように第1のスイッチ43をON状態とするように設定されている。また、第2の人感センサ42が通行者を検知すると、第2のスイッチ44をON状態とし、第3の検知ゲート30から出力される信号を第2の検知信号として増幅率設定回路60に入力する。
信号判別回路50は、第1の検出信号を飽和させない範囲で増幅する第1の可変増幅器51と、第1の検知信号から大バルクハウゼン効果によって生じる信号より低周波の成分を除去又は軽減するハイパスフィルター52と、このハイパスフィルター52を通過した信号を飽和させない範囲で増幅する第2の可変増幅器53と、第2の可変増幅器53を通過した信号から高周波のイズを除去するローパスフィルター54と、ローパスフィルター54を通過した信号を予め準備された基準データと比較し、大バルクハウゼン信号を含むか否かを判別する比較器55と、この比較器55により大バルクハウゼン信号を含むと判別されたときに通行者を遮断する駆動部56と、この駆動部56が作動した場合に管理者等に状況を通報する報知手段57が備えられている。
上記第1の可変増幅器51は、入力された第1の検知信号を、出力が飽和しない増幅率で増幅するものであり、この増幅率は増幅率設定回路60によって設定されるものである。
上記ハイパスフィルター52は、低周波成分を除去又は軽減し、高周波成分を含む大バルクハウゼン効果による信号を通過させるものである。特に、第1の励磁コイル11に印加される周波数の成分の信号を除去又は低減するものが望ましい。スチール缶等の磁性体が通行者の携行物に含まれていると、第1の励磁コイル11によって生成されている磁界が上記スチール缶等の磁性体の磁化によって変動し、励磁の周波数成分の信号が高いレベルで検知信号に含まれることになる。このような管理対象物以外の磁性体による信号を除去することができる。
上記第2の可変増幅器53は、ハイパスフィルター52を通した信号を、出力が飽和しない範囲の増幅率で増幅するものである。ハイパスフィルター52によって励磁コイルに印加される電圧の周波数成分が除去又は低減されることにより、信号のレベルが大幅に低減されており、この第2の可変増幅器53の出力が飽和しない範囲で大バルクハウゼン効果による信号をさらに増幅することできるものである。
上記ローパスフィルター54は、第2の可変増幅器53を通過した信号から大バルクハウゼン効果で生じる信号よりも高周波成分のノイズを除去又は軽減するものである。これにより、後述する比較器による判別の精度を向上させるものである。
上記比較器55は、増幅された第1の検知信号に基づき、この信号に大バルクハウゼン効果による信号が含まれているか否かを判別するものである。大バルクハウゼン効果による信号は、励磁コイルに印加される電圧の周波数に対応してパルス状の信号として検出される。したがって、パルス状の信号であることと周期性とにより判別するものとしている。
上記駆動部56は、携行物に大バルクハウゼン信号が検出された通行者の通過を遮断する部材、例えば扉等の開閉駆動を行うものであり、比較器55による判別結果に基づき通行者の動作を制限することができればよい。
なお、この駆動部56は、比較器55による判別結果のみによって動作するものに限らず、通行者の個人情報等と対比した結果に基づいて動作するものであっても良い。例えば通行者はカード等によって個人情報を入力するものとし、これらの個人情報や、通行時の時刻等の条件に基づいて動作させるものを採用することもできる。
上記報知手段57は、比較器55の判別結果を管理者等に報知するものであり、警報やランプの点灯、警報音の出力又は管理者への電子メール配信などを採用することができる。
上記増幅率設定回路60は、第2の検知信号をデジタル信号に変換するA/D変換器61と、前記デジタル信号の信号レベルから第1の可変増幅器51及び第2の可変増幅器53の増幅率を演算するCPU62と、上記CPU62の演算結果に基づいた増幅率を第1の可変増幅器51又は第2の可変増幅器53に設定する増幅率可変回路63とを含むものである。
上記CPU62は、デジタル化された第2の検知信号の信号レベルに基づき、第1の可変増幅器51及び第2の可変増幅器53についてそれぞれの出力が上限値を超えないように、すなわち出力信号が飽和することがないように増幅率を演算するものである。そして、信号処理の精度を安定させるために、大バルクハウゼン効果による信号のレベルがほぼ一定となるように増幅率を設定するのが望ましい。
例えば、図3に示す用紙一枚を携行して第1の検知ゲート10を通過するときに、大バルクハウゼン効果による信号は、表1に示すように約1μVとして検出することができる。これに対し、飲み物等のスチール缶を携行して同じ第1の検知ゲート10を通過すると、信号レベルは100mV程度となる。大バルクハウゼン効果による信号を判別するためには、比較器に入る信号として1V程度のレベルまで増幅する必要がある。しかし、用紙一枚の通過によって検出される1μVの信号を1Vまで増幅するために増幅率を120dBとした場合、上記用紙と同時にスチール缶が携行されていると、このスチール缶によって約100mVの信号が検出され、0.1MVまで増幅される。この信号は第1の可変増幅器51の出力の上限値を超えてしまい、図6の(4)欄に示すように大バルクハウゼン効果による信号が消失されて検出することができなくなる。そこで、第1の可変増幅器51に設定する増幅率は、この第1の可変増幅器51の出力が上限値を超えないように、例えば増幅率を40dBに調整することで大バルクハウゼン効果による信号の欠落を回避する。そして、ハイパスフィルター52によって低周波成分を低減し、全体の信号レベルを低くした信号について、増幅率の総和が120dBとなるように第2の可変増幅器53の増幅率を演算する。
Figure 2009031966
上記のように第1の可変増幅器51及び第2の可変増幅器53の増幅率が設定されるときに、第1の検知ゲート10を管理対象の磁性体を含む多量の用紙が同時に通過する場合、又はスチール缶等の管理対象外の磁性体が多量に通過する場合等では、第1の検知信号および第2の検知信号のレベルが高くなり、第1の可変増幅器51の増幅率は出力信号の飽和が生じないように小さく設定される。また、大バルクハウゼン効果による信号のレベルが高いときには、その信号の判別が適切に行うことができる範囲で第2の可変増幅器53の増幅率が小さく設定される。
次に、上記携行物管理ゲート1の動作について説明する。
この携行物管理ゲート1に通行者があると、第2の検知ゲート20又は第3の検知ゲート30と対応して設置されている人感センサ41,42により第2の検知ゲート20又は第3の検知ゲート30への進入が検知される。そして、通行者を検出した人感センサと対応する検知ゲート、つまり第2の検知ゲート20又は第3の検知ゲート30の検知コイルで検出された信号が選択され、第2の検知信号として増幅率設定回路60に入力される。その後、通行者が第1の検知ゲート10に進入すると、第1の励磁コイル11の形成する磁界内で発生した磁界変動が第1の検知コイル12によって検出され、第1の検知信号として信号判別回路50に入力される。
増幅率設定回路60に入力された第2の検知信号はデジタル信号とされて信号レベルが検出され、これに基づいて信号判別回路50の第1の可変増幅器51の増幅率が演算される。一方、信号判別回路50に入力された第1の検知信号は第1の可変増幅器51において上記増幅率で増幅される。このとき第1の可変増幅器51の増幅率は、出力される信号が飽和しない範囲で増幅されるので、通行者の携行物に多量の磁性体が含まれている場合であっても、出力される信号が飽和することはなく、大バルクハウゼン効果による信号が消失することはない。また、第1の検知信号を処理の初期段階で増幅することによってS/N比を大きくすることができ、大バルクハウゼン効果による信号が含まれているか否かを高い精度で判別することが可能となる。
第1の可変増幅器51により増幅された第1の検出信号はハイパスフィルター52を通過させることによって低周波の成分が除去又は低減される。これによって信号レベルは低減され、さらに第2の可変増幅器53によって増幅される。このときにも、第2の可変増幅器53の増幅率は増幅率設定回路60によって出力信号の飽和が生じないように設定される。さらにローパスフィルター54で高周波のノイズが除去され、比較器55でこの信号に大バルクハウゼン効果による信号が含まれているか否かが判別される。このとき、大バルクハウゼン効果による信号が適切に増幅されており、さらにノイズが低減されているので、高い精度で判別することが可能となる。そして、この判別結果に基づいて駆動部56及び報知手段57が動作する。
本願に係る発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の内容で様々な態様とすることができる。例えば、第1から第3の検知ゲートにおける励磁コイル及び検知コイルの形態は、検知ゲートが使用される位置、検知対象物等に対応して適切な形状、巻き数等を選択することができる。また、配置位置も通路の側部に限定されるものではなく、天井や床面に設けられるものでもよい。
また、検知対象物は、機密文書に限らず商品や備品等であってもよく、大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が添加されているものであれば様々なものを対象とすることができる。
本発明の一実施形態である携行物管理ゲートを用いた携行物管理システムの例を示す概略図である。 本発明の一実施形態である携行物管理ゲートの概略構成図である。 大バルクハウゼン効果を生じる磁性体を用いた記録シートの概念図である。 図2に示す携行物管理ゲートで用いられる信号処理手段の概略構成図である。 従来の携行物管理ゲートを示す概略構成図である。 従来の携行物管理ゲートにおける信号飽和状態を示す概略図である。
符号の説明
1:機密領域の出入口に設けられた携行物管理ゲート、 2:複写機、 3:シュレッダ、 4:大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が添加された記録シート、
10:第1の検知ゲート、 11:第1の励磁コイル、 12:第1の検知コイル、
13,23,33:収容ケース、 14:第1の検知ゲート内の通路、
20:第2の検知ゲート、 21:第2の励磁コイル、 22:第2の検知コイル、 24:第2の検知ゲート内の通路、
30:第3の検知ゲート、 31:第3の励磁コイル、 32:第3の検知コイル、 34:第3の検知ゲート内の通路、
41:第1の人感センサ、 42:第2の人感センサ、 43:第1のスイッチ、 44:第2のスイッチ、 45:信号処理手段、
50:信号判別回路、 51:第1の可変増幅器、 52:ハイパスフィルター、 53:第2の可変増幅器、 54:ローパスフィルター、 55:比較器、 56:駆動部、 57:報知手段、
60:増幅率設定回路、 61:A/D変換器、 62:CPU、 63:増幅率可変回路

Claims (4)

  1. 携行物が管理される領域へ出入りする通路に交番磁界を形成する第1の励磁コイルと、
    大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が前記第1の励磁コイルの形成する磁界内で磁化反転することによる磁界変動を検出する第1の検出コイルと、
    前記通路の前記第1の励磁コイル及び第1の検出コイルが設けられた位置への進入経路において該通路内に交番磁界を形成する第2の励磁コイルと、
    大バルクハウゼン効果を生じる磁性体が前記第2の励磁コイルの形成する磁界内で磁化反転することによる磁界変動を検出する第2の検出コイルと、
    前記第1の検出コイルの検出信号を増幅する第1の増幅器を含み、該第1の増幅器によって増幅された信号に基づいて大バルクハウゼン効果を生じる磁性体の通過を判別する信号判別手段と、
    前記第2の検出コイルの検出信号に基づいて前記第1の増幅器の増幅率を設定する増幅率設定手段とを有することを特徴とする携行物管理ゲート。
  2. 前記信号判別手段は、前記第1の増幅器によって増幅された信号から、少なくとも前記第1の励磁コイルに印加する電圧の周波数成分を除去又は低減するハイパスフィルターと、
    前記ハイパスフィルターを通過した信号を増幅する第2の増幅器とを有し、
    前記第2の増幅器の増幅率は、前記増幅率設定手段により、前記第2の検出コイルの検出信号及び前記第1の増幅器について設定された増幅率に基づいて設定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の携行物管理ゲート。
  3. 前記通路の、前記第2の励磁コイルが設けられた位置と反対側から前記第1の励磁コイルが設けられた位置へ進入する経路に、交番磁界を形成する第3の励磁コイルと、
    前記第3の励磁コイルが形成する磁界内で、磁性体の磁化反転に磁界変動を検出する 第3の検出コイルとを備え、
    前記増幅率設定手段は、第3の励磁コイルが設けられた位置を通過して第1の励磁コイルが設けられた位置へ進入する通行者があるときに、前記第3の検出コイルの検出信号に基づいて前記第1の増幅器の増幅率を設定するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携行物管理ゲート。
  4. 前記第1の励磁コイルが設けられた位置及び第3の励磁コイルが設けられた位置と対応する位置に、それぞれ人感センサが設けられ、
    これらの人感センサが通行者を検出したときに、通行者を検出した人感センサと対応する励磁コイルの検出信号に基づいて、前記増幅率設定手段が前記第1の増幅器の増幅率を設定するものであることを特徴とする請求項3に記載の携行物管理ゲート。
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